? 3話「花に願いを」メインフェイズ1

メインフェイズ サイクル1

プルサティラ:2d6 えいやー
BloodMoon : (2D6) → 5[1,4] → 5

乾咲フラン:1d6
BloodMoon : (1D6) → 3

夜高ミツル:1d6
BloodMoon : (1D6) → 5

忽亡ゆかり:1d
BloodMoon : (1D6) → 2

糸賀大亮:1d6
BloodMoon : (1D6) → 2

糸賀大亮:すいません
プルサティラ:謝っちゃった
乾咲フラン:大亮!(バシィ)
糸賀大亮:アアッ(気絶)
糸賀大亮:気絶してる場合じゃない
夜高ミツル:このテンションで魔女の血量削りに行くのォ!?
プルサティラ:ではミツル→プルサティラ→フラン→大亮&ゆかり→プルサティラですね。

GM:その前にちょっと説明だけ。
GM:支配力についてです。
忽亡ゆかり:糸賀さん
糸賀大亮:俺がいる
夜高ミツル:大亮さんの削り方
GM:支配力:糸賀大亮の削り方なんですが、
GM:実質それをプルサティラの幸福とみなして、幸福破壊を仕掛けてください。
乾咲フラン:オッホホwww
GM:例ほしい?
忽亡ゆかり:魔女なんかになったら糸賀さんに嫌われちゃうねえ……
忽亡ゆかり:糸賀さんはきみを殺そうとしててもう仲間には戻れないね……
糸賀大亮:ゆかりさん……
夜高ミツル:精神攻撃だ
GM:早速壊そうとしてる人がいる
糸賀大亮:破壊する側に回ってしまう
GM:まあそんな難しくないですよ。ハーバリウム壊してぶちまけるとかどうですか?
GM:あとLINEのログ消すとか。
乾咲フラン:人の心がねえのか?
糸賀大亮:えっ? 何でそんなひどいことするの?
忽亡ゆかり:ハハハ
夜高ミツル:ヒーヒヒ
糸賀大亮:なぜ俺が俺を壊す前提で?
GM:彼女と別れたあとにやったこととか思い出してみたらどうですか?
乾咲フラン:大亮破壊じゃん!
夜高ミツル:大亮さんの幸福も一緒に削れちゃうでしょ
忽亡ゆかり:フレンドリーファイア
乾咲フラン:大亮破壊だなあ
糸賀大亮:俺がまとめて壊されるやり方はやめて!
GM:方法はおまかせします。
GM:で、真城朔の方ですが、こっちは方法に関しては選んでくれた時点で提示します。
GM:演出込みで。
乾咲フラン:コワ……
糸賀大亮:怖い
GM:こっち削るとまあ真城のこととか見えてくるんじゃないかな。
糸賀大亮:なるほどなあ
GM:支配力の説明に関しては以上です。

行動:夜高ミツル

夜高ミツル:宣言だけ先にしとこ 常識組み合わせて狩猟
夜高ミツル:対象の支配力は真城朔
GM:OK 退路ですね。
忽亡ゆかり:援護の準備しとこ

GM:プルサティラが去り、静寂に沈む公園。
糸賀大亮:「……確かなのは……」と、ぼそぼそ声に出す。
糸賀大亮:「……プルサティラは倒さなければいけない、……ということだ」 俯いている。
夜高ミツル:「…………そう、ですね……」
乾咲フラン:「……そうだな。」
忽亡ゆかり:「……糸賀さん……」
糸賀大亮:「この一月、魔女と吸血鬼を生み出していたのは、プルサティラだ」
糸賀大亮:「……真城の件が例え嘘でも、こっちはそうじゃないだろう」
糸賀大亮:「…………いずれにしろ、魔女は狩らなきゃいけない……例外は、ない」
糸賀大亮:言い訳を重ねるような、自分に言い聞かせるような口調で言って、ほかの狩人を見回す。
忽亡ゆかり:「それって、……」
忽亡ゆかり:──ハイドレンジアを殺してしまって、後に引けなくなってるだけじゃないんですか?……
忽亡ゆかり:続けようとした言葉を飲み込む。
忽亡ゆかり:それを口にすることに何の意味があるだろうか。
糸賀大亮:「……何か、おかしいことを言っていたら、言ってくれ」と、続ける。
忽亡ゆかり:迷い。することが決まっている以上、これはおそらく、余計な迷いだ。
忽亡ゆかり:「……いえ。私も、そう思います」
乾咲フラン:「…………」色々掛けたい言葉はあったが、口にすることはできなかった。
夜高ミツル:「……」狩人として、大亮の言っていることは正しい。
夜高ミツル:が、7月のことや、彩花との関係を思うと何を言えばいいのか分からなくて。
糸賀大亮:いや、おかしいのは分かってるんだ。こんなことはおかしい。
糸賀大亮:おかしいが、ほかにやりようはない。
糸賀大亮:やりようがあるんだったら、どうして俺はハイドレンジアを倒したんだ?
糸賀大亮:ため息をついて、自分が招いた痛い沈黙を振り払おうとする。
糸賀大亮:「問題は……真城の方だ……そうだよな」
忽亡ゆかり:「そう、ですね」
夜高ミツル:「…………」
乾咲フラン:「……魔女の言葉だけ聞いて判断するわけにはいかないからな。」
糸賀大亮:「……、確かに真城だった」
糸賀大亮:「俺の記憶では。そうだ。俺を無力化して、ほかの仲間を……」
忽亡ゆかり:「ですがそれも……たとえそうだとしても、他の事までは。ひとまずは事実関係の確認が先で……」
忽亡ゆかり:本当だろうか?
忽亡ゆかり:自分は、本当に事実を知ろうとしているのだろうか。
忽亡ゆかり:わからない。わかるのは、この言葉が無難で、先延ばしとして使える卑怯な言葉であろうことだけだ。
糸賀大亮:今まで見た、真城の戦い方、あの尋常ではない強さ。
糸賀大亮:そうだと言われると、納得ができてしまう。
糸賀大亮:「……確かめる必要があるのは、そうだろう」
糸賀大亮:「俺の記憶だって、当てになるか分からない。いきなり思い出したんだ……」
乾咲フラン:「タイミングが良すぎるな……」
夜高ミツル:「……本当に俺たちを納得させたいなら、プルサティラはあの場で真城を起こして本人から言わせれば、すんだ、ことで……」
夜高ミツル:「聞けば認めるって、そう言ってたんだから……」
糸賀大亮:「言葉以外の、干渉がなかったとは言い切れない。だが……」
糸賀大亮:「……嘘だとして、なんでそんな嘘をつくのかは、気にかかる。俺たちを混乱させようっていうだけか」
真城朔:腕に纏わせた血を爪となし、
真城朔:大亮の仲間の肉を抉り、アスファルトへと引き倒す。
真城朔:――蘇った記憶は、その映像は、あまりにも鮮やかだった。
真城朔:そして、何よりも”しっくりくる”。
真城朔:ぼやけていた虚像を埋めるものとして、何よりも。
糸賀大亮:…………そうだ。確かに真城だった。どうして今まで忘れていたのか、と疑問に思うぐらい。
忽亡ゆかり:「…………」正直なところ、あそこで真城が起きなくて助かった、と思っている。
忽亡ゆかり:場合によっては、結論が割れる。この場にいる者たち、果たして全員が、同じ答えを出すだろうか。
忽亡ゆかり:事実を知った時、その時、果たしてこの全員は、力を合わせることができるだろうか。
夜高ミツル:真城がそんなことをするはずないと、はっきり言いたいのに。
夜高ミツル:例えばグラジオラスを食らっている姿だとか。
夜高ミツル:自分のせいで母親がああなったという言葉の意味だとか。
夜高ミツル:何かあったら自分を殺してくれという約束とか。
夜高ミツル:そんなことばかりが思い出されて。
糸賀大亮:「……いずれにしろ」
糸賀大亮:「真城を叩き起こすか、ほかの方法かにしろ」
糸賀大亮:「確かめなきゃいけない」
夜高ミツル:「……はい」
糸賀大亮:「……もし、真城が魔女や吸血鬼を生み出していたなら」
糸賀大亮:「グラジオラスも。ハイドレンジアも。ほかの魔女や吸血鬼も」
糸賀大亮:「あいつの目的のために、利用されるためにそうなったってことになる」
糸賀大亮:怒りの色も、責める色もなく、居心地が悪そうに言って、息をつく。
乾咲フラン:「母親を、生き返らせるために、か……」深くため息を吐いてしまう。
忽亡ゆかり:「どちらにせよ、まずは魔女です。──ええと、名前は」
忽亡ゆかり:「プルサティラちゃん、ですか?彼女をなんとかしないと」
忽亡ゆかり:「眠っている人達もこのままにはできません。うちにも──……」
忽亡ゆかり:はっと口を噤み。
忽亡ゆかり:「……何とかできるのは、私達だけみたいですし」
乾咲フラン:「?」ちらりとゆかりに目を向けるが、今はそれどころではないと思い直す。
糸賀大亮:不自然さに気づいたりはしない。目の前のことで目いっぱいだ。夜高に目を向けている。
夜高ミツル:「……とにかく探しにいかないと、ですね……」
夜高ミツル:魔女と、真城を。
糸賀大亮:「ああ、そうしよう」
夜高ミツル:「……すみません、糸賀さんの記憶を疑うわけじゃないんですけど」
夜高ミツル:「正直、真城についての話は俺は全然納得いかなくて……」
夜高ミツル:「助けてくれたことだって何回もあったし……嘘をついてたって感じもしなくて」
夜高ミツル:「……でも、それは俺がそう思いたいってだけかもしれない」
夜高ミツル:「だから」
夜高ミツル:「俺がもし間違えそうになったら……俺を止めてください」
糸賀大亮:「……ああ」
乾咲フラン:小さく頷く。

夜高ミツル:狩猟行きます
GM:はい。
GM:では、魔女本人、あるいは魔女の支配力だとかを探して狩人たちが散策しているとですね。
GM:空き地かな。空き地でいいや。
GM:普段は雑草の生い茂った空き地に、なにやら紫の光が見える。
GM:ほのかに光る、薄紫色の花畑が。
夜高ミツル:警戒しつつ近寄ってみる。
GM:その途中で、
『かなたの級友』有本しおん:「……行かせない」
『かなたの級友』有本しおん:拳銃を構えた少女が狩人たちの前に立ちはだかります。
夜高ミツル:「……っ」フォロワーか。
『かなたの級友』有本しおん:長い黒髪をみつあみにして、眼鏡をかけた女の子。
『かなたの級友』有本しおん:高校の制服を着ている。
『かなたの級友』有本しおん:その高校の制服は、かなたの通っている、
『かなたの級友』有本しおん:かなたが合格して、通うはずだった高校――俊叡高校のブレザーだ。
忽亡ゆかり:「…………!」
『かなたの級友』有本しおん:少女は拳銃を構え、狩人たちを見回すと、
『かなたの級友』有本しおん:「……なんで」
『かなたの級友』有本しおん:眼鏡の奥の瞳は、やがてゆかりを捉える。
『かなたの級友』有本しおん:「なんで、そっちにいるの?」
忽亡ゆかり:「……私?」
『かなたの級友』有本しおん:「他に誰がいるの!」
夜高ミツル:視線を目の前の少女からゆかりに移す。
夜高ミツル:「……知り合いですか?」
忽亡ゆかり:「……、いや……」
忽亡ゆかり:ひとめ見て、そのブレザーの所属はわかった。
忽亡ゆかり:別に、さほどおかしな話ではない。
忽亡ゆかり:あの高校は、ここから通えないほどの距離ではないし、
忽亡ゆかり:高校生たちの相手するのも、慣れてきていた。
忽亡ゆかり:だからまあ、偶然の一致として片付けていい程度の話で。
『かなたの級友』有本しおん:「あなた、分かってないはずないよね!?」
忽亡ゆかり:そこまで深い意味合いは無いのだろうと……
忽亡ゆかり:「……何が?」
『かなたの級友』有本しおん:「かなたくん」
忽亡ゆかり:「っ、!?」
忽亡ゆかり:そう、思いたかった。
『かなたの級友』有本しおん:「かなたくんが生き返ったの、あの魔女だよ!」
糸賀大亮:「……」
『かなたの級友』有本しおん:「プルサティラ」
夜高ミツル:「……!」生き返った……?
乾咲フラン:「……えっ!?」
『かなたの級友』有本しおん:「プルサティラが、そうしてくれたの!」
『かなたの級友』有本しおん:拳銃を構える手は、ぴったりと狩人たちを狙っている。
『かなたの級友』有本しおん:覚悟の決まった鋭い眼差しが、眼鏡越しにゆかりを睨んでいる。
忽亡ゆかり:「…………………………………………………………っ」拳銃がこちらを向いているにもかかわらず、顔を手で覆う。
忽亡ゆかり:「…………そうかあ……」
『かなたの級友』有本しおん:「……恩があるんだよ」
『かなたの級友』有本しおん:「あなた、プルサティラに」
『かなたの級友』有本しおん:「あの子、なんで言わないんだろ。不思議」
『かなたの級友』有本しおん:苛立たしげに唇を噛んでいる。
忽亡ゆかり:「…………そういう、事か……」
糸賀大亮:……プルサティラの目的は、真城を狩人に殺させることだ。
糸賀大亮:その前に自分が試練として立ちはだかるとも言っていた。
糸賀大亮:だから、彼女が何も言わないのは筋が通っている。
糸賀大亮:でも、それをこのフォロワーに教えたりはしないだろうな。
糸賀大亮:「……忽亡さん、大丈夫か」
『かなたの級友』有本しおん:「私が願ったんだよ」
『かなたの級友』有本しおん:大亮の言葉にかぶせるように。
『かなたの級友』有本しおん:「あなたが願わないから、私が!」
忽亡ゆかり:「…………いや、……」
忽亡ゆかり:「大丈夫じゃない……」
夜高ミツル:「忽亡さん……」
糸賀大亮:「ああ……」そうだろうけど、かける声を失ってしまった。
乾咲フラン:「…………」
『かなたの級友』有本しおん:「私は、ずっと目を逸らしてきたあなたとは違うの」
『かなたの級友』有本しおん:「ずっとかなたくんのこと、悼んで、失ったのが辛くて」
『かなたの級友』有本しおん:「同じ高校行けるはずだったのに、そうならなくて」
『かなたの級友』有本しおん:「それが、それで、……なのに」
『かなたの級友』有本しおん:噛み締めた唇に、血が滲む。
『かなたの級友』有本しおん:「――足りない、って」
忽亡ゆかり:「…………足りない?」
『かなたの級友』有本しおん:「私の願いじゃ足りない、って」
『かなたの級友』有本しおん:拳銃を握る手に力が入りすぎて、血の気が失せていく。
『かなたの級友』有本しおん:「あなたの」
『かなたの級友』有本しおん:「あなたが、願わないと、もたないの」
『かなたの級友』有本しおん:「かなたくん、は」
忽亡ゆかり:「……じゃあ……………」
忽亡ゆかり:「今のまんまじゃ、いずれまた、すぐに……」
『かなたの級友』有本しおん:「……満月の夜まで」
『かなたの級友』有本しおん:「それが、期限だって、プルサティラは」
『かなたの級友』有本しおん:少女の声が、震えている。
忽亡ゆかり:「…………………………」
『かなたの級友』有本しおん:怒りか。不甲斐なさか。押し殺しきれない感情に、揺れている。
『かなたの級友』有本しおん:「だから、……だから、私は」
『かなたの級友』有本しおん:「行かせられない……」
『かなたの級友』有本しおん:「あの魔女の力を、削がせるわけには、いかないの……」

『かなたの級友』有本しおん:ネタが明かせて安心しているぜ。
『かなたの級友』有本しおん:ゆかりさん本人の背徳じゃなければ壊れてもセーフ!
夜高ミツル:ひどい話だ……
糸賀大亮:完全セーフだ
『かなたの級友』有本しおん:狩猟はこいつを排除してくれればいいですよ。
『かなたの級友』有本しおん:前哨戦じゃないので無力化は出来ませんが。
夜高ミツル:なるほど~ りょうかいです
『かなたの級友』有本しおん:そのあともうちょっとやってもらいますが……
『かなたの級友』有本しおん:判定自体はまあそこでいいでしょう。
『かなたの級友』有本しおん:どうだろ。まあいいや。最初はかんたんだからな。

忽亡ゆかり:いつ消えてもおかしくない、泡沫のような幸せ。
忽亡ゆかり:その明確な期日を伝えられて。
忽亡ゆかり:「…………そっか…………」
『かなたの級友』有本しおん:「そっか、って……」
『かなたの級友』有本しおん:「他に何かないの」
『かなたの級友』有本しおん:「かなたくん、また、…………」
『かなたの級友』有本しおん:じわ、と涙が滲みかけて、首を振る。
忽亡ゆかり:「…………みんな…………」
忽亡ゆかり:「黙っててごめん。今、弟がうちに居る」
糸賀大亮:「……ああ」
乾咲フラン:「……よく、言ってくれた。」
忽亡ゆかり:俯く。
夜高ミツル:「……」
夜高ミツル:殺されて。蘇らせるのを諦めて。その上また選択しろだなんて。
忽亡ゆかり:「…………糸賀さんだったら、こんな状態でも……ちゃんと、すべき事のために動けるんだろうな」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「……いや、あの時は、……」
糸賀大亮:校舎でのことを思い出し、顔を歪める。
糸賀大亮:あの時。フランが一緒にいなかったら。忽亡さんが何か言ってくれなかったらどうなっていたか。
忽亡ゆかり:「あの時だけじゃない。今だって、ハイドレンジアの時だって……」
忽亡ゆかり:「すべき事のために、糸賀さんは動けてる……」
糸賀大亮:「……忽亡さん」
糸賀大亮:でもそれが、いいことってわけじゃない、という言葉を口走りかけて、何とか止める。
『かなたの級友』有本しおん:「……お仲間の方が、かなたくんより大事?」
『かなたの級友』有本しおん:尖った声。
夜高ミツル:「……やめろよ」少女を見て。
忽亡ゆかり:「弟は、もう死んだんだ……」
忽亡ゆかり:自分に言い聞かせる声も、虚しく響く。
『かなたの級友』有本しおん:「でも、いるんだよ」
『かなたの級友』有本しおん:「そこにいる。一緒にいられる」
『かなたの級友』有本しおん:「笑ってくれる」
『かなたの級友』有本しおん:「触れることができる」
忽亡ゆかり:「でも、だってそれは……おかしい事で……」
『かなたの級友』有本しおん:「おかしくて何が悪いの?」
忽亡ゆかり:「……ずっと一緒に居られるかは、わからないし、何か、ふっ……副作用があ、あるかもしれないし」
『かなたの級友』有本しおん:「ずっと一緒にいられないなら、いらない?」
忽亡ゆかり:「違っ…………  !?」
忽亡ゆかり:はっと顔を上げる。
糸賀大亮:「……忽亡さんは、」
糸賀大亮:「誰よりも弟のことを大切に思ってるよ」
糸賀大亮:「それは、ここにいるみんな知っている」
『かなたの級友』有本しおん:「あんた誰?」
糸賀大亮:答えずに、淡々と言葉を述べて、ため息をつく。
夜高ミツル:鞘に収められたままの刀を握りなおす。隙を見て、せめて拳銃さえ叩き落とせれば。
『かなたの級友』有本しおん:「…………」警戒心を剥き出しに、大亮のことを睨んでいる。
『かなたの級友』有本しおん:「私は」
『かなたの級友』有本しおん:「大切なら、手放せないでしょうって」
『かなたの級友』有本しおん:「手放したくなんかないでしょ、って、そう思う」
夜高ミツル:……彼女の意識がこちらに向いていない今なら。
夜高ミツル:静かに機を伺う。
糸賀大亮:「そうだな。手放せやしない。どうしても、取り戻したいと思ってしまう」
忽亡ゆかり:「………………っ」
忽亡ゆかり:手放せない。取り戻したい。けどそれをひとたび口に出してしまえば。
忽亡ゆかり:目を泳がせて、口は行き場なく開いたまま。
『かなたの級友』有本しおん:「あなたたちがゆかりさんを責めるから、ゆかりさんも望めなくなってるんじゃないの?」
『かなたの級友』有本しおん:「違う?」
『かなたの級友』有本しおん:ゆかりを見ます。
忽亡ゆかり:「……みんなは」
忽亡ゆかり:「私を、責めない。責めてくれない……」
『かなたの級友』有本しおん:「…………」
忽亡ゆかり:「…………私は弱くて、正しい判断ができるわけじゃないけど、正しい判断が何かは分かる……」
忽亡ゆかり:両手を広げて歩む。急所を差し出すように、無防備に。
『かなたの級友』有本しおん:「……じゃあ!」
『かなたの級友』有本しおん:ゆかりへと拳銃を向けます。
忽亡ゆかり:「銃の使い方なんて、慣れてないでしょう。弾が逸れたら、私は死ぬかもしれない」
忽亡ゆかり:「あなた、私を殺すわけには行かないんでしょ?」
『かなたの級友』有本しおん:「……っ、じゃあ……!」
『かなたの級友』有本しおん:代わりに他の狩人……そうだな。
『かなたの級友』有本しおん:大亮に銃口を向けようとします。
忽亡ゆかり:「相手は私でしょ!」
忽亡ゆかり:その前に割り込む。一瞬、ミツルと目が合う。
『かなたの級友』有本しおん:「……ッ、どうしたいのよ、あなたは!」
夜高ミツル:ごく小さく、頷いて。
夜高ミツル:一応改めて。常識を使います。
忽亡ゆかり:「っ……生き返らせたいに……決まってるだろ!」
忽亡ゆかり:「……けど、それじゃ、だめなんだ……」
『かなたの級友』有本しおん:「なんで!?」
忽亡ゆかり:「……大切な人たちを、裏切りたく、ないからだ」
忽亡ゆかり:「この三人のことも、かなたの事も」
『かなたの級友』有本しおん:「……っ」
『かなたの級友』有本しおん:「私は、そんなのより」
『かなたの級友』有本しおん:「かなたくんの方が、大事だよ!!」
忽亡ゆかり:「言うな!」

糸賀大亮:援護しよう。
忽亡ゆかり:援護入ります。
乾咲フラン:はい 援護入ります
夜高ミツル:攻撃力と援護で+4で!

夜高ミツル:2D6+4>=8 (判定:捕らえる)
BloodMoon : (2D6+4>=8) → 5[2,3]+4 → 9 → 成功

夜高ミツル:ギリ……
GM:足りましたね。
夜高ミツル:成功したからギリでもなんでもいいな

夜高ミツル:夜高ミツルのテンションが3増加!(テンション:7->10)
夜高ミツル:糸賀大亮のテンションが3増加!(テンション:5->8)
夜高ミツル:忽亡ゆかりのテンションが3増加!(テンション:7->10)
夜高ミツル:乾咲フランのテンションが3増加!(テンション:3->6)
夜高ミツル:夜高ミツルは激情を獲得!(激情:0->1)
夜高ミツル:忽亡ゆかりは激情を獲得!(激情:0->1)

忽亡ゆかり:地を蹴り、その言葉を力づくで抑え込むように、飛びかかる。
『かなたの級友』有本しおん:「!」
夜高ミツル:合わせて動く。鞘で、拳銃を持った手を狙い。
夜高ミツル:弾き飛ばすように叩く。
忽亡ゆかり:反対側から、回り込んだ足で、刈り取るように地面を払う。
『かなたの級友』有本しおん:「きゃ、…………っ!!」
『かなたの級友』有本しおん:しおんの手から拳銃が飛ぶ。
『かなたの級友』有本しおん:足を払われて背を叩き付けられて、
乾咲フラン:落ちた拳銃を美しくサッカーキック!
『かなたの級友』有本しおん:フランが蹴り飛ばした拳銃が、途中で紫の花弁に変化して散る。
忽亡ゆかり:「こんな問答……もうたくさんだ!」
忽亡ゆかり:「同じ言葉でそそのかしてくる奴も!」
忽亡ゆかり:「言われるたびに迷う自分にも!」
『かなたの級友』有本しおん:しおんは地面に倒れたまま、ゆかりを見上げている。
『かなたの級友』有本しおん:「どうして」
『かなたの級友』有本しおん:「……どうして、私じゃ足りないの」
『かなたの級友』有本しおん:「どうしてあの子は」
『かなたの級友』有本しおん:「あなたのために……」
『かなたの級友』有本しおん:途中で。
『かなたの級友』有本しおん:しおんの姿も、紫の花弁と化して消え失せる。
忽亡ゆかり:「……これは……」
夜高ミツル:消えた……。
糸賀大亮:「……何だ?」
乾咲フラン:「……」
夜高ミツル:花の名前のやつらの散り際みたいだ。
GM:魔女の力ですね。力を貸し与えられていればそういうこともあるんじゃないですか?
GM:手応えはなかったですね。
GM:どこかに逃げただけだとなんとなくわかります。狩人の勘で。
GM:狩人の勘は鋭い。
GM:さて、空き地は今も光ってますね。
忽亡ゆかり:「……ああ、くそっ……」
夜高ミツル:「忽亡さん……」大丈夫、なわけないよな。
忽亡ゆかり:「……ごめん……」
忽亡ゆかり:「私は昔も今も、ずっと弱いままだ……」
糸賀大亮:「いや……」
糸賀大亮:「……あんたは、すごい人だよ。俺なんかより」
夜高ミツル:「……忽亡さんは、家で弟さんといることもできたのに」
夜高ミツル:「この場に立って、戦ってくれてる」
夜高ミツル:「それは、すごいことだと思います」
忽亡ゆかり:「……そんなんじゃない。弟も眠ってるんだ」
忽亡ゆかり:「……さっき直接私に伝えなかった事といい……プルサティラちゃん、何を考えてるんだろう……」
乾咲フラン:「わからない……魔女の心境というものは……」
糸賀大亮:「……本人は、真城のためだと言っていたがな」
夜高ミツル:ゆかりさんのことは気にしつつも、またフォロワーとかに邪魔されない内にお花を見に行こうかな……。
GM:そうですね。
GM:では、空き地に向かいますと、
GM:紫に光るプルサティラの花畑の真ん中に、小さな人影を見つけます。
夜高ミツル:「なんだ……?」

真城朔:幼い日の真城朔が、そこに眠っている。
真城朔:夜風に揺れる花弁の中央に、横たわっている。
真城朔:あの日、あの夜に見たものと同じ姿。
夜高ミツル:「…………真、城?」
乾咲フラン:「っ!?」
真城朔:仰向けに眠るその胸元が、淡く光っている。
真城朔:心臓と同じ場所が。
真城朔:そして、
真城朔:その奥に、魔女のリソース源となるものが存在していることが、
真城朔:あなたたちには感じ取れるでしょう。
真城朔:それを破壊してください。

糸賀大亮:なるほどぉ
真城朔:本当はここで判定なんだけど、多分しおん超える方が大変だからいいかなって。
乾咲フラン:真城をぉ

夜高ミツル:「……」眠る幼い姿を見下ろす。
真城朔:静かに眠っている。身じろぎ一つしない。
糸賀大亮:「……夜高」
糸賀大亮:「……やりづらいなら……」
夜高ミツル:これまでの狩りの経験から、どうすればいいのかは分かる。分かってしまう。
夜高ミツル:「…………」
夜高ミツル:「……いえ」
夜高ミツル:首を振る。
忽亡ゆかり:「……夜高くん……」
夜高ミツル:「……これは、あいつ本人じゃ」
夜高ミツル:「ただ、見た目が同じだけで」
夜高ミツル:それだけで、十分にやりづらいのは確かだが。
真城朔:薄い胸が、小さく上下している。
夜高ミツル:そもそも幼い子供の姿なんだから、自分以外にとっても決してやりやすいものではないはずだ。
夜高ミツル:……息をしている。まるで生きているように。
真城朔:中学生にしてもまだ幼い。血に濡れておらず、瞼を伏せていると、こんなにも。
真城朔:けれどその胸は、人間ではありえない輝きを放っている。
乾咲フラン:「……」昔見た姿そのままの真城の姿に、皆の後ろで物憂げに目を逸らす。
夜高ミツル:「……っ、」
夜高ミツル:再度首を振る。今度は余計なことを頭から追いやるように。
夜高ミツル:刀を抜く。
夜高ミツル:手の震えを誤魔化すように、強く柄を握る。
真城朔:眠っている。
夜高ミツル:これは違う。真城じゃない。そもそも生きてすらいない。ただの幻のようなもので。
糸賀大亮:沈黙したまま見守っている。
真城朔:丸い頬。長い髪。伏せられた瞼。長い睫毛。
真城朔:紫の花弁に眠る、いとけない少年の姿。
夜高ミツル:光に刃先を合わせる。
真城朔:意識はない。
真城朔:抵抗もしない。
夜高ミツル:……痛みは感じるだろうか。
真城朔:投げ出された掌が小さい。
夜高ミツル:いや、違う、それも余計だ。
真城朔:短く切られた、まるい爪。
夜高ミツル:──自分がやるべきことを。それだけを考える。
夜高ミツル:大きく深呼吸をして。
夜高ミツル:刀を振り上げ。
夜高ミツル:躊躇う前に、それを胸に突き立てた。
真城朔:刀を握る腕に、肉を貫く感触。
夜高ミツル:「……っ、」
真城朔:貫かれた場所から、血が溢れる。
真城朔:Tシャツを赤く染めていく。

夜高ミツル:え~~~~~ん
乾咲フラン:PL1が破壊されてる
糸賀大亮:狩猟をしただけなのに

真城朔:しかしその奥で、
夜高ミツル:まるで生きた人間のような姿。
真城朔:その胸の中に咲く、プルサティラの花が。
真城朔:弾けた。
真城朔:薄い胸から紫の花弁が舞い上がり、
真城朔:狩人の視界をさらった。
GM:――世界が、暗転する。

真城朔:――カレーの匂いがする。
真城朔:その中で、数学のワークをやっていた。
真城朔:正の数と負の数。足し算と引き算。
真城朔:中学校の勉強は大変だって聞いてたけど、さすがにまだそんなには苦労しない。
真城朔:テーブルの向こうにお母さんが立っている。エプロン姿。
真城朔:鍋をかき回して、覗き込んで。
真城朔:それが俺を振り返って、

真城碧:「朔、宿題終わる?」

真城朔:「んー」
真城朔:そんなに苦労はしないけど。しない、んだけど。
真城朔:「……もうちょっと」
真城碧:「ふふ」
真城碧:「先にご飯にしましょうか。一端切り上げて……」
真城朔:その、言葉の途中。
真城朔:玄関の呼び鈴が聞こえて、お母さんが顔をあげる。
真城朔:誰だろう。夕飯時なのに。まだそんなには遅い時間じゃないけど。
真城朔:お母さんがエプロンを外そうともたついてたから、俺は先に椅子を降りた。
真城朔:「俺、出るよ」
真城碧:「そう? お願いね」
真城朔:「うん」
真城朔:頷く。玄関とダイニングキッチンを仕切るカーテンをくぐって、
真城朔:サンダルを突っ掛けて、扉を開ける。
真城朔:一応念の為、チェーンロックはかけたままで来客を見上げて、
真城朔:「どなたでしょう――」
真城朔:そのチェーンロックが、断ち切られた。
真城朔:「……え?」
真城朔:見上げる。
真城朔:黒いコートを着込んだ長身の男。顔色が悪いそいつが、
真城朔:その奥の、金色の瞳と目が合って、
真城朔:はりつけられたように、全身が竦んだ。
   :「……ふむ」
真城朔:「……あ、の」
   :「少し、早いかな」
   :「まあいいや。確保だけはしておこう」
真城朔:軽い声。
真城朔:勝手に納得してるそいつが、いったい何を言っているのか、
真城朔:どうすればいいかもわからないまま、
真城朔:その男の手が、こちらに伸びて、

真城碧:「――朔!」

真城朔:男の手が触れる、その寸前に、
真城朔:暖かい腕に引き寄せられる。
真城朔:胸に抱き込まれる。何も見えなくなる。
真城碧:「うっ、ぐ――」
真城朔:きつくきつく抱きしめられていて、それで、
真城碧:「あ、うく、っ、……!」
真城朔:それが、悲鳴だって。
真城朔:苦痛を堪える声だって、遅れて気付いて、
真城朔:でも、動けなくて。
真城朔:抱きしめられている。
真城朔:抱きしめられていた。
真城朔:俺を抱きしめている、暖かい胸が、
真城朔:急に冷たくなっていって。
真城朔:それが恐ろしくて、でも離れたくなくて、
真城朔:必死にその腕に縋りついて。

真城朔:薄れゆく意識の中では、それが精一杯だった。

真城朔:――なまぐさい臭いがした。
真城朔:粘ついた音が響いている。
真城朔:瞼が重かった。それでも眠っていられないくらいには、
真城朔:その血なまぐさい臭いが、不快だった。

フォゲットミーノット:「…………」
真城朔:冷たい腕に抱かれていた。
真城朔:空色の長い髪が、白い肌が、赤い血でべっとりと汚れている。
真城朔:瞳の金色が、あの男と同じ色をしていて、
真城朔:でも、違った。
真城朔:それが誰だかは、ひと目で分かった。
真城朔:「……お、かあ、さ」
真城朔:声が、喉で詰まった。
真城朔:お母さん。お母さんが、片腕で俺を抱いている。
真城朔:それで。もう片方では。もう片方の、自由な腕では、

真城朔:女の子を引き寄せて、食らっている。
真城朔:女の子の、首が肩口でずたずたに裂かれている。溢れた血が俺にもかかる。
フォゲットミーノット:お母さんはもっと、もっとべたべたに血で汚れて、でもなんにも気にしないで。
フォゲットミーノット:その女の子を。
フォゲットミーノット:「……朔?」
真城朔:女の子の身体が手放されて、床に落ちる。反応はない。死んでいる。
真城朔:知らない家の中。リビング。割れた窓ガラスが床に散らばっている。
真城朔:その中に大人が二人、きっとその子のお父さんとお母さん、
真城朔:それが、それを、
フォゲットミーノット:「おはよう、朔」
真城朔:お母さんが。
真城朔:笑う。血に汚れている。血塗れの手、冷たい手、
真城朔:俺を床におろして、お構いなしに俺の頭を撫でて。
フォゲットミーノット:「大丈夫よ」
フォゲットミーノット:「すぐ終わるからね」
フォゲットミーノット:「寂しい想いなんて、もうさせないから」
フォゲットミーノット:「これからは一緒に暮らしましょう。家族みんなで」
フォゲットミーノット:「お父さんとも、一緒に」
真城朔:――足音が、
真城朔:聞こえた。
真城朔:俺がなんにも言えずにいるうちに、上の方から、階段を降りる足音が聞こえてきて、
真城朔:お母さんもそっちを向いて、
真城朔:それで、その先に。
真城朔:パジャマ姿。
真城朔:俺と同じくらいの、男の子が立っていて、
真城朔:信じられないってふうに大きく目を見開いて。
真城朔:「っ、お母さん」
フォゲットミーノット:「…………」
真城朔:手を掴んだ。冷たい手。生きた人間のものではない体温。
真城朔:でも、ずっとつないできた、お母さんの手。
真城朔:それが、でも、
真城朔:止まってくれない。
真城朔:「お母さん、だめ、……お母さん」
真城朔:止まらない。お母さんが、男の子の方に。
真城朔:金色の瞳でその姿を見据えて、目を逸らさないで、
真城朔:呼びかけても、もう振り返らないで。
真城朔:「おかあ、さ、……ッ」
真城朔:追い縋ろうする。叶わない。途中で死体に蹴つまずく。
真城朔:ガラスで腕を切った。血が流れる。床を濡らしていく。痛い。
真城朔:でも、そんなことはどうでもよくて、
真城朔:無理矢理に立ち上がって、
真城朔:血を流して、
真城朔:俺はただ、

真城朔:「――お母さん、だめだ!!」

真城朔:見上げた姿が、血の槍に貫かれる。
真城朔:「……え」
真城朔:お母さんが、貫かれている。
真城朔:お母さんが。身体を貫かれたお母さんが、それで、振り返る。
真城朔:傷が深くなるのも、身体を抉られるのも構わずに振り返って、
真城朔:金色の瞳が、俺を見ていた。
真城朔:血の槍は俺の作った血溜まりから突き出ていた。
真城朔:それがぼろりと崩れる。
真城朔:お母さんのお腹に、大きな穴があいて、血が溢れて、
真城朔:支えを失ったように、よろける。
真城朔:返り血で濡れた白い服が、新しい赤で汚れていく。
真城朔:ぼたぼたと血を流してふらつきながら、おぼつかない足取りで、
真城朔:お母さんは、やっと俺の方に、
真城朔:「おかあ、さ」
真城朔:でも、途中で膝をつく。流れた血が床を上から塗り潰していく。
真城朔:それでもお母さんは構わないで、俺を見て、
真城朔:震える手を、
真城朔:血に濡れた、淡く光る掌を俺へと差し出して、
真城朔:俺はその手を取ってしまった。

フォゲットミーノット:「朔。――」
真城朔:名前を呼ばれる。その間にも、お母さんが崩れていく。
真城朔:端から解けて、花びらに、青い花びらになって消えていく。
フォゲットミーノット:「――――」
真城朔:その中で唇が、なにかを紡ごうとする。間に合わない。
真城朔:解けた音は、聞き届けられない。
真城朔:けれど。

真城朔:その手を取った俺の手のひらが、淡い青色に光っている。
真城朔:その全てを託されて、
真城朔:あの人の、すべてを委ねられてしまったことだけ、
真城朔:――俺は誰に言われるもでなく、思い知っていた。

GM:夜空に紫の花弁が舞い上がる。
GM:横たわった真城朔の身体が、同じように、
GM:プルサティラの花弁となって散っていく。
GM:――一瞬の、
GM:長い長い、幻影だった。
夜高ミツル:「……今の、は」
GM:フランは悟ります。
GM:最後の光景は、あの夜自分が駆けつけた瞬間に見たものであることに、
GM:間違いないと。
乾咲フラン:「……マシロ、あのマシロは……あそこは!私が見た、あの時そのものだ……!」
夜高ミツル:幼い身体に刀を突き立てた感触も、その刀を収めることも忘れて。花弁が夜空に舞うのを見送っていた。
糸賀大亮:「……」
乾咲フラン:「……マシロは、碧を、止めようとしたんだ……」
乾咲フラン:「夜高くんを、護るために。」
夜高ミツル:「……真城……」
夜高ミツル:やっぱり、あの時自分は真城に助けられたんだ。
糸賀大亮:「……あの男は……?」
GM:特に当時の報告にはありませんでしたね。
GM:ただ、碧が吸血鬼になった理由については報告がされていません。謎のままでした。
糸賀大亮:真城の母親を吸血鬼化した男。
糸賀大亮:プルサティラの言葉が本当だとして、俺の仲間を殺したのが真城だとしても。
糸賀大亮:あの男が誰かは謎が残る。
糸賀大亮:「……」
夜高ミツル:「……あの男は、あれが、もしかして」
夜高ミツル:「ジョン・ドゥ……?」
糸賀大亮:もう一度、あの夜のことを思い出そうとする。
糸賀大亮:真城が言っていたことを信じるなら、俺の仲間を殺したのはあの男のはずなのだが
真城朔:思い出される吸血鬼の姿は、どうしても真城のそれですね。
真城朔:変わらない。今見せられた男の姿に、覚えはない。
糸賀大亮:「……」かぶりを振った。
糸賀大亮:「……正体の分からない男。罪をなすりつけるなら、格好の相手だとも考えられる」
夜高ミツル:「……そう、ですか」
糸賀大亮:「…………」
乾咲フラン:「……魔女の力を削いでいけば、また何か解るかもしれない。」
忽亡ゆかり:「……夜高くん、ごめん、嫌な事させて」
夜高ミツル:分からない。何が本当なのか。先程見た光景も、どこまでが真実なのか……。
夜高ミツル:「……いえ」
夜高ミツル:「大丈夫、です」
夜高ミツル:分からない以上は、また手がかりを探すしかない。
夜高ミツル:さっきの光景を見て改めて思った。今はまだ、真城を信じていたい。
夜高ミツル:それは、他の3人にまで強制するものではないけれど。
夜高ミツル:もしも魔女が語ったことが真実だったとしても。全てが詳らかになるまでは、せめて。

GM:支配力:真城朔 5→3

行動:プルサティラ 1st

GM:空き地に残されたプルサティラの花畑が弾ける。
GM:花弁は狩人の目の前を舞い上がり、また夜空へと高く消える。
GM:そして、
GM:気がつけば、ゆかりは公園にいる。
GM:休憩所のベンチに座っている。

夜高ミツル:ギョボボ
乾咲フラン:オギャア
糸賀大亮:アアッ
忽亡ゆかり:早いよぉ~~~処刑がさあ~~~~~

プルサティラ:目の前には、花の上に座り込んだプルサティラがふわふわと浮いていた。
忽亡ゆかり:「……あれっ……」
真城朔:その膝で眠る真城。
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「こんばんは」
プルサティラ:と、プルサティラは折り目正しく挨拶。
忽亡ゆかり:「……こんばんは」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:ためらいがちに視線を泳がせている。
プルサティラ:「……あの」
プルサティラ:「あのね」
忽亡ゆかり:「……うん」
プルサティラ:「本当は、ちゃんと、叶えてあげたかったの」
忽亡ゆかり:「……かなた?」
プルサティラ:「うん……」
プルサティラ:「でも、だめだった」
プルサティラ:「あの子の願いじゃ、ゆかりさんの望むかなたくんには、足りなかった」
プルサティラ:「ゆかりさんの見てきたかなたくんは、叶えられなかった……」
忽亡ゆかり:「……長くは保たないんだって?」
プルサティラ:頷く。
プルサティラ:「……満月の夜」空を仰ぐ。
プルサティラ:まだ満月には、少しだけ満たない、けれどほとんどまあるい月。
プルサティラ:「明日の満月が沈んでしまったら、最後」
プルサティラ:「……このままじゃ」
忽亡ゆかり:「……もう、すぐだね」
プルサティラ:「…………うん」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「……私ね」
プルサティラ:「だめだと、思わないよ」
忽亡ゆかり:「そう?」
プルサティラ:頷く。
プルサティラ:「見てたもの」
プルサティラ:「ゆかりさんが泣いて、苦しそうにして」
プルサティラ:「……そのあとの方は、胡桃ちゃんは見せてくれなかったけど」
プルサティラ:「でも、魔女になったらね、わかるから。後からでも」
忽亡ゆかり:「みっともないとこ、見せちゃったよね」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「……ううん」
プルサティラ:「ゆかりさんは、がんばってる」
プルサティラ:「がんばってるから」
プルサティラ:「……つらい」
プルサティラ:「みんな、ゆかりさんはえらいって言う」
プルサティラ:「耐えられてえらい。ちゃんと選択できてえらい、見失わなくてえらいって」
プルサティラ:「でも」
プルサティラ:「そう言われるから、ゆかりさんは」
プルサティラ:「そうやって、がんばらなきゃならない」
忽亡ゆかり:「…………そうだね」
プルサティラ:「つらいよ」
プルサティラ:「……あのね、ええと」
忽亡ゆかり:「うん」
プルサティラ:「私は、がんばってる人はね、えらいと思ってね」
プルサティラ:「私はがんばれないから、すごいなとも思うし、好きにもなるんだけど」
プルサティラ:「でも、狩人さん、みんながんばってて」
プルサティラ:「がんばってるから」
プルサティラ:「だから、ちょっとくらいずるしちゃっても、いいんじゃない?」
忽亡ゆかり:「……もう保たないって言われて、納得したよ」
忽亡ゆかり:「いろんな願いを見てきちゃったからね。願いには慎重になってたんだ」
忽亡ゆかり:「吸血鬼や魔女にならないように、だとか、人なみに生きられるように、だとか」
忽亡ゆかり:「私の記憶や願望に捻じ曲げれないように、もしかなたが生きてたら、こうあって欲しいって人生を、そのままトレースしたい、だとか……」
忽亡ゆかり:「他にも、たくさん、たくさん。とにかく、かなたが生きてたら、そうなる、って人生を。“本物の”かなたを生き返らせたいがために」
プルサティラ:「できる限りね、近づけたつもり」
忽亡ゆかり:「ずいぶん厄介な注文だったでしょ。そりゃ、大変だよね。完全にはなかなか、できそうにない」
プルサティラ:「ごめんね」
プルサティラ:「私なりには、がんばって、それで……でも、だから」
プルサティラ:「最後のひと押しが、足りなくて」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「……失ったものは戻らない」
プルサティラ:「それはね、そうだと思うよ」
忽亡ゆかり:「……」
プルサティラ:「二年前に、かなたくんは死んだの。さっくんに殺されて」
プルサティラ:「でも」
プルサティラ:「――でも、ゆかりさんは、一人では生きていけないよね?」
忽亡ゆかり:「そうだね……無理だね」
忽亡ゆかり:「私は、一人では生きられない」
プルサティラ:「みんな、ゆかりさんを心配してくれる」
プルサティラ:「優しくしてくれる。気遣ってくれる」
プルサティラ:「でも、ゆかりさんが一番欲しいものはくれてない」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「ゆかりさんさ」
忽亡ゆかり:「……」
プルサティラ:「ミツルさんが自分に人生捧げてくれるって、思える?」
忽亡ゆかり:「……………………」
忽亡ゆかり:「あるいは、もしかしたら……すがりつけば、手を差し伸べて、そうしてくれるかも、って思う」
忽亡ゆかり:「……けど……。そうだね。きっとそれは、彼を幸せにしないなって、思うよ」
プルサティラ:「罪悪感とか、同情とか、責任感とか、そういうのじゃない」
忽亡ゆかり:「……そうだね。私も、きっと……。ずっと、これは愛じゃない、って思うんだ」
プルサティラ:「でも、ゆかりさんはそれじゃ幸せじゃないよ」
プルサティラ:「ゆかりさんは、誰にも選んでもらえないんだよ」
忽亡ゆかり:「はっきり言うね」
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「幸せになってほしいから」
忽亡ゆかり:「……ああ、そうだな。今のは、……大事な、一言だったな」
プルサティラ:「みんなにはみんなの人生があってさ」
プルサティラ:「きっと、これからそれぞれの道を歩んでいってさ」
プルサティラ:「なんなら、この件――お花のね、みんなの件にカタがついたら」
プルサティラ:「それで終わり」
プルサティラ:「ちょっとずつ会わなくなって、遠ざかって、縁が切れて」
プルサティラ:「ゆかりさんは、置き去りにされる」
プルサティラ:「……そういう予感は、ない?」
忽亡ゆかり:「……………………そうだね。出会ってまだそんなにも経ってない、仕事で必要に迫られて集まってるだけの間柄……」
忽亡ゆかり:「……きっと、気にかけてはくれるけど……私に、依存はしてくれないだろうな」
プルサティラ:「……ね」
プルサティラ:「愛しては、くれない」
プルサティラ:「……わかるの」
プルサティラ:「私も同じだから」
忽亡ゆかり:「そうなの?」
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「病気だから、みんな心配してくれるけどね」
プルサティラ:「それだけなんだろうなって、わかってた」
プルサティラ:「……そうじゃなくても」
プルサティラ:「病気じゃなくなったら、会えなくなるだろう人が、いることも」
忽亡ゆかり:「…………胡桃ちゃんとか、糸賀さんとかも?」
プルサティラ:「胡桃ちゃんは、そうじゃないかもしれない」
プルサティラ:「でも……みんなの人気者で」
プルサティラ:「バレーも、すごくうまくて、それで」
プルサティラ:「プロ選手になりたいって、そういう夢をね」
プルサティラ:「叶えたいなら、前みたいには会えないよ」
忽亡ゆかり:「……ちゃんと、自分と未来を持ってる子か」
プルサティラ:「……私も」
プルサティラ:「その夢を邪魔するような、嫌な女の子になりたくなかったの」
プルサティラ:「だから」
プルサティラ:「魔女になってくれたことの意味を知ったとき、嬉しかったな……」
プルサティラ:「…………」
プルサティラ:「……嫌な女の子だね」
忽亡ゆかり:「……そうだね。私もだ」
プルサティラ:「……えへへ」
プルサティラ:「……ゆかりさんには、さ」
プルサティラ:「ゆかりさんを心から必要として、求めてくれる人」
プルサティラ:「そういう人が必要なんだよ」
忽亡ゆかり:「…………言い返せないや」
忽亡ゆかり:「弟、生き返らせたいなあ……」
忽亡ゆかり:「ずっと迷ってるんだよ。紙一重なんだ」
プルサティラ:「……うん」
忽亡ゆかり:「なんど決心しても、こうやって押されれば、すぐに転ぶ」
忽亡ゆかり:「……かなたと一緒に居た時間、すごく良かった」
忽亡ゆかり:「実際に見ちゃうと。やっぱり手放したくないんだ、あれを」
プルサティラ:「うん、うん」
プルサティラ:「……胡桃ちゃんを、拒んだでしょう」
忽亡ゆかり:「うん」
プルサティラ:「あれがだめだったとも、思わないよ」
プルサティラ:「でもね」
プルサティラ:「あのときそうしたから、今はそうしなきゃならない、なんていうのは」
プルサティラ:「……苦しすぎるよ」
忽亡ゆかり:「本心、ばれちゃってるもんな」
忽亡ゆかり:「けどね」
忽亡ゆかり:「同時に、止めて欲しいなって気持ちもあるんだ」
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「……ああ」
プルサティラ:「そうだね」
忽亡ゆかり:「必要に迫られて、でも、なんでも理由はいいんだ」
忽亡ゆかり:「すくい上げて、叩いて、ダメだよ、って叱って欲しいんだ……」
プルサティラ:「うん……うん」
プルサティラ:「きっと、今もね」
プルサティラ:「みんな心配してるよ。ゆかりさんのこと」
忽亡ゆかり:「そうだろうね」
忽亡ゆかり:「みんな、すくなくとも今は……」
忽亡ゆかり:「私を必要としてくれる」
プルサティラ:「そうだね」
プルサティラ:「それは、嘘じゃない」
プルサティラ:「……嬉しいよね」
忽亡ゆかり:「うん……」
忽亡ゆかり:「一番嫌なのは、自分自身だ」
忽亡ゆかり:「こうやって迷って、行ったり来たり、けっきょく、色んな人を裏切って……」
忽亡ゆかり:「誰にも、何も貫けず」
忽亡ゆかり:「今もこんな有様だ」
プルサティラ:「そういうの、私は好きだよ」
プルサティラ:「ううん」
プルサティラ:「……そういうのが、狩人には必要なんだと思う」
プルサティラ:「何もかも諦めて、手放して、魔女に頼り切りになっちゃったらね」
プルサティラ:「それは、ただの、ええと」
プルサティラ:「……ふぉろわー。フォロワーだから」
プルサティラ:「抗う気持ち」
プルサティラ:「それはだめだって、魔女や吸血鬼に屈してはならないって、それがわかってて」
プルサティラ:「……でも、自分の望みからは目を逸らすことができずに、迷う」
プルサティラ:「迷って、手を伸ばそうとしてしまう。傷ついてしまう。自分を責めてしまう」
プルサティラ:「……狩人さん、みんな、大変で、つらいよ」
忽亡ゆかり:「全部諦めて、魔女に頼り切って、フォロワーになる……」
忽亡ゆかり:「君にとっては、そっちの方が都合がいいんじゃないの?」
プルサティラ:「都合はいいけど、そんな好きな生き方じゃないよ」
プルサティラ:「それとこれとは別なのです」
プルサティラ:「あ、でも人間らしいなって思う」
プルサティラ:「みんなそうだったら多分楽だろうなとも思うかな……」
忽亡ゆかり:「……」
忽亡ゆかり:「でも、狩人の彼らが、美しく抗いきったら……」
忽亡ゆかり:「君、死ぬだろ?」
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「でも、別にそれでもいいかなぁって」
プルサティラ:「そもそも生きたかったら魔女になんかなってないよ」
プルサティラ:「大亮さんが病気治してくれたし」
忽亡ゆかり:「……それもそうか」
プルサティラ:「私は、私が生きるよりもやりたいことがあったの」
プルサティラ:「――ゆかりさん」
プルサティラ:「あなたに報われてほしかったのも、そのひとつ」
忽亡ゆかり:「……参ったな」
忽亡ゆかり:「私、君の事、結構好きだぞ」
プルサティラ:「私も好きだよ、ゆかりさんのこと」
プルサティラ:「言ったもんね。あのとき」
プルサティラ:「辛くて、苦しそうで、一人ぼっちで」
プルサティラ:「置いてかれそうになっていて、それに怯えている」
プルサティラ:「全部わかった今は、もっと好きだよ」
忽亡ゆかり:「……そのとおりだね。何も言い返せない」
プルサティラ:「……でも、そうなってはほしくないの」
プルサティラ:「だから、かなたくんを蘇らせた」
プルサティラ:「そして、今は――」
プルサティラ:「ゆかりさんの、願いが欲しいと思ってる」
忽亡ゆかり:「ありがとう。こんな私のために、願いを叶えようとしてくれて」
忽亡ゆかり:「……正直、魅力的だし、甘えたいし……」
忽亡ゆかり:「このまま、逃げてしまうのも、負けてしまうのも、悪くない」
忽亡ゆかり:「願いを言うよ」
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「……あのね」
プルサティラ:「みんな、きっとゆかりさんを心配して」
プルサティラ:「それで止めようとするでしょう」
プルサティラ:「それはね、嬉しいことだからね、わかるよ」
プルサティラ:「だから、私は言い訳をあげます」
プルサティラ:「みんな、間に合わなかった。どうしてもゆかりさんを見つけられなかった」
プルサティラ:「ゆかりさんは、私に抗ったけれど、最後の最後で、魔女の甘言に逆らえなかった」
忽亡ゆかり:「…………ありがとう」
プルサティラ:「そういう言い訳のために、私は全力で、みんなをここに近づけません!」
忽亡ゆかり:「私の願いは、忽亡かなたの延命。二度目の人生の謳歌だ」
プルサティラ:「うん。……うん」
プルサティラ:「分かりました」
プルサティラ:「魔女プルサティラ、その願いを聞き届けましょう!」

プルサティラ:サバトを使用。
プルサティラ:忽亡ゆかりの幸福『背徳:忽亡かなた』を破壊します。

プルサティラ:プルサティラの宣言と同時に、
忽亡かなた:瞼を伏せたかなたが、ゆかりの膝へと現れる。
忽亡かなた:先程の真城のように、眠っている。
プルサティラ:ゆかりの手元には、いつしかプルサティラの花束が。
プルサティラ:淡い紫に光るその花束には、
プルサティラ:魔女の力と、ゆかりの願いが込められている。
プルサティラ:それが、最後のピース。
プルサティラ:「ゆかりさん」
プルサティラ:プルサティラが呼び掛ける。
忽亡かなた:かなたはそこで、眠っている。
忽亡かなた:まだ暖かい。当然に生きた人間の温もりがある。
忽亡かなた:小さな寝息を立てている。
忽亡かなた:ネクタイを解いたブレザー姿。学校から帰ってきたところだった。
忽亡かなた:よく見れば、その首元のボタンが取れかけている。
忽亡かなた:眼鏡が少しずれている。かなたが眠ったとき、動転のあまり外してやることもしなかったことを思い出す。
忽亡かなた:後頭部が丸い。撫で回す感触が気持ち良いのだ。
忽亡かなた:我が弟ながら、きれいな頭蓋骨をしている。よく分からない自慢を誰かにしたことがあったような、なかったような。
忽亡ゆかり:「……………かなた」
忽亡かなた:けれどよく見たら首元などなかなか男らしく。
忽亡ゆかり:おそるおそる、手を伸ばす。頭を撫でる。
忽亡かなた:骨の浮き方など。これはなかなか将来有望なのでは。いや今の可愛いままでも。いや一生かわいいに決まっている。
忽亡ゆかり:「かなたぁ………………」
忽亡かなた:さらりと指に、髪が通る。
忽亡ゆかり:「この日常…………」
忽亡ゆかり:「どれくらい、保つ……?」
プルサティラ:「願ってくれたら、もう期限はありません!」
プルサティラ:「……とは、言いたいけど」
プルサティラ:「そうして蘇ったかなたくん本人に問題がなくても、世界は残酷だから」
プルサティラ:「……戦い続けなきゃならなくは、なるかもしれない」
忽亡ゆかり:「……そうだね」
忽亡ゆかり:「十分だ。この子は今度こそ……私が、側で」
プルサティラ:「うん。……うん」
プルサティラ:ゆかりの手元で、プルサティラの花束が光る。
プルサティラ:彼女の願いに呼応して、為すべきを促すように、淡く光る。
忽亡ゆかり:「ありがとう、プルサティラ……」
忽亡ゆかり:「……君は、この後どうする?」
プルサティラ:「えーと」
プルサティラ:「考えてなかったな……」
プルサティラ:「まあ、いいようにします」
プルサティラ:「私には私の目的がまだありまして、それは果たされていないので」
プルサティラ:「……それより、ね」
プルサティラ:「かなたくんにそれを、捧げてあげて」
忽亡ゆかり:「……ああ」
忽亡ゆかり:花束をしっかりと、けれど優しく掴んで、かなたの胸の上に。
忽亡ゆかり:かなたの手を取り、二人の四本の手で、それを握った。
プルサティラ:二人の手のひらに握り締められて、
プルサティラ:捧げられた花はひときわ強い光を放つ。
プルサティラ:その花が、
プルサティラ:ゆかりの願いが、
プルサティラ:あなたへの花は光の粒子と化して、かなたの胸へと消えていった。
プルサティラ:そして。
忽亡かなた:忽亡かなたは、その瞼を上げる。

忽亡かなた:ゆかりの膝に頭を預けた少年は、ずれた眼鏡越しにその顔を見上げ、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。
忽亡かなた:「……え」
忽亡かなた:慌てて眼鏡を直す。周囲を見回す。
忽亡かなた:身体を起こそうとする。
忽亡ゆかり:「かなた……」
忽亡かなた:「……姉さん」
忽亡ゆかり:「おはよう」
忽亡かなた:呼ばれて、答える。
忽亡かなた:それからきょとんと目を丸くして、
忽亡かなた:「おはよう」
忽亡かなた:でも、まずは姉の言葉にそう返す。
忽亡ゆかり:「大丈夫?具合に変なところはない?」
忽亡かなた:「え、ない、けど」
忽亡かなた:「ここ……えっ」
忽亡かなた:「公園?」
忽亡ゆかり:「……そっか」
忽亡かなた:「俺、ええと、学校帰ってきて」
忽亡かなた:「それで……ええと……」
忽亡かなた:戸惑っている。
忽亡ゆかり:「……うん。びっくりしたよね」
忽亡ゆかり:「大丈夫。大丈夫だから……」
忽亡かなた:「…………」ゆかりの顔を見ている。
忽亡ゆかり:「おはよう。……おはよう……」
忽亡かなた:姉の瞳に涙が浮かぶのを、見ている。
忽亡かなた:「……おはよう」
忽亡かなた:繰り返して、手を伸ばした。
忽亡ゆかり:「……ごめんね、最近、私、変だったよね」
忽亡かなた:指でその涙を拭いながら、ゆかりの声を聞いている。
忽亡かなた:「……姉さんは」
忽亡かなた:「ずっとヘンだよ。……ちょっとだけど」
忽亡ゆかり:「……あはは。そうかも」
忽亡ゆかり:かなたの手に、顔を押し付ける。涙でその指を濡らす。
忽亡かなた:顔を押し付けられて、手のひらがその頬を触れた。
忽亡かなた:するりと撫でる。

忽亡かなた:ゆかりさんかわいいを堪能できるほのぼのシーン
糸賀大亮:ほのぼの
夜高ミツル:え~ん……
糸賀大亮:ウウ
乾咲フラン:ゆかりさん……

忽亡かなた:「でも、ヘンな姉さんだから、やってこれたんだろ」
忽亡ゆかり:「…………うん」
忽亡かなた:「ヘンじゃなかったらさ」
忽亡かなた:「俺だって、どうなってたことか」
忽亡ゆかり:「私は、弟離れできない姉で」
忽亡ゆかり:「でも、だから……こうして一緒に居られる……」
忽亡かなた:「ん」
忽亡かなた:「……姉さんが、俺のこと好きで」
忽亡かなた:「守ってくれたから、俺は今までやってこれた」
忽亡ゆかり:守ってくれたから。
忽亡ゆかり:その言葉に、ちくりと胸が痛む。
忽亡ゆかり:「……私の幸せは、かなたを守る事だから」
忽亡ゆかり:「かなた。私の大切な弟……」
忽亡かなた:その頬をゆっくりと撫でている。
忽亡ゆかり:手を伸ばす。弟の顔に触れる。
忽亡かなた:触れられるのを、拒むこともなく。
忽亡かなた:「……全部だよ」
忽亡かなた:「全部のこと、言ってるから」
忽亡かなた:「感謝してるよ。……それに」
忽亡かなた:ゆかりの背に手を伸ばして、引き寄せる。
忽亡かなた:「……俺にとってだって、大切な姉さんなんだ」
忽亡ゆかり:「………………うん」
忽亡ゆかり:「そうだね、全部。これからも全部」
忽亡ゆかり:「文化祭は呼んでね。三者面談も」
忽亡ゆかり:「進路のことも遠慮せずに相談してほしい。行きたいなら大学だって……」
忽亡ゆかり:「……そうして、来年も来る。数年もすればかなたは成人して……」
忽亡かなた:ゆかりを抱きしめて、その背中を撫でている。
忽亡ゆかり:「…………10年、20年、30年……」
忽亡ゆかり:「もっと。しわしわのおじいちゃんになるまで、いっぱいいっぱい長生きさせるからね」
忽亡かなた:少年の細い体。けれど柔らかくはない。骨の硬さがゆかりの肌に伝わる。
忽亡かなた:「……ん」
忽亡かなた:「うん」
忽亡かなた:「姉さんも、だよ」
忽亡ゆかり:「うん」
忽亡ゆかり:「うん、うん……!二人で幸せになろう……」
忽亡かなた:「うん」
忽亡かなた:「ちゃんと、一緒に」
忽亡ゆかり:「かなた、今日の夜ごはんは、何がいい?」
忽亡かなた:「……それ、訊く?」
忽亡かなた:少し身体を離して、ゆかりの顔を見る。
忽亡ゆかり:「うん。聞きたい」
忽亡かなた:涙でぐしゃぐしゃになった姉の顔を。
忽亡かなた:「……ハンバーグ」
忽亡かなた:「姉さんの、手作りの。手捏ねのやつ」
忽亡ゆかり:「……うん、任せて!」
忽亡ゆかり:「私の一番の、得意料理だ」
忽亡かなた:「うん」
忽亡かなた:「俺の一番、好きな料理だよ」
忽亡ゆかり:胸に顔を埋めて、涙で弟の服を濡らす。
忽亡かなた:それを受け止めて、ゆかりの頭を撫でている。
プルサティラ:「……あ」
プルサティラ:ふわふわと浮き上がりながらそれを眺めていたプルサティラが、駆けつけた気配に視線をめぐらした。
夜高ミツル:公園に探していた人を見つけて微かに安堵の息をつき。
夜高ミツル:しかし、その安堵も一瞬で。
夜高ミツル:隣の少年とゆかりの様子を見れば、何があったかは想像ができてしまい。
プルサティラ:「ミツルさん、きーちゃった」
プルサティラ:花に腰掛けて、爪先をぷらぷらと揺らしながら。
忽亡ゆかり:「あ……」
乾咲フラン:「……! 忽亡クン……」
糸賀大亮:「…………」
夜高ミツル:「……」魔女の方を苦々しい表情で見て、ゆかりに向き直る。
忽亡ゆかり:はっと顔を上げ、狩人たちと視線が交わる。
忽亡かなた:「……?」
忽亡ゆかり:「あ、あの……」
夜高ミツル:「くちなし、さん」
忽亡ゆかり:怯えたように震える声。庇うように、弟をぎゅっと抱きしめる。
忽亡かなた:やや警戒気味に、ゆかりの身体を抱く力が籠もる。
忽亡ゆかり:「……ごめん、なさい」
忽亡かなた:どこかゆかりを庇うように狩人たちへと身を乗り出して。
忽亡ゆかり:「ごめんなさい。どうか…………」
糸賀大亮:後を追ってきて、ゆかりたちの姿を認めて。
糸賀大亮:嘆息する。
プルサティラ:「ゆかりさんが謝ることじゃないよ」
プルサティラ:「ゆかりさんが謝ることじゃない」
プルサティラ:「そうでしょ?」
プルサティラ:プルサティラは、高くから狩人たちを見回す。
忽亡ゆかり:「…………っ……」
夜高ミツル:「……」魔女に同意したくはないが。
糸賀大亮:歩調を緩めながらも、ゆかりの方へ向かって歩いていく。
忽亡かなた:「……姉さん」
夜高ミツル:「……はい」
忽亡かなた:大丈夫、と背中を撫でて、小さくゆかりの耳にささやく。
忽亡かなた:「大丈夫だから」
忽亡ゆかり:「……かなた……」
忽亡かなた:「……誰にも、姉さんを責めさせたりしないよ」
忽亡かなた:「俺が」
忽亡ゆかり:「…………」
乾咲フラン:「……魔女の誘惑に一人で抗える者は稀だ。……これは追いつけなかった私達の落ち度だ。」
夜高ミツル:彼女がどれだけ弟を大事に思っているか知っていて、責める気になんてとてもなれない。
糸賀大亮:プルサティラの方を横目で振り返ってちらりと見た後、
糸賀大亮:「……そうだな」と、ぼんやりどこともなく呟く。
糸賀大亮:それから、かなたを見つめた。
忽亡かなた:僅かに敵意の籠もった視線を大亮へと返す。
忽亡かなた:庇うように、ゆかりを抱きしめている。
糸賀大亮:「俺たちは、君のお姉さんを迎えに来た」と。
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「危ない仕事の、仲間の人?」
糸賀大亮:「……そうだ」
忽亡かなた:「…………」僅かに眉が釣り上がる。
糸賀大亮:「…………いつか、会わせたいと、忽亡さんにも」
忽亡ゆかり:「……うん……」
忽亡かなた:ゆかりに目を向ける。
忽亡かなた:「……姉さん」
忽亡ゆかり:「この人たちは、私のことを助けてくれた人たちだよ」
忽亡ゆかり:「今喋ってくれたのが糸賀さん」
忽亡かなた:「…………」
忽亡ゆかり:「そっちのきらびやかな人が、乾咲さん」
忽亡ゆかり:「で、そっちの高校生の男の子が、夜高くん……」
乾咲フラン:「ああ、美をやっているよ――別に君のお姉さんをいじめたりはしないからさ、そんな目で見ないでくれたまえよ。」

糸賀大亮:美をやっている
忽亡ゆかり:何て??
乾咲フラン:職業、美です
糸賀大亮:ダメ
忽亡かなた:美をやっているな……
乾咲フラン:住所固定美職
糸賀大亮:なんて?

忽亡かなた:無言のまま、小さく会釈する。
夜高ミツル:「……忽亡さんから、弟さんの話はよく聞いてたから」
夜高ミツル:「会えて良かった」
忽亡かなた:「……どう、も」
忽亡かなた:ややぎこちない挨拶。
プルサティラ:プルサティラはぼんやりと真城の頭を撫でています。
糸賀大亮:「……忽亡さん」と、あらためて声をかける。
忽亡ゆかり:「……はい」
糸賀大亮:「どうする」とだけ。
忽亡ゆかり:「…………」
忽亡ゆかり:「かなた。先に帰ってて」
忽亡かなた:「……え」
忽亡ゆかり:「私は大丈夫。ぜったいに、無事に戻ってくるから」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「でも、姉さん、……」
忽亡かなた:何か言い掛けてから口を噤み。
忽亡ゆかり:「……大丈夫」涙を拭う。
忽亡ゆかり:「帰る家があるから」
忽亡かなた:「……一つだけ、約束して」
忽亡ゆかり:「なに?」
忽亡かなた:「ちゃんと帰ってきて」
忽亡かなた:「今晩じゃなくていいから」
忽亡かなた:「ハンバーグ、作って」
忽亡ゆかり:「……うん。約束。ぜったい」
忽亡かなた:「……うん」
忽亡ゆかり:小指を絡める。
忽亡かなた:姉の指に、小指を絡めて応える。
忽亡ゆかり:「家で待っててね」
忽亡かなた:少しだけ、かなたの手の方が、大きい。
忽亡かなた:「無事に帰ってきてよ」
忽亡かなた:最後にもう一度、ゆかりの背に腕を回して、抱きしめて。
忽亡かなた:そのぬくもりを、
忽亡かなた:生きていることを確かめるように。
忽亡ゆかり:「うん……」
忽亡ゆかり:腕を回して、しっかりと抱きしめる。
忽亡ゆかり:生きている。二人の体温を分け合って、それをしっかりと感じて。
忽亡かなた:鼓動の音がする。
忽亡かなた:やがてそれが、ゆっくりと離れて、
忽亡かなた:「……じゃあ」
忽亡ゆかり:「うん」
忽亡かなた:ためらいがちに、かなたは立ち上がる。
忽亡かなた:「……姉さんのこと、よろしくお願い、します」
忽亡ゆかり:「かなた、愛してる」
忽亡かなた:狩人たちに頭を下げて。
忽亡かなた:その途中に聞こえた声に、振り返る。
忽亡かなた:笑った。
忽亡かなた:「……俺も、愛してるよ」
忽亡ゆかり:「……うん!」
糸賀大亮:「ああ。……すまない」
乾咲フラン:「任せたまえ!」あえて明るく振る舞ってみせる。
夜高ミツル:「あ、いや、こちらこそ……お姉さんにはお世話になってるので」
夜高ミツル:頭を下げられてあたふたと。
忽亡かなた:かなたは公園を去っていく。
プルサティラ:その背中を、プルサティラは見送りながら。
忽亡ゆかり:「…………」
プルサティラ:「……私がさ」
プルサティラ:「どうしてこうしたのか、わかる?」
忽亡ゆかり:「……どうして?」
プルサティラ:「誰もゆかりさんを救ってくれないから」
プルサティラ:「みんな、優しいけど」
プルサティラ:「優しいことで誰かを救えることも、あるんだろうけど」
プルサティラ:「でも、誰もゆかりさんを救ってくれなかったから、こうしたの」
夜高ミツル:「……っ」
忽亡ゆかり:「…………それは……」
忽亡ゆかり:「…………」
プルサティラ:「ゆかりさんを支えるの、みんな大変だったでしょ?」
プルサティラ:「みんな困ってたよね」
プルサティラ:「正直さ、支えきれなくなってたんじゃないの?」
糸賀大亮:ぼんやりと、プルサティラを見つめる。
糸賀大亮:「……無理を」
糸賀大亮:「強いているとは、思っていた」
乾咲フラン:「……私の支え方では、忽亡クンには足りないかもしれないとは思っていたがね」
夜高ミツル:「……大変、とかじゃないけど」
夜高ミツル:この先どれだけ彼女を支えていけるだろうとか、不安はあったのは事実で。
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「誰もゆかりさんの一番ほしいものをあげられなかったからね」
糸賀大亮:「ああ」
夜高ミツル:「……」否定することはできない。
プルサティラ:「……ミツルさんだけじゃないよ」
プルサティラ:「誰だって、心の底から人生まるごと捧げてしまえるくらいの覚悟があればさ」
プルサティラ:「きっと、それで良かったんだよ」
プルサティラ:「でも誰もそうしなかった」
乾咲フラン:「……」
糸賀大亮:「だから、君が手を貸した?」
プルサティラ:「うん」
プルサティラ:「ゆかりさんにはかなたくんが必要だったから」
プルサティラ:「……別に、責めてるんじゃないよ」
プルサティラ:「誰かにまるごと人生捧げるの、大変だもん」
プルサティラ:「できなくても仕方ないよね」
プルサティラ:「自分たちで生きていける人なら、なおさらその必要性ってわかんないしさ」
プルサティラ:「でも、そうじゃない人は、そうじゃないの」
プルサティラ:「……私には、それがわかるの……」
糸賀大亮:「忽亡さんの願い事を叶えることで、君の気は晴れるのか」
プルサティラ:「嬉しいよ」
プルサティラ:「ゆかりさんが、笑顔になって、私は嬉しい」
プルサティラ:「あんなに苦しんでいたゆかりさんが、その苦しみから解放されたことが、私は嬉しい」
プルサティラ:ちいさく、微笑む。
糸賀大亮:「……そうか」
糸賀大亮:「すまない」
プルサティラ:「?」
糸賀大亮:小さく謝って、何か考えるように。
糸賀大亮:「俺たちを、このまま行かせてくれるのか」
プルサティラ:「別に止める理由ないよ」
プルサティラ:「好きにしたらいいんじゃない?」
プルサティラ:「私は、ゆかりさんと同じように苦しんでるさっくんを楽にしてあげたいだけだし」
プルサティラ:「あなたたちは、きっとそれをしてくれるでしょう」
糸賀大亮:「分かった」と言って。
プルサティラ:「……ん」頷いて、また真城の頭を撫でている。

GM:プルサティラの血量が6減少!(血量:16->10)
GM:忽亡ゆかりへ1個の部位ダメージ!(部位ダメージ:0->1)
GM:背徳が破壊されたため、プルサティラは追加行動を1回取得します。
GM:そして背徳の輝きによって耐久力が1増加。