GM
それでは、Dead or AliCe「Drop out」
GM
始めていきましょう。
GM
よろしくお願いします!
ネロ
よろしくお願いします〜!
宿木ルカ
よろしくお願いします!

プロローグ

GM
宙空につま先が揺れている。
GM
呆然と立つあなたの目の前に。
GM
命をなくした肉塊が、音もなく左右に振れている。
宿木ルカ
「おかあ、さん?」
宿木ルカ
漂うすえた匂い。
GM
いらえはない。
GM
あなたの呼びかけに応える声はない。
宿木ルカ
昨夜彼女が暴れて投げつけた何もかもが、そこかしこに散乱している。
宿木ルカ
それらが、今この状況が現実であるということを痛いほどに知らしめてくる。
GM
耳に沁みる静寂に、水滴の音。
宿木ルカ
「――ああ」
宿木ルカ
「そっかあ」
GM
床に広がる汚液の濁った色。
宿木ルカ
「全部、間違えたんだ」
GM
血色のない爪先。
宿木ルカ
「僕が、僕になろうとしたことも。それでも、お母さんと一緒にいたいと思ったことも」
GM
もはやあなたに微笑みかけることのない唇。
宿木ルカ
「ルナじゃない―僕が、生きてることも」
宿木ルカ
宿木ルカ
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
GM
いらえはない。
宿木ルカ
我慢が、できなくて。いい子のルナじゃなくて。生きてて。
宿木ルカ
ごめんなさい。
GM
あなたを赦すものはここにない。
GM
あなたを免罪するものはここにない。
GM
あなたを認めるものはここになく。
GM
あなたを求めるものもここにない。
GM
そのはずだった。
GM
けれど、いつしか。
GM
その手の中に。
GM
誰から手渡されたはずもない、一枚の便箋が握られていた。
宿木ルカ
「 … ……?」
GM
古めかしい封蝋でとじられた便箋。
GM
荒れたこの部屋には似つかわしくない、西洋風の手紙。
宿木ルカ
びりびりと不格好に、それでも封を切る。
宿木ルカ
そうしなければいけないと、誰かに言われているようで。
GM
中には白いレースの便箋と、古びた10枚の銀貨が入っている。
GM
便箋にはおとぎ話のようなフレーズが並んでいた。
GM
『拝啓、アリス。
 愛しいアリス。
 きみが目を醒ましてから100年の月日が流れました。
 ぶっちゃけ、この国はもう駄目です。
 兎は落下し、猫は干乾び、帽子は裂け、女王は壊れ、
 大いなる暴力と死が、堕落した国に降り注ぎます。
 残ったのは53枚のトランプのみ。
 猟奇と才覚、愛によって救われるこの世界で
 僕らは今も、新たなアリスを待ちわびています。』
宿木ルカ
「新たな、アリス」
宿木ルカ
「…?」
GM
あなたがその、文面を読み終えた瞬間。
GM
世界は暗転し、全てを呑み込んで覆る。
GM
GM
GM
GM
Dead or AliCe
『Drop out』
GM
――欠けたものは戻らない。
GM
GM
荒野の乾いた砂に赤い血が散る。
アウレア
「…………っ!」
アウレア
仲間を狙った化け物の一撃を受け止めて、女がその場に足を踏みしめる。
イェルク
「アウレア!」
ネロ
「回復をします!一度下がって!」
アウレア
「大丈夫、大丈夫よ」
アウレア
「私よりも、イェルクとネロが立っている方が大事」
アウレア
「そうでしょう?」
人食い亡者
あなたたちの目の前に立ちはだかるのは、人食いの亡者。
人食い亡者
公爵家の管理する街に向かう道中に、
人食い亡者
救世主、末裔、お構いなしに命を喰らうてきた化け物だった。
ネロ
魔法の力を集め、練り上げ、女の傷を癒す。しかしそれでどうにかなるだろうか?
GM
戦況は芳しくない。
ネロ
盾役を務める彼女は限界に近い。自分は彼女と同じ愛を司るものだが、彼女ほどの頑強さはない。
GM
既に女は何度も致命に至りかねない一撃を受けている。
ネロ
もう一人の男も主な仕事は妨害。自分達は明らかに決定力に欠けている。
イェルク
どうしても浅い。その一撃が。
イェルク
すでに亡いはずの生命を絶つには届かない。
ネロ
妖精の中の才覚が、どうしようもなく理解する。このままでは、自分達は喰われるであろうことを。
ネロ
「一旦逃げることを考えましょう。アウレア、君はとにかく下がりなさい!」
ネロ
逃げられるかは別として、彼女をこれ以上立たせておくのは不可能だ。
イェルク
「殿は俺がやる。多少は耐えられ――」
イェルク
「……?」
イェルク
この中で最も才覚ある男が、まずそのことに気付いた。
人食い亡者
亡者は視線をよそに向けている。
人食い亡者
目の前の化け物の意識は今は自分たちではなく、別の方へと向けられている。
人食い亡者
三人の救世主たちではなく。
人食い亡者
――この世界に降り立ったばかりの、招待状を手に立ち尽くす少年へと!
宿木ルカ
「な……なに?これ…」
人食い亡者
亡者が砂を踏み締め、跳躍する。
アウレア
「!」
宿木ルカ
「ひ…っ!」
人食い亡者
牙を剥く。爪が振るわれる。
宿木ルカ
これはきっと、罰なんだろう。
宿木ルカ
僕がいい子でいられなかったから。
宿木ルカ
でも。これで全部終わりになるのなら―
GM
血がしぶいた。
GM
あなたの血ではない。
宿木ルカ
「…! …!?」 
イェルク
「――アウレア!」
GM
女の名が呼ばれるのを聞く。
アウレア
あたたかな抱擁の中にある。
宿木ルカ
「ぁ……?」
アウレア
すぐそばで。
アウレア
炎が燃えている。
イェルク
女に牙を突き立てた亡者へとナイフが降り注ぐ。
人食い亡者
肉を穿たれて、亡者がその場にたたらを踏み。
アウレア
一方で炎を纏うた女は、少年を抱いたままに地に倒れ伏す。
宿木ルカ
「 …!」
宿木ルカ
「なんで…」
アウレア
炎が燃えている。
宿木ルカ
この女性を知らない。この炎を知らない。守られるほどの価値なんて、ひとつもないというのに―
ネロ
戸惑う少年と燃える女を、星の光が包む。
アウレア
目の前にぱちり、弾けた炎が、
アウレア
その光ごとを焼き尽くした。
アウレア
炎はルカへと燃え移る。
アウレア
熱が。
アウレア
体温とは異なる苛烈な熱が、少年の軀を襲う。
宿木ルカ
「…!」
ネロ
「っ、やはりダメですか…」
ネロ
なけなしの魔法の力では、守護も癒しも十全ではなく。
アウレア
ルカの胸を襲う違和感。
アウレア
炎が自分の身を灼いている。
アウレア
そんなことは、当たり前のはずなのに!
イェルク
「――!」
宿木ルカ
「どうして、うそ、どうしたら、」
イェルク
人食い亡者の牙を打ち払った青年が、倒れ臥したアウレアを振り返って目を見開く。
イェルク
――正確には。
イェルク
アウレアと、何よりルカの反応にこそ、何かを悟ったように瞠目した。
アウレア
「…………」
アウレア
女の手が、ルカを突き放す。
アウレア
あなたへと燃え移った炎は消えない。
アウレア
女を灼くその炎すら、今は苛烈さを増すばかりで。
宿木ルカ
「ぃ…っ!」
宿木ルカ
あつい。くるしい。いたい。
アウレア
「――ルカ」
アウレア
苦痛に苛まれるあなたの耳に、女の声が届く。
宿木ルカ
当たり前のはずなのに、どうしてこんなにも辛いんだろう。
宿木ルカ
「な、まえ」
アウレア
「ネロと、イェルクのこと」
宿木ルカ
「なんで…」
アウレア
「頼んだわ」
アウレア
答えの代わりに、光が立ち昇る。
アウレア
ルカと、ネロと、イェルクの周囲を。
アウレア
女の祈りの秘蹟が巡る。
イェルク
女の意図を悟ってか、何がしか叫びかけた男の口が。
イェルク
しかし途中で引き結ばれる。
ネロ
咄嗟に少年と女の方へ伸ばした手が
ネロ
しかして届かない
ネロ
光が、全てを阻んでいる。
アウレア
指先が光に解かれる。
アウレア
何を掴むよりも先に。
アウレア
視界を光にさらわれて、世界が明転する。
アウレア
「…………」
アウレア
三人の姿が掻き消える。
アウレア
燃え盛る女はそれを見届けて、
アウレア
一人、亡者へと相対した。
GM
GM
プロローグを終了します。
GM
お茶会に突入する前に、今回のMODについて説明しましょう。
GM
お茶会MOD「PK追加行動」
・PKの通常手番4回
・PKからの横槍不可
GM
PKの行動回数を増やす代わりに、PCの行動に横槍が入らなくなるMODです。
GM
そしてPKデータを公開します。