裁判
楠瀬新
寝台の上にあなたを組み伏せて、覆い被さる。
楠瀬新
「俺のことも、わからんようなっとるけどな」
伊月鮮己
脳が働かなくて、それでも耳は鮮明に音を拾う。男から視線を外すことができない。
楠瀬新
「……俺のこと、ようわからんなっとっても」
楠瀬新
出来る限り、無辜の少女の心の疵を抉ることが叶うように。
伊月鮮己
「あの時」のど腹の底から湧き立つような嫌悪感とはまた違う、きっとこれは悲しみなのだろう、体がうまく動かない。ろくな抵抗ができない。
伊月鮮己
目の前で自分を暴く男の瞳の奥が、暴かれている自分より辛そうな気がしたから。
伊月鮮己
腕が伸びる。恐怖に震える手で、その頭を抱き締める。
伊月鮮己
弟を、思い出した。かわいい、最愛の、弟を。
伊月鮮己
もしかしたら、一人で泣いているかもしれない、弟を。
伊月鮮己
「…いいよって、言ってあげられなくて。ごめんね。」
伊月鮮己
「ごめんね。本当は、全部全部良いよって、言ってあげたいのに。」
伊月鮮己
女の肌が、硬い石へと変わる。怖くないと思えた男の温かさが、わからなくなっていく。
伊月鮮己
「……あたしも、帰らなきゃいけないの。どうしても。」
伊月鮮己
「どうしても、どうしても、あたしがやらなきゃいけないから。」
楠瀬新
「したら、ここで優しく終わらせてやれるで」
伊月鮮己
「あの子が大きくなって、一人で歩けるようになるまでは、時間も必要でしょう?」
楠瀬新
「時間稼ぎで、独り立ちできる保証もないで」
伊月鮮己
「それでも、あたしにできることをやらなくちゃ、あたしはお姉ちゃんじゃなくなっちゃう」
伊月鮮己
「全部忘れて、楠瀬さんと一緒にいられたら」
伊月鮮己
寝込みを襲ってそのまま殺すことだって、不可能じゃなかっただろうに
伊月鮮己
選ばせようとしている。抵抗を、させようとしている。
楠瀬新
違う。心臓の一突き程度で救世主が殺せるとは限らないから。
楠瀬新
心の疵に対する損害を与えなければならないから。
伊月鮮己
そんなことは、少女にはわからない。だから、思ったままの言葉を紡ぐ。
楠瀬新
少女の言葉を笑い飛ばしてやることだって、自分はできるはずなのに。
伊月鮮己
「優しいね…なのに、酷いことさせて、ごめんね。」
伊月鮮己
「楠瀬さんが言ってくれてること、選んだ方が、きっとあたしは幸せだって」
伊月鮮己
楠瀬から目を離さないまま、こちらも刀を出現させる。きっと、これで良いのだと信じて。
伊月鮮己
勝っても負けても、これがあたしの意志だから。楠瀬さんに、これ以上、自分の選択を背負わせるわけにはいかないから。
GM
果たしてこの世界は、二人にどういった判決を下すことになるか。
GM
それがどう転び、どのように終結しようともこの国では、
GM
心の疵MOD「逆棘」
裁判開始直前に、すべての○の心の疵を●にします。
すべての舐めが、決定的なタイミングにより抉りへと変わるMODです。
GM
*これにより、楠瀬新の心の疵『責任』が○から●へと変更されます。
[ 楠瀬新 ] 責任 : 1 → -1
GM
*この段階で発動する技能や小道具はありません。
楠瀬新
1d6+3 先制値 (1D6+3) > 4[4]+3 > 7
裁判 ラウンド1
楠瀬新
伊月鮮己
楠瀬新
*補助動作 鋭気h3
*主動作 暗器h6>鮮己
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 3[2,1]+3+1+1 > 8 > 成功
楠瀬新
c(3+3) 鋭気+威力 c(3+3) > 6
[ 伊月鮮己 ] HP : 16 → 10
楠瀬新
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] 暗器の不調効果 (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《衰弱》
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@1R楠瀬 : 0 → 2
楠瀬新
闇を裂いた鋼糸が、あなたの喉笛へと飛んだ。
楠瀬新
人間の肉を容易く引き裂く鋭さを持つその一撃は、
伊月鮮己
バキリ、と鉱石の肌が削れた。血こそ出ないものの、確実に装甲を削り、その下の肉へと届かんとする。
伊月鮮己
この男の攻撃は、不可視だ。今の自分では避けることが叶わない。
伊月鮮己
2d6+3=>7 (2D6+3>=7) > 3[2,1]+3 > 6 > 失敗
伊月鮮己
*逆転します。
*出目の1を6に変更。
*心の疵『おとうと』の状態を無印から黒にします。
[ 伊月鮮己 ] おとうと : 0 → -1
GM
*では判定は成功。
ダメージダイスは1D6+2+2(威力+看破)。
伊月鮮己
1D6+2+2 (1D6+2+2) > 6[6]+2+2 > 10
[ 楠瀬新 ] HP : 10 → 0
楠瀬新
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 9[4,5]+1-0 > 10
[ 楠瀬新 ] HP : 0 → 1
[ 楠瀬新 ] 前科 : 0 → 1
伊月鮮己
今までは、自分だけだったから耐えられた。踏み躙られるのも、犠牲になるのも、自分だけだったから。
伊月鮮己
弟のために、目の前の男を踏み躙ろうとしている。
伊月鮮己
どこか弟に似た、はじめて、優しくしてくれた男を。犠牲にしようとしている。
伊月鮮己
弟のために。……違う。自分のエゴのために。
伊月鮮己
でも、もう止まれない。止めることはできない。それを選んだのは自分なのだから。
伊月鮮己
他人を踏み躙り、本懐を遂げる。いつの間にか、自分も大嫌いな「救世主」に成り下がっていたのだと思う。
伊月鮮己
唇をぎゅっと噛み締め、剣を振る。目の前の男の見様見真似の、拙い動きで。
楠瀬新
しかしその動きは十分に男の隙をつくものだった。
楠瀬新
機先を制し、相手を翻弄することに長ける才覚型救世主の介入を許さぬ一撃。
楠瀬新
これが男の命に届きうる一撃であったことを。
楠瀬新
血をしぶかせながら、楠瀬は部屋の床にたたらを踏み、
裁判 ラウンド2
楠瀬新
伊月鮮己
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@1R楠瀬 : 2 → 1
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 5[4,1]+3+1+1 > 10 > 成功
楠瀬新
c(3+2) 威力+衰弱 c(3+2) > 5
楠瀬新
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] 不調 (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《衰弱》
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@2R楠瀬 : 0 → 2
[ 伊月鮮己 ] HP : 10 → 5
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 7[2,5]+3+1+1 > 12 > 成功
楠瀬新
*達成値を3点上昇。
鮮己の終幕の目標値が15になります
伊月鮮己
2d6+3+2=>15 (2D6+3+2>=15) > 7[2,5]+3+2 > 12 > 失敗
伊月鮮己
なるべく痛くないように。なんて器用な真似はできない。
楠瀬新
刃を振り翳す腕を掴む。硬い感触が手に伝わる。
楠瀬新
少女の異常性を受け止めながら、勢いを逸らす。
裁判 ラウンド3
楠瀬新
伊月鮮己
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@2R楠瀬 : 2 → 1
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 8[2,6]+3+1+1 > 13 > 成功
楠瀬新
c(3+2) 威力+衰弱 c(3+2) > 5
[ 伊月鮮己 ] HP : 5 → 0
伊月鮮己
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 7[3,4]+1-0 > 8
GM
6~8 ランダムな能力値で判定し、成功すればHPを1点回復して立ち上がる。失敗すれば〈昏倒〉する。
GM
*了解しました。判決表の結果が+2されます。
[ 伊月鮮己 ] 免罪符 : 1 → 0
[ 伊月鮮己 ] HP : 0 → 1
[ 伊月鮮己 ] 前科 : 0 → 1
楠瀬新
男は少女の鉱石の肌に罅の入っていたことを正しく見抜いていた。
楠瀬新
寝台へと投げ飛ばした少女が起き上がるより先に、
楠瀬新
あの狂った救世主の喉笛を掻き切ったときの鮮やかさはない。
伊月鮮己
踵がめり込む。覚えのある感覚、痛み。母から日常的に与えられてきたもの。
伊月鮮己
母の比ではない、男の筋力を伴ったそれが、少女の腹にめりこむ。
楠瀬新
ブーツの靴底があなたの腹部を踏みしめ、罅を入れる。
伊月鮮己
鉱石の鎧は見た目よりも脆く砕け、その内にある胎を確実に抉る。
楠瀬新
致命に届きうる一撃を入れられた実感がある。
伊月鮮己
痛みに折れそうな体をどうにか捩って、ただ残された腕力だけで男を弾き飛ばす。
楠瀬新
弾き飛ばされた勢いに任せ、鮮己から距離を取った。
伊月鮮己
鉱石はバラバラと砕け、もはや肌の一部を覆うのみだ。
伊月鮮己
それでも、身体はまだ動く。まだ、殺せる。
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 7[2,5]+3+1+1 > 12 > 成功
伊月鮮己
2d6+3+3=>14 (2D6+3>=14) > 4[3,1]+3 > 7 > 失敗
楠瀬新
c(3+3) ダメージは才覚+威力 c(3+3) > 6
[ 伊月鮮己 ] HP : 1 → 0
伊月鮮己
2d6+1-1 判決表 (2D6+1-1) > 7[4,3]+1-1 > 7
GM
6~8 ランダムな能力値で判定し、成功すればHPを1点回復して立ち上がる。失敗すれば〈昏倒〉する。
伊月鮮己
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
伊月鮮己
2d6=>7 判定(+才覚) (2D6=>7) > 6[3,3] > 6 > 失敗
伊月鮮己
腹を押さえて立ち上がる。痛い。息があがる。痛い。痛い。視界がぼやける。痛い。
楠瀬新
目の前の男はナイフを構えてあなたの動きを注視する。
伊月鮮己
それでも、やらなければ。刀を振りかぶり、ぼやけた視界で男の元へ
楠瀬新
あなたがつけた傷から溢れる血が、男を赤く彩る。
楠瀬新
最善の動きは読まれやすい。常に次善を用意するのが大事で、
楠瀬新
けれどその次善までもが精確すぎれば、結局それは読み切られてしまうものだと、
楠瀬新
僅かに残った鉱石の肌に引っかかって、止まる。
楠瀬新
ぼろぼろの少女を見下ろしながら、血塗れの男が名前を呼ぶ。
伊月鮮己
視界が、赤く霞んでいる。男を跳ね除け起き上がるだけの力も出ない。
伊月鮮己
その通りだ。この男は殺しに慣れている。誰も殺したことのない自分が、勝てるわけ
伊月鮮己
*逆転します。
*出目の3を6に変更。
*心の疵『陰謀の犠牲者』の状態を無印から黒にします。
[ 伊月鮮己 ] 陰謀の犠牲者 : 0 → -1
[ 伊月鮮己 ] HP : 0 → 1
[ 伊月鮮己 ] 前科 : 1 → 2
伊月鮮己
「良い人間じゃない 悪い人なの あたし」
楠瀬新
あなたの喉笛が掻き斬られて、今度こそ血がしぶく。
裁判 ラウンド4
楠瀬新
伊月鮮己
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) d10妨害の判定 (2D6+3+1+1>=7) > 4[1,3]+3+1+1 > 9 > 成功
伊月鮮己
2d6+3+4=>11 (2D6+3+4=>11) > 4[1,3]+3+4 > 11 > 成功
GM
*遊撃の達成値マイナスの効果量1d6をどうぞ。
[ 楠瀬新 ] HP : 1 → 0
楠瀬新
2d6+1-1 判決表 (2D6+1-1) > 10[4,6]+1-1 > 10
[ 楠瀬新 ] 前科 : 1 → 2
[ 楠瀬新 ] HP : 0 → 1
楠瀬新
2d6+3+1+1-1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1-1>=7) > 5[1,4]+3+1+1-1 > 9 > 成功
楠瀬新
*ここに器用でs4c4を捨てて達成値2点上昇し、目標値11とします
伊月鮮己
2d6+3+2=>11 (2D6+3+2=>11) > 6[2+4]+3+2 > 11 > 成功
[ 楠瀬新 ] HP : 1 → 0
楠瀬新
2d6+1-2 判決表 (2D6+1-2) > 5[1,4]+1-2 > 4
楠瀬新
あなたを組み伏せたまま、男は再びにナイフを振り上げる。
伊月鮮己
「っあ、あ、あああああああ!!!!!!!!!!!!」
伊月鮮己
血を溢れさせる喉のどこから出たのか、悲壮な、悲鳴のような絶叫。
楠瀬新
内臓を撹拌される苦痛に、男の悲鳴は半ばで途切れる。
楠瀬新
あなたではなく、この男の立つことこそが罪であると。
楠瀬新
そのように告げて、男へと有罪の判決を下した。