お茶会 ラウンド2
行動:宿木ルカ
GM
三人が辿り着いた末裔の村は、前の村よりはよほどましな様相をしていた。
GM
崩れている建物は少なく、畑は痩せているが荒らされている様子もない。
GM
耳をついた金切り声が、その村の異常を示していた。
イェルク
ネロが様子を窺い、その結果を報告するのを待つより先に。
ネロ
慎重な男らしくもない行動に驚きながらも、後を追う。
GM
怯え惑う彼ら。この世界にはよくある光景の中心に。
宿木ルカ
少女のあまりの剣幕に、そして炎に。息を呑む。
救世主の少女
「あいつのせいで、あんたたちだって、全員死ぬの!」
イェルク
どよめく末裔たちの只中にあって、燕尾服を纏った男が呆然と立つ。
宿木ルカ
どうすべきかも分からずに、二人の様子を伺い見る。
ネロ
理解する。この少女に降りかかったであろう悲劇を。
救世主の少女
口角に泡を溜めたいとけない少女が、その場に目を大きく見開いて。
末裔たち
その視線を追った末裔たちが、やっと救世主の来訪にどよめく。
末裔たち
「救世主さま」「新しい救世主さま!?」「ああ、今度こそ……」「助けて」「救世主さま」「どうか!」
末裔たち
少女に注がれていた恐怖と懇願の視線が、そのまま三人へと向けられる。
末裔たち
伸びた手のひとつが、ネロの服の裾を掴み。ルカの肩を縋り。
イェルク
袖を掴まれて尚、反応を返すことができずにいる。
ネロ
振り払うこともなく、かといって掬い上げることもなく。
救世主の少女
乾いた笑い声に火の粉の弾ける音が混ざる。
宿木ルカ
この痛ましい世界で、少しでも強い者に縋ろうとする気持ちを否定することができない。
救世主の少女
燃えている。身体を焼かれている。焼かれるその身を抱くようにしながら。何かを悟ったように笑っている。
救世主の少女
「助けなら、そいつらに求めなさいよ。まだまだ元気そうで何よりじゃない」
GM
末裔たちにとっては誰でもいい。自分たちを救ってくれるものであれば。
GM
狂乱のままに叫び散らかすその女よりも、なるほど理性を保ったままの救世主たちのほうがよほど頼りになるだろう。
宿木ルカ
彼女の辿ってきた道程を知らない以上、血を吐くようなその言葉を遮る道理が見つからない。
救世主の少女
「ジュアンは、私を助けてくれた。この世界に落ちたばかりで。右も左もわからない私に、優しくしてくれた」
救世主の少女
「エマは、この世界に来たのは私よりあとだったけど……でも、全然、私より、肝が座ってて」
救世主の少女
「あんたたち、私を殺すんでしょう?」
救世主の少女
「こんな、誰が見てももう終わりの救世主を見つけて」
救世主の少女
「あとは殺すだけの生き餌を見つけられて」
宿木ルカ
かけられる言葉が、僕の中にはどこにもない。
アウレア
女の纏うていたものと同じ色の炎が揺れている。
ネロ
「その炎が己の身から消えることを信じられますか?」
ネロ
「君を焼いている、浄罪の炎が消えて。傷もすっかり治って、幸福に生きる」
救世主の少女
「あんた――あんた、何も知らないで」
宿木ルカ
あの炎を知っている。それが消えないことに、絶望している。―少女とは、違う意味で。
ネロ
「僕が知りたいのは、君が未来に幸福を描くことができるかどうか」
ネロ
「…生とは、幸福であるべきだ。君がその炎が消えると信じられるのなら、僕の愛が君を救うこともできるかもしれない」
ネロ
「幸福を描けない生なのならば、ここで最大の幸福のままに終わらせましょう。僕の愛には、それもまた可能です。」
救世主の少女
「信じられれば、なんとかなるっていうの?」
ネロ
「それが、君の最も幸福になれる望みですか?」
救世主の少女
少女の胸に、二本のナイフが立っている。
救世主の少女
食事をする時に使うような、優美な曲線で形作られた銀のナイフが。
宿木ルカ
ナイフの飛んできた先を見やる。―見当など、つかぬはずもない。
イェルク
男はナイフを放った格好のままその場に立っている。
ネロ
痛みを取る魔法、意識を混濁させる魔法、幻覚を見せる魔法。
ネロ
「嫌な役回りをさせてしまいましたね、すみません。」
ネロ
「せめて幸福のうちに送ろうと思ったのですが」
イェルク
何事か続けかけた男が口元を押さえ、膝を折る。
GM
末裔たちは少し離れたところから救世主たちを見守っている。
ネロ
「飲める水も、あれば。すみませんが用意をお願いします。」
GM
粗末だがましな方の家屋へと案内し、濁った水が用意される。
宿木ルカ
荒れた部屋の中に、少しでもましな場所を作る。
ネロ
先導してくれた末裔とルカに続き、イェルクを半分担ぐようにして部屋に入る。
イェルク
ネロに抱えられるがままに部屋へと招かれ、項垂れている。
宿木ルカ
なるべく埃が立たないように、体を休められるように。
ネロ
「無理をしないで。飲めますか?口を濯ぐだけでも構いませんから。」
ネロ
水を差し出しながら、空間とイェルクに心ばかり清めの魔法をかける。
ネロ
「でもね、僕に起こせる奇跡なんて、あの場にはなかったんですよ」
ネロ
「死者の蘇生なんて、さすがの僕にも出来ない。」
ネロ
「また君の行動に助けられました。…そのせいで、無理もさせてしまいましたが。」
イェルク
「……冷静に考えれば、分かることだった」
イェルク
「……あの炎に、手が、加えられることにも」
イェルク
本人の言う通り、男の介入は些か遅すぎた。
イェルク
あの結末に至るなら、ネロと少女の会話を見守る必要はなかったはずだ。
イェルク
少女にとって最大の絶望を齎すかたちで、彼女の命を絶つことを選んだのか。
イェルク
――恐らく男はその合理性でよく理解している。
ネロ
あの少女に自分解してやれることは、ほとんどなかった。
ネロ
選ばぬ上で、仲間であり愛する2人に、重荷を背負わせたくなかった。
ネロ
今度こそ、愛する2人のために、傷付かぬように、自分がうまくやろうと思ったのだが。
宿木ルカ
2人がそう言うのなら、間違いはないのだろう。
宿木ルカ
予想はしていたけれど、理解したくはなかった事実。
ネロ
イェルクとルカ、二人の顔をそっと眺めている。
イェルク
「あの状況で生き残れるはずもない――というよりは」
イェルク
「あいつは、もう、”終わって”いたから」
アウレア
その炎が自分のみを焼くものでなくなった瞬間に。
イェルク
男はそれをよく理解している。理解していた。
ネロ
善良な妖精ではない自分には、感情の機微を、情動を、うまく形にすることができない
ネロ
「……ええ、僕も、君の気持ちをうまく汲み取れるほど」
イェルク
「誰にでも優しくする女に惚れ込む初心な男に」
宿木ルカ
この人のことを、少しは分かったつもりでいたけれど。
ネロ
「惚れた腫れただけではないでしょう。愛なんてものは。」
イェルク
「”俺こそがあの炎に焼かれたかった”という」
ネロ
恋慕、執着、依存、狂信、友情、背徳、もしくはそのどれでもないもの、不定形たるもの。
ネロ
愛なんて、それがそうだと思えば、そうなるものだ。
イェルク
「正しく裁かれることが、叶うかと思っていたが」
宿木ルカ
本当にあったかどうかも定かではない、誰にも保障のできない記憶の最中。
ネロ
「僕の知っている彼女は……ええ、厭うでしょうね。そのような言葉で他人を焼くことを」
アウレアとの思い出
あなたたちは、彼女への想いに向き合う。
宿木ルカ
「灼かれることのないように…僕を突き飛ばしてまで」
宿木ルカ
未だ残る火傷の痕に手を触れ、記憶を手繰り寄せる。
アウレア
あなたを狙う亡者の一撃を背に受けながらも。
アウレア
その心地よい熱は、すぐに苛烈な浄罪の炎に上塗られたが。
アウレア
あなたの記憶の中には、今も欠けずに残っている。
イェルク
「だから、俺を焼くことなど、望むはずもない」
イェルク
「今、”そう”なり果てたアウレアにならば」
宿木ルカ
生き残った価値など感じられない僕にも、譲れないことがある。
宿木ルカ
「アウレアさんに、お二人のことを任されましたから」
宿木ルカ
「自分から傷つきに行くイェルクさんを、放ってはおけない」
宿木ルカ
あの言葉だけに支えられて、自分は今救世主として立っている。
宿木ルカ
*アウレアとの思い出の「アウレアへの好意」を、猟奇で抉ります。
宿木ルカ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 8[4,4]+3 > 11 > 成功
[ アウレアとの思い出 ] アウレアへの好意 : 0 → -1
宿木ルカ
それでも、あの人の存在が瞼に焼き付いて離れない。
ネロ
自分がアウレアという女と過ごした期間はイェルクよりも短く
ネロ
「僕に話せることも、そう多くはないのですが…」
イェルク
ネロに振った本人も、無理のあることを言った自覚はあるらしい。
イェルク
仕向けた以上その矛先を収めることはしないが。
ネロ
「本物の愛を持った聖女というのは、ああいうひとを言うのでしょう」
ネロ
「揺らぐことなく、確固たる芯のように、体の真ん中を愛が通っているような」
イェルク
「……慈悲深い女であるとは、認識していた」
イェルク
「生き延びるための殺しが迫られる世界だ」
イェルク
「自分が生き延びるため、他者を食い物として殺す」
イェルク
「この世界の生存戦略を前に、どうしようもない矛盾を起こす」
イェルク
「なるべく長く、生かすつもりで、動いていたが」
ネロ
ただ、アウレアという女の大きさを思い知るように、語られる言葉を聞いていた。
イェルク
生きてほしいと願う。生きるほどに罪を重ねることになるこの世界で。
イェルク
その身勝手な祈りを手放しに肯定するには、男は少々賢しすぎた。
イェルク
その願いの無力と、結末に導かれた醜悪を知っている。
イェルク
十全に働いてみせたことも、よく理解している。
宿木ルカ
「突然踏み入ったことを、聞いてしまって」
イェルク
「お前も、困ったろう。突然このような話をされて」
宿木ルカ
「遅かれ早かれ、聞かなければいけないとは思っていましたから」
宿木ルカ
「この国で、僕が…救世主として、生きるためには」
宿木ルカ
「アウレアさんのことも、お二人のことも」
宿木ルカ
「知らないままではいられなかったんです」
宿木ルカ
歩いていけない。手を延べることも、できない。
アウレア
あなたの定めた道程は、託されたその言葉の先にこそある。
アウレア
少なくともあなたはそのように定義している。
宿木ルカ
他ならぬ”僕”に託してもらったことを投げ出すわけにはいかない。
アウレアとの思い出
彼女への好意が、あなたの想いを新たにする。
アウレアとの思い出
希望なきこの国で、あなたが救世主として立つための想いを。
アウレアとの思い出
そのための熱が、あなたの胸にはまだ残されている。
行動:PK その3
イェルク
「お前の、その、何もかもを愛として定義して肯定的に捉える仕草……」
イェルク
「そのまま心の疵への解像度の低さに直結する」
イェルク
「そのように振る舞うことで救われる場面もあろうが」
イェルク
「”敢えて”であれるようにした方が良いと、俺は思う」
イェルク
「愛で全てを肯定し、立ち止まってしまうことは」
イェルク
「”アウレアを愛しているから、少女のことを許せなかった”」
宿木ルカ
彼の、これまでの在り方が。彼をそうあらしめているのだろうか。
イェルク
「お前の言葉を遮って、話を進めざるを得なかった」
イェルク
「お前の愛の堂々巡りでは答えが出ない話題であったからだ」
イェルク
先程の話題で、あなたが踏み入ることのできない領域のあったことを、改めて浮き彫りにする。
イェルク
望まれたままに動くだけの存在としての習性。
アウレアとの思い出
だから、救えなかった女への想いもおぼろげだ。
アウレアとの思い出
イェルクのようには彼女を語れず。
アウレアとの思い出
想いの強さでは、ルカにすら負けているのではないかとも思える。
アウレアとの思い出
その日々の中に立っていた自分。
アウレアとの思い出
その時の自分は果たして、物語の当事者として在っただろうか?
アウレアとの思い出
*ネロの心の疵『○○○』を才覚で抉ります。
宿木ルカ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
宿木ルカ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 7[5,2]+3 > 10 > 成功
アウレアとの思い出
2d6+3-4=>7 判定(+才覚) (2D6+3-4>=7) > 3[2,1]+3-4 > 2 > 失敗
[ 宿木ルカ ] HP : 19 → 18
ネロ
物語の一端であるという在り方を捨て、自分の意志で全てを選び取っていいと言われた先に
ネロ
自分の器には、驚くほど何もないことに気づいた。
ネロ
物語性を捨てたことで、便利な道具としての側面は失われ
ネロ
他者の心と真実を見通していた瞳は、その機能のほとんどを失い
ネロ
世界がぼやけている。意味のあるものが見えはしない。
ネロ
それでも、愛だけがあった。この身たらしめるもの。
ネロ
変わらねばならない。この愛を失わないためには、変わる必要がある。
イェルク
「……俺も、あまり偉そうに説教できる立場じゃあない」
ネロ
もはや自分の意思とは無関係のところで、肉体が、変質を試みている。
宿木ルカ
ネロという存在の輪郭がここにあると、知らせるように。
宿木ルカ
「ネロさんは、慣れていないだけです。きっと」
宿木ルカ
「ずっとずっと、”そう”だったから。…きっと」
宿木ルカ
ずっと、第三者であったから。そうあることを、望まれていたから。
ネロ
「だからこそ、なればこそ、僕は変わらなければいけない」
宿木ルカ
「それが言えるネロさんなら、きっと大丈夫」
宿木ルカ
「分からないことは、”分からない”でいいんです」
宿木ルカ
「僕たちは、一人で立っているわけじゃないから」
ネロ
表情というものが、一度文字通りにごっそり抜け落ちて
ネロ
「僕は善良ではなく、幸福を与える妖精ではなく」
ネロ
「向き合えば向き合うほど、ただの僕であろうとするほど、僕には何もない」
ネロ
「すみません、ちょっと今、僕にもコントロールができなくて」
ネロ
もはや妖精の意志とは関係なく、「愛される誰か」の姿を映す
ネロ
「僕は、僕であるために、愛されていたい。愛を、手放したくない」
ネロ
「そのために、僕が僕である必要が、今の僕には、わからない」
ネロ
「僕は、どのような僕であれば、良いんでしょうか」
ネロ
「強く望まれれば、空っぽの僕の中身は、今なら完全に変質できる」
宿木ルカ
「それでも。…ネロさんがそうある必要は、ないんです」
ネロ
「愛してもらうために変わることを、僕は悪いことだと思えない」
宿木ルカ
「ネロさんが”ネロさん”になったからこそ、そうしてちゃ、いけないんです」
宿木ルカ
「アウレアさんに託されたのは、”ネロさん”のことで」
宿木ルカ
「それだけじゃなくて。…他ならぬ”あなた”と、僕はいたいんです」
ネロ
アウレア、の言葉に呼応して、再び姿が揺らぐ。
ネロ
「君に託した張本人。君に断罪を与えるかもしれない人。」
ネロ
「そんな人が、戻ってくるかもしれなくても?」
ネロ
奇跡に近いことが、今の揺らぎの中でなら、起こせるかも知れないのに!
イェルク
「それに、お前、よく分かっているだろう」
ネロ
「僕は願いを司る存在。そうあってほしいと強く望まれれば、そのようになります。それは僕の意志と関係なくです。」
ネロ
「そうであってほしいと望まれるのならば、僕は」
宿木ルカ
善良なだけの存在ではなくとも。空っぽでも。それでも。
宿木ルカ
「僕に優しくしてくれた、…少し、怖いところもあるけど」
宿木ルカ
「あの”ネロさん”で、いてほしいんです」
宿木ルカ
願いを押し付けることのグロテスクさを、痛いほどに知っている。
ネロ
もう一度、君が見知った、それでいて知らない背丈の少女が姿を表す。
行動:ネロ
ネロ
「でも、君の愛されるための努力を、そのための変質を、僕は悪いものであったとは思わない」
ネロ
「そして、君が望む人が目の前にいるのならば、君が今後役を貼り通す必要もない」
ネロ
「自分であることを肯定して、歩むと。歩めと。」
ネロ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 4[2,2]+3 > 7 > 成功
[ 宿木ルカ ] 「ルナ」 : -1 → 0
ネロ
君と瓜二つの顔をした少女が、君の独白を見つめている。
宿木ルカ
「”ルナ”でいたら、愛してもらえたけれど」
宿木ルカ
かつての自分と鏡映しの顔に、それでも向き合う。
宿木ルカ
「お母さんが、壊れたままでも。………愛されなくても」
宿木ルカ
「僕が。僕を、認めてあげなくちゃいけなかったんです」
宿木ルカ
「とても怖いけど。…多分、すごく痛いけど」
アウレア
あなたの想う、目の前の妖精のものでは、有り得ない。
宿木ルカ
「ネロさんにも、そうあってほしい…です」
宿木ルカ
「”誰か”として求められる痛みじゃなくて、”ネロさん”だからこその痛みを」
宿木ルカ
「痛かったら、痛いって言い合いましょう。…一緒に」
ネロ
ポニーテールの少女から、上品な雰囲気の少女へ
ネロ
呼応するように、少しばかりその姿のまま静止する。
ネロ
女の目と髪色を引き継いだ、女の体をした妖精になって
イェルク
男にはしばらく、息を殺すような気配があったが。
宿木ルカ
頽れそうになりながら、何とかネロの首元に縋りつく。
ネロ
「イェルクのせいではありませんよ。僕の未熟です。」
ネロ
「……君にとって、辛いことだったでしょうに。」
宿木ルカ
「ネロさんが、ずっと痛かったら。僕もずっと、辛いから」
宿木ルカ
「ネロさんにも、辛い選択をさせてしまって」
ネロ
「…良い妖精でない僕は弱くて、無力で、多くを間違えてしまう。」
ネロ
「僕でない方が、きっとうまくいくことが多くある。」
ネロ
「…どうか、謝らないで。私を選んでくれたきみ。」
ネロ
「僕は確かに今、痛くて、でも、幸福なのです。」
ネロ
「君に選んでもらえて、君が痛いと言ってくれて、君が前を向いてくれること、その全てが」
ネロ
「ありがとう。……君が、君でいてくれて、よかった。」
宿木ルカ
「ネロさんでいることを、選んでくれて。ありがとう」
イェルク
「いくら願いを司る存在であろうと、6ペンスがたったの20枚だ」
イェルク
「……お前がお前でいてくれたほうが、余程いい」
ネロ
「そうですね、すみません。僕はどうにも覚えが悪い。」
ネロ
「でも、どうかこれからも付き合ってください。」
アウレア
触れ合い、確かめ合い、そのかたちを確かめながら。
宿木ルカ
*ルカのティーセットを1つネロに渡します。
[ 宿木ルカ ] ティーセット : 1 → 0
[ ネロ ] ティーセット : 0 → 1
行動:PK その4
GM
その前に末裔たちに縋られるままに、村を悩ます木端亡者を片付ける役目を引き受けることとなる。
GM
その仕事は容易く済んだ。食糧や物資の提供も受けられ、お互いに得をする結果となった。
GM
後顧の憂いなく村を起てるとなった、その矢先。
末裔
「その街で亡者に襲われたって言ってたような……」
アウレア
身を灼く炎はあなたたちの想い出すどの姿よりも苛烈で。
アウレア
瓦礫の残骸が、ぱちり、火の粉の弾ける音を立てる。
アウレア
ただ燃え盛るばかりの女の姿がそこにある。
GM
……かつては、栄えていた街であったのだろう。
GM
いつかの威容に想いを偲ばせることすら、今は虚しい。
アウレア
よろめくような足取りで、救世主たちの前へと出る。
アウレア
苛烈な熱を纏って、あなたたちの前に立っている。
アウレア
炎を纏った黒影が、あなたたちの前に膝をつく。
アウレア
慈悲深き女。赦しを与える女。注ぐ愛を躊躇わぬ女。
アウレア
目の前の影すらも、脆く崩していくようで。
アウレア
突き立てられた純銀は、少女がそうされたのと同じように。
アウレア
暫し。沈黙の中に火花の弾ける音だけが断続的に響いて。
GM
女であったものが、焼き尽くされて灰へと還る。
イェルク
「そうだったことを、俺は、よく理解している」
ネロ
「こうするより他、僕たちにできることはなかった」
イェルク
「お前の切除の在り方を、俺は間違ったものとは思わないよ」
イェルク
「それをどうにも、気に負うているようだが」
ネロ
「今まではそれをそれを気にする事もなかった」
ネロ
「そうやって切り捨てることは、心を切り捨て、痛めることでもあるのだと」
ネロ
「…痛んで、割り切れなくて、どうしようもないのだと」
宿木ルカ
輪郭は、もう揺らいでいないように見える。
ネロ
「僕は、悪いことばかりではないと思っています」
ネロ
「僕の鈍感さは、今まで君たちの痛みまでも見過ごしてきた」
イェルク
「何を見て取れるようになったと言うんだ」
ネロ
「他人の心を全て見透かして、その形はこうである、なんて」
ネロ
「…僕が言えるのは、僕から見た君のことだけ。」
イェルク
「そこから逃れたいのか、逃れたくないのか」
イェルク
「お前の立ち位置は、今でさえひどく不確かだ」
ネロ
「……以前の僕は、随分と慈悲深く、そして無神経だったことでしょう。」
イェルク
勢いを失いつつあり、今は燻るばかりの浄罪の炎を。
イェルク
あの女の纏うそれが正しく浄罪の炎であったのならば、
ネロ
「今の僕は、他人の心を形まで正確にはかれなんてしない」
イェルク
「そう在ることを咎める権利は、俺にはない」
ネロ
変質の途中、生まれたての心、他人の機微を正確に読み取れない。
イェルク
「それを無邪気に善きものと受け止めてしまう、その振る舞いが」
イェルク
燻る浄罪の炎の儚きさまを瞳に映しながら。
ネロ
それでも、2人の心に添うことができたらと、手探りで暗闇を歩いている。
イェルク
「誤魔化した。そう表現するほうが、正しいか」
ネロ
聞いている。先ほどからの傷ついた顔を隠せぬままに。
イェルク
「ありとあらゆる手を尽くし、最期まで奉仕を貫き、それでも届かなかった」
イェルク
そう在ってしまった心的外傷として刻まれたそれ。
イェルク
「最早これ以上、彼女に尽くすことに意味はないと」
イェルク
燃え盛る女に手を伸ばすことすらしなかったあの瞬間と重なる。
イェルク
ただ立ち昇る熱だけが焦土の中に残される。
イェルク
「切り捨てたものを踏みつけに歩んできた」
イェルク
尽くすべきであった主君。罪に苛まれる女。泣き叫ぶ少女。
イェルク
奉仕という異常性を合理性という心的外傷でねじ伏せてきた男の、
イェルク
「切り捨てられなくなったその有様を、そう許容されたこと」
イェルク
「今の俺には、どうにも耐え難かったようだ」
ネロ
消そうと、試みる。己の体も、魔法も、使えるものはなんでも使って。
イェルク
自らの罪をばかり清めるようなその性質を、男は持ち合わせていない。
ネロ
覆いかぶさるようにして、火を止められないものかと。
宿木ルカ
炎に損なわれるその様を、見つめることしか叶わない。
アウレア
かつてあなたという存在を正面から見つめてみせた女が。
宿木ルカ
今は、今なら。手を伸ばすことができるのに。
GM
求めに応えることをその存在意義とし、在り方を定めた。
GM
それが救世主『宿木ルカ』が立つためのしるべ。
アウレアとの思い出
それが焼き尽くされようとしている。
アウレアとの思い出
あなたの在り方を支えるものが。
アウレアとの思い出
その事実を繰り返し、何度となく、思い知らされる。
アウレアとの思い出
*宿木ルカの心の疵『ルカ』を才覚で抉ります。
ネロ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ネロ
2d6+1=>7 (2D6+1>=7) > 6[2,4]+1 > 7 > 成功
アウレアとの思い出
2d6+3-4=>7 判定(+才覚) (2D6+3-4>=7) > 5[3,2]+3-4 > 4 > 失敗
[ ネロ ] ティーセット : 1 → 0
[ ネロ ] HP : 20 → 19
ネロ
それの叶わないことを知っていてなお、口に出さずにいられなかった。
イェルク
ただ燃え盛るばかりの男の姿がそこにある。
ネロ
焼け付く肺腑を感じながら、燃えゆく男を抱き止めている。
イェルク
「……アウレアのことを”ああ”評してみせはしたが」
イェルク
「あの女に手を伸ばせなかった瞬間から分かっていた」
イェルク
「俺は、異常性を超越した心的外傷を稼働させ続けることを求められる」
宿木ルカ
消すことが能わぬ炎に、二人が―僕を救世主たらしめている人たちが。焼かれている。
イェルク
「お前は、ルカを残して死ぬことになるが」
宿木ルカ
頬を濡らすものが、すぐに熱気で失われていく感覚。
ネロ
救いたい、そばにいたい、僕の愛のその片割れ。僕を僕たらしめる人のひとり。
ネロ
切り捨てたくない、どうしても。どうしても救えないのならば、共に燃え落ちても構わない。手を伸ばせず後悔するような、同じ過ちを繰り返したくない。
イェルク
「お前にはまだ、生きていてほしいと思っている」
ネロ
ルカを一人にできない。ルカを愛している。あの子をこんな世界に一人残すことはできない。
イェルク
「それを切り捨てる者に対して認める厚顔の慈愛を」
イェルク
ルカの名前を呼んで、きらめく何かを放る。
宿木ルカ
咄嗟のことに取り落としそうになりながらも、必死で掴み取る。
GM
熱を残しながらあなたの手に収められたのは6ペンスコイン。
イェルク
それが今、合意の上に男からあなたへと受け渡された。
イェルク
「俺は、お前たちに生き延びてほしいと思っているよ」
宿木ルカ
もはやそれが成し得ぬことだと、理解は出来ているのに。
イェルク
「もう少し、お前とは距離を置いておくべきだった」
イェルク
「こうなることを、悟ってはいたはずなんだが」
イェルク
「抉れ切った心の疵では、正しき平衡を保つことすらままならなかったらしい」
ネロ
自分を自分たらしめる愛、その半分を、ここに置いていく。
ネロ
1歩1歩、イェルクから遠ざかる。その分1歩1歩、ルカの近くへ。
宿木ルカ
最早、この燃え盛る男を助けることが叶わないとして。
宿木ルカ
与えられて―自分で選び取った、存在意義。
宿木ルカ
「…僕が。この世界で、立っているために。」
イェルク
「こんな世界で、死んでほしくないと思うこと」
イェルク
「相応しい相手に、想いを託したものと見える」
ネロ
目をしっかりと開け、炎の只中の男を見つめている。
イェルク
後にはただ、そこに立っていた女と同じに。
GM
亡者の名称「アウレアとの思い出」が「《燃え盛る男》」へと変更されます。
GM
裁判に突入する前にやり残したことがありましたらどうぞ。
心の疵の共有、小道具の移動など。
宿木ルカ
*心の疵「アウレアへの好意」を、ネロへ共有します。
GM
*了解しました。
「アウレアへの好意」の関係欄にネロの名前が記載されます。
GM
*なさそうなので、このまま裁判へと突入しましょうか。