お茶会 ラウンド1

◆ 心の性感帯

セッション開始前に、心の疵のうち一つを指定し、GMに申請します。指定された心の疵は属性「心の性感帯」が付与されます。
どの心の疵が「心の性感帯」かは非公開情報で、他のプレイヤーには秘密にしてください。

「心の性感帯」である心の疵が舐められた、あるいは抉られたとき、状態「○○への恋心」が付与されます。
○○は、「心の性感帯」である心の疵を舐めた、あるいは抉ったPCに対しての名前が入り、○○へ恋心を抱いていることを示します。

◆ 恋心の効果

恋心は心の疵による効果を強化します。
技能強化:判定の達成値と与えるダメージと回復量を更に+1
ダメージ軽減:受けるダメージを更に1点軽減
看破:恋心を抱いてる対象から受けるダメージを更に+1
GM
お茶会です! PCの行動順は任意です!
GM
PKはPCの行動の後に行動します。全部で3回です。
宮城ユウキ
*行動順含め話し合いのRPをしてもいいですか?
GM
はい。大丈夫です。
宮城ユウキ
*ありがとうございます。
宮城ユウキ
さてはて、亡者を殺すとは相成ったものの。
宮城ユウキ
「アレ」
宮城ユウキ
「迂闊に近づくと”ああ”っぽいけど」
村の惨状の適当なところを指さします。
宮城ユウキ
「ああなりたい人いる?」
GM
いちゃ……いちゃ……
シェリ
「ううん………」
GM
ちゅきだよ♡ わたしもちゅき♡
宮城ユウキ
”ああ”すぎる。
GM
はぐはぐ ちゅっちゅっ
シェリ
なんだかすごいことになっちゃってるう…
藤花
「旦那はん以外のひとに、ああまでしたる理由はないなあ」
藤花
にっこり笑っている。絶対に嫌だと言っている。
宮城ユウキ
「うーん」
GM
いちゃいちゃする様を建物の陰から眺めて大号泣してる人なんかもいます。
藤花
阿鼻叫喚やね
GM
どうして……おれじゃだめなんだ……
宮城ユウキ
「じゃあやっぱ、とりあえず俺が様子見してくるか」
藤花
「坊主、毒の類は強いん?」
藤花
「斥候向きなんと、毒とかに強いんはうちや。ああなるのは御免やけど、ああならんようにしつつ見にいく言うんならうちが適任。」
宮城ユウキ
「俺の世界で言う一般人よりは耐性があるけど、藤花さんより強いとは思わない」
宮城ユウキ
「でも」
宮城ユウキ
「別にああなってもいいかなって思ってる方っぽいから」
宮城ユウキ
「相対的にはの話だけど」
宮城ユウキ
「あと、化け物相手の立ち回りには一日の長がある」
宮城ユウキ
「ってのも一応理由のひとつ」
シェリ
「いっしょに行くよ、ぼく」
シェリ
「ほんの少しなら、ぼくの力でなんとかできる…かも?だし…」
宮城ユウキ
「うーん……」
宮城ユウキ
「まとめて毒を食らっちゃうよりは、食らったあとに治してもらうの方が助かるかなって気持ちがあって……」
宮城ユウキ
「シェリの力がおかしくされちゃったら相当困るし」
宮城ユウキ
愛型が
封印されると
困るから
藤花
「……そやねえ」
シェリ
「そっか。…わかった、お留守番してるね」
藤花
「ほんなら、尚更うちが行こか。」
藤花
「こんなかで一番腕っ節が立つのは坊主、あんたはんや。」
藤花
「ほんで、あんたはんがああなったらー」
藤花
言いながら一塊のようになっている村人たちを指す
宮城ユウキ
「ああなったら」反芻。
藤花
「うちら、止められるかわからんし」
宮城ユウキ
「うーん」
宮城ユウキ
「一理はある」
シェリ
自信、ないなあ…
宮城ユウキ
「化け物を殺すことに関してはそこまで揺るがない自信があるんだけど」
宮城ユウキ
「それ以外はあんまり自信ないかな」
藤花
村人たちを見たところの症状は興奮、発熱、情緒不安定。瞳孔に開きも見られる。催淫作用も…あるのか…?
藤花
毒の詳細はわからないが、まあ興奮作用があると見て間違いはなさそう。
藤花
猟奇型がそんな状態になったら、まあたまったものではない。
宮城ユウキ
「藤花さんも触れられたくなかったら気をつけてね」
宮城ユウキ
納得したようなので、引き下がります。
宮城ユウキ
「俺、最終的には腕力で止めるしかできないと思うから」
藤花
「商売道具に傷つけられたら敵わんなあ。ヘマせんように気ィつけるわ」
宮城ユウキ
「善処はします」
宮城ユウキ
「シェリも治してくれると思うし」
シェリ
「うん。頑張るね」
藤花
「よろしく頼むわあ」
シェリ
「じゃあ、ぼくとユーキがお留守番?」
宮城ユウキ
「そうなる」
宮城ユウキ
「こっちはこっちで情報収集とか……まあ……」
宮城ユウキ
「できること探そうか」
シェリ
「うんっ」
シェリ
「いってらっしゃい、トーカ」
宮城ユウキ
「気をつけてね」

行動:藤花

GM
ラビング・ラビットの疵を抉るとのことですが、今回シナリオの方で初手に抉る疵が決まっておりまして。
GM
『淡い恋の端っこ』の方から抉っていただきます。
藤花
そうなんだ 承知です
藤花
*ラビング・ラビットの心の疵『淡い恋の端っこ』を才覚で抉ります
ラビング・ラビット
*横槍!
[ ラビング・ラビット ] HP : 66 → 65
ラビング・ラビット
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ラビング・ラビット
2d6+0=>7 判定(+才覚) (2D6+0>=7) > 7[2,5]+0 > 7 > 成功
ラビング・ラビット
1d6 (1D6) > 1
ラビング・ラビット
しゅん……
ラビング・ラビット
-1でどうぞ。
藤花
*ティーセット使います
GM
了解です。+3+2-1でどうぞ!
藤花
2d6+3+2-1=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-1>=7) > 5[3,2]+3+2-1 > 9 > 成功
GM
成功!
[ 藤花 ] ティーセット : 2 → 1
GM
ラビング・ラビットの『淡い恋の端っこ』が抉れました。
藤花
yattane
[ ラビング・ラビット ] 淡い恋の端っこ : 0 → -1
GM
では、演出をしていきますね。
GM
ということで、藤花さんが出発しようとしたその時にですね。
GM
「あなた方……」
GM
再び、話しかける声があります。
宮城ユウキ
「?」
GM
今度はまあまあ壮年くらいの末裔です。
宮城ユウキ
まあまあ壮年くらいのみみがはえたひとだ。
藤花
「なあに?」
藤花
耳が生えてるなあ
GM
生えてます。ぴょん。
宮城ユウキ
振り向きます。
シェリ
おみみだ~
GM
「救世主様方。亡者を倒しに行かれるんですか」
宮城ユウキ
「うん」
GM
「そうですか……」
GM
男は荷物をたくさん持っています。行商なのでしょう。
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「何か問題があった?」
GM
「あなた方……『リサ』という娘は知っているかい」
GM
救世主の顔を眺め回して、男はそう問いかけます。
藤花
割と冷静なのは、この村の人じゃないからなのかな
宮城ユウキ
二人を見ます。
GM
リサ。
シェリ
怪訝な目をして、二人を見やります。
GM
その名前は、誰の耳にも覚えはありません。
宮城ユウキ
長くはない耳に聞き覚えのない名前。
藤花
「悪いけど知らんなあ。女の子のお名前?」
GM
「知りませんか。そうでしょうなあ……」
シェリ
「話したことある子じゃないと思うなあ」
宮城ユウキ
「なんか関係あるの。この事態に」
GM
「はい。リサはこの村の娘でして……」
宮城ユウキ
あんまりいい予感はしませんが聞いています。
藤花
ここでこの話が出るなら まあ いい話ではないだろうなと思いつつ。
GM
「……先日、村の外に行く私の馬車に乗せたんです」
宮城ユウキ
「それで?」
GM
「それで……馬車ごと亡者に襲われて……」
宮城ユウキ
「…………」
GM
「私は命からがら逃げることができましたが、リサは、その時に……」
シェリ
「…!」
GM
亡者がどこから来るか、『何』からなっているのか。
GM
あなたたちは、もう知っているでしょう。
宮城ユウキ
よくある話だ。
宮城ユウキ
この国でも、元いた場所でも。
GM
「……リサは、多分。あなたがたを追いかけていったんです」
GM
「あなたがたが、この村を出ていった後に」
藤花
荒野での移動は、危険が伴う。力のない末裔であれば特に。
シェリ
「ぼくたちを?どうして?」
藤花
それをなんだって、と思いかけて。
GM
「理由は、話しちゃくれませんでしたけどね……」
シェリ
非力な末裔が、荒野の救世主を追う道理はないはず。
GM
「けれどまあ、顔を見れば分かります」
宮城ユウキ
「…………」
藤花
「…………」
GM
「あなた方の誰かに、惚れとったんでしょうなあ……」
シェリ
「………?」
シェリ
「………!」
GM
「危ないって止めたんですがね。まるであなた方以外のことは考えられないみたいな様子で……」
宮城ユウキ
それは……
宮城ユウキ
”ああ”なるなあ……
GM
「つい、私も根負けしてしまってね……」
藤花
「…………」
宮城ユウキ
「藤花さん」
宮城ユウキ
「代わろうか?」
藤花
「ええよ 別に」
シェリ
藤花とユウキの顔色を伺っている。
藤花
「理由はさっき話し合って、納得したやろ?」
宮城ユウキ
「うん。でも事情が変わったから」
宮城ユウキ
「藤花さんがいいなら、別にいいけど」
藤花
「坊主、心配性やねえ」
ラビング・ラビット
話を遮るように、再び足音が響きます。
宮城ユウキ
振り仰ぐ。
シェリ
「トーカ、ユーキ!」
ラビング・ラビット
ラビング・ラビットが再び現れる。
宮城ユウキ
腰に佩いた斧に手をかける。
ラビング・ラビット
その一つしかない瞳は、はっきりと
ラビング・ラビット
藤花へ向けられている。
宮城ユウキ
「モテるね」
宮城ユウキ
「藤花さん」
シェリ
熱烈だなあ…
藤花
「そういうお仕事やからね。にしたって困ってまうわあ。」
宮城ユウキ
「そう?」
ラビング・ラビット
差し出された心臓が脈打っている。
藤花
軽口を叩きながら、油断はしない。面越しに亡者を見据えている。
ラビング・ラビット
たった一言、藤花が名前を呼ぶだけでも、この淡い恋の端っこは抉れるでしょう。
宮城ユウキ
「情に付け込んで引き回すのも、特技の一つなんじゃないかと思ったけど」
宮城ユウキ
「違った?」
藤花
「やだわあ うち、そおんな悪い女に見える?」
藤花
「見えてるなら光栄やわあ」
宮城ユウキ
「でしょう?」
藤花
「でもなあ坊主、あんまり女にそゆこと言うたらあかんよお」
藤花
「悪うく見える言われて喜ぶ女、あんましおらんのやから」
宮城ユウキ
「うん。でも今は」
宮城ユウキ
「女の人としてじゃなくて、救世主として」
ラビング・ラビット
「……」
宮城ユウキ
「あなたのことを頼りにしているよ」
ラビング・ラビット
地面が揺れる。
ラビング・ラビット
地団駄。
ラビング・ラビット
他の人と話さないでと言うように。
宮城ユウキ
「シェリもそうだろ?」
シェリ
「…!」
宮城ユウキ
地団駄に応えるように、シェリに振る。
シェリ
「うんっ」
シェリ
「できるよ。トーカなら」
藤花
「そりゃあどうも」
藤花
「いやあ、ほんま、求められすぎて困ってまうなあ」
ラビング・ラビット
求める瞳が、藤花を見ている。
藤花
「そないに見つめられると照れてまうなあ」
ラビング・ラビット
地団駄を踏んでいた足は止まっている。
藤花
ふう、と。亡者に煙を吹きかける。
藤花
「なあ、『リサ』?」
ラビング・ラビット
ぴくり、と長いまつげが震える。
藤花
名を呼ぶ。酷く蠱惑的に。
ラビング・ラビット
心臓が強く脈打つ。
ラビング・ラビット
ただ、視線を向けられるだけ、名前を呼ばれるだけで。
藤花
「お相手してあげたいところなんやけどなあ」
藤花
「お生憎」
藤花
「うち、これでもすごおく高いんよ」
ラビング・ラビット
「…………」
藤花
煙に巻くように、毒煙の密度を上げていく。
ラビング・ラビット
亡者には、そうなる以前のような知性はないとされている。
ラビング・ラビット
話しかけるあなたの言葉が通じているのかどうか。
ラビング・ラビット
しかし少なくとも、亡者は静かにあなたの声を聞いている。
宮城ユウキ
心亡き者が、女の言葉を聞くのを見ている。
シェリ
脈打つ心臓を見つめる。命と情動のあかし。
藤花
目眩しと、弱体化。一般人もいる今、ここで戦闘になることは避けたい。
藤花
そうしながら、致命となりうる弱点を探っている。
ラビング・ラビット
大きな瞳。
ラビング・ラビット
むき出しの心臓。
ラビング・ラビット
それらは、弱点のように見えます。
藤花
「せやから、そうねえ」
藤花
心臓が脈打つことを確かめながら
藤花
その心臓を、破れるように。
藤花
「それ、差し出してもろても」
藤花
「うちのそれは、あげられんなあ」
ラビング・ラビット
「…………!」
ラビング・ラビット
ラビング・ラビットの大きな耳が震える。
ラビング・ラビット
一歩、後退する。地面が揺れる。
宮城ユウキ
足を踏み締めて振動に耐えている。
ラビング・ラビット
そのまま、大きな足で地面を蹴る。
ラビング・ラビット
ずしん、ずしん。
ラビング・ラビット
再び、どこかへと去ってゆきます。
藤花
一人で偵察に行くつもりだった。ここにいる商人の存在が想定外だ。
宮城ユウキ
それを見送りながら。
宮城ユウキ
「優しいね」
宮城ユウキ
「俺ならこれ幸いと心臓をもらってた」
藤花
ひとまずここでの戦闘は避けたい。亡者が去ったことに安堵する。
藤花
「いやあ、堪忍な。攻めあぐねてしもたわ」
藤花
毒煙を薄らせつつ、軽く答える。
宮城ユウキ
「別にいいよ。藤花さんの問題だし」
宮城ユウキ
「俺は俺のできる範囲で殺しをするだけだから」
シェリ
「こうしてみんな無事だし、だいじょぶだいじょぶ」
藤花
「まあ、当初の目的は果たしたやろ。」
藤花
「亡者と毒の性質、把握できたと思うわ。」
宮城ユウキ
「ついでに生い立ちも、と」
シェリ
「まだ余裕はあるみたいだし」
シェリ
「大きな成果、だね」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
藤花を横目で見る。
藤花
「さて、一旦下がろか。商人の旦那はんも人多いとこに戻り。」
藤花
いつもと変わらない。面の下の伺えない女がいる。
GM
男は促されるままに、どこかへと去っていきます。
宮城ユウキ
ひとつ息をつき。
宮城ユウキ
「色欲と乙女心が厄介なのは万国共通みたいだ」
藤花
「なんや、わかったようなこと言うなあ坊主」
藤花
「まあでも、その通りやね。厄介で利用しやすいもんや。」
宮城ユウキ
「当事者よりは傍観者の立場が多かったけどね」
シェリ
「そうだねえ…」
宮城ユウキ
「だからこそ見えてくるものもあった、って感じだけど」
宮城ユウキ
「まあ……」
宮城ユウキ
「粛々とやるよ。できる限り」
藤花
「ええ心がけやね。あんたはんらは、恋にも下半身にも振り回されたらあかんよ?」
藤花
カラカラと笑っている。
宮城ユウキ
「俺はともかく、シェリってあるの?」
シェリ
きょとんと、瞬きをひとつ。
シェリ
「どっちにもなれるよ?」
宮城ユウキ
「なれるんだ……」
シェリ
「いまは…多分どっちもないけど」
シェリ
「どっちかがいいなら」
シェリ
そもそも、この体自体が模倣であるので。
シェリ
この世界においても、ある程度の変化の力は残されている。
藤花
「別にどっちだって構わんけど。あんまり大きなられて宿で場所取るといかんなあ」
藤花
「そのままでええんとちゃう?」
宮城ユウキ
「シェリの楽にしてくれてたらいいよ」
シェリ
「はあい」
藤花
「はい。あとは移動しながら話そかね。また戻ってこられたらあかんから」
シェリ
裸足で地面を踏みしめて、二人に並ぶ。
宮城ユウキ
「どこかではやり合わなきゃならないけどね」
宮城ユウキ
藤花に応えながら、スニーカーで村の惨状の中をゆく。
藤花
歩き出した二人に並んで、一瞬だけ歩速を落として。
藤花
「……ほんまに、馬鹿な子。」
藤花
拾われない小さな音で、呟く。
シェリ
「…トーカ?」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「行かないの?」
藤花
「ん?行くで?」
藤花
何事もないように歩く。歩いている。
宮城ユウキ
「うん」
宮城ユウキ
「行こう」
GM
*ラビング・ラビットに『藤花への恋心』が付与されました。

行動:宮城ユウキ

宮城ユウキ
1d12 シーン表 (1D12) > 12
GM
12 村はずれ。整備されていない道が続いている。
宮城ユウキ
救世主三人、ラビング・ラビットの足跡を辿り、道をゆく。
宮城ユウキ
そういえば自分たちが亡者を討伐するのに行った道もここだったか。
宮城ユウキ
あの商人とリサという末裔の少女も、同じくここを通ったことになろうが。
宮城ユウキ
……今の自分たちには関係のないことだ。
宮城ユウキ
それよりも。
宮城ユウキ
「あのリサという娘のお目当て」
宮城ユウキ
「シェリじゃなくてよかったね」
シェリ
「……」
シェリ
「…そう、だねえ」
藤花
特に返答はない。真っ直ぐに歩いている。
宮城ユウキ
「亡者からの愛を受けちゃったら」
宮城ユウキ
「どうなっちゃうかとか、結構わかんないんじゃないの」
シェリ
「うん」
シェリ
「ぼくの形は、愛してもらうことではっきりするから」
シェリ
「ぼくがぼくじゃ、いられなかったかも」
宮城ユウキ
「末裔のままだったらともかく、亡者だとな……」
シェリ
亡者からの愛情。恋情。
藤花
純粋な存在。透き通る湖のようないきもの。
シェリ
”こうであったらいいのに”という願望がこのいきものに齎す影響。
藤花
きっと一滴の毒でも混ざれば、その純粋さは喪われてしまうように思う。
シェリ
それを映したら、ぼくは―
シェリ
わたしは?
宮城ユウキ
「そういえば」
シェリ
どういう形になってしまうのだろう。
宮城ユウキ
揺らぐあなたに少年は重ねる。
宮城ユウキ
「そもそもシェリのその姿って」
宮城ユウキ
「”誰”に望まれたものなの?」
シェリ
「…?」
シェリ
「ううん…」
宮城ユウキ
「俺や藤花さんに会う前」
宮城ユウキ
「シェリが、堕落の国に落ちたばかりの頃」
宮城ユウキ
「シェリに情愛を注ぐ存在のないはずの環境の中で」
宮城ユウキ
「シェリはその姿を保っていた」
宮城ユウキ
「今よりかはいくぶん、不安定ではあったけれども」
シェリ
「うん。…多分、そうだと思う」
宮城ユウキ
「ね」
シェリ
「ほんとのこと言うとね」
シェリ
「あんまり覚えてないんだあ」
シェリ
その言葉に嘘はない。
宮城ユウキ
「”在る”ことには、自覚があるんだ」
宮城ユウキ
「シェリという存在を定めるものが」
宮城ユウキ
「外だけでなく、シェリ自身の裡にも在ることには」
シェリ
「そうなの…かも?」
シェリ
今まで得てきた形の数など、もう憶えていようはずもない。
シェリ
時には美少女に、時には青年に。
シェリ
時には、誰かにとって大事な人間を汲み取って、化けてみせたことすらあった。
シェリ
では、この姿は?
シェリ
分からない。
シェリ
シェリの中に、その記憶/答えはない。
シェリ
そんなものはもとより無かったのか。それとも―。
宮城ユウキ
*ここで入っちゃうか。
 シェリの心の疵『×××との死別』を猟奇で舐めます。
ラビング・ラビット
よこやるぞ!
宮城ユウキ
困ったね
[ ラビング・ラビット ] HP : 65 → 64
ラビング・ラビット
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ラビング・ラビット
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 8[3,5]+3 > 11 > 成功
ラビング・ラビット
1d6 (1D6) > 5
宮城ユウキ
高い高い
宮城ユウキ
*ティーセットを使用。
[ 宮城ユウキ ] ティーセット : 3 → 2
ラビング・ラビット
はい では+3+2-5ですね
宮城ユウキ
2d6+3+2-5=>7 判定(+猟奇) (2D6+3+2-5>=7) > 6[4,2]+3+2-5 > 6 > 失敗
宮城ユウキ
*シェリの寵愛を使用。  達成値を1上昇します。
ラビング・ラビット
寵愛使用でぴったり成功!
宮城ユウキ
*寵愛があって助かりました。
[ 宮城ユウキ ] シェリの寵愛 : 1 → 0
[ シェリ ] ×××との死別 : 0 → 1
宮城ユウキ
「俺が思うに」
宮城ユウキ
「シェリはその存在を、より意識したほうがいい」
宮城ユウキ
「思い出せなくてもいい。分からなくてもいい」
シェリ
「………」
宮城ユウキ
「でも、自己を定義する存在が自分の中にあることを」
宮城ユウキ
「シェリ」
宮城ユウキ
「あんたはもっと意識すべきだ」
シェリ
わからない。思い出せない。
シェリ
いま、ぼくは。
シェリ
どんな形をして、いたんだっけ―?
宮城ユウキ
「何故なら」
宮城ユウキ
あなたの揺らぎを見つめながら。
宮城ユウキ
少年は尚も言葉を重ねる。
宮城ユウキ
「そうすることで、シェリは」
宮城ユウキ
「不本意に形を歪められることを避けられる」
宮城ユウキ
「愛を求めることは自らを定めるための欲求ではなく」
宮城ユウキ
「自らを満たすための欲望になる」
シェリ
「…!」
宮城ユウキ
「……その方が、健全だよ。この国ではきっとね」
シェリ
「―そう、なのかな」
宮城ユウキ
「亡者に愛されて歪められるなんて御免だろう?」
宮城ユウキ
「いくらでも起こるよ。似たようなこと。末裔相手にも、救世主相手にも」
シェリ
「…………そう、だね」
宮城ユウキ
「俺は今の形のシェリが好ましいし」
宮城ユウキ
「それが変な横槍でおかしくなっちゃうのは、まあ、結構いやだな」
シェリ
強大な亡者。より多くのコインを持った救世主。
シェリ
いままで出会わなかったのは、幸運によるものでしかない。
シェリ
この国では致命的な在り方であることには、とっくに気が付いている。
シェリ
「…」
宮城ユウキ
「シェリ?」
シェリ
ふらふらと、路を外れて歩く。
宮城ユウキ
「ちょっと」
宮城ユウキ
道を外れたあなたの手を掴む。
宮城ユウキ
「どしたの」
宮城ユウキ
「なんか気になるものでもあった?」
藤花
背後を気遣いつつ、口は出さない。手も出さない。
シェリ
「いずみ、が」
宮城ユウキ
「?」
シェリ
目線の先。
宮城ユウキ
シェリの視線をたどる。
シェリ
お世辞にも綺麗とは言えないが、小さな泉がある。
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
繋がれた手は振り払わない。
シェリ
それでも、足を止めることはしない。
宮城ユウキ
繋いだ手は離さない。
宮城ユウキ
代わりにあなたにこう尋ねる。
宮城ユウキ
「どうしたいの?」
シェリ
「…確かめたい」
シェリ
「いまの、ぼくの形」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「慎重にね」
宮城ユウキ
手は離さぬまま、ゆっくりと前を歩む。
藤花
堕落の国の歪んだ水面に、果たして正しい形が映されるのか。
宮城ユウキ
「藤花さん、ちょっとごめんね」
先をゆく藤花に声をかける。
藤花
指摘はしない。
藤花
「ええよ。」
藤花
歩みを止め、手を繋いだふたりを見ている。
藤花
後ろから。
シェリ
辿り着いた泉の淵に、膝をつく。
宮城ユウキ
手を繋いだまま、同じようにしゃがんでやる。
シェリ
もう一方の手も地面について、水面を覗き込む。
シェリ
水面は偽ることなく、いまのシェリの形を映し出す。
宮城ユウキ
濁水にシェリが触れてしまわぬよう、沈んでしまわぬよう、手を繋いでいる。
藤花
油断なく背後を警戒している。そして傍観している。
藤花
2人が添う様を、線の外で。
シェリ
『■■■!』
シェリ
不意に。
シェリ
声が聞こえた、ような気がした。
シェリ
「…!」
シェリ
咄嗟に二人を見やる。
シェリ
二人の表情は、変わらない。
シェリ
…聞こえていない?
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「何か、あった?」
藤花
「……」
シェリ
答える声はないままに、もう一度水面を覗き込む。
宮城ユウキ
見守っている。自分は隣から。
シェリ
「…あの子の声」
シェリ
「あの子の瞳」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「俺たちには見えない」
シェリ
「あの子の、形」
宮城ユウキ
「聞こえない」
宮城ユウキ
「わからない」
宮城ユウキ
「シェリ」
宮城ユウキ
「それはきみの中から引き出されたものだ」
シェリ
違いない。
シェリ
これはぼくの。ぼくだけの―
シェリ
大切な、記憶。
宮城ユウキ
少年はそれを侵しはせず。
宮城ユウキ
ただそれを重んじろとあなたに語る。
シェリ
聞こえない声に、耳を澄ませる。見えない情景に、目を凝らす。
宮城ユウキ
手を繋いでいる。
シェリ
どれだけ時間が経っただろうか。名残惜しくも頭を上げる。
シェリ
視線を切る。
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「大丈夫?」
シェリ
繋がれた手の先の、少年に向き合う。
宮城ユウキ
視線が合う。
シェリ
「…うん」
シェリ
「あのね、思い出したよ」
宮城ユウキ
「そう」
宮城ユウキ
「大切な記憶?」
シェリ
「うん」
宮城ユウキ
「そっか」
シェリ
「ぼくに、はじめて輪郭をくれた子のこと」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
色も、温度も違うけれど―この形は、間違いなくあの子のもの。
シェリ
「どうして忘れてたんだろう」
シェリ
「あんなに大好きで、一緒にいて」
シェリ
「でも、いなくなっちゃって」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「忘れたく、なかったのに……」
シェリ
ほろほろと、滴が頬を伝う。
シェリ
涙ではない。己の一部が、ほどけて落ちたそれ。
宮城ユウキ
自分が大切と思ったそれを。
宮城ユウキ
いくらでも手放すことが叶うことを、よく理解しているけれど。
シェリ
あの子が死んでしまったあの日、ぼくが流せなかったもの。
宮城ユウキ
それは今この存在にくれてやるべき言葉ではない。
宮城ユウキ
代わりに手を握る。
宮城ユウキ
不定形の中に重なるもの。
宮城ユウキ
触れ合う熱がそこにある。
シェリ
熱を感じ取ったままに、目を伏せる。
シェリ
「ごめんね、×××」
シェリ
「君のこと、随分思い出せなかったみたい」
シェリ
答えはない。
シェリ
この世界にも、あの世界にも、もうあの子はいない。
シェリ
「ごめんね」
シェリ
「大好きだよ」
宮城ユウキ
見つめている。
宮城ユウキ
自分ではないものに語りかけるあなたの姿を。
シェリ
それでも伝えたい言葉が、己の裡にはまだ残っていた。
宮城ユウキ
瞳は合ったまま。視線を重ねたままに。
宮城ユウキ
その水底に導かれる運命に近しき眩さを見出して、
シェリ
少年の瞳を覗き込む。
宮城ユウキ
瞼を伏せた。
シェリ
嘘のない瞳。
シェリ
「ありがとう。ユーキ」
シェリ
「ぼくの形、これでもう大丈夫」
シェリ
「誰にも、勝手にさせたりなんかしないよ」
宮城ユウキ
「そう」
シェリ
思い出せたから。
シェリ
宝物が、やっと手の中に戻ってきたから。
宮城ユウキ
「それは、良かった」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「頼りにしてるよ。シェリ」
シェリ
「うんっ」
GM
*『×××との死別』は心の性感帯ではありませんでした。

行動:シェリ

シェリ
ユウキの手を頼りにして、泉の淵から立ち上がる。
宮城ユウキ
シェリの手を引き、身を返す。
シェリ
今度はしっかりとした足取りで、藤花のもとへ。
シェリ
「トーカも、ありがとうね」
シェリ
「時間をくれて」
宮城ユウキ
足取りの定まったことを確認して、手を離した。
藤花
「おかえり。用事が終わったんなら結構。」
藤花
にこやかに告げる。
シェリ
名残惜しさの残る手で、ローブを握りしめる。
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「繋いどく?」
宮城ユウキ
握りしめたその指先に、再び手のひらを開いた。
シェリ
「…………」
シェリ
ユウキのほうをちらり。
シェリ
藤花のほうも、ちらり。
宮城ユウキ
いつもの無表情。
藤花
「ええんとちゃう?仲良しこよし。」
宮城ユウキ
「敵が出たら、離すけど」
宮城ユウキ
流石に戦いながらは無理なので……
藤花
「うちが前の方見といたるさかい、仲良うしとき」
シェリ
………えい。
シェリ
温かさが、掌に戻ってくる。
シェリ
「うふふ、はあい」
宮城ユウキ
「ん」
宮城ユウキ
握り返す。
藤花
警戒役は買って出た、と、前を歩き出す。
シェリ
1d12 シーン表  (1D12) > 3
GM
3 万屋。日用品や雑貨、食料、服など。店主が熱いまなざしでこちらを見ている。
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
GM
「いらっしゃいませ……」
GM
「…………!!」
シェリ
あっ。
GM
店主の男がユウキの姿を見て目を輝かせ、
宮城ユウキ
「?」
宮城ユウキ
「…………」
GM
その視線が繋がれた手に移動します。
シェリ
デジャヴュ。
宮城ユウキ
手を繋いでいますね。
宮城ユウキ
そういうのじゃないって言ってもいいんだけど。
シェリ
手を繋いでもらっています。
宮城ユウキ
言う意味もないと判断します。
GM
膝から崩れ落ちました。
藤花
情緒の忙しいことで。
宮城ユウキ
「ちょっと食べ物分けてもらえる?」
宮城ユウキ
「思えば討伐帰りでこんなんだから、お腹空いてきて」
宮城ユウキ
気にせず話しかけます。
GM
ユウキに声をかけられると、しゅばっと立ち上がります。
宮城ユウキ
元気だな……
GM
「今すぐご用意します!!!!!」
宮城ユウキ
「そんなにたくさんはいらないよ」
GM
「はい!!!」
シェリ
「うん。ふたりぶんだけあれば大丈夫」
藤花
「あら、お代まけてくれるん?坊主がかっこよくてよかったなあ」
GM
奥へ引っ込んで、ばたばたやっています。
藤花
ユウキくん利用してお代まけてもらおう。
宮城ユウキ
「まあもともと村のための亡者討伐なんだし」
宮城ユウキ
「食糧くらいはって気はする」
宮城ユウキ
あんまり大量に出されると申し訳ないけど……。
GM
両手に色々抱えて戻ってきました。
シェリ
たくさんあるなあ…。
宮城ユウキ
あんまり大量かも……。
GM
調理設備はないので、主に保存食です。
宮城ユウキ
干し肉とか乾いたパンとか。
GM
そんな感じ。
宮城ユウキ
「シェリ」
GM
「こちらで……足りますでしょうか!?」
宮城ユウキ
声をかけてから、一度手を離します。
シェリ
まあそうだろうなと、手を離されます。
宮城ユウキ
差し出された山の食糧を両手で受け取って、
宮城ユウキ
「うん。これだけあれば十分」
宮城ユウキ
「だから」
宮城ユウキ
過剰な分を末裔に返す。
GM
「あ……っ」
宮城ユウキ
「これはあんたが食べたらいい」
GM
ドキ……!
GM
胸を抑えています。
藤花
末裔の情動を、しら〜っと眺めている。
シェリ
「ありがとう、万屋さん」
シェリ
にこり。
宮城ユウキ
こちらはちゃっちゃと取って返します。
宮城ユウキ
藤花に半分を渡す。
宮城ユウキ
「ちょっとだけ藤花さんの気分がわかった」
シェリ
ぼくも持てるのに…
藤花
「な、困りもんやろ?」
藤花
からから笑いながら受け取ります。
GM
返してもらった食料を大事に抱えながら、ユウキの後ろ姿を見つめている。
宮城ユウキ
多分俺が受け取った方がいいと思って。
宮城ユウキ
頼んだし。
宮城ユウキ
「適当な場所で食べよっか」
藤花
「そやねえ」
シェリ
「座って休めるところ、あるかなあ」
宮城ユウキ
適当に見つけたことにして舐めに移行していい気がします。
宮城ユウキ
万屋で場所を作ってもらって食べてもいいのだが……
宮城ユウキ
多分大変そうだから……
GM
奥から椅子とテーブル持ってきますか!!??
宮城ユウキ
ほら。
シェリ
ユーキとトーカが気まずいかも。
藤花
落ち着かんやろ あらゆる意味で
宮城ユウキ
探しましょう。場所を。
藤花
うちはおもろいけど…
シェリ
歩くうちに、いい具合にひっそりとして最低限清潔が保たれそうな感じの…ガゼボ?ガゼボだったのかなこれ。みたいなところへ。
宮城ユウキ
あんまり尽くさせるのは申し訳ないな。
宮城ユウキ
まあ腰さえ降ろせれば上々です。この国においては。
藤花
いい感じの平面を見つけましょう。
シェリ
しゃらり。
シェリ
もうちょっときれいにします。
宮城ユウキ
きれいな水があるのってすごい助かる。
シェリ
「どうぞ、食べて食べて~」
宮城ユウキ
「ん」
宮城ユウキ
「ありがとう」
藤花
「おおきに。ほな、いただこかね。」
宮城ユウキ
頷いて、腰を下ろします。
宮城ユウキ
かちかちのパンとカピカピの干し肉を挟んだものを頬張る。
シェリ
にこにこと、ヒトのいとなみを眺めている。
藤花
同じく硬いパンをもぐもぐ。食べている時も不思議と顔は見えない。
宮城ユウキ
歯ごたえがすごい。
藤花
時々なんか……毒々しい色の葉っぱも挟んで……
藤花
彩り……
宮城ユウキ
俺はそういうの別に要らないので、そのまま食べます。
シェリ
エディブルフラワーだよきっと。
藤花
エディブル毒フラワーです。
宮城ユウキ
藤花さん的にはエディブル。
シェリ
そんなこんなで、二人はなんとか糧を繋ぎます。よく食べました。
宮城ユウキ
人でないものに見守られながら三大欲求のうちの一つを満たしました。
藤花
食べ物も食べ物じゃないものもいっぱい食べました。
シェリ
満足げな藤花を見やり、安堵の吐息。
シェリ
「トーカ、元気出た?」
藤花
「ん?」
藤花
「そおねえ、満腹になったら気力も湧くわなあ。」
シェリ
「この村に来てから、ずっとむつかしそうな顔してたから」
シェリ
顔?顔です。顔だったら。
宮城ユウキ
うんうん。
シェリ
「ね、ユーキ」
宮城ユウキ
「だいぶ重症だった」
藤花
「あらあ、うちの顔見えとるん?」コトコト笑っています
藤花
「ま、心配かけとったなら堪忍な。」
シェリ
「トーカが謝ることじゃないよお」
宮城ユウキ
この前散々に解体した自覚があるので今は黙っています。
シェリ
「ぼくが勝手に心配してただけ」
藤花
「ほんならありがたく受け取っとくわあ。おおきに。」
シェリ
「それでね、ええと…そのお…」
藤花
言い出しにくそうなのを、黙って眺めている。
シェリ
「トーカは、嫌なんだよね?きっと…」
シェリ
「恋とか、そういうのを向けられるの」
藤花
「嫌やないよ?ただ、うちにとってはそれ、お仕事やからなあ……」
宮城ユウキ
横目に二人を見ています。
藤花
「今は仕事中ちゃうし……働いてない時に仕事せえ言われても、困らん?」
シェリ
「んん…」
シェリ
労働経験のない人外。
藤花
「ああ、あんたはんには向かん言い方してしもたか」
藤花
「うちはね、恋や愛を、お金を対価に売っとるの。」
藤花
「さっきの店で、坊主は金出してこのおまんま買ったやろ?」
シェリ
出すそぶりはあったかも。
藤花
まあ……と〜〜ってもまけてもらったけど……
宮城ユウキ
好意を対価に巻き上げてしまった。
藤花
「うちにとっての愛や恋は、店にとってのパンとおんなじ。道具。」
藤花
「だから、一方的にあげるとか、欲しいとか言われても困ってまうわ。商品はうちが自由にするもんではないもの。」
藤花
「なんとなく、わかる?」
シェリ
首肯。
シェリ
…でも。
シェリ
「ほんとうに、それだけ?」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「…恋に夢中になってる人を見るのも、嫌がってるように見えたよ」
藤花
「……」
藤花
「そう見える?」
シェリ
「…うん。そう、見えた」
シェリ
「だからね」
シェリ
ユウキの方を、ちらり。
宮城ユウキ
沈黙しています。
シェリ
「あの子が…ラビング・ラビットが」
シェリ
「トーカのことを好きなんだったら」
シェリ
「トーカのその心にも向き合っておくのが、いいんじゃないかって…」
宮城ユウキ
「シェリはそう思う?」
シェリ
藤花のその感情が、何に由来するものなのか。
シェリ
「…うん」
シェリ
痛みを伴うとしても、向き合う価値はあるはずだ。
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「分からないままよりは、分かっていたほうが」
宮城ユウキ
自分はそうは思わないけれど。
シェリ
「安心なのかなって…」
宮城ユウキ
シェリが促すことを遮るほどのものではない。
シェリ
それに。
シェリ
藤花が面の裏でだけ苦しんでいるのを、放っておきたくはなかった。
シェリ
あるいは、愛で動くシンプルなこころにとってはそちらの理由が大きいのかもしれない。
シェリ
*藤花の心の疵「妓女の誇り」を、愛で舐めます。
ラビング・ラビット
*横槍横槍~!
[ ラビング・ラビット ] HP : 64 → 63
ラビング・ラビット
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ラビング・ラビット
2d6+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1>=7) > 9[4,5]+1 > 10 > 成功
ラビング・ラビット
1d6 (1D6) > 5
ラビング・ラビット
-5です!
シェリ
*ティーセット使います!
[ シェリ ] ティーセット : 2 → 1
ラビング・ラビット
はい。では+3+2-5でどうぞ!
シェリ
2d6+3+2-5=>7 判定(+愛) (2D6+3+2-5>=7) > 8[6,2]+3+2-5 > 8 > 成功
ラビング・ラビット
成功!
[ 藤花 ] 妓女の誇り : 0 → 1
ラビング・ラビット
*『妓女の誇り』は心の性感帯ではありません。
シェリ
ないか~
藤花
「……」
藤花
「向き合って それで」
藤花
「どうするん?」
藤花
「うちに恋して死んだ女がおった」
藤花
「それに向き合って、どないするん。うちのせいやねとでも思えばええの?」
藤花
淡々と告げる。
シェリ
「…」
宮城ユウキ
「まあ」
宮城ユウキ
「それには俺も同意」
宮城ユウキ
「これから殺す相手に感情移入して耐えられる人じゃないでしょ、藤花さん」
藤花
「あんたらほんま、うちのことなんだと思っとるの。」
藤花
はあ、とため息をついて。
宮城ユウキ
「でも、向き合うべき部分があるというのには同意」
宮城ユウキ
「藤花さん」
宮城ユウキ
「シェリが言ってるのは、これから殺す相手に向き合えってことじゃない」
宮城ユウキ
「あんたは意図的に論点をズラしている」
シェリ
宮城ユウキ
そうだろ? とシェリに視線をくれます。
シェリ
そう…だとおもう…という視線を返します。
宮城ユウキ
「シェリは……」
宮城ユウキ
「そういう、感情を向けられることに」
宮城ユウキ
「さざめいてしまう藤花さん自身の心」
宮城ユウキ
「それについて考えるべきだ」
宮城ユウキ
「と、言っていた」
宮城ユウキ
と、思う、とまたシェリに視線をやる。
シェリ
こくこくと縦揺れをしています。
藤花
「……うちのことは、うち自身が一番わかっとる。」
藤花
「……妓楼には女がおって、男がおる。恋と愛を売り買いしとる。」
藤花
「恋も愛も、商品。……このルールをな、踏み外したやつから死んでいく。」
シェリ
「そんな子たちを、たくさん見てきた?」
藤花
「ああ、掃いて捨てるほど。」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「それを見て、トーカは」
シェリ
「どう思ってた…?」
藤花
「愚かや思うとったよ。」
藤花
「女は弱い。すぐに慰み者になる。だからこそ、何にも寄らず立たなあかん。自分の足だけでも立ってやってけるようにな。」
藤花
「自分の価値も、指針も、生き方も自分で決める。他人になんか任せとったらすぐにお釈迦や。」
藤花
「うちはそう思っとる。そう生きてきた。周りにもそう言うとった。」
シェリ
耳を傾ける。
シェリ
自分が発生した森とは何もかも違う、妓楼の話。
藤花
煙管の先を、ついとシェリに向けて
藤花
「あんたの在り方とは、相容れんもんかもしれんけど。」
藤花
「愛や恋なんて、ええもんやない。不確かで、一時的で、身ィ滅ぼす毒みたいなもんや。」
藤花
「そんなもんに身ィ任せるのは、恐ろしゅうて敵わん。」
シェリ
…あの少女のように?
藤花
「……やから、そんな一時のもんに踊らされて、破滅するんは。」
藤花
「……みいんな、馬鹿らしゅうて堪らんの。」
藤花
そして
藤花
少女を一人、そんな愚かな存在にしてしまったこと。
藤花
ずっと言い聞かせ続けてきた。自分にも、周囲の妓女たちにも。
藤花
愚かになるなと。妓女たるもの、恋を売っても溺れるなと。
藤花
女たちが迷わないように。苦しまないように。
藤花
……あの娘が死んだことは、自分のせいではない。理解している。
藤花
きちんと自信の才覚を持って、理解している。
シェリ
恋とは、ひどく勝手なものだ。
藤花
愚かだと思う。勝手だと思う。自分に責任は直人思う。
シェリ
与えることこそが目的となる愛はあるけれど、恋はそうではなくて。
藤花
それでも、自分はそれら全てを飲んで流せるような人間ではないことを、理解している。
シェリ
『あの人に振り向いてほしい』『自分だけを見てほしい』そんな独占欲も、恋は連れてくる。
シェリ
覚えがある。恋に狂った人間の瞳。その末路。
藤花
「うちは、自分の生き方をこれでいいと思っとる。誇っとるよ。」
藤花
「うちは、馬鹿にはならん。」
藤花
「……なあ、あんたはん。恋も愛も、あんまりええもんではないよ。」
藤花
「お気遣いいただいて、ありがとう。うちはちゃんと、うちのことわかっとる。」
藤花
「うちが恋や愛やが嫌なん、わかってもらえた?」
宮城ユウキ
シェリを見る。
シェリ
「…それで」
シェリ
「トーカが、愛や恋を嫌だって言って」
シェリ
「またあの子を前にして、揺れないで向き合えるなら」
宮城ユウキ
うーん……
シェリ
あの子の在り方をくだらないと一蹴するのなら、それもいい。
シェリ
「ぼくは…トーカが苦しくないなら」
シェリ
「それが一番だと、思ってる」
藤花
「うちが、あの亡者殺すの躊躇わんか心配しとる?」
宮城ユウキ
こちらは首を振ります。
シェリ
「それは…ないと思う」
藤花
「躊躇わんよ。きっちり殺したる。ほんで、殺してもうちの心は揺らがん。」
藤花
「もう終わったもんに、引導渡すだけやもの。」
宮城ユウキ
「亡者に心はないって言うしね」
宮城ユウキ
「藤花さんをやたら気にして回るのも」
宮城ユウキ
「生前から引き継いだ反射運動みたいなものだと思っていい」
宮城ユウキ
真実そうではないかもしれないが、そう思うことに益がある。
宮城ユウキ
「シェリが藤花さんを心配してるのは本当だし」
宮城ユウキ
「言ってることも、シェリにとっては正しいと思うけど」
宮城ユウキ
「藤花さんにそのやり方がそぐわないのも、どうやら事実みたいだ」
シェリ
「………」
藤花
「ああ。心配してくれるのはありがたいで。」
藤花
「うちは、あんたはんら生かすために立ち回るつもりがちゃあんとある。」
藤花
「あんたはんらの命を、一番に優先しとる。問題はないやろ?」
藤花
生かすつもりがある。庇護するつもりがある。
宮城ユウキ
「……俺たちの命を?」
宮城ユウキ
「一番に?」
藤花
「ああ、自分のは当然すぎて勘定に入れとらんからな?」
宮城ユウキ
「当然過ぎて」
藤花
「まあ、優先順位高めにしとるよってこと。」
宮城ユウキ
「ね」
藤花
「そ、当然のこと」
宮城ユウキ
「それには俺も同意」
宮城ユウキ
「シェリは多分そんなつもりないけど」
シェリ
「?」
宮城ユウキ
「俺たちは言っちゃえば、単なる急造チームだ」
宮城ユウキ
「いつ殺し合いになるかも分からない。救世主同士なんだから」
宮城ユウキ
「だから……シェリにあんなこと言っておいて、言えることじゃないけど」
宮城ユウキ
「自分の在り方に干渉されること自体、けっこうリスキーだよ」
宮城ユウキ
「藤花さんが拒むのも仕方がない話だ」
シェリ
人ならざるもの。人に存在を担保され、人を庇護してきたもの。
シェリ
形こそ似せていても、その本質は別にある。
藤花
「そう、うちら利害の一致で動いとる30日のお友達や。油断したらあかんのんよ?」
宮城ユウキ
自分はどこまでも人間で、人ならざるものには成り得なかった。
シェリ
実際、シェリの中に2人の人の子を害する意図はないと言っていい。
宮城ユウキ
同時に人ならざるものと長く多く接してきたのが自分だ。
だからそういったものとどのように距離を測るべきかに関しては、わずかばかり、知っている。
シェリ
「そう、だよね」
シェリ
自分の命が彼らの命を繋ぐなら、それもいいと―今となっては、思えてしまっている。
宮城ユウキ
その在り方を、あの宿で話した時から危うく思っていた。
宮城ユウキ
少しばかり近すぎるシェリの在り方を。
宮城ユウキ
「……でも」
宮城ユウキ
手のひらを差し出す。シェリへと向けて。
宮城ユウキ
「今はまだ、手を繋いでいていい」
藤花
危ういと思う。他人の愛に身を任せるあり方を、恐ろしいとさえ思う。
シェリ
「うん。 …せめて、”そう”なるまでは」
藤花
それでも、その純粋さを美しいとも思う。穢れないまま在れるようにと、思うほどには。
シェリ
「トーカとユーキのこと、守らせてね」
宮城ユウキ
「うん」
宮城ユウキ
「よろしくね」
宮城ユウキ
「シェリ」
シェリ
手を繋ぐ。心に寄り添う。
シェリ
上手にできなかったとしても。
シェリ
そのように在れたら、と願っている。
宮城ユウキ
水と油の在り方を繋ぐように、二人の境に立つ。
シェリ
「…うん」
宮城ユウキ
正しくは水と毒であろうが。
自分は多分、どちらにも通ずるところを持っているから。
宮城ユウキ
だからこうして境界に立てる。
藤花
2人に手を伸ばそうとして、やめる。純粋な水に毒を混ぜてしまうことを、善いとは思わない。
宮城ユウキ
そうだな。
宮城ユウキ
その行為は毒だ。
藤花
代わりに、いつも通りの顔で。面はにっこりと笑んでいる。
宮城ユウキ
他ならぬあんた自身にとっての。
藤花
「あんたらのことは、それなりに好ましゅう思っとるから。ちゃあんと守ったるよ。」
藤花
守ってあげる。こんな国で、どうせ長くもない身だもの。
藤花
決して触れ合わないで。離れたままで。
藤花
それでいい。そんな生き方でいい。
シェリ
手を伸ばしてもらえたら、握り返してあげられる距離で。
藤花
私は、それでいい。
シェリ
待っているだけなら、許される…よね?

割り込み:ラビング・ラビット 1

GM
では。
GM
そうしてあなたたちが話しているところに。
ラビング・ラビット
いつの間にか、再び桃色の霧が満ちていきます。
宮城ユウキ
「!」
ラビング・ラビット
ラビング・ラビットの毒は、恋の毒。
宮城ユウキ
一歩引いて全体を見据えていた少年が、いち早くそれに気付く。
ラビング・ラビット
……だけではなく。
ラビング・ラビット
吸ったものの心に作用して、幻覚を見せる。
ラビング・ラビット
肉持たぬ精霊であるシェリにも。
シェリ
「――」
ラビング・ラビット
いっとう濃い霧に包まれて、はたと気づいた時には、あなたは森の中にいました。
ラビング・ラビット
それはあなたのよく知る場所。
シェリ
ああ―
シェリ
ここは、”ぼくだ”。
シェリ
理解する。この世界ではないどこかの、ぼくが生まれたところ。
シェリ
「…ユーキ!トーカ!」
ラビング・ラビット
答えはありません。
シェリ
答えはない。自分の声だけが残響する。
宮城ユウキ
あなたのよく知る声は返らない。
宮城ユウキ
あなたに寄り添っていた熱も今はない。
シェリ
ひとりきり。
シェリ
その感覚は、まるで。
シェリ
あの子と出会う前にも、よく似ていた。
×××
「──■■■」
×××
静けさを裂いて、あなたを呼ばう声がある。
シェリ
違う。違う。違う。
シェリ
だって、あの子はもういない。
シェリ
人としての生をすっかり終えて、今はぼくの手の届かないところに―。
×××
「やっと、思い出してくれたんだね」
シェリ
「……あ」
シェリ
そう、言い聞かせるのに。
×××
「ずっと待っていたんだよ」
シェリ
声もかたちも、あの頃とすっかり同じだから。
シェリ
揺らぐ。心が。境界が。
シェリ
「×××……?」
×××
「うん」
×××
「■■■……」
×××
「今は、シェリって呼ばれているんだね」
シェリ
「どうして、きみが。ここに―」
×××
「理由なんか、どうでもいいだろう?」
シェリ
自分の手をすり抜けていった、あの子。
シェリ
どうしようもないことだと分かる。理解できている。
×××
「こうして、また会えて」
×××
「僕がいて、君がいたら」
×××
「それでいいじゃない」
シェリ
それなのに、目の前にいることがひどく―。
シェリ
×××。
シェリ
ぼくに、はじめて形をくれた人。
×××
「僕たちは、還ってきたんだよ」
シェリ
「かえって…きた?」
シェリ
分かっているのに。
×××
「そう」
シェリ
一度立った波は、そう易々と消えるものではない。
×××
「僕と君だけの、この湖に」
×××
「それ以外に大事なことなんて、ある?」
シェリ
「―あ」
×××
水面に映したような同じ顔が、あなたを見つめる。
シェリ
思考が、ぼやけていく。
シェリ
水面から地上を見つめるように。
シェリ
今のぼくには、他にもなにか、大事なものがあった気がするのだけれど―
シェリ
滲んでいく。流されていく。
×××
「ないよね。何も」
シェリ
「そう……だっけ」
×××
「それは、僕が君の前を去ってしまったから必要だっただけで」
×××
「僕がいたらそれでいいだろう?」
シェリ
そうだ。ぼくがぼくであり続けたのは。
シェリ
きみをわすれないためだった。
×××
「もう有象無象からの愛を求める必要なんてない」
シェリ
「ずっと…」
シェリ
「ずっと一緒に。いて、くれるの」
シェリ
今度は。 今度こそは。
×××
「うん」
シェリ
手放さなくって、いいの?
×××
「僕の大切な人は、ずっと君だけだった」
×××
「君も、そうだろう?」
×××
手を伸ばす。
ラビング・ラビット
*シェリの心の疵『×××との死別』を愛で抉ります。
藤花
*そうはいくか 横槍します
ラビング・ラビット
*やみゅて~ どうぞ
ラビング・ラビット
*choiceからどうぞっ
藤花
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
藤花
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 6[4,2]+3 > 9 > 成功
ラビング・ラビット
*1d6をどうぞ~
藤花
1d6 (1D6) > 1
藤花
*うわあ ヤリイカ使います
ラビング・ラビット
2d6+3-3=>7 判定(+愛) (2D6+3-3>=7) > 10[5,5]+3-3 > 10 > 成功
ラビング・ラビット
しゃーーーーーー!!!!
シェリ
高い高い
[ 藤花 ] HP : 15 → 14
[ 藤花 ] ヤリイカ : 1 → 0
[ シェリ ] ×××との死別 : 1 → 0
ラビング・ラビット
常にこうありたいです。
ラビング・ラビット
では続けますか。
ラビング・ラビット
毒が、あなたを濁らせる。
シェリ
はい…。
シェリ
伸ばされたその手に、触れる。
×××
手を握る。
シェリ
思い出せた今なら、わかる。あの子の手だ。
×××
「もう」
×××
「他の人に愛を与えるのはやめて」
×××
「他の人の愛を求めるのはやめて」
×××
「僕には、君だけだ」
×××
「君だけだったんだ」
シェリ
「………」
シェリ
そうだ。あの子から求められること。
シェリ
それがあんなにもうれしくて。だから、ぼくは―
シェリ
「うん。…うん」
シェリ
「きみが、今度こそずっと一緒にいてくれるなら」
シェリ
「ぼくには、それだけで―」
シェリ
濁る。
シェリ
水面が、記憶が、こころが。
×××
「一緒にいるよ」
シェリ
だから―毒を含んだ水は、より快いほうへと流れる。
×××
「この湖で」
×××
「僕と君だけで」
×××
「ずっと、一緒にいよう」
シェリ
「うん」
シェリ
「今度は、ずうっと。」
シェリ
「ずっと一緒に」
シェリ
「いられるんだもんね」
×××
強く、手を握る。
シェリ
あの子がいて、ぼくがいるなら。それ以外を選ぶ理由なんかない。
シェリ
握り返す。泣きたくなるような気持ちが渦を巻く。
×××
「僕は、ここにいる」
シェリ
「ずっと、会いたかったんだよ」
×××
「……うん」
シェリ
「きみがいなくなっちゃってから。ずっと、ずっと、寂しかったんだよ」
×××
「置いていってしまって、ごめん」
シェリ
今のぼくの形。
シェリ
さみしさのあまりに作り上げた、まぼろしのきみ。
×××
「君が」
シェリ
目の前にきみがいることの、なんとしあわせなこと!
×××
「僕を忘れてしまっても、僕の形を保っていてくれて、うれしかった」
×××
「こうして思い出してくれてうれしい」
シェリ
「ぼくも、うれしい」
シェリ
「こうして、またきみに会えた」
シェリ
こころがあふれる。
×××
「■■■」
×××
「僕以外から与えられた名前なんて、忘れてしまってよ」
シェリ
こんなにいっぱいあるから、もう、他にはなにも―
×××
「僕と君だけの名前を、思い出して」
シェリ
いらない?
×××
「■■■」
シェリ
「―――」
シェリ
マシェリ。モンシェリ。
シェリ
誰かを求める人が、ぼくを呼ぶときに使ったことば。
シェリ
ぼくのほんとうを知っている君がここにいるのだから。
×××
「それは、もういらないだろう?」
シェリ
こんなものは、もう。
シェリ
いらないものだ。
×××
「思い出して」
×××
「君の名前は、なに?」
シェリ
「―――■■■」
シェリ
きみが、くれた、なまえ。
シェリ
低きに流れる。
シェリ
そうして、流されきってしまったら。
シェリ
毒を含んだこころは、どこにも行けやしない。
×××
あなたの深いところまで、毒が沈んでゆく。
シェリ
濁って、ぼやけて、そのまま堕ちる。
シェリ
みなそこからは、もうきみしか見えない。
×××
「君はシェリじゃない」
×××
「マシェリでも、モンシェリでもない」
×××
「僕だけの、君だ」
シェリ
「―――」
×××
あなたしか知らない名を呼ぶ。
シェリ
名を呼ばれることも、触れられることも、きみだからこんなにうれしい。
シェリ
どうして、忘れていたんだろう―?
藤花
「ー、ーー」
シェリ
ふたりきりのみなそこに、光がさす。
シェリ
どうして?
藤花
「ーーあんた!しっかりしい!!」
シェリ
水面へと引き上げられる感覚。
藤花
毒を打ち消す、毒
宮城ユウキ
体温を上書く、体温。
シェリ
「……っ!?」
GM
気がつけば、森も湖も消え失せ。
宮城ユウキ
手が握られている。
藤花
幸福なユメは、終わりを迎える。
宮城ユウキ
違う手の温度に。
シェリ
塗り重ねられていく。
GM
当然、『あの子』もそこにはいない。
宮城ユウキ
違う温度、違う皮膚、違う力強さ、
宮城ユウキ
違うひと。
シェリ
二度目の喪失。
宮城ユウキ
あなたの顔を見ている。
シェリ
あの子はもう見えない。
シェリ
「―どうして」
シェリ
その目も、いまはわからない。映せない。
宮城ユウキ
違うひとみがあなたを射抜く。
シェリ
「いない」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「どこにも―」
シェリ
あたりをせわしなく見回して、ようやく。
シェリ
”違う”それの存在に気が付く。
藤花
「ー目ェ、覚めたか?」
宮城ユウキ
手を繋いでいる。
宮城ユウキ
違う手。違う少年。
宮城ユウキ
違う姿。
宮城ユウキ
あなたの元むるものではない。
シェリ
ぼくと外の境目を示すもの。
シェリ
「ぼく―」
宮城ユウキ
あなたの愛すものではない。
宮城ユウキ
あなたを愛すものでも、ない。
シェリ
どうして?
シェリ
こころが、さあっと冷えていく。
宮城ユウキ
重ねた手のぬくもりはあなたの心をあたためない。
シェリ
「ユー、キ?」
宮城ユウキ
「うん」
宮城ユウキ
「俺だ。ユウキだ」
藤花
少年と、精霊のやり取りを眺めながら。
藤花
恋の毒の霧を払うべく、煙管を燻らせる。
藤花
精霊の目に、払いきれないものがあることを理解している。
宮城ユウキ
「何を見た?」
シェリ
わだかまる毒が、上書きされていく。
宮城ユウキ
「見せられた?」
宮城ユウキ
「……言いたくないなら」
宮城ユウキ
「いいけど」
シェリ
「…あの子が」
宮城ユウキ
「うん」
シェリ
「いたんだ」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「そう」
シェリ
「もういなくならないって。ずっとずっと、いっしょだって―」
シェリ
そう、言ってもらえたのに。
シェリ
どうして?
宮城ユウキ
「甘い夢だ」
宮城ユウキ
「……夜でもないのに」
宮城ユウキ
夜こそが夢を見る時間であるというのは、亡者にはお構いなしのことらしい。
シェリ
「ゆめ」
シェリ
「夢、だったんだあ」
宮城ユウキ
「人心に干渉し、恋に浮かれさす毒だ」
シェリ
喪われたものは、もう戻らない。
宮城ユウキ
「応用すればそれくらいはできるかもね」
シェリ
それが摂理。
宮城ユウキ
亡者となった少女がもはや”リサ”には戻らないのと同じように。
シェリ
「そっか。…そっかあ」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「シェリは」
宮城ユウキ
「どう思う?」
シェリ
「どう、って…?」
宮城ユウキ
「『夢だったとしても、会えてよかった』」
宮城ユウキ
「『夢だけに終わるのなら、会いたくなんてなかった』」
宮城ユウキ
「どっち?」
シェリ
「そ、れは」
宮城ユウキ
答えを待つ。
シェリ
「会えて、うれしかった…けど」
シェリ
「でも、あれは」
宮城ユウキ
「うん」
シェリ
「あの子じゃない」
シェリ
今なら、なんとかその答えに辿り着ける。
シェリ
「覚める夢なら、見たくなかった…よ」
宮城ユウキ
「そっか」
宮城ユウキ
「じゃあ」
宮城ユウキ
「ひどいことされたね」
シェリ
ほんものじゃないなら、いらない。哀しくなるだけだから。
シェリ
「そう…なのかな」
シェリ
でも―覚めなかったら?
シェリ
ずっとあのままでいたら?
シェリ
それは、本物になったかもしれない。
シェリ
その心は、拭い去れない。
ラビング・ラビット
『僕はここにいる』
ラビング・ラビット
あの、桃色の霧の中に。
ラビング・ラビット
それを覚めぬ夢とすることも、あなたが望むなら叶うかもしれない。
宮城ユウキ
けれど、今はこの手があなたを繋ぎ留めている。
宮城ユウキ
彼ではない者の手が。
宮城ユウキ
あなたの手に繋がれている。
藤花
「……溺れたもんから、身ィ滅ぼす。」
シェリ
そのことが、救世主としての形を繋ぎ止めている。
藤花
「……愚かには、ならんとってよ。」
シェリ
「…うん」
シェリ
「悪い夢は、もう見たくないなあ」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「助けになれなくて、ごめんね」
シェリ
きみたちが、ぼくの名前を呼んで。手を握ってくれるなら。
シェリ
ぼくはぼくを、続けていられる。
宮城ユウキ
あなたの心を知らず、少年はそのように言う。
シェリ
「ユーキが謝ることじゃないよ」
シェリ
手を握り返す。違う形。
宮城ユウキ
「そうかも」
宮城ユウキ
「でも」
宮城ユウキ
「繋いでても、駄目だったから」
シェリ
「繋いでて、くれたんだ…」
宮城ユウキ
「うん」
宮城ユウキ
「離すとよくなさそうだったし」
シェリ
繋がれた手が。継ぎ足された毒が。
シェリ
ぼくを、今ここにとどめている。
シェリ
「トーカ、ユーキ」
宮城ユウキ
「何? シェリ」
藤花
「どしたん」
シェリ
「………ありがとう」
シェリ
「もしまた、ぼくが。あんな風になったら。…その時は」
シェリ
「名前を、呼んで」
シェリ
「そうしてもらえたら、きっとぼくは」
シェリ
「二人を守れる形に、戻ってこられるから」
シェリ
あのままでいたかった心にも、この二人を守り慈しみたい気持ちにも、嘘はない。
シェリ
どうあっても、ぼくを定義するのはぼくじゃない。そう在ることはできない。
シェリ
だから―二人を守れる形に。
シェリ
ぼくを、注いでほしい。
宮城ユウキ
「ん」
宮城ユウキ
「わかった」
宮城ユウキ
素っ気ない返答。
宮城ユウキ
けれど確かに手が繋がれている。
藤花
「ーああ。」
藤花
曖昧な返答。
藤花
他人の形を歪めることを、毒に犯してしまうことを、望まない。
藤花
いや、恐れている。
藤花
だから、その望みにはきっと応えられない。
藤花
そんな気持ちを覆い隠すように、煙に紛れている。