決戦前後サブロール

決戦前

『毒蜘蛛』楠瀬新
「……いやー、しかし」
『毒蜘蛛』楠瀬新
すすす、と御影の座るベンチの方に寄りながら。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「なんなんすか、アレ。クロニック・ラヴがどうたらゆうとるけど」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「御影さんなんか知ってはるんすか?」
迷ノ宮御影
ベンチに背を預けている。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「クロニック・ラヴて、御影さんがついてたやつっしょ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「ハンター裏切って、ぎょーさん人殺してさぁ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「なんか関係あるんと違います?」
迷ノ宮御影
「……お前の知らない話ではないな」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「んー」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「そうなん?」
迷ノ宮御影
「新」
迷ノ宮御影
「お前の悪癖の始まりになった男だ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……んんん?」
『毒蜘蛛』楠瀬新
首をひねる。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……心当たり、ないな~」
しばらく首をひねっていたが、やがてからから笑って。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「悪癖てなんのことです~」
迷ノ宮御影
ため息をついた。空を仰ぐ。
迷ノ宮御影
「あれが逃げなかったからエスカレートしたんだろうが……」
迷ノ宮御影
「叶恵のいた頃、お前が忙しくしていて良かったと思っているぞ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「デリカシー、無ぁ~」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「あの女勝手にヤク中なっとりましたし、俺が手ェ出すまでもあらへんわ」
迷ノ宮御影
「…………」
迷ノ宮御影
「バレエ・メカニックについた理由は、やはり」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「別に~」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「姉さんのことそんな気にしとるワケでもないすわ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「近親相姦にも興味ありませんし~」
迷ノ宮御影
「…………」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「まあ、でも」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「バグった魔女が使い捨てられる前には」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「利用してもええかなと思いました」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「そんだけっすわ」
迷ノ宮御影
「そうか」
迷ノ宮御影
「……それで、思い出せそうか」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「だから何がすか」
迷ノ宮御影
「…………」
迷ノ宮御影
バレエ・メカニックを見上げた。その輝きを。
迷ノ宮御影
「……あれも、まあ」
迷ノ宮御影
「よく引きずらなかったというか、なんというか……」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「知らんけど俺の人徳ちゃいます~?」

決戦フェイズ 途中

GM
バレエ・メカニックの胸より溢れる光は高台に満ち満ちて、
GM
いつしか狩人たちが戦いで負うた傷をも修復していた。
GM
それはフォロワーであった男にも同様に。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……ん」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「あー」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「あー……?」
『毒蜘蛛』楠瀬新
ぼんやりとベンチを起き上がって、髪をかき上げる。
『毒蜘蛛』楠瀬新
牙を立てられてずたずたにされた筈の腕で。
『毒蜘蛛』楠瀬新
その傷が治っていることと、応急処置がなされていることに気付きまばたきをすると、
『毒蜘蛛』楠瀬新
「わぁー」
『毒蜘蛛』楠瀬新
振り返る。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「世話ァかけましたわ」
迷ノ宮御影
「巻き戻るとはいえ、死なれるのも寝覚めが悪かったろうからな」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……そうなるくさいスねー」
『毒蜘蛛』楠瀬新
歯車を落とし、光を散らす機械人形の手を取る男の様を見ている。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……あー、あーあーあー」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「あー……」
『毒蜘蛛』楠瀬新
包帯を外しつつ何やら頷いている。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「そういやそうっしたねえ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「せやったせやった。あー。うんうん」頷いています。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……やっぱ俺の人徳とちゃいます?」御影を振り返った。
迷ノ宮御影
「どうだか」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「まァさすがに人徳は置いとき、意図は理解しとったんでしょうよ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「御影さんは優しゅうしとったけど、あんなんどこ行っても目立つやんか。国内なら出る杭は打たれ、国外なら生意気なアジアンのガキやで」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「多少の洗礼ちゅーかなあ」
迷ノ宮御影
「…………」
迷ノ宮御影
「多少で済んだか?」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「多少やありません?」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「命に関わるようなことはした覚えないけどなー」
迷ノ宮御影
ため息。
『毒蜘蛛』楠瀬新
呆然としゃがみ込んだ美乃梨の様子を見て、やれやれと腰を上げる。
『毒蜘蛛』楠瀬新
「俺はあの娘送ってきますわ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「これから書き換わるゆうても、さすがに気の毒ですからなあ」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……あ、そだ」
迷ノ宮御影
「?」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「御影さん、これこれ」
迷ノ宮御影
「…………」
迷ノ宮御影
渡されたものを見て、小さく嘆息する。
迷ノ宮御影
「……稜介と言い、お前たちはどうしてこう……」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「いやー、ははは」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「そういうアシストしとうさせるのも御影さんの人徳ゆうことで」
迷ノ宮御影
「どんな人徳だ……」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「尊敬しとりますよー」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「……そんじゃ、御影さん」
『毒蜘蛛』楠瀬新
「お元気で」
迷ノ宮御影
「……ああ」
迷ノ宮御影
「お前も壮健でな。新」