エピローグ

GM
*伊月鮮己は〈発狂〉しているため、亡者化判定が発生します。
GM
Choiceをどうぞ。
伊月鮮己
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
伊月鮮己
2d6+3 (2D6+3>=7) > 5[4+1]+3 > 8 > 成功
GM
*成功ですね。
あなたは亡者化を免れました。
GM
血濡れの宿の一室に、男と女。
GM
全身から刃を迸らせた女の足元に、全身を裂かれた男が倒れ伏す。
楠瀬新
「……つ」
楠瀬新
「あ…………」
楠瀬新
傷からは溢れ出でた血が床をさらに赤く染め上げていく。
楠瀬新
男が倒れ、血に染まった一室の状況。
楠瀬新
あなたはそれを、
楠瀬新
見たことがある。
楠瀬新
あなたの脳裏に去来する光景に、
楠瀬新
この情景は、よく合致していた。
伊月鮮己
思い、出した。
伊月鮮己
思い出した。
伊月鮮己
思い出して、しまった。
伊月鮮己
この光景を識っている。この感触を憶えている。
伊月鮮己
さっき、無意識に呟いた言葉。
伊月鮮己
あたしは 人を 殺している。
楠瀬新
今なお広がり続ける血潮に沈む男が。
楠瀬新
「……な」
楠瀬新
「あ」
楠瀬新
「アザミ、ちゃん」
楠瀬新
「……ひと」
楠瀬新
「殺し、たこと」
楠瀬新
「あったん?」
楠瀬新
あなたにそれを問い質す。
伊月鮮己
「…」
伊月鮮己
「あたし」
伊月鮮己
「あたしね くすのせさん」
楠瀬新
「……ん」
伊月鮮己
「……ごめんなさい」
楠瀬新
「ん」
楠瀬新
「なんや」
伊月鮮己
「あたし まちがえちゃった」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「なに」
楠瀬新
「が?」
伊月鮮己
「あたし 殺したの あのこの父親を」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
血溜まりにあなたの言葉を聞く。
伊月鮮己
「…きゅうせいしゅさまを ころしたの」
楠瀬新
距離を測ることに長け、人の話を聞くのが上手な男だった。
楠瀬新
だからこそ。
楠瀬新
はじめは警戒していたはずのあなたもこの男に、胸の内を明かしてきたのだ。
伊月鮮己
「ころさなくてよかったのに」
伊月鮮己
「だって だって」
伊月鮮己
「だって」
楠瀬新
「うん」
楠瀬新
「だって?」
伊月鮮己
「あのこは」
伊月鮮己
「あのこのために」
楠瀬新
「……ん」
伊月鮮己
「がまんしなきゃ いけなかったの」
伊月鮮己
「がまん できなかったの あたしは」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「嫌」
楠瀬新
「やったん、な?」
伊月鮮己
「いや だったの どうしてもいやで いやで」
楠瀬新
「うん」
伊月鮮己
「でも がまんしなくちゃ いけなかったのに」
楠瀬新
「……うん」
伊月鮮己
「あたしは あたしのために ころしたの」
伊月鮮己
「あたし だからあたしは」
伊月鮮己
「もう おねえちゃんじゃないの」
楠瀬新
「……なん、で」
楠瀬新
「そう」
楠瀬新
「思うん?」
伊月鮮己
「おねえちゃんだから おとうとのためなら、なんでもできたの なんでも、がまんできたの」
伊月鮮己
「でも できなかった から」
伊月鮮己
「違う」
楠瀬新
「…………」
伊月鮮己
「あたし はじめから おねえちゃんなんかじゃなかった」
伊月鮮己
「死ぬのが怖くて 痛いのも怖くて」
伊月鮮己
「弟のためだからって 理由にしてたの 全部 弟のせいにしてた」
楠瀬新
「……そう」
伊月鮮己
「そんなことしなくても、あの子は 救世主様の子供のあの子は あたしみたいな目には合わないって」
楠瀬新
「うん」
伊月鮮己
「愛されてないのはあたしだけで あたしがやってることは 全部意味ないって」
伊月鮮己
「わかってたのに……!!!!」
楠瀬新
「……そう、か」
楠瀬新
「あ」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
腕に力が入らない。
楠瀬新
起き上がることは愚か、投げ出された腕を持ち上げることもできず、
楠瀬新
だから、その涙を拭ってはやれない。
楠瀬新
女、泣かすんも、宥めんのも、
楠瀬新
正味、得意だったはずなんやけどなあ。
伊月鮮己
「……ごめんなさい ごめんなさいくすのせさん ごめんなさい」
楠瀬新
「……なァんで」
楠瀬新
「俺に、謝るん」
楠瀬新
「ええ、やろ」
楠瀬新
「アザミちゃん、が」
楠瀬新
「好きなように」
楠瀬新
「しはった、……ら」
楠瀬新
途中、喉が詰まって
楠瀬新
ごぼ、と
楠瀬新
口から血が溢れる。
楠瀬新
数度咳き込んで、血溜まりの中に背を丸めて、
楠瀬新
それを繰り返してから、
楠瀬新
「アザ、ミ」
楠瀬新
「ちゃん」
楠瀬新
起き上がることは叶わなくとも、声を絞る。
伊月鮮己
「!!」
楠瀬新
「俺ァな」
楠瀬新
「あんたさんの、弟やない」
楠瀬新
「なん、も」
楠瀬新
「なんもわかれへんよ」
楠瀬新
「あんたさんの、弟」
楠瀬新
「の」
楠瀬新
「こと、は」
伊月鮮己
「っ それ以上喋っちゃだめだよ だめ楠瀬さん」
伊月鮮己
「まって まだ 間に合うから」
楠瀬新
「でもな」
楠瀬新
「姉貴が、嫌なら」
楠瀬新
「そんな野郎」
楠瀬新
「なんぼでも殺したれ」
楠瀬新
「って」
楠瀬新
「そう、思うで」
楠瀬新
「……当たり前やろ」
楠瀬新
血染めの男がそう笑う。
楠瀬新
あなたから受けた傷から
楠瀬新
血潮を溢れさせ、か細い呼吸の中に笑う。
楠瀬新
「……あーあ」
楠瀬新
「せめて」
楠瀬新
「初めてなったろ思うて、あの男殺したんになあ」
楠瀬新
「空振りや」
楠瀬新
「ツイてないわ」
楠瀬新
そんな風に、今更の打算を装いながら。
伊月鮮己
「……楠瀬さんは やさしいね」
楠瀬新
「無理矢理」
楠瀬新
「しとった方が、せめてよかったかもな」
楠瀬新
「……したら」
楠瀬新
「そっちは初めてやねんな?」
伊月鮮己
「はじめて、だよ」
伊月鮮己
「やさしくしてもらったのも たすけてもらったのも」
楠瀬新
「…………」
伊月鮮己
「…他も ぜんぶぜんぶ」
伊月鮮己
「くすのせさんが、はじめてだったの」
楠瀬新
「……さよか」
伊月鮮己
「…そんなふうにしてもらう理由 あたしには一個もないのに」
伊月鮮己
「それなのに、最後まで間違えてごめん。ごめんね。」
楠瀬新
「……何や」
楠瀬新
「なんか」
楠瀬新
「間違えたこと、あるか?」
伊月鮮己
「あたしは、そうしてもらうべきじゃなかったのに。そんな価値なかったのに。…生きる理由がないことにも、気付いてなかったくせに。」
楠瀬新
「…………」
伊月鮮己
「…人を殺したことを、思い出したときにね。」
伊月鮮己
「頭が真っ白になって、あたしの生きる理由はあたしがお姉ちゃんであることだったのに、それも全部自分で壊しちゃってたことに気づいて」
伊月鮮己
「…気づいたら、楠瀬さんが倒れてたの。あたし、また間違えるところだった。」
楠瀬新
「……アザミちゃん」
楠瀬新
「立っとるのは」
楠瀬新
「あんたの方やで」
伊月鮮己
「楠瀬さんが言ってたことが正しかったよ。あたしにできることなんて、元の世界に戻っても1個もない。戻っても、幸せなことなんてない。もう、理由がない。」
伊月鮮己
「うん、だから」
楠瀬新
「正しいも」
楠瀬新
「間違いも、あらへん」
楠瀬新
「……おい」
伊月鮮己
「今度は、間違わずに選べると、思うの。」
楠瀬新
「つまらんこと」
楠瀬新
「言わせへん、といてや」
楠瀬新
「……なんやねん」
楠瀬新
「したら、もう」
楠瀬新
「これかて打算やで」
楠瀬新
「今」
楠瀬新
「ここ、で」
楠瀬新
「こうしてアザミちゃん、止めようとして」
楠瀬新
「……したら」
楠瀬新
「なあ」
楠瀬新
「アザミちゃんは、俺んこと」
楠瀬新
「生かしとうなるかって」
楠瀬新
「…………」
楠瀬新
「……つまらん」
楠瀬新
「くだらん話やろ」
楠瀬新
「そんな、」
楠瀬新
「……そん、な」
楠瀬新
「………………」
伊月鮮己
「ちがうよ楠瀬さん あたしが、選んだの。」
伊月鮮己
「あたしが勝ったから、あたしが、選ぶの。あたしが正しいと思うことを。」
楠瀬新
「アザミちゃんに」
楠瀬新
「優しゅう、したんは」
楠瀬新
「……俺は」
楠瀬新
「このためやで」
楠瀬新
「そう」
楠瀬新
「そう、させるために」
楠瀬新
「なんに……」
伊月鮮己
「…ふふ」
伊月鮮己
「楠瀬さん、やっぱり悪い人、向いてないよ」
伊月鮮己
「今そんなこと言われても、説得力、一個もないもん」
楠瀬新
「アホたれ」
楠瀬新
「俺ァ」
楠瀬新
「自分の目的通すためなら、何でもするで」
楠瀬新
「アザミちゃん、ヒくで?」
楠瀬新
「俺のやっとったこと、知った」
楠瀬新
「ら、…………ッ」
楠瀬新
強めた語調の代償を払う。
楠瀬新
吐血だか、喀血だか。その両方なんだか。
楠瀬新
見分けがつかないし、つける意味もない。
楠瀬新
致命傷だ。こんなものは。
楠瀬新
あとは目の前の少女に、殺されるだけの命だ。
楠瀬新
だから、
楠瀬新
だから、最後に、
楠瀬新
優しくしてやることが叶ったのに。
楠瀬新
話が違うだろう。
楠瀬新
こんなのは。
伊月鮮己
「じゃあ、利害の一致、だね。」
楠瀬新
「…………っ」
楠瀬新
引き攣れた呼吸に、反駁のすべもない。
伊月鮮己
「楠瀬さんは、生きたい。あたしは、もう、理由がない。」
楠瀬新
血溜まりに沈んだ今、
楠瀬新
自分から少女に触れることもできない。
楠瀬新
届かない。
楠瀬新
あの日と同じに。
楠瀬新
「ぁ」
楠瀬新
「る」
楠瀬新
「や、ろ」
伊月鮮己
「…弟はね、あたしがいなくても大丈夫。それがわかっちゃったから。」
伊月鮮己
「もう、ないの。」
伊月鮮己
「……あたしね、一個も選べなかった。自分の人生のこと、何にも。」
楠瀬新
「っ」
楠瀬新
「死にとう、ない」
楠瀬新
「とか」
楠瀬新
「そんな」
楠瀬新
「……っ」
楠瀬新
「いくら、でも」
伊月鮮己
教団の犠牲になり続けてきた人生だった。弟への想いは欺瞞だった。心の疵からは血が溢れ、もう、止まらない。
伊月鮮己
もう、希望なんて、見えない。
伊月鮮己
それなら…それならば。
楠瀬新
血溜まりに這い蹲る男の姿。
楠瀬新
自分の見知った光景に似ていたはずのそれが、
楠瀬新
何故だか今は。
楠瀬新
別のものと重なって、映る。
伊月鮮己
「……最期にひとつくらい、選んでみたいの。自分が今一番大切だって思える人のことを。」
伊月鮮己
「だから」
楠瀬新
「あ」
楠瀬新
「ざみ、ちゃ」
伊月鮮己
「いっぱい間違えて、ごめんなさい。怖がったりして、ごめんなさい。」
楠瀬新
「ッ」
伊月鮮己
「あたしに、優しくしてくれて、ありがとう」
楠瀬新
赤く染まった視界に、少女の顔を見る。
楠瀬新
近い距離。
楠瀬新
届かない距離。
楠瀬新
向けられた笑みに、
楠瀬新
よく回るはずの舌は回らない。
楠瀬新
気の利いた言葉ひとつ出ない。
楠瀬新
ただ、
楠瀬新
その顔を、見ていることしか。
伊月鮮己
「あたしの人生で、いちばん、あなたのことが大好きだよ」
伊月鮮己
そう言って、先の戦いで剥がれおちた、自分のかけらを手に取る
楠瀬新
何か。
楠瀬新
何か、返してやらねば。
楠瀬新
止めなければ。止められるか?
楠瀬新
止められる力があったとて、自分に十全に動けるだけの力があったとて、
楠瀬新
では自分はその力を何に使う?
楠瀬新
少女を生かして、自分を死なせるために?
楠瀬新
そうではないだろう。
楠瀬新
自分はそういう人間ではないだろう。
楠瀬新
けれど、でも、だとしても、
楠瀬新
楠瀬新
この瞬間に
楠瀬新
死にゆく少女をただ見届けることを
楠瀬新
自分に許して、なんになる。
楠瀬新
違う。
楠瀬新
それで自分は生き延びられて、
楠瀬新
……思考は空回りする。
楠瀬新
もっと、
楠瀬新
もっと、
楠瀬新
少女に応えてやるべき言葉は、いくらでもあるはずなのに。
楠瀬新
そいつはどうも、だとか、
楠瀬新
それは光栄だとか、
楠瀬新
俺もやで、だとか、
楠瀬新
いくらでも、
楠瀬新
気慰みの言葉なら、いくらでも吐けるはずだろう!
楠瀬新
それが、どうして
楠瀬新
どうして、何一つ、形にならない。
楠瀬新
今まさに自分のために死にゆく少女に対して。
楠瀬新
返してやれる誠意が、
楠瀬新
自分の中には、存在しない。
楠瀬新
嘘と偽りと誤魔化しで塗り固めてきた自分の言葉では。
楠瀬新
少女の真心に、一切の太刀打ちが叶わない。
伊月鮮己
あたしたちは、きっと似ている。この人は、きっと自分のせいにしたがる。
伊月鮮己
ラッキーだったと笑えば良いのに、もっと巧妙に騙せば良いのに、それをしない。
伊月鮮己
だから、そんな優しい人がもうこれ以上、傷つかないで済むように。
伊月鮮己
「あたしが、選んだんだよ」と笑って
楠瀬新
「っ」
伊月鮮己
ずぶり、と、心臓に向かって既に開いている穴に、かけらを突き立てた。
楠瀬新
「アザミ!!」
楠瀬新
名を呼ぶ声は、少女に届いたか。
楠瀬新
わからない。
楠瀬新
ただ這いつくばったままに、少女が自らを害すさまを見ていた。
伊月鮮己
ナイフでは届かなかった鉱石の心臓は、同じ素材の刃でならば、簡単に破壊できたことだろう。
楠瀬新
――救世主の生きる、新たな30日。
楠瀬新
それを自分に齎すために自死する少女を。
楠瀬新
全身の傷がひどく痛む。今も血を流している。呼吸のたびに肺腑が引き攣れるような心地がする。
楠瀬新
それよりもなおひどく、
楠瀬新
心の疵が痛む。
伊月鮮己
少女の体と、割れたかけらが、音を立てて転がる。
伊月鮮己
あたたかさは、失われていく。まるで鉱石と同じように。
伊月鮮己
無機質へと、変わっていく。
楠瀬新
「…………っ」
楠瀬新
血潮の中を無様に這いずる。
楠瀬新
動けるのではないかと自らを嘲りながら、
楠瀬新
その冷たい結晶を掌に収めた。
楠瀬新
楠瀬新が伊月鮮己に触れた瞬間は、数えられるほどしかなかった。
楠瀬新
理由なく触れることに意味はなく、理由なく怯えさせることに益はなく、
楠瀬新
だから、それは何も間違っていなかったはずなのに。
楠瀬新
今この瞬間ばかりは、
楠瀬新
その事実が、ひどく呪わしい。
楠瀬新
「……ほんま」
楠瀬新
「なんや、ねん」
楠瀬新
「若すぎるん、て」
楠瀬新
「ちったあ」
楠瀬新
「振り返るとか、省みるとか」
楠瀬新
「いくらでも」
楠瀬新
「うまく、やりよう、が」
楠瀬新
「…………っ」
楠瀬新
自分には。
楠瀬新
その一途さがない。
楠瀬新
この結晶で胸を貫いて、あの少女に殉じてやれるだけの強さがない。
楠瀬新
いつだって。
楠瀬新
見送ってばかりの、無様な生き方。
伊月鮮己
まだかろうじて少女であるもの。もう間も無く骸になるその塊は。
伊月鮮己
微笑んでいた。まるで、自分がこの世界で最も幸福であるかのように。
伊月鮮己
あたたかさを、享受するかのように。
伊月鮮己
そしてそのまま、パキンと音を立てて。
伊月鮮己
やがて完全に、生の気配をなくして、ただのかたまりになった。
楠瀬新
「ぅ」
楠瀬新
「あ、ぁ」
楠瀬新
「…………っ」
楠瀬新
冷たい結晶を、意味もなく掻き抱く。
楠瀬新
ずたずたの皮膚を裂かれながら、心の疵の痛みばかりを感じていた。
楠瀬新
責任があった。
楠瀬新
残してきたものへの。自分が壊してしまったものへの。
楠瀬新
そして、
楠瀬新
自分を生かすために、自ら命を絶ったものへの。
楠瀬新
だから、死ねない。死ぬわけにはいかない。
楠瀬新
きっと自分は、この30日を繰り返していく。
楠瀬新
他人に取り入り、打算を積み重ね、利害の一致を見て、最後は一人で益を掻っ攫う。
楠瀬新
見下げ果てたやり方で、人の命を踏み躙って生きる。
楠瀬新
それが、
楠瀬新
それを、
楠瀬新
伊月鮮己のせいにはできはしない。
楠瀬新
楠瀬新という男が自ら選び、決めて、選びゆくことだ。
楠瀬新
堕落の国。
楠瀬新
このごみ溜めの底にできたような世界で。
楠瀬新
男は”責務”を積み重ねていく。
楠瀬新
少女の犠牲に生かされた、その責任を背負いながら。
GM
 
GM
 
GM
 
GM
そのように死ぬ救世主の姿も。
GM
そうして生きていく救世主の姿も。
GM
この堕落の国においては皆同じ。
GM
――『それはよくあること』。
GM
 
GM
そして同時に、
GM
だからこそ。
GM
ふたりにとっては、かげかえのない唯一無二。
GM
この世界にありふれた、
GM
どこにでも起きうる出来事の積み重ねの日々は、
GM
誰にも代替できはしない、二人だけの心の疵。
GM
その結実の成れの果てが、今は男の胸に眠っている。
GM
 
GM
 
GM
 
GM
Dead or AliCe
GM
『It Happens All The Time.』
GM
おしまい