プロローグ

GM
日の沈むころ。
GM
そろそろ野宿するかどうかみたいなギリギリの時間帯に。
GM
あなたたちはリヨンにたどり着きました。
リュール
野宿が避けられてよかった……。
クロノス
着いた~っ 街はどんな感じかなっ
リュール
大切な俺の……
ヲトメ
ぴょん、と跳ねて舞い上がる。
リュール
…………仲間に……
GM
街門をくぐって広がる街は、以前訪れたときとほとんど変わらないように思えます。
リュール
野宿はなるべくさせたくないから…………。
リュール
「ふむ」
GM
「あ! あれは!」
リュール
怪訝そうに街の様子を見回していましたが。
GM
街に踏み入れたあなたたちに、反応する市民の様子。
GM
「救世主様たちじゃないか!」
GM
「本当だ!」
ヲトメ
「あら、お呼びのようだわ」
リュール
おやおや……
クロノス
とりあえず手でも振ってみるか。
GM
あなたたちは以前ここで三月兎の亡者を退治していたので、それを覚えている者も多いようです。
GM
ワー ワー
クロノス
おひさ~。
リュール
そうですね、手は振りましょう。
ヲトメ
ふふん!
GM
お久しぶりです!
リュール
「相変わらず賑わっているようで何よりだ」
GM
いやあ、遠目に見てもすぐわかった。華があるお三方だからね。
ヲトメ
でしょう?でしょう!
クロノス
ぴっかぴかですからね!
リュール
為政者たるものこうではないとね。
GM
クロノスさん~ 音響設備良くしてみたんですよ! ちょっと試していってみませんか!
GM
ヲトメちゃん! ティーセット新作作ってみたけどどう?
ヲトメ
あら!素敵ね
GM
リュール様~! あなたに似合う剣を鍛えてみましたよ~!
クロノス
試します試します!
GM
わいわいがやがや。
リュール
それはありがたい。
リュール
拝見させてもらえるかな?
クロノス
「ふむ」
GM
とまあそんなふうに。
クロノス
「意外と普通ですね」
リュール
「逆に気になるな……」
GM
ここに着た目的を一瞬忘れかけるほどの平和で賑わった光景が広がっているわけですが。
GM
あなたたちを取り囲む末裔の輪の外側から、さらにもう一人現れて声をかけるものがいます。
クロノス
もっと滅んでるものかと思ってました。
リュール
調査に派遣された救世主が消えてるからな。
GM
「ククク……」
クロノス
おや。
GM
「困るんですよねえ」
ヲトメ
末裔の頭の上を飛び回る。
アンブローズ
やけに怪しい声の長髪の男の影。
クロノス
やけに怪しい!
リュール
き、きさまは!?
アンブローズ
「実に……よろしくない」
アンブローズ
手には水パイプ。
アンブローズ
「急にいらっしゃられても……」
アンブローズ
「こちらとしても、歓待の準備ができていないというのに!」
リュール
「はっはっは」
リュール
「久しいね、アンブローズ!」
ヲトメ
「まあ、アンブローズ。ごきげんよう」
アンブローズ
救世主アントワーヌの片腕であるイモムシの末裔、アンブローズです。
アンブローズ
ほらほら。そのように囲まれては救世主さまたちも困りますよ、と末裔を散らします。
クロノス
「あ! お久しぶりです~!」
リュール
「あいも変わらず壮健な様子で何より」
アンブローズ
「お久しぶりです、皆様方」
アンブローズ
「うむうむ。実によろしい(it is very good)」
アンブローズ
「それで、本日はどういった御用で?」
リュール
「リヨンの噂を色々と聞かせてもらってね」
アンブローズ
スゥー……(会話の合間に煙を吸っては吐いている)
ヲトメ
たばこきらい!
アンブローズ
ははは。すいません。
アンブローズ
(止める)
ヲトメ
ぷんぷん。
アンブローズ
(身体が震えてくる)
クロノス
止めてくれるんだなあ。
アンブローズ
(結局吸う)
リュール
まあ、仕方ないよな。
リュール
「まあ、少しばかり確かめたいこともあって、ここを訪れた」
アンブローズ
「ほうほう」
クロノス
努力はしてもらえてるかも……
リュール
「……心当たりは?」
リュール
「君の方に」
アンブローズ
「噂、心当たり、ですか……」
アンブローズ
ふうむ、と顎に手を添えて考える素振り。
アンブローズ
「ああ……」
アンブローズ
「そう言えば少々、気がかりなことがありまして……」
リュール
「ふむ」
ヲトメ
ティーセットのなかに隠れてふたをちょっとあけて会話を聞く。
アンブローズ
「ここで立ち話するような内容ではないので」
アンブローズ
「アントワーヌさまのお屋敷まで、ご一緒してはいただけませんか?」
リュール
「おや」
クロノス
お~、アントワーヌ元気かな。
リュール
「あの名高き救世主アントワーヌにお招きいただけるとは」
ヲトメ
あそこはすきよ、ばらがあるもの!
アンブローズ
「アントワーヌ様も、あなたたちがいらっしゃればお喜びになるでしょう」
アンブローズ
では、こちらへ、と。
アンブローズ
先んじて市中を歩き始めます。
リュール
案内されましょう。
リュール
すれ違うたび末裔たちに手を振り。
クロノス
ついていきましょうか~。
クロノス
いえーい。
アンブローズ
水路にかかる橋をわたり。
アンブローズ
山肌に開くトンネルへと。
アンブローズ
「少々歩きますが……」
アンブローズ
ご容赦をば。
ヲトメ
「あたしじゃなくてリュークがあるくの。だからへいきよ」
リュール
「ははは」
リュール
「レディのためならなんなりと」
クロノス
「ボクのぶんも歩いてほし~」
アンブローズ
いろいろ歩いた末に、山中にしつらえられた巨大な昇降機にたどり着きます。
クロノス
浮いてるので問題ないです。
リュール
まともに歩くの俺だけのPT。
アンブローズ
アントワーヌ邸は山頂近くにあるのでZ軸移動が必要になるのです。
リュール
「これもまた随分と大仰な装置であるよな」
リュール
ゴウンゴウンと音がする。しそう。
アンブローズ
しますね。
クロノス
文明を感じる。
リュール
なかなか揺れるし。
クロノス
堕落の国に来るとなかなか味わえない文明が今なら吸い放題!
アンブローズ
全員が乗ると、鎖が巻き上げられて、足場が上へと動き始めます。
ヲトメ
ちょっとこわい。
リュール
それでもこの縦に移動できるというのは……すごい装置で……
リュール
ヲトメに手のひらを添えます。
アンブローズ
「この昇降機をはじめとして」
アンブローズ
アンブローズが語り始めます。
リュール
「?」
アンブローズ
「この街の機械は、我々末裔が努力して再現したものであるのですが……」
アンブローズ
「多くは、アントワーヌさまの疵の力によってもたらされています」
クロノス
そうでしょうねえ。
リュール
流石にな。
アンブローズ
「みなさん、一度は考えたことがありませんか?」
アンブローズ
「救世主の疵の力によってもたらされたものが」
アンブローズ
「その救世主が、生ある者でなくなったとき」
アンブローズ
「どうなってしまうのか?」
リュール
「……アンブローズ」
リュール
「それは……」
クロノス
「……なるほど?」
GM
ガタン。
GM
急に、昇降機が異音を立てて止まる。
GM
視界の隅で、何かが這い回っている。
リュール
剣の柄に手をかける。
GM
青いカビ。
GM
そのように見える、“何か”が、
GM
昇降機を覆い尽くそうとしていた。
GM
それと同時に。
GM
昇降機を吊り上げていた鎖が、嫌な音を立てる。
GM
そして断裂する。
GM
あなたたちは、
GM
昇降機とともに、はるか下まで落下していく!
リュール
「!」
クロノス
「わあ」
クロノス
「困りましたね」
GM
*ランダムな能力値を決めて、判定してください。
クロノス
「これ死ぬんじゃないですか?」
ヲトメ
GM
Choiceです。
リュール
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
クロノス
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ヲトメ
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
リュール
2d6+0>=7 才覚(お茶会) (2D6+0>=7) > 9[6,3]+0 > 9 > 成功
クロノス
2d6+4>=7 才覚(お茶会) (2D6+4>=7) > 7[3,4]+4 > 11 > 成功
ヲトメ
2d6+3>=7 才覚(お茶会) (2D6+3>=7) > 8[2,6]+3 > 11 > 成功
リュール
「ヲトメ、クロノス、捕まって!」
リュール
衝撃や攻撃から身を守るのは俺の役目!
ヲトメ
いわれなくとも、とばかりに。
リュールの懐にすばやく逃げ込む!
クロノス
お言葉に甘えちゃうか……
GM
*全員成功したので、何も起こりません。
リュール
ヲトメを懐に、クロノスを腕の中に。
リュール
マントを翻し、衝撃に備える。
GM
遥か下まで乗っていた昇降機が落下すれば、普通は大怪我は免れないが。
クロノス
わあかっこいい! さすが王子!
GM
あなたたちは修羅場の経験や疵の力で、それを免れることができる。
リュール
落下に合わせて剣を振るう。
ヲトメ
きゅ、と縮こまって衝撃に耐える。
リュール
守るべきものを守るための疵の力が、
リュール
鉄くれに働きかけ、その衝撃を和らげた。
クロノス
ちょっと身を浮かせとこ。
GM
すさまじい轟音と衝撃!
GM
それはあなたたちに危害を及ぼすには能わない。
GM
しかしそれで終わりではない。
GM
落下しひしゃげた昇降機を包む青いカビ状の物質が、今度はあなたたちにも迫ってくる。
GM
すぐに脱出したほうがよさそうだ。
リュール
「全く」
GM
アンブローズの姿は、いつのまにか消えている。
リュール
「相変わらず大ぼら吹きだな、アンブローズ!」
クロノス
そういえばアンブローズさんってどうなりました? あ、いない。
リュール
「歓待の準備はばっちりじゃあないか!」
リュール
カビを斬り払って昇降機を突破しましょうか。
クロノス
出ますか~。
GM
はい。では脱出できます。
リュール
こういう物理全般俺の仕事だな、このPT。
ヲトメ
「アンブローズのばか!あほ!あんぽんたん!」
クロノス
いつもお世話になってます。
GM
青いカビが這い回って追いかけますが、あなたたちには追いつけません。
リュール
それ以外をだいぶやってもらっているからな。
GM
昇降機を出てトンネルに脱出すると、周囲はいやに静かになっています。
リュール
「まったく……」
リュール
「あの口ぶりでは」
リュール
「つまりはそういうことか……」
クロノス
「あれ? 末裔達どっかいきました?」
リュール
「?」
GM
人の気配が周囲から消えています。
リュール
街の方は見下ろせますか?
GM
では、
GM
あなたたちがトンネルを出ると……
GM
そこには変わり果てたリヨンの光景が広がっています。
リュール
「…………」
GM
昇降機で見たような青に、街全体が、覆われています。
ヲトメ
「そんな」
クロノス
「うわ~、一面の青」
クロノス
「どっちが本物なんでしょうね」
リュール
「これは……」
リュール
「…………」
リュール
「……こういう時」
GM
青い粉が雪のように降っている。
リュール
「より嫌な方が真実である、というのが」
GM
外を歩くものは誰もいない。
リュール
「堕落の国の常であるように思うな」
クロノス
「まあ、でしょうね」
ヲトメ
青い雪をてのひらのうえにのせる。
すこしだけきれいとおもう。
GM
生者の気配は、まるごと消え去り。
GM
その代わりに、慣れ親しんだ、亡者の気配が遠くから放たれている。
リュール
「残念な話ではあるが……」
GM
それは山頂……
GM
アントワーヌ邸のほうにあった。
リュール
あの街は、あの救世主は、きっともう亡いのだろう。
ヲトメ
「ああ、星がひとつ……なくなってしまったの」
ヲトメ
「かなしいわ、リュール」
ヲトメ
「どうして?」
リュール
「……どうしてだろうね」
リュール
「とても、とても」
リュール
「悲しい話だけれども」
リュール
「ヲトメ」
リュール
「……この世界は、”そう”できているんだ」
ヲトメ
この鳥はその続きをいつもねだったけれど。
ヲトメ
その先が王子からかえって来ることはなかった。
ヲトメ
「……そう」
ヲトメ
「かなしいわ、リュール……」
リュール
愛する仲間に、愛する姫に。
リュール
十分な答えをくれてやれぬこの罪悪を。
リュール
自分は繰り返し噛み締めている。
クロノス
「まあ~こっちが真実のほうが納得はできます」
クロノス
「では、ボク達が来たときに見せられたアレは」
クロノス
「そういう幻覚系の能力でしょうかね」
リュール
「あちらが真実であるならば」
リュール
「こんな幻覚を見せる意味は薄いからな」
クロノス
嫌だなあ、幻覚。
リュール
救世主を錯乱させて罠にかける、アントワーヌの”狩り”は視野に入れていいかもしれないが……。
ヲトメ
納得しかねるようすで青を見ている。
リュール
それよりはこの亡者の気配の方が真に迫る。
ヲトメ
美しいものしか信じることのできない心がそうさせる。
クロノス
酒と煙草はやるけど薬物はあんま好きじゃないんだよなあ。
クロノス
嫌なものが見えるから。
リュール
俺はいいものを見ては意気消沈しているが。
ヲトメ
ただ手のひらにおちた青の雪のうつくしさだけが、ほんのすこしだけこちらの真実をささやく。
ヲトメ
「どっちもうそかも……」
クロノス
「そうかもです。倒したら荒野が広がってたりして」
リュール
「まあ、あれを倒す必要がある」
リュール
「それは違いないだろうな」
GM
青に閉ざされたリヨン。
GM
真実を知るにも、為すべきことを見つけるためにも、生きて帰るためにも。
GM
あなたたちは、迷宮と化したこの街を、彷徨わなければならない。