GM
はい!
GM
皆様お揃いですね!
宮城ユウキ
はーい
シェリ
はい!
藤花
はーい!
GM
はーい。ではよろしくお願いします!
GM
はじめにキャラ紹介からやってもらいますか。

キャラクター紹介

GM
軽くでいいので、キャラと疵の紹介をお願いします。キャラ目線でもPL目線でもどちらでもOKです。
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
GM
では藤花さんからお願いしてよろしいでしょうか?
藤花
はい

PC紹介:藤花

藤花
「元の世界では妓楼いうて……まあ娼館やね。経営しとりました。前は働いてもおったんやけど今は裏方やね。」
藤花
「実は結構人気者なんよ?」
藤花
エセ京都弁はなんか元の世界での高貴な言葉遣いが堕落の国翻訳された結果だと思ってください。
藤花
心の疵は『異食症』。毎日毒草を食べてます。むしゃむしゃ!!
藤花
「薬草が足らんときはまあ…毒虫とかもいけんくはないなあ。うちの持ち物触ったらあかんよ?死ぬから。」
藤花
もう一個の心の疵は『妓女の誇り』。
藤花
国一番人気の妓女であること。そのために身につけた詩楽や舞踏などの教養や床での手練手管。経営者としての才覚。それら全てへの誇りです。
藤花
「結構高い女やさかい、顔見せNG?なんよ。ごめんなあ。」
藤花
「まあこんな世界やし、協力しとる仲やし、見たかったら見せたるけど。」
藤花
こんなもんでしょうか。
GM
はい!ありがとうございます!
GM
お顔が見れる時は来るかな……? 来ないかな……!?
GM
Choice[猟奇,愛] (choice[猟奇,愛]) > 愛
GM
では、お次はシェリさんお願いします!
シェリ
はあい

PC紹介:シェリ

シェリ
「元の世界のどこかの森と湖のこころ。それがぼくです」
シェリ
「名前も本当はなくって…マシェリとか、モンシェリとか。みんながそう言っていました」
シェリ
心の疵は底なしの愛され願望。愛されたことによってヒトの形を得て、愛されることによって形を保ち、すこしの権能を得てきました。
シェリ
「愛してもらえるとぼくの外側と内側がはっきりして、こういう形になったりできます」
シェリ
「ごはんもねむりもいらないぼくが、唯一必要なもの」
シェリ
もう一つの心の疵は×××との死別。一番初めに形をくれたあの子は、もうその命を終えて遠いところに行ってしまいました。
シェリ
「…そういえば、ぼくはいつからぼくなんだっけ?」
シェリ
「はじまりは、よく覚えていなくって…」
シェリ
「まあいっか、そんなこと」
シェリ
「この国でも愛してもらえるように、頑張るね」
GM
いっぱい愛されるといいですね!
GM
ありがとうございました!
GM
では最後、ユウキくんお願いします!
宮城ユウキ
はい。

PC紹介:宮城ユウキ

宮城ユウキ
宮城ユウキ。
宮城ユウキ
16歳……17歳? なってたっけ。まあもう大した問題じゃない。
宮城ユウキ
人喰いの化け物を殺すのをやってた。
宮城ユウキ
あとはたまにその邪魔をする人間を殺すのとかも。
宮城ユウキ
だから、あんまりこの世界でもそんなにやることは変わらない。
世間に認められた殺しになるぶん気は楽かも。
宮城ユウキ
そのぶん飲み食いとか衣食住とかには苦労しそうだけど。
宮城ユウキ
でも、原住民よりは楽できてるんだろうな。
救世主。大層なことで。
宮城ユウキ
心の疵。
宮城ユウキ
人間。
人間だから拾われたし、人間だから庇護された。
宮城ユウキ
人間だから大手を振って人間を殺せた。
宮城ユウキ
何をしたところで、俺は結局人間の側だった。
化け物の側に立つことはない。なかった。
宮城ユウキ
まあ、大したことじゃあないけれど。
宮城ユウキ
二つ目。
宮城ユウキ
食餌。
宮城ユウキ
餌だった。
餌として拾われたのでなくとも、餌として生かされたのでなくとも。
宮城ユウキ
餌としての貢献が、俺のひとつの役割ではあった。
宮城ユウキ
何をされたところで、俺は結局家畜の側だった。
食らう側に立つことはない。なかった。
宮城ユウキ
まあ、これだって大したことじゃあない。
宮城ユウキ
どちらもこの世界にはそぐわない在り方とは自覚しているけれど、だからといって変えられるものでもない。
宮城ユウキ
やっていくしかないんだろう。
宮城ユウキ
世界を塗り替えられるのは二回目だ。
宮城ユウキ
せいぜいが努めていくさ。
宮城ユウキ
以上。
GM
クールだな~!
GM
ありがとうございました!
GM
では、この三人でやってゆきましょう!

『恋は盲目!』前日譚:開始前かけひき

GM
人を殺したことはあるでしょうか。ある方も、そうではない方もいるでしょう。
GM
だけど少なくとも、「この国で」を頭につけるなら、それはあなた達にとっては初めてのことでした。
GM
なけなしのお金でとった、狭く暗い宿の部屋にあなたたちはいます。
宮城ユウキ
路銀は殺した救世主の懐を探って得た。
宮城ユウキ
この少年はひどく慣れた手つきでそれを為した。
宮城ユウキ
人の形をしたものと相対し、
人の形をしたものに殺意を向け、
人の形をしたものに武器を振るい、
人の形をしたものを殺し果せた。
宮城ユウキ
なし崩しのなりゆきとはいえ、三人で成し遂げた”裁判”。
宮城ユウキ
その結果。
宮城ユウキ
自分たちは6ペンスと路銀と、
宮城ユウキ
新しい"三十日"をここに得た。
宮城ユウキ
宿の扉を後ろ手に閉め、二人を見回す。
宮城ユウキ
「大丈夫?」
シェリ
「ぼくは大丈夫」
宮城ユウキ
「随分と傷を引き受けさせてしまった」
シェリ
「これが”お役目”なんでしょう?」
シェリ
「それに、ほら」
シェリ
ふるりと、頭を振るう。
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「これで、もとどおり」
シェリ
傷は癒えないまでも。
シェリ
身なりはまるで、この国に堕ちてきたばかりのころのように。
藤花
「綺麗になっとる、すごいすごい」
宮城ユウキ
眼の前の存在の人間ではないことを示す傷の癒えようを見ている。
宮城ユウキ
「あんたが俺たちの中で一番に頑丈なのは、どうやら事実だけれど」
藤花
顔を拭いてやろうかと手を伸ばしかけていたが、その分だと不要のようだ。
宮城ユウキ
「だからといって、特別死にづらいわけでもないようには思う」
宮城ユウキ
この瞳で、猟奇性でもって、それが読み取れる。
人を害すすべが。救世主を殺し果せる手段が。
宮城ユウキ
追い込んでしまえば。
宮城ユウキ
あとは同じだと。
シェリ
「でも、今はだいじょうぶ」
シェリ
「これで、この世界でまだ生きていける。そうでしょう?」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「そうだね」
藤花
「自分の加減いうやつ」
藤花
「わかっとるうちなら、大丈夫やろ」
藤花
「坊主、あんたはんもや」
宮城ユウキ
「こうなると、心配なのはシェリの方じゃなくなるのは、そう」
シェリ
「トーカも、ユーキも。綺麗にしてあげる」
宮城ユウキ
「ん」
宮城ユウキ
「どうも」
藤花
「助かるわあ。あ、直接触ったらあかんよ?」
GM
*では、かけひきを始めていきましょう!
GM
情緒が3になったら情緒爆発となり、リタイアです。最後まで情緒爆発せずに残っていた人が優勝となります。
GM
アピールしたり誘い受けしたりして、相手の情緒を上げていきましょう。
GM
ではまず順番決めから。裁判と同様、才覚の値が+補正になります。
GM
1d6をどうぞ!
宮城ユウキ
1d6 才覚0 (1D6) > 5
シェリ
1d6 才覚0 (1D6) > 3
藤花
1d6+3 (1D6+3) > 3[3]+3 > 6
GM
藤花>ユウキ>シェリで

かけひき ラウンド1

GM
手札引きタイム!かけひきの手札は3枚です。
藤花
宮城ユウキ
シェリ
GM
それぞれの技能の使用タイミングについては通常の裁判と同様です。
GM
赤が主動作 青が補助動作 緑が割り込み ですね。
GM
行動に対する誘い受けに、更に誘い受けを重ねることもできます。
GM
という感じです! あとは必要な時に都度説明していきますね。
GM
では、藤花さんの手番からどうぞ!
藤花
*h7 アピール>シェリ
GM
アピールだ! RP前にダイスを振りますか?
GM
先にダイスを振るなら誘い受けの有無を確認するし、後でダイスを振るなら後で確認しようかなみたいな感じです。
藤花
なるほど じゃあ先に振らせていただきます
GM
はーい。では、誘い受けはありますか?
シェリ
*c5 誘い受けします
GM
これに対する誘い受けも可能です。
GM
大丈夫そうかな?
藤花
なしで大丈夫です!
GM
はーい。ではシェリさんの誘い受けからお願いします。2d6+1で目標値は7ですね。
シェリ
2d6+1>=7 (脅威度1) (2D6+1>=7) > 11[5,6]+1 > 12 > 成功
GM
たか~い
GM
では藤花さんのアピール、目標値は12で。
藤花
はい…
藤花
2d6+1>=12 (脅威度1) (2D6+1>=12) > 7[3,4]+1 > 8 > 失敗
GM
これは仕方ない……。
GM
ではアピール失敗で藤花さんの情緒が1上がります。
[ 藤花 ] 情緒 : 0 → 1
GM
使用したカードは捨て札置き場に移動お願いします~。
GM
では、RPの方をどうぞ!
藤花
目の前の男…?女…?
藤花
不定形の生き物の手によって、先の戦闘で負った傷は綺麗に癒えた。
シェリ
「…これで、いいかな」
シェリ
「トーカ、大丈夫?」
宮城ユウキ
地べたに腰をおろして二人を見ています。
藤花
「うん、綺麗なったな。助かるわあ」
藤花
「ありがとうなあ」
シェリ
「どういたしまして。えへへ」
藤花
わずかばかり。流れていた血は完全に止まった。
藤花
そのことにひどく安堵している。
藤花
「しつこいようやけど、うちに直接は触っとらんね?」
藤花
「気分悪なったりはしとらん?」
シェリ
「大丈夫だよお」
シェリ
「からだが濁るかんじも、ないし」
藤花
「ならええんやけど」
藤花
「あんたはん、なんやふわふわしとるさかい……ちょっと不安やわあ」
藤花
救世主を倒した。新たな30日を手に入れた。
藤花
それなのに、自分のせいで死なれたとあっては、流石に寝覚が悪い。
藤花
殺す相手は、自分で選びたい。選んできた。
藤花
シェリは、殺さない。少なくとも今は、そうすべき相手ではない。
藤花
「……ほんに。おかしい思ったらすぐ言うんよ。」
藤花
「あんたはんほどの奇跡みたいなことはできんけど。軽い治療くらいはうちもわかるさかい。」
シェリ
「はあい。 …うふふ」
藤花
「なにわろてんの、この子は」
シェリ
「トーカが、やさしいから」
シェリ
「うれしくって」
藤花
顔を顰める。もっとも顔はわからないが。
藤花
面が、あからさまに顔を顰めている。
宮城ユウキ
気配というものがある。空気感というか。
宮城ユウキ
横から見ているだけでもそれが伝わる。
シェリ
何百年と、人の営みを見てきて学んだこともある。
シェリ
今の藤花の言動は、姉のようで、母のようで、家族のようだと感じる。
シェリ
それそのものは、ついぞこの身には与えられなかったものだけれど。
藤花
「滅多なこと言うもんやないよ。もう。」
藤花
無邪気に笑う目の前の存在が、元の世界においてきた禿たちと重なる。
藤花
売られてきた子供達。まだ身体を売らない子供達。いずれ女になる、女にさせられる子供たち。
藤花
自分を見て、無邪気に優しいなどと宣う子供たち。
藤花
ほんとに、滅多なことは言うものではない。
藤花
こんな、人殺しの女に。
シェリ
ふわふわと部屋の片隅に浮かんで、好ましいものを見つめる瞳を藤花に向ける。
藤花
「うちのこと口説いても、サービスはしたらんからね」
藤花
言いながら部屋の奥、ベッドに腰掛ける。
藤花
会話はこれまでだといわんばかりに。
シェリ
「うふふ、いいよ」
シェリ
「ぼくのことを少しでも好きでいてくれたら、それだけで」
シェリ
藤花の心の機微になど気付くこともなく、上機嫌にゆらゆらと揺れている。
宮城ユウキ
そのさまを、少年の瞳が見つめている。
GM
*1R ユウキ
宮城ユウキ
*悩まんでもないんだが。
宮城ユウキ
*hAアピール>シェリ
GM
誘い受けはありますか?
藤花
私はありません〜
GM
はーい。ではアピールどうぞ。
宮城ユウキ
2D6+1>=7 脅威度1 (2D6+1>=7) > 8[6,2]+1 > 9 > 成功
GM
成功!
宮城ユウキ
サクっと通りました。ふう。
[ シェリ ] 情緒 : 0 → 1
シェリ
わあ~
宮城ユウキ
「好かれてるのって」
宮城ユウキ
「そんなに大事?」
宮城ユウキ
宙を揺蕩うシェリへと問いをくれる。
シェリ
「! んん…」
宮城ユウキ
あなたの顔をじっと見ている。
宮城ユウキ
無遠慮な視線であった。
宮城ユウキ
同時に悪意も含意もそこにはない。
宮城ユウキ
ただ思い浮かんだ素朴な疑問がそのまま口を滑り落ちただけ。
シェリ
突然のユウキの言葉に、ぴょこんとその場で少し跳ね上がる。
シェリ
飛沫が上がるように。
宮城ユウキ
そのように思わされる佇まい。
シェリ
「ええっと…」
シェリ
「なんて言ったらいいのか、あんまり分からないけど」
宮城ユウキ
その不思議な挙措のさまをも赤い瞳が捉えている。
シェリ
「ユーキとトーカが、ご飯を食べて眠りたいっていうのと似てる…かなあ」
宮城ユウキ
「ふむ」
シェリ
「ぼくは食べなくても、眠らなくても、形を保っていられるけれど、ふたりはそうじゃないでしょう?」
宮城ユウキ
「うん」
宮城ユウキ
頷く。
シェリ
「おなかがすいて、ねむたくなって、ふらふらする」
宮城ユウキ
「この世界だと、結構苦労すると思う」
宮城ユウキ
元の世界でもやや苦労はしてたけども。
シェリ
「ぼくは、多少なりとも好かれていないと…愛されていないと?」
宮城ユウキ
「…………」
シェリ
「外側と内側が、ゆらゆらしてぼやける感じがする、みたいな…」
宮城ユウキ
見つめている。
宮城ユウキ
あなたの境界を見定めるかのように。
宮城ユウキ
無遠慮、無愛想なこの少年はしかし、先の”裁判”をあなたと戦い抜いた。
宮城ユウキ
その前段階における”お茶会”でもまた、あなたを庇い、あなたを庇護する動きを見せた。
宮城ユウキ
仲間であるから。
ともに戦うことを決めたから。
宮城ユウキ
それは果たして、”あなた”を定めるに寄与する事実であろうか。
シェリ
ヒトとしての形と、自我。
シェリ
ひとに預けるには、危ういもの。そういうあり方しかできないのが、ぼくだ。
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
少しばかり、考え込む仕草を見せて。
藤花
話を横耳で聞いている。
藤花
面の下の表情は読み取れない。
宮城ユウキ
「シェリは」
宮城ユウキ
「こういうこと聞かれるの、嫌?」
シェリ
「?」
シェリ
「今のユーキのは、嫌じゃなかったよ」
宮城ユウキ
「そっか」
宮城ユウキ
「じゃあ、よかった」
シェリ
「ぼくも、人のことよくわかんないし。…ユーキの方から見たら、なおさらわかんないよね」
宮城ユウキ
「うん」
宮城ユウキ
「化け物はまあまあ見てきたけど」
宮城ユウキ
「シェリみたいなのは、見たことないから」
宮城ユウキ
「気になりはする」
宮城ユウキ
「理解してないと、フォローもできないし」
シェリ
「それに、今のは…ぼくを傷つけようとする言葉じゃないと思ったし」
シェリ
「助けてもらえるのは、うれしいなあ」
宮城ユウキ
「散々守ってもらったし」
裁判でいっとうに狙われていたのが自分であったことと、
その自分を守るためにシェリが身体を張っていたことはよく理解している。
宮城ユウキ
「報いたいとは思うよ」
宮城ユウキ
「必要なら好意も注げる」
宮城ユウキ
「シェリのお眼鏡に叶うかは、分からないけど」
シェリ
「うん。ありがとう」
シェリ
飾り気も、嘘もない言葉が心地よく水面を揺らす。
シェリ
できる限りは、自分がこの子の形を守ってあげられたらいいと思う。
GM
*1R シェリ
シェリ
*アピール s10 宮城ユウキ
GM
誘い受けはありますか?
藤花
ないです〜
GM
はーい。ではアピールをどうぞっ
シェリ
2d6+1>=7 (脅威度1) (2D6+1>=7) > 8[6,2]+1 > 9 > 成功
GM
成功!
[ 宮城ユウキ ] 情緒 : 0 → 1
GM
RPをどうぞ。
シェリ
「ねえ、ユーキ」
宮城ユウキ
「なに」
シェリ
「ぼくにも教えて?ユーキのこと」
シェリ
「なにが好きで、なにが嫌なのか。―どうやって生きてきて、どうしていたいのか」
シェリ
ユウキの周りをくるりと回って、視線を合わせる。
宮城ユウキ
床に腰を下ろしたままに、自分の知らぬ不定形のいきものと視線が合う。
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「大したものはないよ」
宮城ユウキ
「普通の人間だ。特別だとか、選ばれた存在だとか、そういうものじゃあ一切ない」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「……でも、まあ、そうか」
宮城ユウキ
「普通ってのは、俺の生まれたところ基準で」
宮城ユウキ
「この堕落の国じゃあ、それが特異で、特別にはなるのかもな」
シェリ
「うん」
シェリ
「それに、ほら。ぼく、普通ってよくわからないから」
シェリ
「ユーキから見た世界が知りたいなあって」
宮城ユウキ
「……どこから話せばいいか、少し難しく思うけど」
宮城ユウキ
そのように前置いて、世界を語る。
宮城ユウキ
堕落の国とは違う世界。
その片隅にある、平和な国の話をする。
宮城ユウキ
平和の裏に蔓延る人喰いの化け物の話をする。
それを殺す者たちの話をする。
世間に認められずとも、一般人や治安維持組織に後ろ指を指され、眉を潜められようとも、戦わなければならない者の話をする。
宮城ユウキ
生き残るために、何かを殺さなければならない”人間”の話をする。
宮城ユウキ
その人間に与する化け物の話をする。
シェリ
静かに、耳を傾ける。
宮城ユウキ
自分の家族を殺した化け物の話をする。
その化け物を殺し、自分を拾ったこれまた化け物の話をする。
宮城ユウキ
化け物を殺す者の話をする。
シェリ
自分が生まれた森ともこの廃れた世界とも違う、平和な/危険な国の話。
藤花
口を挟むことなく、聞いている。2人の様子を眺めている。
宮城ユウキ
――”宮城ユウキ”の話をした。
宮城ユウキ
「……そういう感じだから」
宮城ユウキ
「比較的、何かを殺すのには慣れてるし」
宮城ユウキ
「癖の強い奴らと組むのも慣れてる」
宮城ユウキ
化け物狩りというものは徒党を組んで行うものだから……。
宮城ユウキ
「吸血鬼も、見た目は結構人間に近かったりするしね」
宮城ユウキ
「救世主を殺すのも、まあ大差はなかった」
宮城ユウキ
腰に佩いた斧へと視線をくれた。
シェリ
「…そっか」
シェリ
「ありがとう、話してくれて」
宮城ユウキ
「どういたしまして」
宮城ユウキ
「役に立ちそう?」
シェリ
「役に立つかはわからないけど…」
シェリ
「ユーキが頑張り屋さんなことは、わかったよ」
宮城ユウキ
「そう思う?」
シェリ
「うん」
宮城ユウキ
「じゃあ、シェリから見たら、そうなんだ」
シェリ
少年の頬の傷。救世主としての異能でも治らぬそれに手を添える。
宮城ユウキ
拒まない。
宮城ユウキ
ただ赤い瞳があなたを見返す。
シェリ
「頑張り屋さん。えらいね」
シェリ
見様見真似。大きな感情を伴わない、これまで見てきたもののミラーリング。
シェリ
それでも、心に一つ立った漣を表現したかったから。
宮城ユウキ
少年があなたの所作を見ている。
少年があなたの模倣を受け入れる。
シェリ
「ユーキの頑張りが、正しく報われますように」
宮城ユウキ
あなたの真似ぶ交歓はここに、あなたの望む通りに成立する。
シェリ
それがどう映ろうとも、心からの言葉を零す。
宮城ユウキ
「そうだね」
宮城ユウキ
「頑張ったら報われたいとは、俺も思うよ」
GM
*手札捨てタイム
宮城ユウキ
*d10,s9捨て
シェリ
*cK捨て
藤花
*hK捨て

かけひき ラウンド2

GM
*2R目 手札引き
藤花
宮城ユウキ
シェリ
GM
*2R目 藤花
藤花
*d7 アピール>ユウキ
宮城ユウキ
*sK切って誘い受け
GM
これに対しての誘い受けは大丈夫ですか?
藤花
*d3でさらに誘い受けします
GM
お 行ってる シェリさんは大丈夫ですか?
シェリ
*なしで!
GM
はーい。では藤花さんの誘い受けから。
藤花
2d6+1>=7 (脅威度1) (2D6+1>=7) > 4[2,2]+1 > 5 > 失敗
GM
ハプニング!
GM
まずハプニングから処理します。1d6をどうぞ
藤花
はい…………
藤花
1d6 (1D6) > 2
GM
2 もはやみんなまともじゃない。全員の情緒+1。
GM
あらあら……
[ 藤花 ] 情緒 : 1 → 2
[ 宮城ユウキ ] 情緒 : 1 → 2
[ シェリ ] 情緒 : 1 → 2
GM
誘い受けの失敗を処理します。
[ 藤花 ] 情緒 : 2 → 3
GM
藤花は情緒爆発。
藤花
弱すぎるだろ 駆け引きに
GM
では……めちゃくちゃになってください。
宮城ユウキ
「……だから、まあ」
宮城ユウキ
シェリに触れられたままに視線を藤花の方へと向ける。
宮城ユウキ
「ある意味じゃ俺が一番心配してるのは藤花さんだ」
宮城ユウキ
「さっきも言ったけどさ」
宮城ユウキ
「どうやらこの中で一番倫理観がまともなのがあんただ」
宮城ユウキ
「そういう人には多分キツいぜ。この世界」
藤花
「うち?」
藤花
目を瞬かせる。目はないが。
宮城ユウキ
面の下の目を射抜くような赤い視線。
藤花
「あらあ、坊主にはそないに見えとるのねえ」
宮城ユウキ
「うん」
藤花
「坊主みたいな子供に心配されとるようじゃあいかんねえ」
藤花
立ち上がり、ユウキとシェリの方に歩み寄る
宮城ユウキ
見ている。見上げる。
藤花
表情は伺えない。下から覗いても、不思議と面の中は見えない。
宮城ユウキ
それを覗き込もうとはしない。
宮城ユウキ
シェリに対するものと同じ。
宮城ユウキ
境界を見定める視線がそこにある。
シェリ
ついと目線を上げる。
シェリ
必然、ユウキと共に藤花を見上げる形になる。
藤花
「そうねえ。確かに人殺すいうんは、悪いことや思うよ?うちの基準でもね」
宮城ユウキ
寄り添うような形になっている、あなたから見ればいとけない子供の姿をした二人。
藤花
「でも、うち人殺しとるし。」
宮城ユウキ
「そうなんだ」
藤花
「そうよ?それも一人二人ちゃうよ」
藤花
「だから、特に坊主に心配してもらうことはあらへんよ」
シェリ
凪いだ瞳で、藤花とユウキを見つめている。
宮城ユウキ
「そうかもね」
宮城ユウキ
「でも」
宮城ユウキ
「俺が思うに」
宮城ユウキ
「あんたはそれを、気に病む人だ」
藤花
「あら、坊主もうちが優しいとか言うクチ?」
藤花
つい、と。一瞬だけ視線がシェリを向く。
藤花
戻る。
シェリ
瞬き。
宮城ユウキ
「俺はシェリほど人間を肯定的には捉えない」
シェリ
もう一つ、瞬き。
宮城ユウキ
「そこに優しさがあるかどうかを、今問題にするつもりはない」
宮城ユウキ
「ただ、事実として――」
宮城ユウキ
「俺たちは今日、ただ生き延びるためだけに人を殺した」
宮城ユウキ
「その事実を最も重く捉えている救世主は」
宮城ユウキ
「藤花さん」
宮城ユウキ
「間違いなく、あんただろう。……だって」
宮城ユウキ
「先の”お茶会”で俺たちを守るために見せた」
宮城ユウキ
「あの鋭い弁舌はどこに行った?」
藤花
「うちが鈍っとる言うん?」
宮城ユウキ
「自覚がないのなら、その方が危うい」
宮城ユウキ
「シェリも感じてるんじゃないの」
宮城ユウキ
シェリを巻き込みます。
シェリ
「ぼくも?」
シェリ
「ううん… うん、そうかも」
宮城ユウキ
寄り添い揺蕩う水のかたちをなした救世主に首肯を返す。
シェリ
「トーカの流れ、今はぐるぐる廻っている感じ」
藤花
「なにもう、2人して。」
藤花
「余計なこと言う男は花街でモテへんよ」
宮城ユウキ
「うん」
藤花
一人は男か怪しいが。
宮城ユウキ
「でも今はモテるより、生き延びる方が大事だから」
宮城ユウキ
「あんたに死んでほしくはない」
宮城ユウキ
「シェリにも言ったけど」
宮城ユウキ
「同じ戦いを乗り越えた相手に注ぐ情を、俺はそれなりに持ち合わせているみたいだ」
シェリ
心地よさそうに、言葉を享受する。
藤花
「生きるために殺すしかなかった。理解しとる。今更背負った骸が一体増えたとこで、誤差や誤差。」
宮城ユウキ
「……うん」
藤花
「逐一心痛めとったら、生きていかれへんやろ。」
藤花
「うちは平気。今更、誤差の一つや二つで揺らぐような生き方しとらんよ。」
宮城ユウキ
「…………」
藤花
こう言う生き方しか出来なかった。もともとそう。そのように選んだ。
藤花
自分はこうでしかない。
藤花
今更、全て今更のことだ。
藤花
「……ただ」
藤花
「そうやね」
宮城ユウキ
瞬き。
藤花
「……あんたはんらみたいなもんにまで、そういうん強いてしまうんは」
藤花
「……」
藤花
「……不条理なことやねえ」
宮城ユウキ
シェリを見る。
宮城ユウキ
どう思う? の目。
シェリ
「選べなかったことでも、納得していたことでも。波が立たないわけじゃない、から」
宮城ユウキ
あっ。
宮城ユウキ
声に出しちゃうんだ。
宮城ユウキ
まあ声に出しちゃうか。シェリは。
宮城ユウキ
そうだな。振った俺が悪いな。
シェリ
ノンデリカシー人外…
宮城ユウキ
真顔で振った俺が悪いなと思いました。
シェリ
「知らんぷりして溺れちゃうよりは、ちゃんと見てあげたほうがいい、のかなあ」
シェリ
なんだかユウキの目に漣が立ったことだけは認識しながら、滔滔と。
宮城ユウキ
「……気に病んでるとこは俺の想定とちょっと違ったけど」
違ったということにしておく。
宮城ユウキ
「気に病んでることがあるの自体が、結局のところ問題だから」
宮城ユウキ
「あんまり目、逸らさないほうがいいと思うよ」
宮城ユウキ
「実際のとこ――」
宮城ユウキ
「俺に言われるまでもなく分かってるだろ?」
宮城ユウキ
「藤花さん」
宮城ユウキ
「あんたは俺らの中で、いっとう頭が回るんだから」
藤花
ーーーふう、と煙を吐く。
藤花
無害な煙。先ほどの裁判での、命を奪うものではない。
藤花
ああ、理解しているとも。
藤花
結局、自分は繰り返すことしかできない。
藤花
何かを救いたくても、手が届かない。自分が歩んできた道を辿らせるようなことしかできない。断ち切ることができない。
藤花
そのことがひどく歯痒い。結局なにもできはしないのだと、見せつけられているようで。
藤花
そして、見抜かれている通り。今日の殺しは、生きるための殺しだった。それを気に病んでいる。
藤花
生きるために殺したのは、今日が初めてだった。
藤花
「ほんとに、余計なこと言う子供ばっかりやね」
藤花
「嫌やわあ。うち子供は好かんのよ」
宮城ユウキ
「ごめんね」
藤花
「でも、まあ。心配は有り難くもらっとこうやないの」
宮城ユウキ
「生まれた国じゃ、もう少しで成人のはずなんだけど」
宮城ユウキ
そういう話でないことは理解しているが。
宮城ユウキ
この人は結局、自らの懐に入れた相手・庇護すべきと感じた相手が年下ならば子供と扱ってしまうのだろう。
実年齢では間違いなく自分たちを上回るシェリに対してもこれなのだから。
藤花
「うちから見ればまだまだ」
シェリ
存在している年月で言えば、まず間違いなく一番長いのはシェリなのだけれど。
シェリ
庇護されるのは嫌いではない。
藤花
「青〜いお子様。二人ともな。大人扱いされたかったら女の一人や二人作ってき」
藤花
「で、そんなお子様に心配されとるようじゃ、うちもまだまだやね。」
宮城ユウキ
大人扱いされるために女の人を消費するのもなあ。
シェリ
「大人じゃなくたって、いいよ」
シェリ
「トーカとユーキが一緒にいてくれるもの」
シェリ
「それにね」
宮城ユウキ
この距離感もちょっと心配にはなってくるな、とシェリに寄り添われながら考えはしていますが黙っています。
シェリ
ユウキから名残惜しそうに手を離して、藤花の方へと浮かんでいく。
シェリ
触れそうで触れない、紙一重の距離感。
宮城ユウキ
見上げる。床に腰を下ろしたまま。
シェリ
「誰だって―大人だって、手を握っちゃいけないことなんてないんだよ」
シェリ
「ぼくたちは、そのために一緒にいるんだから」
宮城ユウキ
シェリは人間が好きなのだろうと思う。
人間に愛され、その恩恵を受けてきたのだろうとも。
宮城ユウキ
呪いではなく、祝福としての愛の形を信じている。
宮城ユウキ
純朴無垢に映るそのありようが。
宮城ユウキ
果たしていかにこの女の瞳を灼くか。
藤花
面の下、息を詰める女の気配がする。
藤花
手を握って、寄り添って、それで?
藤花
そうした相手は、皆全て。
藤花
全て、死んだと言うのに。
藤花
「残念。うちはお高いの。」
藤花
「手ェくらいなら握ってあげてもええけどな。」
藤花
「あんたはんの望むもんは、あげられへんよ。」
藤花
「ーまあ、ええわ。えろう心配かけてすんまへんなあ。」
宮城ユウキ
「ん」
シェリ
「ううん」
宮城ユウキ
「俺もまあまあ藪蛇つついた」
藤花
「ご心配、ありがたあく受け取らせてもらうわ。裁判言うんは初めてやったさかい、気ぃ張っとったんはその通り」
藤花
「ご忠告、痛み入ります。」
藤花
いつもの雰囲気の女がそこにいる。
宮城ユウキ
色々思うところはないでもないが、これ以上は言わぬが花というものだろう。
宮城ユウキ
少なくとも。
宮城ユウキ
目の前の花を摘むことを自分は望んでいない。
藤花
「まあ、そやなあ」
藤花
「心配のお礼や。あんたはんらがこの後」
藤花
「どうしても辛くて、苦しくて」
藤花
「もうどうしても耐えられなくなったら、うちに言い。」
宮城ユウキ
「何をしてくれる?」
藤花
「優しゅう、したるよ。」
藤花
煙が、一層濃く。もう女の顔は見えない。
宮城ユウキ
「そう」
宮城ユウキ
「それは楽しみだ」
宮城ユウキ
「良かったね、シェリ」
シェリ
「…? うん」
シェリ
困惑半分、察すること半分。
シェリ
ぽやぽやと、煙の淀んで流れるさまを見る。
藤花
この非常の国で、辛い現実に打ちのめされて、どうにも生きていけなくなるならば。
藤花
優しくしてあげる。妓楼の流儀でもって、優しく蕩かして
藤花
そして、痛みもなく、殺してあげる。
藤花
自分には結局、それしかないのだから。
GM
*2R ユウキ
宮城ユウキ
*hJアピール>シェリ
GM
誘い受けはありますか?
シェリ
*h3 誘い受け
宮城ユウキ
*対抗なし どうぞ
シェリ
2d6+1>=7 (脅威度1) (2D6+1>=7) > 11[5,6]+1 > 12 > 成功
GM
たか~い
宮城ユウキ
2d6+1>=12 (2D6+1>=12) > 9[3,6]+1 > 10 > 失敗
GM
高いけど残念
[ 宮城ユウキ ] 情緒 : 2 → 3
宮城ユウキ
*悪くはないんだけどな。
GM
*ユウキの情緒が爆発しました。
GM
*勝者はシェリ
GM
*ユウキと藤花は小道具『シェリの寵愛』を獲得します。
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「とりあえず藤花さん、先休んだら。疲れてるみたいだし」
宮城ユウキ
一つしかなさそうなベッドを示します。
シェリ
「うんうん」
宮城ユウキ
「交代で使うにせよそうでないにせよ、空けておいて得することないよ」
シェリ
「見張りとかはぼくがするから、ゆっくりしてて~」
藤花
「そやねえ。ほなありがたく。」
藤花
今の自分は冷静さを欠いている。平時の状態ではない。
藤花
これ以上、会話を続けてボロも出したくない。
藤花
「ゆっくり寝かしてもらうわあ。サービスに添い寝したろか?」
藤花
ベッドに向かって歩みながら、冗談めかして告げる。
宮城ユウキ
「場合によってはお願いするかもね」
シェリ
わあ。
宮城ユウキ
多分その場合、気を使うのは俺よりあんたの方だろうけど。
藤花
「なあんや、からかい甲斐のない坊主やこと」
宮城ユウキ
「結構俺に優しいんだ。年上のお姉さんって」
藤花
「はいはい、うちはこの国一優しくて美人なお姉さんやよお」
藤花
言いながらベッドに身を投げ出す。壁に背を向けて「もう寝る」のポーズ。
藤花
スペースは、半分ほど開けている。
シェリ
「うふふ。おやすみ、トーカ」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「おやすみ」
藤花
転がったままひらりと手を振った。
藤花
返答はない。
宮城ユウキ
落ち着かないだろうとベッドからは距離を取る。
狭い部屋ではあるが。
シェリ
物音を立てないようにふよふよと浮かんで、ユウキに倣う。
宮城ユウキ
「思ったよりは重症だな」潜めた声で。
宮城ユウキ
「と、いうより」
宮城ユウキ
「心の疵ってのが、それだけ厄介ってことなのかもしれないけど」
シェリ
「?」
宮城ユウキ
「……んーと」考え込む仕草。
宮城ユウキ
「心の疵……とはちょっと違うんだけど」
シェリ
ふんふん。
宮城ユウキ
「支えになるもの、という観点なら」
宮城ユウキ
「似たようなものを知ってるんだ。元いた場所での経験上」
宮城ユウキ
ちらとベッドに横たわる女に視線をくれる。
宮城ユウキ
「だから、仲間のそういうのを知ろうとするのに近いやり方をしたんだけど」
藤花
動かない。寝ているのか起きているのかもわからない。
宮城ユウキ
「同じやり方じゃ、けっこう負荷がでかそうだな、と思って」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「悪いことしたな」
シェリ
「ユーキの世界のやり方だったんだ。さっきの」
宮城ユウキ
「世界……って言うと、どうだろうな」
宮城ユウキ
「俺は世界全体を語れるほどには、世界に通じてなかったと思うし」
宮城ユウキ
「俺はこうしてた、って感じの」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「経験則?」
シェリ
頷き。
シェリ
「ユーキは、トーカのことを知りたかったんだね」
シェリ
「それは、もしものときに助けてあげるため?」
宮城ユウキ
「……うーん」
宮城ユウキ
「まあ、聞こえよく解釈すれば、そう」
シェリ
「そっか」
宮城ユウキ
「シェリには申し訳ないけど」
宮城ユウキ
「俺はシェリよりも藤花さんの方を気にかけてる」
シェリ
ぱちくり。
宮城ユウキ
「それはシェリが人間じゃないからで、あの人が人間だからだ」
シェリ
「それって、申し訳ないこと?」
宮城ユウキ
「興味関心が偏ることは、そのまま愛情の偏りに繋がるから」
宮城ユウキ
「好かれることを求めるシェリにとっては、好ましくないかなと思って」
シェリ
「親猫は子猫を守るし、ヒトはヒトを守るでしょう」
シェリ
「自然なことだよ」
シェリ
「ぼくの在り方が”こう”だから、気を使ってくれてるのかもしれないけれど」
シェリ
「元いたところでも、そういうことは分かってるから。気にしなくていいんだよ」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「でも」
宮城ユウキ
「三人ともが、同じく救世主である今は」
宮城ユウキ
「人間であるかどうかって、そんなに本質的な問題じゃなくなると思う」
シェリ
「そうかもね」
シェリ
「でも…ユウキの考え方はユウキだけのものだから」
シェリ
あなたの人生で、あなたの経験によって培われた、あなたの感性。
宮城ユウキ
「どうかな」
シェリ
それを、この生き物はいとおしく思う。
宮城ユウキ
「俺はあんまり俺のこと、信用してないよ」
シェリ
「それでも。…そう思っていること、思っていたこと」
シェリ
「大事なことだよ」
シェリ
「…ふふ」
宮城ユウキ
「?」
シェリ
粗末な寝台に横たわる藤花を見やる。
シェリ
「トーカもね、最後はあんな風に言ってたけど」
シェリ
「きっと大丈夫。あのこは分かっていると思うから」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
こちらも寝台に目をくれる。
シェリ
「ぼくなんかよりも、ずっとね」
宮城ユウキ
「……そうだといいね」
シェリ
「そうだよ。……きっと」
宮城ユウキ
そうだといいと思う。
そうあればいいと寿ぐ。
宮城ユウキ
その心に嘘はない。
宮城ユウキ
――少なくとも、今は。
宮城ユウキ
善意や信念は容易く挫かれ、
誓いは儚く敗れ去り、
運命はあっさりと砕け散る。
宮城ユウキ
自分を最も裏切ることができるのは、誰よりも他ならぬ自分自身だ。
宮城ユウキ
自分はそれをよく知っている。
宮城ユウキ
それを知って尚、残骸の在り方に縋ることを。
宮城ユウキ
人間ではない者に祝福されるこの皮肉。
宮城ユウキ
……それをこの救世主に叩きつけることに意味はない。
宮城ユウキ
だから。
宮城ユウキ
「ありがとう、シェリ」
宮城ユウキ
「……大事にするよ。出来る限り」
宮城ユウキ
虚しく包んだ好意をことばの形にする。
宮城ユウキ
そこに愛のないことを知っていながら。
シェリ
「…うん」
シェリ
「ユーキもね、眠たくなったら寝ちゃっていいよ」
宮城ユウキ
「…………」
宮城ユウキ
「そうだね」
宮城ユウキ
「意地張ってもいいことない」
宮城ユウキ
それは散々指摘してしまったことだし、とまでは口には出さず。
宮城ユウキ
ベッドの方へと足を進める。
宮城ユウキ
寝ていることになっている彼女には声をかけず、なるべく音を立てぬように膝を沈めながら、
宮城ユウキ
「シェリ」
シェリ
「なあに、ユーキ」
宮城ユウキ
「おやすみ」
シェリ
「!」
シェリ
「…うん、おやすみなさい」
シェリ
どうかこの子たちが、ひとときでも安らかな眠りを得られるように。
宮城ユウキ
藤花には触れぬよう、ベッドの際に横たわる。
宮城ユウキ
同じく彼女には背を向けて。
宮城ユウキ
人でない者に見守られるもとで。
シェリ
僅かに残された権能を振るう。申し訳程度の遮音と遮光。
シェリ
「いい夢を」
シェリ
ユウキにすら届かない、かすかな声。
シェリ
懸命に生きるこの子たちが、少しでもいい状態で朝を迎えられるように。
シェリ
そう願って、ヒトならぬモノは目を伏せた。
GM
これは、あなたたちが出会い、はじめての裁判を終えた夜のお話。
GM
そしてその後も、あなたたちは行動を共にして、幾度の夜を越えて。
GM
このぶっちゃけもうダメな国での過ごし方にも少し慣れた頃。
GM
あなたたちは、とある村で亡者退治の依頼を請け負いました。
GM
『恋は盲目!』に続く。