裁判

GM
深夜。
GM
淀んだ空気の中、寝台に眠るあなたへと。
楠瀬新
覆い被さる影がある。
楠瀬新
手が伸びる。
楠瀬新
あなたの身体を仰向けに転がし、
楠瀬新
その襟を掴んで、
伊月鮮己
「…!!」
楠瀬新
胸元を寛げる。
楠瀬新
あなたのよく知る男の姿がある。
楠瀬新
この堕落の国に落ちて、29日。
楠瀬新
あるいはこれより30日。
楠瀬新
共に時間を過ごしてきた男が、
楠瀬新
寝台の上にあなたを組み伏せて、覆い被さる。
伊月鮮己
「っや だ」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「せやな」
楠瀬新
「せやなあ」
楠瀬新
頭を垂れる。あなたの首元に鼻を埋める。
楠瀬新
「嫌やなあ」
楠瀬新
「アザミちゃん」
楠瀬新
「こういうの」
楠瀬新
「一番無理やろ?」
伊月鮮己
「や やだ やめて」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「帰らなあかんねん」
楠瀬新
「姉貴が」
楠瀬新
「俺のこと、待ってはおらんけどな」
楠瀬新
「でも」
楠瀬新
「他に面倒見るやつ、おらんねん」
楠瀬新
慣れた様子で、
楠瀬新
あなたの服を寛げていく。
楠瀬新
男の体温が肌に触れる。
楠瀬新
「もう」
楠瀬新
「俺のことも、わからんようなっとるけどな」
楠瀬新
「でも、駄目や」
楠瀬新
「帰らなあかん」
伊月鮮己
「……」
伊月鮮己
動けない、声が上手く出ない。
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
ごく近く。
楠瀬新
あなたの胸元に埋めた顔をちらとあげて、
楠瀬新
その表情を認めてから、目を逸らす。
楠瀬新
「カスみたいな母親でなァ」
楠瀬新
手が動く。
楠瀬新
女を抱き慣れた男の所作。
楠瀬新
「昔っから、姉貴が俺の親代わりや」
楠瀬新
「母親死んで、俺もまあまあ独り立ちして」
楠瀬新
「まあバケモノなんか狩っとったけど」
伊月鮮己
脳が働かなくて、それでも耳は鮮明に音を拾う。男から視線を外すことができない。
楠瀬新
「そんで男捕まえて子供拵えてな」
楠瀬新
「やーっと人並みの幸せってやつ」
楠瀬新
「掴んだのを」
楠瀬新
「俺が壊した」
楠瀬新
――自分に原因がある、というのと。
楠瀬新
自分がそうした、自分のせいだ、というのは
楠瀬新
切り分けなければならない。
楠瀬新
そんなことができるのは
楠瀬新
強い人間だけだ。
楠瀬新
そうではないのだ。
楠瀬新
自分は。
楠瀬新
「……俺のこと、ようわからんなっとっても」
楠瀬新
「面倒見たらんとあかんよなあ」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「なあ」
楠瀬新
「アザミちゃん」
楠瀬新
腕を伸ばして、スカートを捲り上げる。
楠瀬新
「頼む」
楠瀬新
「死んでくれや」
楠瀬新
この男は、
楠瀬新
その懇願が通らないことを理解している。
楠瀬新
だからこのように動く。
楠瀬新
せめて、
楠瀬新
せめて、出来る限り
楠瀬新
出来る限り、無辜の少女の心の疵を抉ることが叶うように。
伊月鮮己
「……」
楠瀬新
悪意と悪辣に身を染めながら、
楠瀬新
鮮己の肉を暴きゆく。
伊月鮮己
怖い いやだ どうして こわいよ
伊月鮮己
「あの時」のど腹の底から湧き立つような嫌悪感とはまた違う、きっとこれは悲しみなのだろう、体がうまく動かない。ろくな抵抗ができない。
伊月鮮己
それでも
伊月鮮己
目の前で自分を暴く男の瞳の奥が、暴かれている自分より辛そうな気がしたから。
伊月鮮己
腕が伸びる。恐怖に震える手で、その頭を抱き締める。
楠瀬新
「――――」
伊月鮮己
弟を、思い出した。かわいい、最愛の、弟を。
楠瀬新
あなたの肌を探る手が、
楠瀬新
止まった。
伊月鮮己
もしかしたら、一人で泣いているかもしれない、弟を。
伊月鮮己
「…いいよって、言ってあげられなくて。ごめんね。」
楠瀬新
「……なんや」
楠瀬新
「それ……」
楠瀬新
吐息混じり。
楠瀬新
唸るような低い声。
楠瀬新
この街は吹雪からは遠く、
楠瀬新
あなたを組み伏せた男の熱がそこにある。
楠瀬新
人間の体温が。
伊月鮮己
「ごめんね。本当は、全部全部良いよって、言ってあげたいのに。」
伊月鮮己
女の肌が、硬い石へと変わる。怖くないと思えた男の温かさが、わからなくなっていく。
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「優しゅうしてや」
楠瀬新
「なあ」
楠瀬新
「なんのために、ここまで」
楠瀬新
「逐一好感度稼いできたと思うてんねん」
伊月鮮己
「……あたしも、帰らなきゃいけないの。どうしても。」
楠瀬新
「……別に」
楠瀬新
「待たれとらんのやろ?」
伊月鮮己
「うん」
楠瀬新
「なんとでもなるんと違うか?」
楠瀬新
「アザミちゃん、ただの女子高生やろ」
楠瀬新
「何ができるねん」
楠瀬新
「あんなカスみたいなカルトん中で」
伊月鮮己
「身代わりには、なれるから。」
伊月鮮己
「どうしても、どうしても、あたしがやらなきゃいけないから。」
楠瀬新
「そんなん」
楠瀬新
「ただの時間稼ぎやろ」
楠瀬新
「何にもならへん」
楠瀬新
「……どうせ」
楠瀬新
「帰ったって辛いんや」
楠瀬新
「したら、ここで優しく終わらせてやれるで」
楠瀬新
「なあ」
楠瀬新
「悪くないやろ?」
楠瀬新
鉱石の肌に、柔らかな肉を保った男の懇願。
伊月鮮己
「あの子が大きくなって、一人で歩けるようになるまでは、時間も必要でしょう?」
楠瀬新
「ろくな環境やない」
楠瀬新
「時間稼ぎで、独り立ちできる保証もないで」
伊月鮮己
「それでも、あたしにできることをやらなくちゃ、あたしはお姉ちゃんじゃなくなっちゃう」
伊月鮮己
「あたしで、いられなくなっちゃう」
楠瀬新
「なら」
楠瀬新
「俺の女にしたる」
楠瀬新
「それでええやろ」
楠瀬新
「なあ」
伊月鮮己
「……そうなれたら、きっと幸せだね」
楠瀬新
「…………」
伊月鮮己
「全部忘れて、楠瀬さんと一緒にいられたら」
伊月鮮己
「幸せ、だろうねえ」
楠瀬新
「……優しゅう」
楠瀬新
「したるで」
楠瀬新
あなたの鉱石の頬を、男の指先が撫ぜる。
楠瀬新
共に荒野を越え、汚れきった指先で。
伊月鮮己
「……楠瀬さん、本当に優しいね」
楠瀬新
「…………」
伊月鮮己
寝込みを襲ってそのまま殺すことだって、不可能じゃなかっただろうに
伊月鮮己
選ばせようとしている。抵抗を、させようとしている。
伊月鮮己
と、感じられる。
楠瀬新
違う。心臓の一突き程度で救世主が殺せるとは限らないから。
楠瀬新
救世主を殺すためには、もっと致命的な、
楠瀬新
心の疵に対する損害を与えなければならないから。
楠瀬新
だから。
楠瀬新
ただ、それだけで。
楠瀬新
ただ自分が生き延びるための最善がこれで、
楠瀬新
これだ。
楠瀬新
これである、はずだ。
伊月鮮己
そんなことは、少女にはわからない。だから、思ったままの言葉を紡ぐ。
楠瀬新
そう思うのに。
楠瀬新
少女の言葉を笑い飛ばしてやることだって、自分はできるはずなのに。
楠瀬新
凍りついたように喉が動かない。
伊月鮮己
「優しいね…なのに、酷いことさせて、ごめんね。」
伊月鮮己
「楠瀬さんが言ってくれてること、選んだ方が、きっとあたしは幸せだって」
伊月鮮己
「わかってるのに」
伊月鮮己
「…選べなくて ごめんね」
楠瀬新
「…………男に」
楠瀬新
「ここまでさせといて」
楠瀬新
「そりゃあ、ないわ……」
楠瀬新
脱力に頭を垂れて。
楠瀬新
あなたを突き放して、ベッドを離れる。
楠瀬新
腰のナイフに手をかけた。
伊月鮮己
楠瀬から目を離さないまま、こちらも刀を出現させる。きっと、これで良いのだと信じて。
伊月鮮己
勝っても負けても、これがあたしの意志だから。楠瀬さんに、これ以上、自分の選択を背負わせるわけにはいかないから。
GM
闇の中に、救世主同士の裁判が始まる。
GM
果たしてこの世界は、二人にどういった判決を下すことになるか。
GM
有罪か。無罪か。はたまた死刑か。
GM
それがどう転び、どのように終結しようともこの国では、
GM
――『それはよくあること』。
GM
*裁判開廷!
GM
心の疵MOD「逆棘」
裁判開始直前に、すべての○の心の疵を●にします。
すべての舐めが、決定的なタイミングにより抉りへと変わるMODです。
GM
*これにより、楠瀬新の心の疵『責任』が○から●へと変更されます。
[ 楠瀬新 ] 責任 : 1 → -1
GM
*この段階で発動する技能や小道具はありません。
GM
*行動順の決定
GM
それぞれ1D6+才覚で判定をどうぞ。
伊月鮮己
1d6 (1D6) > 3
楠瀬新
1d6+3 先制値 (1D6+3) > 4[4]+3 > 7
GM
*楠瀬>鮮己

裁判 ラウンド1

GM
*1R目 手札引き
楠瀬新
伊月鮮己
GM
*R1 行動:楠瀬新
楠瀬新
*補助動作 鋭気h3
*主動作 暗器h6>鮮己
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 3[2,1]+3+1+1 > 8 > 成功
楠瀬新
*ダメージ算出。
楠瀬新
c(3+3) 鋭気+威力 c(3+3) > 6
[ 伊月鮮己 ] HP : 16 → 10
楠瀬新
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] 暗器の不調効果 (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《衰弱》
GM
*2Rの衰弱が鮮己に入ります。
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@1R楠瀬 : 0 → 2
楠瀬新
腰のナイフを引き抜いて、構える。
楠瀬新
その動作よりも先に。
楠瀬新
闇を裂いた鋼糸が、あなたの喉笛へと飛んだ。
楠瀬新
人間の肉を容易く引き裂く鋭さを持つその一撃は、
楠瀬新
しかし、今のあなたの致命には届かない。
伊月鮮己
バキリ、と鉱石の肌が削れた。血こそ出ないものの、確実に装甲を削り、その下の肉へと届かんとする。
伊月鮮己
この男の攻撃は、不可視だ。今の自分では避けることが叶わない。
GM
*R1 行動:伊月鮮己
伊月鮮己
*主動作 刹那s6>楠瀬
GM
*刹那は誰も割り込めない孤高の技!
GM
*猟奇で判定をどうぞ
伊月鮮己
2d6+3=>7 (2D6+3>=7) > 3[2,1]+3 > 6 > 失敗
伊月鮮己
*逆転します。
*出目の1を6に変更。
*心の疵『おとうと』の状態を無印から黒にします。
[ 伊月鮮己 ] おとうと : 0 → -1
GM
*では判定は成功。
 ダメージダイスは1D6+2+2(威力+看破)。
伊月鮮己
1D6+2+2 (1D6+2+2) > 6[6]+2+2 > 10
[ 楠瀬新 ] HP : 10 → 0
GM
*判決表!
楠瀬新
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 9[4,5]+1-0 > 10
GM
9~11 HPを1点回復して立ち上がる。
[ 楠瀬新 ] HP : 0 → 1
[ 楠瀬新 ] 前科 : 0 → 1
伊月鮮己
今までは、自分だけだったから耐えられた。踏み躙られるのも、犠牲になるのも、自分だけだったから。
伊月鮮己
でも今は?
伊月鮮己
弟のために、目の前の男を踏み躙ろうとしている。
伊月鮮己
どこか弟に似た、はじめて、優しくしてくれた男を。犠牲にしようとしている。
伊月鮮己
弟のために。……違う。自分のエゴのために。
伊月鮮己
でも、もう止まれない。止めることはできない。それを選んだのは自分なのだから。
伊月鮮己
他人を踏み躙り、本懐を遂げる。いつの間にか、自分も大嫌いな「救世主」に成り下がっていたのだと思う。
伊月鮮己
唇をぎゅっと噛み締め、剣を振る。目の前の男の見様見真似の、拙い動きで。
楠瀬新
しかしその動きは十分に男の隙をつくものだった。
楠瀬新
機先を制し、相手を翻弄することに長ける才覚型救世主の介入を許さぬ一撃。
楠瀬新
刃が深く深く、男の肉を抉る。
楠瀬新
あなたの腕に手応えが届く。
楠瀬新
本能的に理解する。
楠瀬新
これが男の命に届きうる一撃であったことを。
楠瀬新
血をしぶかせながら、楠瀬は部屋の床にたたらを踏み、
楠瀬新
しかし、辛うじて踏み止まる。
楠瀬新
「……痛いなァ」
楠瀬新
「アザミちゃん」
楠瀬新
「優しゅうしてや、ゆうたんに」
楠瀬新
血を滴らせながら、そんな風にこぼす。
GM
判決は下らず。
GM
前科を重ねて、救世主の裁判が続く。
GM
*1R目 手札捨て
楠瀬新
*dK捨て
伊月鮮己
*c6,h8,d8捨て

裁判 ラウンド2

GM
*R2 手札引き
楠瀬新
伊月鮮己
GM
*R2 行動:楠瀬新
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@1R楠瀬 : 2 → 1
楠瀬新
*主動作 暗器c5>鮮己
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 5[4,1]+3+1+1 > 10 > 成功
楠瀬新
c(3+2) 威力+衰弱 c(3+2) > 5
楠瀬新
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] 不調 (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《衰弱》
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@2R楠瀬 : 0 → 2
[ 伊月鮮己 ] HP : 10 → 5
GM
*R2 行動:伊月鮮己
伊月鮮己
*主動作 終幕dA>楠瀬
楠瀬新
*割り込み 妨害s9
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 7[2,5]+3+1+1 > 12 > 成功
楠瀬新
*器用。c5,s8,hJを切ります
楠瀬新
*達成値を3点上昇。
 鮮己の終幕の目標値が15になります
伊月鮮己
*割り込み 精確d3
伊月鮮己
1d6 (1D6) > 2
伊月鮮己
2d6+3+2=>15 (2D6+3+2>=15) > 7[2,5]+3+2 > 12 > 失敗
伊月鮮己
「これでっ…!!」
伊月鮮己
なるべく痛くないように。なんて器用な真似はできない。
伊月鮮己
自分にできる、1番の火力を叩きつける。
楠瀬新
先程とは打って変わっての大振りな動きを、
楠瀬新
読み切るのは容易かった。
楠瀬新
刃を振り翳す腕を掴む。硬い感触が手に伝わる。
楠瀬新
少女の異常性を受け止めながら、勢いを逸らす。
楠瀬新
しかし、男とてただ躱すのに必死だった。
楠瀬新
床に叩きつければよかったところを、
楠瀬新
少女の身体は寝台に受け止められる。
楠瀬新
舌打ち。
楠瀬新
凶器をまとうた少女から距離を取る。
GM
*2R 手札捨て
楠瀬新
*何もありません
伊月鮮己
*h2,h4捨て

裁判 ラウンド3

GM
*R3 手札引き
楠瀬新
伊月鮮己
GM
*R3 行動:楠瀬新
[ 伊月鮮己 ] 衰弱@2R楠瀬 : 2 → 1
楠瀬新
*主動作 s7暗器>鮮己
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 8[2,6]+3+1+1 > 13 > 成功
楠瀬新
c(3+2) 威力+衰弱 c(3+2) > 5
[ 伊月鮮己 ] HP : 5 → 0
GM
*判決表!
伊月鮮己
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 7[3,4]+1-0 > 8
GM
6~8 ランダムな能力値で判定し、成功すればHPを1点回復して立ち上がる。失敗すれば〈昏倒〉する。
伊月鮮己
*免罪符を使用します
GM
*了解しました。判決表の結果が+2されます。
GM
9~11 HPを1点回復して立ち上がる。
[ 伊月鮮己 ] 免罪符 : 1 → 0
[ 伊月鮮己 ] HP : 0 → 1
[ 伊月鮮己 ] 前科 : 0 → 1
楠瀬新
男は少女の鉱石の肌に罅の入っていたことを正しく見抜いていた。
楠瀬新
寝台へと投げ飛ばした少女が起き上がるより先に、
楠瀬新
力を込めて、踵を落とす。
楠瀬新
あの狂った救世主の喉笛を掻き切ったときの鮮やかさはない。
楠瀬新
ただ相手を害すためだけの原始暴力が、
楠瀬新
今はあなたに向けられている。
伊月鮮己
踵がめり込む。覚えのある感覚、痛み。母から日常的に与えられてきたもの。
伊月鮮己
母の比ではない、男の筋力を伴ったそれが、少女の腹にめりこむ。
楠瀬新
ブーツの靴底があなたの腹部を踏みしめ、罅を入れる。
伊月鮮己
鉱石の鎧は見た目よりも脆く砕け、その内にある胎を確実に抉る。
楠瀬新
先程あなたが男を害したものと同じ。
楠瀬新
致命に届きうる一撃を入れられた実感がある。
伊月鮮己
「ぐ、ゥ、」
楠瀬新
踏み躙る。
楠瀬新
あなたの身体を。
伊月鮮己
痛みに折れそうな体をどうにか捩って、ただ残された腕力だけで男を弾き飛ばす。
楠瀬新
弾き飛ばされた勢いに任せ、鮮己から距離を取った。
楠瀬新
一ヶ月に近い間、共に時間を過ごした。
楠瀬新
この少女の抱える暴力性の鋭さを。
楠瀬新
自分はよく知っている。
伊月鮮己
鉱石はバラバラと砕け、もはや肌の一部を覆うのみだ。
楠瀬新
慎重に距離を保って、機会を窺う。
楠瀬新
――何の機会を?
楠瀬新
殺しの機会をだ。
伊月鮮己
それでも、身体はまだ動く。まだ、殺せる。
GM
*R3 行動:伊月鮮己
伊月鮮己
主動作 牽制d5>楠瀬
楠瀬新
*割り込み s10妨害
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1>=7) > 7[2,5]+3+1+1 > 12 > 成功
楠瀬新
*器用 s2とh2を切って達成値2点上昇
楠瀬新
*目標値14で牽制の判定をどうぞ
伊月鮮己
2d6+3+3=>14 (2D6+3>=14) > 4[3,1]+3 > 7 > 失敗
楠瀬新
*判定失敗に割り込み sJ間隙
楠瀬新
c(3+3) ダメージは才覚+威力 c(3+3) > 6
[ 伊月鮮己 ] HP : 1 → 0
GM
*判決表!
伊月鮮己
2d6+1-1 判決表 (2D6+1-1) > 7[4,3]+1-1 > 7
GM
6~8 ランダムな能力値で判定し、成功すればHPを1点回復して立ち上がる。失敗すれば〈昏倒〉する。
伊月鮮己
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
伊月鮮己
2d6=>7 判定(+才覚) (2D6=>7) > 6[3,3] > 6 > 失敗
伊月鮮己
腹を押さえて立ち上がる。痛い。息があがる。痛い。痛い。視界がぼやける。痛い。
楠瀬新
目の前の男はナイフを構えてあなたの動きを注視する。
楠瀬新
その身体は血に濡れている。
伊月鮮己
それでも、やらなければ。刀を振りかぶり、ぼやけた視界で男の元へ
楠瀬新
あなたがつけた傷から溢れる血が、男を赤く彩る。
伊月鮮己
その心臓をめがけて、刃を突き立てる。
楠瀬新
素直な動きだった。
楠瀬新
最善の動きは読まれやすい。常に次善を用意するのが大事で、
楠瀬新
けれどその次善までもが精確すぎれば、結局それは読み切られてしまうものだと、
楠瀬新
そのように語る男の言葉を思い出していた。
楠瀬新
同じだ。
楠瀬新
彼女と違って、
楠瀬新
自分は戦い慣れている。
楠瀬新
その斬撃をナイフで弾き、軌道を逸らす。
楠瀬新
ヒビ割れた腹部に膝を入れながら、
楠瀬新
少女の矮躯を組み伏せ、再び寝台へと。
楠瀬新
ナイフを振り上げる。
楠瀬新
喉笛を掻き斬る鮮やかな軌道が、
楠瀬新
僅かに残った鉱石の肌に引っかかって、止まる。
楠瀬新
けれど。
楠瀬新
それだけだ。
楠瀬新
彼女を守る殻はもはや僅かに残るのみ。
楠瀬新
殺せる。
楠瀬新
「……なあ」
楠瀬新
「アザミちゃん」
楠瀬新
ぼろぼろの少女を見下ろしながら、血塗れの男が名前を呼ぶ。
伊月鮮己
視界が、赤く霞んでいる。男を跳ね除け起き上がるだけの力も出ない。
楠瀬新
男の血が滴り、あなたの肌を伝い落ちる。
楠瀬新
破かれた服が赤く染まっている。
伊月鮮己
「…なあに」
楠瀬新
「仕舞いにせんか」
楠瀬新
「分かったやろ」
楠瀬新
「あんたさんよか、俺の方が強い」
楠瀬新
「戦い慣れとるんや」
楠瀬新
「人を」
楠瀬新
「殺し慣れとる」
伊月鮮己
「…」
伊月鮮己
その通りだ。この男は殺しに慣れている。誰も殺したことのない自分が、勝てるわけ
伊月鮮己
なんて
伊月鮮己
楠瀬新
「約束したる」
楠瀬新
「最後に」
楠瀬新
「優しゅうしたるよ」
楠瀬新
「なあ」
楠瀬新
「俺の女にしたる」
楠瀬新
「忘れんで」
楠瀬新
「……ほんまや」
伊月鮮己
*逆転します。
*出目の3を6に変更。
*心の疵『陰謀の犠牲者』の状態を無印から黒にします。
[ 伊月鮮己 ] 陰謀の犠牲者 : 0 → -1
[ 伊月鮮己 ] HP : 0 → 1
[ 伊月鮮己 ] 前科 : 1 → 2
伊月鮮己
「…優しくしてもらう権利」
伊月鮮己
「ないよ あたし」
楠瀬新
「ほうかい?」
伊月鮮己
「良い人間じゃない 悪い人なの あたし」
伊月鮮己
「だって あたしも 人を殺してる」
楠瀬新
「そんなら揃いや」
楠瀬新
「俺が咎めることやあらへんな」
楠瀬新
「……それとも」
楠瀬新
あなたの喉元に添えた刃にぐ、と力を込めて
楠瀬新
「酷くされた方が、成仏できるってか?」
楠瀬新
腕を引く。
楠瀬新
あなたの喉笛が掻き斬られて、今度こそ血がしぶく。
楠瀬新
けれど。
楠瀬新
その一撃は、いまだ命に届かない。
楠瀬新
男の手が血に汚れる。ただそれだけ。
楠瀬新
――判決は、いまだ下らず。
GM
*3R 手札捨て
伊月鮮己
*全捨てします

裁判 ラウンド4

GM
*R4 手札引き
楠瀬新
伊月鮮己
GM
*4R 行動:楠瀬新
楠瀬新
*主動作 s6暗器>鮮己
伊月鮮己
*割り込み sK遊撃>楠瀬
楠瀬新
*割り込み d9妨害
伊月鮮己
*割り込み jo遊撃>楠瀬
楠瀬新
*割り込み d10妨害
楠瀬新
2d6+3+1+1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) d10妨害の判定 (2D6+3+1+1>=7) > 4[1,3]+3+1+1 > 9 > 成功
伊月鮮己
*割り込み 精確d4
伊月鮮己
1d6 (1D6) > 4
伊月鮮己
2d6+3+4=>11 (2D6+3+4=>11) > 4[1,3]+3+4 > 11 > 成功
GM
*遊撃の達成値マイナスの効果量1d6をどうぞ。
伊月鮮己
1d6 (1D6) > 1
GM
*遊撃のダメージが楠瀬に3点入ります
[ 楠瀬新 ] HP : 1 → 0
GM
*判決表!
楠瀬新
2d6+1-1 判決表 (2D6+1-1) > 10[4,6]+1-1 > 10
GM
9~11 HPを1点回復して立ち上がる。
[ 楠瀬新 ] 前科 : 1 → 2
[ 楠瀬新 ] HP : 0 → 1
楠瀬新
*d9妨害の判定をします
楠瀬新
2d6+3+1+1-1=>7 判定(+才覚)(+多彩な凶器)(+万能) (2D6+3+1+1-1>=7) > 5[1,4]+3+1+1-1 > 9 > 成功
楠瀬新
*ここに器用でs4c4を捨てて達成値2点上昇し、目標値11とします
伊月鮮己
*割り込み 精確c3
伊月鮮己
1d6 (1D6) > 2
伊月鮮己
2d6+3+2=>11 (2D6+3+2=>11) > 6[2+4]+3+2 > 11 > 成功
GM
*ぴったり11で成功ですね
GM
*遊撃のダメージが楠瀬に入ります
[ 楠瀬新 ] HP : 1 → 0
GM
*判決表!
楠瀬新
2d6+1-2 判決表 (2D6+1-2) > 5[1,4]+1-2 > 4
楠瀬新
3~5 〈昏倒〉する。
楠瀬新
あなたを組み伏せたまま、男は再びにナイフを振り上げる。
楠瀬新
今度こそ。
楠瀬新
あなたの命を正しく奪うために。
楠瀬新
人を殺し慣れた男の所作で。
楠瀬新
刃があなたへと振り下ろされる。
伊月鮮己
その刃は女の心臓に深々と突き刺さった
伊月鮮己
…はずだった
楠瀬新
手応え。
楠瀬新
命を穿つものではなく、
楠瀬新
硬いものに突き立った反動に手が痺れて、
楠瀬新
まずい、と
楠瀬新
本能が察知した時には、もう手遅れだった。
伊月鮮己
鉱石の心臓が、男の刃を囚えて
伊月鮮己
「っあ、あ、あああああああ!!!!!!!!!!!!」
伊月鮮己
血を溢れさせる喉のどこから出たのか、悲壮な、悲鳴のような絶叫。
伊月鮮己
それに応えるように、無数の刃が
伊月鮮己
男を目掛けて、降り注いだ。
楠瀬新
「っが」
楠瀬新
「あ――……」
楠瀬新
男の身体を守るものはなにもない。
楠瀬新
あなたを組み伏せたがら空きの姿勢に、
楠瀬新
鋭い刃が無数に突き立ち、肉を抉る。
楠瀬新
皮膚を裂かれ。
楠瀬新
肉を穿ち、骨を抉られ。
楠瀬新
内臓を撹拌される苦痛に、男の悲鳴は半ばで途切れる。
楠瀬新
血の雨がしぶいて、
楠瀬新
少女の視界を赤く染める。
楠瀬新
今度こそ、手応えと、確信。
楠瀬新
この世界は、
楠瀬新
この国は、男の罪を言い立てた。
楠瀬新
あなたではなく、この男の立つことこそが罪であると。
楠瀬新
そのように告げて、男へと有罪の判決を下した。
GM
*裁判閉廷