決戦フェイズ

GM
六分儀タワー。その上空より。
海野標
落ちた流星は地に叩きつけられ、バウンドし、
海野標
きらめきと血を散らしながら狩人たちの前へと倒れ伏す。
クロニック・ラヴ
そこに。
クロニック・ラヴ
地に伏した海野標を目掛けて、死が降りそそぐ。
安武 陸
「……!」
安武 陸
「師匠!」 叫ぶ。
赤木 叶恵
上空を見上げる。
安武 陸
標に飛びつき、抱えたまま転がる。
クロニック・ラヴ
針はアスファルトを抉り、破片を高く飛び散らす。
海野標
陸に抱え込まれた海野標の方は、
海野標
先にも増して血に汚れ、力ない。
海野標
貫通痕が増えている。血が滴る。
海野標
陸の服をも血に染めていく。
GM
上空には、
クロニック・ラヴ
少女の形をした死が、そこに佇む。
安武 陸
標を抱えたまま、空を見上げる。
クロニック・ラヴ
威圧感はそのままに。死の気配を漂わせたまま。
クロニック・ラヴ
空よりふわりと陸地へと降り、つかつかと狩人たちへと歩み寄る。
クロニック・ラヴ
その背に、
『埋み火』迷ノ宮御影
フォロワーが立つ。
『ひなたの恋人』萩原稜介
灰葉陽の恋人を名乗る男と、
『彼女とともに』高地結凪
ポニーテールを揺らす少女が。
赤木 叶恵
じわりと全身に汗が滲む。引きそうになる足を踏みとどまらせ、意識して前のめりの戦闘姿勢を取った。
敷村 修也
口を結び槍を構える。
この前のハロウィンとは違う、ハンターとして化物を討つために。
迷ノ宮 光葉
大きなトランクを持ち、福とともにその場に立つ。吸血鬼の向こう側、兄をじっと見て。
海野標
抱え込まれた海野標に反応はない。力なく腕が下がる。その手には最早得物すらなく。
安武 陸
かろうじて、標に息があることは分かった。が、いつまで持つのかは分からない。
クロニック・ラヴ
「終わりですよ」
クロニック・ラヴ
「雌雄は決しました。あとはその男を殺すだけです」
クロニック・ラヴ
「寄越しなさい」
安武 陸
死の呼び声が聞こえる。
クロニック・ラヴ
赤い瞳が、あなたを射抜く。
クロニック・ラヴ
血の色を透かしたような赤が。
安武 陸
手が震える。 幾度も繰り返される死が思い起こされる。
安武 陸
疑いようもなく、自分はあの吸血鬼に怯えている。
クロニック・ラヴ
甚大な殺意がそこにはある。
クロニック・ラヴ
彼女の存在そのものが定める、死の『運命』を。
クロニック・ラヴ
あなたたちは逃れようもなく実感する。
安武 陸
前と同じように、標を差し出せば自分は助かるかもしれない。
安武 陸
しかし、そうしたら。
安武 陸
この高校生の生意気な命の恩人は。
海野標
か細い呼吸。
海野標
まだ熱はある。溢れ出る熱が陸の身を浸している。
海野標
流れた血はアスファルトへと伝い落ち、広がっていく。
安武 陸
血が流れてゆく。命が地面を汚す。
海野標
死へと瀕する。
安武 陸
血に濡れて、体温が失われゆく少年を見る。
安武 陸
もはや何もできない、息をするだけの少年を。
安武 陸
「……い、や……だ」
海野標
この一年。
海野標
あなたを生かしてきた。
海野標
あなたを庇護してきた。
海野標
あなたを背に庇ってきた少年が、今はあなたの腕の中に。
安武 陸
標を差し出せば、自分は助かるかもしれないのに。
安武 陸
「いやだ」
クロニック・ラヴ
「…………」
安武 陸
標を横たえて、立ち上がる。
安武 陸
「師匠は、渡さない」
クロニック・ラヴ
少女があなたを見ている。
安武 陸
足は震える。 今すぐ逃げ出したい気持ちは変わらない。
安武 陸
死ぬのは嫌だ。 痛いのは嫌だ。
安武 陸
それでも、標が死んでいいだなんてことにはならない。
クロニック・ラヴ
「……そう」
クロニック・ラヴ
「そうですか」
クロニック・ラヴ
ふう、と息をついた。
クロニック・ラヴ
「結晶を全て破壊し、虐殺血戒も解除した」
クロニック・ラヴ
とんでもない事態に巻き込まれているが、PCたちはレベル1ハンターである。あなたたちのレベルにしては上々の戦果です。褒めて差し上げましょう」
クロニック・ラヴ
「――ですが」
クロニック・ラヴ
「運命を変えるのは、私です」
クロニック・ラヴ
クロニック・ラヴの声が響く。その圧が増す。
GM
空に浮かぶ青い月は、
GM
血に蝕まれたように、再び紅く染め上げられる。
安武 陸
帰りたいな、と思う。
安武 陸
このまま故郷まで逃げていけば、死ぬことはないだろうか。
安武 陸
横渡る標に、視線を落とす。
安武 陸
この一年。
安武 陸
自分を生かしてきた。
安武 陸
自分を庇護してきた。
安武 陸
自分を背に庇ってきた少年。
安武 陸
「……あーあ」
安武 陸
「嫌だけど、今日くらいは俺が代わりをやりますか」
赤木 叶恵
「安武にしては、気合入ってんじゃん」
赤木 叶恵
足を前へと進める。
安武 陸
「でしょ~、俺らしくね~の」
安武 陸
「助けてくださいよ、センパァイ」
赤木 叶恵
「大丈夫。あっちも弱ってる。さっきの凄味に比べればかわいいもんだよ」
クロニック・ラヴ
「…………」
赤木 叶恵
ハッタリだ。吸血鬼の顔色に変化は読み取れないし、全身は危険を訴えている。だが、少なくともデータ上は支配力を全て削られて耐久力が6になっているはずである。そうあるはずなのだ。そうでなくては勝てない。
安武 陸
叶恵が言うように、弱っているようには見えない。
が、そうであったらいいな、と思う。
そう、あるはずだ。
赤木 叶恵
「……うちで一番の小物が頑張るってのに、ここで引く奴は居ないでしょ」
安武 陸
「はは、そりゃあ頑張る甲斐があるなぁ!」
敷村 修也
「できるだけのことはやってきましたし、ここでも俺たちのできるだけのことをやるだけですからね」
敷村 修也
「できるだけのことですけど―――」
敷村 修也
「負けてやるつもりなんてありません」
迷ノ宮 光葉
「……はい、仰るとおりです」
迷ノ宮 光葉
「できるだけのことをして、勝ちます」
『埋み火』迷ノ宮御影
「…………」
安武 陸
「頼もしすぎて怖いくらいだわ」
安武 陸
「じゃあ……、精一杯頑張りましょうか!」
クロニック・ラヴ
「私はクロニック・ラヴ」
クロニック・ラヴ
「私こそが、クロニック・ラヴ」
クロニック・ラヴ
「参ります」
クロニック・ラヴ
「……運命は、私が覆す」

ラウンド1

クロニック・ラヴ
戦闘開始時、クロニック・ラヴは本気を出したため
クロニック・ラヴ
シンプルに有り得ない数値の上昇。レベルが5上昇。
テンションが6、テンション上限が20上昇。
特性値が4上昇。
耐久値が5上昇します。
[ クロニック・ラヴ ] テンション : 20 → 26
[ クロニック・ラヴ ] 耐久力 : 6 → 11
安武 陸
ハァ~~~~~~~~~!?!?!?
敷村 修也
わっはっはは
敷村 修也
わははじゃねんだわ
赤木 叶恵
????
安武 陸
本気出すな!!!舐めプしてろ!!!!!!
安武 陸
格下ハンターだぞ!!!!!!!
GM
撤退してもいいですよ。
GM
標は逃がせません。
安武 陸
そんな……
GM
こんなことやってるモンスターがレベル4で留まるわけないよね。
GM
前フリうめぇなって思ってました。
安武 陸
留まってて
クロニック・ラヴ
吸血鬼のプレッシャーが膨れ上がる。
クロニック・ラヴ
その死の気配が。
クロニック・ラヴ
あまりにも確かなものとして、あなたたちの全身を縛りつける。
GM
IST 先制判定指定特技表(3) > 《日常/環境3》
赤木 叶恵
2D6>=6 (判定:隠れる) (2D6>=6) > 10[4,6] > 10 > 成功
安武 陸
2D6>=8 (判定:呼吸器) (2D6>=8) > 6[2,4] > 6 > 失敗
敷村 修也
2D6>=7 (判定:走る▲) (2D6>=7) > 8[3,5] > 8 > 成功
迷ノ宮 光葉
2D6>=10 (判定:殴る) (2D6>=10) > 6[1,5] > 6 > 失敗
GM
では叶恵、修也が先攻、陸、光葉が後攻です。
GM
先攻ハンターの行動をどうぞ。
クロニック・ラヴ
凄絶な殺気を放ちながら、クロニック・ラヴは光の針を纏う。
クロニック・ラヴ
凍気にも似た殺気。
クロニック・ラヴ
凍りついた空気が、相対するハンターの全身にまといつくようだった。
敷村 修也
*修也から行動します 暴力で攻撃 対象クロニック・ラヴ
敷村 修也
*補助に串刺しを宣言
GM
いいでしょう。判定をどうぞ。
敷村 修也
2D6+1>=5 (判定:笑う) (2D6+1>=5) > 2[1,1]+1 > 3 > ファンブル(【余裕】が 0 に)
GM
ギャハハ!
敷村 修也
ばっかおまえ
安武 陸
ちょっと
迷ノ宮 光葉
わーーーーーーーー
GM
プレッシャー負けした
敷村 修也
*激情!この1は6!
GM
いいでしょう。ダメージダイスをどうぞ。
GM
2D6+1かな。
敷村 修也
+はないかな?打撃力ないので
GM
あ、そっか。2D6でどうぞ。
敷村 修也
2d6 (2D6) > 5[2,3] > 5
クロニック・ラヴ
回避するか。-2ですね。
クロニック・ラヴ
2D6-2+4>=7 (判定:騙す)回避判定 (2D6-2+4>=7) > 8[2,6]-2+4 > 10 > 成功
クロニック・ラヴ
成功です。
[ 敷村 修也 ] 激情 : 1 → 0
[ 敷村 修也 ] テンション : 22 → 26
[ クロニック・ラヴ ] テンション : 26 → 29
敷村 修也
相対する吸血鬼から放たれるプレッシャーが膨れ上がる。
力を削いできたはずだったが経験のない自分にもわかるほどの力を目の前の吸血鬼は持っている。
クロニック・ラヴ
針が閃く。あなたへ目掛けて。
敷村 修也
「―――っ!!」
敷村 修也
ついさっき、海野に降り注いだものとは比べ物にならないくらいの速度。
敷村 修也
攻撃を仕掛けるために踏み出そうとした機先を制される。
敷村 修也
「くそっ!」
クロニック・ラヴ
槍の穂先が弾かれる。それも幸運が招いたこと。
クロニック・ラヴ
槍で弾かれることがなかったら、その針はあなたの脳天を貫いていた。
敷村 修也
そしてそれでもなおバランスを崩すことなく立っていられるのは間違いなくとレーニングの賜物のはずだが、そんなことを実感する余裕すらない。
クロニック・ラヴ
揺るぎのない死がそこにある。
クロニック・ラヴ
覆せない運命がある。
クロニック・ラヴ
ただそれだけが事実。
赤木 叶恵
*毒殺 戦闘色 狩人の骨でコスト減
GM
いいでしょう。コスト9ですね。
GM
命中判定をどうぞ。
赤木 叶恵
2D6>=5 (判定:撃つ) (2D6>=5) > 10[4,6] > 10 > 成功
GM
ちっ。ダメージダイスを。
GM
1D6と+7ですね。
赤木 叶恵
1d (1D6) > 2
赤木 叶恵
*激情 2→6
GM
OK
GM
毒殺により回避不可。
7点ダメージと、部位ダメージが1つ発生します。
[ 赤木 叶恵 ] 激情 : 1 → 0
[ 赤木 叶恵 ] テンション : 17 → 26
[ 赤木 叶恵 ] 激情 : 0 → 1
[ クロニック・ラヴ ] 余裕 : 12 → 5
[ クロニック・ラヴ ] 部位ダメージ : 2 → 3
GM
BRTをどうぞ。
赤木 叶恵
BRT 身体部位決定表(8) > 《口》
GM
口ですね。
クロニック・ラヴ
再起判定です。
クロニック・ラヴ
2D6>3 (2D6>3) > 10[4,6] > 10 > 成功
クロニック・ラヴ
成功。
クロニック・ラヴ
クロニック・ラヴは修也へと追撃の針を閃かす。
赤木 叶恵
その横から、針を持った手を伸ばす。
クロニック・ラヴ
赤い瞳を叶恵に向ける。
クロニック・ラヴ
目を眇める。
クロニック・ラヴ
「幼いあなた」
クロニック・ラヴ
「ただひとつをがむしゃらに信じ、戦うことしか知らなかったあなた」
赤木 叶恵
その目に、一瞬怯む。
クロニック・ラヴ
「ただひとつきりを拠り所にする」
クロニック・ラヴ
「それだけを胸に、それに責任を預けて、進み続ける」
クロニック・ラヴ
「私はそれを理解しましょう」
クロニック・ラヴ
「――さぞかし、楽だったことでしょうね」
赤木 叶恵
動きが止まる。が、これならこれでいい。明らかに格上の吸血鬼をこうして足止めできるのなら。
赤木 叶恵
そう思っていたはずなのに。
赤木 叶恵
「……るさいっ」
赤木 叶恵
「アンタにっ、何がわかる!」睨み返し、そのまま飛び掛かった。
クロニック・ラヴ
その針に甘んじる。
クロニック・ラヴ
瞼を伏せて、叶恵を受け止めてみせすらする。
赤木 叶恵
喉元へと針を立てる。避ける素振りもない。戸惑う。
赤木 叶恵
「……なんで」
クロニック・ラヴ
毒を受けながら至近距離に、叶恵を見返した。
クロニック・ラヴ
「わかりますよ」
クロニック・ラヴ
「私も、同じ過ちに甘んじましたから」
クロニック・ラヴ
すらりと伸びた白い脚で叶恵の腹を蹴り、突き放す。
赤木 叶恵
「けほっ」
クロニック・ラヴ
その喉元で、
クロニック・ラヴ
毒が作用する。
クロニック・ラヴ
弾けて血が散る。
クロニック・ラヴ
けれど吸血鬼は涼しい顔のまま、
クロニック・ラヴ
その傷もすぐに繕って、変わらぬ死としてそこに立つ。
赤木 叶恵
過ちという言葉に、何も言えなかった。
赤木 叶恵
あの吸血鬼も何かを信じたのだ。そしてあるいは、彼女もまた、その信じたものに裏切られたのかもしれない。
赤木 叶恵
腹の一撃に咳き込む。顔を上げたときには、先ほどの一撃の傷はもう見えなくなっていた。
GM
モンスターの手番です。
GM
フォロワーは全員手番をパス。
『埋み火』迷ノ宮御影
蒼い炎を纏ったままに、御影は狩人とクロニック・ラヴの戦いを見つめる。
クロニック・ラヴ
クロニック・ラヴの行動。
クロニック・ラヴ
――あなたたちは、彼女の動きを見切れない。
クロニック・ラヴ
もうめちゃくちゃ。陸に░░。░░を組み合わせます
安武 陸
あ?
敷村 修也
わぁ
迷ノ宮 光葉
???????
安武 陸
なに?
赤木 叶恵
クロニック・ラヴ
2D6+4>=9 (判定:落ちる) (2D6+4>=9) > 6[2,4]+4 > 10 > 成功
クロニック・ラヴ
5D6+4+9+6 (5D6+4+9+6) > 17[1,2,2,6,6]+4+9+6 > 36
クロニック・ラヴ
36点ダメージです。
赤木 叶恵
なんて?
迷ノ宮 光葉
んぶw
安武 陸
36????????
敷村 修也
わはは
敷村 修也
馬鹿!
安武 陸
なに?
クロニック・ラヴ
回避ペナルティは-12。噛むからどうぞ。
安武 陸
2D6-12>=7 (判定:叫ぶ) (2D6-12>=7) > 6[2,4]-12 > -6 > 失敗
クロニック・ラヴ
命中ですね。
クロニック・ラヴ
余裕6をふっ飛ばし、残りが30。
クロニック・ラヴ
耐久力が5なので、6部位ですね。
クロニック・ラヴ
口、逆腕、呼吸器、心臓、利き腕、利き脚をもらいましょう。
[ 安武 陸 ] 部位ダメージ : 1 → 7
クロニック・ラヴ
再起判定をどうぞ。
GM
8以上で成功ですね。
安武 陸
1D6>7 (1D6>7) > 5 > 失敗
GM
出目は悪くありませんが、失敗です。
GM
░░の効果により陸の血量が3減少し、クロニック・ラヴの血量が3増加します。
[ 安武 陸 ] テンション : 20 → 23
[ 安武 陸 ] 血量 : 6 → 3
[ クロニック・ラヴ ] 血量 : 12 → 15
[ クロニック・ラヴ ] テンション : 29 → 40
[ クロニック・ラヴ ] 激情 : 2 → 4
GM
また、░░による追加行動が1回、░░による追加行動が1回発生します。あと2回動きます。
クロニック・ラヴ
クロニック・ラヴは陸に視線を流し、
クロニック・ラヴ
瞬きの間に、針が閃く。
クロニック・ラヴ
死が通過する。陸の身体を。
クロニック・ラヴ
胸を貫かれる。
安武 陸
知っている。
安武 陸
何度も繰り返した。
クロニック・ラヴ
両腕が、吹き飛ばされて千切れ飛んだ。
安武 陸
武器を握る腕が失われ、血がしぶく。
クロニック・ラヴ
片脚に針が突き立つ。
クロニック・ラヴ
血の海に、沈む。
安武 陸
立てずに膝を折る。
クロニック・ラヴ
「――運命変転血戒『クロニック・ラヴ』」
クロニック・ラヴ
「その、最後の発動条件は」
クロニック・ラヴ
「海野標の死です」
クロニック・ラヴ
「あらゆる犠牲は、そのために積み上げられてきました」
安武 陸
沈み、溺れる。
安武 陸
標の死が、『クロニック・ラヴ』の最後の発動条件?
安武 陸
大量の死骸。 大量の肉。 大量の血。
安武 陸
あれら全てが、標の死へのお膳立てだったのか?
安武 陸
そんなにも、この女は標の死を望んでいるのか?
安武 陸
息をしようとして、また前と同じように血の泡が肺を満たす。
安武 陸
縋る相手は、すぐ近くで虫の息。
安武 陸
縋る腕も、貫かれている。
海野標
『マジでどうしようもなくなったら、まあ諦めて俺を呼べ』
海野標
『多少無理してでも駆けつけてやっからよ!』
海野標
かつての声が、陸の耳に蘇る。
安武 陸
嘘つき、と思いかけて。
安武 陸
無理をさせた結果がこれだと悟る。
安武 陸
海野標は、神ではない。 本当に誰にも負けないなんてことはない。
安武 陸
そんなことは、最初から分かっていたはずだったのに。
安武 陸
頭のどこか冷めた部分が、これじゃ本末転倒だ、と思っている。
安武 陸
自分が助かるために縋った男を、守ろうとして死んでは意味がない。
クロニック・ラヴ
その無為を踏み躙るように、
クロニック・ラヴ
広がった血の上を蹴り、跳び上がった。
クロニック・ラヴ
針を展開する。
クロニック・ラヴ
視線は修也を向いていた。
GM
後攻ハンターの行動をどうぞ。
敷村 修也
声をあげる間も息をつく暇もなかった。
赤木さんが間に割って入って、それから。
敷村 修也
クロニック・ラヴが地面を蹴る音ではじめて安武さんの状態が認識できた。
敷村 修也
「……っ!?」
敷村 修也
明らかに立ち上がることができないどころか命さえ危ういであろう量の出血。
赤木 叶恵
一瞬のことだった。腹を蹴られて息を止めている間に、仲間が貫かれている。
赤木 叶恵
いや、たとえ万全の状態であって、すぐ動けたとしても、今の動きを止められる気が、避けられる気がしなかった。
GM
もう巻き戻らない。
GM
標も陸も倒れ伏したまま。
クロニック・ラヴ
吸血鬼は変わらずそこに在る。
赤木 叶恵
判断を誤ったのだろうか。鼓舞するべきではなかったのだろうか。かける言葉が違えば、彼はこうして血の海に沈んでいる事もなかったかもしれない。
敷村 修也
「やす、たけ……さん」
迷ノ宮 光葉
理解できない。一瞬のうちに陸が倒れ伏した事実をようやく遅れて見て取った。瞬間で狩人一人を殺せる相手に、自分は、何をすべきなのか──。
敷村 修也
敷村修也には経験が足りない。
敷村修也には冷淡さが足りない。
目を離すべきではない相手から目を離し、思考から外すべき相手を見つめるのは、クロニック・ラヴの前では死に等しい。
クロニック・ラヴ
上空より修也の方へと身体を向け、
クロニック・ラヴ
展開した針の先を、彼へと向ける。
安武 陸
血が流れてゆく。
GM
血臭に満ちた戦場で、
クロニック・ラヴ
その光だけが、奇妙に鮮烈だった。
負けイベを悟ったPL一同は、長い相談の末、無力化させられた陸を撤退させる結論を出す。
迷ノ宮 光葉
*撤退します、対象を陸様
GM
では、決まりましたら判定をどうぞ。対象が1名なので-2の修正と、防御力の+1の修正です。
敷村 修也
*援護を宣言
赤木 叶恵
*援護
GM
では+2です。判定をどうぞ。
迷ノ宮 光葉
2D6-2+1+2>=10 (判定:殴る) (2D6-2+1+2>=10) > 6[3,3]-2+1+2 > 7 > 失敗
GM
失敗ですね。
[ 敷村 修也 ] テンション : 26 → 29
[ 赤木 叶恵 ] テンション : 26 → 29
敷村 修也
うーんこれはまぁ……仕方がない
安武 陸
うーむ
安武 陸
目標値がね
GM
9はキツい。
GM
地に伏した陸へと向かおうとした光葉の爪先に、
クロニック・ラヴ
光の針が差し向けられる。
迷ノ宮 光葉
地面をえぐる程の光の針が、自分の行く手を遮るように突き立つ。
クロニック・ラヴ
「愚直なあなた」
クロニック・ラヴ
「秘めたふりの想いに溺れ、懸想に酔うてみせるあなた」
クロニック・ラヴ
「相手の本質を省みぬ思慕の在り方は、楽しかったですか?」
迷ノ宮 光葉
「………っ!」
クロニック・ラヴ
「お人形への恋慕であれば」
クロニック・ラヴ
「或いはそれも、美しかったのかもしれませんね」
クロニック・ラヴ
切り捨てて、
クロニック・ラヴ
針を放った。
安武 陸
吸血鬼にバレてる
赤木 叶恵
なんでそんなひどいこというの
迷ノ宮 光葉
すいません…すいません…
GM
すいませんになっちゃった
敷村 修也
ほらっ!光葉ちゃんがへにゃへにゃになっちゃったでしょ!
敷村 修也
ひどいよ~
GM
吸血鬼の追加行動です。
クロニック・ラヴ
*░░>修也
クロニック・ラヴ
2D6+4>=9 (判定:落ちる) (2D6+4>=9) > 6[1,5]+4 > 10 > 成功
クロニック・ラヴ
5D6+4+9+6 (5D6+4+9+6) > 18[2,4,4,4,4]+4+9+6 > 37
クロニック・ラヴ
37点ダメージです。
敷村 修也
GMダメージダイス高くない?
クロニック・ラヴ
殺意が出ているとの噂です。
安武 陸
くそっ……クロニック・ラヴ……受けちゃんになれ……!!
赤木 叶恵
愉快な出目を出してくれやがる
クロニック・ラヴ
死が並んでる
迷ノ宮 光葉
ブロックでいいですよね?
敷村 修也
お願いします
迷ノ宮 光葉
*ブロックします
迷ノ宮 光葉
武装:人形の補助アビリティ。コスト6。アビリティ強化を受けている。
このアビリティを組み合わせたブロック判定に成功すると、人形1個を消費してそのダメージを0にする。
身代わり人形
を宣言
GM
OK。ブロックの指定特技が叫ぶに変更されます。+1の補正はそのまま。
GM
判定をどうぞ!
迷ノ宮 光葉
2D6+1>=5 (判定:叫ぶ) (2D6+1>=5) > 7[2,5]+1 > 8 > 成功
GM
成功ですね。
GM
身代わり人形の効果により、光葉は人形を1コ消費。
GM
クロニック・ラヴの░░のダメージが0点に変更。
GM
しかしダメージ以外の効果は打ち消されません。修也は血量を3減少し、クロニック・ラヴは3上昇。
[ クロニック・ラヴ ] テンション : 40 → 45
[ 敷村 修也 ] 血量 : 6 → 3
[ クロニック・ラヴ ] 血量 : 15 → 18
[ 迷ノ宮 光葉 ] テンション : 16 → 25
[ 迷ノ宮 光葉 ] 激情 : 0 → 1
クロニック・ラヴ
立ち竦んだ修也へと差し向けられた光の針。
迷ノ宮 光葉
「修也様っ……!!!!」
迷ノ宮 光葉
かろうじて手元にあったトランクを針の進路に両手で投げる。
敷村 修也
光葉の声にかろうじて目を離しているクロニック・ラヴのことへ思い至った。
クロニック・ラヴ
光の針がトランクを串刺しにする。
クロニック・ラヴ
その外装を貫き、砕き割る。
迷ノ宮 光葉
ずたずたに砕かれたかばんの中から球体関節の人形の部品が散らばった。同じように針に貫かれてまるで身代わりのように砕かれる。
クロニック・ラヴ
その破片を散らしながら、追撃はやまない。
クロニック・ラヴ
クロニック・ラヴ、最後の追加行動です。
クロニック・ラヴ
*░░>修也
クロニック・ラヴ
2D6+4>=9 (判定:落ちる) (2D6+4>=9) > 9[3,6]+4 > 13 > 成功
クロニック・ラヴ
5D6+4+9+6 (5D6+4+9+6) > 15[1,2,3,4,5]+4+9+6 > 34
クロニック・ラヴ
34点ダメージです。
GM
回避ペナルティは-12です。
敷村 修也
*回避を宣言
GM
いいでしょう。回避ペナルティ-12と防御力+1をつけて噛むでの判定をどうぞ。
敷村 修也
2D6-11>=8 (判定:掴む) (2D6-11>=8) > 5[2,3]-11 > -6 > 失敗
GM
だめそうですね。
敷村 修也
まぁしょうがない
赤木 叶恵
そらこうなる
安武 陸
そりゃあそうよ
安武 陸
もう何もかもが……そりゃあそうよ……
GM
余裕6をふっ飛ばし、残りが28。耐久力が6だから4部位ですか。
[ クロニック・ラヴ ] テンション : 45 → 50
[ クロニック・ラヴ ] 激情 : 4 → 5
[ 敷村 修也 ] テンション : 29 → 30
[ 敷村 修也 ] 激情 : 0 → 1
[ 敷村 修也 ] 血量 : 3 → 0
[ クロニック・ラヴ ] 血量 : 18 → 21
GM
えーと
クロニック・ラヴ
感覚器、心臓、消化器、せっかくだから呼吸器をいただきましょう。
クロニック・ラヴ
4部位ですね。
[ 敷村 修也 ] 部位ダメージ : 0 → 4
GM
再起判定をどうぞ。
敷村 修也
1d6>4 (1D6>4) > 1 > 失敗
敷村 修也
*激情!この1は6!
GM
いいでしょう。
[ 敷村 修也 ] 激情 : 1 → 0
クロニック・ラヴ
光の針はトランクを突き破り、修也へと至る。
クロニック・ラヴ
その胴体を針の山へと変えて、吹き飛ばす。
クロニック・ラヴ
「……いっそのこと」
クロニック・ラヴ
「あなたのことも、五年前のあの日に」
クロニック・ラヴ
「殺して差し上げればよかったのかもしれませんね」
敷村 修也
目の前に現れたトランクと、身代わりのように弾け飛んだ人形で生まれたほんの一瞬。
敷村 修也
その一瞬のおかげで気を失わずに済んでいる。
その一瞬のおかげで体中をつらぬかれ、血を流しながらも気を失うこともできない。
クロニック・ラヴ
吸血鬼の言葉の意味は、あなたの頭には理解されない。
敷村 修也
「……っ!………!」
クロニック・ラヴ
「結局、遠ざけることも」
クロニック・ラヴ
「守り切ることも叶いはせず」
敷村 修也
言葉も出ずただ痛みと目の前の吸血鬼の圧倒的な強さにうろたえるばかり。
クロニック・ラヴ
「哀れなことです」
クロニック・ラヴ
白い指先を空へと掲げる。
クロニック・ラヴ
光がその指先に集まり、
クロニック・ラヴ
再びに針を形成し、四方へと――
クロニック・ラヴ
ぽたり、と
クロニック・ラヴ
クロニック・ラヴの胸元から、血が落ちた。
クロニック・ラヴ
その薄い胸を、
海野標
背中側から、覆い被さるように貫いている。
敷村 修也
あ???
安武 陸
ちょっと…………
クロニック・ラヴ
「――――」
クロニック・ラヴ
針を閃かす。
海野標
たやすく吹き飛ばされて、三度、地を転がった。
クロニック・ラヴ
「そうですね」
クロニック・ラヴ
「最初から、あなたを殺せばいいのでした」
クロニック・ラヴ
「有象無象には拘わず」
クロニック・ラヴ
「遠回りをする意味、など」
クロニック・ラヴ
「どこにも、――――」
クロニック・ラヴ
語る途中。
クロニック・ラヴ
慌てた様子でクロニック・ラヴが腰に手を当てる。
クロニック・ラヴ
そこに下がっていたはずの、星型のヘアピンが、なくなっている。
クロニック・ラヴ
薄桃色のフレームヘアピン。
クロニック・ラヴ
灰葉陽のつけていたものと同じそれは、
海野標
今は地に伏せた、海野標の手の中にある。
クロニック・ラヴ
「――あ」
海野標
「まあ、そうだよな」
海野標
「確かに、遠回りする意味なんてなかった」
海野標
起き上がる。血を落としながら。
海野標
「悪いな」
海野標
「風香」
海野標
「お前を、余計に苦しめた」
海野標
前に進む。血溜まりに爪先を汚す。
海野標
安武陸を背にして、足を止めた。
海野標
「でも、まあ、五年か」
海野標
「悪くはなかったな。俺にとっては」
海野標
瞼を伏せる。赤い月の下。
安武 陸
「し……しょ……」
安武 陸
見上げる。その背を。
クロニック・ラヴ
「――だめ」
クロニック・ラヴ
「やめなさい」
クロニック・ラヴ
「馬鹿なこと、考えないで」
クロニック・ラヴ
「あなたは既に、一度――」
海野標
「魔法行使」
海野標
「運命変転魔法」
海野標
「――『クロニック・ラヴ』!!」
海野標
光が舞い、
海野標
紅の空が、深海の青へと清められる。
海野標
空には満天の星空が。
海野標
それにも負けぬまばゆい光が、海野標の足元から立ち昇る。
海野標
ゆるやかな風が吹いていて、静かだった。
海野標
「――リク」
安武 陸
手を伸ばす。
海野標
「最後まで面倒見てやれなくて、ごめんな」
安武 陸
伸ばしても、何かを掴める訳じゃないけれど。
海野標
「叶恵と、光葉さんと、修也のこと」
海野標
「よろしく頼む」
海野標
「……なんとかできるだろ、お前なら」
安武 陸
無理ですよ。 師匠。
安武 陸
俺は弱くて、根性なしで、自分のことしか考えてなくて。
安武 陸
どうしようもない甘ったれで、わがままばかりで。
安武 陸
あんたがいないと、何もできないのに。
海野標
海野標はクロニック・ラヴに触れる。
海野標
かちり、と、どこかで音が響いた。
安武 陸
「──師匠」
海野標
それは時計の針の刻む音か、
海野標
或いは歯車の噛み合う音か――
海野標
次の瞬間、世界は一切の光に満ちて。
海野標
運命が変わる。