メインフェイズ サイクル2
プルサティラ:2d6
BloodMoon : (2D6) → 9[3,6] → 9
糸賀大亮:1d6
BloodMoon : (1D6) → 6
夜高ミツル:1d6
BloodMoon : (1D6) → 3
忽亡ゆかり:1d
BloodMoon : (1D6) → 4
乾咲フラン:1d6
BloodMoon : (1D6) → 6
行動:糸賀大亮
GM:何するんですか?糸賀大亮:支配力:真城朔を削ります
GM:OK
GM:どうしようかな……
GM:ST
BloodMoon : シーン表(11) → ざわめく木立。踊る影。
GM:緑の多い……公園のあたり……まあ……緑の多い。
糸賀大亮:踊る影(みんな寝ている)
GM:では狩人がそういうあたりを散策してるとですね。
GM:小さな人影が、木々の間を飛び出してくる。
GM:紫の淡い光。
真城朔:幼い頃の真城朔。
糸賀大亮:……起きているな。
真城朔:先程見たものとは少し様子が違いますね。
真城朔:今の真城朔がしているような、簡易な武装がある。
真城朔:腰に銀の杭。
糸賀大亮:狩人になった後か。
真城朔:まだ、手袋はしていない。
真城朔:「…………っ」
真城朔:飛び出した矢先、狩人たちの姿に目を留めて、息を呑む。
真城朔:怯えに身体を引き攣らせて一歩下がる。
糸賀大亮:胸元の淡い光に目を向けて、眉根を寄せる。
糸賀大亮:……眠っている状態でもやりづらかったが。
真城朔:「あ、……」
乾咲フラン:「……」これからする事を思うと、たとえ仮初の肉相手でも気が重くなる。
真城朔:しかし途中、狩人の中にフランの姿を見つけたのか、
真城朔:「い、乾咲、……さん」
真城朔:震える声で、その名を呼んだ。
乾咲フラン:「っ、 ……やあ。」およそこの頃の真城が見ていた、当時の姿と変わらない姿を自分はしている事だろう。
夜高ミツル:こちらを警戒する様子からも、記憶は外見の年齢相応なんだろうと分かる。
糸賀大亮:立ち止まることなく、歩を進めていく。
真城朔:「っ」
真城朔:近寄ってくる大亮の姿に身を強張らせる。
真城朔:胸元の光を隠すように手を当てる。
真城朔:その手はまだ、幼く小さい。
糸賀大亮:真城の記憶を持った偽物。
糸賀大亮:それを殺すことと、真城を殺すことは違うだろうが。
糸賀大亮:どうもハードルを下げられているようで嫌な気分になる。
糸賀大亮:手にはまだ、杭を持ってはいない。
真城朔:「乾咲さん……」
真城朔:大亮越しにフランを見る。
真城朔:どこか縋るような、か細い声。
乾咲フラン:「マシロ……大丈夫だよ。」自分もゆっくりと、歩を進める。できるだけいつもどおりの調子で……
糸賀大亮:……大丈夫じゃない。と、フランの言葉に口に出さずに返して、立ち止まった。
真城朔:「…………」
真城朔:「……でも、これ」
真城朔:胸の光に視線を落とす。
真城朔:「これ、こんなの」
真城朔:「変で」
真城朔:「ちがう、みんな」
真城朔:「みんな最近、すぐ、なんか……変で」
真城朔:「でも俺、こんなの知らなくて」
真城朔:「知らない……」
夜高ミツル:「……真城」
夜高ミツル:「……あー……、俺のこと、分かるかな……」一応顔を会わせたことはあるわけだが、何せこの真城からすれば数年後ということになるので。
真城朔:「…………?」
真城朔:ミツルから一歩引く。
真城朔:瞳の怯えは変わらない。
糸賀大亮:話せば話すほどやりづらくなる。
糸賀大亮:だが、さっきのプルサティラと夜高の会話を思い出して──
忽亡ゆかり:「夜高くん」
忽亡ゆかり:ミツルの肩に手を置く。
夜高ミツル:ゆかりの方を振り向く。
忽亡ゆかり:首を振る。
忽亡ゆかり:「君は、慣れなくていい」
夜高ミツル:「…………」
糸賀大亮:「……どうする」
糸賀大亮:やることは決まっている。
『元カノの』高尾すみれ:「待って!」
『元カノの』高尾すみれ:その背中に、声。
糸賀大亮:「!」
夜高ミツル:誰だ……?
『元カノの』高尾すみれ:狩人たちの背後へと駆け寄ってくる。
『元カノの』高尾すみれ:ラフなTシャツ、ジーンズ、中途半端に染まった髪。
『元カノの』高尾すみれ:手には小鎚サイズの花のハンマーが。
糸賀大亮:聞き覚えのある声に思わず振り返って
糸賀大亮:さすがにぽかんとした顔になった。
忽亡ゆかり:「君は誰?」
乾咲フラン:「あの装備……フォロワーか。」すっと剣呑な雰囲気を身に纏う
『元カノの』高尾すみれ:相談所で彩花が使っていたのと同じですね。
『元カノの』高尾すみれ:くるみをぱりんと割っていた。まあ全力で振れば人の頭くらいカチ割れるかもしれません。
『元カノの』高尾すみれ:「……その子は、渡さない」
『元カノの』高尾すみれ:肩で息をしながら訴える。
忽亡ゆかり:「なぜに?」
糸賀大亮:「……」フォロワー? と、一瞬遅れてハッとする。
『元カノの』高尾すみれ:「だって、魔女の力なんでしょ、その子」
『元カノの』高尾すみれ:「潰されたら……困るし」
忽亡ゆかり:「それまた、なぜ?」
『元カノの』高尾すみれ:それから大亮へと視線を向ける。
『元カノの』高尾すみれ:「……やっぱ、ハンターだったんだ」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「……だったら……」
糸賀大亮:「いや……」
『元カノの』高尾すみれ:「アッタマおかしくなってたもんね」
『元カノの』高尾すみれ:鼻で笑う。
『元カノの』高尾すみれ:「いや」
『元カノの』高尾すみれ:「まあ、今の私もか」
糸賀大亮:「……」
『元カノの』高尾すみれ:苛立たしげにばさばさの髪をかきあげて。
糸賀大亮:何をどう言っていいか分からず。
糸賀大亮:さりとてほかの狩人に関係性を改めて説明することもできず。
真城朔:助けを求めるようにフランに視線をやるけれど、その瞳も怯えている。
乾咲フラン:「……マシロ、皆が変って、どういうことか聞いてもいいかな?」マシロにゆっくり近づいて、膝を曲げる。
真城朔:怯えに一歩足を引きながらも、フランへの信頼からか、まだ逃げはしない。
『元カノの』高尾すみれ:「……で、今もハンターやってんだ」
糸賀大亮:「ああ」
糸賀大亮:相手の問いにぼんやり頷いてから、
真城朔:真城はどうすればいいか分からない様子で惑っていますね。
糸賀大亮:事情が相手に知れているなら、謝った方がいいのかなとか、そういうことを考えて
糸賀大亮:でも謝る筋合いでもない気がして……
『元カノの』高尾すみれ:「バッカみたい」
『元カノの』高尾すみれ:吐き捨てる。
糸賀大亮:困っています。やることは変わらないのだが。
糸賀大亮:やることが変わらないから困っている。
『元カノの』高尾すみれ:「…………」
『元カノの』高尾すみれ:「あんなバケモノと一生戦ってくつもり?」
糸賀大亮:「ああ」
『元カノの』高尾すみれ:「え……」
『元カノの』高尾すみれ:呆然と大亮を見る。
糸賀大亮:「そうなると思う」
糸賀大亮:「……そうなるだろう」
『元カノの』高尾すみれ:「……いや、ますますバカでしょ」
『元カノの』高尾すみれ:「死ぬ気?」
糸賀大亮:「死ぬつもりで戦ってはない」
『元カノの』高尾すみれ:「いや、でも死ぬでしょ」
糸賀大亮:「いずれはそうかもしれない」
『元カノの』高尾すみれ:引きつり笑いを大亮に向けて、どこか茶化すように。
『元カノの』高尾すみれ:「いやいや」
『元カノの』高尾すみれ:「いやあ……」
糸賀大亮:「でも、そうなるよ」
『元カノの』高尾すみれ:「…………」
『元カノの』高尾すみれ:「……もう戦わなくて済むようになる道があっても?」
糸賀大亮:「……」
『元カノの』高尾すみれ:「吸血鬼とかさ、モノビーストとか」
『元カノの』高尾すみれ:「そういうの、もう見えなくさせてあげるって」
『元カノの』高尾すみれ:「魔女が、さ」
糸賀大亮:「……そうか」
糸賀大亮:「それでか」
『元カノの』高尾すみれ:「そうすればまた平和な生活に戻れるわけじゃん」
『元カノの』高尾すみれ:「いや、っていうか」
『元カノの』高尾すみれ:「無理でしょ」
『元カノの』高尾すみれ:「無理だよ、あんなの」
『元カノの』高尾すみれ:「あんなの……」
『元カノの』高尾すみれ:背中を丸めて、腕を抱える。
『元カノの』高尾すみれ:小さく震えている。
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:その震えている彼女に近づきもせず、棒立ちになっている。
夜高ミツル:これ判定は暴力ですか?(ハンマーを取り上げる機を伺っていいのかな)
『元カノの』高尾すみれ:暴力でもレスバでも。
『元カノの』高尾すみれ:でもまあ暴力だな。暴力じゃない?
夜高ミツル:狩人は暴力に頼る
『元カノの』高尾すみれ:とことんレスバしてもいいけど、とことんレスバしたい相手っすか?
乾咲フラン:それはそれで面白いんだよな
糸賀大亮:この噛み合わない男ととことんレスバするのか?
『元カノの』高尾すみれ:大亮さん、言葉は尽くせるんだけど
『元カノの』高尾すみれ:レスバ強いかと言われると違う性能だよな。
糸賀大亮:ハンターの半分は最初の狩りで死ぬ。
『元カノの』高尾すみれ:「あんたもそうしようよ」
糸賀大亮:そうでなくても、いつか死ぬとも分からない。
『元カノの』高尾すみれ:「それでさ、全部忘れて、それでいいじゃん?」
糸賀大亮:そういう生活とは、せめて無縁でいてくれることが。
糸賀大亮:できているならそれでいいと思っていた。……
糸賀大亮:「いいや」
『元カノの』高尾すみれ:「……なんで」
糸賀大亮:「悪い」
『元カノの』高尾すみれ:「いいじゃん」
『元カノの』高尾すみれ:「私、またご飯とか作りに行くって」
糸賀大亮:「いや……」
糸賀大亮:「悪いなんて、俺が謝ることじゃないな……」
『元カノの』高尾すみれ:「掃除とかもさ」
『元カノの』高尾すみれ:「文句、言ってたけど、けっこう楽しくやってたんだよ」
糸賀大亮:「……たくさん、迷惑をかけて。自分のことで頭がいっぱいで」
糸賀大亮:「それで……」
『元カノの』高尾すみれ:「また前みたいに、普通に大学行って、…………」
『元カノの』高尾すみれ:「…………」
『元カノの』高尾すみれ:噛み合わない。
糸賀大亮:「……だから、」
糸賀大亮:「もしすみれが、モンスターが見えなくなるなら」
糸賀大亮:「忘れて暮らすことを望むなら……それは自然な話で」
『元カノの』高尾すみれ:「なんであんたは、……」
『元カノの』高尾すみれ:「……大亮は、そうしようと思わないの」
『元カノの』高尾すみれ:「好きなの? 楽しいの? そうやってるの」
糸賀大亮:「……いいや」
『元カノの』高尾すみれ:「バケモノの相手して、人の姿してるもの、殺して」
糸賀大亮:「何も……」
『元カノの』高尾すみれ:「同じ人間からも、襲われて」
『元カノの』高尾すみれ:「じゃあ、いいじゃん」
糸賀大亮:「でも、だめなんだ」
『元カノの』高尾すみれ:「…………」
糸賀大亮:「俺が狩人をやめても」
糸賀大亮:「俺が狩人をやっていても」
糸賀大亮:「モンスターが生まれて、誰かが死んで」
糸賀大亮:「俺の手の届く範囲のことですら、何にも変わっちゃいない」
糸賀大亮:呟きながら、すみれの方へ向かって歩き出す。
『元カノの』高尾すみれ:「……はは」
『元カノの』高尾すみれ:「なにそれ」
『元カノの』高尾すみれ:一歩下がる。
『元カノの』高尾すみれ:「正義のヒーローって感じ?」
『元カノの』高尾すみれ:「あんたそういうタイプだったっけ?」
糸賀大亮:「いいや」
糸賀大亮:「ヒーローなんかじゃない」
『元カノの』高尾すみれ:「じゃあ、何」
糸賀大亮:「何も変わらないんだ」
『元カノの』高尾すみれ:ハンマーをぎゅっと握りしめる。
糸賀大亮:「友達を殺したよ」
『元カノの』高尾すみれ:「は」
糸賀大亮:「魔女だった。……まだ若い女の子で」
『元カノの』高尾すみれ:目を見開く。
糸賀大亮:「そのハンマーと似ているものを持っていた」
『元カノの』高尾すみれ:化粧もろくにされていない。昔はしっかりマスカラをして、睫毛にカールをかけていたのに。
糸賀大亮:「いい子だった。友人の病気を治すよう願えと、俺に言って……」
『元カノの』高尾すみれ:「…………」
糸賀大亮:「……病を治して」
糸賀大亮:「でも殺した」
『元カノの』高尾すみれ:「…………」ひくりと口の端を引きつらせる。
『元カノの』高尾すみれ:「私も、じゃあ殺す?」
糸賀大亮:「病気が治った子も、魔女になってしまった」
『元カノの』高尾すみれ:震える手でハンマーを構える。
糸賀大亮:「もともと、そのつもりだったと言ってたな」
『元カノの』高尾すみれ:「なに」
『元カノの』高尾すみれ:「なんなの」
『元カノの』高尾すみれ:「狩人なんて、やっぱやってていいことないじゃん」
『元カノの』高尾すみれ:「なんで続けたがるの」
糸賀大亮:「それでも、少しでも」
糸賀大亮:「何かが良くなると信じてきた」
『元カノの』高尾すみれ:「なってないじゃん!」
糸賀大亮:歩いていく。ゆっくりと近づく。
『元カノの』高尾すみれ:「何も、なにも……っ」
糸賀大亮:「でも、これからもそうするよ」
『元カノの』高尾すみれ:わめきながら、近づいてくる大亮に怯えている。
『元カノの』高尾すみれ:しかし逃げはしない。
糸賀大亮:「……そうするしかない、わけじゃないかもしれない」
『元カノの』高尾すみれ:「……っ」
糸賀大亮:「でも、そうしなきゃいけないような気がしている」
『元カノの』高尾すみれ:先に一歩、前に出た。
『元カノの』高尾すみれ:大亮の頭を狙って、花のハンマーを振るう。
糸賀大亮:判定しましょう
糸賀大亮:逃げるし……
『元カノの』高尾すみれ:逃げられた。-2です。
『元カノの』高尾すみれ:不労の罪。
夜高ミツル:攻撃力とでプラマイ0か
糸賀大亮:興奮剤使ってさらに+2します
『元カノの』高尾すみれ:はーい
糸賀大亮:2D6+2>=6 (判定:逃げる)
BloodMoon : (2D6+2>=6) → 9[3,6]+2 → 11 → 成功
乾咲フラン:彼女から全力で逃げる男
『元カノの』高尾すみれ:逃げてくださいよ。
糸賀大亮:振り下ろされたハンマーを避けて、
糸賀大亮:伸びた腕を掴む。
『元カノの』高尾すみれ:「ひ、……っ」
糸賀大亮:戦えず、モンスターに怯えていた。
糸賀大亮:その動きは素人臭い。無理もない。
『元カノの』高尾すみれ:女の細腕には、細かな生傷が残っている。
糸賀大亮:腕をとって、手に力を籠めます。
『元カノの』高尾すみれ:「痛……!」
『元カノの』高尾すみれ:大亮の腹に蹴りを入れようとします。
『元カノの』高尾すみれ:同時に腕を振るが、その力は強くない。
糸賀大亮:逃げてるけどそのまま受けるか。蹴られても力を緩めず、相手の顔を覗き込む。
『元カノの』高尾すみれ:スニーカーの靴裏が大亮の腹に食い込む。
糸賀大亮:「……必要が、」その言葉を言う時、ふと。
糸賀大亮:眉を下げて、泣きそうな顔になった。
『元カノの』高尾すみれ:「……な、に」
糸賀大亮:「必要があるなら」
『元カノの』高尾すみれ:「なに、その顔」
糸賀大亮:「きっと殺す」
『元カノの』高尾すみれ:「…………っ」
糸賀大亮:脅しのつもりはなかった。そうするだろうからだ。
糸賀大亮:そうしたくなかった。
『元カノの』高尾すみれ:女の身体がこわばった。
『元カノの』高尾すみれ:腹に喰い込ませた靴に力を込める。
『元カノの』高尾すみれ:もう一度蹴りを入れて、腕を振り払おうとする。
糸賀大亮:「そうしなくていいと」
糸賀大亮:「……言っちゃくれないだろうな」
糸賀大亮:蹴られたまま相手の腕を引っ張って、逆に相手の鳩尾を殴って……昏倒させるか。
『元カノの』高尾すみれ:はい。
『元カノの』高尾すみれ:「あ――」
『元カノの』高尾すみれ:最早つぐ言葉はなく。
『元カノの』高尾すみれ:鳩尾を殴られて、その場に倒れる。
『元カノの』高尾すみれ:からからと花のハンマーが転がって、それもまた、プルサティラの花弁と変わって消え失せた。
乾咲フラン:極まりすぎている……
忽亡ゆかり:久しぶりにやばいやつだということを思い出させてくれた
『元カノの』高尾すみれ:怖いです。
夜高ミツル:マジでヤバいよ
夜高ミツル:魂がハンターに染まりすぎてる
糸賀大亮:殺したくないんですよ
糸賀大亮:すみれを支えたまま、ほかの三人の方を振り返る。
真城朔:真城は……いつの間にかフランの身体にしがみついてますね。
真城朔:フランの身体にしがみついて、怯えた様子で顛末を見守っている。
乾咲フラン:落ち着かせるように真城でも撫でていましょう
真城朔:撫でられると、少しだけ緊張が解ける。フランによりすがる。
真城朔:その胸は今も紫に光っている。
真城朔:その仕草に先程のような媚びはない。ただ単純に、安心を求めている。
糸賀大亮:「……すまない、時間を取った」
夜高ミツル:「……いえ」
乾咲フラン:「……知り合いか。」
糸賀大亮:「同じ大学で……」
糸賀大亮:「……世話になってた。ただ、俺がハンターになって」
糸賀大亮:「説明もできなくて」
乾咲フラン:「…‥そうか、それは……」
夜高ミツル:「……糸賀さんは、すごいですね」
夜高ミツル:未だ覚悟が決まらないままここに立っている自身を思う。
糸賀大亮:気絶しているすみれを覗き込む。
『元カノの』高尾すみれ:ぐったりしてます。殴られたので。
忽亡ゆかり:「……私は、ちょっと彼女さんの方に同情するな」
糸賀大亮:「……すごくなんかない」
糸賀大亮:「モンスターに襲われる夢を見て」
糸賀大亮:「悲鳴を上げて起きて、覗き込んできた彼女を殴ろうとするんだ」
糸賀大亮:「……」
乾咲フラン:「彼もね、狩人なんだ……」ひそひそと真城に説明する。
真城朔:「それは、…………」
真城朔:わかるけど、と俯く。
真城朔:光る胸元を握り締めている。
糸賀大亮:それはそれとして、どこかに寝かせておくか。支えてるわけにもいかないし…
GM:適当なベンチにでも。
夜高ミツル:「……殴ろうとしたってのはよくないですけど」
夜高ミツル:「一生戦うつもりだって……あんな風に言えるのは、俺はやっぱりすごいと思います」
糸賀大亮:「……すごくなんかないさ」と繰り返して、俯く。
真城朔:「…………」
真城朔:そっとフランから離れる。
乾咲フラン:「……」名残惜しげに、手がゆっくりと真城から離れていく。
忽亡ゆかり:「狩人になった人は、どこかが致命的に壊れてる」
忽亡ゆかり:「糸賀さんも、乾咲さんも、私も…………彼だって」子供の姿の真城の前、あえて真城の名は濁し。
真城朔:会話する狩人たちを後目に、少しずつその場から離れていこうとする。
忽亡ゆかり:「まだ、そうなっていない子には……できることなら、そのままで居て欲しい」
糸賀大亮:「……」
夜高ミツル:彼、と言われて真城に目線を移し、
夜高ミツル:その姿がここを去ろうとしていることに気づいて。
乾咲フラン:「……マシロ、ちょっと、いいかな。」緩やかに引き留めようと。
夜高ミツル:「っ、真城!」
真城朔:「――っ」
真城朔:呼び掛けられると同時に背を向け、走り出した。
真城朔:紫の光が、闇夜に軌跡を残す。
糸賀大亮:追いかけよう。
夜高ミツル:……しまった。向こうからすれば知らない相手で。怯えられるに決まっている。
乾咲フラン:走れば追いつけちゃいそうだな
夜高ミツル:淡い光を追う。
真城朔:追いつけていいですよ。
真城朔:もう判定は成功してるので。
忽亡ゆかり:「夜高くん」再び肩を掴む。
忽亡ゆかり:「追いかけて、君はどうする」
糸賀大亮:捕まえるか。
乾咲フラン:二人で捕まえるか。
糸賀大亮:そうしよう。
真城朔:では二人がかりで捕まえられます。
糸賀大亮:そのようになった。
夜高ミツル:「……追わないと、でも」
糸賀大亮:プルサティラの力によって、町の人間は眠っている。
糸賀大亮:子供を追いかける連中がいても、見咎めるものはいない。
忽亡ゆかり:「追って、追いついて、その後、どうするんだ?」
真城朔:「――っ、やだ、……嫌」
乾咲フラン:「マシロ、ごめん。私達は……君のその光を、解決しなければならないんだ。」
真城朔:捕まえられた腕で、必死にもがく。
真城朔:「解決、って」
真城朔:「乾咲さんは、なにか、知ってるんですか」
夜高ミツル:「…………」その先は。
忽亡ゆかり:二人が真城を捕まえる姿が見える。それほど遠くもない。
糸賀大亮:フランとは違って、沈黙している
真城朔:「俺、こんなのはわかんなくて」
真城朔:「知らなくて、でも、みんな変になって」
糸賀大亮:言葉をかけて、何になると思っているからだ。
糸賀大亮:でも、俺がすみれに声をかけずにはいられなかったのと、同じなのかもしれなかった。
乾咲フラン:「大丈夫、ひどいことはしないから。……魔女のせいで、一時的にそうなってしまったんだよ。」
真城朔:「魔女の、…………」
夜高ミツル:「……一度も二度も、同じです」幼い真城の胸に刀を突き立てた感触が、手に蘇る。
忽亡ゆかり:「同じじゃない。同じじゃないんだ」
真城朔:俯く。
真城朔:かたかたと身体が震えている。
乾咲フラン:「大丈夫だ、マシロは何も、悪くない…… マシロ、目を閉じてくれるかい。」
糸賀大亮:ちらりと、ゆかりとミツルのやり取りを振り返る。
糸賀大亮:息を吐く。
真城朔:怯えに背を縮めて。
真城朔:幼い唇を噛む。
真城朔:「……なに、するんです、か」
真城朔:「目、閉じて」
真城朔:「その間に」
真城朔:「……触るん、ですか」
夜高ミツル:「……でも、誰かがやらないといけなくて」
忽亡ゆかり:「そうだ。誰かだ。君ひとりじゃない」
夜高ミツル:「俺だけ、守られるのは……」
乾咲フラン:「少しだけ触る。ごめんね。……安心して、と言われても難しいかもしれないが……」
真城朔:「…………」
真城朔:「……乾咲さん」
真城朔:「乾咲さんは、おかしくなってないですか」
真城朔:縋るような声で、意味のない問いかけをする。
乾咲フラン:「私は大丈夫だよ。他の人はおかしくなったって言ったね、どんな風だったか……言える?」安心させるための嘘をすらすらと。
真城朔:「…………」
真城朔:「……触られるんです」
乾咲フラン:「…………そうか、それは……つらいな。」
乾咲フラン:真城の目を優しく見ながら――大亮の方を見ないように。
糸賀大亮:真城の意識はフランに集中している。
真城朔:「触られるし、……触って」
真城朔:「嫌なのに」
忽亡ゆかり:「慣れないで欲しい。あの光景に」
夜高ミツル:あの光景。言われて、視線をゆかりから真城たちの方に向けて。
真城朔:「力も、入らなくなって」
糸賀大亮:その細い体に、背中からでも光を貫くのは容易かった。
乾咲フラン:「そうか……そうか。」
糸賀大亮:背中から杭を突き立て、押し込む。
忽亡ゆかり:「見るな!」
夜高ミツル:遠くても、その瞬間は確かに目に焼き付いた。
真城朔:「それ、で」
真城朔:身体が震える。
乾咲フラン:「……マシロ……」真城を見ながら、彼に降り掛かった今までの事を、そして今の真城の心境を思った。
真城朔:貫かれた胸から、血がしたたる。
真城朔:それを呆然と見下ろして、大きく見開いた瞳を、ゆっくりと瞬かせて。
糸賀大亮:嫌な手応えだ。プルサティラを貫いた時と同じ。
真城朔:「――――」
真城朔:ごほ、と血を吐きながら、
真城朔:「――無理矢理、に」
真城朔:「され、るんです」
真城朔:その言葉を最後に。
真城朔:身体から、力が抜ける。
真城朔:膝を折る。
乾咲フラン:「ごめんな、ひどいこと……聞いてしまって……」血を浴びても、そのままに。
真城朔:見開かれた瞳から光が失せていく。
真城朔:アスファルトに血が広がっていく。
真城朔:やがて倒れた身体が、溢れた血が、
プルサティラ:その全てがまた、花と化して夜空へと舞い上がった。
忽亡ゆかり:その光景を静かに見つめながら、乾いた唇を開く。
忽亡ゆかり:「……できることなら、夜高くんには逃げ出して欲しかった」
忽亡ゆかり:「全部、投げ出して、忘れて生きて欲しかった……」
忽亡ゆかり:「けど、そうしてくれない。君はいつもそうだ」
忽亡ゆかり:「君はいつでも優しくて」
忽亡ゆかり:「でも、その優しさは、決して君自身を包み込むことはしない」
乾咲フラン:すっと立ち上がる。
プルサティラ:プルサティラの花が降り注ぐ。
プルサティラ:音もなく舞い落ちるその全てが、
プルサティラ:三度、狩人の視界を覆い尽くした。
真城朔:内側から押し上げられて、息が詰まる。
真城朔:同時に上からは潰されて、伸ばした手は届かないで、
真城朔:指先は血に濡れたアスファルトを掻く。
:「はは」
:「まさかハンターになってるとは」
:「まあ、他にないか」
:「半吸血鬼だもんな」
真城朔:「……っ」
真城朔:からかうような声。
真城朔:俺を組み伏せて嗤うそいつが、
真城朔:あの人を襲った吸血鬼だってことは、ひと目見た瞬間に分かったことだった。
真城朔:――でも、そんなのは俺にしか関係ないことで。
真城朔:だから、俺のことなんて、見捨ててくれて良かったのに。
真城朔:手を伸ばしても届かない。
真城朔:血牙に身を裂かれて、地面に折り重なって倒れる、
真城朔:その姿に届かない。
真城朔:ずっと一緒に戦ってきた、助けてくれた、誰一人にも。
真城朔:見捨ててくれて良かったのに。
真城朔:見捨ててほしい、くらいだったのに。
真城朔:脚を落とされて戦えなくなって、
真城朔:仇に対する怒りもそこそこに、俺が一番最初に思ったのは、だって、
真城朔:――もう、おしまいだって。
真城朔:こんなのは助かる傷じゃない。見逃されるわけもない。
真城朔:あの人が死にものぐるいで守ろうとした命は、ここで終わる。
真城朔:あの人の人生を食い潰して、あの人の手を振りほどいて、
真城朔:俺のために生きたあの人を殺して、
真城朔:死にたくても死を選べずにきた意気地なしの一年が、
真城朔:こうして同じ吸血鬼の手で、あっけなく終わる。
真城朔:許せない。
真城朔:許したくない。
真城朔:でも、それよりも、そんなことよりも、
真城朔:これでやっと終われるんだって、
真城朔:そう考えてしまう俺のために、みんなまで、犠牲になることなかったのに。
真城朔:でも、もう手遅れだった。
真城朔:とどめも刺されずに中途半端に生かされて、
真城朔:こうして今も弄ばれてなお俺は、
:「――やっと死ねるって、思ってるか?」
真城朔:「……え」
真城朔:見透かしたような言葉。
真城朔:嘲りに満ちた、胸の悪くなる声音。
真城朔:それが、それがでも、
真城朔:本当に、俺の心をそのまま握り潰すみたいに、
:「一年前の話をしてやろう」
真城朔:「……っ」
真城朔:中を抉られて、唇を噛む。
:「君の母親。あれは大したタマだったよ」
:「そう強力な吸血鬼にしてやるつもりはなかったんだがね」
:「母親というのはどうにも度し難い」
:「吸血鬼になるその瞬間に、あの女」
:「ほとんど魔女にも、なりかけていた」
真城朔:「な、……に」
:「願いの力さ。何を願ったかは、君のほうが詳しいだろう」
:「吸血鬼となった君の母親の凶悪さについては、当時の狩人から聞いているんじゃないか?」
:「あれはあの女が半ば魔女だからさ」
:「魔女になる前に吸血鬼になり果てたから、完全に魔法を操ることはできなかったみたいだけど」
真城朔:心当たりがある。
真城朔:嘲笑と共にもたらされる、あらゆる情報が、符合する。
:「で、さ」
:「そんな吸血鬼が魂を賭けて作り上げた血戒をそのまま受け継いで、保持している君が」
:「まさかただの半吸血鬼でいられると思ってたのか?」
真城朔:あの夜。
真城朔:あの人から手渡された、
真城朔:あの人が俺に委ねた、すべて。
:「はは、締まった。驚いたかな」
真城朔:『フォゲットミーノット』。
真城朔:吸血鬼を蘇らせる血戒。
真城朔:あの人を襲った、あの人が愛した、
真城朔:たった一人の男を蘇らせるための、
真城朔:吸血鬼を蘇らせる血戒。
乾咲フラン:(嘔吐)
糸賀大亮:フランさん……
真城朔:それでも、あの人のすべてがそこにあった。
真城朔:あの人のすべて。
真城朔:本当のあの人が、この血戒には眠っている。
真城朔:もう笑ってくれなくても、話すこともできなくて、
真城朔:意思も残っていなくても、
真城朔:でも、これが、この血戒があの人だってことを、俺は一度も疑ったことがなかった。
真城朔:俺が殺した人。俺のために死んだ人。
真城朔:俺のために人生を擲った人。
真城朔:俺を守って、俺の幼稚な願いを叶えようとして、
真城朔:そのために人を殺して、俺のために吸血鬼になって、
真城朔:俺に殺された人。
真城朔:本当は許されないことも分かっている。
真城朔:それでもただ、その手を握っていられれば良かった。
真城朔:それだけで良かったのに。
:「君、ちょっと頑丈過ぎるだろう?」
:「この出血量、半吸血鬼だってとうに死んでるよ」
:「周囲の人間の様子が、急におかしくなった経験は?」
:「大切で危険な狩りの最中に、奇妙な悪徳に耽る仲間を見たことはないか?」
真城朔:ただ、
真城朔:手放さずにいられたら、それだけで。
:「その血戒は、君を生かす。どんなことがあっても」
:「君の母親が遺した想いが、君を生かすわけだ」
:「美しい話じゃないか」
:「……でも、行き過ぎだな。もう君、半吸血鬼からも外れかけてる」
:「完全に吸血鬼になってしまうまで、あとどれくらいもつかなあ?」
真城朔:血と体液の、粘ついた音。
真城朔:俺を蔑む吸血鬼の軽薄な声を、不快な音が彩っている。
真城朔:耳障りなその中で、
:「ぅ、…………」
:うめき声が聞こえた。
真城朔:小さな声。かすかな、でも。
真城朔:顔を上げる。
真城朔:地面に転がされた狩人たちの、
真城朔:仲間の一人の、投げ出された指先が、
真城朔:わずかにぴくりと、
真城朔:動くのが見えた。
真城朔:「あ、――ッ」
真城朔:後頭部を掴まれて、地面に押し付けられる。
真城朔:生きている。まだ。間に合う?
真城朔:せめて、じゃあ、なら、どうしよう。
真城朔:こいつを殺して。殺せるはずがない。じゃあ逃げて。無理だ。足がない。
真城朔:起きろって叫んで、叫んだところで、動けるか? あれだけ斬り裂かれて?
真城朔:吸血鬼。魔女。血戒。魔法。
真城朔:そんな大層なものを、
真城朔:大した力を持っているなら、
真城朔:じゃあなんで、俺はこんなに弱いんだ。
:「まだ生きてるかあ」
真城朔:「おま、え――」
:「このまま誰かが来たら助かるかもしれないね。見た目より傷、浅いはずだし」
真城朔:「っ! ぐ、……うあ」
真城朔:吸血鬼の手が、肩を掴む。
真城朔:天を仰がされて、中身と思考を撹拌されて、苦痛に全身が竦む。
真城朔:冷たい指が首にかかって、
:「だから、君が殺すんだ」
真城朔:「――――」
真城朔:ついに思考が、止まった。
真城朔:「……な、んで」
:「死ねないって言ったけど、半分ウソで半分本当、っていうか」
:「死ぬには死ねるんじゃないかな? そろそろ死ぬんじゃないかな」
:「まあいい加減限界だよね」
:「そしたら出てくるのは吸血鬼としての君だ」
:「生まれたて、転成したばかりの、血に餓えるばかりの吸血鬼」
:「果たして戻ってこられるかな」
:「戻ってこられるとしたら、どれくらい食ってから?」
真城朔:「……っ」
:「嫌だったら」
:「死にたかったら」
:「『それ』を今すぐ手放すといい」
:「そしたら君は、ここで死ねる」
:「そこの彼らももしかしたら、助かるかもしれないなあ?」
プルサティラ:ひらひらと。
プルサティラ:紫の花弁が地を埋め尽くして、それが端から消えていく。
プルサティラ:上空にプルサティラが狩人たちを見下ろしている。
糸賀大亮:言葉もない。
糸賀大亮:胸の悪くなるような光景だった。
プルサティラ:「……要するにさ」
プルサティラ:「そういうことだよね」
プルサティラ:「大亮さんの仲間を殺したのも、かなたくんを殺したのも、そういうこと」
プルサティラ:ゆらゆらと宙に振られる素足の爪が、丸い。
乾咲フラン:「…………」絶句。
忽亡ゆかり:「…………」
糸賀大亮:「……俺たちが」
糸賀大亮:「顔を、思い出せなかったのは」
プルサティラ:「魔法のせいだよ。認識障害」
糸賀大亮:意味のない問いだったと思った。
糸賀大亮:魔女である以上、何とでもなる。魔女を認識できない……よくあることだ。
プルサティラ:「あそこで大亮さんたちが殺してれば、そこで死ねたけどね」
プルサティラ:「人間として死ぬでしょ? 吸血鬼になるでしょう?」
プルサティラ:「吸血鬼になって、殺してもらえれば、終わりなんだけど」
プルサティラ:「誰も殺してくれなかったね」
プルサティラ:「本気のさっくん、強いからなー。あの状態じゃあ歯止めもないし」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:嫌な汗が噴き出した。
糸賀大亮:あそこで俺が足を引っ張らなかったら、という思考がまた顔を出して、言葉を失っている。
プルサティラ:ミツルを見る。
夜高ミツル:「……」見せられた凄惨な光景に言葉を失っていて。
夜高ミツル:上空に浮かぶ魔女を見上げる。
プルサティラ:「ミツルさんさ」
プルサティラ:「もう帰っていいよ」
プルサティラ:「やる気ないでしょ?」
夜高ミツル:「……帰らない」
プルサティラ:「さっきだって全然動かなかったじゃん」
プルサティラ:「あんだけ私にそれっぽく殊勝なこと言ってさあ」
プルサティラ:「なに? あのざま」
プルサティラ:「なんで棒立ちになってたの」
プルサティラ:「なんで、大切なもののところに行けないの」
プルサティラ:「偽物ならどうでもいいの?」
プルサティラ:「いや、大切じゃないんだろうけどさ、そもそも」
忽亡ゆかり:「……」それは自分のせい、と言おうとして、言葉に詰まる。
忽亡ゆかり:彼を引き止めたのは自分だ。それは間違いない。
忽亡ゆかり:友を殺すことに慣れて欲しくなかった。
忽亡ゆかり:日常に戻れるような人間で、いてほしかった。
忽亡ゆかり:それは、彼の気持ちを無視した、自分のわがままで。
忽亡ゆかり:けれど。
忽亡ゆかり:……正直、振り払われるのではないかとも思っていた。
忽亡ゆかり:今も迷い続けている。どうするのが、彼のためなんだろう。
忽亡ゆかり:その答えを知りたくて、こうして間に挟まれずに突っ立っているのだ。
夜高ミツル:あの場で唯一怯えられていなかったのがフランだったとか、ゆかりに引き止められたから、とか。
夜高ミツル:そんなことは言い訳にしかならなくて。
夜高ミツル:それを魔女を相手に重ねたところでどうしようもなく。
夜高ミツル:「……それをあんたに釈明する必要はないだろ」
プルサティラ:「じゃあ、さっくんのこと返してあげない」
プルサティラ:「分かりました」
プルサティラ:「さっくんは私が吸血鬼にします」
プルサティラ:「それでいいんでしょ」
プルサティラ:「そうされたいんでしょ」
夜高ミツル:「……やめろ!」
夜高ミツル:「違う」
プルサティラ:「釈明する必要ないんでしょ?」
プルサティラ:「それってそういうことじゃないの?」
夜高ミツル:「違う……!」
プルサティラ:「何も違わないよ」
プルサティラ:「私と話す必要がないんなら」
プルサティラ:「吸血鬼になっちゃったさっくんと、思う存分話せばいいんじゃないの?」
夜高ミツル:「……そもそも、あんたは最初からそのつもりだったはずだろ」
夜高ミツル:「なのに、さっきからまるでそれ以外の何かがあるみたいなことを言ってる」
夜高ミツル:「あんな風に真城の過去を見せたりもして」
夜高ミツル:「あんたの目的は、本当に真城を殺させることなのか?」
プルサティラ:「………………」
プルサティラ:「さっくんのことどうでもいい人に、それ話す必要ある?」
プルサティラ:「私が質問してるんですけど」
プルサティラ:「答えもくれない人に、答える義理ないんですけど」
プルサティラ:「言い訳以外してなくない?」
夜高ミツル:「どうでもよくなんかない」
プルサティラ:「じゃあなんでさっき動かなかったの?」
プルサティラ:「ゆかりさんの話なんて聞いてさ」
プルサティラ:「ゆかりさんの方が大事なら、さっさとゆかりさんのものになっちゃえばよかったじゃん」
プルサティラ:「それならかなたくんを蘇らせる必要もなかったのに」
プルサティラ:「ミツルさんさ、目の前のものに反応してるだけだよ」
プルサティラ:「大切だからとかじゃないんじゃないの?」
夜高ミツル:「……どっちの方がとか、そういうもんじゃないだろ……」
夜高ミツル:「さっきは……」
夜高ミツル:「……」
夜高ミツル:「真城は中学生で、俺たちに怯えてて……本当に、生きてるみたいで」
夜高ミツル:自分が手をかけた真城とは違って、意識があって。
夜高ミツル:「真城を助けたいのに、そのために真城を殺すことを……躊躇った」
夜高ミツル:どう取り繕うこともできはしない。
夜高ミツル:ゆかりに止められたことを、一瞬安堵しなかったとは言えない。
夜高ミツル:結局はまた自分の臆病さゆえのことで、嫌悪感と後悔が襲う。
プルサティラ:「そういう話だよ」
プルサティラ:「だって、そうじゃなかったら」
プルサティラ:「ミツルさん生きてないよ?」
プルサティラ:「さっくんが目の前のものに気を取られて、それに惑うばかりだったら」
プルサティラ:「五年前に殺されてるんだよ?」
夜高ミツル:「…………そうだな」
夜高ミツル:「俺は真城やみんなと比べて、覚悟も何も足りてなくて」
夜高ミツル:「でもここに来て、今更のこのこ帰ることは……それだけは」
夜高ミツル:「絶対しない」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「学校のときと同じだね」
プルサティラ:「ただ残りたいから残って、無駄にさっくんを苦しめたときと同じだね」
プルサティラ:「ミツルさん、ずっとそうだね」
プルサティラ:「さっきの殺され方だってさ」
プルサティラ:「必要以上に怖がらせて、苦しいこと話させて」
プルサティラ:「ミツルさんはそれを止めもしないし、責任も負わないで、ただ見てるだけで」
プルサティラ:「まあなんていうか」
プルサティラ:「すごーく」
プルサティラ:「さっくんのこと苦しめるの、上手だねって」
プルサティラ:「私は感心しました」
夜高ミツル:あの時学校に残った俺を庇ったせいで、真城はグラジオラスを相手に苦戦を強いられた。
夜高ミツル:俺と一緒にいたから、真城はたくさんのことを取り繕って、そのことに苦しんで。
夜高ミツル:そもそも遡れば、真城が母親を殺すことになったのだって俺があの場に居合わせてしまったからで。
夜高ミツル:彼女の言う通り、俺は真城と一緒にいることで、あいつを苦しめてばかりいるのかもしれない。
夜高ミツル:「それでも……」
夜高ミツル:「あんたの言う通りでも、ここで退いたらそれで終わりになる」
夜高ミツル:「……あいつに助けてきてもらった分を、俺はあいつに何も返せてない」
夜高ミツル:「何も伝えられてない」
プルサティラ:「返せるものなんてないよ」
プルサティラ:「そもそも最初からさっくんのせいなんだから、それでいいでしょ」
プルサティラ:「いや」
プルサティラ:「もしかしたら、ってちょっと思ったけどさあ」
プルサティラ:「思ってたんだけどね?」
夜高ミツル:「……何が」
プルサティラ:「正直さっきさ」
プルサティラ:「ゆかりさんが止めに入ったのも、なんで? って思ったけど」
プルサティラ:「まさかそんなことで足止めるとは思わなかったよね、ミツルさん」
プルサティラ:「さっき色々言い返してきたし、いい加減覚悟決めたと思ってたもん」
プルサティラ:「振り切るくらいのことはすると思ってたんだけど」
プルサティラ:「でも、あれでしょ? びっくりしちゃった」
プルサティラ:「あの優柔不断で、返せるものがあるなんて笑っちゃうよ」
プルサティラ:「何言っても言い訳にしかならないし」
プルサティラ:「さっくん、ミツルさんが狩りするの、嬉しかったわけないじゃん」
プルサティラ:「じゃあ何か返そうとするなら、ミツルさんはもう狩人やめるのが一番いいよ」
プルサティラ:「それが何よりだよ」
夜高ミツル:「……そうだな。止められて、嫌がられて……」
夜高ミツル:「俺がいたって、あいつに何もしてやれないのかもしれないけど」
夜高ミツル:「……でも、俺は目の前にあることしか考えられない。あんたが言った通りだ」
夜高ミツル:「今ここに、狩人って道があるから。またそれをやめて引き返すことはできない」
プルサティラ:「じゃ、さっくんのこと忘れればいいよ」
プルサティラ:「目の前にあることしか考えられないなら」
プルサティラ:「どうせあなたは、いつかさっくんのことを置き去りにする」
プルサティラ:「だからもう、忘れちゃえばいい」
夜高ミツル:「……まだあいつとの約束が残ってる」
プルサティラ:「目の前にあることしか考えられないんでしょ?」
プルサティラ:「ずっと前の約束なんて忘れちゃえばいいよ」
プルサティラ:「どうせ、果たせないんだから」
プルサティラ:「殺したくない自分の方が大切なんだから」
プルサティラ:「ミツルさんはどこまでもそういう人でしかないんだから、さ」
プルサティラ:その言葉を最後に、
プルサティラ:プルサティラの姿が花となって消える。
プルサティラ:夜闇に花弁が、ひらひらと舞い落ちて、薄れていく。
見学の水面:怠惰の魔女強い
糸賀大亮:口が強い
糸賀大亮:ハイドレンジアに頼んで自分から魔女化してもらうぐらいだもんな
見学の水面:さっくんのための魔女って言っているしね
糸賀大亮:そりゃまあミツルくんには絡むよな
プルサティラ:ミツルくんの方から絡みにこないし……
夜高ミツル:「…………いえ」首を振る。
糸賀大亮:「……」偽の真城に突き刺した杭をあらためた。
糸賀大亮:確かに血が噴き出したし、肉の手応えもあったが、
糸賀大亮:もう何も残ってない。綺麗なものだ。
糸賀大亮:「下りる気はないんだろう」
夜高ミツル:真城が消え魔女が去り、後に残されたのは狩人たちだけ。
夜高ミツル:「はい」
糸賀大亮:「結局は、だから……そういうことだ」
糸賀大亮:顔をしかめた。
糸賀大亮:プルサティラの言いようにそっくりだった気がしたので。
忽亡ゆかり:「………………そっか」
糸賀大亮:「プルサティラが何を考えて」
糸賀大亮:「お前をそんなに責めるのかは」
糸賀大亮:「彼女の話だし」
糸賀大亮:「でも、お前は狩りを下りないんだから……」
糸賀大亮:言葉が消える。黙り込んだまま、杭をしまった。
乾咲フラン:「……今は、進まないとな。」どこか上滑りする言葉。ミツルよりも別の事……先程の真城の記憶に気を取られているようだった。
夜高ミツル:「……まだ、乾咲さんを襲った真城が残ってる」
忽亡ゆかり:「夜高くん。最初に会った日も、似たような問答をしたよね」
夜高ミツル:「……俺が残る理由の話ですか?」
忽亡ゆかり:「ああ。あの時、私は、闘う動機が“恩返し”は良くないって言った」
忽亡ゆかり:「すべき事で考えずに、したい事で考えて欲しいと思った」
糸賀大亮:「……死ぬかもしれない」
糸賀大亮:あの夜のゆかりの言葉をなぞって、顔を上げる。夜高の方を見る。
夜高ミツル:「……でも、俺はそうしたいんです」
忽亡ゆかり:「……そうだな。どうやら、そうらしい」
糸賀大亮:「あの時、お前は」
糸賀大亮:「ひとりででも行動すると言っていた」
糸賀大亮:「今はどうだ?」
夜高ミツル:「……はい」思い返せば無謀なことを言ったものだと思う。
夜高ミツル:「今は……」
夜高ミツル:「……今は、俺一人じゃ何もできないって分かります」
夜高ミツル:「だから、一緒に……お願いします」
忽亡ゆかり:「……」
糸賀大亮:「もし……」
糸賀大亮:「もし、俺たちが、この狩りから降りると言ったら、どうする?」
乾咲フラン:大亮の方をちらりと見る。
糸賀大亮:じっとミツルを見つめている。
夜高ミツル:「……その時は」
糸賀大亮:「それでもお前は、真城を追って、プルサティラと相対するか」
夜高ミツル:「……そうですね。そうしたら俺は多分、死ぬんでしょうけど、それでも」
夜高ミツル:「その時は、一人でも行きます」
忽亡ゆかり:「じゃ、それは真城くんのためじゃない。無鉄砲の、自己満足だ」
夜高ミツル:「……でも、それ以外には」
忽亡ゆかり:「なくはないだろ」
夜高ミツル:「……あ」
夜高ミツル:「……一緒に、戦ってくださいって……」
忽亡ゆかり:「そうだよ」
忽亡ゆかり:「なあ」
忽亡ゆかり:「君、生き残る気、ある?」
夜高ミツル:「…………」
夜高ミツル:「すみません」
夜高ミツル:「……今、冷静じゃなかった」
糸賀大亮:「魔女とひとりで戦うのは正気じゃない」
糸賀大亮:グラジオラスやハイドレンジアと戦っていた真城のことを思い出している。
夜高ミツル:本当に成し遂げたいのなら、そのための最善を尽くすべきで。
夜高ミツル:「……はい」
乾咲フラン:「……命を投げ出してはいけないよ。死んでしまうと、もう、何も叶える事はできないんだから。」
夜高ミツル:「……そう、ですね。死んだら、本当に真城を苦しめるだけだ……」
夜高ミツル:狩人なんかになるなと散々言われて、それでも押し切って、死なないと約束して。それさえ投げ出しては本当にどうしようもない。
糸賀大亮:ただ、プルサティラは真城のために、ほとんど命を棄てている。
糸賀大亮:命を棄てて、狩人の前に立ちふさがり、死ぬつもりの魔女。
糸賀大亮:「……ほかに道があったら、とっくにそうしている」
糸賀大亮:「魔女になって、願いを叶えられるんだから」
忽亡ゆかり:「もうひとつ、私が、君を連れて行きたくないのは……ここから先の事が、きっと君のトラウマになるからだ」
忽亡ゆかり:「混乱する気持ちはわかる。焦る気持ちもわかる」
忽亡ゆかり:「だけど、今の君は、後に引けなくなって、空回りしてる」
忽亡ゆかり:「……もう少しだけ、時間はある。ちゃんと考えてみるといい」
忽亡ゆかり:「このあと、何をしたいのか」
忽亡ゆかり:「どうすべきかどうかじゃなくて、君がどうしたいかどうかだ」
忽亡ゆかり:「……君の歩く道が、ぶれないならば」
忽亡ゆかり:「私は嫌だけど、すごく嫌だけど……」
忽亡ゆかり:「……それでも、全力で、力を貸すから」
夜高ミツル:「……ありがとうございます」
夜高ミツル:「俺は……俺は、できるなら真城を助けたい。殺さなくて済むならそうしたくて……」
夜高ミツル:「でも、忽亡さんや糸賀さんの前でこう言ってしまうのは、すごく自分勝手で、我儘なことも分かってて……」
糸賀大亮:「ああ」
夜高ミツル:「……すみません」
糸賀大亮:「もし、プルサティラの言っていることがすべて本当なら」
糸賀大亮:「お前は本当にプルサティラとひとりで戦うことになるかもしれないし」
糸賀大亮:「俺たちと戦うことになるかもしれない」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「考えておかないと」
糸賀大亮:「……考えておかないままに、その時が来るんだ」
夜高ミツル:「……糸賀さんたちと、」戦う。
夜高ミツル:そんな可能性もあるのかもしれない。プルサティラが語る全てが真実で、それでもなお真城の傍に立つことを選ぶなら。
夜高ミツル:選択を間違えるな、とかつてゆかりに言われたことを思い出す。
忽亡ゆかり:「気持ちは、わかるのさ」
忽亡ゆかり:「彼はいい奴だから、敵対したくない。それは私も、きっと糸賀さんも同じだ」
忽亡ゆかり:「けど、気持ちが同じでも、選ぶ結論が同じとは限らないんだよな」
忽亡ゆかり:「私は君とも、共存していきたい」
糸賀大亮:「だが、その道を選ばないのなら──」
糸賀大亮:「忽亡さんはまだ少し時間があると言ったが」
糸賀大亮:「……少しだけだ。あっと言う間だ。だから、考えておいてくれ」
夜高ミツル:「……」
夜高ミツル:「あいつが、もう本当にどうすることもできなくて、俺達とは共存できない存在になってるなら」
夜高ミツル:「その時は、俺はあいつを殺すために戦います。……そうじゃないなら、ここに残ってる意味がない」
夜高ミツル:「それこそ、帰って、全部忘れたらいい話で……」
夜高ミツル:「……でも、すみません。他にできることがないって分かるまでは」
夜高ミツル:「自分勝手で、我儘なお願いですけど……」
夜高ミツル:「あいつを殺さずに済む方法がないか、探させてください」
乾咲フラン:「……そうだね、二人には悪いが……私も、マシロを救う手立てがあるのなら……そう思っている……」
忽亡ゆかり:「それは……私の事は気にしなくていいです。方法は探しましょう。足掻いてみましょう」
忽亡ゆかり:「けど、わからないまま、決断の時は来るかもしれない」
忽亡ゆかり:「その時に、判断は割れるかもしれない……」
糸賀大亮:「……ああ」
乾咲フラン:「そうだな……」
忽亡ゆかり:「夜高くん。今のうちから考えておくべき理由は、そういう事だ」
夜高ミツル:「……はい」
忽亡ゆかり:「まあ……どっちにしろ、私は君を殺せないよ」
忽亡ゆかり:「もし私がいらなくなったら、後ろから斬ってくれ」
忽亡ゆかり:「私は、君の事を警戒しない。きっと、簡単なもんだ」
夜高ミツル:「……っ、やめてください……!」
忽亡ゆかり:「その判断が嫌なら、帰れ」
夜高ミツル:真城が敵対するのなら、どちらかを選ぶしかない。仲間か、真城か。
夜高ミツル:「……何も分からないまま、期限が来たら。その時は」
夜高ミツル:「……俺は、真城にそれ以上人を殺させない道を選びたい」
夜高ミツル:「そう、思ってます」
夜高ミツル:そうなった時に迷わないように。そうしたいと思ったことを口にした。
忽亡ゆかり:「……そっか」
忽亡ゆかり:「よし!そんじゃ行くか、少年!」
忽亡ゆかり:「色んな事が頭を巡ってると思うけど……こういう時こそリラックスだ」
忽亡ゆかり:「眉間にシワが寄ってる。肩の力も抜いていこう」
夜高ミツル:「り、リラックス、ですか……」むずかしい
忽亡ゆかり:「後悔しない選択なんてないかもしれない。悪い選択肢の反対が、いい選択肢とは限らない」
忽亡ゆかり:「でも、せめて、その時冷静に、ちゃんと、全力を出し切れた結果でありたいよな」
夜高ミツル:頷いて。
忽亡ゆかり:「手に汗を握ってたら刃物は滑るし、体が震えてたら力は入らない」
忽亡ゆかり:「判断力が鈍れば、真城くんに辿り着く前にあっさりと死ぬかもしれない」
忽亡ゆかり:「だから、力を抜いて、息を整えて……」
忽亡ゆかり:「さ。おいで。一緒に行こう」手を差し出した。
夜高ミツル:ゆかりの言葉に再度頷いて。深呼吸。それで少しでも落ち着けた気がする。
夜高ミツル:「……すみません、ありがとうございます」
夜高ミツル:差し出された手を見て、少し悩んで。
夜高ミツル:「……こうして言葉をかけてもらえるだけでも助かってるのに、これ以上甘えられません」
忽亡ゆかり:「あっ。ご、ごめん……」手を引っ込めようとする
夜高ミツル:「……忽亡さんが、いえ、みんながいつも助けてくれることに、優しくしてくれることに、俺は多分ずっと甘えてきたので」
夜高ミツル:「……でも、そうしてもらえることはすごく嬉しいです」
夜高ミツル:「ありがとうございます」
忽亡ゆかり:「……おう」
GM:支配力:真城朔 3→2
糸賀大亮:しかし真城の血戒って手放すとか手放さないとかそういう奴なんだな
GM:受け継いだものなので。
GM:本人が作り上げたものではないので、再現性がないんですね。
糸賀大亮:ふむふむ
行動:乾咲フラン
GM:では次の行動をどうぞ。不労の罪で判定に-2がつきます。乾咲フラン:エーン
乾咲フラン:調達ですね?
糸賀大亮:調達だなあ
ブランド品を修得しているフランにPT全体の興奮剤を集めて調達判定に挑むこととなる。
忽亡ゆかり:するぽよー
夜高ミツル:援護します
糸賀大亮:するぽよよ
乾咲フラン:興奮剤キメます!
GM:光る美!
乾咲フラン:遺物、鎮静剤、興奮剤*4、護符*2でアイテム調達 でよござんすね?
夜高ミツル:ゴーゴー
糸賀大亮:YESYES
忽亡ゆかり:ウェイ
乾咲フラン:オッケー
乾咲フラン:俺は勝つ!!!!!!!!!!!!!!
乾咲フラン:2d6+5-9>=5
BloodMoon : (2D6+5-9>=5) → 8[2,6]+5-9 → 4 → 失敗
忽亡ゆかり:すげーー
糸賀大亮:やったぜ
乾咲フラン:「これは私が触った興奮剤だ。」興奮剤を1個消費します
GM:OK
GM:興奮剤一個消費ですね。
GM:では
GM:『かなたの旧友』有本しおん。
GM:Lv7犯罪者です。-4をつけて振り直してください。
乾咲フラン:ウンチ
乾咲フラン:2d6+5-9-4>=5
BloodMoon : (2D6+5-9>=5) → 7[3,4]+5-9-4 → -1 → 失敗
GM:なりますよ。
GM:えーと、6足りませんね。
GM:興奮剤は既に2個使用済み。
GM:残ってるのは4コか。
GM:どうします?
乾咲フラン:エ~ン 激情で3してさらに興奮剤3個でいけるが…?
忽亡ゆかり:消費すれば手に入る興奮剤は4つなので、あとにひけねえ感じはする
夜高ミツル:護符と鎮静剤もついてくるからな……
糸賀大亮:そうだねえ
糸賀大亮:悔しいが取っちまおう
乾咲フラン:そうだね…
乾咲フラン:激情1個と興奮剤3個を消費しま~す
乾咲フラン:「これは私の触った興奮剤3本セットだ」
夜高ミツル:糸賀大亮のテンションが3増加!(テンション:16->19)
夜高ミツル:夜高ミツルのテンションが3増加!(テンション:15->18)
夜高ミツル:忽亡ゆかりのテンションが3増加!(テンション:10->13)
夜高ミツル:乾咲フランは激情を使用!(激情:1->0)
乾咲フラン:そうだね
が、このあとアイテムのマイナス修正の計算が間違っていたことが判明し、興奮剤が2個戻される。
結果として興奮剤をフランに1個、フラン以外に2個、鎮静剤を大亮に、護符をゆかりと大亮に割り振り、
遺物はミツルが持つこととなった。
GM:鍵が開いてますね。
乾咲フラン:なんてこった
糸賀大亮:犯罪者じゃん
忽亡ゆかり:しおん貴様
GM:中を見ると、
『かなたの級友』有本しおん:まあ、なんか漁ってる様子のがいます。
糸賀大亮:んふふ
夜高ミツル:犯罪なんだよな
乾咲フラン:「! そこのお前!」
『かなたの級友』有本しおん:「!」
『かなたの級友』有本しおん:慌てて振り返る。しまった、と表情をしかめてから、
『かなたの級友』有本しおん:「ちっ……」
『かなたの級友』有本しおん:舌打ちと同時に、姿を消します。
『かなたの級友』有本しおん:紫の花弁となる。
乾咲フラン:「住居不法侵入だぞ!……ちっ、消えたか。」
GM:同時に、軽い音を立てて何かが落ちます。
糸賀大亮:「……ん」
乾咲フラン:「……何だ?」
GM:薔薇の髪飾りですね。
GM:グラジオラスの件の報酬として真城が送りつけてきた、
糸賀大亮:ああ、魔女の遺物
GM:魔女の遺物。枯れない花の髪飾り。
GM:普段は別の場所に保管していたはずなのですが……。
GM:あと、よく見ると色々と物資が花に変えられていたりします。悪さをされている。
忽亡ゆかり:「それは?」
乾咲フラン:「……これは……マシロがくれた報酬だよ。グラジオラスの時のね。」
夜高ミツル:「真城が?」
乾咲フラン:「ああ、あの時はマシロの依頼としてあの学校に行ったんだよ。報酬はなにかビューティーな物を、とね。」
乾咲フラン:「それでくれたのがこの逸品だが……別のところに厳重に保管してあったんだ。盗まれる寸前だったってワケだね。」
忽亡ゆかり:「あの子マジか……」
糸賀大亮:「……妨害か」ところどころに見える紫の花を見やる。
乾咲フラン:「あっ!貴重な美品が……!!なんでやつだ!」
夜高ミツル:「盗まれる前で良かったです。……いくつかは手遅れみたいですけど」
乾咲フラン:「はあ……片付けは後で考えるとして、使えるものを持っていこう。この『魔女の遺物』もね。」
GM:美品
GM:備品じゃなくて……
糸賀大亮:急に中古品っぽくなった
忽亡ゆかり:保存状態がいい品
糸賀大亮:アンティークなのかもしれないが……
行動:プルサティラ 1st
プルサティラ:「なんだか」プルサティラ:「あの子、張り切っちゃってるみたいでねえ」
プルサティラ:と、またもいつの間にやらその後ろに。
プルサティラ:大きな花に腰掛けて浮いている。大きいので室内だとかさばるはずだが、なにやらうまいこと花弁は壁を貫通している。
乾咲フラン:コリジョンがない
糸賀大亮:物理演算して
プルサティラ:魔女だからしませーん。
プルサティラ:「ううん」首を振る。
プルサティラ:「思い詰めてるみたい」
プルサティラ:「私の力が、弱まるのが、怖くて」
プルサティラ:花の上にはいまだ真城が横たわっている。それを撫でながら。
忽亡ゆかり:「……ああ……」
糸賀大亮:「……」
プルサティラ:「……ええと、あのう」
プルサティラ:大亮を見下ろす。
プルサティラ:「…………」
糸賀大亮:見上げている。
プルサティラ:「……」
プルサティラ:「……はあ」
プルサティラ:なにやら、溜め息をついた。
糸賀大亮:「……?」
プルサティラ:「……いや」
プルサティラ:「あのね」
プルサティラ:「もうちょっと、こう」
糸賀大亮:?じゃない
糸賀大亮:訝し気な顔をしている。
プルサティラ:「かわいい感じに現れられるつもりの予定だったんですよ」
プルサティラ:「もうちょっと……もうちょっと、ね?」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:彼女たちには緊張感がない……
プルサティラ:「でも、今の私は怒ってて」
プルサティラ:「すっごく怒ってるので」
プルサティラ:「なんか、そういうのもわざとらしくて、嫌だなあって思うんだけど」
プルサティラ:「……はあ……」
プルサティラ:肩を落としている。
糸賀大亮:緊張感がないので、どう答えていいか分からない。
夜高ミツル:怒らせているのは自分だな……というのは流石に分かる。
乾咲フラン:かわいい感じに現れるということと、大亮への目線の関連性を考えている。
糸賀大亮:何に怒っているのか問いかけるのも、違う気がする。
プルサティラ:「……うーんと」
プルサティラ:「あのね」
プルサティラ:「大亮さん」
プルサティラ:「どうして私が魔女になったか、訊いてくれますか?」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「………、真城のためじゃないのか?」
プルサティラ:「それは、最後はそうだけど……」
プルサティラ:「そもそも……最初の……」
糸賀大亮:考えた末、違う質問が出た。
糸賀大亮:そう言っていたので……
糸賀大亮:「……最後」
プルサティラ:「最初は分かってなかったし……」
プルサティラ:とぼとぼと言い訳めいたことを漏らしている。
糸賀大亮:「最初……」
プルサティラ:ちらちらと大亮に視線を向けている。
プルサティラ:「……訊いてくれないですか?」
乾咲フラン:(ふむ…………)
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「どうして、魔女になったんだ」
糸賀大亮:聞いた。
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「あの、ね」
糸賀大亮:困っている。
糸賀大亮:戦うことを考えている。どうやったら倒せるかを考えている。
プルサティラ:「私、病気が治ったでしょう」
糸賀大亮:そのうえで、前の通りに話しかけてくる見知った彼女に。
糸賀大亮:「……ああ」
プルサティラ:「治ってね、胡桃ちゃんが治してくれて」
糸賀大亮:攻撃できるかと言えば、難しい……
プルサティラ:「じゃあ今度は私の願いを叶えてあげるって言われてね」
プルサティラ:「それで、胡桃ちゃんと同じふうにしてほしいって願ったんだけどね」
プルサティラ:「……あのね」
プルサティラ:「だって」
プルサティラ:「私」
プルサティラ:「病気がなくなっちゃったら、なんにも残らないでしょう?」
糸賀大亮:「……何?」
糸賀大亮:何を言っているのか分からない、という顔をしている。
プルサティラ:「皆川彩花には、病気以外なんの取り柄もなかったんだよ」
プルサティラ:「大して頭もよくないし、学校あんま行けないから勉強もちょっとで、運動だってダメで」
プルサティラ:「すごくかわいいってわけでも、ないし……」
糸賀大亮:「……取り柄」
プルサティラ:「……私は」
プルサティラ:「私は病気だったから」
プルサティラ:「何にもしなくてもみんなに構ってもらえて」
プルサティラ:「みんなに心配してもらえてたの」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「……それは、」
糸賀大亮:そんなふうに考えていたのか。
プルサティラ:「……大亮さんだって」
プルサティラ:「病気じゃなくなった私に、前みたいに会いに来てくれてましたか?」
糸賀大亮:本来は逆だと思っている。
糸賀大亮:病気だから〈何もできなかった〉のだ
糸賀大亮:だが、確かに病気が治れば、すぐに〈何でもできる〉自分になるわけではない
プルサティラ:「ただの女子高生の皆川彩花に」
プルサティラ:「お見舞いって理由もなしに、会いに来る理由、ないよね」
糸賀大亮:「……分からない」
糸賀大亮:「でも確かに、俺に関していえば」
糸賀大亮:「そうだろうな。そもそも俺が君に会ったのは」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:「……〈君が病院にいたから〉だ」
プルサティラ:「うん」
糸賀大亮:「そうじゃなきゃ、そもそも会わなかった」
糸賀大亮:「俺は狩人で」
糸賀大亮:「君は……」
プルサティラ:「うん……」
糸賀大亮:「君には」
糸賀大亮:「モンスターとはかかわりのない場所で生きてほしいと」
糸賀大亮:「思っていた。でも……」
糸賀大亮:「…………そうだな、だから、君がもし、魔女にならなかったら」
糸賀大亮:「今は全く違う風になっていて、会えていたかは……」
糸賀大亮:「分からない。会わない方がいいとさえ、思っていたかもしれない」
プルサティラ:「私もけっこう、びっくりしちゃってさ」
プルサティラ:「だってもう、大亮さんが入院したとか、検査入院とかでもないと」
プルサティラ:「ぜんぜん口実ないんだもん」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「……………」
糸賀大亮:つまり。
プルサティラ:「……私はね、だからね」
プルサティラ:「それで……みんなに来てもらえるようにね」
プルサティラ:「いい子をやるだけでよかった」
プルサティラ:「また見舞いに来てあげたい、顔を見に来たいと思ってもらえる」
プルサティラ:「めんどくさくなくて、健気で、頑張ってる感じのね」
プルサティラ:「そういう女の子でいることをだけがんばっててね」
プルサティラ:「それ以外は、あとは、病気を全部、理由にね……」
糸賀大亮:「……ああ」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「君は、死ぬはずだった」
プルサティラ:「うん」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「だから、」
糸賀大亮:「そうだな、それは……そうだ」
プルサティラ:「あ、あのね」
プルサティラ:「でもね」
プルサティラ:「病気、治してもらえたのはね、嬉しいの」
プルサティラ:「それはね、治ったことじゃなくて」
プルサティラ:「治してほしいって、思ってもらえたことがね……」
糸賀大亮:魔女は願いを叶える。でも、万能ではない。
糸賀大亮:「…………」
プルサティラ:「それくらいに、想ってもらえたこと」
プルサティラ:「胡桃ちゃんが、魔女になってでもそうしたいと思ってくれたこと」
プルサティラ:「大亮さんが、願ってくれたこと」
糸賀大亮:「……」
プルサティラ:「それは全部、私は、嬉しくて」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「……魔女になるなんて、取り返しのつかないことなのに」
プルサティラ:「それでも私は、胡桃ちゃんがそうなってくれたことを、嬉しく思ってるの」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:どう答えていいか分からなくなる。
プルサティラ:「……私、だから」
プルサティラ:「本当の私は、こうでね」
プルサティラ:「こういう嫌な、悪い女が、本当の皆川彩花で」
糸賀大亮:「本当の」
プルサティラ:「魔女になったから、歪んだわけじゃなくて……」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:「…………?」
プルサティラ:「ねえ」
プルサティラ:「大亮さん」
プルサティラ:「大亮さんは、こんな私のことは、嫌いになりますか?」
糸賀大亮:今大亮、何が嫌で悪い女なのかミリも分かってないので、だめ
プルサティラ:大亮!!!!!!!!!
夜高ミツル:ふふ……
乾咲フラン:大亮~~~~~~~!!!!!!!!
乾咲フラン:フラン必死に真顔してるよ
糸賀大亮:「ええと」
糸賀大亮:ええと、と思わず言ってしまった。
糸賀大亮:だめだ。
プルサティラ:じっと大亮を見つめている。
糸賀大亮:俺はさっき、この子に杭を突き立てたんだ。
糸賀大亮:それを何で。……正気じゃない。
糸賀大亮:正気じゃないと思いながら、前のように接されると、
プルサティラ:「……こんな私は、だめですか?」
糸賀大亮:前のように応じてしまう。それが、
糸賀大亮:「よく分からない……」
糸賀大亮:たまらなくいやだ。
プルサティラ:「…………」
糸賀大亮:「何も、おかしいことは言っていないだろう」
プルサティラ:「?」
糸賀大亮:「胡桃ちゃんは……」
糸賀大亮:「……胡桃ちゃんは、本当に君に治ってほしいと」
糸賀大亮:「俺にそう、願ってほしいと望んでいた」
プルサティラ:「でも、大亮さん」
プルサティラ:「胡桃ちゃんが大亮さんの願いを叶えるために魔女になったら、嬉しい?」
糸賀大亮:「……悲しかった。ただ、それは」
糸賀大亮:「悪いとかいいとかじゃなくて」
糸賀大亮:「俺が、狩人だからだ」
プルサティラ:「…………」
糸賀大亮:「魔女は殺さなければいけない」
糸賀大亮:「……君も、殺さなければいけない」
プルサティラ:「そうだね」
プルサティラ:「そう」
糸賀大亮:「殺さなければならない存在に」
糸賀大亮:「願いを叶えてもらって」
糸賀大亮:「杭を突き立てる。……それよりは」
糸賀大亮:「嬉しいと思える方が、自然じゃないか」
糸賀大亮:「君は、俺に嫌ってほしいのか」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:くすりと微笑んで。
プルサティラ:「……じゃあ、大亮さん」
プルサティラ:「狩人じゃない糸賀大亮さんに、これは質問です」
糸賀大亮:「……」
プルサティラ:「大亮さんは、皆川彩花のことを、どう思っていますか?」
糸賀大亮:「どう……」
糸賀大亮:どう。
糸賀大亮:「……友人だった」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:「あの頃」
糸賀大亮:「怪我をして、入院した時の俺は」
プルサティラ:頷きながら、聞いている。
糸賀大亮:「本当に、……ろくなものじゃなくて」
糸賀大亮:「死にたいとか、死にたくないとか、俺のせいとか、俺のせいじゃないとか」
糸賀大亮:「そういうことばかりをずっと考えていて」
糸賀大亮:「……何がきっかけで君と話したのかは、覚えてないけど」
プルサティラ:「……ん」
糸賀大亮:「本当に助けられたんだ」
プルサティラ:「うん。……うん」
糸賀大亮:「君と話をするのは楽しかった」
糸賀大亮:「でも、罪悪感もあって」
プルサティラ:「どうして?」
糸賀大亮:「俺なんかが話して、迷惑を」
糸賀大亮:「……きっと、迷惑だろうと思った、胡桃ちゃんだって最初はいろいろ……」
糸賀大亮:「君のことを心配して、言ってくれていたろう」
プルサティラ:「そうだったね」
糸賀大亮:「しつこいぐらいだったかもしれない」
プルサティラ:「……それでも来てくれたのは、どうして?」
糸賀大亮:「……話をしたかった」
プルサティラ:「話」
糸賀大亮:「君と」
糸賀大亮:「話すと安心して」
糸賀大亮:「その時だけ色々なことを忘れられて」
糸賀大亮:「……それは、だから」
プルサティラ:「はい」
糸賀大亮:「君のためを思ってのことじゃなくて」
糸賀大亮:「自分のことばかりで、でも」
糸賀大亮:「話がしたかったんだ」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「どうして」
プルサティラ:「?」
糸賀大亮:「どうして魔女に」
糸賀大亮:「…………どうして」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「ごめんね」
プルサティラ:「大亮さんのための魔女になれなくて、ごめんね」
糸賀大亮:「…………そうじゃない」
糸賀大亮:「そうじゃないだろう」
プルサティラ:「私は、より苦しんでくれそうな方を選んだの」
プルサティラ:「私を失って、取り乱して、生きていけなくなってくれそうな方を、選んだ」
プルサティラ:「だから私は、さっくんのための魔女になった」
糸賀大亮:「…………」
プルサティラ:「……大亮さんは、きっと」
プルサティラ:「私を失って、狂ってくれることはないだろうと、思ってた」
糸賀大亮:「…………」
プルサティラ:「でも、違いますか」
プルサティラ:「大亮さんは、何があっても」
プルサティラ:「何を失っても」
プルサティラ:「何を代償にしても」
プルサティラ:「私を求めてくれますか?」
糸賀大亮:プルサティラがかなたを生き返らせた時に言ってくれたことを思い出す。
糸賀大亮:ゆかりには人生を捧げてくれるものがいなかった。
糸賀大亮:だから、かなたを生き返らせたのだと。
プルサティラ:「私を、置き去りにしないでくれますか?」
糸賀大亮:首を横に振る。
糸賀大亮:「…………嫌だ」
プルサティラ:「?」
糸賀大亮:「でも、本当に嫌なんだ」
糸賀大亮:「…………」
プルサティラ:「なにが、嫌?」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:何が。
糸賀大亮:今のこの状況が。
糸賀大亮:殺したいはずがないんだ。
糸賀大亮:殺したいはずがない子が、殺すべき存在としてそこにいることが。
糸賀大亮:「……君が、魔女になったことが」
プルサティラ:「それだけ?」
糸賀大亮:「君が……」
プルサティラ:「うん」
糸賀大亮:「魔女にならなければならなかったことが」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:「君も真城の」
糸賀大亮:「あれを見たんだろ」
プルサティラ:「全部、知ってるよ」
プルサティラ:「私はさっくんのための魔女だから、さっくんのこと、全部知ってる」
糸賀大亮:「ああいう目に遭わなきゃいけない奴が存在することが」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:「胡桃ちゃんだって、そうだ」
糸賀大亮:「君のためを思って、君のことを治そうとして魔女になったのに」
糸賀大亮:「……でも、それだけじゃいられなくなって、世界を変えずにはいられなくなる」
糸賀大亮:「魔女が、吸血鬼が、モンスターがいなければ」
糸賀大亮:「…………でも、そうしたら君は死んでいた」
糸賀大亮:「モンスターがいなくても」
糸賀大亮:「どこにだって悲しいことはあるし」
糸賀大亮:「モンスターがいなかったら、そのまま死んでいた奴だっているし」
糸賀大亮:「…………そんなもの、」
プルサティラ:「うん」
糸賀大亮:「何もかも嫌に決まってるだろう」
プルサティラ:「……優しいね」
プルサティラ:「大亮さんは、優しいよ」
糸賀大亮:「分かってるんだ。分かってる。嫌だって言ったって、そんなものは無理だ」
糸賀大亮:「君は選択した。真城のための魔女になることを選んだ」
糸賀大亮:「だから、俺が選ばないわけにはいかない」
糸賀大亮:「君の言った通り」
糸賀大亮:「……俺は、狂ったりはしないだろう」
糸賀大亮:どうだろう。分からない。
糸賀大亮:「君を殺しても」
糸賀大亮:本当にそうだろうか。
プルサティラ:「……ねえ」
糸賀大亮:「…………ああ」
プルサティラ:「でも」
プルサティラ:「苦しいよね」
糸賀大亮:「苦しいさ」
プルサティラ:「苦しみ続けてる」
糸賀大亮:「ああ」
プルサティラ:「自分がやったことを、否定しないために」
プルサティラ:「積み上げてきたことを、無にしないために」
プルサティラ:「そのためだけに、あなたは苦しんでいる」
プルサティラ:「でもさ、大亮さん」
糸賀大亮:「………」
プルサティラ:「続けるためだけに続けるのって」
プルサティラ:「それは、ただ、辛いだけだよ」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:分かっている。
糸賀大亮:出口がないんだ。
プルサティラ:「大亮さんはさ、人間なんだよ」
糸賀大亮:出口がない道を、歩き続けている。
プルサティラ:「人間って間違えるし、その間違いを認めるのも、辛いことだし」
糸賀大亮:分かって歩き続けている。
プルサティラ:「まあ、一言で間違いって言ってしまえることでもないんだけど」
プルサティラ:「……大亮さん」
糸賀大亮:でも、続けなきゃいけない。
プルサティラ:「してしまったことにばかり気を取られて」
プルサティラ:「動けなくなってしまう必要って、ないんだよ」
プルサティラ:「過去にしてしまったことを、ずっと続けなくても、いいんだよ」
糸賀大亮:「……それは」
糸賀大亮:何かが良くなると信じて。
糸賀大亮:俺はあの時すみれにそう言った。
糸賀大亮:今も信じていると。
糸賀大亮:言えるかと言えば、それは違う。
糸賀大亮:「君は」
プルサティラ:「なあに」
糸賀大亮:「……いや、俺は」
糸賀大亮:「ハイドレンジアを殺して」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:「君こそ、俺を────」
糸賀大亮:「憎んだりは、しないのか」
プルサティラ:「ううん」
糸賀大亮:してくれないのか、という。
糸賀大亮:ほとんどそういう問いだった。
プルサティラ:それを、すぐさま否定する。
プルサティラ:「ハイドレンジアを殺さなければ」
プルサティラ:「もっといっぱい、人が死んでた」
プルサティラ:「あなたはそれを食い止めた」
糸賀大亮:「……でも、」
糸賀大亮:「胡桃ちゃんを……」
プルサティラ:「…………」
糸賀大亮:「……」
プルサティラ:「……悲しいよ」
プルサティラ:「悲しい、ことだよ」
糸賀大亮:俺も同じことを言うだろう。
糸賀大亮:ハイドレンジアを殺さなければ。
糸賀大亮:仕方なかった。ほかに方法がなかった。どうしようもなかった。
糸賀大亮:「…………」
プルサティラ:「胡桃ちゃんも、ハイドレンジアになっても、死なないで」
プルサティラ:「誰にも殺される必要なんてなくて」
プルサティラ:「それで一緒に笑っていられたら、きっと嬉しかったけど」
プルサティラ:「でも、そんなことは、ないの」
プルサティラ:「できないの」
プルサティラ:「無理な、ことだった」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:視線は、ゆるやかに彼女とともにいる真城へと向く。
プルサティラ:「……そうだね」
プルサティラ:「さっくんのせいだ」
プルサティラ:髪を整えてやっている。
糸賀大亮:いいや。違うことを考えている。
プルサティラ:「だから、さっくんを殺すことは」
プルサティラ:「胡桃ちゃんの仇討ちにも、なるね」
糸賀大亮:本当にどうしようもないのかと。
プルサティラ:「でも、しなきゃいけないことじゃないよ」
プルサティラ:「苦しかったら、やめていいの」
糸賀大亮:「……」
プルサティラ:「……全部、そうだよ」
プルサティラ:「私はそれを認めてあげる」
プルサティラ:「認めてあげたい」
プルサティラ:「頑張れない人のこと、みんな、私は認めてあげたいと思ってて」
プルサティラ:「それは」
プルサティラ:「がんじがらめになってしまっている、あなたにも、そう」
糸賀大亮:「…………ああ」
プルサティラ:「……大亮さん」
プルサティラ:「私が思うのはね」
プルサティラ:「モンスターはもう、変われないけど」
糸賀大亮:「……ああ」
プルサティラ:「人間は、まだ、変わっていける存在だってこと」
プルサティラ:「過去に縛られることもできるけど」
プルサティラ:「過去を省みて、前に進むこともできるんだってこと」
プルサティラ:「そして」
プルサティラ:「間違えることも、あるんだってこと」
糸賀大亮:「…………」
プルサティラ:「大亮さん」
プルサティラ:「大亮さん、ね、大亮さん」
プルサティラ:「ここでひとつ、間違ってみてはくれませんか」
糸賀大亮:「……プルサティラ」
糸賀大亮:「それは…………」
プルサティラ:「私に祈って」
プルサティラ:「私を、願って」
プルサティラ:「全てを賭けて、私に願いを託してくれたら」
糸賀大亮:言葉に詰まる。
プルサティラ:「私は、今までの私との、今までと変わらない時間」
プルサティラ:「それを、あなたに与えると約束しましょう」
プルサティラ:「大亮さん」
プルサティラ:「――皆川彩花を、願っては、くれますか?」
プルサティラ:糸賀大亮の幸福『背徳:皆川彩花』を破壊します。
糸賀大亮:呆然と、立ち尽くす。
プルサティラ:「今までみたいに、お話して」
プルサティラ:「魔女じゃない私と一緒に」
プルサティラ:「話してるときだけでも、辛いこと、忘れて」
プルサティラ:「ただ、それだけの時間です」
プルサティラ:「そういうことができる、魔女ではない、皆川彩花」
プルサティラ:「あなたはそれを、願ってくれますか?」
夜高ミツル:妨害……していい!?大亮さん!!
糸賀大亮:してください…………(顔を覆う)
プルサティラ:はははは。
夜高ミツル:遺物どうしようか まだサバト来るかもだから取っておく?
夜高ミツル:関係2だから4でいけるんですよ
見学の水面:まってこれミツルくん妨害してだいじょうぶなん
夜高ミツル:え
プルサティラ:物語がな……
プルサティラ:まあ……いや……
見学の水面:ミツルくんとして……
プルサティラ:大亮さんが皆川彩花を望むことをミツルくんが妨害することの意味がね
糸賀大亮:あーっ
プルサティラ:それってそのまま、誰と誰の関係ですか?
夜高ミツル:あ……
忽亡ゆかり:ふふっ
夜高ミツル:はい……
プルサティラ:特例で魔女の遺物移してもいいよ
糸賀大亮:はい~相談しよう
夜高ミツル:すみません何から何まで……
糸賀大亮:言うてこの大亮のこれ
糸賀大亮:大亮はごらんのとおりこれなんですけど
糸賀大亮:ほかの三人がむしろ妨害しづらい可能性に気づいてしまった
忽亡ゆかり:テンション具合てきにはゆかりでもあるけど ゆかりもあんまり止める気なさそうなのがな
乾咲フラン:フランはな……援護しなければ仮面+変身跳躍したあともっかい跳躍できるところなんだが…
糸賀大亮:あとフランさんは激情もないしな
乾咲フラン:つらくくるしい
糸賀大亮:ゆかりさんの激情も調達に使いたいし
糸賀大亮:だからこの行動、止めてもらうんだったら夜高なんだけど
糸賀大亮:夜高が止めていいのかっていう
糸賀大亮:破壊、破壊ではないからな…というのはあるが……
糸賀大亮:ある………
夜高ミツル:ないが……
乾咲フラン:またミツルくんとありおりさんが絞り汁も出なくなってしまう
糸賀大亮:エーン
夜高ミツル:え~~ どうしよう……
夜高ミツル:武装できる理論のすべてが自分に返ってくる……
見学の水面:妨害するなら、覚悟していった方がいいのは確か
糸賀大亮:ミツルくんが大亮を止めてなお真城を助ける方向にいくみたいな
糸賀大亮:そう言うのがあれば……あれ……
プルサティラ:言っちゃうと難易度は上がりますね
プルサティラ:いうまでもないので、いっちゃった。
糸賀大亮:人の背徳を慮って破壊できないというのは
糸賀大亮:これまで結構あったけれど
プルサティラ:背徳、願いだからな……
見学の水面:まあロールは出目良くても負けることあるけどゲームは出目良ければ勝てるから通していいんじゃない
プルサティラ:まあロールは出目関係なくジャッジだからね
糸賀大亮:まさか自分の背徳が破壊される時に入る方が躊躇いがあるみたいな
糸賀大亮:そういうことがあるとは想定してなかった そういやそうだ
プルサティラ:同じ話に基づいて破壊してるので。
糸賀大亮:ウン……
糸賀大亮:通しで……行きましょうか……!?
見学の水面:なんなら妨害しない、というロールをしてもいいと思うんだよね
夜高ミツル:通してしまってよろしいでしょうか……すみません……
プルサティラ:OK
糸賀大亮:むしろ大亮に人間性が戻るまであるし……
忽亡ゆかり:大亮さんが人間に戻ってしまう
糸賀大亮:社会復帰したり人間に戻ったり忙しいな
プルサティラ:サバトでもないのに妨害させない実績解除、達成感あるな。
糸賀大亮:もしあの時に戻れたら?
糸賀大亮:元のように、過ごせたら。
糸賀大亮:それは、どうしようもなく。楽になるような。
糸賀大亮:そんな気がして、そこに手を、伸ばしそうになる。
夜高ミツル:あの問いに答えさせてはいけないと、願わせてはいけないと思って。
夜高ミツル:躊躇する。
夜高ミツル:真城について同じことを問われた時、それを受け入れずにいられるだろうかと。
糸賀大亮:「…………」唇が震えて、言葉が出てこない。
プルサティラ:じっと大亮を見つめながら、待っている。
糸賀大亮:「……俺は」
糸賀大亮:俯く。目が合わせられない
糸賀大亮:「…………俺は」
糸賀大亮:だめだ、と思った。
糸賀大亮:そんなふうに、自分だけ楽になったって意味がないんだって。
プルサティラ:「大亮さんは?」
糸賀大亮:でも、どうしても首を横には振れない。
糸賀大亮:「…………」俯いたまま、拳を握る。
糸賀大亮:「すまない」
プルサティラ:「うん」
糸賀大亮:「……すまない」
プルサティラ:「……うん」
糸賀大亮:背中を丸めて、
糸賀大亮:「…………答えられない。俺は……」
糸賀大亮:「……待って、くれるか」
糸賀大亮:震える声で問いかけた。
プルサティラ:「……いいよ」
プルサティラ:「待ってあげる」
プルサティラ:「でも、でもね」
プルサティラ:花に腰掛けたプルサティラが、ふわふわと大亮に近づいてくる。
糸賀大亮:顔を上げる。
糸賀大亮:怯えるような目で、彼女を見ている。
プルサティラ:その耳に唇をよせて、小さく囁く。
プルサティラ:「そうしてあなたのものになる皆川彩花はね」
プルサティラ:「あなたのこと、好きなんだよ」
プルサティラ:ぱっと花になって、消える。
糸賀大亮:えっ?!
糸賀大亮:今のは大亮の心の声ですが
糸賀大亮:なんぼなんでもだったのでこっちに打ちました
乾咲フラン:笑った
プルサティラ:ははは
糸賀大亮:えっ!?
乾咲フラン:大亮!(バシィ)
糸賀大亮:(倒れる)
夜高ミツル:たおれちゃった・・・
糸賀大亮:いや………えっ!? 何で?!
糸賀大亮:何でじゃねえよ!!!
糸賀大亮:ってPLがが言ってます
GM:面白い
糸賀大亮:大亮!
糸賀大亮:頭を抱えて、がしがし掻いている。
夜高ミツル:「……」プルサティラの消えた後を見ていた。
乾咲フラン:「糸賀クン……」気遣わしげな声。
糸賀大亮:「大丈夫だ」勢い込むような声。
糸賀大亮:「……大丈夫だ」
忽亡ゆかり:「…………」
忽亡ゆかり:ここで何を阻むことができようか。
忽亡ゆかり:さっきまで、自分が少年に言っていた事を思い出す。
忽亡ゆかり:大事な人にこそ、狩人など続けて欲しくはないのだ。
忽亡ゆかり:狩りという言葉は、殺しを生ぬるく、綺麗に聴こえるように置き換えた言葉だ。
忽亡ゆかり:狩人とは都合の悪い命を排除することで、自分たちの利へとつなげる存在に過ぎないのだ。
忽亡ゆかり:殺さなければならない、なんて言葉も、あくまで人間側の理屈に過ぎなくて。
忽亡ゆかり:ひとたび殺しを放棄してしまえば、この害意のない魔女によって世界は都合よく作り変えられて、働かず、苦しまず、甘く美味しい夢の中に浸れるのかもしれない。
忽亡ゆかり:人間性を削ってまで、狩人を続けることが、正義だとはどうしても思えない。
忽亡ゆかり:それで人間が、世界が混沌に堕ちるのならば、それが自然による淘汰なのではないだろうか?
乾咲フラン:(もしも碧が魔女だったなら……)
乾咲フラン:(……無意味な考えだな。碧は私を望んではくれないから……)
夜高ミツル:「……最後、何言われたんですか?」糸賀の方に視線を移して。
糸賀大亮:「…………いや……」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「大丈夫だ」
糸賀大亮:何が?
糸賀大亮:「……戦える」
夜高ミツル:「……」答えを待って糸賀を見ていたが。
乾咲フラン:「……無理は、するなよ。」目の前のこの切羽詰まった男には、そのぐらいしか言えない。
忽亡ゆかり:「プルサティラちゃんは、自身の命を投げ出してでも、大事なものに爪痕を残したかったんだな」
夜高ミツル:耳打ちされた内容は、狩人とか魔女とか関係ない個人的なことだったのだろうと今更ながら気がついて。
夜高ミツル:「……すみません」無神経な質問を謝る。
糸賀大亮:首を横に振った。
GM:では、大亮さんの幸福『背徳:皆川彩花』の強度が3→1。
GM:それと大亮さんからプルサティラに関係が1増えます。
行動:忽亡ゆかり
忽亡ゆかり:調達します忽亡ゆかり:護符、興奮剤*3
忽亡ゆかり:興奮剤を使用
忽亡ゆかり:2d6+2-4>=5
BloodMoon : (2D6+2-4>=5) → 8[2,6]+2-4 → 6 → 成功
GM:えらい!
夜高ミツル:さすが!!
GM:では護符と興奮剤*3を入手ですね。
忽亡ゆかり:やったぜ
糸賀大亮:やったー
忽亡ゆかり:「すみません、少しの間、別行動させてください」
忽亡ゆかり:「職場の方へ、物資の回収に。すぐ戻ります」
乾咲フラン:「ん?ああ……気をつけて。」
乾咲フラン:「そうだな……」花まみれになった物置を見回しながら。
夜高ミツル:「そうですね……お願いします」
糸賀大亮:先程のことが尾を引いており、もはや沈黙したまま見送っている。
忽亡ゆかり:「……糸賀さん」
糸賀大亮:「……」顔を上げてゆかりの方を見る。
忽亡ゆかり:「糸賀さんには、数え切れないほどの恩があります。あなたが何を選択されても、私は、いいかなって思いますけど……」
忽亡ゆかり:「……怒ってほしかったら、怒ってあげます。あなたも、どうしたいか……考えておいてね」
糸賀大亮:眉根を寄せて、困ったような顔で見返す。
糸賀大亮:「……すまない」
糸賀大亮:「いや」
糸賀大亮:「…………ありがとう、忽亡さん」
糸賀大亮:「ちゃんと、考えるよ。そうしなきゃならない」
忽亡ゆかり:「はい」
忽亡ゆかり:「……ひとつ、これは私の推測ですけど」
忽亡ゆかり:「糸賀さんは、彩花ちゃんという女の子にとっても、プルサティラという魔女にとっても、特別な存在だったんじゃないかな」
忽亡ゆかり:「みんなが彩花ちゃんって人間を忘れた時……糸賀さんの手元にだけは、彼女の痕跡が残されてたんですよね?」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:プルサティラの。
糸賀大亮:去り際の言葉を思い出す。
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:いや、とか、でも、とか。
糸賀大亮:そういう言葉が頭を回っているが。
糸賀大亮:どんどん浮かんでくる言葉のどれも。
糸賀大亮:口に出すのはむしろ、だめというか。
糸賀大亮:そういう…………
糸賀大亮:…………
糸賀大亮:「…………すまない」誰に謝ってるんだ?
忽亡ゆかり:「……」
忽亡ゆかり:「彼女なりに、自分の存在をあなたの中に残そうとして」
忽亡ゆかり:「……それが。あなたとの関わりが、痕跡が」
忽亡ゆかり:「そのまま、彼女の存在の証明になる」
忽亡ゆかり:「それは、彼女の力の源であり」
忽亡ゆかり:「……裏返せば、弱点なんじゃないかなって」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:そういう言葉にまた、買い被り過ぎだとか、そんなわけないとか言おうとしてしまう。
糸賀大亮:頭を掻いた。
糸賀大亮:「…………」
乾咲フラン:「あの子は糸賀クンに、忘れられたくないんだろうな……」
夜高ミツル:置き去り、という言葉を彼女がよく使っていることに思いを馳せる。
糸賀大亮:顔を覆って、ため息をつく。
糸賀大亮:「……プルサティラは、倒す」
糸賀大亮:「……………」
忽亡ゆかり:「はい」
忽亡ゆかり:「私も、彼女を殺します。友達でも……いや、だからこそかな」
忽亡ゆかり:「約束したんです。彼女のためにも、ちゃんと真城くんと向き合うって」
忽亡ゆかり:「でもそれは、彼女の屍の先にある道なので」
糸賀大亮:「……そうか」
糸賀大亮:「そう……だったな」
糸賀大亮:プルサティラを倒して、その先。真城を倒して、その次。
糸賀大亮:そういう考えでいた。
糸賀大亮:でも、……少しだけ。
糸賀大亮:「……忽亡さん」
糸賀大亮:「ああ」
糸賀大亮:「もう大丈夫だ」
忽亡ゆかり:「ん?」
忽亡ゆかり:「……そう?」
糸賀大亮:「大丈夫じゃないが……」
忽亡ゆかり:「うん」
糸賀大亮:「あんたが戻ってくるまでには、何とかする」
忽亡ゆかり:「ん」
忽亡ゆかり:「そんじゃ、行ってきます」
糸賀大亮:手を上げて見送ろう。
夜高ミツル:ゆかりを見送る。
乾咲フラン:「道中気をつけて、用心してね」
忽亡ゆかり:「おう、弟のガールフレンドが出てきたら、折檻してやりますよ!」
忽亡ゆかり:手を上げて、背中を向けて、その場から走り去る。
夜高ミツル:「……糸賀さん」ゆかりが出ていくのを見送ってから、声をかける。
糸賀大亮:「ああ」
糸賀大亮:落ち着きがなかったのが、幾分平静さを取り戻している。ように見える。
夜高ミツル:「俺も、忽亡さんが言ったのと同じで。糸賀さんが何を選んでも、それを……」
夜高ミツル:「プルサティラは間違いって言ったけど……多分そんなに間違いでもないと俺は思ってて」
夜高ミツル:「……俺はさんざん我儘を聞いてもらってる身ですから。糸賀さんも……」
夜高ミツル:「そうしたいと思ったなら、その時は」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「そうすべきじゃないんだ」
糸賀大亮:「……そうすべきじゃない」
糸賀大亮:「いや、そうじゃない」
糸賀大亮:「そうした時に、まだ出口がないような気がして」
糸賀大亮:「それを怖がってる」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「俺は、」
夜高ミツル:「……はい」
糸賀大亮:「彩花ちゃんの友達で…………」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:「だから……その……」
糸賀大亮:そうじゃなくて……と言おうとして黙った。
夜高ミツル:「友達と、変わらず友達でいられることを望むのは……」
夜高ミツル:間違いではない、と思う。思いたい。自己弁護じみてしまう。
糸賀大亮:「許してやろうと言われても」
糸賀大亮:「許せないという気持ちがすぐには消えないということで…」
糸賀大亮:「……間違いというのは、それを、汲んでくれた、のではないかと」
糸賀大亮:自分の話ばかりをしてしまう。
糸賀大亮:夜高は悩んでいる。その手助けをしたい。プルサティラは魔女になってしまった。
糸賀大亮:彩花ちゃんがもし、……もし俺の願いで戻ってきても、プルサティラを殺すことは変わらない。
糸賀大亮:「でも、夜高」
糸賀大亮:「俺よりも、お前のことだ」
糸賀大亮:「……探すんだろう、真城を生かす方法を」
夜高ミツル:「……」
夜高ミツル:「はい」
糸賀大亮:「プルサティラは真城のために魔女になった」
糸賀大亮:「真城のために、殺されることさえ受け入れる」
糸賀大亮:「願いを叶えられる魔女が、真城を殺すしかないと言っている」
糸賀大亮:「考えたはずなんだよ……彼女も」
夜高ミツル:「……そうですね」
夜高ミツル:「ハイドレンジアが彼女の病気を治したように……できることがあるならやってるはずで」
糸賀大亮:「だから、もし真城を殺さない道を選ぶなら」
糸賀大亮:「彼女が、どうしたって見つけられなかった答えを」
糸賀大亮:「お前は見つけなきゃいけないってことなんだ」
夜高ミツル:真城のことをすべて知っているはずの彼女が、まだ見つけていない答え。
糸賀大亮:「……それができるなら」
糸賀大亮:「そんな都合のいい答えが、もし見つけられたら」
糸賀大亮:「その時は、きっと教えてくれ」
夜高ミツル:「…………はい」頷いて。
糸賀大亮:その時。
糸賀大亮:その時こそはきっと、俺は何の言い訳もせず。
糸賀大亮:誰に赦しを乞うこともなく。
糸賀大亮:自分の行いが間違いだったことを、苦しみなく受け取れる、と思う。
糸賀大亮:そこまで夜高に重しを載せる気にはなれなかった。
糸賀大亮:「頼んだよ」
GM:寝静まった曙光騎士団のオフィスで物資を調達し、仲間の元に戻ろうとするゆかり。
GM:そのゆかりのスマートフォンに着信が入ります。
GM:発信元は、忽亡かなた。
忽亡ゆかり:すぐに手に取り
忽亡ゆかり:「もしもし?」
忽亡かなた:「もしもし」
忽亡かなた:「……相変わらず早いね、姉さん」
忽亡ゆかり:「まあね」
忽亡かなた:今度こそ、
忽亡かなた:正真正銘、かなたからの電話。
忽亡かなた:「今大丈夫?」
忽亡かなた:「なんか切羽詰まってるとか、危なかったりとか」
忽亡かなた:「無理してないよね」
忽亡ゆかり:「うん。大丈夫」
忽亡かなた:「……うん」
忽亡かなた:「良かった」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「あのさ」
忽亡ゆかり:「うん」
忽亡かなた:「一人になって、ちょっと考えてたんだけど」
忽亡かなた:「ええと」
忽亡かなた:「すぐじゃなくていいんだ」
忽亡かなた:「すぐじゃなくても、いいからさ」
忽亡ゆかり:「……うん?」
忽亡かなた:「姉さん」
忽亡かなた:「今度、話、聞かせて」
忽亡かなた:「姉さんがやってることの」
忽亡かなた:「姉さんがしてる、危ない仕事の、話」
忽亡かなた:「……俺も、ちゃんとそれを知りたい」
夜高ミツル:かなたくんこれからはモノビとか見えちゃうのかな
忽亡かなた:見えそうですね
夜高ミツル:どうするゆかりさん弟がハンターなるとか言い出したら……
忽亡かなた:まあそこも含めて話ってことじゃん
夜高ミツル:まあね
糸賀大亮:会話は必要
忽亡ゆかり:「……そっか、そうだよね」
忽亡ゆかり:「不思議なものを見たり、不思議な体験をしたり……きっと、最近は……わからない事ばっかりだったもんね」
忽亡かなた:「……姉さんがそれを、俺に知られたくないみたいなのは、分かってた」
忽亡かなた:「分かってたし、巻き込みたくないんだろうな、っていうのも……」
忽亡かなた:「……そうした方が、その方が、姉さんは安心できるのかもしれない」
忽亡かなた:「そういう風にも、思ってて、俺は」
忽亡かなた:「……だから、気付かないふりしてきたけど」
忽亡かなた:でも、と。
忽亡かなた:「……やっぱり、もう嫌だよ」
忽亡かなた:「姉さんばっかりに背負わせるのは、嫌だ」
忽亡ゆかり:「……」
忽亡ゆかり:もう、幻覚は見えない。その必要がなくなったからだ。
忽亡ゆかり:この声が、偽りではない、生身のものであるということが、どれほど自分にとって大事なことか。
忽亡ゆかり:秘密を抱えるのは辛かった。弟と別の世界を生きる時間は寂しかった。
忽亡ゆかり:けれど……
忽亡ゆかり:弟の死に直面して心が壊れた自分のことを、魔女へと願って今のあなたがあることを。
忽亡ゆかり:どう伝えれば、いいというのだろう。
忽亡ゆかり:知りたい気持ちは、わかる。もし自分が逆の立場だったら、そう思うに決まってる。
忽亡かなた:「全部、聞くよ」
忽亡かなた:「もう逃げない」
忽亡かなた:「……逃げてちゃダメだって、思ったんだよ」
忽亡ゆかり:「……全部、言って……」
忽亡かなた:「姉さんが必死に戦って、傷ついてるのに、俺ばっかり」
忽亡かなた:「俺は確かに、……なんていうか、喧嘩とかやったことないし」
忽亡かなた:「運動神経もよくないけどさ……」
忽亡ゆかり:「それを聞いたかなたは、どうするの?」
忽亡かなた:ぼそぼそと言っていたが。
忽亡かなた:「……受け止めるよ」
忽亡かなた:「受け止める」
忽亡かなた:それから先は考えていないとでも言うように、
忽亡かなた:けれど、まっすぐな声。
忽亡ゆかり:危ない仕事であるということも知っている。辛い現実であることも、おそらく気付いている。
忽亡ゆかり:内容は知らないとはいえ、弟のその覚悟は本物で。
忽亡ゆかり:現実から目をそらしている間は、これを伝える日は来なかった。今、この状況だからこそ……これを本人に伝える機会が来てしまった。
忽亡ゆかり:「……一緒に、受け止めてくれる?」
忽亡かなた:「うん」
忽亡かなた:「頑張るよ、俺」
忽亡かなた:「……だって」
忽亡かなた:「姉さん、ずっと頑張ってきてくれたんだからさ」
忽亡かなた:「俺だってそろそろいいとこ見せたいんだよ」
忽亡かなた:落ち着いた風を装って、必死に言い募る、声。
忽亡かなた:弟の声。
忽亡かなた:かなたの声。
忽亡ゆかり:「……ううん」
忽亡ゆかり:「頑張れなかった……頑張りきれなかったんだ」
忽亡ゆかり:弟を守れなかった。そればかりか、その事実を自分にすら隠して、逃げ続けた。
忽亡ゆかり:「……頑張るのは、これからなんだ」
忽亡かなた:「これから――」
忽亡かなた:「……今は?」
忽亡ゆかり:「ああ」
忽亡ゆかり:「がんばる理由が、ちゃんとある」
忽亡かなた:「……うん」
忽亡かなた:「じゃあ、その姉さんを、支えるために」
忽亡かなた:「がんばる理由が、俺にもあるよ」
忽亡ゆかり:「……」呼吸を整える。上ずった息が届かないように、鼻が詰まったような声に聞こえないために。
忽亡ゆかり:「帰ったら、お話しよう」
忽亡ゆかり:「言いたいことが、たくさんあるんだ」
忽亡かなた:「……うん」
忽亡かなた:「待ってる」
忽亡かなた:「無事で帰ってきてよ」
忽亡ゆかり:「うん、必ず」
忽亡ゆかり:「かなたも、待っててね」
忽亡かなた:「ん」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「……愛してるよ、姉さん」
忽亡ゆかり:「っ……」
忽亡ゆかり:「愛してる……愛してるよ」
忽亡ゆかり:「私は、あなたを愛してる……」
忽亡かなた:小さな、あたたかい笑い声を残して、通話が切れる。
忽亡かなた:全て分かっているのだというように。
忽亡かなた:スマートフォンが沈黙しても、その声はあなたの耳に残っている。
忽亡ゆかり:目元を拭って、鼻を擦って。次に浮かんだのは笑顔。
忽亡ゆかり:「……頑張れる。頑張ろう」
GM:では、ゆかりさん。
GM:あなたの幸福『背徳:夜高ミツル』ですが。
GM:今となっては、その衝動の向かうべき矛先が別にあるのではないでしょうか?
忽亡ゆかり:オゲェーーーーーッ
GM:GMからの打診です。
GM:幸福『背徳:夜高ミツル』を、『背徳:忽亡かなたへの衝動』に変更しませんか?
忽亡ゆかり:ソウデスヨネ ゲボゲボ
GM:ははははは
GM:ではそうしましょうか。
忽亡ゆかり:はい…………します…………………………
乾咲フラン:やった~!!打診だぁ~!!
糸賀大亮:いっひひひひ
夜高ミツル:ふふ
夜高ミツル:そりゃそうだよなあ
糸賀大亮:自然の帰結
忽亡ゆかり:この女こえーよ
夜高ミツル:背徳忽亡かなたが2つあるじゃん
糸賀大亮:真剣(ガチ)恋だからな
忽亡ゆかり:衝動があるのはもうばれてるから、だいじょうぶです
GM:蘇らせる方とセックスしたい方だから
夜高ミツル:弟についての背徳がたくさん!
調達の結果、アイテムが改めて以下のように分配される。
ミツル:料理 刀剣 興奮剤3
大亮:杭 興奮剤2 鎮静剤 勝利の護符
フラン:化粧 興奮剤2 勝利の護符
ゆかり:ナイフ 聖印 興奮剤2 勝利の護符 魔女の遺物