お茶会 ラウンド1
GM
*導入が終わり、お茶会へと突入です。
今回使用のMODを提示します。
心の疵MOD「逆棘」
裁判開始直前に、すべての○の心の疵を●にします。
すべての舐めが、決定的なタイミングにより抉りへと変わるMODです。
お茶会MOD「セルフ横槍」
自分自身に対する行動についても横槍ができるようになります。
1対1だと横槍が入れられないため、入れられるようにするMODです。
GM
*PC2のほうが動きやすい状況なのでPC2から手番を取りましょう。
行動:楠瀬新
楠瀬新
青年はとりあえず、あなたを近場の村へと連れて帰りました。
楠瀬新
馴れ馴れしい態度の割には、あまり距離を詰めてこない男でした。
楠瀬新
付かず離れずの距離で、そこ足元気をつけな~とか、風強うなってきたなあとか、どうでもいい世間話のような話題を振ったり振らなかったり。
楠瀬新
そんな感じの、現代での暮らしを思えば木の遠くなるほど長い道のりを歩いた末に。
楠瀬新
だいぶ……ものすごく……シケた村に辿り着きました。
伊月鮮己
この人は、おそらく助けてくれているのだろう。さっきも今も。
伊月鮮己
でも、怖い。他人は怖い。男の人はもっと怖い。
伊月鮮己
あまり距離を詰めてこないのがありがたかった。警戒しながら歩き続けてここは、ここは…
末裔
白くて長い耳の生えた少女があなたたちの方へと駆けてきます。
伊月鮮己
(…やっぱりこのおにーさん、教祖とかやってるタチの人?)
楠瀬新
「まあ、でも、代わりに新しい救世主さまや」
末裔
「こんな辺鄙な村に、救世主さまが二人も……」
末裔
白い耳の生えた少女が、祈るような仕草で手を合わせています。
伊月鮮己
目の前の生き物は、母と同じ顔をしていた。
末裔
目の前の少女とは別に、同じような耳の生えた存在がぼちぼちと顔を出し始めています。
末裔
みな薄汚れた格好をして、痩せ細って、疲れ切った顔をしている。
末裔
けれど、あなたたちへと向ける眼差しは、みな。
末裔
力ある者へと助けを求める、無力な存在の顔だ。
伊月鮮己
ここは、あそこと同じだ。信じ、縋り、投げ出すことしかできないものの集う場所。
伊月鮮己
その顔をよく知っている。いつも一番近くにあって、そして決して自分には向けられることのない顔。
楠瀬新
「場所借りてええ? 救世主さまゆうても来たばっかでなぁ」
末裔
「我々なんかよりも、救世主さま同士でお話された方がずっとよいでしょう」
末裔
「この村は救世主さまのおかげで成り立っています。どこでも自由にお使いください」
伊月鮮己
抵抗する気力もないので、ふらふらとついていきます。
末裔
白兎の末裔たちは遠巻きに救世主たちを見ていましたが、それぞれの仕事に戻っていきます。
末裔
痩せた畑の面倒を見たり。
濁った水で襤褸布の服の洗濯をしたり。
一頭だけいる馬の世話だとか。
楠瀬新
というわけで、一個だけある宿を借りました。
楠瀬新
宿っていうか……まあ……かなりお察しのボロ建物なんですが……
楠瀬新
4 宿。酒場の二階にあり、粗末なベッドが置かれている。
楠瀬新
というわけで、粗末なベッドがありますが、腕を組んで壁に背を凭れています。
楠瀬新
「俺も日本やで。楠瀬新ゆうんや」自分を指差して名乗ります。
伊月鮮己
やっと吐き気が治まってきたので、顔を上げて。
伊月鮮己
「おにーさんは、ここで宗教団体とかを運営してる人?」
楠瀬新
「んー、どっから説明したもんやかなあ……」髪を掻いています。
楠瀬新
「宗教とか救うとか運命とかそういうのはお断りのはずなんやけどねえ」
楠瀬新
「どっちかちゅうと、この国全体が宗教団体、みたいな?」
伊月鮮己
「さっき日本人か聞いてたもんね。住民みたいな人の様子も変だったし、ここは少なくとも日本じゃない。」
伊月鮮己
「…母は私の知らないうちに借金でもしましたか。それともとうとう教団だけの国でも作って移住しましたか。ずっと理想の国がどうとか、言ってたし。」
伊月鮮己
完全に借金のカタに売り飛ばされたか、教団が行くところまで行ったかと推理しています。
伊月鮮己
「おにーさん、救世主なんでしょう。運営本部の人?それとも新しい教祖様?」
伊月鮮己
「…あの 帰してくれませんか。おにーさん、偉い人なんでしょう。」
伊月鮮己
「帰らなきゃいけないんです。ここにきてないってことは、今もまだ家にいるはずだから。アタシだけ売り飛ばされたなら難しいかもしれないけど、でもなんでもするから」
伊月鮮己
「帰らなきゃいけないんです。家に。あの、弟がいるの。まだ五歳の。あの家に、きっと一人で。」
伊月鮮己
「アタシがここにいるのが教団の意志なら難しいかもしれないけど、でもあの子が死ぬとあなたたちも困るでしょう?救世主様の子だもの。きっと母は面倒なんか見てないわ。あたし、家に帰ってももっと貢献する。今度は抵抗なんてしません。何もしないから、何かしろっていうならなんでもするから、お願い、あの子のところに」
楠瀬新
「心配なん分かったし、俺も帰せるなら帰してやりたいけどな」
楠瀬新
「あー……とりあえず、こっちの話聞かんか?」
楠瀬新
「俺があんたさんよりはこの国のこと知ってるってのは、わかるやろ?」
楠瀬新
楠瀬はこの世界について1から説明をします。
楠瀬新
堕落の国。かつて訪れた救世主――アリスが去り、荒廃した世界。
楠瀬新
救いを求め、異世界より救世主を呼ぶ仕組み。
招待状。6ペンスコインとそれによって引き起こされる、
「心の疵」という奇跡の力。
楠瀬新
奇跡の力を持つ救世主に助けを求めるしかない無力な末裔たちのこと。
楠瀬新
「救世主は30日に1回、”裁判”をして殺し合わなあかん」
楠瀬新
「そこで人死を出さんと、救世主は亡者ゆうバケモノにされる」
楠瀬新
「さっきのアレ、まあほぼなりかけやったな~」
伊月鮮己
「…30日に1回殺さないと、あたしがアレになる」
楠瀬新
「こう、基本的に人間の形とかなくなる感じや」
楠瀬新
「いやアレもそうだったな」意思の疎通に関しては。
伊月鮮己
「…この世界で、あれを殺すのは咎められないの?」
楠瀬新
「まあ基本殺し合いを咎められる世界やないね」
楠瀬新
「あんまり悪辣な手段で被害バシガシ出しとると目ェつけられるらしいけどな」
楠瀬新
「裁判に参加してる時点であんたさんも責務はクリアしとるで」
伊月鮮己
「そっか…ごめんなさい。さっきあたし、かなり見当違いなことを沢山言いました。」
伊月鮮己
「おにーさんが嘘ついてないのは、わかるし。ここはそういうところなんだね。」
楠瀬新
「まあしゃあないて。冗談みたいな国やけん」
楠瀬新
「急にあんなん襲われるとか、俺よかハードモードやで~」
伊月鮮己
「本当に。アタシが救世主だなんて…悪い冗談だよ。」
伊月鮮己
「おにーさんは慣れてたましたね。ここが長い人?」
楠瀬新
「まあ、でも、ろくでもないからろくでもないに渡ってはきたからなあ」
伊月鮮己
その割には慣れてない?と、あの美しい手捌きを思い出す。
伊月鮮己
「…大変な生き方とか、してきた感じなのかな。わかんないけど。」
楠瀬新
「多分あんたさんの知る日本とはちょお違うんや」
楠瀬新
「狂った世界の話の後にまた狂った世界の話聞くかあ?」
伊月鮮己
「…なんにせよ、さっきはありがとうございます。助けてもらったのに、お礼が言えてなかった。」
伊月鮮己
警戒は解けないけれど、目の前の男にひとまずの害意がないことはわかる。
楠瀬新
「そんな礼言われることでもあらへんて。礼は礼で、素直に受け取ってはおくけどな」
楠瀬新
「俺は状況見極めて、勝ち馬に乗っただけや」
伊月鮮己
「そうだね。それでも、あのままじゃ多分あたしは何もわからないままだったから。助かったのは本当だし。」
伊月鮮己
「…助けられついでにもう一つ聞かせて。この国から出る方法って、本当にないの?」
伊月鮮己
帰せるものなら、と先ほど言われたことを思い出す。
楠瀬新
「まあ、救世主とか呼ばれとる俺が、あんたさんと大差ない立場だったこと」
楠瀬新
「ここは第一に理解してもらえたかと思うけど」
楠瀬新
ちゅうかあの救世主呼ばわりあんたさんも含まれとるからな、とワンクッション置いて、
楠瀬新
「で、ここにさらに一人、この世界に落ちたて救世主が来るとするやろ」
楠瀬新
「そいつに『帰りたいんです! どうにか帰してください!』と言われたら」
伊月鮮己
「そっか、そうだよね…よくわかった、ありがとう。」
楠瀬新
「でも、まあ、一応あんたさんよかすこぉしだけ長い」
楠瀬新
「この国の果てにあるらしい、巨大な洞穴だとかなんとか……」
楠瀬新
「その縦穴の一番上を抜けると、元の世界に帰れる、だとかいう」
楠瀬新
「まあ……噂やなあ。そもそも果てってどこやねん」
伊月鮮己
「…こんな状況なら、きっと誰でも外に出たいはず。それなのにそんな美味しい話が噂のままって言うなら…きっとそういうことだよね…」
伊月鮮己
「……かわいい子なの。頼りなくて、弱くて。でもすごく綺麗で」
伊月鮮己
「私の手を、握ってくれる。…うち、ちょっと事情があって…あんまりいい環境じゃないから。あの子は、私が守らないと…」
伊月鮮己
「だから…お願いします。…………私にできることはなんでもするから…手伝ってもらえませんか。帰る方法を探すこと」
楠瀬新
「とりあえず、生き延びないことには帰るも何もないやろ?」
楠瀬新
「そのための利害なら、とりあえず一致させとこか」
伊月鮮己
「…あたしからおにーさんに提供できるものがあるかわからないけれど、望まれることには応えます」
伊月鮮己
暴力 振るわれる側にいたことはあっても、振るう側に立ったことはなかった。さっきまでは。
楠瀬新
「あんたの特性は多分暴力や。俺はちょっと……この世界じゃちゃうみたいやからなあ」
楠瀬新
「ほら、さっき、めちゃくちゃシバいとったやろ?」
伊月鮮己
「…やります。暴力。めちゃくちゃやります。」
伊月鮮己
「だから…よろしくお願いします。楠瀬さん。」
末裔
「あのう……」先程二人を出迎えた少女の声です。
楠瀬新
「さっそくあんたさんの暴力の出番かもしれん」
楠瀬新
1d12 荒野シーン表 (1D12) > 8
楠瀬新
8 瓦礫の山。積み上がった夥しい量の建物の残骸。一昔前は、大きな街だったのかもしれない。
楠瀬新
先程の白兎の少女――メアリの弟である、アンディという少年。
楠瀬新
それが村の外に出てしまい、行方不明になっているそうなのだった。
楠瀬新
楠瀬は彼女に頼まれてその捜索をしているところで鮮己を発見したのだとか。
楠瀬新
というわけで、二人で探索をします。
救世主であれば荒野を多少はうろつけるので。
楠瀬新
時折なんか……変なバケモノとかに遭遇しかけはしますが……基本的には楠瀬が気づいてやり過ごしています。
楠瀬新
荒野を歩くうちに、あなたは違和感を覚えます。
楠瀬新
元の世界にいた頃では、こんなに歩き続けることはできなかったはずだ。
楠瀬新
自分はただの女子高生。スポーツをやっていたわけでもなく、体力的には普通の少女に過ぎなかったはずなのに。
楠瀬新
これほどに荒野を歩かされて、疲れはしているけれど、まだ動ける。
伊月鮮己
(すごい…これだけ歩いて、ほとんど疲れてない。本当にあたし、救世主なんだ…)
楠瀬新
そして目の前の男も同じ特別な力を与えられた存在であった。
楠瀬新
あなたとは少し、傾向が違うようではあったが。
楠瀬新
「……まあ、手分けして探すか」仕草だけの腕まくり。
楠瀬新
*才覚で判定して高い出目を出した方が見つけましょう。
楠瀬新
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 11[6,5]+3 > 14 > 成功
伊月鮮己
2d6=>7 判定(+才覚) (2D6=>7) > 11[5,6] > 11 > 成功
末裔
小さくなってぷるぷると震えている白兎の少年がいました。
末裔
というか、べったり潰れてる。起き上がる力もなさそう。
楠瀬新
アンディに声かけても仕方ない状況なので、鮮己の方に声かけます。
末裔
すごく細くてちっちゃいんですが、5歳くらいの男の子です。
末裔
まあ基本的にあの村の末裔全員こんな痩せ細りぶりだけど、特に酷い。
伊月鮮己
「怖かったね、偉いね。もう大丈夫だよ、お姉ちゃんたちと一緒に帰ろう」
末裔
それを持ち上げるあなたの腕力も、元の世界よりも強くなっている。
伊月鮮己
(軽い…今頃、あの子もこんなふうになってないかな…ちゃんとご飯、食べられてるかな…)
楠瀬新
ポケットに手を突っ込んだまま、鮮己が抱えた末裔の少年を覗き込む。
末裔
作りものの白い花が、少年の手の中に握り込まれていた。
楠瀬新
「姉ちゃんにやるゆうて、大切~に作っとったわ」
楠瀬新
「風にでも飛ばされたの、追いかけたんかねえ」
楠瀬新
「メアリ――あの白兎の姉ちゃんには内緒にしたろな」
伊月鮮己
「…優しい子だね。きっとお姉ちゃんはね、君のことが大好きで大切だよ。君がいてくれたら、きっとそれだけでいいはずだよ。…だから、もう危ないこと、しちゃダメだからね。」
伊月鮮己
腕の中の少年に向かって、独り言のように話しかけている。
末裔
それでも、あなたの腕の中にある、このぬくもりだけは本当だ。
メアリ
村の入口であなたたちを待ちわびていた白兎の少女が、その姿を認めるや必死に走ってくる。
メアリ
「ありがとうございます、救世主さま……!」
伊月鮮己
「いいんです。弟さん、ちゃんと見ていてあげてくださいね。」
楠瀬新
ほらほらと促して行かせます。喜びに飛び跳ねてる場合やないで。
楠瀬新
「先に手伝ってもろたの、こっちになってもうたなあ」
伊月鮮己
「いいの、気にしないで。アンディくんが無事で、あたしもよかったと思ってるから。」
伊月鮮己
眩しげに、二人が去っていった方向を見つめている。
楠瀬新
*というわけで、手番の行動をやっとします。
伊月鮮己の心の疵『おとうと』を才覚で舐めます。
伊月鮮己
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
伊月鮮己
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 7[2,5]+3 > 10 > 成功
楠瀬新
2d6+3+2-5=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-5>=7) > 3[1,2]+3+2-5 > 3 > 失敗
[ 楠瀬新 ] ティーセット : 2 → 1
[ 伊月鮮己 ] HP : 18 → 17
伊月鮮己
「救世主の使命とかって、仕組みは最悪だし名前も最悪だけど」
伊月鮮己
「…ああやって、笑顔の人がいるのは、きっといいことだね。」
楠瀬新
「こういうのを励みにしつつ、とりまやっていきましょか~」
伊月鮮己
「そうだね。……楠瀬さん、案外親切だね」
楠瀬新
「こゆとこでポイント稼いどくと巡り巡っていいんやで」
伊月鮮己
「ほんと、体が軽いのには驚いちゃった。これくらいならなんとかやっていけそうかも。」
伊月鮮己
この人のこういう言い回しは嫌いではない。目的があることが明け透けで、でもあたし自体に興味はない。あたしに過剰に何かを求めない距離感は、落ち着く。
伊月鮮己
「いや、最悪だけどその通りだね。疵ってよくわからないけど。」
楠瀬新
他愛ないやりとりをかわしながら、決定的に踏み込むことはなく。
行動:伊月鮮己
伊月鮮己
11 貯蔵庫。地下に作られてひんやりしている。今にも底をつきそうだ。
GM
1d6+2 日後 (1D6+2) > 2[2]+2 > 4
GM
鮮己がこの世界に落ちてから4日が経ちました。
GM
まあまあたいへん辺鄙な村で、娯楽らしい娯楽もまったくなく、といった次第なのですが、
GM
荒野へと他の救世主を探しに行ったり、末裔たちの手伝いをしたり、などといった暮らしをしていました。
GM
救世主はなかなか見つかりません。辺境の村ですので。
GM
というわけで、成果としては末裔の手伝いのが手応えのある仕事になっていますね。
GM
家事炊事の手伝いとか、ものを運んだりとか、壊れかけた家を直すのを手伝ってやったりとか。
GM
末裔たちはたいへん恐縮するし、震え上がるのですが、まあ楠瀬はうまいこといなしてます。
GM
そのぶんまあまあ上等な食事が出されています(※辺境の村の末裔食事比)。
GM
なんと……味のほとんどしないスープに芋のかけらみたいなのが僅かに混ざってたりする……
GM
パンも……ある……すごくかたいやつだけど……
GM
救世主とはいえお腹がすきはするので、そこはありがたくいただきつつ。
GM
でもこうして、保存食を運び込むのを手伝った流れで、貯蔵庫を眺めると改めて思う。
GM
この村、あるいは国の食糧事情の、どうしようもない逼迫ぶりを。
伊月鮮己
何日も食べられないことは、昔もあった。自分一人では料理もできなかった頃。家の床に何日も転がっているだけだった。
伊月鮮己
でも、それともまた違う。この村の貧しさは、自分の境遇とはまた質が違うものだ。
楠瀬新
「……賞味あんまやりとうないんやけど……」
楠瀬新
「やっぱ亡者狩らんとあかんか? これ……」
楠瀬新
「そ。まあ俺も大して詳しゅうないんやけど」
楠瀬新
「亡者からなんかの素材剥いだり、死体の肉食ったり、とかは」
伊月鮮己
「まあ、そうだよね。肉は肉だし…手段としてはありなのかも。」
伊月鮮己
「ここの村の人、本当に碌なもの食べてないし…成長に良くないとかのレベルではないもんね。もう少しどうにかできるといいんだけど…」
楠瀬新
「次救世主探し行くとき、まあまあ楽そうな亡者見かけたら考えるかー……?」
楠瀬新
まだまだ”責務”には26日の余裕があるのですが。
楠瀬新
期限ギリギリになってから慌てて殺せそうな救世主を探しに出る、なんてのはまっぴらです。
楠瀬新
というのが、とりあえずのこの男の考え方である様子。
伊月鮮己
「育ち盛りの子供にこれ、あんまりだよ。いくら世界が世界とはいえさ…」
楠瀬新
実際その結果殺しやすそうな発狂中の救世主を見つけたという戦果もありました。
楠瀬新
「実際俺らの飯もどんどん味のうなってるしな~」
楠瀬新
最初はもうちょっと……保存食が入ってて……干し肉のかけらみたいなものもあって……
伊月鮮己
「そうだね。楠瀬さん、一応日本の人だったんでしょう。そろそろきついんじゃない?」
伊月鮮己
自分は…まあ、あと少しひどくなるくらいまでなら耐えられる。でも目の前の男が現代日本で真っ当に生きてきたのならば、この食事の質は厳しいのではないだろうか。
楠瀬新
「はよ帰ってモスコミュール作って飲みたい」素朴な欲望が出た。
伊月鮮己
自分に一応の親切を見せてくれている人間だ、なるべくは快適にくらしてほしい、とくらいは思う。
楠瀬新
「ウォッカとジンジャーエール、あとはライム」
楠瀬新
「バーテンダー的なんやっててんよ。これでも」
伊月鮮己
「へえ〜そうなんだ!お酒は飲めないから全然知らなかった。楠瀬さん、バーテンダーさんだったんだね。なんかそれっぽいかも。」
伊月鮮己
この男から、この男の元の居場所のことを初めて聞いた。
楠瀬新
「せやろ~? キマっててんやで、これでも」
楠瀬新
バーテンダーがカクテル混ぜるやつみたいなジェスチャーをします。
伊月鮮己
「ふふ、そうだね。楠瀬さん、なんだかんだ優しい人だし。待ってる人も多いんじゃないの?」
伊月鮮己
*手番の行動をやっとします。
楠瀬新の心の疵『責任』を猟奇で舐めます。
楠瀬新
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
楠瀬新
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 9[3,6]+0 > 9 > 成功
[ 楠瀬新 ] HP : 15 → 14
[ 楠瀬新 ] ヤリイカ : 1 → 0
伊月鮮己
2d6+3-3+2=>7 (2D6+3-3+2=>7) > 7[5,2]+3-3+2 > 9 > 成功
[ 伊月鮮己 ] ティーセット : 1 → 0
[ 楠瀬新 ] 責任 : 0 → 1
楠瀬新
「みんな寂しゅうて涙で枕濡らしとるかもしれん。参ったな~」
伊月鮮己
「そうだね…きっと、寂しがっている人、いるんじゃないかな。」
伊月鮮己
帰れないこの状況で、こんなことを言うのはひどいのかもしれない。それでも、己に親切にしてくれるこの人間には、誠意を返したかった。
伊月鮮己
「だって、楠瀬さんいい人だから。いきなりいなくなったら、絶対寂しい人がいるよ。」
楠瀬新
なんか貯蔵庫寒いしずっといるの違うな。適度に場所を移すか。話しながら地上へと出ていきましょう。
楠瀬新
本当に辺鄙な村だ。日本のド田舎の村なんて目じゃない。
楠瀬新
陽の光を覆う分厚い雲。その下にほそぼそと息づく寂れた村。
伊月鮮己
「本心だよ、一応。あと楠瀬さんはそう言うのじゃないでしょ。あたしに興味ないの、ちゃんとわかってる。」
楠瀬新
無力で害のない白兎の末裔たちとともに、今はどうにか日々を営んでいる。
伊月鮮己
「本当のオオカミはさ、もっと最悪な目をしてるよ。…楠瀬さんが見てるのって、少なくともあたしじゃないもの。」
伊月鮮己
この男の執着は、多分ないわけじゃなくて、もっと別のところに向けられていると思う。
伊月鮮己
「はは、楠瀬さん年下は好みじゃないんじゃなかった?」
伊月鮮己
現在のところ自分に興味がないことが肌感でわかっているので、警戒を完全にとけはしないながらも、こうやって軽口を叩ける。
楠瀬新
「そりゃあ日本じゃ選り好みできとったけどなあ……」
楠瀬新
「俺に興味あって今泣いとる娘はぎょーさんやね」
楠瀬新
「罪な男やろ? あんま気ィ許さんといてや」
伊月鮮己
「そうだね。じゃあ、そんな危ない楠瀬さんとは早くバイバイできるように、元の世界に帰りたいね」
楠瀬新
「俺も元の世界帰って泣かせてもうた娘たちに謝らんとあかんわ」
楠瀬新
「別に、帰ってきてほしいと思われてるから帰るんとはちゃうけどな」
伊月鮮己
「あたし、思われてるわけじゃないよ。帰らなきゃいけないから帰るだけ。」
伊月鮮己
「帰らなきゃ、いけないの。これはあたしの責任。あたしの唯一。あたしのたった一つのためだから」
伊月鮮己
「あたしのたった一つを、そうしないと守れないから。…大勢の人が待ってなきゃ、誰しもから歓迎されなくちゃ、帰っちゃだめ?」
楠瀬新
「それこそ、まあ、自由ってやつとちゃうか?」
楠瀬新
「まあゴミカスの吹き溜まりの世界で、最悪の責務なんちゅうもんもあるけど」
楠瀬新
「今はそれなりの力があって、末裔どもには感謝されるし、歓迎される」
楠瀬新
「この世界で救世主やっとるより、日本で生きる方がええんやろ」
楠瀬新
「自分を待っとるわけでもない相手のために、帰りたいんよな」
伊月鮮己
「うん。…そうしないと、あたしがあたしでなくなっちゃうから。」
楠瀬新
「それ放っとくんは、まあまあ寝覚め悪いわ」
楠瀬新
「そゆのはアンディにゆうときや~。結構調子良くなってきたやん」
楠瀬新
栄養状態もゴミカスなのでずっと粗末なベッドにふせっており、
伊月鮮己
「ちょっとね。なんか…ううん、変だね、楠瀬さんの方が年上なのに、弟みたいに見えちゃって。ごめんね。」
伊月鮮己
「あたしね、自分が帰りたいのと同じくらい、楠瀬さんが帰れるといいなって思うよ。」
伊月鮮己
「アンディの様子も、あとで見に行かなきゃね。この片付けが終わったら寄ってみようか。」
楠瀬新
「やっぱそう思うと、亡者狩りになるんかねー……食えるんが引っかかるとええけど」
伊月鮮己
「ワインを吐くやつがいるんだっけ。…未成年も飲んでいいのかな。楠瀬さんのバーテンの技量も見てみたいし、そういうのを探してみよっか?」
楠瀬新
「ワイン一本で腕試しとかキツいこと言うなあ!」
GM
曇天の下に、救世主と末裔がほそぼそとした営みを続ける国。
GM
暮らしの中には会話がある。会話があれば心の交錯がある。
GM
交錯に波打つ心の所作を、抑えきれぬからこその救世主。
GM
どれほど線を引こうとも、どれほどうまく躱そうとも、逃れられぬが救世主の宿痾。
GM
冷たい風が、古びた掘っ立て小屋に吹き付けていた。
マスターシーン
GM
ではちょっとした雑事を片付けたあと、あなたがた二人はあの白兎姉弟の家を訪れます。
GM
この村の他の家と同じなんですが、だいぶなんというか、あばら家です。
GM
床に敷かれた布団代わりのボロ布に、アンディが横たえられている。
メアリ
メアリはアンディの身体を拭いてやったところのようです。
メアリ
木でできたタライに、濁った水が満ちている。
メアリ
それでも身体を拭けるだけはまし、ということなのだろう。
アンディ
アンディもゆっくりと頭だけを起こしてあなたたちを見ます。
メアリ
メアリの方は救世主をもてなそうと腰を上げていますが、まああばら家ですので……
伊月鮮己
「ああ、いいんです座って座って。弟さんを見ていてあげてくださいね。」
アンディ
こくこく頷いている。声はうまく出ないようだ。
アンディ
欠けてひびの入ったガラス瓶にさされた、襤褸布を撚り合わせて作った造花。
楠瀬新
「こればっかはあんま急いでもしゃあかいからなあ」
伊月鮮己
「そうだね…悪化はしていないようだし、ひとまずはよかった、かな。」
アンディ
ゆっくりと頷いています。笑顔らしきものをどうにか浮かべる。
アンディ
元気がないのでしろいおみみはぺたんです。
メアリ
「救世主さまがたは……今日も、村の手伝いを?」
伊月鮮己
「ええ。置かせてもらっているんだもの。簡単なことくらいお手伝いしなくちゃいけませんからね」
メアリ
「置かせてもらっているだなんて、そんなそんな」
メアリ
おねえちゃんはびっくりするとぴん! とおみみがたちます。
メアリ
「……本当でしたら、他の村……というか、街に行くことだって、救世主さまはできるはずです」
メアリ
「私たちと違って、荒野をゆくことができるんですから……」
伊月鮮己
実際、元の世界に戻る方法があるのなら、自分は薄情なくらいすぐにこの村を出ていくだろう。でも、今すぐにそれをしないくらいには、ここは居心地が良かった。
伊月鮮己
「いえ、私はここにきたばかりで、正直まだ右も左も分からないんです。だから、拠点があると言うのはありがたいことなんですよ。」
メアリ
生活環境は劣悪だが、末裔たちはあなたたちにとても親切にしてくれる。
それが庇護という対価を求めてのものであっても。
メアリ
そもそもこの村を出たところで、ここより良い暮らしができる保証はどこにもなくはある。雨風をしのげる場所があり、食べ物がある。それだけであの荒野よりはよほどましだ。
伊月鮮己
村人の視線は、正直気持ち悪い。母に似たそれは、今でもたまにぞっとする。でも「本物」よりは随分とマシだものね。
メアリ
冷たい風が吹き込んで、アンディが首をすくめる。メアリが布団代わりの襤褸布をかけなおす。
伊月鮮己
そんな気持ちは飲み込んで、ねえ?と楠瀬さんの方を見る。
メアリ
この姉弟は、助けや救いを求めるばかりの他の村人たちに比べ、あなたたちに素直に懐いているように感じられるところがあった。
メアリ
「この国に来たばかりのアザミさまと違い、クスノセさま」
メアリ
「人の集まる街に行かず、わざわざ救世主を求めて荒野をゆくのはどうしてですか」
伊月鮮己
「まあ、そうですね。荒野にもああいうのが一定数いるのではないですか?その、あまりに強い相手だと、あたしでは正直不足がありそうだし…」
伊月鮮己
それに、日数はまだある。あまり無理に焦る必要もない…のだと思う、多分。
伊月鮮己
その辺の塩梅が、正直まだわからない。この辺りは完全に楠瀬頼みになっているのが現状だ。
メアリ
「……ここから街まで、そう遠くはありません」
メアリ
ギリギリ原型を留めていない感じの戸棚から、白兎の少女は紙切れを取り出します。
メアリ
この村はその端っこの端っこに位置していますが、確かに近くにまあまあ栄えた村っぽいものがあるみたいです。
メアリ
「救世主さまの足でも片道二日はかかりますが……」
メアリ
「街に行けば、その間、この村はがら空きになる」
伊月鮮己
「わざと意味深にきこえる言動をするのが悪いんじゃないの?だから深読みされがちなんだよ」
伊月鮮己
「…ありがとう。あなたたちは本当に優しい子たちですね。」
メアリ
「私達はただ救世主さまに助けていただくだけの身です」
アンディ
ちょっとばつのわるそうに耳をぺたんとさせています。
メアリ
「もし他の救世主さまと”裁判”ができなかった場合」
メアリ
「救世主さまがたは、お二人で”裁判”をしなければなりません」
メアリ
「それは……すごく、すごく利己的なことを言うと」
メアリ
「……ですから。少しくらい町をあけてもらっても大丈夫です」
メアリ
「地図だって、私達には無用の長物ですから……」
メアリ
どうせこの村を出られはしませんから、と眉を下げる。
伊月鮮己
弱くて、利己的で、だからこそ他人に優しくすることしかできない生き物。
メアリ
白兎。この堕落の国でもっとも数の多い末裔とされる存在。
伊月鮮己
まるで、数日前までの己を見ているようで。憐憫とも怒りとも同情ともつかない、不確かな感情でクラクラする。
伊月鮮己
「…そうですね。あなたの言う通りです。」
伊月鮮己
「楠瀬さん、どう思う?私は一理あると思います。」
楠瀬新
「街は街で狂った連中に目ェつけられるんがあるけどなあ」
楠瀬新
とはいえ、強硬に反対するほどじゃないな……
楠瀬新
「せまァい村で裸の王様やっとってもしゃあないってんなら、まあわかるで」
伊月鮮己
「だとしても最悪、楠瀬さんは逃げられるんじゃないの?絡め手タイプみたいだし…」
楠瀬新
「6ペンスの数で上回られたら基本どうもならへんからな」
楠瀬新
俺たち10枚族。救世主として活動するためのギリギリの単位やで。
楠瀬新
「置いてくの寝覚め悪いって話はしたばっかやしな」
伊月鮮己
「…そうだね。結論を出すのは早い方がいいけど、食糧問題も普通に火急の話だし。」
楠瀬新
「俺らかて街行ったからって即メシ食えるわけやないんやからな」
伊月鮮己
「アンディたちが食べ物に困らないくらい、あたしたちもお弁当を持って街に行けるくらいにしようか」
伊月鮮己
亡者食でそこまでできるかはまあ別として…
楠瀬新
「人喰い三月のジャーキーとか意外と悪ないで」
伊月鮮己
「よし、じゃああたしも頑張るよ〜暴力。楠瀬さんとの約束だからね。」
GM
荒野で棚ぼた救世主探しをするついでに、比較的容易に狩れそうな亡者の相手をすることになりました。
GM
そのあたりの見極めは多少は経験がある楠瀬がやり、基本的には鮮己がトドメを刺す、みたいな。
GM
楠瀬は亡者の解体なんかも思ったよりうまくやります。
楠瀬新
荒野で人喰い三月の肉を捌きながら、そんな風に言う。
伊月鮮己
「の割に手慣れてるね。実は経験あったり…」
楠瀬新
「言うたろ、あんたさんとちょい違う日本から来たて話」
楠瀬新
えーと……多分ここに内臓あるやろ? あったからここは慎重に……
伊月鮮己
料理ならできるけど解体は流石にやったことないなあ、と思いながら捌くところを見ています。
楠瀬新
「まあ、実際どうだかは分からんし、あんたさんが知らんかっただけかもわからんが」
楠瀬新
「こういうバケモノとかおって、人食ってたんよなあ」
楠瀬新
「普通の人間には見えんのやけどな~。あと吸血鬼とか魔女とか……」
楠瀬新
内臓を出して、皮を剥いで……この皮使えるか? なめすのか?
伊月鮮己
普通なら荒唐無稽な話だろうが、まあ、現状がこうだしな…と思っている。あと、楠瀬が嘘をついているならなんとなくわかる気がするので、本当だろうなとも思う。
楠瀬新
「ま、普通の人間から見たらなんや? ちゅう話やけん」
楠瀬新
「世間一般からは狂人に見られる話しとる自覚はあります」
伊月鮮己
「でもそれなら、まあ実質正義の味方みたいなことやってたんだね。」
伊月鮮己
「見えないならそりゃまあ…世間的にはそりゃ…あれだったかもだけど」
楠瀬新
「そゆのはもっとキラキラしたヒーローに任しとき」
楠瀬新
「おったでぇ、なんか光振り撒いて戦うやつ」
楠瀬新
肉を剥いでいます。これがジャーキーになるのか。
伊月鮮己
「へ〜、魔法少女的な?なんでもありなんだね…」
楠瀬新
「あ、そうそう、それでそういうバケモノ食うやつもおっとってんな」
楠瀬新
「バケモノ食うとそれで力得られるとかなんとか……」
楠瀬新
「コワ~思うてたけど、まさか自分がそっち側に行くとはなあ」
伊月鮮己
「楠瀬さんは、そう言うパワーがあったわけじゃないのに戦ってたの?」
楠瀬新
「こっち来てから設置いらんくなったけん、そこはマジで楽やわ」
伊月鮮己
「あ、元からそういう感じだったんだ。それなら手慣れてるわけだね」
楠瀬新
一通りの解体が終わったのか、ふうと息をついて汗を拭う。
楠瀬新
「そういうバケモノ狩りの邪魔してくる奴を、殺したりもしとった」
伊月鮮己
今更だけど、この男初対面の時に「この辺罠が多い〜」とかいけしゃあしゃあと言ってたな?設置したのこいつ自身だよな???と今更思い当たる。けど、言わない。大人なので。
楠瀬新
「いや、殺しとうて殺しとったわけやないけど」
楠瀬新
「心の疵~みたいなふしぎパワーもなかった頃やで」
伊月鮮己
「それは…思想的に対立してた人が邪魔しにきて、ってこと?それともたまたまそこにいた一般の人を、ってこと?」
伊月鮮己
「だって、楠瀬さんが化け物を狩らないとさ、もっと多くの人が死んでたんでしょ。きっと。」
伊月鮮己
「人殺しって、そりゃ全肯定はしちゃいけない…けど。否定もできないよ。」
伊月鮮己
多分、あたしも弟のためならそうするから。
楠瀬新
「俺はまあまあ甘い汁吸うとっただけやけどな~」
楠瀬新
「吸血鬼とか結構溜め込んでたりしたんよな」
楠瀬新
「あれはなんちゅうか……一回入ったらもう戻れん世界やったからなあ」
楠瀬新
「いっぺん足突っ込んだら最後、あとはバケモノに狙われる側になるけん」
楠瀬新
こう、ちょっと首を竦めてみせて。あんな感じの確度で。
伊月鮮己
正直、「せやで〜がっぽがっぽや」なんて茶化して言われると思っていた。から、驚いた。
伊月鮮己
この人は、自分ではどうにも抜け出せない汚泥みたいな環境で
伊月鮮己
それでも、足掻いて、足掻いて生きてきた人なのだと思った。
楠瀬新
「こんな胡散臭い年上の男捕まえよってからに」
伊月鮮己
「うん、楠瀬さんは嫌がるかなって思った。けど」
楠瀬新
「そんでもって、流れ流れてこの堕落の国や」
楠瀬新
ほい、と、人喰い三月の肉を詰め込んだ革袋の半分をあなたへと差し出します。
伊月鮮己
「…そうだね。」今更、自分に選べるような幸福な生き方があるとは思えないけど。
伊月鮮己
「楠瀬さんが、生きててくれて良かったよ。あたし。」
伊月鮮己
初めてあたしを助けてくれた人が、少しでも幸福な生き方ができたらいい。と思う。
伊月鮮己
袋を受け取る。私の方がパワーあるし多めにもらっちゃおう。
伊月鮮己
「捌いてくれてありがとう。結局この辺任せきっちゃってごめんね。」
GM
あなたたちへと頭を垂れる末裔たちにその肉を分けてやり、
GM
メアリとアンディからは特別、純粋な感謝のまなざしを向けられながら、亡者の肉を狩っては戻る。
GM
貯蔵庫もそれなりに埋まって、まあ自分たちの手弁当に肉を回していいかな、という感じ。
GM
この国に訪れる冬の到来を告げるかのようだった。
GM
旅支度を整えて、メアリとアンディのあばら家を訪れる。
アンディ
おなかのあたりに抱きつきます。てちてちとっ。
アンディ
おみみもちょっと元気にひょんひょんになってきました。
伊月鮮己
あらあらうふふ 弟くらいの歳の子は素直にかわいいねえ
アンディ
あなたがたから与えられた亡者の肉を食べ、けっこう栄養状態がよくなってきたみたいです。
伊月鮮己
「かなり元気になったのね!ふふふ、良かったあ…」
伊月鮮己
弟という存在のことを基本可愛いと思っているのでニコニコ
伊月鮮己
「もう痛いところはないですか?平気そう?」
アンディ
鮮己からちょっと離れて、胸をはろうとして……
伊月鮮己
この村を空けるにあたって一番心配だったのはこの姉弟のことだ。これなら一旦ここを離れても大丈夫そう…だろうか?
伊月鮮己
「ええ、そのつもりです。そろそろ本格的に責務を果たさないといけないでしょうから。」
メアリ
「……そうですね。お二人の足なら、街までそれほどはかかりませんし」
アンディ
アンディは頷いて、ちょっとよろつきながらも
アンディ
自分が長く臥せっていた襤褸布の方へと向かいます。
アンディ
ひび割れたガラス瓶に活けられた、あまり上等ではない布の造花。
メアリ
「……バカなことで、迷惑かけちゃいましたね」
メアリ
「私には、この子がいてくれればそれでいいのに」
伊月鮮己
「…馬鹿なこと、なんて思いません。大切な人の思いを大切にすることが、馬鹿なことなんて。あたしは、絶対に思わない。」
伊月鮮己
「…でも、そう。そこにいてくれるだけで。それだけでいいんだよね。…その気持ちも、すごくわかるよ。」
メアリ
「……ありがとうございます。ええ、ええ、……そうなんです」
メアリ
「そうしようって、決めたんです。アンディと」
伊月鮮己
「二人の気持ちがとっても嬉しい。ありがたく、受け取らせてもらいます。」
伊月鮮己
「これを持って、必ず楠瀬さんと二人でこの街に戻ります。待っていてくださいね。」
楠瀬新
こっちはこっちでアンディの頭をなでくりしてます。
アンディ
鮮己に撫でられるのよりちょっと居心地わるそう……
GM
あばら家の外から、何重にも重なる悲鳴が響いた。
GM
あばら家を飛び出した二人が目の当たりにしたもの。
GM
氷漬けにされた、この村の住人たちの姿だった。
亡者
光という光を吸い込むような、深淵の闇をまとう剣を腕に提げ。
亡者
凍えた風を吹きつけて、周囲のものを氷漬けにしていく。
亡者
――あなたたちのような駆け出しの救世主が太刀打ちできる存在ではない。
亡者
荒野を彷徨っていたときに見かけたものとは性質が違う。根本的な格が違う。
亡者
ただ一瞥しただけで、何もかもを凍りつかせる災害の権化。
亡者
冬という概念の凶悪性を結晶化したようなそれが、
亡者
村の全てを凍てつかせながら、悠然と行進する。
亡者
何もかもへと雪が降り積もり、氷の中に封じ込められていく。
メアリ
アンディを抱えたメアリが、背後からあなたたちに叫ぶ。
メアリ
「馬が――あちら側の入口に停められた、馬」
メアリ
「二人までなら、なんとか乗せられると思います」
アンディ
幼い白兎の少年は、事態を把握できない様子で不安そうに視線を彷徨わせている。
伊月鮮己
今手を伸ばせば、あの幼い姉弟を抱えられるのではないか?今ならまだ、まだ…!
メアリ
震えている。凍えている。吹きつける風と雪に打たれながら。
亡者
ただ生きている、生きてきただけの、幼い白兎の姉弟だ。
伊月鮮己
自分より大きな手に、反射的に恐怖の叫び声をあげそうになる。けれどその手は凍えたように体温はなくて。だから、抵抗ができなかった。
伊月鮮己
幼い姉弟に、手を伸ばすことが、もうできない。
楠瀬新
空を切った鋼線は、氷に弾かれて千切れ落ちた。
メアリ
白兎の姉弟の恐怖を、新鮮なままに閉じ込めて。
伊月鮮己
何もできない。自分には何もできなかった。
GM
凍える風に追い立てられるようにあなたがたは走り、
楠瀬新
状況さえ違えば、この悪態も、もう少し笑える諧謔に仕立て上げることができたのだろうけれど。
伊月鮮己
大人の男の体温は、恐怖でしかなかった。けれど、明確な命の危機の前にはそういった恐怖も凍ってしまったのか。はたまた目の前の男が特別なのか。ただ楠瀬にしがみつくことしかできない。
伊月鮮己
ただ、無力感に苛まれることしか、できない。
GM
その無力を責め苛むように、あるいは嘲笑うように。
GM
猟奇と才覚、愛によって救われるこの世界においては、