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ストレナエを倒し、公爵家の依頼を受けた救世主たちに連れられて招かれた部屋は、堕落の国では破格な〈いい部屋〉だった。
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「公爵家」が堕落の国において旺盛に活動しており、資源も抱えているという話は聞いていたものの、セシリアはこれほどとは思わなかった。
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道中、疵の力を用いてイーデンを治療しながら辿り着いた部屋で、あらためて休息を取るべく、
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堕落の国では大変珍しいことに──それぞれにあてがわれた部屋に引っ込むであるとか、あるいは体力の余裕があるものは周囲の様子を散策して回るであるとか、
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セシリアがイーデンに声をかけたのは、そのような合意を得て、解散する矢先のことだ。
イーデン
破格すぎて 破格すぎん? とは思ったが まあでも……ストレナエはやばい救世主だったし……
GM
格下なのに倒せたっていうんだからもう期待値爆上がりだし……
GM
なんかいい人っぽいからさらに評価も爆上がりです
GM
大体この脅威度帯の救世主ってまともに会話できることが稀じゃないですか?
イーデン
それぞれに部屋があてがわれている そんなことがあっていいのか
セシリア
背景を見るとマジで破格 破格~!ってなる
イーデン
見た目上は、あの村で受けた傷など全くないかのように振る舞っている。
セシリア
部屋の入り口に立ち、ほとんどすぐに出ようという振る舞いだ。
イーデン
公爵家の抱える財力についてもこの男は大して驚く様子もなかった。
セシリア
あなたを振り返って、その表情や立ち姿を見つめる。
セシリア
かれは単独行動をとって、物資をどこかから仕入れてくることがあった。
セシリア
恐らくは公爵家から引き出してきたのものであるのだろう、と思う。
セシリア
もっとも、今はそのことを質問する場面ではない。
イーデン
セシリアと連れ合ってばかりの頃から、そういうことはよくあった。
イーデン
かねてよりの伝手があるとは本人も言っていた。隠す様子もない。
イーデン
具体的にどういった取引を行っているかに関しては、口にすることはなかったが。
セシリア
そのためらいがちな声音だけで、あるいは伝わるものがあるかもしれなかった。
セシリア
その様子を見て、入り口近くにいた女は、少しだけあなたの方へ歩み寄る。
イーデン
けれど、あなたに向き直ることはしなかった。
セシリア
──どこからともなく、物資を持ってきた──
セシリア
それは、あの村で、イーデンと合流したセシリアとセラこそがやったことだ。
セシリア
「あなたに、あの彼女……カノンから言伝がありました」
イーデン
彼女がどういう末路を迎えたかについては、
イーデン
あの後の彼女が、自分に向けて言伝を残した。
セシリア
かれはあの二人を、特にカノンを気にしているように見えた。
イーデン
だから、あなたがその瞬間の男の顔を見ることはなかったはずだ。
セシリア
悪い結果を招くことをその才覚で理解しながら、自分たちが危険を冒すことを選んだ彼女を。
イーデン
揺すられる情動の抑えきれぬ、どうしようもない救世主のありよう。
セシリア
……かれに伝えるかどうか、本当のところは少し迷っていた。
セシリア
堕落の国において、その過酷さと残酷さを理解しながら、
セシリア
どうしようもなく心を動かされることは、必要なことだけれど、
セシリア
またかれの強さと弱さを、読み違えてしまうのでは……いや、
セシリア
ほかのだれかに心を動かされているかれを、
セシリア
単に見たくなかったのではないか、とも思う。
イーデン
目の前の女が彼女に手を下したことも理解している。それを正しい判断と思う。
イーデン
そこに私情の入る余地のないことを疑わず。
イーデン
堕落の国に生きる救世主としての正しい振る舞いを身につけた女へと、
イーデン
最早自分に付き随う必要のないはずの女へと、
イーデン
それが安請け合いになることもこの男は理解している。
イーデン
諦観のうちに受け入れた真理に、小さく息をつき。
セシリア
「…そのために、あなたがいてくれると信じています。私は」
セシリア
醜態、立ち尽くしたことより「二人とはここで別れたほうがいいと思う…」のほうが醜態なんだよな(素)
セシリア
「休み休みとは言え、あの怪我でここまで旅してきたわけですから」
イーデン
必要以上の休みをとることを厭う男だ。気付けばすぐに宿を空ける。
セシリア
「……私も、外の空気を吸ったら、部屋に戻ります」
イーデン
転がり込んできた奇跡のような好待遇にも疑いを捨てきれずにいる。
イーデン
それが本当だとしても、いつまでも続くものではないことを知っている。継続させるための努力が要ることを。そのために自分が動けることも。
イーデン
「俺が動き回るよりかは、あいつの方が歓心を買う」
イーデン
第一印象がいいのは間違いなく自分ではなくあれの方だ。
イーデン
今シーソーしてるからちょっと待って 助けて……
イーデン
さらっと流せばさらっと流せるのにシーソーが長引けば長引くほど自分にかかるものが増えていることを自覚しながらシーソーしています!!!!!
セシリア
ギィーッギィーッ(シーソーが上下する音)
イーデン
もう今からさらっと流すの不可能じゃない!? 助けて!!!!!
GM
だってここから先のかけひきで……シーソーするタイミングないから……
イーデン
私は何も理解していませんでしたが・・・・・・・?
GM
そのつもりで私今日25時まで空けてますからね
イーデン
私はさらっと終えて暗夜のレス返そうって思ってたんですよ!?
GM
1シーンぶんくらいはするでしょって おもってました
セシリア
なんかさらっと伝えて帰ろうとしたらここで呼び止めるような空気出すだろうなとはうすうす思ってました
セラ
まぁでも1時間くらい話すことになりそうだなとは思ったし、今は22:44
イーデン
呼び止めるつもり直前までなかったんですけど
セラ
別に伝えるだけなら伝えましたの1行で終わるし……
イーデン
「お前たちの信望を買うに値しない人間だ」
イーデン
「俺ではなくお前を買って、俺たちに随伴することを選んだ」
イーデン
「お前の信望は、自分の拾ったものに価値を見出したいが故の執着だ」
イーデン
助けて~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
セシリア
お前マジで言ってんの?ってなって笑ってます
イーデン
助けて~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
セラ
助けてって言いながら金属バット渡してないですか?
セシリア
こんなに「強く抱いて……」って言われることないですからね
イーデン
こんなことになるとは思わなかった こんなことになるとは思わなかった こんなことになるとは思わなかった
GM
もしかしてものすごい連携プレイなんじゃないか?
セシリア
こんなに「強く抱いて……」って言われることない
GM
ものすごい手綱を握らせる人 ものすごい金属バットを渡す人
セシリア
この堕落の国でたったひとり、亡者と戦って倒れていた男の言葉を。
イーデン
「この国に生きる上での正しきを謳いながら踏み違える」
イーデン
「絶対視を強いた滑稽くらいは、よくよく承知している」
セシリア
「あなたが納得をつけるために、私を生かす理由を探してくれたと思っていますよ」
セシリア
「私は、あなたが、正しさを謳いながら踏み違えることも」
セシリア
「踏み違えた自分に忸怩たる気持ちを持って、醜態ということも」
セシリア
「私たちをどうにかして、自分から切り離そうとするところも」
セシリア
「信望に値して、好ましいと思ってるんです」
セシリア
「……確かに少し、複雑すぎるかもしれないし」
イーデン
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セラ
わざわざ含みをもたせた沈黙をして、強く抱いてって言ったから………
イーデン
あそこでいやなんでもないで切り上げることも考えたんですけどシーソーし始めちゃったから終わった
イーデン
シーソーしたらいやなんでもないで切り上げることもう不可能だから
イーデン
今本当に嫌だと思いながらやりますからね? 今本当に嫌だと思いながらやってますからね?
セシリア
堕落の国に堕ちてきた救世主に帰る場所なんてないってワケ
セシリア
「あのストレナエとの戦いから生き延びたことを」
セシリア
「あなたと出会うことで得られた、この上ない幸運だと思っていますよ」
セシリア
「あなたがいてくれたから、私もセラも死なずに済みました」
セシリア
「それは、セラも分かっていると思います」
セシリア
願はくは、あなたがもっと自分を許せたらいいのだけれど。
セシリア
こんなに心動かされるあなたが、こんなに絶望し、誰も信じられなくなるほどに、
セシリア
今回のことであなたが見た目のうえでさえけろりとしていることが、その証左に思えた。
セシリア
「だからそのために、ぜひゆっくりとお休みください」
セシリア
「……また、夕食の時にお会いしましょう」
セシリア
いつしか、夢の中でパンディオンにした、貴婦人めいた礼ではなく、ただ簡素に頭を下げて、
イーデン
もう逃げ場がないんですけどここから入れる保険ってないですか?
セシリア
逃げ場が設置されてたことはちょこちょこあったかも……
セシリア
でもセシリア剝がれないから結局なかったかも
セラ
イーデンがいないと死んでたのはわかってますけど……僕はイーデンを抱かないし……イーデンも僕には甘えないと思うので……頼みましたよ!セシリア!
GM
もうなんかここからふたなり亡者とか倒しに行ったほうがいいのでは……?
セシリア
でも俺たちがここから行くのは……絶望の森!
セシリア
ふたなりアナル同人誌が一生おすすめされる
イーデン
諦めたような脱力。信じがたいほどに心地の良いベッドに背を沈めて、瞼を閉じた。
イーデン
自分の愚かさ、煮え切らなさに眩暈を覚える。未だ裡より身を苛む疼痛よりもそちらの方が酷い。
イーデン
或いは、傷から発する熱が頭までも冒しているか? そのせいとできたら良いのだが。
イーデン
『見えているものを、見えないということにしておくこと』