三ノ宮 炉
炎が燃えている。
三ノ宮 炉
狭く古い宿の一室の何もかもを灼き尽くす勢いで。
三ノ宮 炉
燃え盛る女がそこに立つ。
三ノ宮 炉
熱風に煽られながらの、下手くそな舞踊。
三ノ宮 炉
スイング、
三ノ宮 炉
スイング、
三ノ宮 炉
ライズ・アンド・フォール、なんて。
三ノ宮 炉
ぜんぜん、ガラじゃあ、ないのだけれど。
ダザック
そして、燃えさかる炎に焼かれながら、二度立ち上がったがその甲斐むなしく、床に伏せる男の姿
ダザック
まだ微かに息があるのが不思議なほどだ
三ノ宮 炉
炎に包まれた寝台の上に女がつと足を止めて。
三ノ宮 炉
不思議そうにその姿を見下ろす。
三ノ宮 炉
「どういたしましたの」
三ノ宮 炉
「おじさ、」
三ノ宮 炉
目を瞬いた。
三ノ宮 炉
「…………」
三ノ宮 炉
立ち尽くす。
ダザック
僅かに、まだ立ち上がろうとする様子がうかがえるが、全身に力が入らないようで、ぴくりと筋肉が揺れ動くだけだ
ダザック
「………ぃ…ろ……」 灼けた喉から出る声は意味を紡ぐこともできないでいる
三ノ宮 炉
男が燃えている。
三ノ宮 炉
今まさに炭化しつつあるその四肢のさまを認めて、
三ノ宮 炉
紅い瞳が見開かれる。
三ノ宮 炉
*亡者化判定を行います
三ノ宮 炉
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
三ノ宮 炉
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 4[3,1]+0 > 4 > 失敗
GM
*三ノ宮炉は亡者化します。
三ノ宮 炉
「――ぁ」
三ノ宮 炉
纏う炎は消えぬまま。
三ノ宮 炉
あなたに向けて伸べかけた手が、躊躇いに止まる。
三ノ宮 炉
だって。
三ノ宮 炉
もう、かたちが、保てない。
三ノ宮 炉
炭と化し、崩れ去りゆく男の四肢とは違い。
三ノ宮 炉
細かな蝶となって、女の肉が散っていく。
三ノ宮 炉
その姿を。
三ノ宮 炉
横たわる男へと見せつけながら。
GM
*ダザックは亡者化判定をどうぞ。
ダザック
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ダザック
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 8[6,2]+0 > 8 > 成功
三ノ宮 炉
揺らぐ。
三ノ宮 炉
揺らめく女が膝を折って、
三ノ宮 炉
あなたの隣に跪く。
三ノ宮 炉
舞い上がる細かな火の粉が
三ノ宮 炉
そのひとつひとつが
三ノ宮 炉
小さな紅い蝶であることに、
三ノ宮 炉
なぜだか、今更、あなたは気付く。
三ノ宮 炉
「……ダザ、ック」
三ノ宮 炉
「さま」
三ノ宮 炉
手は届かない。
三ノ宮 炉
その先がもうないから。
ダザック
名前を呼ばれた、気がした。意識は遠のいていたところを呼び戻されたような
三ノ宮 炉
叩きつけるような熱風は少しも和らがず。
三ノ宮 炉
あなたの肉は灼かれたまま。
ダザック
「ぃ………り……」
ダザック
傍らに、声の主の姿を朧げにみる。
三ノ宮 炉
蝶に彩られた女の姿。
三ノ宮 炉
狂気に染まった紅い瞳の奥に、
三ノ宮 炉
けれど、今はあなたが映っている。
ダザック
倒れる男は、力を振り絞る。全身が炎にやかれ崩れて落ちる最中にあって
ダザック
灼けた喉から絞り出すように、言葉を紡ぐ
ダザック
「亡者に……なる……まえに…………」
ダザック
俺がこの手で
ダザック
細い喉に、ゆっくりと手を伸ばす
三ノ宮 炉
目を、まるくして
三ノ宮 炉
幼い少女の貌であなたを見下ろし
三ノ宮 炉
それが、微笑った。
ダザック
「嫌…なら……振りほどいて……」
三ノ宮 炉
瞼を伏せて、
三ノ宮 炉
頭を垂れた。
三ノ宮 炉
長い髪が。紅混じりの黒髪が。
三ノ宮 炉
カーテンのようにあなたの頬にかかって、視界を塞ぐ。
ダザック
焼けただれた掌が、喉に触れる。徐々に力が込められていく
三ノ宮 炉
黒く汚れた男の掌に、白く細い喉が絞め上げられていく。
三ノ宮 炉
抵抗はない。
三ノ宮 炉
紅い蝶だけが荒れ狂って闇を羽ばたく。
ダザック
その間も絶え間なく体は焼かれているが、意に留めず
ダザック
「…………イロリ……」と彼女の名を呼んで
三ノ宮 炉
瞼が上がる。
三ノ宮 炉
紅い瞳にあなたを映し、
三ノ宮 炉
そして、笑った。
ダザック
その顔を見て、奥歯を噛みしめる
ダザック
「……愛して、いる……」そう、一言ぽつりと呟くと
ダザック
喉を締める掌に、一気に力を込めた
三ノ宮 炉
くちびるだけが動きかけて、
三ノ宮 炉
へし折られた頸に、半ばに止まった。
三ノ宮 炉
女の腕が下がる。
肘から先は既にない。
三ノ宮 炉
ゆっくりと身体が傾いで、あなたの上へとしなだれかかる。
三ノ宮 炉
まだ肉のある、重い身体が。
三ノ宮 炉
けれどもう、これ以上、散ることはない。
三ノ宮 炉
脅かされることも、
三ノ宮 炉
穢されることも、
三ノ宮 炉
他の者に選ばれることも、
三ノ宮 炉
もう、ない。
ダザック
折り重なる亡骸を、爛れた腕で抱き留める
ダザック
なぜこうなったのだろう…と、熱で朦朧とするなかで考える。
GM
あなたに答えるものはもうない。
GM
けれど、一つ、確かな事実がある。
GM
あなたは課せられた救世主の責務を乗り越えた。
GM
あなたには30日の未来が、
GM
あなただけには確約されている。
ダザック
今体の上にある、愛した人だったもの。最後の手を下した自分の手に、徐々に消えゆく体温を感じている。
ダザック
「…………」
ダザック
殺した相手のことなど考えるな、と言ったことを思い出した。
ダザック
言った本人が、この様では笑えない、と自嘲するように、息を漏らした。
ダザック
炉の最後の顔を思い出す。俺が好きだといった笑顔。そんな綺麗な顔でなぜ笑えたんだろう
ダザック
もう動かない彼女の髪を撫で、蝶をかたどった髪飾りを手に取ると、握りしめる。
ダザック
「俺は……お前の尊厳だけは、守れたのだろうか……」
ダザック
お前が亡者に変わりはて、あの冬の化け物のように恐怖を振りまくものになってしまうのだけは、耐えがたかった。
ダザック
お前が、力なきものたちを守るために戦っていたことを俺は知っている
ダザック
「イロリ…………」
ダザック
そう呟いたのを最後に、息を一つ吐くと
ダザック
燃え盛る部屋は崩れ落ちる。
GM
闇の中に、ひとひら。
三ノ宮 炉
紅い蝶が空を舞った。
三ノ宮 炉
決して晴れることのない堕落の国の空を、
三ノ宮 炉
けれど今ばかりは自由に、
三ノ宮 炉
まるで何かから解き放たれたように軽やかに羽ばたいて、
三ノ宮 炉
そうして、どこかに消えていった。
GM
 
GM
 
GM
 
GM
Dead or AliCe
GM
『It Happens All The Time.』
GM
おしまい