? 1話「愛は不可侵」結果フェイズ

結果フェイズ

結果フェイズ:フォロワーたち

GM:舞い上がって消えた紅の花弁、その場を逃げ去った真城朔。
GM:静寂ののちに、
『数の妹』冬園文:「あ、……あ」
『数の妹』冬園文:我に返ったように、少女が膝を折る。
『数の妹』冬園文:「しょうたくん、……しょうた、く」
『数の妹』冬園文:「しょうたくん……!」
『数の妹』冬園文:ぼろぼろと涙をこぼす少女の頭に、
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:野嶋はやさしく手を置いた。
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:そして天を仰ぐ。
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:「……まあ、こんなもんか」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:分かっていた、という風に息をついて、ちらとゆかりを振り返り。
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:「……忽亡」
忽亡ゆかり:「……ん」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:「面倒かけたな」
忽亡ゆかり:「ホントだよ」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:「はは」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:「まあ、後始末頼める立場でもねえや」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:「……じゃあな」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:ふっと笑うと、その身体がどうと倒れる。
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:スーツの背中に血が滲んでいく。
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:流れる血潮が、運動場を汚していく。
忽亡ゆかり:「……おつかれ。野嶋」
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:もう起き上がらない。
『朽ちた銀弾』野嶋浩樹:腕は投げ出されたまま。
『数の妹』冬園文:「え……?」
『数の妹』冬園文:「お、にい、さ……あ」
『数の妹』冬園文:「――ああ、あ」
『パシられていた』里井雅也:恐懼する少女の目を、ボロボロの里井が覆った。
『パシられていた』里井雅也:気の利いた言葉などかけられないまま首を振って、
『パシられていた』里井雅也:「…………でも」
『パシられていた』里井雅也:「お、俺たちは確かに、……お前に救われたん、だ」
『パシられていた』里井雅也:「ありがとう」
『パシられていた』里井雅也:「グラジオラス……」

結果フェイズ:乾咲フラン

GM:身を寄せ合うフォロワーたちを見ながら、狩人たちは戦後処理を始める。
GM:スマホも復活した。それぞれの組織への連絡と、ミツルを運び込む闇病院への手配と。

乾咲フラン:闇病院
夜高ミツル:闇病院に闇搬送されちゃうよ~
糸賀大亮:ハンター御用達
GM:普通の病院にかつぎ込める怪我じゃねえからな……
夜高ミツル:ほんとにね
糸賀大亮:どう考えても刃傷沙汰の怪我

GM:はじめにやるべきことを概ね済ませて、乾咲フランは運動場に立つ。
GM:何一つ残さなかった、グラジオラスの亡骸の倒れていた場所を見ている。
乾咲フラン:「…………」
GM:ああして、
GM:花弁となって消え果てた吸血鬼。
GM:同じように消え失せた吸血鬼を、あなたは知っている。

GM:――フォゲットミーノット。
GM:青い勿忘草の花弁となって散った、五年前の吸血鬼。

GM:真城朔が殺した、吸血鬼の名前だ。

GM:フランの秘密を公開します。

【秘密:乾咲フラン】
フォゲットミーノット=真城碧は真城朔の母親であり、あなたは彼女の友人であった。
あなたは自らの手で母親を殺した半吸血鬼である彼のことを信頼しつつもその危うさを気に掛けている。
あなたにはもう一つ秘密がある。

GM:あなたは彼女のことをまだ覚えている。
乾咲フラン:「マシロ……」夜空を見上げながら、小さく名を呼んだ。
乾咲フラン:それは朔の事なのか、碧の事なのか。
真城朔:『――ごめん』
GM:そう言い残して消えた真城朔の姿に、
GM:いつかの彼女が重なる。

真城碧:『ごめんね、いつも世話になって』
真城碧:貴方の腕からまだ幼い真城朔を受け取りながら、碧は言う。
真城碧:『保育園の先生たち、驚いてなかった? 一応ちゃんと連絡はしたんだけど……』
真城碧:『あなた、目立つから』
乾咲フラン:『フフ、私が好きでやっていることだ。ほ~ら美しい美しい。』朔を美であやしながら。
乾咲フラン:『驚いていたし子供にはまとわりつかれた。』
乾咲フラン:『子供は無邪気だなぁ、私の髪の毛を掴もうとするんだ。』

夜高ミツル:保育園におむかえに行くフランさん……
糸賀大亮:美であやしている
忽亡ゆかり:美で
夜高ミツル:美であやす
夜高ミツル:強すぎるな
夜高ミツル:幼子にまとわりつかれるフランさん最高
夜高ミツル:こんな昔から知ってるとなると 背徳の業がかなり深まってしまうな
乾咲フラン:でしょ(最悪)
糸賀大亮:幼い頃から知っている子の腕を……
夜高ミツル:そりゃ背徳だわ

真城朔:幼い朔はむずがりながらも、眠気には勝てないようで重たげに瞼を落としている。
真城碧:『あはは! 朔も意外と、あなたのこと怖がらないもんね』
真城碧:『内気な子だから、大丈夫かと最初は思ってたけど、なついてくれて嬉しかったな』
乾咲フラン:その寝顔を、微笑ましく見ている。友人の子供をあやすという珍しい体験は、フランを新鮮な気持ちにしてくれた。
真城碧:『この子、いい子でしょう?』
真城碧:朔の髪を撫でてやりながら、碧は微笑む。
乾咲フラン:『ああ、マシロの助けになれてよかったよ。 ……ああ、いい子だね。とても!』
真城碧:『わがまま言わなくて、素直で。ちょっと引っ込み思案だけど、大人を困らせるようなことはなくて』
乾咲フラン:『つつましい、碧のような美しさをもつ子だ。将来は美麗派かな?』フフ、と笑って
真城碧:『だから』
真城碧:『……少し、心配』
乾咲フラン:『心配?』微笑んだまま首を傾げ
真城碧:『いい子だから。……私、気付かずに我慢させすぎちゃうんじゃないかって』
真城碧:『そうならなくても、自分のやりたいこと、ちゃんとやれるかな、とか』
真城碧:『……私はけっこう、ほら? 我が強いから』
真城碧:『この子のこと、分かってあげられないことも、あるのかなって……』
乾咲フラン:『フフ、心配性だな、マシロ。それならまあ、私が。親戚のおじさんポジションになってあげようじゃあないか。』
真城碧:『親戚の……』
真城碧:ちょっと呆気にとられたような顔になりますが。
乾咲フラン:『美しすぎるかな?』
真城碧:『いいえ』
真城碧:にっこりと笑う。
真城碧:『美しすぎて、困ることなんてないし』
乾咲フラン:『そうだろうそうだろう。……あと、おじさんって年でもまだないな。親戚のお兄さんとかにしよう。』
真城碧:『ふふふ。がんばって教え込まないとね』
真城碧:幼い朔は眠りについている。
真城碧:碧の胸ですやすやと安らかに寝息をたてる、その頭を撫でてやりながら。
真城碧:『……そうね。そうだな』
真城碧:『フラン』
乾咲フラン:『ん?』顔を上げる。
真城碧:『あなたがそう言ってくれるなら、安心』
乾咲フラン:『そうだろう、私を頼ってくれていい。』
乾咲フラン:自信に溢れる仕草。
真城碧:『うん』
真城碧:『この子を産んでからずっと、一番頼れる相手はあなただった』
真城碧:『そのあなたに、さらにお願いしてしまうのは申し訳ないんだけど……』
真城碧:ぎゅ、と腕の中の朔を抱き締めて。
乾咲フラン:『美しい我が友が産んだんだ、いくらでも頼られてやろうとも』
真城碧:頷いて、笑う。
真城碧:『ありがとう』
真城碧:『私に何かあったら、この子のこと、よろしくね――』
乾咲フラン:『縁起でもない』あはは、と笑って。

GM:空が白み始めている。
GM:真城の去った運動場で、あなたは佇む。
GM:彼の残した白い勿忘草の花弁すらやはり掴み取れぬままに。
乾咲フラン:遠い、しかし昨日の事のような約束が胸の中でちいさく形を残している。
乾咲フラン:登り始める太陽から目を背け、胸元でぎゅっと、拳を握る。
乾咲フラン:「約束は、守るよ。マシロ――」

GM:フランさん結構この秘密が根底にあるから1話あんまり言えることなくて大変だったよね
乾咲フラン:不審美だったもんな
GM:不審美ウケる
GM:うまいこといいよる
糸賀大亮:不審美

GM:では次ですが。はい。
GM:……大亮さん、行きましょうか。
乾咲フラン:ギャ~~~ッヒッヒッヒ
糸賀大亮:はい。興奮剤使っていいですか?(早い)
GM:いいよ!w

乾咲フラン:PLが台無し笑いしちゃったな
乾咲フラン:大興奮だよ
忽亡ゆかり:しっとりしてたのに
忽亡ゆかり:ギャ~~~ッヒッヒッヒ
忽亡ゆかり:だもんな
夜高ミツル:美しくない笑いはダメだよ~
乾咲フラン:PLの品性下劣は止めらんねえからよ(止めろ)
GM:わかるな~

結果フェイズ:糸賀大亮

GM:修復判定からですね。
GM:壊れてるのは退路だな。判定どうぞ。
糸賀大亮:はーい興奮剤使います
GM:がんばって興奮して。
糸賀大亮歩くから

糸賀大亮:2D6+2>=7 (判定:歩く▲)
BloodMoon : (2D6+2>=7) → 8[2,6]+2 → 10 → 成功

乾咲フラン:やった~~
GM:おめでとう おめでとう
糸賀大亮:シャブでも決めなきゃやってらんねえよこんなこと
乾咲フラン:ひどい
GM:では……修復されましたね。
糸賀大亮:はい……
夜高ミツル:修復したら余計苦しい説もありますが
GM:糸賀大亮の幸福『背徳:Cチーム』は無事修復されました。

糸賀大亮:やったね……(全然やってない顔)
GM:で、どうされるんですか?
乾咲フラン:一緒に行こうか……?(介添え顔)
GM:やさしさ。
糸賀大亮:一緒に来てくれます……?
乾咲フラン:行こう……
GM:やさしいね……。
GM:体育館倉庫でやるんですか?
糸賀大亮:じゃあ、美しく佇むフランに声をかけて、三人を寝かせたところまで一緒に来てもらいます……
乾咲フラン:というかグラジオラスが死んだなら、徐々に死んでいきそうだな……
GM:生きてますよ。
糸賀大亮:体育館倉庫だっけ 講堂だっけ
乾咲フラン:大亮を慮りながら、ついていきます
乾咲フラン:倉庫のマットじゃないかな
糸賀大亮:倉庫のマットだな。
GMTipsなんですが、ブルーシートとか使うと血が残らなくていいです。
糸賀大亮:血が付くからマットの上はまずいなまで打ってた。
乾咲フラン:体育できなくなっちゃうねえ
糸賀大亮:ブルーシートって体育館倉庫にあるかな…
GM:あっていいんじゃないかな。あることにしましょう。
糸賀大亮:はーい。
GM:ふわっと調達していいですよ。
GM:白み始めた空。すでに世界は朝に差し掛かりつつある。
GM:人々が目覚めつつある中、体育館倉庫への道を彼らは歩く。
GM:目覚めない人たちのもとへとゆく。
糸賀大亮:沈黙している。しっかりした足取りでいる。
糸賀大亮:手には、杭が握られている。
乾咲フラン:横に並んで着いていく。
乾咲フラン:「なあ、糸賀クン。」
乾咲フラン:「やるのか。」
糸賀大亮:「……ああ」
糸賀大亮:「……きっと、もう目を、覚まさない」
GM:県立八崎高校の、やや古びた体育館倉庫。
GM:そこに彼らは眠っている。
乾咲フラン:倉庫の前。立ち止まり、手を伸ばす。
乾咲フラン:「私がやろうか。」
糸賀大亮:かぶりを振った。
乾咲フラン:「そうか……」
乾咲フラン:引き下がります。
糸賀大亮:扉を開けて、倉庫の中に入っていく。
GM:その先に、彼らは眠っている。
乾咲フラン:ブルーシートを倉庫の端から持ってきて、広げる。
糸賀大亮:暗い体育倉庫の中に変わらぬみっつの姿を認めて、唇を引き結ぶ。吐き気をこらえた。
GM:長内真礼。
GM:長内孝太郎。
GM:小春德光。
糸賀大亮:……粛々と、三人をブルーシートの上に移す。
GM:最後の狩りで受けた損傷のない、きれいなままの姿。
GM:そこには人肌のぬくもりがある。
糸賀大亮:跪き、顔を覗き込む。
GM:確かな命が、触れれば触れるほどにあなたに伝わる。
GM:呼吸をしている、ことが、わかる。
糸賀大亮:分かっている。目覚めて欲しいと本当は思っている。
GM:三人とも、眠ったような穏やかな顔で。
糸賀大亮:生き返って欲しいと、ずっと思っていた。でもそれは。
糸賀大亮:「…………すいません」
糸賀大亮:「こんな暗いところで待たせて」
GM:瞼を伏せた小春德光の顔からは、あなたを厳しく鍛えていた頃のいかめしさが薄れている。
GM:誰もその声に、返事をしない。
糸賀大亮:膝を突いたまま、杭を構えた。
糸賀大亮:「…………すいません」
GM:抵抗も当然ない。人間の柔らかな身体。
乾咲フラン:その行為を、決着を。無言で背後から見守っている。
糸賀大亮:トクさんの胸元に杭の切っ先を突き付ける。
糸賀大亮:それから。
糸賀大亮:力を込めた。

夜高ミツル:つらすぎる
忽亡ゆかり:目撃者がフランさんだけなのも、こう いいな……
乾咲フラン:吸血鬼になったわけでもない仲間を再殺する大亮、あまりにも
GM:これ最後までやりきる?
糸賀大亮:ここはこれで切って大丈夫かもしれない
GM:切っちゃうか
糸賀大亮:ADVだと刺す音だけ鳴ってBGMが切れるところだしな……(具体的表現)
GM:そうなんだよね
乾咲フラン:糸賀くん?友達殺し仲間だね?
乾咲フラン:オエッ
糸賀大亮:ゲロゲロ

GM:八崎大学附属病院。
GM:あの狩りの日以来、彩花は再び入院している。
GM:特別に何か危害を加えられたということはなかったが、
GM:長いストレスは彼女の身体には負担になったようだった。
糸賀大亮:異常事態だったもんな。
GM:相当異常ですね。
GM:なので運ばれて、一週間くらい入院してます。
糸賀大亮:もう面会できるってことなら、まあ行ってドアをノック……するか。
皆川彩花:「はーい」
糸賀大亮:入院患者を見舞いした経験がなさ過ぎる。ノックするのか? ノックしました。
皆川彩花:少しはずんだ声。
皆川彩花:個室ですね。
皆川彩花:いつも個室です。彩花は。
糸賀大亮:そうだろうな……
糸賀大亮:「糸賀だ。入っていいかな」
皆川彩花:「どうぞ!」
糸賀大亮:扉を開けて、入っていく。

皆川彩花:扉を開けると、入院着を来た彩花がベッドから半身を起こしている。
皆川彩花:漫画や小説が横に積まれていたりなどする。
皆川彩花:顔色は、悪くない。
糸賀大亮:ちらりと積まれた本に目を向けて、顔色がよさそうなのに胸を撫でおろして、
糸賀大亮:ベッドサイドの椅子まで。
皆川彩花:彩花はじっと大亮の顔を見ていましたが、
皆川彩花:「……ふふ」
皆川彩花:やがて頬を緩ませる。
糸賀大亮:「ああ、こんにちは……」ぎこちなく笑い返す。
皆川彩花:「こんにちは」
糸賀大亮:「なんか、見舞いを持ってこようと思ったんだけど、いいのが思いつかなくて……」
皆川彩花:「ええ?」
糸賀大亮:座る。
皆川彩花:「大丈夫、だよ。そんなの」
皆川彩花:「いつものことだし……」
皆川彩花:「毎度要求するのもけっこうこっちが疲れる、みたいなとこ、あったりするんですよ」
糸賀大亮:「……そうか」
皆川彩花:窓が薄く開けられている。
糸賀大亮:「そうだな、まあ、それもそうか」
皆川彩花:カーテンがたなびいて、花瓶にいけられた花が揺れる。
皆川彩花:白い花が、揺れている。
糸賀大亮:「…」
皆川彩花:「気兼ねしてみんな来てくれなくなる方が」
皆川彩花:「私は正直、寂しいっていうか」
皆川彩花:「……身一つでもなんでもいいのにな」
糸賀大亮:何となくそれに目を留めた。「……うん」
皆川彩花:と、白い花を眺めながら、小さく息を吐く。
GM:風に揺れる白い花。
GM:彩花の病室にたびたび活けられている、病院にはあまり似合わない、
GM:見舞いにはそぐわない筈の花を見ていると、
GM:あなたは不意に思い出す。
糸賀大亮:「…………」俺には花はチューリップと、タンポポぐらいしか分からないし、梅と桜の区別も正直ついてないんだが。
糸賀大亮:その花にはなんか、見覚えがある。気がする。
GM:既視感の正体。
GM:どこで、彼を見たのか。
GM:――自分は彩花の病室で、真城朔とすれ違ったことがある。
糸賀大亮:「あ……」
糸賀大亮:思わず声を漏らして、口を覆う。
GM:自分の訪問に気付いて、彩花に何か言い残して、
GM:足早に病室を去る真城朔を見たことがあった。
皆川彩花:「大亮さん?」
糸賀大亮:いや。そうだ。確かに、同じ高校なら。
糸賀大亮:見舞いに来たって不思議じゃないのか。

夜高ミツル:真城……
乾咲フラン:マシロ…

皆川彩花:急にもの思いにふけったように見えるあなたを、彩花は小首を傾げて見上げる。
皆川彩花:「どうかした?」
糸賀大亮:「……いや、その花、綺麗だな、と、思って」
糸賀大亮:ぎこちない返答。
皆川彩花:「ああ」
皆川彩花:「うん」
皆川彩花:「私も、好きな花」
皆川彩花:「本当は病院に白って、あんまりよくないんだけど」
皆川彩花:「私が好きだからって、置いてくれる人がいるの」
皆川彩花:その花はまだ瑞々しい。
皆川彩花:見舞いからはそう長くないことが見て取れる。
糸賀大亮:「……」あれから一週間が経っている。
糸賀大亮:これを置いているのが真城なら……いや。
糸賀大亮:「そうか。……なんていう花なんだ?」
皆川彩花:「ええとね、マーガレット、カスミソウ、ブルースター……」
糸賀大亮:なにがなにやらさっぱりだ。
皆川彩花:「けっこう、いろいろ。白いのをね、いい感じにって」
糸賀大亮:ブルースターなのに白いのか……?
皆川彩花:色んな色があるんですよね。
皆川彩花:「色は同じでも、種類は色々だと」
糸賀大亮:「気が利いてるんだな……」
皆川彩花:「寂しくないでしょう?」
皆川彩花:大亮の言葉に頷く。
糸賀大亮:「ああ……」寂しくないでしょう、という問いには、よく分からないなりに頷いた。

乾咲フラン:大亮さん・・・・・・・・・・・・(好き)
夜高ミツル:花の解像度がめちゃめちゃ低い
夜高ミツル:最高
皆川彩花:大亮さんの色んなものへの解像度の低さ好き
夜高ミツル:糸賀大亮:ブルースターなのに白いのか……?
夜高ミツル:すき
皆川彩花:素朴
糸賀大亮:今「花は寂しさを感じるのだろうか……」ってピュアに考えちゃってるよ

皆川彩花:「……大亮さん」
糸賀大亮:「ん」
皆川彩花:「あの時、……ええと、停電のとき」
皆川彩花:「来てくれたでしょう」
糸賀大亮:「ああ……いや」
糸賀大亮:「……悪かったよ、あまり、傍にいられなくて」
糸賀大亮:「情けないところも見せたような……気がする……し」
皆川彩花:「ううん」
皆川彩花:「ていうか」
皆川彩花:「そもそもなんでいたのかヘンなくらいだし」
皆川彩花:ふにゃりと笑う。
皆川彩花:「……訊かないけどね」
糸賀大亮:「まあそれは……たまたま」目を逸らした。
皆川彩花:「ふふ」
糸賀大亮:「うん……」
皆川彩花:「でもね」
皆川彩花:「嬉しかったよ」
皆川彩花:「来てくれるの、いつでも嬉しいの」
皆川彩花:「私は」
糸賀大亮:「……そうか」
皆川彩花:「うん」
糸賀大亮:「……俺も、」
皆川彩花:「?」
糸賀大亮:「嬉しいよ、彩花ちゃんと会うのは」
皆川彩花:「……ん!」
皆川彩花:「だからね」
皆川彩花:「……だから」
糸賀大亮:「うん」
皆川彩花:笑顔からじっと、あなたの顔をまっすぐに見て。
皆川彩花:「また、来てね」
皆川彩花:「それで……」
糸賀大亮:「……ああ、もちろん」
皆川彩花:「……怪我、しないでね」
糸賀大亮:「…………気を付ける」
皆川彩花:「……はい」
皆川彩花:「なんて」
皆川彩花:「怪我して来てくれなくなったら自分が寂しいばっかりに、大亮さんの心配をする彩花ちゃんなのでしたー」
糸賀大亮:「……それはまあ、そうだな」
糸賀大亮:「彩花ちゃんも……まあ」
糸賀大亮:「体育の時間にはしゃぎすぎるとかは」
皆川彩花:「うっ」
糸賀大亮:「お互い気を付けるということで……」
皆川彩花:「……はーい」
皆川彩花:「私も、気をつけます」
皆川彩花:こくりと頷いて。
皆川彩花:「だから大亮さんも、無理したら、やだよ」
糸賀大亮:「……うん」

乾咲フラン:心配されてる…
夜高ミツル:いい子だな~
乾咲フラン:「彼女なのか?」
皆川彩花:美のデリカシーゼロアタック
夜高ミツル:ラブのコメが始まっちゃうよ
乾咲フラン:こんな重苦しいラブコメ
糸賀大亮:彼女では……なくて…………護りたくて……(胸を押さえて倒れる)
夜高ミツル:倒れちゃった
夜高ミツル:一緒に闇病院行く?
糸賀大亮:俺、今回退路が壊れただけだったから……

結果フェイズ:忽亡ゆかり

GM:ゆかりさんにはねえ あのねえ
忽亡ゆかり:はい
GM:ミツルくんのお見舞いに行ってもらうといいんじゃないかなって思ってますね。
GM:どうでしょう。
GM:行ってくれます?
忽亡ゆかり:お!!!
忽亡ゆかり:いぎまず!!!!
GM:やさしい~~~~。
夜高ミツル:やった~
GM:じゃあそんな感じで。
夜高ミツル:うれしいな
GM:ではミツルが運び込まれた闇病院。
GM:なんか……あんまり病院っぽくないんですけど。
GM:普通のアパートを改装しておっきいベッドとかまぁ機器がいっぱいはいってるようなところですね。
夜高ミツル:闇だなぁ
忽亡ゆかり:いい……
GM:こちらも一週間後くらいでよさそうですね。
GM:ゆかりは闇病院のミツルの病室を訪問する。
GM:ああ、ついでに情報を。
GM:闇病院に入ったミツルの入院代と治療費なんですが、
GM:誰かがいつの間にか振り込んだらしいですね。
忽亡ゆかり:一体誰なんだ……
夜高ミツル:一体誰なんだ~~~!?
GM:結構どんぶり勘定で、足りなくはないだろうという額を。
GM:あとミツルくんのバイト先と学校にも連絡が行ってました。親戚にも。
乾咲フラン:エ~ン誰なんだろう
夜高ミツル:手厚い……
糸賀大亮:いったい誰なんだ…………
GM:誰だろうな~。
忽亡ゆかり:ここに来るのは何回目かかな?ミツルくん倒れてから来るのは初かな?
GM:何回目でも大丈夫。
GM:やりたい感じで。
忽亡ゆかり:はい!

忽亡ゆかり:「ちーっす」部屋へと入ってきた忽亡ゆかり、小脇にはコンビニの袋を抱えて。
夜高ミツル:「忽亡さん」
夜高ミツル:ベッドの上でぼんやりとしていたが、ゆかりが入ってきたのを見て顔をそちらに向ける。
忽亡ゆかり:「あい。おやつと、これは今日発売のヤツね」中にはいくつかの菓子類と、少年誌が入っている

糸賀大亮:お見舞い品だ~
GM:あーーーんゆかりさん
GM:ゆかりさん弟くらいの年代の子が喜びそうなものを把握して
乾咲フラン:気遣いが現実的ですげ~好き
GM:めっちゃすき

夜高ミツル:「ありがとうございます。すみません、わざわざ」
忽亡ゆかり:「いいってことよ。それで、調子は?」
GM:ミツルの回復具合なんですが、かなりいいですね。
GM:若いというのが大きいんでしょうが。
夜高ミツル:「調子は……ぼちぼち、ですかね?」
夜高ミツル:「こんなに怪我したことないので、あんまり分かんないんですけど……」
GM:何かの後押しがあるのでは、と少し疑ってしまうくらいの。
GM:多分あと一週間くらいで退院できると思います。
夜高ミツル:はや
忽亡ゆかり:「若いっていいなあ!」
GM:まあとりあえず退院は早いよ。
GM:完全に治るとはまた別の次元だからね 闇病院だし

GM:そういえば言うの完全に忘れてたんだけど死人は例の殺された男子高生くらいしか出てないですね 今回の件
乾咲フラン:名もなき眼鏡ボーイ…
GM:唯一死眼鏡
忽亡ゆかり:野嶋クォラ~~~~~~!!!!!!!!!
糸賀大亮:かわいそうな名もなき少年……
乾咲フラン:な野駄な
糸賀大亮:確かにCチームは±0だもんな
乾咲フラン:ひどい
GM:プラマイゼロ最悪でウケる
糸賀大亮:大亮のせいで不要な計算が発生してしまった
GM:多分男子生徒は別の場所で死んだことにされて、昏睡に関しては神経ガスがどうたらで誤魔化したんだろうな
糸賀大亮:ばっちり隠蔽されている

忽亡ゆかり:「正直、きみが倒れた時は肝を冷やしたけど……」
夜高ミツル:痛みに若干顔をひきつらせつつ、枕を支えに半身を起こす。
忽亡ゆかり:「……本当に無事で良かったよ」
夜高ミツル:「……忽亡さんたちのおかげです。それから……」
夜高ミツル:「……真城の」
忽亡ゆかり:「…………そうだね」
GM:あれ以来真城は姿を現していません。
GM:ミツルのお見舞いにも、当然来ていない。
忽亡ゆかり:「あーあ。なんで居なくなっちゃうかなあ。真城くん」
忽亡ゆかり:「聞きたい事、色々あったんだけどなー」
夜高ミツル:「……連絡も、取ろうとはしたんですけど。でも電話も出ないし」
夜高ミツル:「……」
夜高ミツル:自分の入院や治療にかかる費用を誰かが肩代わりしてくれたことは、ミツルも知らされている。
夜高ミツル:そんなことをしてくれる相手の心当たりは、一人しか。
忽亡ゆかり:「…………」
忽亡ゆかり:「夜高くん」
忽亡ゆかり:「きみは、今でも真城くんの友達?」
夜高ミツル:「……はい」
夜高ミツル:「真城は俺の友だちです。それは変わらない」
忽亡ゆかり:「それは、彼が何者であっても?」
夜高ミツル:「……あいつを助けたいって思ったのも」
夜高ミツル:「……」
夜高ミツル:自身の首筋に触れる。
夜高ミツル:そこには、まだ真城がつけた傷跡が残っている。
夜高ミツル:「……変わらないと、思いたいです」
忽亡ゆかり:「…………いい友達だったね」
夜高ミツル:「……過去形にしないでくださいよ」苦笑して。
忽亡ゆかり:溜息を吐く「……私さ」
夜高ミツル:「?」
忽亡ゆかり:「大切なものを守るために、今の仕事をしてる」
忽亡ゆかり:「けど……私は自分のことを、正義の味方だと思ったことはないんだ」
夜高ミツル:ゆかりの話に、静かに耳を傾けていたが。
夜高ミツル:「そうなんですか?」
夜高ミツル:意外そうに。
忽亡ゆかり:頷く
忽亡ゆかり:「だって、悪と戦ってるわけじゃない」
忽亡ゆかり:「紅谷くんも、それに付き従う人たちも」
忽亡ゆかり:「きっと一人一人、面と向かって話してみたら、結構いいやつだったりするんだ」
夜高ミツル:少なくとも付き従っていた彼らは、グラジオラスに、紅谷に助けられたのだろう。
夜高ミツル:「そう、ですね。少なくとも紅谷は……すげーいいやつでした」
忽亡ゆかり:「私たちは、文字通り狩人なんだよ」
忽亡ゆかり:「敵が悪だから倒すんじゃなくてさ、共存できないから倒すんだ」
夜高ミツル:「共存できない……」
忽亡ゆかり:「正確には……」
忽亡ゆかり:「……共存できないと思い込んで、殺すんだ」
夜高ミツル:「……それは」
夜高ミツル:「真城もですか」
夜高ミツル:ゆかりを見据える。
忽亡ゆかり:「……さあ。どうだろうね。その結論を出すには、彼のことをもっと知らないと」
忽亡ゆかり:「彼はイイ奴だから、敵対したくないな」
夜高ミツル:「……俺も」
夜高ミツル:「そう思います」
夜高ミツル:「……忽亡さんも同じで、良かった」
忽亡ゆかり:「なあ、少年」
夜高ミツル:「はい?」
忽亡ゆかり:「選択は、間違えるなよ」
忽亡ゆかり:「私は君とも、共存していきたい」
夜高ミツル:「…………」
夜高ミツル:「……覚えておきます」

GM:夜高ミツルへのお見舞いからの帰り道。
GM:ゆかりはとある姉妹を目撃する。
GM:仲睦まじげに手を繋いで道を歩く二人、
GM:――冬園数と、冬園文の姿を。
忽亡ゆかり:「! ──」
冬園文:「お姉ちゃん、きょうはなに作るの?」
冬園数:「んー。どうしようかな。……文は何がいい?」
GM:姉妹は明るく話しながら、ゆかりとすれ違う。
GM:文はゆかりを一瞥することなく、ずっと姉を見て笑っている。
GM:あの夜の涙も何もかも、遠く忘れ去ってしまったかのように、
GM:幼い一人の姉に甘える少女として、嬉しそうに笑っている。
冬園文:「お姉ちゃんが作るごはん、みんなすき!」
冬園数:「あはは。逆に困るやつだなー、それ」
GM:二人の少女は、幸せそうに笑っていた。
GM:憂うことのない明日へ向けて、伸び伸びと歩いていた。
GM:……誰かと電話したりします?
GM:こう。かけたくなったり、します?
忽亡ゆかり:あっ、これ弟に電話していいやつですか!?
GM:いいよ?
GM:顔も出たし……やるぜ!
忽亡ゆかり:「(……どういう事だろう?)」
忽亡ゆかり:「(あの出来事をまるで……最初から、無かった事みたいに……)」
GM:本当に一瞥もしませんでしたね。ゆかりの姿を捉えていなかったはずはないのですが……
忽亡ゆかり:「…………」胸にもやもやとした気持ちが浮かぶ。
忽亡ゆかり:疑問と、不安と、なぜだろう──僅かな、苛立ちのような感情も。
GM:姉妹の会話の弾む声が遠くなっていく。
忽亡ゆかり:電話を手に取る。相手は、弟。
忽亡ゆかり:慣れた手付きで発信。

忽亡かなた:『……姉さん?』
忽亡かなた:かなたの声が、ゆかりに届く。
忽亡かなた:いつもの声。いつもの弟の声だ。
忽亡かなた:いつも変わらない、ゆかりの心を慰めてくれる、愛しい弟の声。
忽亡ゆかり:「かなた~!!」
忽亡ゆかり:思わず頬が緩む。
忽亡かなた:『うわあ』
忽亡かなた:『……本当』
忽亡かなた:『毎回それなの、飽きないよね』
忽亡かなた:『すごいと思う』
忽亡ゆかり:「へへ~」
忽亡かなた:『へへ~じゃないよ……』
忽亡かなた:とはいいつつ、少し嬉しそうな声。

夜高ミツル:は~~弟の顔がいい
糸賀大亮:めちゃくちゃ顔がいい弟
乾咲フラン:最高・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜高ミツル:こんなん過保護になっちゃうよ
乾咲フラン:俺も吸引してえなあこの弟ォ!
忽亡かなた:背徳が生えてる
糸賀大亮:塩弟かわいい
夜高ミツル:美麗派のお眼鏡に適ってしまうのか?
乾咲フラン:大丈夫だよ フランの趣味ではないはずだからよ…

忽亡ゆかり:「かなただって、姉ちゃんに会えなかったの、寂しかったでしょ?」
忽亡かなた:『…………』
忽亡かなた:『も、もうそんな歳じゃないし』
忽亡かなた:『過保護だって、言ってるじゃんか……』
忽亡かなた:ぼそぼそと。
忽亡ゆかり:「私は、かなたに会えないと寂しいけどね」
忽亡かなた:『……姉さんと話してると』
忽亡かなた:『なんか本当、いつも馬鹿らしくなってくるよ』
忽亡かなた:『直球すぎ』
忽亡ゆかり:「ふふふっ」
忽亡ゆかり:そんな弟の照れ隠しも、全てが愛しい。
忽亡かなた:『ふふふじゃなくて……』
忽亡かなた:『…………』
忽亡かなた:『……でもさ』
忽亡ゆかり:これが私の日常だ。帰るべき場所だ。
忽亡ゆかり:「うん?」
忽亡かなた:『姉さんだって気をつけろよ』
忽亡かなた:『俺のことばっか気にするけど……』
忽亡かなた:『またあの危ない仕事、やってきたんだろ』
忽亡かなた:『わかるよ』
忽亡かなた:『急に遅くなるんだから』
忽亡ゆかり:「……だって」
忽亡かなた:『…………』
忽亡ゆかり:「…………だって、今回は、高校絡みだったから……」
忽亡かなた:『…………』
忽亡かなた:ものすごい沈黙した。
忽亡かなた:してから。
忽亡かなた:『……その、ううんと』
忽亡かなた:『ええと』
忽亡かなた:『………』
忽亡かなた:『ごめん』
忽亡かなた:ぼそり、と。
忽亡かなた:黙り込んでしまう。
忽亡ゆかり:「う、ううん。私こそ……」
忽亡ゆかり:「あんまりかなたに心配かけないように、気をつけ、ます……」
忽亡ゆかり:しょんぼり
忽亡かなた:『……ん、うん』
忽亡かなた:『そうしてもらえると、俺はすごく、……』
忽亡かなた:『嬉しい』
忽亡かなた:『俺も、姉さんのこと、心配してるから……』
忽亡ゆかり:「……」
忽亡かなた:『そ、それだけ!』
忽亡かなた:『それだけだからな!』
忽亡かなた:何がそれだけなのかよくわからないが。
忽亡ゆかり:弟の優しさが、胸に刺さる。
忽亡ゆかり:でも、きっと、この仕事は止められないんだ。
忽亡かなた:『忘れないでくれよ、いいか、聞いてるか姉さん!?』
忽亡ゆかり:彼が居ないと、きっと、自分は自分では居られなくなってしまうから。
忽亡ゆかり:「……あ、そーそー!もうすぐ家に着くんだけどさ!」
忽亡かなた:『っ』
忽亡かなた:『な、なに』
忽亡ゆかり:「買い物してから帰るから……今日のごはん、何がいい?」
忽亡かなた:『ああ』
忽亡かなた:『え、えーと、そうだな』
忽亡かなた:『…………』
忽亡かなた:『……ハンバーグがいいな』
忽亡かなた:『姉さんが作る、手ごねのやつ……』
忽亡ゆかり:「そう言うと思った!」そしてそれが、自分の一番の得意料理だ。
忽亡ゆかり:得意料理というのは、自分が一番自信を持って提供できる料理。
忽亡ゆかり:それはつまり、一番食べさせたい人が、一番喜んでくれる料理のことだ。
忽亡ゆかり:「それじゃ、ちゃちゃっと買い物済ませて帰ってくるからね」
忽亡ゆかり:「あとで会おうね。愛してるよ」
忽亡かなた:『っ…………』
忽亡かなた:電話越しに、照れと絶句の気配。
忽亡かなた:何度言われても慣れない様子のリアクション。
忽亡ゆかり:弟が食べてくれる時間を思いながらハンバーグを作るのが好きだ。
忽亡ゆかり:家に帰る時間が待ち遠しい。今日もまた弟に会える。
忽亡ゆかり:弟の照れる顔も、直に見られる。
忽亡ゆかり:電話を切って、浮かれる胸を抑えながら
忽亡ゆかり:早足で、忽亡ゆかりは家路を歩く。

GM:いやーかなたくん動かせた
GM:緊張した
GM:かわいいね~~~
乾咲フラン:かわいいね~~
GM:最高の姉弟をお出しされてしまったな
糸賀大亮:これはもう……何が何でも護りたいだろうな……
忽亡ゆかり:ありがとうございました!!!!!!
忽亡ゆかり:はぁはぁ

結果フェイズ:夜高ミツル

GM:では。
GM:ミツルくん。
GM:結局本当にあのあと一週間で退院させられました。
夜高ミツル:は~い
GM:完全には治ってないんですけど、動けるだろうということで。
夜高ミツル:かなり治ってる感じ
GM:ハンター向けの闇病院なのでそれくらいのケアなんですね。まあなんとかなるだろくらいで帰される。
GM:最初はもうちょっとかかるんじゃないかと思われてたけど、傷も治りもだいぶ良かったので。
夜高ミツル:学校には行けるくらいと思っとけばいいか
夜高ミツル:いい?
GM:一週間くらい家で静養してもいいかもしれませんが、ミツルくんは行きそうですね。
GM:体育は休んでいいんじゃないかな。それくらい。
夜高ミツル:じゃあそんな感じで
GM:OK
GM:と、いうわけで。
GM:あなたには今までの生活が戻ってきました。
GM:学校に行き、授業を受け、バイトに行って、というような、
GM:普通の生活が、今までの通り戻ってくる。
GM:ただしそこに真城朔はいない。
GM:……今までも一ヶ月以上姿を見せないというようなことはありましたが。
GM:今回のそれが違うことは、さすがにあなたも理解するでしょう。
夜高ミツル:入院中、何度連絡を取ろうとしても、繋がることはなかった。
夜高ミツル:真城がいない教室にはもう慣れたものだけど。
夜高ミツル:今までのように、「まあその内戻ってくるだろ」とはもう思えない。
GM:……幸いにして、と言うべきか。
GM:あなたは二週間を狩人御用達の闇病院で過ごしました。
GM:また、ハンターとの縁も得ている。
GM:その気になれば、真城朔を探すことは、不可能ではないかもしれない。
夜高ミツル:首筋を撫でる。そこにはまだあの日の傷が残っている。
夜高ミツル:……このまま真城を忘れて日常に戻ることなんてできない。
夜高ミツル:5年前、家族を吸血鬼に殺された時は。
夜高ミツル:すべて忘れようとした。記憶に蓋をして、夢だったんだと。
夜高ミツル:今度は。
夜高ミツル:そうしたくはない。
GM:それは、
GM:せっかく戻ってきた、今までの生活を、捨てることになる選択だ。
夜高ミツル:それでも。
GM:狩人の活動は夜。成り行きで参加した初めての狩りで、ひどい怪我もした。
GM:学校もバイトも、今までの通りには行くことができなくなる。
GM:それでも?
夜高ミツル:今まで通りの生活なんて、5年前にとっくに壊れている。
夜高ミツル:ならばせめて。
夜高ミツル:自分自身の納得の行く選択をしたい。
夜高ミツル:……真城を、探さなければ。

忽亡ゆかり:少年……きちまうのか……せっかく日常に戻れたのに……
忽亡ゆかり:やめときなって……いいことないよ……
忽亡ゆかり:誰かに任せればいいじゃない…………なんで…………?
GM:かっこいいなあ~~
乾咲フラン:エーンかっこいい
糸賀大亮:かっこいいなあ~
糸賀大亮:でもいいことないよ(ここで例示される大亮)
乾咲フラン:探した結果が良いこととは限らないのにな……

GM:闇病院にはハンターや、繋がりを持つ者が多く出入りする。
GM:また、初めての狩りで親交を持った者を頼ることも、できたかもしれない。
GM:真城朔の情報は、存外あっさりと手に入った。
GM:彼はまだ、この街で活動している。
GM:ハンターとして、モンスターを狩り続けている。
GM:であれば。
GM:ハンターが狩りに赴く夜であれば、
GM:その姿を捉えられるかもしれない。
夜高ミツル:「……真城」
夜高ミツル:そこに道があるなら。可能性があるなら。
夜高ミツル:目を瞑ることはできない。
GM:あなたは夜の街をゆく。
GM:狩人の活動しそうな場所を、聞きかじりの手がかりと勘に従って練り歩く。
GM:――成果が実ったのは、
GM:満月の夜だった。

GM:繁華街の路地裏。
真城朔:吸血鬼と相対する、真城朔の姿を見る。
夜高ミツル:「――真城!」
真城朔:蝙蝠のような翼で空を飛ぶその吸血鬼を相手に、
真城朔:真城はビルの壁を駆け上がって追い縋る。
夜高ミツル:バイトが終わってから夜の街を探し続けて、何日経っただろうか。
真城朔:滞空中に振るわれる爪も手に握った杭で弾いて、
夜高ミツル:真城は本当に狩りを続けていた。たった一人で。
真城朔:翼もないのにパイプや排気口を足掛かりに、空を翔る。
真城朔:空中で肉薄した真城の肩口を、吸血鬼の血牙が裂く。
夜高ミツル:手の出しようもなく、地上からただその闘いを眺めている。
真城朔:真城は構わない。
真城朔:手袋をした掌でその首をとらえると、
真城朔:体重を乗せ、落下の勢いのままに吸血鬼を地へと引き摺り落とす。
真城朔:アスファルトの道路を突き破って出でた血の槍が吸血鬼の全身を貫いて、
真城朔:血が高く噴き上がる。
真城朔:その返り血を全身に浴びながら、真城は動かなくなった吸血鬼を見据えていた。
夜高ミツル:その人間離れした動きを見て、改めて彼が自分とは違うのだということを思い知らされる。
夜高ミツル:「――真、城」
真城朔:全身を血で濡らした真城の姿は、あの夜の彼とよく似ている。
真城朔:声に気付いたのかどうか。
真城朔:ふと振り返って、その姿を認めて、

真城朔:「……あ」
真城朔:「ミツだ」
真城朔:「…………」
真城朔:「……えっ」
真城朔:「ミツ?」
夜高ミツル:「……そうだよ」
真城朔:ほころぶような笑顔は一瞬で、
真城朔:その表情がすぐに凍りつく。
真城朔:一歩、その場から下がった。
夜高ミツル:「……待てよ」
夜高ミツル:「またどっか行くのか?」
真城朔:「……どっか、も、何も」
真城朔:「お前、なんで」
夜高ミツル:下がられた分、一歩、真城に近づく。
夜高ミツル:「……言っただろ」
真城朔:恐れるように、また一歩下がる。
夜高ミツル:「俺はお前の説明じゃないと納得しないって」
夜高ミツル:逃げるな、というようにまた一歩距離を詰める。
真城朔:爛々と光る金色の瞳が、惑いに揺れる。
真城朔:踵が血で濡れたアスファルトと擦れる。
夜高ミツル:「……あ~、ていうかその前に、怪我したろさっき。大丈夫か?」
真城朔:「……別に、こんくらい」
真城朔:「いつものこと、で、…………」
真城朔:「……だから」
真城朔:「俺はこっちが、普通なんだよ」
夜高ミツル:「普通って……」
夜高ミツル:「でも痛いだろ」
真城朔:「…………」
真城朔:言葉が出ないまま黙り込んでいる。
夜高ミツル:「見てるこっちも痛い」
真城朔:「……んなこと言われても……」
真城朔:「なら」
真城朔:「見なきゃいいだけ、で」
真城朔:「だから、帰れよ」
真城朔:「……お前、こんなとこいるヤツじゃないだろ」
夜高ミツル:「今更帰れるか! 何日探したと思ってんだ」
真城朔:「……っ」
真城朔:手袋に包まれた拳がぎゅ、と握られる。
夜高ミツル:「……お前、なんで一人で闘うんだ?」
夜高ミツル:「ハンターは群れるのが普通って聞いたぞ」
真城朔:「……普通じゃないからだよ」
真城朔:「普通じゃない」
真城朔:「お前だって、見たし、分かってるだろ」
真城朔:あの夜の姿を。
真城朔:ミツルの血を啜ったのも、
夜高ミツル:「……」
真城朔:ああしてグラジオラスを、食らったのも。
夜高ミツル:「……でも」
真城朔:「必要とあらば群れっけど」
真城朔:血槍に貫かれたままの吸血鬼の腕を軽く蹴り飛ばし、
真城朔:「……こんぐらいの雑魚は、一人で十分」
真城朔:「やれるからやってんだよ。お前とは違う」
真城朔:「お前とは、違うんだ」
真城朔:「ミツ」
夜高ミツル:「そうかよ」
夜高ミツル:「でも違っても、お前は俺のクラスメイトで」
夜高ミツル:「俺は今も……友だちだと思ってる」
夜高ミツル:「学校、来いよ」
真城朔:「…………」
真城朔:「……じゃあ」
真城朔:「その勘違いは、早く直せ」
夜高ミツル:「……っ!」
真城朔:首を振る。
真城朔:「……そもそも高校なんざ行ってたのがおかしいんだよ」
真城朔:「いつ辞めても良かったんだ、俺は」
夜高ミツル:「じゃあなんで来てたんだよ」
真城朔:「……表の身分とか」
夜高ミツル:「辞めるタイミングなんていくらでもあっただろ」
真城朔:「……あった方が」
真城朔:いいと思って、と、掠れ声が、
夜高ミツル:「それだけか?」
真城朔:言い訳めいて弱々しく消える。
真城朔:「…………」
真城朔:「…………どっちに、しろ」
真城朔:「友だちじゃあ、ないだろ」
真城朔:「もう」
夜高ミツル:「そんなことない」
真城朔:視線が彷徨う。
真城朔:唇を噛み締めて、俯く。
真城朔:長い逡巡に、言葉を見つけられないでいる。
夜高ミツル:「……つーか、別にいいだろ。そこは否定しなくて」
夜高ミツル:「学校来いとか言われんの嫌なら言わねーし」
真城朔:「駄目だろ」
真城朔:「……駄目だ」
真城朔:駄目なんだ、と繰り返しながら、また下がった。
真城朔:「……俺とお前が友だちとか」
真城朔:「そんなのは」
夜高ミツル:「何がダメなんだよ」
真城朔:「…………」
真城朔:「……だって」
真城朔:「お前の家族は、俺のせいで死んだ」
夜高ミツル:「……!」
真城朔:肩の傷なんて一切気にしていなかったはずなのに、
真城朔:その言葉を吐き出す瞬間ばかりは、痛みを堪えるように眉を寄せていた。
夜高ミツル:真城が5年前の事件に関係あることは、気づいていた。
夜高ミツル:あの事件の日、彼の姿を見たことを覚えている。
夜高ミツル:それでも、真城の口から直接それを聞くと。
真城朔:「あの人」
真城朔:「……あの吸血鬼、は」
真城朔:「俺の母親なんだよ」
真城朔:「お前の家族を殺したのは、そうで」
夜高ミツル:「……」
真城朔:また、下がる。粘ついた血の音を立てながら。
真城朔:「…………俺は」
真城朔:「最初からそれを、知ってた」
真城朔:ミツルの顔を見ていられずに、ずっと下をばかり向いている。
夜高ミツル:「……それ、でも」
夜高ミツル:言葉を絞り出す。
夜高ミツル:「……それは、お前のせいじゃ、ないだろ」
真城朔:「違わない」
真城朔:「あの人は俺のせいで吸血鬼になった」
真城朔:「……俺が、こうだから、…………」
真城朔:覗く瞳の、人間では有り得ない金色の瞳が、
真城朔:夜にはひどく眩しくて。
真城朔:まるで満月のように輝いている。
真城朔:あの夜の吸血鬼ともグラジオラスとも、同じ色で。
夜高ミツル:「……じゃあ」
夜高ミツル:「なんで今まで俺といたんだ」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「最初から知ってたなら」
夜高ミツル:「……近づかなきゃ、よかった話で」
真城朔:「…………」
真城朔:ちいさく、か細く、息を吐く。
真城朔:「……同情」
真城朔:「だよ」
夜高ミツル:「……っ!!」
真城朔:「お前のこと全部分かってて」
真城朔:「お前がそうだって、知ってて、だから」
真城朔:「そりゃあ寂しかろうなって、俺は分かったからな!」
真城朔:「かわいそうなミツルくんと一緒にいてやったのは、そういう理由!」
夜高ミツル:「っ、ああ、そうかよ!」
真城朔:「そういう理由、だから」
夜高ミツル:「じゃあ」
真城朔:「……っ」
夜高ミツル:「家族を殺されて、友だちが吸血鬼になって」
夜高ミツル:「今度はまた一人友だちがいなくなろうとしてるのは」
夜高ミツル:「寂しいだろうなって思わねえの!?」
真城朔:「…………」
真城朔:唇を噛む。

乾咲フラン:suki......
忽亡ゆかり:自分の理論に自分で納得できてないから全部論破されちゃうのすき
糸賀大亮:苦し紛れに突き放そうとしたらふつうに論破されているの好き
忽亡ゆかり:今日の真城くんは弱いぞ~弱いな~~~
水面@見学:ましろくんかわいいね
真城朔:大人の視線があったけぇよ
糸賀大亮:男子高校生が会話しているから……
乾咲フラン:男子高校生なんだよなあ…………

夜高ミツル:「……俺友だち少ないんだよ」
夜高ミツル:「真城も知ってるだろ」
真城朔:「……友だちじゃないやつを」
真城朔:「友だちって呼ぶのは、無理、あるだろ」
夜高ミツル:「ない」
真城朔:「ある」
夜高ミツル:「……家族のこと」
夜高ミツル:「そりゃ、関係ないとは言えねーよ」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「でも、だからって、いなくならなくていいだろ」
真城朔:「……駄目だ」
真城朔:同じことをばかり繰り返す。
真城朔:縋るように自らの袖を握り締めて、
夜高ミツル:「……じゃあ」
真城朔:「……駄目に決まってる」
真城朔:「その資格も、価値も」
真城朔:「俺には、ないのに」
夜高ミツル:「お前がそう言うなら、俺も引かない」
夜高ミツル:「今日いなくなっても、明日も探す」
真城朔:「……やめろ」
夜高ミツル:「その先も」
真城朔:「やめろよ!」
真城朔:一歩、怒鳴りながらミツルへと踏み出そうとして、
真城朔:この期に及んで、躊躇う。
夜高ミツル:「……やめない」
真城朔:「分かってんだろ! 夜は危ない、っていうか」
真城朔:「吸血鬼」
真城朔:「一回絡んだら、またそういうの引っ掛けやすくなって」
真城朔:「モノビーストだって下手したらもう見えて」
真城朔:「だから、そういうの、もう全部やめて」
真城朔:「お前は今までの日常で」
夜高ミツル:「……今更、だろ」
真城朔:「それが、一番、…………っ」
夜高ミツル:「今更だ」
真城朔:「……」
真城朔:「……嫌だ」
真城朔:首を振る。
真城朔:「いいから、頼むから」
真城朔:「戻ってくれよ」
真城朔:「お前は、……お前、もっと、普通に生きられるだろ」
真城朔:「こんなとこいなくていいんだよ」
真城朔:「似合わねえよ」
夜高ミツル:「……もう、戻るとか無理だろ」
真城朔:「無理じゃない」
真城朔:「お前がそうしようとしてないだけだ」
真城朔:「無理なわけがない」
真城朔:「ハンターだって、満足したらやめる奴はいる」
真城朔:「お前はハンターですらないんだぞ」
夜高ミツル:「お前が学校に戻ってくるなら」
夜高ミツル:「やめるけど」
真城朔:「……だから!」
真城朔:「その、俺にこだわるのを」
真城朔:「やめろって言ってんだよ!」
夜高ミツル:「……っ、やめれるわけあるか!」
夜高ミツル:「友だちで、命を助けてくれて、一人でどっかで闘ってるやつを」
夜高ミツル:「放っておくのなんて、俺は……」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:一歩、踏み出す。
夜高ミツル:「そんなの、俺は嫌だ」
真城朔:下がる。
真城朔:「…………」

水面@見学:ヒロイン……
乾咲フラン:高校生の痴話喧嘩最高だぜ
水面@見学:完全に痴話げんか
真城朔:助けてくれ
糸賀大亮:真城くん……
忽亡ゆかり:お互い譲れないから議論交わしても平行線になっちゃう かわいいねえ

真城朔:「……っ」
真城朔:「……ったんだよ」
夜高ミツル:「?」
真城朔:「……あ、のとき」
真城朔:震える声で自らの服を握り締める。
真城朔:背を丸めて、視線を落として、
真城朔:ひくりと肩を震わせながら、
夜高ミツル:足を止めて、真城の言葉の続きを待つ。
真城朔:「……イったんだよ」
真城朔:凍えた声で、そうこぼす。
夜高ミツル:「…………は?」

水面@見学:あらあらあらあら
糸賀大亮:おやおやおや
乾咲フラン:おや?おやおやおや~?
水面@見学:あらあらあら~

真城朔:「だから!!」
真城朔:「あのとき、あの野郎、グラジオラス、あいつ――」
夜高ミツル:あまりにも場にそぐわない言葉に耳を疑った。
真城朔:「有り得ねえマジで有り得ねえ、あいつその気なかった、そんな気一個もなくて」
真城朔:「そりゃそうだよなあ! 好きな女の子守るために吸血鬼になるようなやつが!」
真城朔:「俺みてーなのに興味持つわけねえよなあ、分かりきってんだよ、クソ!!」
真城朔:逆上気味に叫び散らして、また下がる。
真城朔:「お前が」
真城朔:「お前があのとき、俺のこと心配して、逃げろって何回も叫んで!」
真城朔:「命もかかっててマジでヤバくて!」
夜高ミツル:「……」
真城朔:「そういう――そういう瞬間に俺は一人で勝手に、……ッ」
真城朔:「だから」
真城朔:「だから俺は、そういう、終わってるヤツなの!!」
真城朔:「お前の友だちやる価値も資格もないの!」
真城朔:「お前が心砕く意味も一個もないクソ野郎の変態なの!!」
夜高ミツル:「……でも……、」
真城朔:「でもも何もないだろ!!!」
真城朔:ほとんど逆切れの勢いで叫んで、俯く。
夜高ミツル:あまりにも、ある意味家族についてのそれよりも衝撃的な告白。
真城朔:肩で息をしている。

水面@見学:NTR告白
忽亡ゆかり:ミツル君は知識を得た
糸賀大亮:ここに来て真城くんがいちばんめちゃくちゃになっている
乾咲フラン:PC1どうしてNTRが発生しまくるのですか?
真城朔:一因 一因
乾咲フラン:おかしいね
糸賀大亮:このままではミツルくんが目覚めてしまう(目覚めない)

真城朔:「……いいから」
真城朔:「いいから、帰ってくれよ……」
真城朔:「……俺のこととか忘れろよ」
真城朔:「お前、いいやつだよ」
真城朔:「友だちだって、いくらでも作れるだろ」
真城朔:「……その席を」
真城朔:「今まで俺が、独占してただけで」
夜高ミツル:「……いや、無理、だろ」 今の忘れられるか?
真城朔:「無理とか言わないでやれ!」
夜高ミツル:「……お前だってさっき無理とか言ってただろ」
真城朔:「…………」
真城朔:黙り込む。
夜高ミツル:「……忘れるとか、俺は、そういうのはもう嫌なんだ」
真城朔:「……いやだ」
夜高ミツル:「この間まで、俺は家族が吸血鬼に殺されたなんて忘れてた。思い出さないようにしてた」
真城朔:震える声で、うわ言のように呟く。
夜高ミツル:「……それは、俺が傷つきたくなかったからだ」
真城朔:「いやだ……」
真城朔:顔を手で覆って、俯く。
夜高ミツル:「一番痛かったのも、苦しかったのも、怖かったのも、家族の皆なのに」
真城朔:「やめてくれ」
夜高ミツル:「……だから、もう嫌だ。俺が傷つきたくないからって理由で何かを諦めるのは、嫌だ」
真城朔:かたかたと震えて、動けずにいる。
夜高ミツル:一歩、また一歩と。真城に歩み寄る。
真城朔:俯いたまま、その顔を見られないでいる。
真城朔:逃げることももうできないで。
夜高ミツル:「……真城」
真城朔:「っ」
夜高ミツル:手を伸ばせば、触れられる距離。
真城朔:手を伸ばすことも、できないでいる。

水面@見学:もう結婚すればいいのに……
乾咲フラン:今きぶりジジイになってます

夜高ミツル:「俺、多分……ていうか絶対、お前の事情とか全然わかってない」
夜高ミツル:「だからさ、学校とか……まぁ無理に来いとは言わないよ」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「狩りも……お前が怪我するのとか心配だけど、それもお前がやりたいことなら別に止めたいわけじゃない」
夜高ミツル:「でも、まあ、なんつーかさ」
真城朔:顔を上げない。上げないけれど、逃げもしない。
夜高ミツル:「連絡くらいは取らせろよな……結構心配してたんだぞ」
夜高ミツル:「あんな風に逃げるからさ、見られてまずかったのか?って。追われたりしてんじゃねーのって」
真城朔:「……だ、って」
真城朔:「取ったら」
真城朔:「…………あ、いたく」
夜高ミツル:「だったら会いにきたらいいだろーが!」
真城朔:「…………っ」

乾咲フラン:抱けぇーーーっ
水面@見学:あらあらあら~~
糸賀大亮:あらあらあらあら
水面@見学:結構素直なましろくんかわいいね
水面@見学:ヒロイン

夜高ミツル:ため息をついて。
夜高ミツル:「悩んだけどさ~……やっぱこれ渡しとくわ」
夜高ミツル:そう言ってポケットを漁り、何かを真城に差し出す。
真城朔:真城は手を出さない。
真城朔:両手で顔を覆ったまま動けずにいる。
夜高ミツル:その手を取って、無理やり握らせる。
夜高ミツル:「合鍵。使わなくてもいいから持ってろ」
真城朔:それには逆らえず、されるがままに握り締めて。
夜高ミツル:「俺が学校とかバイトとか行ってる時に勝手に入ってきてもいい」
夜高ミツル:「休める場所とか、あるに越したことねーだろ。多分」

水面@見学:鍵
水面@見学:鍵……
水面@見学:鍵
水面@見学:鍵だと勝手に捨てたりするわけにはいかないですね~~
乾咲フラン:セックスしろって俺の中のオークが泣き始めた
糸賀大亮:ここで言った

真城朔:「…………」
真城朔:長い沈黙ののちに。
真城朔:「……でも、俺」
真城朔:「お前を巻き込みたくないんだよ……」
夜高ミツル:「だから、もうそんなんも今更なんだって」
真城朔:「俺のまわりにいると危ないんだって」
夜高ミツル:「十分巻き込まれてるだろ。もう」
真城朔:「いつまた、ああいう戦いに巻き込まれるか分かったもんじゃないんだぞ」
真城朔:「怪我するし」
真城朔:「大切なものとか、壊されて、めちゃくちゃになって」
真城朔:「バイトとか学校とかそれどころじゃなくて」
夜高ミツル:「でも、何もしなくたって巻き込まれる時はそうなるだろ」
夜高ミツル:5年前がそうだったように。
真城朔:「……っていうか、だって」
真城朔:「…………」
真城朔:「……お前、弱いし……」
夜高ミツル:「……弱い、のは、反論できねーけど……」
真城朔:「狩人なら近くに置けるけど、一般人は無理だよ」
真城朔:「生きた心地しない」
真城朔:「……俺だって、また、…………」
真城朔:ああなるかもわからない、と小さな声で。
夜高ミツル:「じゃあ、俺もなる」
夜高ミツル:「狩人」
真城朔:「は」
真城朔:ようやっと顔をあげた。
真城朔:ミツルの顔を見て、金色の目をしばたく。
夜高ミツル:「言っとくけど、別にお前のことだけが理由じゃないからな」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「……ずっと考えてたんだよ。俺はどうしたらいいか」
夜高ミツル:「どうしたらいいか。全部忘れて、見なかったことにするのか」
夜高ミツル:「……で、さっきも言ったろ。そういうのもう嫌だから」
真城朔:唇を噛んで、ミツルの言葉を聞いている。
夜高ミツル:「あの日俺を助けてくれた人たちだって、多分これからも戦うんだろうし」
真城朔:握られた手を、握らされたものを振りほどけないまま。
夜高ミツル:「そうしないと……傷ついたり、殺されたりする人たちが、いる」
夜高ミツル:自分の家族のように。そして、学校でミツルの目の前で殺された少年のように。
夜高ミツル:「……知ったからには、もう無視できない」
夜高ミツル:「……だから! 俺はもう決めたから。なるって」
真城朔:「……お前」
真城朔:「…………」
真城朔:「……本気、か?」
夜高ミツル:「……じゃなかったら、お前のことだって探してない」
真城朔:彷徨った視線が落ちると、握られた手に辿り着く。
真城朔:「また怪我してもいいのか」
夜高ミツル:「……ああ」
真城朔:「……死ぬ、かもしれないんだぞ」
真城朔:「今度こそ」
夜高ミツル:「……そうだな」
真城朔:「…………っ」
真城朔:言っておいて、怯えたように息を呑む。
夜高ミツル:「……それでもだ。それでも」
夜高ミツル:「普通の生活に戻って、また吸血鬼に襲われない保証なんかないし」
夜高ミツル:「戦う力もなくて、怯えて暮らすのだって嫌だよ」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「真城は強いんだろ」
夜高ミツル:「教えてくれよ。戦い方」
真城朔:「…………」
真城朔:「……一個だけ、約束しろ」
夜高ミツル:「何だよ」
真城朔:「俺を庇ったりとかは絶対するな」
夜高ミツル:「…………」沈黙。
真城朔:「俺は結構頑丈だから、基本的に無駄になる」
夜高ミツル:「まぁ、そう……か」
真城朔:「俺が死なない攻撃庇ってお前だけ死ぬのとか、馬鹿だろ」
真城朔:「あと、だから」
真城朔:「……死ぬな。絶対に」
夜高ミツル:「……ああ」
真城朔:「自分の命守ることを、最優先にしろ」
真城朔:「それと」
夜高ミツル:「一つじゃないのか?」
真城朔:「……………」
夜高ミツル:「あ、いや、悪い……」
夜高ミツル:ついいつものノリで余計な茶々を入れてしまった。
真城朔:「……じゃあ、これは」
真城朔:「約束じゃなくて、お願い」
真城朔:「…………」
真城朔:長い沈黙の後に。
真城朔:「……いざという時は」
真城朔:「お前が、俺を、殺してくれ」
夜高ミツル:「…………っ、」
真城朔:「頼む」
真城朔:か細い声で、続ける。
夜高ミツル:俺が、真城を。殺す。
真城朔:「大切な人を殺すのは、もう」
真城朔:「嫌なんだよ……」
夜高ミツル:「…………」長い逡巡のあと。
夜高ミツル:「……その約束があれば」
夜高ミツル:「お前は、安心できるのか?」
真城朔:小さく頷く。
夜高ミツル:「…………」
夜高ミツル:「…………わかった」
夜高ミツル:「……努力は、する」
真城朔:「…………」
真城朔:「ありがとう」
真城朔:「……ごめんな、ミツ」
夜高ミツル:「……いや、」
夜高ミツル:「大丈夫」
真城朔:ようやくの笑顔は、
夜高ミツル:何に対しての謝罪だろうと思ったけど、なんであれ。
真城朔:ミツルを見つけた瞬間と同じものだった。
真城朔:気の抜けたような素の笑顔に、満月のような瞳を輝かせて。
夜高ミツル:「……あ、そうだ!」
GM:それよりなお輝く満月が、天に高く。
夜高ミツル:「お前、金! 病院の!」
夜高ミツル:「あれお前だろ!」
真城朔:「え?」
真城朔:「ああ」
夜高ミツル:「俺の! 入院費とか!」
真城朔:「あれくらいはまあ、色々収入源あるし……」
GM:だとかなんとか。
GM:気の抜けた会話を交わす彼らの背中を見守り、月は落ちていく。
GM:夜に高く輝く満月がすべてを見届けて、
GM:狩人と、狩人になることを決めた少年の、
GM:最初の夜明けが、やがて来る。

ブラッドムーン「あなたへの花」
1話「愛は不可侵」おしまい

――2話「魔女の生まれる日」に続く