#1 降りそそぐ愛 導入
GM
ブラッドムーンキャンペーン『R:クロニック・ラヴ』
惨殺シーン
GM
連日繰り返されている通り魔事件の犯人は、いまだ足どりさえ掴めず
GM
その死傷者数はすでに急に規模がでかい。百を超えていた。
GM
にもかかわらず、人はいつも通りの生活を送り続ける。
GM
もたらされる静寂は、そうして夜の街に出た人たちが、
GM
狩人達はモンスターを退治すべく、動き出していた。
海野標
現代伝奇ものではなんとしてもやりたい描写。ビルの下から吹き付ける風が、海野標の戦闘衣のマントを翻す。
海野標
途中、慌てた様子でビルの端に駆け寄り、下を覗き込む。
海野標
「主役を置いて、勝手に始めてんじゃねえよ!」
GM
来る12月19日の満月の夜、狩人たちはすでに動き出しています。
GM
めちゃめちゃヤバいことになっており、吸血鬼をどうにかしないと大変なことになるため、頑張って止めてください。
安武 陸
しるしを胸に刻みこめ、今標なんだなってなって気が付いた
GM
なので、幕間から19日に至るまでの好きな時間軸をやっていただくのがいいですね。
導入:安武陸
GM
勿論、中身が詰まっている。サラリーマンらしき遺体。
GM
あなたがたは夜間のパトロール中にその遺体を発見する。
海野標
慣れた手付きで遺体の肩に手を添え、身体を返し、傷跡を確認する。
GM
人間を一撃で死に至らしめるだけの、鮮やかな手際。
安武 陸
ため息を吐いて、形だけでもと手を合わせる。
GM
この一連の殺人事件で伝えられている犠牲者の全員が、同じやり方で殺されている。
迷ノ宮 光葉
「ひどいものですね……」今日もここにショッキングな武器が入っているんですか?大きなトランクを傍らに置いて、顔をしかめる。
海野標
顔をしかめたまま、その遺体を天に上向ける。
海野標
見開かれた瞼に手を添えて、目を閉じさせた。
安武 陸
アスファルトに広がる血液に視線を巡らせる。
GM
流された血は酸化し色褪せ、べったりと地面にこびりついている。
安武 陸
被害者が多すぎることと関係しているのだろうか、なんて思う。
GM
犠牲者の数は鰻登りに、一方で、狩人たちには違和感がある。
GM
これだけの死人が出ているにも関わらず、街はあまりにも静かすぎる。
安武 陸
さすがに、これほど連続して死体を見たことはない。
GM
最近人死にが多い、物騒だ、そのように言及するもののいる一方で、
GM
これが明らかな異常事態であることには、多くの人が気付かぬままである。
GM
まるで、魔女に認識を改変されているかのように。
赤木 叶恵
「とりあえず、人間業っぽくはないよね」
安武 陸
ため息を吐く。少なくとも下手人が人間でないのなら、自分も同じ殺され方をするかもしれない、ということだ。
海野標
「手際が良すぎるし手口も同じ。人間が一人で追いつく数でもないからな」
海野標
もとより喋る方ではないが、いつにもまして愛想がない。
福
口々に感想を述べたり考えたりする狩人たちのそばに座る。時折現場の空気を嗅ぎ、じっと宙を見つめる。
海野標
「……光葉さん、呼び方をいまいち迷っている。でいいか。どう思う」
迷ノ宮 光葉
「……そう、ですね。わたくしの見立てがあっているかはともかく、吸血鬼にしては獲物を狩っているというよりか無闇に死体を増やしている、という感じが、します」
迷ノ宮 光葉
「魔女ならば、もう少し醜悪な……かわいらしい演出をされるでしょうし、ただの怪物にしては知性があるように思います」心臓をひとつき、は手練の手腕だ。
安武 陸
光葉ちゃんの見識 有識者ってかんじでたすかる
海野標
繁華街より闇の深まる方をゆけば、また人の死体に行き当たる。
安武 陸
ゴミのポイ捨てと同じテンションで死体がポイ捨てされている街。こんなに死体がゴロゴロ転がっている街は嫌だ。とても嫌だ。
海野標
切れかけの街灯の光が明滅して、倒れた死体の影を揺らしている。
海野標
「叶恵のことは迷わず呼び捨てにした。叶恵は?」
赤木 叶恵
「吸血鬼にしろ魔女にしろ何にしろ、“っぽくないな”って感じだよね」
赤木 叶恵
「こいつが特別に変な奴なんだ。せめて死体から目的がわかればいいんだけど」
赤木 叶恵
「とりあえず、食事目的じゃないよね。味見すらしてないんだもん」
海野標
まるで生きているかのように、光に照らされた影が出たり消えたりと。
赤木 叶恵
「殺す事自体が目的?にしては、うーん……どっちかっていうと」
赤木 叶恵
「手段……? この後に何かまだ続きそうというか。わかんないけど」
海野標
誰の目にも明らかに、その肉塊は、生命活動を止めて久しい。
迷ノ宮 光葉
「……兄が阻止しようとしていた、血戒の名前……ですが」
海野標
「……血戒でもって魔法を成立させよう、とかいう」
敷村 修也
そもそもモンスターの存在が既に漫画みたいなもん。漫画みたいな、と言いかけて口を噤んだ。
海野標
「その血戒の成立には、夥しい血の犠牲を要する」
海野標
「積み重ねた犠牲の数で、運命の在り方に手を伸ばす」
海野標
これで五人目。風俗業に従事しているらしき若い女だった。
安武 陸
倒れた死体から、地面に広がる血液。夥しい血。
海野標
「このところ、ずっと世界各所を回ってたって話だが」
敷村 修也
「世界各地でって、そんな大規模な血戒なのか?」
海野標
「どっちも魔法みたいなもんではあるが、魔法の方が超絶デタラメがサクっと叶う。
それを扱う魔女が根本的に悪意の薄い存在だからギリイーブン、みたいな感じ。血戒と魔法ってのは、外から見たら似たようなもんに見えて」
海野標
「吸血鬼には魔女のような大規模な現実改変能力はない」
海野標
「その垣根を飛び越えるってんだから、相応の代価は要るだろうよ」
海野標
代価として支払われた人間の亡骸を見ている。
赤木 叶恵
「めんどくさ……。もしかしなくても大捕り物になるじゃん」
海野標
「あいつもサバト連発して背徳破壊して回るわ6ラウンド元気に暴れ回るわ最悪だったが……。この前の魔女よりは面倒な相手だ」
安武 陸
「俺も波長合ってないほうがよかったな……」
安武 陸
あれ、という顔で標を見る。普段ならツッコミが入ってもよさそうなものだ。
敷村 修也
「俺は自分の暮らしてる街でよくわからないままこれに巻き込まれる方が嫌ですよ……」
海野標
「まあ、結局人が死んでることに変わりはないからな」
海野標
代わりに突っ込んだ修也へと、相槌をうつような言い方をする。
海野標
「波長が合ってようがなかろうが、そこは同じだ」
安武 陸
最近の標はいつもと違う。陸からは、元気がないように見える。
敷村 修也
いつも通りのようで、いつも以上に愛想がないように思える。
安武 陸
冗談や弱音を言っても怒られたいの?怒らないので、調子が狂う。
迷ノ宮 光葉
「……どちらにせよ、兄が止めようとしたものならば、わたくしが代わりに止めなければならないものです。これ以上血を流させることも、運命を変えることも許されないと、考えます」
赤木 叶恵
「まあ、襲われるのを待つよりは襲いに行く選択肢ある方が楽か」
安武 陸
「……そっすね」
軽く返事をする。いつもならもう少し駄々をこねたい所だが、今の標相手にはそうする気にならない。
海野標
そっけないメールのアイコンにされるような横長のやつ。洋形封筒だった。
GM
狩人たちは街を巡り、モンスターの重ねた戦果を思い知らされる。
GM
五人と一匹が見つけた遺体の数は、十七にも及んだ。
安武 陸
海野標はこのところ口数が減っている。もとより喋る方ではないが、いつにもまして愛想がない。
安武 陸
陸からは、元気がないように見える。冗談や弱音を言っても怒らないので、調子が狂う。
安武 陸
くだらないことを話すのは、自分が日常にいると認識できる行為であり、自分を騙す行為である。
安武 陸
自分がそう考えていることを、標は知っていたはずだ。
安武 陸
普段の標なら、無視する場合、わざとらしいくらい明確に無視する。律儀だと思うほどに。
安武 陸
それをしない今の標は、どこか余裕がないように見えてしまう。
安武 陸
何か言ってやりたいとは思うが、何も言えない。
安武 陸
ふざけたことを言って、怒られないことに突っ込んで、煽ったりして、余裕がないことを指摘して。調子に乗るなよ、と怒られてめでたしめでたし。
安武 陸
他人にできることには限界がある。今の自分の立場で、標との距離感で、届きそうな言葉は見当たらない。
安武 陸
時間が解決することは多い。今は何もできなくても、1週間後の自分は、明日の自分は、1時間後の自分は、何かができるかもしれない。
安武 陸
そもそも標のことだ。自分が何もしなくても自己解決してしまうかもしれない。
安武 陸
でも、今度話を聞くくらいしてもいいかもな、と思いつつ
安武 陸
その思いは、大量の死体の、大量の血に流されていってしまう。
GM
PC番号順でやってしまおう。叶恵ちゃんいいかな。
導入:赤木叶恵
GM
お話だし、やっぱり帰宅後かな。
先程のシーンの少し前に時間軸を取りましょう。
GM
さて、恵夢ですが、ハロウィンの一件以来、バイトに出ることがかなり減りました。
GM
辞めたわけではないけど、シフトが減った。その分家のことを色々やっている感じがします。
GM
なんとなく、塞ぎ込みがちな気配もあった。強姦未遂。あれだけのことがあったから当たり前ですが……
GM
クリスマスやら忘年会シーズンの繁忙期に、街が浮き足立つようになってきたのですが……
赤木恵夢
キッチンの食卓に、恵夢が顔を伏せている。
赤木恵夢
コンロには大きな鍋がひとつと、食卓の準備は済んでいるけれど、
赤木 叶恵
玄関のドアを静かに閉めて、姉の近くへ。
赤木恵夢
遅れてそれを思い出したように、指先で目元を拭う。
赤木恵夢
作った笑顔と裏腹に、目の端から涙がまた溢れ落ちる。
赤木 叶恵
口を開こうとして一度閉じる。洗面所で手を洗ってから再び戻り、食卓へ。
赤木恵夢
ポトフは冬になると恵夢のよく作る料理で、
赤木恵夢
一番大きな鍋を使って量を作って、途中で味変とかします。
赤木恵夢
恵夢のぶんと思われるほうは、かなり少なめに。
赤木恵夢
スプーンは木製のもの。温かみがあるからと、好んでよくこれを使う。
赤木恵夢
夕食の支度をしているうちに、いつものルーティンワークに少しずつ落ち着きを取り戻してきたのか。
赤木恵夢
恵夢もなんとか泣き止んで、二人で食卓につく。
赤木 叶恵
深皿と木のスプーン。湯気を立てるポトフ。
赤木 叶恵
「いつも通りを頑張りつつ、いつもよりも頑張って口数を増やしている感じがする。……これが出ると、冬になったなって感じがする」
赤木 叶恵
「いただきます」スプーンを手に取って一口。
赤木恵夢
叶恵に遅れて手を合わせて、恵夢も食べ始める。
赤木 叶恵
口の中でごろりと転がる野菜はまだ熱い。熱のこもった息を吐く。
赤木恵夢
以前だったら、こういう叶恵の感想にももっとあれやこれやと言葉を重ねてきたものだが。
赤木 叶恵
近頃は、学校から帰る時間が早くなった。
赤木 叶恵
姉を放ってはおきたくなかったし、自分自身、外は居心地が悪かった。
赤木 叶恵
あの叶恵が!放課後、どこにも寄らずにまっすぐ帰る事も増えた。
赤木 叶恵
それでも、帰りの遅い日は少ないわけではない。
赤木恵夢
浮かべていた笑顔も少しずつ忘れてしまって、
赤木恵夢
バイトの減った恵夢は、叶恵を出迎えることが増えた。
赤木恵夢
恵夢はいつでも叶恵の帰宅を喜んで笑って、明るく振る舞ってみせては、
赤木恵夢
それが最後までうまくいくこともあれば、そうでないこともある。
安武 陸
え~ん師匠の様子が変だしお姉ちゃんの様子もいつもと違うよ~
赤木 叶恵
気を回すのは得意ではないが、この状況で違和感に気付かないはずもない。
赤木 叶恵
直球勝負に定評あり。こういう言葉が出てくる。
赤木恵夢
ぼんやりと野菜を割っていた手が止まった。
赤木恵夢
でも、今、とか、こんな話、とか、しばらくぼそぼそと悩み込んでいたが、
赤木恵夢
首を縮めて、流した涙をまた端から指で拭おうとしながら、叶恵の名を呼ぶ。
赤木恵夢
時折話題にあげる、仲のよいクラスメイトの名を口にする。
赤木恵夢
あなたの姉は肩を震わせながら泣いている。
赤木 叶恵
近頃、人が死ぬ話をよく聞くとは思っていた。
赤木 叶恵
だが、何件かそういう話が重なるなと感じた程度。
赤木 叶恵
ニュースになるわけでもなく、組織がどうこう言うわけでもなく。特に問題に上ったりなどという話も聞いていない。
赤木 叶恵
自分で調べたわけでもない。こうして勝手に耳に届く話だけでも、もう10件近くを耳にした気がする。あまりにも死に過ぎではないだろうか?
赤木 叶恵
「……外、危ないから出ちゃだめだよ。特に夜は」
赤木恵夢
そういった叶恵の忠告も素直に聞くようになった。
赤木恵夢
がんばってくれてるみたいだった、って、ぼそぼそと口の中で不明瞭に。
赤木 叶恵
「声がちょっとひっくり返っている。しっ、知らない」
赤木恵夢
と、深追いはせずに、しかし少し落胆したように。
赤木恵夢
「その人に、会うようなこと、あったら……」
安武 陸
そんな人と妹が顔見知りなわけないしな~~っ
GM
誰だかもわからん相手に感謝を伝えようがないよなあ~っ
赤木 叶恵
「きっとすぐに収まるよ。年末年始は外に出れる」
赤木 叶恵
これは異常事態だ。狩人たちに連絡を取ってみよう。
赤木 叶恵
何が起こっているかはわからない。敵がいるかもわからないし、もしかしたら狩人の管轄ですらないかもしれない。
赤木 叶恵
それでも、姉が脅かされている。自分は動く理由はそれだけで十分だ。
赤木 叶恵
0話で集まった狩人たちのグループチャットができている。グループへと、メッセージを打ち込む。
赤木 叶恵
調査したいことがある。力を貸して欲しい。だから送信ボタンを押した。
チャットへとメッセージが表示される。
GM
叶恵の勢いに反して。
海野標からの返信が来るまでには、暫くの間があった。
安武 陸
師匠……忙しそう……ちゃんと寝てるかな……
導入:敷村修也
灰葉陽
「聞いたよー、この前の中間順位よかったんだって?」
敷村 修也
「おはよう。まぁね。結構頑張ったから」
迷ノ宮 光葉
思い出の中はきらきらしているかんじだ…
敷村 修也
ちょっとばたついてふわっとしちゃったので調整しています
灰葉陽
修也の通う中学校と、ひなたの通う高校へは、通学路が途中まで被っていた。
敷村 修也
「もう中学生になったんだしいつまでも子供じゃねーもん」
灰葉陽
急ぐような時間でもない。のんびりと、この時間を楽しむように言葉を交わしながら。
灰葉陽
「私けっこう苦労したよ? 中学上がった時さぁ」
敷村 修也
「中1の中間なんて別に難しくないって。英語とか超簡単だったし」
灰葉陽
「今ここで難しくなったって言ってる人いるんですけど……」
灰葉陽
いやまあ確かに英語はけっこう楽だったけど……とか
敷村 修也
「中学の時のひなちゃんより俺が賢いってことじゃん」
灰葉陽
「なんてことない事実みたいに言うなぁ~!」
敷村 修也
「ひなちゃんがちゃんと勉強しておけって言ったくせに」
安武 陸
中1男子、年上の女子とイチャイチャしてるの見られたくないよね
灰葉陽
「壁に耳あり障子に目ありって言うもんね~」
灰葉陽
途中、何かに気付いたように、ひなたが通学路を振り返る。
GM
まだ見慣れぬ天井が、あなたの視界に広がっている。
GM
眠るたびにあの頃の夢を見るようになって、そろそろ一週間が経つ。
敷村 修也
流石に毎晩のようにみる夢にも慣れ、目を覚ましてもため息も出ない。
敷村 修也
記憶の中にしかないと思うとどうしても思い出してしまう。
敷村 修也
枕元のベッドテーブルに置いた洋封筒には海野からもらった写真が入っていた。
灰葉陽
記憶に思い描いていたものが、確かに存在していた事実を、再確認できる。
灰葉陽
高校に入った後、若葉の時節の、制服姿の灰葉陽の写真。
敷村 修也
ちょうど自分は中学に上がったころのひなちゃんの写真。
敷村 修也
ほんの少しあった写真やらなにやらは、0話の幸福破壊で家を燃やされている。すべて家と一緒に燃えてしまった。
敷村 修也
海野からもらったたった一枚の写真を大切に封筒にしまいなおすと、ベッドから降りて服を着替える。
GM
生家が火事の被害に遭った修也は、そのあと両親と話し合って進学予定の大学近くに独居することが決まった。
GM
見つけた両親の仮住まいも遠く、どうせ大学に行くのにそうする予定だったし丁度いい機会だ、という結論。
GM
その代わりのように、こうして毎朝夢を見て、灰葉陽のことを思い返している。
敷村 修也
1人暮らしは問題ない。
両親がいなくてもちゃんと生活できる。
敷村 修也
むしろ自分の近くにいればいるほど、両親が巻き込まれる可能性も上がるだろう。
敷村 修也
だから、1人でもちゃんと生活できると示したかった。
敷村 修也
パンを焼いてハムをのせて、野菜ジュースで流し込むだけ。
敷村 修也
1人分の洗い物を済ませると、誰もいない部屋を後にする。
GM
まあ初期だからちゃんとしてるというのもあるだろうが
安武 陸
ファミチキとかアイスクリームとかで済ませない分偉い
松井正幸
「しっかし海野の坊、こんなダチがいたとはなァ」
GM
曙光騎士団のオフィスに併設されたトレーニングルーム。
GM
そこであなたを鍛える男――曙光騎士団所属のハンターは、
GM
トレーニングが終わって息をつく修也を見下ろしながら、愉快げに肩をすくめた。
GM
名前は松井正幸。槍使い。バツイチ子持ち、らしい。
GM
彼とは海野標の紹介で知り合った。面倒見てくれとか言われてる、とか、そういう風な話。
敷村 修也
「あー……まぁ、海野は友達たくさん作れるようなタイプじゃないですからね」
敷村 修也
「俺と違って愛想悪いですし。学校にもあんまり来てないですから」
安武 陸
師匠ちゃんとお友達いるかな……しんぱい……
松井正幸
「陸PL「一応ってなんすか! 実力がめちゃめちゃめちゃめちゃあるし精力的なハンターっすよ!!」いちおうま、実力あって精力的なハンターではあるからな」
松井正幸
「むしろなんで学校行ってんだろな。いや、行ったほうがいいとは思っけどよ」
敷村 修也
「……そのあたりは、海野にしかわからないですからね」
松井正幸
「ブイブイ言わしてた無所属の頃より、隠居して曙光に飼われてる今のが安定してっからな」
敷村 修也
もしかすると、と心当たりがないでもないが、あまりにも突拍子もないことだと口にはしなかった。
敷村 修也
「ええ~、松井さん無所属の頃そんなにワルいことしてたんですか?やんちゃ自慢ですか?」
松井正幸
昔はもっと尖ってたらしいですが、足に大きな怪我を負って前線を退いた今はこうして新人の面倒を見るのを主な生業にしているらしいです。
松井正幸
「いや、後からはちゃんと帳尻合わせたけどな?」
安武 陸
女が子供を引き取った場合に男は養育費滞納しがち
安武 陸
避妊しなよ!!と思ったけど、そう考えるとハンターは優秀な血統の人以外は子供作らないほうがいいな 去勢しよう
松井正幸
結婚して子をこさえた後にハンターになることもあるんだぞ
安武 陸
家のローンもあるのにハンターになんてなれないよ~
安武 陸
地位も信頼も得た会社をモンスターとの戦いに赴くために無断欠勤しないといけないの嫌すぎる
敷村 修也
「うわ、典型的な不良どころか社会的にもまずいじゃないですか」
松井正幸
「吸血鬼ハンターってのは収入が不安定なんだよ。仕方ねえだろ」
松井正幸
「モノビースト狩ってる奴らとかはなんなんだかね~。吸血鬼ハンターとモノビーストハンターは割と仲が悪い。
曙光騎士団は吸血鬼ハンターの組織。あれ変態だろ」
松井正幸
あれは全然金にならねえ、とか切って捨ててる。
敷村 修也
「吸血鬼が一番お金になりやすいんでしたっけ」
松井正幸
「溜め込んでる奴を当てて、いい感じに配分もぎ取れりゃな」
敷村 修也
「まぁ生活不安定になりますよね、それだと。海野はなんか結構稼いでるみたいですけど」
松井正幸
「数狩りゃそのぶんアタリも引けるからな」
松井正幸
「ここ最近はずっと街にいっけど、前は海外飛び回ってたって話だし」
松井正幸
「あいつはあいつで溜め込んでんじゃねェか?」
敷村 修也
「その辺は俺にもわかりませんね。少なくとも金に困ってはなさそうですけど、どういう生活してるかまでは聞いたことないですから」
松井正幸
煙草を取り出しかけて壁に張られた禁煙のポスターを思い出しています。
安武 陸
英語喋れても喋れなくてもそんな……ってなる
松井正幸
「の割にゃわざわざ俺様を紹介してもらえるたぁ、修也お前ツイてんなァ」
松井正幸
どっちへの感謝だかわかんないようなことを言いながら、修也の背中をばっしんばっしん叩きます。
敷村 修也
「ははは、そうですね。ありがとうございます」
敷村 修也
ばっしんばっしんたたかられながら松井への感謝を口にする。
松井正幸
「まあその子供を人殺しに仕立て上げてんのが俺の仕事だけどな」
安武 陸
松井さんほどよくダメないいおじさんでいいな
安武 陸
修也くん、結構こんな弟子が欲しい!みたいな理想の弟子に近くない?
松井正幸
今更威厳ありげに重々しく頷いてから、時計を確認する。
松井正幸
「お、終わりだな」微妙な勤務残り時間を雑談で潰してました。
松井正幸
「俺帰っから、戸締まりとか鍵とか頼むわ」
松井正幸
全体的に雑用とかもう容赦なくポンポン投げてきます。
敷村 修也
「わかりました。松井さんもお気をつけて」
敷村 修也
そういうことは気にならない。慣れたもんだ。
松井正幸
へらへらと手を振って、トレーニングルームを出ていく。
GM
松井がいなくなって改めて、あの人煙草臭いよな、とか、そういうことが再確認されたりする。
敷村 修也
トレーニングルームを片付け鍵をかける。
GM
曙光騎士団のオフィスは、トレーニングルームなんてものがあるくらいなので、それなりに広いビルにある。
GM
ですが、ハンターを始めてからは、それなりにこういう連絡も増えた。
GM
結構みんな胡乱だし、知らない電話番号からかかってきたと思ったら松井だったとか、そういうこともあった。
敷村 修也
画面を見ながら少し待つ。切れる様子はない。
敷村 修也
ハロウィンのことを知っている。そして自分の電話番号を知っていて、なおかつ非通知で掛けてくる。
それだけならまだどういう相手なのか絞り込むことは難しかった。
敷村 修也
電話口の向こうから出てきた言葉はあの悪趣味な魔女と同列のよくないものだということがすぐにわかる。
GM
『君がそれを望み、そのために行動するのなら』
GM
その上でずかずかと踏み込むように言葉を重ねる。
GM
『彼女との再会を願うなら、君が戦うべき相手はモンスターではない』
敷村 修也
あのハロウィンの日のような、土足で踏みあがられるような不愉快な感覚。
あの時に教わったように、言葉を深くとらえず聞き流すよう努力する。
敷村 修也
「ああ、そうですか。すいませんが今忙しいんで……」
GM
『それを取り戻す権利もまた、君にはあるはずだよ』
敷村 修也
まともに取り合おうとしなくとも、電話口の男の言葉は心の奥底の言葉にもできないような部分をざわつかせる。
不快で、感覚的に避けたく、そしてだからこそ触れたくなるようなもの。
安武 陸
は~~~~~~???そんなものないが~~~~~~??????
安武 陸
師匠がなんかそういうことするわけないだろ!!!!!聞くな!!!!!!!!
GM
『俺は君が知らないことを教えてやろうと思った』
敷村 修也
「なんのことだかさっぱりですね。もういいですか?」
安武 陸
いやまだ恋人と信用するのは早い ストーカーとかかもしれん
GM
他人を恋人と思い込んでいる人とかいますからね
敷村 修也
何もかも怪しい上にめちゃくちゃすぎる話。ひなちゃんの恋人を名乗る男から、電話でひなちゃんに再び会うために、海野からなにかをとりもどせって?
敷村 修也
明らかに”そっち”側の話で、今すぐにでも報告して話の内容にはまじめに取り合わない方がいいとわかっていた。
敷村 修也
それでも、通話ボタンを自分から切ることはできなかった。
敷村 修也
再び静かになった廊下で通話の切れたスマホをじっと見つめていた。
GM
ぶっ続けだけどぶっ続けなのはGMだけだからやっちゃおう。
導入:迷ノ宮光葉
GM
御影の意識は戻ったものの、入院はまだ長引いています。
GM
一年間で衰えた身体のリハビリテーションだとか、そもそも眠っていた理由が分からないための精密検査だとか、八角宗家に頼るよりは病院にいた方がマシだとか、
GM
その日は珍しく、光葉より先の見舞客があった。
安武 陸
そうだぞ なんでも師匠のせいにするな!!
迷ノ宮 光葉
聞き耳を立てるのははしたないので立てないのですが、誰か居るなら一瞬扉を開けるのをためらいます。
GM
先客が個室を出てきて、扉の前に立つ光葉を見下ろす。
迷ノ宮 光葉
「あの、えっと……」突然のことでしばし固まる。
GM
レザージャケットを着込んだ軽薄そうな男です。
楠瀬新
楠瀬新。かつて御影と組んでいた、ハンターの組織。SNSフォーラムで、まあまあ胡乱。バベルネット所属のハンターです。
楠瀬新
御影が倒れたことを光葉に伝えてくれたのもこの男でした。
楠瀬新
陸の幕間で軽く触れられていた。例の楠瀬です
楠瀬新
御影とは組んでたけど、叶恵ちゃんとはあんまり関わりがないです。
迷ノ宮御影
面識は一応ありますが、連絡先は交換していないくらい。
叶恵がハンターになったあたりくらいで御影との縁が少し薄くなっていたようです。
迷ノ宮 光葉
「いえ、いま来たところです。お世話になっています、楠瀬さま」ぺこりと会釈する。
楠瀬新
「御影さん待っとるで、はよカオ見せてやり」
楠瀬新
そんじゃ、と挨拶を残し、楠瀬は去っていく。
迷ノ宮 光葉
彼が去っていくのを見送って、入れ替わりに病室へ入り、兄に挨拶をして様子を見ます。
迷ノ宮御影
ベッドに背を預けた御影の手元に、今日は青いレバーファイルがある。
迷ノ宮御影
光葉はそのファイルを見たことがある。楠瀬の手引で入ることがあった、御影の部屋に置かれていたものだ。
迷ノ宮御影
運命変転血戒『クロニック・ラヴ』についての資料をまとめたものに、相違ない。
迷ノ宮 光葉
「はい、お兄様」持ってきた花など飾りながら、兄の横に座る。見覚えのあるファイルをそれとなく見てしまう。
迷ノ宮御影
恐らく御影の要請を受けてか、楠瀬がそれを持ってきていたのだろう。
迷ノ宮御影
「毎日悪いな。お前も暇ではなかろうに」
迷ノ宮 光葉
「いえ、光葉さんの背徳壊れちゃった……お兄様よりも優先することはありませんから」
迷ノ宮御影
「……光葉の断言を斜めに受け流す。あってもいいとは思うがな」
迷ノ宮御影
「……あの時のハンターとは、まだ連絡を保っているか」
迷ノ宮 光葉
「はい、皆様とは連絡がつくようにはしております」
迷ノ宮御影
筋肉の衰えからか、ファイルを綴じ直すのにも苦労する。資料の数が多いためになおさらだ。
迷ノ宮 光葉
横から失礼しますと断ってから、ファイルを閉じ直すのを手伝いましょう。
迷ノ宮御影
光葉の助けに、戸惑ったように指が滑る。
迷ノ宮御影
まとめられていた書類が散らばって、病室の床に広がってしまう。
GM
それらの資料には運命変転血戒『クロニック・ラヴ』についてまとめられている。
GM
光葉は書類を拾いながら、どうしてもその資料の断片を垣間見てしまう。
GM
それは魔法を血戒で成立させるものであること。
GM
吸血鬼、クロニック・ラヴが所有していること。
GM
数年前から唐突に現れて、すでに各国で猛威を振るっており、
GM
ワールドワイド。ロンドン、ニューヨーク、モスクワ、北京など、
GM
各国で戦闘があったが止められず、それらの地で儀式は済み、
GM
血戒が魔法として定着する準備が整っているということ。
GM
既に光葉が一度資料を確認して、知っていることだ。
GM
しかし、その中に一つだけ、真新しい資料がある。
迷ノ宮 光葉
兄が立ち向かおうとしていた事態はかなり大きな物事だったのを感じ取って、真新しい資料に目を向けます。
GM
それは運命変転血戒とは関係のないはずの、一人の少女についてまとめられたもの。
GM
五年前に殺された一人の少女と、その家族のことが書かれている。
GM
その一ヶ月ほど後に、揃って吸血鬼に殺されている。
GM
灰葉家には、とある事実との矛盾。ひなたの他に子供はなかった。
GM
僅か二ヶ月足らずで、ひとつの家族が皆殺しにされたことになる。
GM
そのような記述に、黄色い蛍光マーカーで線が引かれていた。
迷ノ宮 光葉
「あ、いえ……」すぐに資料から顔を上げて、まとめ直したものを兄の代わりにファイルに挟む。
迷ノ宮御影
まとめ直してもらったファイルを受け取ります。
迷ノ宮御影
「狩人として戦うつもりがあるのだろう」
迷ノ宮 光葉
「それは……勿論です。迷ノ宮家の娘として……、お兄様が守ろうとしたものはわたくしが代わりに務めるつもりでありました」
迷ノ宮御影
息をつく。ファイルを脇に置いて、ベッドに背を沈めた。
迷ノ宮 光葉
死の際に接する機会は狩人であり続けるならばずっと多い。決して死なないとは言えないし、死せずして大怪我をすることもあるだろう。
迷ノ宮 光葉
けれど、兄が死ぬなと案じてくれるのなら、自分は死ぬつもりは毛頭ない。
迷ノ宮 光葉
兄の気持ちに自身を奮い立たせる。死なないし、死なせない。覚悟をきめて。
迷ノ宮御影
光葉の返事に、そこに込められた覚悟の重みを間違いなく汲み取って、