結果フェイズ

GM
では、結果フェイズですが
GM
順番は導入と同じが収まりがいいかなこれは
GM
叶恵>光葉>修也>陸でいきましょうか
赤木 叶恵
はい
GM
迷ノ宮家に迎えに行って帰りとかにする?>叶恵ちゃん
GM
光葉ちゃんも一旦御影と家帰るよね
迷ノ宮 光葉
はい
赤木 叶恵
そうする!
GM
タクシ~よんで三人でかえっちゃうか
GM
ブオーン
GM
ではそんな感じで、礼子ちゃんともお別れして、二人で。

結果フェイズ:赤木叶恵

GM
家にもう帰っちゃう?
GM
まだ家に帰るのは難しいか
赤木 叶恵
家出中だから帰宅しちゃうと超ややこしくならない?
GM
そうだね
GM
叶恵ちゃんの引っ越した先にしようか
赤木 叶恵
そうしよう
GM
でもそこも書き換わるとバグるんだよな 冷静に考えると
GM
まあ直前で出ればいいか?
赤木 叶恵
おねえちゃんは家にいたのに謎の理由で家出したカナエになる
GM
まあもともと大変な生活をしていたし……
赤木 叶恵
そうだね
GM
まあとりあえず叶恵ちゃんのおうちにしようか
GM
引っ越した先に……
赤木 叶恵
かえるぞ!
赤木恵夢
おじゃましまーす……
赤木恵夢
カナちゃんの今のお家はどんな感じかな?
赤木 叶恵
必要最低限の家具だけが置かれており、ゴミ袋が散乱していますが、キッチンは使用していないのでぴかぴかです
赤木恵夢
わぁ~
赤木恵夢
調理器具とかある……?
赤木 叶恵
ほぼない……
赤木恵夢
ないよねぇ~
赤木 叶恵
買って帰ろう
赤木恵夢
そうだね
赤木恵夢
ナチュラルローソンとか100均ローソンとかハシゴして食材と調理器具を買って帰りました!
赤木恵夢
そんな感じで。
安武 陸
家出してたことになってるの面白い めちゃ家出しそう
赤木恵夢
しらないうちになんかそうなってたみたい……
安武 陸
まぁ実際家出か……
赤木恵夢
母親と一緒にカナちゃんを心配するラインのやり取りが残ってる
安武 陸
生きてたことになってる……
赤木恵夢
「お」
赤木恵夢
「おじゃましまーす……?」
赤木 叶恵
「ただいまー」
赤木恵夢
両手にはビニール袋。
赤木恵夢
いつの間にか家出していたことになっていた、いつの間にかの妹の引越し先に足を踏み入れるが。
赤木恵夢
「……か」
赤木恵夢
「カナちゃん~」
赤木恵夢
中の様子を見回して、流石に圧倒。
赤木 叶恵
「うわ。散らかってる……」
赤木 叶恵
他人事のような感想。
安武 陸
大丈夫?やばい薬とか散らかってない?
敷村 修也
やばいもの落ちてないかハラハラする
安武 陸
家賃が安そうな一人暮らし向けのおうち
迷ノ宮 光葉
一口コンロだと大変そう…
赤木恵夢
「カナちゃんの家だよお」
赤木恵夢
もー……と、片付けかけはしたが……
赤木 叶恵
実際、少し驚いている。自分の部屋の状態を客観視する余裕などなかった。
赤木恵夢
はっ、と気を取り直して、諦めて素通りします。
赤木恵夢
時間がない事はわかっているので……
赤木恵夢
なんか、これから起こることに関して、ふんわりと説明を受けました。受けましたね?
赤木 叶恵
しました。過去に戻って吸血鬼……じゃなかった、魔女を何とかするぞ。
赤木恵夢
とりあえずざっくりと受けました。時間がないのでざっくりと。
赤木恵夢
なので、この部屋を使える時間もそう長くはありません。
赤木恵夢
とりあえずキッチンにビニール袋をがさがさと置く。
赤木恵夢
エプロンはないので、上着を脱いで袖をまくって。
赤木恵夢
「おねえちゃん、間に合うように作るからね!」
赤木恵夢
買ってきた食材はじゃがいも、にんじん、キャベツ、ソーセージ、コンソメ、塩コショウ。
赤木 叶恵
「頼んだ!」
赤木恵夢
大きめの鍋。まな板。皮むき器。包丁。それとタッパー。
赤木恵夢
大きく頷いて、ぱぱっと調理を始めます。
赤木恵夢
一口コンロでIHだ……最近のおうちはそりゃそうだよね……
赤木 叶恵
いつも見た風景……ではない。姉が立っていた調理場は、こんなに狭くも暗くもなかった。
赤木恵夢
っていうかシンクが凄まじい狭さですごい……ここにまな板わたせちゃう……
赤木 叶恵
実家のキッチンは自室と離れていたし、姉の料理の一部始終を見る事などなかった。見ようとも思わなかった。
赤木恵夢
じゃがいもの芽をとる。ピーラーで皮を剥いて四等分、水にくぐらせてからタッパーに詰める。
赤木 叶恵
けれど今は小さなローテーブルと座椅子から視線が通る。窓を背に向けて、姉を視界に納めながら、腰を落ち着けて待った。
赤木恵夢
電子レンジでほいっと加熱。
赤木恵夢
しているうちににんじんも皮を剥いて乱切りして、キャベツは大振りにざくざくに切って、これは全部鍋に詰めちゃって。
赤木恵夢
レンチンが済んだじゃがいもとソーセージも入れて、コンソメ入れて水を張って、蓋をしてコンロにかける。
赤木恵夢
完。
赤木 叶恵
少し退屈。だけど。
赤木 叶恵
……この時間に、どれだけ飢えていた事か。
赤木恵夢
流石にこれくらいの作業は極めて手際がよくぱぱっとできちゃう。
赤木恵夢
恵夢と叶恵の間には、埋められない認識の差がある。
赤木恵夢
自分がこうして生きている風景に、叶恵がどれほど飢えていたか。
赤木恵夢
どれほどの喪失感を味あわせていたか。
赤木恵夢
今ここにいる恵夢の認識はあの夜の続きで、時間がちょっとばかし飛んでしまっていて、なんだか不思議なこともいっぱい起きていて、分からないことだらけだ。
赤木恵夢
それでも。
赤木恵夢
叶恵を振り返って、
赤木恵夢
笑った。
赤木恵夢
「あとはねえ」
赤木恵夢
「煮込めたらオッケーだから」
赤木 叶恵
「え、はやい」
赤木 叶恵
「そんなにぱぱっとできるもんなの?」
赤木恵夢
「結構簡単だよ、おねえちゃんがよく作るやつは」
赤木 叶恵
「へー」
赤木恵夢
「そうじゃないと、ほら」
赤木恵夢
「続けるの大変になっちゃうでしょ?」
赤木恵夢
「実は結構手抜きしてるのでしたー」
赤木恵夢
なんて。
赤木 叶恵
「そっか……」
赤木恵夢
叶恵の隣に戻りながら。ゴミ袋はえいやえいやと隅によけて。
赤木恵夢
「…………」
赤木 叶恵
そういえば、バイトと掛け持ちだし、忙しいし。
赤木 叶恵
料理にどんな手間がかかるのか、とか。あまり考えたこともなかった。
赤木恵夢
「がっかりした?」
赤木 叶恵
「んーん」
赤木 叶恵
「続けるの、そういえば大変だよなって思った」
赤木恵夢
「どうしてもねー」
赤木恵夢
「だから、全部嫌になっちゃわないように」
赤木恵夢
「こだわりすぎないでほどほどにしようって、最初から決めてたんだ」
赤木恵夢
「だから、カナちゃんもやってみれば意外と簡単だと思うよ」
赤木 叶恵
「えー、むりだよ絶対」
赤木恵夢
「今やってたようなのならなんかできそうじゃない?」
赤木恵夢
「切って煮るだけだよ」
赤木 叶恵
「火使うし包丁使うじゃん」
赤木恵夢
「そんなにレベル高いことじゃないよぉ」
赤木 叶恵
「絶対指切るし、キッチン燃えるし、黒い塊ができあがる」
赤木恵夢
「そんなに……」
赤木恵夢
なそにん
赤木恵夢
「……まあ、でも、いいよ」
赤木恵夢
「しばらくは」
赤木恵夢
「おねえちゃんがカナちゃんのごはん、作るからね」
赤木 叶恵
「……うん」
赤木恵夢
「…………」
赤木恵夢
「ん!」
赤木恵夢
にっこり笑うと、急に抱きついてくる。
赤木恵夢
ぎゅー
赤木恵夢
叶恵を胸に抱き込みます。
赤木 叶恵
「なっ。え、なに、なに」
赤木恵夢
「ううん~」
赤木恵夢
「カナちゃんかわいいなあって」
赤木恵夢
「えへへ」
赤木恵夢
なでこ……
赤木 叶恵
「へんなの……」
赤木 叶恵
「……」
赤木恵夢
「一気に頭に詰め込まれちゃったから……」
赤木恵夢
「純朴な真理を再確認しているところなのです」
赤木恵夢
恵夢視点ではワンダー・トリップ・ラヴァーの件があった直後のこれです。
赤木 叶恵
再確認。
赤木 叶恵
「……おねえちゃん」
赤木 叶恵
「ほんとに、生きてるんだな……」
赤木恵夢
「うん」
赤木恵夢
「生きてるよ」
赤木恵夢
「……ここにいるよ」
赤木 叶恵
「うん」
赤木恵夢
抱きしめる。
赤木 叶恵
「ここにいる」
赤木恵夢
そこにいる。熱を伝える。
赤木 叶恵
「おねえちゃんが、生きて、ここに」
赤木恵夢
「カナちゃんも、ここにいるね」
赤木 叶恵
「……うん」
赤木 叶恵
声が震える。
赤木 叶恵
「いる……」
赤木恵夢
叶恵の胸に顔を埋めさせる。
赤木恵夢
「巻き戻る、とか、なら」
赤木恵夢
「お母さんが心配してたのも、たぶんなくなる」
赤木恵夢
「んだよね」
赤木 叶恵
「うん……」
赤木恵夢
「いいことだけど」
赤木恵夢
「なんか変な感じ」
赤木 叶恵
「お母さんね」
赤木恵夢
「うん」
赤木 叶恵
「見た事ないような顔してた」
赤木 叶恵
「おねえちゃんが居なくなって、ものすごく弱ってて」
赤木恵夢
「…………」
赤木 叶恵
「あたしに縋り付くみたいにして、行かないでって……」
赤木 叶恵
「……あんなお母さん、初めて見た」
赤木恵夢
「……お父さんと別れてから」
赤木恵夢
「ずっと大変にしてるもんね」
赤木恵夢
「お母さん……」
赤木恵夢
叶恵の話に改めて染み入るものを感じたのか、改めて自省しているのか……
赤木恵夢
座り直す。顔をうつむけて。
安武 陸
いい娘さん達だな
GM
母子家庭だからね
赤木 叶恵
一人分しかない座椅子には自分が座ってます
赤木恵夢
床に座る姉です
赤木恵夢
ぺたんこ
迷ノ宮 光葉
かわいいね
赤木恵夢
「……明日、は」
赤木恵夢
「カナちゃんもみんなも大変なんだよね」
赤木 叶恵
「うん……」
赤木恵夢
「じゃあ、じゃあね」
赤木恵夢
「その大変が終わって、色々落ち着いて、って頃でいいから……」
赤木恵夢
「お母さんに、なんかしてあげよっか」
赤木 叶恵
「……」
赤木 叶恵
「おかあさん、何したら喜んでくれるかな」
赤木恵夢
「うーん……」
赤木恵夢
「そこから……考えていくという感じで……」
赤木恵夢
「相談会議から、改めて……」
赤木 叶恵
「そうだね……」
赤木 叶恵
「する。何か。お母さんにしたい」
赤木恵夢
「うん」
赤木恵夢
「しよ!」
赤木恵夢
とか話してると。
赤木恵夢
「あっ」
赤木恵夢
鍋の蓋がぐらついているのに気付いた。
赤木恵夢
わーって腰を上げて鍋を見に行く。
赤木恵夢
「あ、カナちゃん」
赤木恵夢
「ごはんのレンチンおねがいできる?」
赤木 叶恵
「わかった。もうできる?」
赤木恵夢
「ちょっと味しみ足りないかもだけど、たぶん……」
赤木恵夢
覗き込んで確認してます。
赤木恵夢
塩コショウをぱっぱ……
赤木 叶恵
ゆっくり立ち上がり、言われた通りに。
赤木恵夢
ひっくり返したり……小皿で味見したり……
赤木恵夢
たぶんだいじょうぶ!
赤木恵夢
というわけで、買ってきたプラ皿に盛っていきます。
赤木恵夢
湯気がほかほか。
赤木恵夢
ポトフが完成。
赤木恵夢
恵夢がよく作っていた、春には少しぽかぽかすぎるかもしれないメニュー。
赤木 叶恵
「いい匂いする……」
赤木 叶恵
パックに入った白米を、テーブルへと運び。
赤木恵夢
「よかったあ」
赤木恵夢
ごはんもプラ皿に盛っちゃいます。なんか微妙にキャンプめいた風景。
赤木恵夢
割り箸も二人分並べて。
赤木恵夢
手を合わせる。
赤木 叶恵
手を合わせる。
赤木恵夢
「いただきます」
赤木 叶恵
「いただきます」
赤木恵夢
ポトフは少し味が濃い。正確に言うと、味の染みが足りないだろうぶんを塩気強めで補っている。
赤木恵夢
ので、具材と汁とを合わせてまあちょうどいい塩梅かな? と言った感じ。
赤木恵夢
それでも加熱は十分で、割り箸でじゃがいもを割ると湯気が立つ。じゃがいもはレンチンで火を通したし……
赤木恵夢
というのを、もそもそ食べつつちらちら叶恵を見ている。
赤木 叶恵
「…………」
赤木 叶恵
ゆっくりと口に運ぶ。
赤木 叶恵
大きな一口を、ぱくり。
赤木恵夢
ちら……じ……
安武 陸
叶恵ちゃん接触者だから、食べることに意味あっていいな
赤木 叶恵
コーヒーもいれたてをガブ飲みする女
安武 陸
火傷するぞ
GM
口が部位破壊されてる
赤木 叶恵
「……」
赤木恵夢
「どう?」
赤木 叶恵
「……今」
赤木恵夢
「うん」
赤木 叶恵
「やっと……」
赤木恵夢
「?」
赤木 叶恵
「じっかん、できた」
赤木 叶恵
「忘れてた、この味」
赤木恵夢
「……そっか」
赤木 叶恵
「ずっと……」
赤木 叶恵
「寂しくて……」
赤木恵夢
「うん」
赤木恵夢
「……うん」
赤木 叶恵
「一人じゃ、ダメだった……」
赤木恵夢
ソーセージを折ると、中からぶつりと肉汁が溢れ出す。
赤木恵夢
抑えられていた感情が溢れるさまと、よく似ている。
赤木恵夢
「……もう」
赤木 叶恵
「……っ」
赤木恵夢
「一人にしないよ」
赤木 叶恵
夢中で食いつく。
赤木恵夢
ポトフを食べる叶恵の様子をにこにこと見ている。
赤木 叶恵
大きく頬張って。飲み込んで、次の一口。また一口。
赤木恵夢
できたてだから、かなり熱い。
赤木 叶恵
「うっ……うっ……」
赤木恵夢
野菜の芯などなかなか温度が高い。
赤木恵夢
「…………」
赤木 叶恵
かまわず口に運ぶ。
赤木恵夢
一度お椀を置いて。
赤木恵夢
そっと手を伸ばして、叶恵の頭を撫でる。
赤木恵夢
じゃまにならないように……
赤木恵夢
「……何度でも」
赤木恵夢
「何度でもまた、作るからね」
赤木恵夢
「おねえちゃん」
赤木 叶恵
「……うん」
赤木 叶恵
「うん」
赤木恵夢
「一緒に帰ろう」
赤木恵夢
「また一緒に」
赤木恵夢
「お母さんとも、三人で、ごはん」
赤木恵夢
「食べようね……」
赤木 叶恵
「かえる。一緒に」
赤木 叶恵
「家族で、ごはん、食べる」
赤木恵夢
「……約束だよ」
赤木恵夢
「カナちゃん」
赤木 叶恵
「約束、する」
GM
あーん……
敷村 修也
み~~
安武 陸
あーあー
GM
妹を浴び続ける!!!!
赤木 叶恵
「お姉ちゃんも、どこにも行かないでね」
赤木恵夢
「うん」
赤木 叶恵
「海野は脈ナシだから、あんな男諦めてね」
赤木恵夢
「えっ!?」
赤木 叶恵
「メカがそう言ってたから……」
赤木恵夢
「そ……」
赤木恵夢
「そっかぁ~……」
赤木恵夢
そっかぁ~……
赤木恵夢
に、しばしなっていたけれど。
安武 陸
義理立てしてるだけだから崩し方によってはわかんないぞ
GM
叶恵ちゃんは崩してほしくないだろうからな……
安武 陸
まぁそうだろうな
安武 陸
それはそう
安武 陸
普通の人のほうがいいよ……
赤木恵夢
「……大丈夫だよ」
赤木恵夢
「おねえちゃん、カナちゃんが一番だから」
赤木恵夢
「へっちゃら」
赤木恵夢
「へいき!」
赤木 叶恵
「……狩人の恋人は、認めませんからね」
赤木恵夢
「…………」
赤木恵夢
「はぁい……」
GM
*赤木叶恵の幸福『背徳:赤木恵夢』が破壊されているので、修復判定です。
 リンク部位は人脈から。
赤木 叶恵
2D6>=7 (判定:跳ぶ) (2D6>=7) > 8[3,5] > 8 > 成功
赤木 叶恵
うおおおおお!
GM
流石だぜ!!!
GM
姉パワー!!!
迷ノ宮 光葉
えらい…
敷村 修也
はぁ~~~~
赤木 叶恵
よかったよかった~~~~~
赤木 叶恵
だいじなおねえちゃん
赤木 叶恵
つぎはぜったいまもるぞ スーパーかなえになりました
GM
がんばれがんばれ
GM
というわけで、
GM
*赤木叶恵の幸福『背徳:赤木恵夢』は修復されました。
GM
魔女に願って取り戻した、大事で大好きなお姉ちゃん。
GM
他の人に取られるのはイヤだ! と思いつつ、そうなる可能性は認めつつ……
GM
まあでもしばらくはまだ、イヤだ! をやっていっちゃうのも仕方ないかもしれないですね。
GM
なにせ、再び家族みんなで暮らせる未来が見えたのですから。

結果フェイズ:迷ノ宮光葉

GM
では、最初に修復判定にしますか。こちらは。
GM
*迷ノ宮光葉の幸福『背徳:迷ノ宮御影』が破壊されています。
 人脈より修復判定をどうぞ。
迷ノ宮 光葉
2D6>=8 (判定:逃げる) (2D6>=8) > 9[4,5] > 9 > 成功
GM
成功。
GM
では、あなたの幸福『背徳:迷ノ宮御影』は修復されました。
GM
兄からの愛を知り。兄への愛を再確認して。
GM
その上でただ彼のためだけにではなく生きる在り方を知った。
GM
では、迷ノ宮邸に戻り、赤木姉妹と礼子とを見送ったあと。
GM
御影はどうしようかな。私室のベッドにでも横たえられますか?
迷ノ宮 光葉
そうですね、立っているのも座っているのも大変そうだと思うので。兄の部屋のベッドに寝かせましょう。
迷ノ宮御影
では横たえられます。
迷ノ宮御影
「……どちらにせよ、巻き戻る運命の先にはついていけない身だ」
迷ノ宮御影
「あまり気を使う必要もないがな」
迷ノ宮御影
などと、寝かされつつ。
迷ノ宮 光葉
「でも、こうして会話ができる時間が残ったのは……本当に幸いでした。少しの間でも、お兄様のお世話が出来るなら、嬉しいのです」
迷ノ宮 光葉
「…………」
迷ノ宮御影
「光葉」
迷ノ宮御影
「伝えたいことがあるのなら、迷わず伝えてしまった方がいい」
迷ノ宮御影
「お前は昔から周囲の顔色を覗いすぎるきらいがある」
迷ノ宮 光葉
「…………」兄のそばに、膝をついて。
迷ノ宮御影
「それは美点でもあるが、改善を試みてもいい」
迷ノ宮御影
そのように語りつつ、膝をついた光葉の顔を見返す。
迷ノ宮 光葉
兄の、片手を両手でとり、握る。
迷ノ宮御影
握られる。骨太の、筋の浮いた手。
迷ノ宮御影
かさついていて体温は低い。
迷ノ宮 光葉
まだ春先、寒くはないかと自分の体温で温めながら。少し迷うような、ためらうような気配。
迷ノ宮御影
「光葉」
迷ノ宮御影
促すように、ただ名を呼ぶ。
迷ノ宮御影
これ以上ないほどに穏やかな兄の声が、あなたの名のかたちをなぞる。
迷ノ宮 光葉
意を決して、息を吸って吐いて、そっと、兄に告げる。
迷ノ宮 光葉
「御影、お兄様」
迷ノ宮御影
「…………」
迷ノ宮 光葉
「この先、光葉はお兄様と相対します。お兄様のお心を知った今、それは何も怖くありません。ただ───」
迷ノ宮御影
「ただ」
迷ノ宮 光葉
「…………語彙が時代劇のそれ。ふしだらな女、と思われても、構いません」
迷ノ宮 光葉
「お兄様の証を、刻んでほしいのです」
敷村 修也
ハラハラ
安武 陸
はわわわわわ
赤木 叶恵
ふしだらな女!!!!!!!
安武 陸
はわわ~~~~~~~
敷村 修也
はわわわ
迷ノ宮御影
「…………」
迷ノ宮御影
「………………」
迷ノ宮御影
俯いた。握られていない方の手で額を押さえる。
迷ノ宮 光葉
「…………」いい終えてから、後悔した。馬鹿なお願いをしたものだと、小さくなっていくような気がする。
迷ノ宮御影
暫し、長い沈黙。
迷ノ宮御影
永遠のようにも感じられるそのしじまの後に、
迷ノ宮御影
「……お前を未婚の母にするつもりはない」
迷ノ宮 光葉
「…………」
迷ノ宮御影
「そこまで含めてがお前の望みであれば、叶えてやるのは難しいが」
迷ノ宮御影
「…………」
安武 陸
ああ!?!?
GM
ああじゃないのよ
安武 陸
みこんのはは
安武 陸
いや……生でやれとはゆうとらんやんとなって
GM
だって証って……
敷村 修也
まぁ……
迷ノ宮御影
また深くため息をついた。
迷ノ宮 光葉
「……馬鹿なわがままを言ってしまいました……。今の、言葉は、お忘れください……」
迷ノ宮御影
光葉の腕を引いて、
迷ノ宮御影
胸にその身体を抱き込む。
迷ノ宮御影
唇を重ねた。
迷ノ宮 光葉
覆いかぶさるように自身の影と兄の影が交わる。あまりうるおいのない、兄の唇が自身の唇と触れた。
迷ノ宮御影
乾いた唇の触れ合わされる熱。
迷ノ宮御影
そのままにベッドに引き倒されて、
迷ノ宮御影
重たげな動きで、だがあなたよりよほど逞しい兄の身体に覆い被さられる。
迷ノ宮御影
影が落ちる。
迷ノ宮 光葉
「おにい、さま……」ためらいと、しかし喜びの色があるつぶやき。
迷ノ宮御影
その頬を、硬い皮膚の指先が撫ぜた。
迷ノ宮御影
唇に張りついた長い髪をよけてやりながら、再びに顔を近づける。
迷ノ宮御影
ごく近くで。
迷ノ宮御影
「お前をただの」
迷ノ宮御影
「俺の女にしてやることは叶おう」
迷ノ宮御影
低い声が。
迷ノ宮御影
「それでは不足か?」
迷ノ宮御影
囁くように、あなたの鼓膜を擽る。
迷ノ宮 光葉
「っ…………」静かな嗚咽の気配。女の瞳から一筋涙が溢れた。
迷ノ宮 光葉
「いいえ、いいえ……」
迷ノ宮 光葉
「それだけで、十分です」
迷ノ宮御影
唇の端を僅かに上げる。
迷ノ宮御影
硬い掌は頬から首筋を撫ぜて胸元に至る。
迷ノ宮御影
迷ノ宮光葉を、
迷ノ宮御影
あなたという女を暴きながら、
迷ノ宮御影
「――愛している」
迷ノ宮御影
「光葉」
迷ノ宮御影
囁かれた声に込められた情感が、あなたを囚えて放さなかった。
迷ノ宮 光葉
そっと今まで秘められた感情を暴かれるように、男の腕の中で女の息が潜められる。
迷ノ宮 光葉
「愛しています」
迷ノ宮 光葉
「御影」

結果フェイズ:敷村修也

GM
春とはいえ、この時刻の風はまだまだ冷たい。
GM
それでもこれから戻る冬の真っ只中に比べたら相当に暖かいだろうが。
GM
残念ながら、それを暖かい、と感じられる心境ではないのは確かだ。
GM
午前四時過ぎ。
GM
戻ってきた実家と言えば、まあ見事に修復されていた。
GM
ハロウィンの夜で焼け落ちたのがなかったかのように、ちょっと古ぼけた壁もそのままで。
敷村 修也
自分が暮らしていた、焼け落ちたはずの実家をじっと見つめる。
敷村 修也
この時間なら両親もきっと中で寝ているだろう。
燃えたことがなかったことになってるなら当然だ。
敷村 修也
帰ればおかえりと声の返ってくる自宅の敷居をまたぐつもりにはならない。
敷村 修也
ただ、なくなったはずの、そしてもう二度と見ることができないであろう、自分の家の姿を目に焼き付けておきたかった。
敷村 修也
ぱしゃり。
端末を取り出し、写真を撮る。
敷村 修也
運命変転の破棄とともに、スマホのデータも巻き戻る。どうせ消えてしまうだろうと思いながら。
敷村 修也
そのまま歩き出す。
敷村 修也
やがて朝に巡る街を一人歩く。
運命に抗うために旅立つ時間はそう多く残されていない。
GM
すぐ近くには、灰葉陽が暮らしていたマンション。
GM
その外観はずっと変わらない。陽が死ぬ前も。こうして陽の生きている運命に至った今も。
敷村 修也
見上げながら、そういえば今どこに住んでいるのかも聞かなかったなぁと思う。
敷村 修也
でもこの運命のなかでは高校を卒業するまではここに居て。
多分きっと、今も両親は住んでいる。
敷村 修也
「………」
敷村 修也
端末のメッセージアプリを立ち上げる。
敷村 修也
再会したあの日に送られてきた、簡単なメッセージとパンケーキの写真。
敷村 修也
短いやり取りのあとメッセージを送ることもできなかった。
GM
そんな思索に耽るあなたの耳に、マンションの玄関口の開く音が聞こえた。
敷村 修也
顔をあげる。
灰葉陽
「あれえ」
灰葉陽
「しゅーくん?」
灰葉陽
灰葉陽がそこにいた。
灰葉陽
何やら大きなボストンバックを下げている。
灰葉陽
「どしたのこんな朝早くに」
敷村 修也
「………」
敷村 修也
ぽかんと口を開けているのが自分でもわかる。
灰葉陽
「?」
灰葉陽
「散歩……にしては、ちょっと早くない?」
敷村 修也
答えを先回りされて声に詰まる。
敷村 修也
「っ……ひなちゃんこそ」
灰葉陽
「私は旅行でーす」
灰葉陽
ピース。
灰葉陽
「ちょっと江ノ島にね! 友達と!」
敷村 修也
「えーっ?こんな時間から?」
灰葉陽
「旅行だからこんな時間に出るんでしょ~」
灰葉陽
「早く到着したいワケで」
敷村 修也
「そりゃそうだけどさぁ……この時期の江ノ島になにしに行くの」
灰葉陽
「この時期のも何も見るとこいっぱいあるでしょ!」
灰葉陽
「ご飯食べたりとか、ぶらついたりとか、水族館とか」
灰葉陽
「海の方見るのもいいよねー」
灰葉陽
「あとあれだっけ、江ノ電?」
灰葉陽
「なんか……いっぱいあるって聞いた」
灰葉陽
だんだんあやふやになっていく。
敷村 修也
「ふわふわしてるなぁ」
敷村 修也
もっとも自分も昔家族で海水浴に行ったことくらいしか覚えていない。
灰葉陽
「まあだいたいガイドしてもらえばなんとかなるかなって」
灰葉陽
「持つべきは……地図の読める友達!」
敷村 修也
「大丈夫?ちゃんと待ち合わせ場所まで行ける?」
灰葉陽
「流石にそこまで心配されることはないですけどー!?」
敷村 修也
「だって迷う時間も考えてこの時間なのかなって……」
灰葉陽
「普段使ってる駅で迷うはずないでしょ!」
灰葉陽
もー、と口を尖らせている。
灰葉陽
「しゅーくんも旅行行くなら多分今の時期だよ?」
灰葉陽
「大学始まったら……あっでも普通にGWで余裕あるかな」
灰葉陽
「むしろ大学入る準備が大変だったりとかそっち?」
敷村 修也
「う~~んどうかなぁ。みんなよりは早く終わったと思うし、もう一人暮らしもしてるし……」
灰葉陽
「うーん優等生」
敷村 修也
「小中の頃とはもう違うんだって」
灰葉陽
「小中の頃から変わらず突っかかってくるくせに~」
灰葉陽
うりうりと肘で肘を突いてきたりする。
敷村 修也
今まさにつっかかっている。つっかかってなんか!……ないとおもうけど」
灰葉陽
「嘘つけ~」
灰葉陽
「私に対しては優等生してないじゃんな~」
敷村 修也
「だって……ひなちゃんには今更じゃん」
灰葉陽
「そだね!」
灰葉陽
ぱっと笑った。
灰葉陽
「だからまあ、他の人に言いたくないようなこととかあったらね」
灰葉陽
「大学上がったら色々あると思うし」
灰葉陽
「そのノリで投げておいでよ。話聞くよ?」
赤木 叶恵
これからも関係が続くと思っている人の発言だよ~
GM
思わない理由がない。
迷ノ宮 光葉
残酷なげんじつだ…
敷村 修也
「うーんそーだなぁ……」
敷村 修也
わざとらしく考えるふりをする。
灰葉陽
「何」
灰葉陽
「さっそくなんかあったり?」
敷村 修也
「んー、他の人に言いたくないことでしょ?」
灰葉陽
「うん」
灰葉陽
「別に言えることでもいいけど」
灰葉陽
「まあ私になら言えるかなとか言いたいかなとか、そゆコト?」
灰葉陽
「ひなたお姉ちゃんに任せなさいってね!」
敷村 修也
「……」
敷村 修也
「大好き、とか」
灰葉陽
陽の目が、ぱちりと瞬かれた。
灰葉陽
ボストンバックを抱えている。春用のコートを着ている。少し子供っぽいヘアピンはつけていない。薄い化粧をしている。
灰葉陽
大学生になった灰葉陽の姿。
灰葉陽
春の風に吹かれて、薄手のコートの裾が揺れて。
敷村 修也
自分の記憶にはないひなちゃんの姿。
そしてきっと、今後二度と見ることのない姿。
敷村 修也
数時間後には覆る運命と共に消える。
この運命にだけいる灰葉陽の姿。
灰葉陽
明るい色の瞳が、ぱち、ぱち、と瞬きを繰り返して。
敷村 修也
恥ずかしい。照れ臭い。
それでもひなちゃんをじっと見ている。
灰葉陽
「……しゅーくん」
灰葉陽
「そういうのは、もうちょっとちゃんと」
灰葉陽
「はっきり伝わるように言わないとダメだぞ?」
敷村 修也
「……結構はっきり言ったつもりだけど」
敷村 修也
「……自分から言ったこと、ないし」
灰葉陽
「そこまで小中学生されちゃあな~」
灰葉陽
「今後に乞うご期待、ですな」
灰葉陽
うんうん頷いている。
敷村 修也
今後はもうない。
ひなちゃんはそれを知らない。
敷村 修也
だから、それでよかった。
灰葉陽
「しゅーくん」
敷村 修也
「……なに?」
灰葉陽
「将来成長して」
灰葉陽
「とびきり素敵な男の人になったら」
灰葉陽
「その時は改めて、告白してね」
敷村 修也
次はもうないから。
自分の未来には存在しないから。
敷村 修也
だから、運命と共に消えていくこの街に置いていくつもりだったのに。
灰葉陽
「っと、流石にそろそろかなぁ」
灰葉陽
腕時計を確認している。
灰葉陽
「一本二本くらい電車逃してもいいつもりだったけど、このままじゃ友達待たせちゃう」
敷村 修也
「う、ん」
敷村 修也
「………」
敷村 修也
「ひなちゃん」
灰葉陽
「江ノ島の写真、いいの撮れたら――」
灰葉陽
「?」
敷村 修也
「さっきの約束、ちゃんと覚えといてよ」
敷村 修也
「俺、忘れないから」
灰葉陽
「……うん」
灰葉陽
「期待してます」
敷村 修也
「きっと、絶対。待っててよかったって思わせるから」
灰葉陽
「あはは」
灰葉陽
「じゃ、私も努力する甲斐ある人間にならないとな~」
灰葉陽
「それじゃあね」
灰葉陽
「しゅーくん、また今度」
灰葉陽
ひらりと手を振って。
敷村 修也
「………」
敷村 修也
「うん、じゃあね」
敷村 修也
久しぶりにちゃんと笑った気がした。
灰葉陽
笑い返して、
灰葉陽
修也に背を向ける。
灰葉陽
春の風に髪をなびかせながら、彼女にとっての未来に向けて。
敷村 修也
「またね!」
灰葉陽
「またねー!」
敷村 修也
その背中に声をかける。
二度と交わらない道の先へと進むひなちゃんを見送りながら。
灰葉陽
それでも子供の頃のように弾んだ声と笑顔で返事を返してくれる。
灰葉陽
ボストンバックを抱えながら大きく腕を振るその姿が、
灰葉陽
曲がり角に見えなくなるまで。
敷村 修也
まるで子供の頃のような笑顔で。
帰り道でさよならを言うように。
敷村 修也
手を振った。

結果フェイズ:安武陸

安武 陸
皆がそれぞれの場所に帰るのを見送って、一人、高台から街を見下ろす。
安武 陸
まだ全ての願いは消えていない。
安武 陸
皆が愛する人と過ごし、未来に望んだものを手にしている。
安武 陸
確かに、全ての願いが叶う世界は危険だ。
安武 陸
私腹を肥やす者や、他人を傷付けようとする者が好き勝手に願い、モンスターが蔓延り、いつ戦争が起こってもおかしくはない。
安武 陸
しかし、別にそれは、願いが叶わない世界でも同じで。
安武 陸
願いが叶っていた分、この世界の方が幾分マシだったのかもしれない。
安武 陸
愛する人の生を何度でも願えるこの世界の方が、ずっと、希望があるのかもしれない。
安武 陸
ため息を吐く。
安武 陸
誰だって、すぐそこに願いがあれば、手を伸ばしてしまう。叶えたいと願ってしまう。
安武 陸
そして、それは、自分だって同じだ。
安武 陸
到底叶わないと思った願いに
安武 陸
手を伸ばせると、知ってしまった。
安武 陸
助けられないはずだった命に
安武 陸
手を伸ばせると、知ってしまった。
安武 陸
もう一度、ため息。
安武 陸
スマホを取り出して時間を見る。 誰がどう見ても深夜、あるいは早朝。
安武 陸
たん、たん、と軽くタップ。 ビデオ通話。
安武 陸
発信先は、安武大翼。
安武 陸
寝てるならそれでいいと思ったのだが、3コール目で繋がる。
安武大翼
『なに』
安武大翼
『なんだよ』
安武大翼
『全然出ないかと思ったら、急に……』
安武 陸
「はは」
安武大翼
何やらコントローラーらしきものを握って胡乱げな顔をしています。
安武 陸
思わず笑う。
安武大翼
今も何やら操作している。
安武 陸
「大翼じゃん」
安武大翼
『はあ?』
安武大翼
『りくにいはなんなん』
安武大翼
『知らんうちにめっちゃ髪伸びてる』
安武 陸
「もう就活諦めたわ」
安武 陸
「俺は髪を伸ばす」
安武大翼
『マジかよ』
安武大翼
『母ちゃん泣くぞ』
安武大翼
『いや、むしろ安心するのか? 帰ってくるん?』
安武 陸
「帰るわけねぇよ」
安武大翼
呆れ顔で聞いている。
安武 陸
近くのベンチに腰掛けて、ひっそりと眠る街を見下ろしながら、弟の顔を見る。
安武 陸
これは、自分が望んで壊して、失うものだ。
安武大翼
『何』
安武大翼
『フリーター?』
安武大翼
『大学出といて?』
安武大翼
『浪人して東京くんだりまで行って?』
安武 陸
「どーうだろ。 警察とか入ってもいいかも」
安武 陸
「騎士団とか」
安武大翼
『けいさつぅ~?』
安武大翼
『あ?』
安武大翼
『なんて?』
安武大翼
眉を寄せて藪睨み。
安武 陸
「騎士団騎士団、友達が騎士団入っててさ~」
安武大翼
『オタサーの姫とかそういうやつ?』
安武 陸
「そうかな?そうかも」
安武 陸
「なんかすごいよ騎士団。フリードリンクとかある」
安武大翼
『ヤバ』
安武大翼
『姫の権力すげー』
安武大翼
かなり理解を諦めた様子で、適当に相槌を打つモードに入っている。
安武大翼
視線は少しずれて、PCの画面でも見ているのか。
安武大翼
とにもかくにも。
安武大翼
やはりビデオ通話だと、その表情の造作がよく見て取れる。
安武大翼
生きているのだと再確認する。目の前の画面に映る弟が。
安武 陸
「大翼ぁ、生きてて嬉しい?」
安武大翼
『え?』
安武大翼
『宗教の話?』
安武 陸
「哲学の話かも」
安武大翼
『騎士団がどうとかいいなんか変なのにかぶれてんじゃねえの』
安武大翼
『やだぞ、りくにいの部屋に変な冊子とかあんの見つけるの』
安武 陸
「押し入れは開けない方がお互いのためだぞ」
安武大翼
『えっコワ……』
安武大翼
顔をしかめている。
安武大翼
引き気味。割とずっと。
安武 陸
「バラバラ死体とか見つけたら、一緒に埋めてもらうからな」
安武大翼
『やめろやめろ』
安武大翼
『俺を巻き込むな』
安武 陸
「今からホテルに泊まってもいいんですよ~」
安武大翼
『どんな脅しだよ』
安武大翼
『っていうかりくにいがそういうのなったら結局巻き込まれんだよ』
安武大翼
『一瞬で噂がやべえって』
安武大翼
『マジでやめろ』
安武 陸
「そりゃそうか」
安武 陸
「先に謝っとくわ。ごめん」
安武大翼
意味不明なことばかり言う不気味な兄。マジで何?
安武大翼
すんごい困惑してる。
安武 陸
「……ほら、昔さ」
安武大翼
流石に視線がこちらを向いている。
安武大翼
『うん』
安武 陸
「溜め池で溺れたの、憶えてる?」
安武大翼
『あー』
安武大翼
『河野のおっちゃんが通りがかってくれた時の』
安武 陸
「……うん」
安武大翼
『あれビビったなぁ~』
安武大翼
『かなり曖昧だけど覚えてるよ』
安武大翼
『りくにいがめっちゃブルってたのも覚えてる』
安武大翼
ふふん、と鼻で笑う。
安武 陸
「……今でも、ずっと夢に見るんだ」
安武大翼
『えっ』
安武大翼
『そこまで?』
安武 陸
「そこまで」
安武大翼
『りくにい溺れてないじゃん』
安武大翼
『俺じゃん。当事者』
安武 陸
「俺のせいでお前溺れたじゃん」
安武大翼
『あー』
安武 陸
「帽子取りに行けって言ったろ」
安武大翼
少し、考え込む仕草。
安武大翼
『…………』
安武大翼
『……そだっけ?』
安武 陸
「そうだよ」
安武大翼
『そうだったかも』
安武 陸
「俺が帽子取りに行けっつって、俺は助けを呼ぶことも自分が助けることもできなくて、めっちゃブルってたんだよ」
安武大翼
あっ、と何かゲームの操作をシクッたのか声を漏らしたが。
安武大翼
『んー』
安武大翼
『そういえばそうだっけ』
安武 陸
「河野のおっちゃんがいなかったら、お前は」
安武 陸
「お前は……死んでるんだぞ」
安武大翼
『そうかもだけどさ』
安武大翼
『今、生きてるし』
安武 陸
今は、生きている。
安武大翼
『何』
安武大翼
『ずっと気に病んでんのりくにい』
安武大翼
『重~』
安武 陸
「お前が俺の弟なら、俺が重い男なのはよく知ってるだろ」
安武大翼
『再確認させられるたびヒく』
安武 陸
「……重い男だから」
安武 陸
「生きてるお前と話せて、よかった」
安武大翼
『人を幽霊みたいに言うな』
安武 陸
「ははは」
安武 陸
「そうだな、今、生きてるもんな」
安武大翼
『生きてるけど!?』
安武大翼
『なんなんだよ』
安武大翼
『こえーよ笑いが』
安武大翼
相当胡乱げな視線です。
安武大翼
じと……
安武 陸
なんなん にもなる
赤木 叶恵
意味不明なことばかり言う不気味な兄
赤木 叶恵
冗談めかした語り口でやばさが全然消臭できてない
安武 陸
「今にーちゃん大変でさー」
安武 陸
「かなりキてる」
安武大翼
『言動の全てがかなりキてるよ』
安武大翼
『……いやさ』
安武大翼
『それで楽になるかっつーとまあ怪しいけどさ』
安武大翼
『帰ってきたら?』
安武大翼
『いや、俺がそっち行ってからにしてほしいけど』
安武 陸
「はは、そういう手もあったな」
安武大翼
『母さんはまあ喜ぶと思うよ』
安武大翼
『鬱陶しいのもわかっけど……』
安武 陸
「うん……」
安武大翼
重さ、血筋か……? とか呟いてる。
安武大翼
だったらヤダな……
安武 陸
「親父もなんだかんだで喜ぶだろうしなぁ」
安武大翼
『気にかけてるよ』
安武 陸
「じいちゃんの介護も手伝えるし」
安武大翼
『わかってるだろ、流石に』
安武大翼
『…………』
安武大翼
『帰る気ない流れだろこれ!』
安武 陸
「バレたか」
安武大翼
『流石にわかるわ』
安武 陸
「なんかさ」
安武 陸
「もう、そうじゃない方に決めちゃったんだよ」
安武大翼
『……うん』
安武大翼
『はあ』
安武大翼
ピンときてない顔と声。
安武 陸
「えーっと、なんだろうな。 明日からマグロ漁船に乗って遠くの海に出ることを決めたみたいな? そういう……もう帰ってこれねぇかもしれねぇ……みたいな感じ」
安武大翼
『ええ…………』
安武大翼
『犯罪とかよりマシだけど……』
安武 陸
「ごめん……」
安武大翼
『謝られても……』
安武大翼
『え? 俺が報告すんの?』
安武大翼
『それ?』
安武大翼
『母さんと父さんに?』
安武大翼
『ちゃんと直で伝えろよ?』
安武 陸
「いやそれはせんでいい」
安武大翼
『良かった……』
安武大翼
『でも変な伝え方やめろよ……』
安武 陸
「別になんも言わないよ」
安武大翼
『マグロ漁船乗るのに……?』
安武 陸
「今まで通り、なんか連絡が付きにくいだけだって」
安武大翼
納得行っていない顔をしている。
安武大翼
すげー訝しそう。表情は雄弁。
安武 陸
「わからないか? 大翼……」
安武大翼
『……何が?』
安武 陸
「開けてはならない押入れ……、バラバラ死体……、マグロ漁船……、連絡の付きにくい兄……、大変でキている……」
安武大翼
『やめろやめろやめろ!』
安武大翼
『だからそういうのをやめろってんだよ!』
安武 陸
「肩身の狭い思いをさせるかもしれない……ごめんな……」
安武大翼
『謝るなら最初からするな!』
安武 陸
「はは、そりゃそうだ」
安武大翼
『大昔の池の件より今の生き方を見直せ!』
安武 陸
「ははは、マジでそう」
安武大翼
『嫌だ~』
安武 陸
「お前いいこと言うな」
安武大翼
『兄貴が延々メンヘラ女みてえな絡み方してくる……』
安武大翼
『この流れで褒められても嬉しくねえよ』
安武 陸
「お前大学行ったらメンヘラにモテると思うよ」
安武大翼
『マジで嬉しくねえ~!』
安武 陸
延々とうざったい事を言って、弟にダルい絡み方をする。
安武 陸
昔はもうちょっと突き放した態度だったと思うんだけど。
安武大翼
その様子を気色悪がりながらも、なんだかんだで相槌を打ってくれる。
安武 陸
多分大翼が生きていたら、俺はこういう兄になっていたんだろうな。
安武大翼
ヒいたり。心配してみせたり。罵ったり。
安武 陸
話は案外に尽きない。 久しぶりに話した仲のいい兄弟くらい。
安武 陸
弟は、自分のことをよく理解していると思う。
安武 陸
こんな弟が、いたらよかったのにな、と思う。
安武大翼
『うわ~』
安武大翼
『りくにいにウザ絡みされてたら5時めっちゃ過ぎてる』
安武 陸
「え」
安武大翼
『こんなことがあっていいのか』
安武 陸
いつの間にか、空が白み始めている。
GM
風はまだ春寸前の暖かさ。
安武 陸
「…………」
安武 陸
「大翼」
安武大翼
『んだよ』
安武 陸
「付き合ってくれてありがとな」
GM
びゅう、と
GM
冷たい風が吹きつけた。
GM
気付けばスマートフォンの画面は暗く。
GM
通話が切れている、のではなく、
GM
通話そのものがそもそもなかったことになっている。
GM
吐く息が白く立ち上る。
安武 陸
無意味だと分かっていても、画面を確認して。
安武 陸
連絡先に、その名前がないことだけがわかる。
GM
代わりに戻ってきた名前と履歴。
GM
あなたの着信履歴を埋め尽くす見慣れていた名前。
安武 陸
「…………」
安武 陸
18歳の大翼は、いい奴だった。
安武 陸
訳のわからないことを言う兄に、こんな時間にまで付き合ってくれて、家族を心配して。
安武 陸
春休みなのをいいことに徹夜でゲームして、東京に遊びに行くのを楽しみにしていて。
安武 陸
ちゃんと、人生を歩んでいた。
安武 陸
俺は、あれに手を伸ばすことができなかった。
安武 陸
あれは、いらないものだと。
安武 陸
不要なものだということにしてしまったのだ。
安武 陸
指先が動く。
安武 陸
先程まで、なかった番号へ。
安武 陸
「──もしもし、師匠」
安武 陸
「俺です」
安武 陸
一瞬だけ逡巡して。
安武 陸
「助けに、来ました」
GM
返答までは、
GM
一呼吸の間があった。
GM
魔女バレエ・メカニックの討伐と共に、海野標の願いは棄却された。
GM
それぞれの運命はそれぞれに遡り、
GM
人々は浮かれたイルミネーションに彩られた冬の街を歩く。
GM
再び訪れる、運命の朝。
海野標
「――仕切り直しだ」
海野標
「今度はきっちり決めてもらうから、腹ァ括れよ!」

ブラッドムーンキャンペーン『R:クロニック・ラヴ』

#3『みをつくし』

おしまい

 

――#4『海より深く、なお深く』に、つづく