結果フェイズ
GM
迷ノ宮家に迎えに行って帰りとかにする?>叶恵ちゃん
GM
ではそんな感じで、礼子ちゃんともお別れして、二人で。
結果フェイズ:赤木叶恵
赤木 叶恵
家出中だから帰宅しちゃうと超ややこしくならない?
GM
でもそこも書き換わるとバグるんだよな 冷静に考えると
赤木 叶恵
おねえちゃんは家にいたのに謎の理由で家出したカナエになる
赤木 叶恵
必要最低限の家具だけが置かれており、ゴミ袋が散乱していますが、キッチンは使用していないのでぴかぴかです
赤木恵夢
ナチュラルローソンとか100均ローソンとかハシゴして食材と調理器具を買って帰りました!
安武 陸
家出してたことになってるの面白い めちゃ家出しそう
赤木恵夢
しらないうちになんかそうなってたみたい……
赤木恵夢
母親と一緒にカナちゃんを心配するラインのやり取りが残ってる
赤木恵夢
いつの間にか家出していたことになっていた、いつの間にかの妹の引越し先に足を踏み入れるが。
赤木 叶恵
実際、少し驚いている。自分の部屋の状態を客観視する余裕などなかった。
赤木恵夢
はっ、と気を取り直して、諦めて素通りします。
赤木恵夢
なんか、これから起こることに関して、ふんわりと説明を受けました。受けましたね?
赤木 叶恵
しました。過去に戻って吸血鬼……じゃなかった、魔女を何とかするぞ。
赤木恵夢
とりあえずざっくりと受けました。時間がないのでざっくりと。
赤木恵夢
なので、この部屋を使える時間もそう長くはありません。
赤木恵夢
とりあえずキッチンにビニール袋をがさがさと置く。
赤木恵夢
エプロンはないので、上着を脱いで袖をまくって。
赤木恵夢
「おねえちゃん、間に合うように作るからね!」
赤木恵夢
買ってきた食材はじゃがいも、にんじん、キャベツ、ソーセージ、コンソメ、塩コショウ。
赤木恵夢
大きめの鍋。まな板。皮むき器。包丁。それとタッパー。
赤木恵夢
一口コンロでIHだ……最近のおうちはそりゃそうだよね……
赤木 叶恵
いつも見た風景……ではない。姉が立っていた調理場は、こんなに狭くも暗くもなかった。
赤木恵夢
っていうかシンクが凄まじい狭さですごい……ここにまな板わたせちゃう……
赤木 叶恵
実家のキッチンは自室と離れていたし、姉の料理の一部始終を見る事などなかった。見ようとも思わなかった。
赤木恵夢
じゃがいもの芽をとる。ピーラーで皮を剥いて四等分、水にくぐらせてからタッパーに詰める。
赤木 叶恵
けれど今は小さなローテーブルと座椅子から視線が通る。窓を背に向けて、姉を視界に納めながら、腰を落ち着けて待った。
赤木恵夢
しているうちににんじんも皮を剥いて乱切りして、キャベツは大振りにざくざくに切って、これは全部鍋に詰めちゃって。
赤木恵夢
レンチンが済んだじゃがいもとソーセージも入れて、コンソメ入れて水を張って、蓋をしてコンロにかける。
赤木 叶恵
……この時間に、どれだけ飢えていた事か。
赤木恵夢
流石にこれくらいの作業は極めて手際がよくぱぱっとできちゃう。
赤木恵夢
恵夢と叶恵の間には、埋められない認識の差がある。
赤木恵夢
自分がこうして生きている風景に、叶恵がどれほど飢えていたか。
赤木恵夢
今ここにいる恵夢の認識はあの夜の続きで、時間がちょっとばかし飛んでしまっていて、なんだか不思議なこともいっぱい起きていて、分からないことだらけだ。
赤木恵夢
「結構簡単だよ、おねえちゃんがよく作るやつは」
赤木恵夢
叶恵の隣に戻りながら。ゴミ袋はえいやえいやと隅によけて。
赤木 叶恵
そういえば、バイトと掛け持ちだし、忙しいし。
赤木 叶恵
料理にどんな手間がかかるのか、とか。あまり考えたこともなかった。
赤木 叶恵
「続けるの、そういえば大変だよなって思った」
赤木恵夢
「だから、全部嫌になっちゃわないように」
赤木恵夢
「こだわりすぎないでほどほどにしようって、最初から決めてたんだ」
赤木恵夢
「だから、カナちゃんもやってみれば意外と簡単だと思うよ」
赤木恵夢
「今やってたようなのならなんかできそうじゃない?」
赤木 叶恵
「絶対指切るし、キッチン燃えるし、黒い塊ができあがる」
赤木恵夢
「おねえちゃんがカナちゃんのごはん、作るからね」
赤木恵夢
「一気に頭に詰め込まれちゃったから……」
赤木恵夢
「純朴な真理を再確認しているところなのです」
赤木恵夢
恵夢視点ではワンダー・トリップ・ラヴァーの件があった直後のこれです。
赤木恵夢
「お母さんが心配してたのも、たぶんなくなる」
赤木 叶恵
「おねえちゃんが居なくなって、ものすごく弱ってて」
赤木 叶恵
「あたしに縋り付くみたいにして、行かないでって……」
赤木恵夢
叶恵の話に改めて染み入るものを感じたのか、改めて自省しているのか……
赤木 叶恵
一人分しかない座椅子には自分が座ってます
赤木恵夢
「その大変が終わって、色々落ち着いて、って頃でいいから……」
赤木 叶恵
「おかあさん、何したら喜んでくれるかな」
赤木恵夢
「そこから……考えていくという感じで……」
赤木恵夢
「ちょっと味しみ足りないかもだけど、たぶん……」
赤木恵夢
ひっくり返したり……小皿で味見したり……
赤木恵夢
というわけで、買ってきたプラ皿に盛っていきます。
赤木恵夢
恵夢がよく作っていた、春には少しぽかぽかすぎるかもしれないメニュー。
赤木 叶恵
パックに入った白米を、テーブルへと運び。
赤木恵夢
ごはんもプラ皿に盛っちゃいます。なんか微妙にキャンプめいた風景。
赤木恵夢
ポトフは少し味が濃い。正確に言うと、味の染みが足りないだろうぶんを塩気強めで補っている。
赤木恵夢
ので、具材と汁とを合わせてまあちょうどいい塩梅かな? と言った感じ。
赤木恵夢
それでも加熱は十分で、割り箸でじゃがいもを割ると湯気が立つ。じゃがいもはレンチンで火を通したし……
赤木恵夢
というのを、もそもそ食べつつちらちら叶恵を見ている。
安武 陸
叶恵ちゃん接触者だから、食べることに意味あっていいな
赤木恵夢
ソーセージを折ると、中からぶつりと肉汁が溢れ出す。
赤木恵夢
抑えられていた感情が溢れるさまと、よく似ている。
赤木恵夢
ポトフを食べる叶恵の様子をにこにこと見ている。
赤木 叶恵
大きく頬張って。飲み込んで、次の一口。また一口。
赤木 叶恵
「お姉ちゃんも、どこにも行かないでね」
赤木 叶恵
「海野は脈ナシだから、あんな男諦めてね」
安武 陸
義理立てしてるだけだから崩し方によってはわかんないぞ
GM
叶恵ちゃんは崩してほしくないだろうからな……
赤木恵夢
「おねえちゃん、カナちゃんが一番だから」
赤木 叶恵
「……狩人の恋人は、認めませんからね」
GM
*赤木叶恵の幸福『背徳:赤木恵夢』が破壊されているので、修復判定です。
リンク部位は人脈から。
赤木 叶恵
2D6>=7 (判定:跳ぶ) (2D6>=7) > 8[3,5] > 8 > 成功
赤木 叶恵
つぎはぜったいまもるぞ スーパーかなえになりました
GM
*赤木叶恵の幸福『背徳:赤木恵夢』は修復されました。
GM
魔女に願って取り戻した、大事で大好きなお姉ちゃん。
GM
他の人に取られるのはイヤだ! と思いつつ、そうなる可能性は認めつつ……
GM
まあでもしばらくはまだ、イヤだ! をやっていっちゃうのも仕方ないかもしれないですね。
GM
なにせ、再び家族みんなで暮らせる未来が見えたのですから。
結果フェイズ:迷ノ宮光葉
GM
*迷ノ宮光葉の幸福『背徳:迷ノ宮御影』が破壊されています。
人脈より修復判定をどうぞ。
迷ノ宮 光葉
2D6>=8 (判定:逃げる) (2D6>=8) > 9[4,5] > 9 > 成功
GM
では、あなたの幸福『背徳:迷ノ宮御影』は修復されました。
GM
その上でただ彼のためだけにではなく生きる在り方を知った。
GM
では、迷ノ宮邸に戻り、赤木姉妹と礼子とを見送ったあと。
GM
御影はどうしようかな。私室のベッドにでも横たえられますか?
迷ノ宮 光葉
そうですね、立っているのも座っているのも大変そうだと思うので。兄の部屋のベッドに寝かせましょう。
迷ノ宮御影
「……どちらにせよ、巻き戻る運命の先にはついていけない身だ」
迷ノ宮 光葉
「でも、こうして会話ができる時間が残ったのは……本当に幸いでした。少しの間でも、お兄様のお世話が出来るなら、嬉しいのです」
迷ノ宮御影
「伝えたいことがあるのなら、迷わず伝えてしまった方がいい」
迷ノ宮御影
「お前は昔から周囲の顔色を覗いすぎるきらいがある」
迷ノ宮 光葉
「…………」兄のそばに、膝をついて。
迷ノ宮御影
「それは美点でもあるが、改善を試みてもいい」
迷ノ宮御影
そのように語りつつ、膝をついた光葉の顔を見返す。
迷ノ宮 光葉
まだ春先、寒くはないかと自分の体温で温めながら。少し迷うような、ためらうような気配。
迷ノ宮御影
これ以上ないほどに穏やかな兄の声が、あなたの名のかたちをなぞる。
迷ノ宮 光葉
意を決して、息を吸って吐いて、そっと、兄に告げる。
迷ノ宮 光葉
「この先、光葉はお兄様と相対します。お兄様のお心を知った今、それは何も怖くありません。ただ───」
迷ノ宮 光葉
「…………語彙が時代劇のそれ。ふしだらな女、と思われても、構いません」
迷ノ宮 光葉
「お兄様の証を、刻んでほしいのです」
迷ノ宮御影
俯いた。握られていない方の手で額を押さえる。
迷ノ宮 光葉
「…………」いい終えてから、後悔した。馬鹿なお願いをしたものだと、小さくなっていくような気がする。
迷ノ宮御影
永遠のようにも感じられるそのしじまの後に、
迷ノ宮御影
「……お前を未婚の母にするつもりはない」
迷ノ宮御影
「そこまで含めてがお前の望みであれば、叶えてやるのは難しいが」
安武 陸
いや……生でやれとはゆうとらんやんとなって
迷ノ宮 光葉
「……馬鹿なわがままを言ってしまいました……。今の、言葉は、お忘れください……」
迷ノ宮 光葉
覆いかぶさるように自身の影と兄の影が交わる。あまりうるおいのない、兄の唇が自身の唇と触れた。
迷ノ宮御影
重たげな動きで、だがあなたよりよほど逞しい兄の身体に覆い被さられる。
迷ノ宮 光葉
「おにい、さま……」ためらいと、しかし喜びの色があるつぶやき。
迷ノ宮御影
唇に張りついた長い髪をよけてやりながら、再びに顔を近づける。
迷ノ宮 光葉
「っ…………」静かな嗚咽の気配。女の瞳から一筋涙が溢れた。
迷ノ宮御影
硬い掌は頬から首筋を撫ぜて胸元に至る。
迷ノ宮御影
囁かれた声に込められた情感が、あなたを囚えて放さなかった。
迷ノ宮 光葉
そっと今まで秘められた感情を暴かれるように、男の腕の中で女の息が潜められる。
結果フェイズ:敷村修也
GM
それでもこれから戻る冬の真っ只中に比べたら相当に暖かいだろうが。
GM
残念ながら、それを暖かい、と感じられる心境ではないのは確かだ。
GM
戻ってきた実家と言えば、まあ見事に修復されていた。
GM
ハロウィンの夜で焼け落ちたのがなかったかのように、ちょっと古ぼけた壁もそのままで。
敷村 修也
自分が暮らしていた、焼け落ちたはずの実家をじっと見つめる。
敷村 修也
この時間なら両親もきっと中で寝ているだろう。
燃えたことがなかったことになってるなら当然だ。
敷村 修也
帰ればおかえりと声の返ってくる自宅の敷居をまたぐつもりにはならない。
敷村 修也
ただ、なくなったはずの、そしてもう二度と見ることができないであろう、自分の家の姿を目に焼き付けておきたかった。
敷村 修也
ぱしゃり。
端末を取り出し、写真を撮る。
敷村 修也
運命変転の破棄とともに、スマホのデータも巻き戻る。どうせ消えてしまうだろうと思いながら。
敷村 修也
やがて朝に巡る街を一人歩く。
運命に抗うために旅立つ時間はそう多く残されていない。
GM
すぐ近くには、灰葉陽が暮らしていたマンション。
GM
その外観はずっと変わらない。陽が死ぬ前も。こうして陽の生きている運命に至った今も。
敷村 修也
見上げながら、そういえば今どこに住んでいるのかも聞かなかったなぁと思う。
敷村 修也
でもこの運命のなかでは高校を卒業するまではここに居て。
多分きっと、今も両親は住んでいる。
敷村 修也
再会したあの日に送られてきた、簡単なメッセージとパンケーキの写真。
敷村 修也
短いやり取りのあとメッセージを送ることもできなかった。
GM
そんな思索に耽るあなたの耳に、マンションの玄関口の開く音が聞こえた。
敷村 修也
ぽかんと口を開けているのが自分でもわかる。
敷村 修也
「そりゃそうだけどさぁ……この時期の江ノ島になにしに行くの」
灰葉陽
「この時期のも何も見るとこいっぱいあるでしょ!」
灰葉陽
「ご飯食べたりとか、ぶらついたりとか、水族館とか」
敷村 修也
もっとも自分も昔家族で海水浴に行ったことくらいしか覚えていない。
灰葉陽
「まあだいたいガイドしてもらえばなんとかなるかなって」
敷村 修也
「大丈夫?ちゃんと待ち合わせ場所まで行ける?」
灰葉陽
「流石にそこまで心配されることはないですけどー!?」
敷村 修也
「だって迷う時間も考えてこの時間なのかなって……」
灰葉陽
「しゅーくんも旅行行くなら多分今の時期だよ?」
灰葉陽
「大学始まったら……あっでも普通にGWで余裕あるかな」
灰葉陽
「むしろ大学入る準備が大変だったりとかそっち?」
敷村 修也
「う~~んどうかなぁ。みんなよりは早く終わったと思うし、もう一人暮らしもしてるし……」
灰葉陽
「小中の頃から変わらず突っかかってくるくせに~」
敷村 修也
「今まさにつっかかっている。つっかかってなんか!……ないとおもうけど」
敷村 修也
「だって……ひなちゃんには今更じゃん」
灰葉陽
「だからまあ、他の人に言いたくないようなこととかあったらね」
赤木 叶恵
これからも関係が続くと思っている人の発言だよ~
敷村 修也
「んー、他の人に言いたくないことでしょ?」
灰葉陽
「まあ私になら言えるかなとか言いたいかなとか、そゆコト?」
灰葉陽
ボストンバックを抱えている。春用のコートを着ている。少し子供っぽいヘアピンはつけていない。薄い化粧をしている。
灰葉陽
春の風に吹かれて、薄手のコートの裾が揺れて。
敷村 修也
自分の記憶にはないひなちゃんの姿。
そしてきっと、今後二度と見ることのない姿。
敷村 修也
数時間後には覆る運命と共に消える。
この運命にだけいる灰葉陽の姿。
灰葉陽
明るい色の瞳が、ぱち、ぱち、と瞬きを繰り返して。
敷村 修也
恥ずかしい。照れ臭い。
それでもひなちゃんをじっと見ている。
灰葉陽
「はっきり伝わるように言わないとダメだぞ?」
敷村 修也
「……結構はっきり言ったつもりだけど」
敷村 修也
今後はもうない。
ひなちゃんはそれを知らない。
敷村 修也
次はもうないから。
自分の未来には存在しないから。
敷村 修也
だから、運命と共に消えていくこの街に置いていくつもりだったのに。
灰葉陽
「一本二本くらい電車逃してもいいつもりだったけど、このままじゃ友達待たせちゃう」
敷村 修也
「さっきの約束、ちゃんと覚えといてよ」
敷村 修也
「きっと、絶対。待っててよかったって思わせるから」
灰葉陽
「じゃ、私も努力する甲斐ある人間にならないとな~」
灰葉陽
春の風に髪をなびかせながら、彼女にとっての未来に向けて。
敷村 修也
その背中に声をかける。
二度と交わらない道の先へと進むひなちゃんを見送りながら。
灰葉陽
それでも子供の頃のように弾んだ声と笑顔で返事を返してくれる。
灰葉陽
ボストンバックを抱えながら大きく腕を振るその姿が、
敷村 修也
まるで子供の頃のような笑顔で。
帰り道でさよならを言うように。
結果フェイズ:安武陸
安武 陸
皆がそれぞれの場所に帰るのを見送って、一人、高台から街を見下ろす。
安武 陸
皆が愛する人と過ごし、未来に望んだものを手にしている。
安武 陸
私腹を肥やす者や、他人を傷付けようとする者が好き勝手に願い、モンスターが蔓延り、いつ戦争が起こってもおかしくはない。
安武 陸
しかし、別にそれは、願いが叶わない世界でも同じで。
安武 陸
願いが叶っていた分、この世界の方が幾分マシだったのかもしれない。
安武 陸
愛する人の生を何度でも願えるこの世界の方が、ずっと、希望があるのかもしれない。
安武 陸
誰だって、すぐそこに願いがあれば、手を伸ばしてしまう。叶えたいと願ってしまう。
安武 陸
スマホを取り出して時間を見る。 誰がどう見ても深夜、あるいは早朝。
安武 陸
たん、たん、と軽くタップ。 ビデオ通話。
安武 陸
寝てるならそれでいいと思ったのだが、3コール目で繋がる。
安武大翼
何やらコントローラーらしきものを握って胡乱げな顔をしています。
安武大翼
『いや、むしろ安心するのか? 帰ってくるん?』
安武 陸
近くのベンチに腰掛けて、ひっそりと眠る街を見下ろしながら、弟の顔を見る。
安武 陸
これは、自分が望んで壊して、失うものだ。
安武 陸
「どーうだろ。 警察とか入ってもいいかも」
安武 陸
「騎士団騎士団、友達が騎士団入っててさ~」
安武 陸
「なんかすごいよ騎士団。フリードリンクとかある」
安武大翼
かなり理解を諦めた様子で、適当に相槌を打つモードに入っている。
安武大翼
視線は少しずれて、PCの画面でも見ているのか。
安武大翼
やはりビデオ通話だと、その表情の造作がよく見て取れる。
安武大翼
生きているのだと再確認する。目の前の画面に映る弟が。
安武大翼
『騎士団がどうとかいいなんか変なのにかぶれてんじゃねえの』
安武大翼
『やだぞ、りくにいの部屋に変な冊子とかあんの見つけるの』
安武 陸
「押し入れは開けない方がお互いのためだぞ」
安武 陸
「バラバラ死体とか見つけたら、一緒に埋めてもらうからな」
安武 陸
「今からホテルに泊まってもいいんですよ~」
安武大翼
『っていうかりくにいがそういうのなったら結局巻き込まれんだよ』
安武大翼
『意味不明なことばかり言う不気味な兄。マジで何?』
安武大翼
『河野のおっちゃんが通りがかってくれた時の』
安武大翼
『りくにいがめっちゃブルってたのも覚えてる』
安武 陸
「俺が帽子取りに行けっつって、俺は助けを呼ぶことも自分が助けることもできなくて、めっちゃブルってたんだよ」
安武大翼
あっ、と何かゲームの操作をシクッたのか声を漏らしたが。
安武 陸
「河野のおっちゃんがいなかったら、お前は」
安武 陸
「お前が俺の弟なら、俺が重い男なのはよく知ってるだろ」
赤木 叶恵
冗談めかした語り口でやばさが全然消臭できてない
安武大翼
『それで楽になるかっつーとまあ怪しいけどさ』
安武大翼
『いや、俺がそっち行ってからにしてほしいけど』
安武 陸
「親父もなんだかんだで喜ぶだろうしなぁ」
安武 陸
「もう、そうじゃない方に決めちゃったんだよ」
安武 陸
「えーっと、なんだろうな。 明日からマグロ漁船に乗って遠くの海に出ることを決めたみたいな? そういう……もう帰ってこれねぇかもしれねぇ……みたいな感じ」
安武 陸
「今まで通り、なんか連絡が付きにくいだけだって」
安武 陸
「開けてはならない押入れ……、バラバラ死体……、マグロ漁船……、連絡の付きにくい兄……、大変でキている……」
安武大翼
『だからそういうのをやめろってんだよ!』
安武 陸
「肩身の狭い思いをさせるかもしれない……ごめんな……」
安武大翼
『大昔の池の件より今の生き方を見直せ!』
安武大翼
『兄貴が延々メンヘラ女みてえな絡み方してくる……』
安武 陸
「お前大学行ったらメンヘラにモテると思うよ」
安武 陸
延々とうざったい事を言って、弟にダルい絡み方をする。
安武 陸
昔はもうちょっと突き放した態度だったと思うんだけど。
安武大翼
その様子を気色悪がりながらも、なんだかんだで相槌を打ってくれる。
安武 陸
多分大翼が生きていたら、俺はこういう兄になっていたんだろうな。
安武 陸
話は案外に尽きない。 久しぶりに話した仲のいい兄弟くらい。
安武 陸
弟は、自分のことをよく理解していると思う。
安武 陸
こんな弟が、いたらよかったのにな、と思う。
安武大翼
『りくにいにウザ絡みされてたら5時めっちゃ過ぎてる』
GM
通話そのものがそもそもなかったことになっている。
安武 陸
無意味だと分かっていても、画面を確認して。
安武 陸
連絡先に、その名前がないことだけがわかる。
GM
あなたの着信履歴を埋め尽くす見慣れていた名前。
安武 陸
訳のわからないことを言う兄に、こんな時間にまで付き合ってくれて、家族を心配して。
安武 陸
春休みなのをいいことに徹夜でゲームして、東京に遊びに行くのを楽しみにしていて。
安武 陸
俺は、あれに手を伸ばすことができなかった。
安武 陸
不要なものだということにしてしまったのだ。
GM
魔女バレエ・メカニックの討伐と共に、海野標の願いは棄却された。
GM
人々は浮かれたイルミネーションに彩られた冬の街を歩く。
海野標
「今度はきっちり決めてもらうから、腹ァ括れよ!」
ブラッドムーンキャンペーン『R:クロニック・ラヴ』