? EX「禍災」導入

「禍災」導入

GM:ブラッドムーンキャンペーン『あなたへの花』
GM:EX『禍災』
GM:始めていきましょう。
GM:よろしくお願いします!
乾咲フラン:よろしくおねがいします!
糸賀大亮:よろしくおねがいしまーす!
夜高ミツル:よろしくおねがいします
忽亡ゆかり:よろしくおねがいしまーす
夜高ミツル:ひーー

GM:惨殺シーンはありません。
糸賀大亮:スキップ
乾咲フラン:ワオ…
GM:本編でやってあるので。
夜高ミツル:ハハハ……

導入:夜高ミツル

GM:急に空気が冷え込み、秋めいて肌寒くなってきた頃。
GM:千葉県八崎市に、一台の二人乗りバイクが到着する。
GM:昼過ぎ、人がほどほどに行き交う駅前の駐輪場。
GM:後部座席に座っていた人影が慣れた様子で先に降りた。
夜高ミツル:鍵を抜いてバイクを降り、ヘルメットを外す。
夜高ミツル:「やっぱ一年くらいじゃ駅前もそんな変わんないなー」

真城朔:「ん」

真城朔:小さな声で相槌を打ちながら、ヘルメットを外して首を振った。
真城朔:ミツルへとヘルメットを差し出す。
夜高ミツル:受け取って、自身の分と一緒にしまう。
真城朔:立ったままじっとその様子を見ている。
夜高ミツル:それからヘルメットで少し癖のついた真城の髪を、手でちょいちょいといじって整える。
真城朔:されるがままに心地良さそうに目を伏せた。
夜高ミツル:整えると満足げに小さく笑って、手を離す。

糸賀大亮:いちゃついてる
乾咲フラン:性交者の距離感!(指差し)
夜高ミツル:はずかしい
糸賀大亮:これが目の前にこれから現れるんだと思うとわくわくしてきたな
乾咲フラン:びっくりしちゃうよ
真城朔:ハア……

夜高ミツル:「じゃ、行くか」
真城朔:「ん」
真城朔:「……うん」
真城朔:頷いて、少し笑う。
夜高ミツル:パーカーのフードを被って、真城の手を取る。
真城朔:その手をかすかに握り返して、手を引かれるままに歩き出した。

真城朔:ミツルと手を繋いだまま、古びたアパートの扉の前に立っている。
真城朔:鍵のかかっていない、閉ざされた扉。
真城朔:真城には見慣れたアパートの一室。
夜高ミツル:ミツルにとっては二度目の訪問。
夜高ミツル:かつて訪れた時には、真城はいなかった。
真城朔:今は隣に真城がいて、
真城朔:けれど、躊躇いにただ立ち尽くしている。
真城朔:視線が彷徨う。
真城朔:秋の空は色が薄く、降り注ぐ日差しは暖かいながらもどこかよそよそしい。
真城朔:頬を撫でるほどの風が、ゆるやかに髪を揺らした。
夜高ミツル:「……入るか」
夜高ミツル:繋いだ手に力を込めて
夜高ミツル:促すように真城に視線をやる。
真城朔:「…………」
真城朔:ためらいがちに頷いて、
真城朔:おそるおそる、ミツルと繋いでいない方の手を伸ばす。
夜高ミツル:以前に部屋を訪れた時の様子は、今も目に焼き付いている。
夜高ミツル:時が止まった、としか表現できない異様な光景。
夜高ミツル:今は、果たしてどうなっているのか。
真城朔:ドアノブに指をかけて、
真城朔:捻って、
真城朔:玄関の扉を開けた。
真城朔:扉が開かれるとともに、
真城朔:二人の目の前で、
真城朔:はらりと仕切りのカーテンがはためいて、揺れた。
真城朔:カレーの匂いが鼻腔をくすぐる。
夜高ミツル:「……!」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:真城と目を見合わせる。
真城朔:惑いに視線をさまよわせて、ミツルを見る。
真城朔:土間には真新しい血痕。
真城朔:カーテンに仕切られた向こう側からは、大窓から射し込んだ陽光が。
真城朔:ゆるやかな秋の風が二人の間をすり抜けて、
真城朔:静かにそのカーテンを揺らしている。
夜高ミツル:どうしたものか、と玄関前でしばらく足を止めていたが
真城朔:指先でミツルの掌を握りしめる。
夜高ミツル:思い切って、真城の手を引くように玄関の敷居をまたぐ。
夜高ミツル:「……お邪魔します」
真城朔:手引かれるままに、室内へと入る。
真城朔:カーテンをくぐって。
真城朔:血痕をまたいで。
真城朔:あの日とよく似た、あの日とは違う風景を見る。
真城朔:2LDKの部屋の、玄関から繋がるダイニングキッチン。
真城朔:ダイニングテーブルの上には数学のワークと教科書。
真城朔:銀のシャープペンシル。赤ペン。無印のプラスチックの筆箱。使いかけの消しゴム。
真城朔:消しかすが風に吹かれ、ノートからテーブルへと転がった。
真城朔:二口コンロの片側に、おたまの入った寸胴鍋がかかって、
真城朔:しかし、コンロの火は消えている。
真城朔:炊飯器も電源が切られて、表示が消えている。

糸賀大亮:ああ、電気代払ってないから
真城朔:ガスとかも含め全部止めてますね
忽亡ゆかり:6年前のカレー、時が止まっていると知ってはいても直視に勇気がいるな
真城朔:冷蔵庫の中そのままなんすよ
真城朔:それ以外も……
糸賀大亮:怖い
乾咲フラン:ハワワ

夜高ミツル:それらはかつて訪れた状況のそのままに。
夜高ミツル:かつてと同じく、あまりまじまじと室内を眺めるのは躊躇われるが、
夜高ミツル:かと言って視線の置きどころもなく。
夜高ミツル:隣に立つ真城の様子を見る。
真城朔:目が合った。
真城朔:「……ミツ」
夜高ミツル:「……ん」
夜高ミツル:答えて、それからフードを外す。
真城朔:「…………」

真城朔:「どうしよう……」
夜高ミツル:「そうだなー……」
真城朔:茫洋と、惑う幼子のように声を漏らす。
真城朔:繋ぐ手にばかり力を込めて、それもひどくかすかな力だけれど。
夜高ミツル:「ずっとこのまんまってわけにもいかねえもんなあ……」
真城朔:小さく頷く。
夜高ミツル:この部屋の全てがきっと真城と母親との思い出で、
夜高ミツル:それらを片付けてしまう、などと言い出すのは気が引けて。
夜高ミツル:かと言って、このまま置いておくというわけにはいかない。
真城朔:じっとミツルを見つめている。
夜高ミツル:「……とりあえず」
真城朔:「?」
夜高ミツル:「大事なものとか、取っておきたいものとか」
夜高ミツル:「そういうのを、探すとこからかな……」
真城朔:「…………」
真城朔:ぱちぱちと何度か瞬きをして、
真城朔:それからまた小さく頷いた。
真城朔:「……あ」
真城朔:「でも」
夜高ミツル:「ん?」
真城朔:ちらりと寸胴鍋だとか、
真城朔:冷蔵庫だとかに視線をやってから。
真城朔:「……ほっておくと」
夜高ミツル:「……あー」
真城朔:「たぶん……」
夜高ミツル:「そうだな……」
真城朔:中学校の学級だよりが貼られた冷蔵庫へと近寄って、扉を開ける。
真城朔:中の電灯はつかない。
夜高ミツル:後ろから覗き込む。
夜高ミツル:「止まってるなー……」
真城朔:冷気が中から溢れて頬を撫でるが、稼働はしていない。
真城朔:中には麦茶のボトルや牛乳や、作り置きの惣菜やら、冷凍室にはハムだとか肉のパックだとか。
真城朔:冷凍庫をがらりと開けた。
真城朔:開けられたアイスバーの箱を取り出して、ミツルを見る。
真城朔:「…………」
真城朔:「どうしよう……」
真城朔:また同じことを繰り返した。
夜高ミツル:目が合う。
真城朔:バニラ味とチョコ味の入った古典的な棒アイスの箱。
真城朔:中にはそれぞれ一本ずつ残っているのが、今まさに溶けつつある。
夜高ミツル:んー……と唸って、
夜高ミツル:「……勿体ないけど、捨てるしかねえかなあ……」
真城朔:また頷く。
真城朔:「ゴミ袋」
真城朔:「ええと……」
真城朔:箱を置いて、
真城朔:慣れた様子で棚を探し始める。
真城朔:その足元に、くたくたの灰色のクッションが転がっている。
夜高ミツル:冷蔵庫の中を覗いて、
夜高ミツル:食材はまだいいとしても、手が入ってるものを捨てるのはかなり申し訳ないな……とか思いつつ
夜高ミツル:棚を探す真城の背に目線を映す。
真城朔:指定のゴミ袋を引っ張り出している。
夜高ミツル:真城の方に寄っていって、ゴミ袋を受け取る。
真城朔:「……ええと」
真城朔:「なんか」
真城朔:「いい感じに……」
夜高ミツル:「うん」
真城朔:自分の分もゴミ袋を取って、口を開いている。
夜高ミツル:「台所の方やっておくから、真城は部屋の方とか……」
夜高ミツル:「で、大丈夫か?」
真城朔:頷く。
夜高ミツル:頷く真城を見て、
夜高ミツル:「……一人で大丈夫か?」
夜高ミツル:と重ねて確認する。
真城朔:「…………」
真城朔:ちらりとダイニングキッチンに目をやってから、
真城朔:奥の部屋に続く扉を見て、
真城朔:ミツルに視線を戻す。
真城朔:戻したはずの視線が落ちた。
真城朔:「……部屋」
真城朔:「開けるときは」
夜高ミツル:「……ん」
真城朔:「後で」
真城朔:「いっしょに……」
夜高ミツル:「うん」
夜高ミツル:「一緒にやろうな」
真城朔:「…………」
真城朔:頷く。
真城朔:頷きながら、

真城朔:そこでやっと涙を滲ませた。
夜高ミツル:ゴミ袋を脇に置いて、涙を浮かべた真城を抱き寄せる。
真城朔:ゴミ袋を握りしめて皺を作りながらほろほろと泣いて、
真城朔:抱き寄せられた肩に顔を埋める。
夜高ミツル:赤子にするように、優しく手のひらが背中を撫ぜる。
真城朔:ミツルの背中に腕を回して、
真城朔:声を出さぬままに、涙を落とす。
夜高ミツル:暫くの間、そうして静かに涙を流す真城を腕の中に抱いていた。
真城朔:その腕の中で、束の間の安寧に身を浸す。
真城朔:劇的なことは何もない。
真城朔:過去に置いてきた日々の、生活の延長線上の、なんてことのない後始末。
真城朔:吹き込んだ秋風がカーテンを揺らす、
真城朔:当たり前の風景の中で、声も出さずに泣いていた。

導入:乾咲フラン

GM:秋の日のフラン邸。
GM:庭には色とりどりの秋の花が咲いて、風にその花弁を揺らしている。
GM:客室からはその様子がよく見える。
GM:相変わらず上品な調度品の取り揃えられたフラン邸の客室に、
野嶋優香:全員分の紅茶を慣れた様子で注いで、野嶋優香は薄く微笑んだ。

野嶋優香:「それでは」
野嶋優香:「何かご用件がありましたら、お気軽にお申し付けください」
夜高ミツル:ありがとうございます、と優香に軽く頭を下げて、
夜高ミツル:一年ぶりに顔を合わせる仲間たちの方へと向き直る。
夜高ミツル:「改めて……お久しぶりです」

真城朔:その隣の席におろおろと座っています。

乾咲フラン:優香の背に感謝の言葉を投げかけてから皆の方を見て……
乾咲フラン:「いやあほんと久しぶり。元気にしてたかな?」夜高と真城に向かって。

糸賀大亮:「ああ……」

糸賀大亮:一年前に茶会に呼ばれた時は居心地が悪いなんてもんじゃなかったんだが。
糸賀大亮:こうやって久々に集まると、もはや懐かしい馴染みの場所という感じだ。
夜高ミツル:はにかむように笑う表情からは、一年前に残していた幼さが少し薄れている。
夜高ミツル:「はい。元気でやってます、俺も真城も」
真城朔:「……はい」
乾咲フラン:シックなテーブルの上にはハッピー○ーンなど庶民的なおやつもある……糸賀にも過ごしやすいお茶会づくりがメイドによって行われている。
糸賀大亮:気遣いがある。
野嶋優香:気遣いました。
糸賀大亮:気遣われていることに気が付かないまま、自然に庶民的な菓子をつまんでいる。
忽亡ゆかり:「夜高くん、大人っぽくなったねえ」

夜高ミツル:「大人っぽく……そうですか?」
夜高ミツル:「忽亡さんもなんか……雰囲気? 変わりましたね」
乾咲フラン:夜高と真城の座っている距離感はどうなっていますか?このお茶会はソファーで行われているものとします(急)
真城朔:終わった……
真城朔:終わった……じゃねんだよ。
糸賀大亮:終わってる。
真城朔:自然とミツルのすぐ近くに……座っていますね……
真城朔:かなり……近くに……
真城朔:べったりというほどではないですが……ぴとっと……
夜高ミツル:寄り添って座っています。
糸賀大亮:元気そうで何よりなんだが、めちゃくちゃくっついているな……
真城朔:そんな感じになりつつフランに会釈をしました。
乾咲フラン:ではフランはその距離を見ます。見ました。ゆかりの方を見たりして一般的な人間の距離感を再確認しています。
乾咲フラン:「健康でよかったよかった」よかったという思いと……距離感への思いがあります
夜高ミツル:ミツルの方にも距離感を意識している様子はありません。
忽亡ゆかり:「まあ、いつまでも若手社員の顔しちゃいらんないからね。めんどくせーんだ、色々」
糸賀大亮:「教官をやっているんだったか」近いなあと思いながら相槌を打っている。
忽亡ゆかり:「そーそー。そっちはまだ現役で?」
乾咲フラン:「糸賀クンもヒゲを剃ったしなぁ。変わらないのは私ぐらいか?」二人は付き合ってるの?という言葉を紅茶で流し込みました。
夜高ミツル:「乾咲さんは本当に変わらないですね……」相変わらず輝いてるなあと思っている。
乾咲フラン:「あの後すぐ髪の毛切ったぐらいで伸びてまた元通りになったし仕事もいつもどおりだし、私は何も変わってないね~」で、二人は付き合ってるの?という言葉をサツマイモのクッキーで流し込みました。
真城朔:両手でティーカップを持ってゆっくり飲みながらぼんやりと話を聞いています。
真城朔:頷いたりとかしている。
糸賀大亮:「ああ、俺はまだ新入社員未満だ。大学も卒業してないしな」
忽亡ゆかり:「お、復学?」
糸賀大亮:「実は、去年の九月にはもう復学していた。……今は、単位を取るのに必死だ」
忽亡ゆかり:「そりゃ大変だ。彩花ちゃんにも心配かけらんないもんね」
糸賀大亮:「ああ……彼女の方がしっかりしてるよ」と相槌を打って、変わらないフランにチラッと目を向けている。

真城朔:前のお茶会では大亮さんが学生だと判明してねえ
真城朔:電撃が走っていたものだけどねえ ってかなり感慨深くなっちゃった
真城朔:(終わりから目を逸らしながら)
糸賀大亮:復学した後にD7襲撃してたのか?
真城朔:そうなるな……
夜高ミツル:やるねえ

真城朔:フランの脳裏を過ぎるのはたまにミツルから送られてくることのあった旅先での真城の写真ですが……
真城朔:こう……
真城朔:妙に気の抜けたふにゃふにゃとした笑顔が……
真城朔:そういう写真の……
真城朔:元気ですって報告といっしょに……
真城朔:何度か送られてきていて……
夜高ミツル:元気なところ送ってあげたら喜ぶかと思って……
乾咲フラン:「おやおや二人の調子は……いかがかな~?」糸賀の方を見ながら茶化す。真城の方に振り向いて『こっちは致しましたよね?』と聞きそうになるのを功夫で抑え込みます。
真城朔:今は目の前でくっついていますね(物理的に)
糸賀大亮:答えかねて一瞬沈黙した。
夜高ミツル:「あ、そうだ。皆川さんも元気ですか?」
夜高ミツル:真城を通して、なんとなく様子は伝わってくるけど。
糸賀大亮:「すっかり。今はさんくちゅありの喫茶店でアルバイトをしてる……」
糸賀大亮:夜高の質問の方につい先に答えてしまう。
真城朔:特に気になる話題なのかティーカップを持ったままじっと大亮を見た。
乾咲フラン:写メ……眼の前の距離感……それが意味することはつまり……『性交した!』ピンポン!と脳内で成功する悪のフランをなんか適当な茶菓子で流し込みました。

真城朔:フランさんずっと音ゲーか何かやっていらっしゃる?
夜高ミツル:フランさん……
真城朔:リズミカルに自我を叩いて黙らせてる
乾咲フラン:バシバシバシバシバシ

夜高ミツル:「今日、糸賀さんと一緒に来るのかと思ってました」
糸賀大亮:「今日はまあ……狩人同士の集まりだからな」と首を竦めた。
夜高ミツル:「ああ……なるほど」
乾咲フラン:後で糸賀クンだけ行く方が喜ぶんじゃない?
糸賀大亮:俺は毎日行ってるから……
乾咲フラン:こいつ
真城朔:真顔で頷いています。ティーカップ持ったまま。
糸賀大亮:「Memoryっていう店だから、今度行くといい。ええと……」
夜高ミツル:「後でカフェの方行ってみような」と、隣の真城に。
真城朔:「ん」ミツルに話しかけられて頷いています。
乾咲フラン:「 」付き合ってますよね? 「私も今度行ってみよ~っと」自我判定に成功
糸賀大亮:フランの質問に答えてなかったことを思い出した顔をしたが、まあうやむやにできそうならいいか……みたいにお茶を飲んだ。
忽亡ゆかり:「そっちは元気そうだよねー。大亮さんもサッパリして若返った。前より生気がある」
糸賀大亮:「来年はもう就職だし、いつまでもげっそりしてるわけにはいかない……」
乾咲フラン:「就職活動に身だしなみは必須だからねぇ」
忽亡ゆかり:「死んでたし老け込んでたよ。年下だと知った時は驚いた」
糸賀大亮:「まあ……そうだろうな」
糸賀大亮:「あの頃はちゃんと寝れてもなかった」
真城朔:ティーカップを持って身を縮めています。
夜高ミツル:「就職かあ……」
夜高ミツル:親の遺産を食いつぶしている身としては形見の狭い話題だ。
乾咲フラン:血縁のコネで仕事をもらっているため特に気の利いたことを言えない人。
糸賀大亮:俺もこのままクラブに行くから、コネと言えばコネなんだが。
真城朔:狩人はコネ社会だからな
夜高ミツル:皿の上にスコーンに手を伸ばし、ぽふっと割って口に運ぶ。
忽亡ゆかり:「就職といやあ、お前らはどうするのさ?」
夜高ミツル:むぐむぐとスコーンを咀嚼して、飲み込んで。
夜高ミツル:「えー……と」
夜高ミツル:「暫くは……まだ旅を続けるつもりで……」
夜高ミツル:「北の方を回ってきたので、今度は南に行こうかなーって……」
糸賀大亮:「狩人続けるにしても、D7にはもう戻れないだろうな」とぼんやり言ってる。
真城朔:頷いています。
夜高ミツル:「D7は流石にですね……」
夜高ミツル:「色々回ってる時も支部があるところは避けてきましたし……一応……」
真城朔:「なるべく……」
真城朔:「避けてる……」
忽亡ゆかり:「ふーん……」
乾咲フラン:「ああそうだ、旅の途中もしどうしても金や仕事に困ったらなにか短期のものとか紹介できるかもしれないから声掛けてくれよ」
夜高ミツル:「乾咲さん……ありがとうございます」
真城朔:フランを見て、ぱちぱちと瞬いて
真城朔:「……ありがとうございます」ぺこりとしおらしく頭を下げた。
忽亡ゆかり:「じゃ、またしばらくは居なくなるのね」
夜高ミツル:「そうですね」
糸賀大亮:「ここにはどれぐらい?」
夜高ミツル:「んー、次の満月の前には出ていくつもりだったんですけど……」
夜高ミツル:「色々片付けてるのが、思ったより手間取ってて」
真城朔:「家が……」ぼそぼそ
忽亡ゆかり:「家?」
乾咲フラン:「あー……家。」
夜高ミツル:「真城の家と、あと隠れ家みたいなとことかがいくつかあって、それを……」
真城朔:「セーフハウスは」
真城朔:「いくらでもなんとでもなる、けど」
忽亡ゆかり:「真城の家って、あの動かないやつでしょ?」
糸賀大亮:「……あの家か」
真城朔:「…………」
真城朔:ゆかりの言葉に頷きます。
真城朔:「その、……」
真城朔:「…………」
真城朔:結局黙ってしまって、困ったようにミツルを見ます。
忽亡ゆかり:「何だよー」
夜高ミツル:「……今は、全部普通に動くようになってます」
夜高ミツル:「行ったらなった、って感じなんですけど……」
忽亡ゆかり:「マジ?」
夜高ミツル:「ガスとか電気とか、そういうのは全部止まってるんですけど」
真城朔:「魔法が」
真城朔:「解けたみたいで……」
糸賀大亮:「……そうか」
糸賀大亮:一度立ち入った時の光景を思い出している。
真城朔:「契約はずっと前に切ってたんだけど……」
乾咲フラン:「なるほどね……」
忽亡ゆかり:「なんでまた今になって?」
真城朔:「…………」
真城朔:首を傾げたが。
真城朔:「……俺が」
真城朔:「戻ったから……?」
夜高ミツル:「真城もあんまりよく分からないみたいなんですよね……」
忽亡ゆかり:「そういうもんかあ……」
糸賀大亮:「……カレーあったよな」
糸賀大亮:それで片付けかあ、と思っている。
忽亡ゆかり:「そりゃ、骨が折れるわけだ」
乾咲フラン:「帰ってきたから、解けた……?」
乾咲フラン:魔法のことなんてわから~んなのでへぇそんなこともあるんだなぁって感じ。
夜高ミツル:「はい。あと冷蔵庫の中身とか色々……」
真城朔:「アイスもあった……」
真城朔:ちびちびと紅茶を飲んでいるが、あまり量は減っていない。
乾咲フラン:「あららぁ」もったいない
夜高ミツル:あのカレーをただ捨てるのが申し訳なくて、実は処分する前に一口食べたりしていたのだが、引かれそうなので黙っておいた。

真城朔:そうなんだ…………
糸賀大亮:食べたんだ……
夜高ミツル:いけそうだったから……
真城朔:時間が止まってたからまあ できたてではあったよ
乾咲フラン:食えるでしょ
乾咲フラン:母親最後の手料理だぜ!
真城朔:炊飯器には米があって……
糸賀大亮:ほかほかの

糸賀大亮:しかしこのへにゃへにゃした真城、今更ながら慣れないな……と思っている。
真城朔:へにゃ……
乾咲フラン:よわましろ
忽亡ゆかり:「この紅茶もおいしいなあ。乾咲さんとこの紅茶はいつも分からないけどいつもうまい」
乾咲フラン:「いろいろな収集家がいる家系だからね~良い物が届くのさ」
夜高ミツル:「真城まだ食えそう?」
夜高ミツル:先程割ったスコーンを更に小さく割って、隣の真城に差し出す。
乾咲フラン:鳥の餌付けか?
真城朔:「ん」
真城朔:差し出されたのでぱくっと食べました。
糸賀大亮:食べた。
夜高ミツル:「カボチャ入ってた」
真城朔:「ん……」もむもむと口を動かしています。
乾咲フラン:「」付き合ってますよね! 「そう、秋だからかぼちゃをね~」
夜高ミツル:嬉しそうにその様子を見ている。
糸賀大亮:食べた……とさすがに思っている。
忽亡ゆかり:「いつもホントありがとうございます」
糸賀大亮:俺もスコーン食べるか……
野嶋優香:「お気に召したようで……」
野嶋優香:ちょうど紅茶を注ぎに来た優香が嬉しそうに笑っています。
忽亡ゆかり:「おいしくいただいてるよ、優香ちゃん。そっか、世間はそろそろハロウィンか」
野嶋優香:「ハロウィンですし、収穫の秋、実りの秋ですからね」
野嶋優香:「何かとモチーフには事欠かない頃ですねえ」
乾咲フラン:「そうだ、サツマイモとか好きなら弟くんにもさ……」やたらとあるサツマイモ由来のおやつを見ながら
忽亡ゆかり:「いいんですかー!弟も喜びます!」
野嶋優香:「ふふ」
糸賀大亮:「俺も少しもらっていっていいか」
糸賀大亮:スコーンは美味い。
乾咲フラン:「いいよいいよ~」仲良きことは良きことかなって思いでニコニコしています。
野嶋優香:「では後で包んでおきますね」
野嶋優香:「皆様でお楽しみください」
糸賀大亮:「ありがとう……」
乾咲フラン:「頼んだよ」
野嶋優香:「はい。かしこまりました」
野嶋優香:フランに礼をして下がります。
忽亡ゆかり:「気候も快適で食べ物もおいしい季節だ。すぐに終わっちゃうのが残念だけど」
糸賀大亮:「最近はもう、冬かって日もあるしな」
真城朔:真城はもむもむと口を動かしていましたが。
夜高ミツル:小動物
真城朔:「……ミツ」
夜高ミツル:「ん」
真城朔:「そっちの」
真城朔:「さつまいもの」
真城朔:「少し……」
夜高ミツル:「ん、あれなー」頷いて手を伸ばす。
真城朔:ちょこんと座って待っています。
夜高ミツル:手にとると先程と同様に一口大に割って、また真城の口元に差し出す。
夜高ミツル:手慣れた、ごく自然な動作で。
糸賀大亮:「……」沈黙してそれを思わず目で追ってしまう。
糸賀大亮:写真が送られてくる限りでは元気そうで何よりだと思ってたんだが。
真城朔:自然に食べました。
糸賀大亮:この真城は大丈夫なのか? と心配になっている。
乾咲フラン:それを見ている糸賀を見ています
忽亡ゆかり:「……なんつーか」

忽亡ゆかり:「お前ら、ヤったんか?」
乾咲フラン:「アッ」モグラコロッケみたいな声出た
糸賀大亮:「は?」
夜高ミツル:「………………?」
夜高ミツル:ぽかん
真城朔:「?」
真城朔:もむもむと口を動かしています。
忽亡ゆかり:「近えんだよ、距離がよう。付き合いたてのカップルか?え?」
夜高ミツル:やった? 何が? 何を? と暫し考えて、
夜高ミツル:「えっ、あっ」

夜高ミツル:「いやっ、あの~~~~~」
真城朔:口を止めてきょとんとゆかりを見ています。
乾咲フラン:(やったのか、ミツル!)と思っています
糸賀大亮:は? と思っています。
夜高ミツル:「あの、いや、あのですね」
夜高ミツル:「真城はそんなに食べれないから……」見当違いの所を説明している。
真城朔:こくこくと頷く。
糸賀大亮:お茶を飲みました。
真城朔:お茶を飲みます。
忽亡ゆかり:「……………………そっかぁ……」
夜高ミツル:「そ、そうなんです……」
忽亡ゆかり:「あんだけ人を巻き込んで、逃避行の果てに、なあ……」
乾咲フラン:「まあでもね うん」やってるよね。 そう口に出さない強さをフランは身につけています。「うん」
真城朔:「?」
乾咲フラン:「人生にはいろいろがありますからね」 色々
忽亡ゆかり:「そっすねー……色々があるんですねぇ……」
糸賀大亮:「問題ないならいいんだが……」
糸賀大亮:分からないことは考えるのを放棄して、分かることから考えようと思いながらお茶を飲んでいる。
夜高ミツル:「…………」
夜高ミツル:目が泳いでいる。
糸賀大亮:「夜高」
夜高ミツル:「……えっ、は、はい」
糸賀大亮:「今、楽しいか?」
夜高ミツル:その質問に、ぱちぱちと目を瞬かせて。
夜高ミツル:「……はい」頷いて、照れくさそうに笑う。

真城朔:そのミツルをじっと見ています。
糸賀大亮:「そうか。……ならよかった」

糸賀大亮:よかったな、と思っている。
夜高ミツル:「ありがとうございます。糸賀さんたちのおかげです」
忽亡ゆかり:「親分、どうしますコイツら?」フランさんに聞きます
乾咲フラン:「まあ楽しいってんなら良かったけど、やっぱりヤってるよね。」ゆかりさんに悪いフランが答えます
夜高ミツル:「ヤっ…………」
乾咲フラン:言った後で真顔で夜高たちの方を一度見て……何も言ってないと言わんばかりにクッキーを食べました。「おいし~」
忽亡ゆかり:「はっはっは」
糸賀大亮:「南なら、沖縄にも行くのか。写真、送ってくれよ」夜高に頷きつつ、フランの言葉は聞かなかったことにしました。
乾咲フラン:「ワハハワハハ」 大丈夫ワハハ
乾咲フラン:「まあまあまあまあ」
夜高ミツル:やっぱり見て分かられてしまうものなのか???という動揺
糸賀大亮:ヤッ……
夜高ミツル:「……は、はい。沖縄も行くつもりで……」
夜高ミツル:「送ります、写真を……」倒置法
乾咲フラン:「楽しみにしているよ」色々と
真城朔:ぼやや……としています。
糸賀大亮:「…ああ……」
夜高ミツル:気まずそうに目を泳がせたり居住まいを正したりしている。
乾咲フラン:「楽しいなら、それに越したことはないよね!」いい話風にまとめようとすんな まとまらねえぞ
糸賀大亮:さすがに一年越しに先を越されるの意味を噛みしめています。

真城朔:噛み締めてて笑った
乾咲フラン:うける
糸賀大亮:そうか……あれそういう……

夜高ミツル:少しの間そうしたあと、観念したように顔をあげて
夜高ミツル:「えーと……」
夜高ミツル:「実は……実はじゃないかもですが……」
夜高ミツル:「今……去年のあの後……真城とですね……」
夜高ミツル:「付き合って……付き合う……そういう感じに、なって、います」
乾咲フラン:「わあ正直だぁ」たまげたぁという感じです
忽亡ゆかり:「そっかあ~~~~~~~~~~~」
糸賀大亮:「そうか……」以外の反応ができない。
夜高ミツル:「はい…………」
真城朔:何故かピンとこない感じでそのやりとりを見ています。
夜高ミツル:こういうときに真城がピンと来てなさげなのには慣れているのでもう気にしない。
乾咲フラン:「真城のこと……頼むぞ!」なんか父親でもないのに父親っぽいセリフだなと内心でウケて傷つきながら。
夜高ミツル:「はい……」神妙に頷いた。
糸賀大亮:お茶を飲んでいる。
真城朔:飲んでいます。お茶を。
夜高ミツル:真城にあげたスコーンの残りを割って食べたりしている。
夜高ミツル:気まずい……。
乾咲フラン:フ……とスッキリしたような笑顔で外を見る。窓の外では美メイドたちがキャッキャと遊び回っていた……

導入:糸賀大亮

糸賀大亮:Memoryで、今度家具を見に行こうという話を。
糸賀大亮:できればいいかなと。
皆川彩花:はーい。
皆川彩花:またお茶を飲ますか。
皆川彩花:コーヒーでもいいが……
糸賀大亮:お茶を飲んでからのお茶。
糸賀大亮:コーヒーにしておくか。

皆川彩花:大亮と彩花同じ家には住んでないんですよね
皆川彩花:今は
皆川彩花:将来的に……みたいな感じではあるが……
糸賀大亮:導入で一緒に家具見に行く話しようと思っていた
乾咲フラン:なるほどね…
糸賀大亮:まだ親に家賃も携帯料金も払ってもらってるから……
皆川彩花:さすがに女子高生ころがりこませらんねえからな……
乾咲フラン:理性

皆川彩花:ではMemoryの奥まったところの席で。
皆川彩花:大亮さんが来てくれたので、軽い休憩をもらって席についてます。
皆川彩花:さんくちゅありは融通がきく。
皆川彩花:「さっくんどんな感じでした?」

皆川彩花:大亮にコーヒーを持ってきて、自分はカフェオレです。
糸賀大亮:「ん、ああ……」思わず若干言葉を濁してしまった。
糸賀大亮:「いや、元気そうではあった」
皆川彩花:「ははは~」
皆川彩花:「なんか」
皆川彩花:「……なんかでしたか」
皆川彩花:なんか。
糸賀大亮:「なんか……まあ、何かというか」なんか?
糸賀大亮:「一年前に最後に会った時も、ぼんやりはしてたが」
皆川彩花:「ふんふん」
糸賀大亮:「最初に会ったのは、熟練の狩人としての真城だからな」
皆川彩花:「あ~」
糸賀大亮:「正直、一時的なものだと思ってたから」
糸賀大亮:「相変わらず夜高にべったりだったんで、驚いた」
皆川彩花:「ははは……」
皆川彩花:べったり……
皆川彩花:べったりだろうねえ……みたいな遠い目をしてます。
皆川彩花:「まああっちが素ですよ」
皆川彩花:カフェオレを啜っています。
糸賀大亮:「そうか」
糸賀大亮:「素でそれが楽なら、まあいいんだろうな」コーヒーを啜る。
皆川彩花:「プルサティラも言ってましたからね~」
皆川彩花:「泣き虫弱虫甘えんぼって」
糸賀大亮:「……ああ」
皆川彩花:「そうできる相手があんまりいなかっただけで」
糸賀大亮:「今は夜高か」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「彩花ちゃんはその……知ってたのか?」
皆川彩花:「?」
糸賀大亮:「いや、夜高と……」
糸賀大亮:「真城が…………」
皆川彩花:「ああー……」
皆川彩花:「まあ……」
皆川彩花:「だって……」
皆川彩花:「写真が……」
糸賀大亮:「写真……」
皆川彩花:「何回か見せたじゃないですか」
皆川彩花:「送られてきたやつ」
糸賀大亮:「ああ」
皆川彩花:「えーと」
皆川彩花:スマホを出していじってます。
皆川彩花:けっこう遡って、古めのやつを出して見せてくる。
皆川彩花:だいたい一年前くらいの。
皆川彩花:「空気感がですね」
糸賀大亮:「うん」
皆川彩花:「空気感では?」
糸賀大亮:「……空気感ですか」

夜高ミツル:空気感
乾咲フラン:空気感
忽亡ゆかり:大亮さんが相手の口調に合わせた相槌を打ったぞ

糸賀大亮:元気そうで、というか。そんな苦しくなさそうで何よりだと思ってたな……
皆川彩花:ふにゃっと気の抜けた顔の真城の写真ですが。
皆川彩花:背景の紅葉や池なんかはとってもきれいですが、
皆川彩花:焦点はあくまでも真城に合わされている。
皆川彩花:風景、THE おまけ。
皆川彩花:「撮る側も撮られる側も……」
糸賀大亮:まあ、そうだな。でも近況報告だし……
皆川彩花:「なんか……」
糸賀大亮:「なんか……そうか」
皆川彩花:「思ったより早かったですが……」
糸賀大亮:気が付かなかったな……
皆川彩花:「思ったより……」
皆川彩花:「早かったですが…………」
皆川彩花:二回言いました。
糸賀大亮:「そうか…………」
皆川彩花:「はやくてびっくりした」
糸賀大亮:「なるほど……」
糸賀大亮:彩花ちゃんがびっくりしてたことにも気が付かなかったな。俺は……
皆川彩花:「はーあ」
皆川彩花:スマホをテーブルに放り出してテーブルにびたーんと突っ伏します。
糸賀大亮:「まあ、その……元気そうだったよ」
糸賀大亮:「今度ここにも来ると思う」
皆川彩花:「ん」
皆川彩花:顔をあげます。
皆川彩花:「じゃあデミカップ用意しないとですねえ」
糸賀大亮:「デミカップ」
皆川彩花:「ちっちゃいやつ」
糸賀大亮:「ああ、真城用に」
皆川彩花:「別に液体ならそんな変わんない気もするけど」
皆川彩花:「あるので、使います」
皆川彩花:宣言。
皆川彩花:「あれかわいくて好きで~」
糸賀大亮:と、思い出した顔で、持たせてもらってた包みを取り出す。
糸賀大亮:これは…夜高がスコーンをちぎって真城に与えてたな、という思い出し方ですが……
皆川彩花:とか言ってたところに取り出された包みにうん? って顔をしました。
糸賀大亮:「フランのところで、スコーンが出て」
皆川彩花:「はい」
糸賀大亮:「少し分けてもらったから」
皆川彩花:「おおー」
糸賀大亮:「カボチャとサツマイモが入ってる」
皆川彩花:カフェ的にはややあんまりだけど、奥の部屋だからセーフ。
皆川彩花:「わーい」
皆川彩花:「秋、秋ですね~」
皆川彩花:「あれからね~」
皆川彩花:「もう一年もね~」
皆川彩花:頬杖ついて身体を揺らしてます。
糸賀大亮:「ほかのみんなも元気そうだった」
糸賀大亮:「過ぎてみるとあっという間だな」
糸賀大亮:頷いている。
皆川彩花:「あっという間」
皆川彩花:ぱっと真顔になって大亮を見上げます。
糸賀大亮:真顔になられたので、見返した。
皆川彩花:「あっという間」
糸賀大亮:「あ~……」
皆川彩花:「ですか?」
皆川彩花:首を傾げます。
皆川彩花:じー。
皆川彩花:「ですか?」
皆川彩花:念押しのようになにかを繰り返します。
糸賀大亮:「お待たせはしていると……」
皆川彩花:「待ちますけど~」
糸賀大亮:目を逸らした。負けた。
皆川彩花:「待ちますけど」
皆川彩花:「……別に」
皆川彩花:「困らせたいわけじゃないですし」
皆川彩花:「ですし……」
糸賀大亮:「単位は無事に取れそうなので……」
糸賀大亮:「そうだ。それで」
皆川彩花:「?」
糸賀大亮:「次、空いている土日っていつかな」
皆川彩花:「次ですか? ええと」
皆川彩花:スマホを確認し始めます。
糸賀大亮:「部屋を探すのはまだちょっと早いけど」
糸賀大亮:「どういう家具が欲しいとか、今のうちに考えといた方がいいんじゃないかって思って……」
皆川彩花:「えっ」
皆川彩花:スマホを放り出しました。
糸賀大亮:「……気が早いだろうか」
皆川彩花:「かぐ」
皆川彩花:「家具!」
皆川彩花:ぴょっと立ち上がります。
皆川彩花:ががーと椅子が鳴る。
皆川彩花:「えっと」
皆川彩花:「えっと、ええと」
糸賀大亮:ちょっと目を見開いて見上げた。
皆川彩花:「家具って」
皆川彩花:「住む部屋の、だよね」
皆川彩花:「その」
糸賀大亮:頷く。
皆川彩花:「いっしょに」
皆川彩花:「住む……」
糸賀大亮:「うん」
皆川彩花:「来年……」
糸賀大亮:「そう」
皆川彩花:「家具を……」
糸賀大亮:「必要だから……」
皆川彩花:「二人で?」
糸賀大亮:「そう。まあ、すぐ買うわけじゃないけど、雰囲気だけでも、好きなやつとか」

乾咲フラン:婚…
夜高ミツル:姻
乾咲フラン:間取り決めた?
糸賀大亮:全然決めてないと思う
皆川彩花:まあ下見というか
皆川彩花:雰囲気掴むみたいな……
皆川彩花:デートじゃん?????
皆川彩花:デートじゃ~ん???
皆川彩花:彩花!!!
夜高ミツル:デートだ
夜高ミツル:同棲の準備

皆川彩花:「えへへ」

皆川彩花:「えへへへへへへへ」
皆川彩花:へにゃへにゃと笑い崩れて椅子に戻りました。
皆川彩花:「家具を……」
皆川彩花:「そっかあ」
糸賀大亮:待たせてるんだなあ、とちょっと申し訳なく思っている。
皆川彩花:「えへへへ」
皆川彩花:「大亮さんと家具を選ぶんだ~」
皆川彩花:「大亮さんとね~」
皆川彩花:「二人で……」
皆川彩花:「えへへへへ」
皆川彩花:予定とかそっちのけでふにゃっふにゃに笑ってます。
糸賀大亮:眺めている。
糸賀大亮:コーヒーを飲む。カフェイン摂りすぎな気がしてきたな。今日。
皆川彩花:冷めたカフェオレよりよっぽどゆだってます。
糸賀大亮:「……ええと」
糸賀大亮:「その、待たせてて悪いと思ってるけど……」
皆川彩花:「うん」
皆川彩花:大亮を見ます。
糸賀大亮:「俺も、その、」
糸賀大亮:「楽しみにしているので……」
皆川彩花:「はえ……」
皆川彩花:へんなこえをだします。
糸賀大亮:「……ので」
皆川彩花:「う、うん」
糸賀大亮:「もう少しの辛抱と思ってくれると」
皆川彩花:「……ん」
皆川彩花:「うん」
皆川彩花:「待つよ」
皆川彩花:「大丈夫」
糸賀大亮:「……よかった」
皆川彩花:「いくらでも待てるのはほんとだから」
皆川彩花:「だから、大丈夫なのです」
皆川彩花:「……えへへ」
皆川彩花:「家具~」
皆川彩花:「大亮さんと家具~」
糸賀大亮:「いくらでもは待たせないよ……本当に」
糸賀大亮:「あ。」
皆川彩花:「?」
糸賀大亮:「それで、いつだっけ、土日……」

導入:忽亡ゆかり

GM:夕飯時の忽亡家は電灯が明るく。
GM:そこに待つ人の存在が確かに感じられます。
忽亡ゆかり:いつもの時間、いつもの通りに家の扉を開ける。
忽亡ゆかり:「ただいまあ!」

忽亡かなた:「おかえり!」
忽亡かなた:まずは先に声が。
忽亡かなた:それから少ししてぱたぱたと足音とともに、エプロン姿のかなたが玄関に顔を出す。

忽亡かなた:「お疲れ様、姉さん」

夜高ミツル:ま~~~~~
乾咲フラン:ア
乾咲フラン:死
夜高ミツル:かわい!!!!!
乾咲フラン:これは…
糸賀大亮:えっ……
夜高ミツル:いけませんよ……
糸賀大亮:嫁
夜高ミツル:エッチすぎませんか?
忽亡かなた:アイコンすごいいっぱいきた
乾咲フラン:眼鏡を全身に浴びて染色体がバラバラになっちゃった……
夜高ミツル:あーあ……
糸賀大亮:染色体が
乾咲フラン:細胞分裂出来なくなる

忽亡ゆかり:「んん~~~!ただいま、かなた!」改めて同じ言葉を。
忽亡かなた:自然に荷物を受け取ろうと手を差し出します。
忽亡ゆかり:荷物を手渡す。
忽亡ゆかり:もうひとつ、小さな袋も一緒に。
忽亡ゆかり:「はい、これ、お土産」
忽亡ゆかり:「乾咲さんからだよ」
忽亡かなた:「ん?」
忽亡かなた:「ああ」
忽亡かなた:「お茶会だったんだもんな」
忽亡かなた:なるほど、と受け取って視線を落として。
忽亡かなた:「どうだった? 皆さん元気?」
忽亡かなた:ゆかりを玄関からリビングへと招きつつ、尋ねます。
忽亡ゆかり:「おう。久しぶりに懐かしい顔を見た」
忽亡ゆかり:靴を脱いでリビングへ。リビングの空気を吸い込む。
忽亡ゆかり:「わ、いい匂い!今日のごはんは何?」
忽亡かなた:「かぼちゃと鶏肉のクリームシチュー」
忽亡かなた:「秋だし、寒くなってきたからね」
忽亡かなた:荷物置き場に荷物を置いて、お菓子はお菓子の籠へと。
忽亡ゆかり:「やったあ!おいしそ~!」
忽亡かなた:コンロに火をつけて温め直しています。
忽亡かなた:あれから一年後、忽亡かなたは無事八崎大学に進学し、真面目な大学生をやっています。
忽亡かなた:経済学部所属。「もう少し早く本腰入れてれば三年卒業コース狙えたかもなのに」とのことですが。
忽亡かなた:まあゆっくり大学生活を謳歌するのも悪くなかろうと、今はゆかりと家事を分担しつつ、学生の本分をやっております。
忽亡ゆかり:ゆかりも不動産系なので勉強は頑張ったけど、かなたはゆかりより勉強がとくいそうで、何より学ぶのが好きそうだ
忽亡かなた:ゆかりの会社が不動産系なのもちょっと理由にある気がしますね。
忽亡かなた:「ところで、懐かしい顔って?」
忽亡かなた:シチューをよそいつつ尋ねます。
忽亡ゆかり:「夜高真城」
忽亡ゆかり:スーツは着たまま、でもちょっとラフな恰好に崩して、手を洗ったり、食事の支度を手伝ったりしつつ。
忽亡かなた:「よだかましろ」
忽亡かなた:思わず反芻してから、
忽亡かなた:「あ、あー? 去年の……」
忽亡かなた:「狩人と……」
忽亡ゆかり:「そ、そ。遠~くに行ったやつらよ」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:なんて言えばいいか分からなくてちょっと黙ったが。
忽亡かなた:「帰ってきたんだ?」
忽亡かなた:ゆかりのぶんもよそったシチューを置いて、炊飯器を開けています。
忽亡ゆかり:「んー、でもまたすぐどっか行くって」
忽亡かなた:「ええ?」
忽亡かなた:「すごいね……」
忽亡かなた:すごいね……しか言えないな……
忽亡かなた:ごはんも同じくよそって食卓につく。
忽亡ゆかり:「すごいよ。マジですごい。頑張ってるなーと思う」
忽亡ゆかり:「まあでも、あの苦労は自業自得だわ」
忽亡かなた:「なんか、ええと」
忽亡かなた:「すごいことやらかしたんだったよね?」
忽亡ゆかり:「割とテロリスト寄りのことをしたやつらだよ」
忽亡かなた:「はあ……」

乾咲フラン:言われとるぞPC1
夜高ミツル:テロリストで~す
乾咲フラン:テロ~ン
夜高ミツル:イェイイェイ
糸賀大亮:テロリストたち

忽亡かなた:去年に見た自分とそう背格好の変わらなかったような気がする二人の姿を思い出しています。
忽亡かなた:「それで逃げて……あ、だからまだ落ち着けないのか……」
忽亡ゆかり:「かなたはいい子に育ってくれておねえさん嬉しいよ」
忽亡かなた:「そ、それは、まあ」
忽亡かなた:つと目を逸らして。
忽亡かなた:「したいことさせてもらってるし……」
忽亡かなた:「姉さんには苦労かけてきて……ってのは、ええと」
忽亡かなた:「うーと」もごもご
忽亡ゆかり:「んん?」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「さ、冷めるよ、ごはん!」
忽亡かなた:「食べよ!」
忽亡ゆかり:「……だね。いただきます!」
忽亡かなた:「……ん」
忽亡かなた:「いただきます」
忽亡かなた:手のひらを合わせ。
忽亡ゆかり:「うっま!!」
忽亡かなた:「そ、そんな?」
忽亡ゆかり:「すごいよかなた、天才じゃん!」
忽亡かなた:「そんな!?」
忽亡かなた:二回言った。
忽亡ゆかり:「ああ、一日の疲れが全部飛んだ!やっぱり最高の弟だ!」
忽亡ゆかり:「ほんと、なんでこんないい奴なんだろうなあ。私とか、こんな喧嘩っ早いしガサツなのに」
忽亡かなた:「えっ……と……」
忽亡かなた:「ほんと……」
忽亡かなた:「……飽きないよね……」
忽亡かなた:なんだか背を丸めながらシチューを食べます。
忽亡ゆかり:「なあーにが?」
忽亡かなた:あ、でもうまくできたな、とかってぽつりと呟いてから、
忽亡かなた:「その、俺のメシ食べるたびにすごい勢いでべた褒めすんの」
忽亡かなた:「まあ、最近はけっこう上達してきたなとは」
忽亡かなた:「我ながら思っては……いるけど……」
忽亡ゆかり:「だってかなたは偉いから」
忽亡ゆかり:「料理ひとつからも伝わってくるんだよ。気配りのできる性格とか、丁寧な仕事ぶりとか、向上心の高さとか、視野の広さとか」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「姉さんが」
忽亡かなた:「食べるからだよ」
忽亡かなた:ぽつりと。
忽亡かなた:スプーンを動かします。
忽亡かなた:ぱくぱく。
忽亡ゆかり:「うん。伝わってるよ」
忽亡かなた:「……ん」
忽亡ゆかり:「私も、かなたが食べてくれるから料理頑張れてこれたタイプだしね。かなたが私を同じように思ってくれて、本当にうれしい」
忽亡かなた:「なんていうか、まあ」
忽亡かなた:「似た者同士……ってことでいいのかな?」
忽亡かなた:「俺がそんなこと言うの、ちょっと恥ずかしいけど……」
忽亡ゆかり:「両想いだね」
忽亡かなた:「……う、ん」
忽亡かなた:少しぎこちなく、けれど嬉しそうに頷いてから。
忽亡かなた:「今度さ」
忽亡かなた:「またハンバーグ、一緒に作ろうよ」
忽亡ゆかり:「今度といわず、私はすぐにでも」
忽亡かなた:「さすがに今作ったら食べきれないよ!」
忽亡ゆかり:「じゃ、次の買い出しの晩にでも作ろうよ」
忽亡かなた:「う、うん」
忽亡かなた:勢いよく突っ込んだのをさらっと返されるのでちょっと空振っている。
忽亡かなた:「やっぱ、あれはさ」
忽亡かなた:「なかなか姉さんの味には辿り着けないから」
忽亡かなた:「日々精進してるつもりではあるんだけど……」
忽亡ゆかり:「調子こいてハンバーグばっかり作っちゃったからね、一時期」
忽亡かなた:「あはは」
忽亡ゆかり:「かなたはいつもバランス考えて献立作ってくれてるのに、お恥ずかしい」
忽亡かなた:「いいよ別に」
忽亡かなた:「おいしいし」
忽亡かなた:「俺はやりたくてやってるだけだからさ」
忽亡かなた:実際ゆうて男子大学生なので、こんな顔でもけっこう食べます。かなたは。
忽亡かなた:ぱくぱく元気に食べる。今もクリームシチューのおかわりをよそいに立ちました。
忽亡ゆかり:小動物のような弟に男子を感じるたびギャップでもうだめになる姉
忽亡ゆかり:「……あー」

忽亡かなた:「?」
忽亡ゆかり:「両想い、両想いなあ……」
忽亡かなた:「……姉さん?」
忽亡かなた:きょとんと首を傾げます。
忽亡ゆかり:「夜高真城……あいつら……」
忽亡ゆかり:「旅路で交尾してんだよなあ……きっと今もきっとなあ……」
忽亡かなた:「……へ?」
忽亡かなた:「えええ?」
忽亡かなた:えええ↑?
忽亡ゆかり:「あいつらはそういうやつですよ」

夜高ミツル:コラ!!!!
糸賀大亮:姉さん……
乾咲フラン:食事中に他所様の交尾を!
夜高ミツル:えええ↑?
夜高ミツル:まあしてますよ今も
夜高ミツル:してるの????
忽亡かなた:嫌だ……
糸賀大亮:今も?!

忽亡かなた:「は」
忽亡かなた:「ええ…………」
忽亡かなた:「いや……」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「……そっ」
忽亡かなた:「そっか……?」
忽亡かなた:ものすごくリアクションに困っています。
忽亡かなた:よそったばかりのシチューを食べる手が止まっている。
忽亡ゆかり:「……あいつら……」
忽亡ゆかり:「……人をな……さしおいてなあ……」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「え」
忽亡かなた:「ええと」

忽亡かなた:赤くなりました。
忽亡かなた:「その……」
忽亡かなた:「おっ、俺は、姉さんのこと」
忽亡かなた:「…………」
忽亡ゆかり:「……うん」
忽亡かなた:「……なるべく」
忽亡ゆかり:「大丈夫、わかってる。いや、わかってるよ」
忽亡かなた:「なるべく早く、ちゃんとした大人に……」
忽亡かなた:なります、と消え入るような声で言って。

忽亡ゆかり:「かなたは何も悪くないよ!けどさあ、そーじゃないじゃん!」
忽亡ゆかり:「そうじゃなくて!!!」
忽亡かなた:「は、はい」
忽亡かなた:何故か居住まいを正している。
忽亡ゆかり:「俺たちが我慢してる横で、諸悪の根源が仲良くやってんのがよー!!!」
忽亡ゆかり:「やだよー!あいつらむかつくんだよー!」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「姉さん、今晩飲む?」
忽亡かなた:「つまみ作ろうか?」
忽亡ゆかり:「飲みます」
忽亡ゆかり:「食べます…」
忽亡かなた:「はい」
忽亡かなた:「頑張って作ります……」
忽亡ゆかり:「おねがいします……姉はだめな姉です……」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「だめじゃないよ」
忽亡かなた:「大丈夫」
忽亡かなた:「ほどほどのとこで止めるからさ」
忽亡かなた:冷蔵庫から缶ビールを取り出しながら。
忽亡ゆかり:「……うう、あいつらぁ……」
忽亡かなた:ゆかりの前にビールを置いて、くすりと笑みを漏らします。
忽亡かなた:「俺も明日2コマからだし」
忽亡かなた:「ゆっくり話聞くよ」
忽亡ゆかり:やさしさが身に染みる。
忽亡ゆかり:とても幸せで、とてもつらい一年だった。
忽亡ゆかり:かっこいいことを言ってかなたを止めたという意地が、千切れそうな薄皮一枚ほどの強さで理性を押しとどめ続けている。
忽亡ゆかり:「姉ちゃんな、かなたのことが好きすぎて壊れてしまうかもしれん」
忽亡かなた:「えっ」
忽亡かなた:ぱち、とまばたき。
忽亡ゆかり:「いや壊れてたかどうかと問えば、とっくに壊れてたわけが!ハハハ!(狂っていたわけだが!ハハハ!)」
忽亡ゆかり:「姉もダメなんで、ダメなときはちゃんとしつけてください。お互いもう少しがんばりましょう」
忽亡かなた:「……は、はい」
忽亡かなた:しゃきっと背を伸ばして。
忽亡かなた:「俺もがんばります……」
忽亡ゆかり:「かなたは頑張ってるよ。あとは、もうタイミングだけだ」
忽亡かなた:「たいみんぐ……」もわもわ……

乾咲フラン:すきあらば…セックス!
糸賀大亮:タイミングを見計らって……
忽亡かなた:セックスはしてないよ 理性があるからね
夜高ミツル:理性あってえらい!
忽亡かなた:理性最高!
乾咲フラン:イェイイェイ
糸賀大亮:ミツルくんが言ってるとウケてしまう
忽亡かなた:理性消し飛び男
夜高ミツル:好きな相手とずっと一緒に生活してて理性を保てるの本当にえらいと思う
忽亡かなた:真に迫ってるな……
夜高ミツル:マジでえらいよ

忽亡ゆかり:「いい宿取って、デートコース決めてさ」缶を開ける。
忽亡かなた:「や、宿」
忽亡ゆかり:「そんでもって……」
忽亡かなた:なかなか生々しくなってきてややうろたえます。
忽亡ゆかり:一気に呷る。ごくり、ごくりと喉を鳴らす音だけが響く。
忽亡かなた:その喉をついじっと見つめている。
忽亡かなた:ビールを飲み下すその喉を。
忽亡ゆかり:口を放し、空っぽの缶をテーブルへと置いて

忽亡ゆかり:「一晩中お相手してもらおうか!」
忽亡かなた:「……ひゃ」

忽亡かなた:「ひゃい……」
忽亡ゆかり:「よーしよしよし!かなたは最高だな~!」
忽亡ゆかり:「姉はもうかなたなんかよりずっと前から、かなたとセックスしたすぎるという気持ちでこの一生を生きてきたからね。もうあとはラストスパートって感じだ」こわいねー
忽亡かなた:「姉さん!!!!!」
忽亡ゆかり:「はっ!」
忽亡ゆかり:「……すいません、つい……」
忽亡かなた:「もお~…………」
忽亡かなた:真っ赤に茹だっています。
忽亡ゆかり:「だめな姉でごめんね。これじゃこっちが躾けられる側だね」
忽亡かなた:「……まあ、その」
忽亡かなた:「それで姉さんの鬱憤が晴れて楽になるなら……」
忽亡かなた:「話聞くって言ったの、こっちだし」
忽亡かなた:「…………」
忽亡かなた:「でも、ほどほどにね……?」
忽亡ゆかり:「……はい」
忽亡ゆかり:かつてと比べて、ずいぶんと口が軽くなった。
忽亡ゆかり:仕事の疲れも、仇への恨み事も。ぽろぽろと、弱みが零れてしまう。
忽亡ゆかり:けれどやりすぎはダメだ。自分が折れてはいけない、揺さぶってもいけない。
忽亡ゆかり:本当に好きならば、相手を思いやって我慢ができるはずなのだ。
忽亡ゆかり:そうだ。完璧な理屈である。そして自分が弟を思う気持ちに寸分の曇りも疑いもない。
忽亡ゆかり:だから大丈夫だ。二人は大丈夫なのだ。
忽亡ゆかり:その理屈の方をいまいち信じ切れていないという問題にさえ目を背ければ、二人は大丈夫なのだ。

遭遇フェイズ

GM:2021年10月20日、満月の夜。
真城朔:ホテルのカーテンをめくり、冴え冴えと青白く光る月を見上げてから、真城はミツルを振り返る。
真城朔:セーフハウスから発掘したかつての狩り装束と武装に身を包んだ真城の姿は、去年と全く変わらないように見えた。

真城朔:「ミツ」
真城朔:「準備できた?」
夜高ミツル:「ん」
夜高ミツル:こちらは去年のような制服姿ではない。
夜高ミツル:夜闇に紛れる、黒いパーカー。
真城朔:一年前に比べたらモンスターの出没が激減した八崎市だが、
真城朔:さりとて全く出ない、というわけではない。
夜高ミツル:手に持っている刀も、かつてD7から支給されていたものではない。
夜高ミツル:真城が血戒で用意してくれたものだ。
夜高ミツル:「……なんか」真城の格好を見る。
真城朔:「?」首をかしげる。
夜高ミツル:「……いや」
夜高ミツル:「懐かしいなって」
夜高ミツル:「それ着てた頃からまだ一年しか経ってないのにな」
真城朔:ミツルの言葉に、自分の格好を見下ろします。

夜高ミツル:一年。たったの一年。
夜高ミツル:その間にも、自分の身体は少しずつ変わっていって、
夜高ミツル:対する真城は、あの頃と全く変わらない姿で自分の目の前に立っている。
夜高ミツル:……もう少しくらいは、一緒に年を重ねていけるんじゃないかとなんとなく思っていた。
夜高ミツル:半吸血鬼は、ある程度で成長が止まってしまうらしい。
夜高ミツル:それは分かっていた、覚悟していたことで。
真城朔:「……今は」
真城朔:「わざわざ制服とか、用意しないから……」
真城朔:とか、分かりきったことをぽつぽつと答える。
夜高ミツル:「そうだな」
夜高ミツル:「こういうのの方がどこでも買えるしなー」
夜高ミツル:自分のパーカーをひらひらさせて。
真城朔:「誤魔化せないと」
真城朔:「目立つし……」
真城朔:「パーカーの方が、普通はいい」
夜高ミツル:「夜中に制服はな……」
真城朔:「……けど」
真城朔:せっかくだし、とかぽつぽつ。
真城朔:きゅ、と手袋を嵌め直す。
真城朔:「行こう」
夜高ミツル:「……ああ」
夜高ミツル:「行くか」
真城朔:ミツルに頷いて、ホテルのドアへと向かう。
真城朔:ホテルのドアへと向かって足を踏み出した真城の、
真城朔:カーペットに落ちた影へと、とぷりとその爪先が沈んだ。
真城朔:「――え?」
夜高ミツル:「……っ!?」
夜高ミツル:反射的に、真城の腕を掴む。
真城朔:掴んだはずの腕がすり抜ける。
真城朔:そのまま影へと足首が、膝までが、
夜高ミツル:「な──!?」
夜高ミツル:影に飲まれる真城の身体をこちらへ引き寄せようと
真城朔:引きずり込まれるように真城の身体が沈み込んで、
夜高ミツル:「真城!!」
真城朔:「っ」
真城朔:「ミツ――」
夜高ミツル:「真城、真城っ!」
GM:名を呼ぶ声を最後に、
GM:その姿が影に呑み込まれて、消える。
GM:そして、次の瞬間。
GM:ホテルの前の大通りから、人々のどよめき声が響く。
夜高ミツル:「……クソ、なんなんだよ!!」
GM:カーテンの隙間から赤い光が射し込んでいる。
夜高ミツル:真城が飲み込まれた床を力任せに叩きつけて、
夜高ミツル:立ち上がり、窓から外を覗く。
GM:大通りを歩く人々の誰もが、空を見上げて囁き交わしている。
GM:その見上げた先、
GM:空に輝いていた青白い月が、今は血のような赤色に変わっていた。

GM:こんなあたりで集合するのはどうでしょうか。
GM:八崎市全体を染める赤い月です。
GM:まだ実害はないながらも街全体に影響が出て、
GM:一般人もそれに気づいているんですけど、
GM:ゆかりさん、この場合は無視できます?
忽亡ゆかり:う~ん
忽亡ゆかり:この場合は弟を置いて飛び出しはせず、騎士団に連絡を取る、かな?
GM:では連絡を取った騎士団からは、
GM:群衆がパニックに陥るのを防ぐため、或いはそれに対処するため、駅前で待機するようにと命じられます。
GM:そこで他の狩人たちからも連絡が来て一応落ち合う感じでどうでしょうか。
忽亡ゆかり:了解!
GM:というわけで、駅前で集合していただけると。
糸賀大亮:はーい
乾咲フラン:ワーワー
夜高ミツル:はい
糸賀大亮:みんな赤い月を見上げてるから不審者は気が楽。
乾咲フラン:では赤い月と同じぐらい目立つ美が駅前に居ます
糸賀大亮:当然のように目立ってるな……
夜高ミツル:ピリピリした空気を漂わせてミツルも合流します。
乾咲フラン:コワ…

GM:こわ~
GM:いやっ怖
GM:私のせいなのか?
夜高ミツル:そうだよ
乾咲フラン:コワ…
GM:そっか……

夜高ミツル:隣に真城の姿はない。
糸賀大亮:ちょっと躊躇う空気を見せてから、美たちと合流しました。
忽亡ゆかり:「ちっすー」遅れて最後にゆかり
GM:行き交う人々は「なにあれー」「ヤバくない?」「ストロベリームーン?」「さっき見たときあんなんじゃなかったよね?」とか言いながら。
GM:スマホでパシャパシャ空撮ってる人もめっちゃいる。
夜高ミツル:「……どうも」と軽く頭を下げ。
糸賀大亮:「真城は出られないのか」怪訝な顔をする。
乾咲フラン:「……夜高クン?」雰囲気にややためらいがちに声をかけ
夜高ミツル:「……真城は」
夜高ミツル:「拐われました。多分、この異変の元凶と同じ奴に」
夜高ミツル:無意識に拳を握る。掌に爪が立つ。
糸賀大亮:「……」
乾咲フラン:「……なんてことだ」
忽亡ゆかり:「マジか」
夜高ミツル:「……影、に」
夜高ミツル:「引きずり、こまれて」
夜高ミツル:「そのまま……」
糸賀大亮:「…………」
忽亡ゆかり:「魔女っ子か?」
夜高ミツル:「姿は……」見てない、と首を振る。
乾咲フラン:「真城が直接狙われたのか……」
夜高ミツル:「部屋出る前だったので……」
夜高ミツル:「多分……」
夜高ミツル:直接狙われたのか、という言葉に返して。
忽亡ゆかり:「真城を狙ったのかな。たまたまじゃなくて?」
糸賀大亮:「……他には、起こってることと言えばあの月だけだからな」
糸賀大亮:何となく、周囲を見回す。と言って、月を見上げている人々がいるだけだが。
GM:平日の夜ですので。
夜高ミツル:「……直接でも偶然でも」
夜高ミツル:「関係ない」
夜高ミツル:「真城……」
夜高ミツル:拳を尚も強く握りしめる。
GM:まあほどほどに人がいます。もう帰宅ラッシュは過ぎた頃ですが。
GM:みんな空を気にしてはいるけど、それはそれとして家路についている。
糸賀大亮:「……とにかく、原因を突き止めないとな」ため息をつく。
糸賀大亮:「あの月だって、なにかの前触れかもしれない」
夜高ミツル:それでも一人で飛び出さずにいられるのは、ここに帰ってきて、かつての仲間たちと再会して
夜高ミツル:あの頃、散々教えられたことを思い出すからだ。
夜高ミツル:一人で飛び出すな、と。
夜高ミツル:狩人は群れて動くものなのだと。
夜高ミツル:「……そうですね、とにかく」
夜高ミツル:「向こうが来ないならこっちから動くしか……」
GM:では、
GM:狩人がそうして話していると、
GM:駅前のとある一画から悲鳴が聞こえてきます。
GM:誰か一人の悲鳴というよりは、複数の人間の叫び声。
糸賀大亮:言ってる傍からか。
夜高ミツル:「……っ!」
乾咲フラン:「――ッ!」
GM:そちらから逃げてくる人がいる。
GM:逆に好奇心を発揮してそちらに向かうような連中も。
夜高ミツル:声のする方に駆け出す。
忽亡ゆかり:「行くよ」
夜高ミツル:逃げてくる人たちの合間を縫って、悲鳴の元へと向かう。
GM:そして、狩人は時計塔の前へと辿り着く。
GM:人だかりができている。
GM:人だかりが何かを囲んで、
GM:「何!?」
GM:「えっ大丈夫なのあれ」
GM:「救急車?」
GM:「死んでるんじゃ……」
夜高ミツル:人だかりを押しのけて進みます。
GM:囁き交わす人々の声。
GM:何やらスマホを構えて写真を撮っている者もいる。
GM:そして彼らが撮るものは、
GM:人だかりを抜けてミツルが目にするものは、

真城朔:胸を貫かれて石畳の上に横たわる、傷だらけの真城朔の姿だった。
夜高ミツル:「────」

夜高ミツル:「……真城!!!」
夜高ミツル:駆け寄る。
乾咲フラン:「…………」
忽亡ゆかり:「……」周囲を見回す。
GM:これに怯えるような者は既に去っているのか、
GM:群衆はみな、好奇の目をその傷だらけの姿に向けて、
糸賀大亮:同じように周囲を警戒する。どこかに違和感はないか。
夜高ミツル:押されて文句を言う声も、衆目も気にせず。気にする余裕などなく。
乾咲フラン:「撮るな撮るな!危ないぞ!」野次馬を威嚇して散らすように。
GM:「えっ」
GM:「何?」
GM:とか、文句を言いながらフランの威嚇を受けて下がります。
夜高ミツル:「……真城、真城!!」
夜高ミツル:かろうじて、その身体を揺さぶらない程度の理性は残っている。
真城朔:横たわった真城の身体の下には、影が落ちている。
夜高ミツル:恐る恐る、真城の身体を確かめる。
真城朔:石畳に落とされた濃い色の影。
乾咲フラン:「……影!」
夜高ミツル:その呼吸が、体温が確かに存在しているか。
糸賀大亮:フランの声に反応して、影へ目を向ける。
真城朔:真城の胸を貫くのは針のように長く伸びたその影で、
夜高ミツル:「……っ!」
忽亡ゆかり:「あ……!」
真城朔:そしてさらに伸びた影が、真城に触れようとしたミツルの腕を貫いた。
夜高ミツル:「……っつ!!」
糸賀大亮:杭を抜く。
糸賀大亮:下がれ、と警告を発しようとする声は間に合わない。
GM:腕が伸びる。
GM:真城の下から、影から、
夜高ミツル:影に貫かれ、痛みに歯を食いしばる。
夜高ミツル:そして改めて影の方に目を向け、そこから伸びた腕に目を瞠る。
GM:生白い手のひらが伸びてその頬を掴み寄せて、

グロキシニア:――そして、吸血鬼が姿を現す。
グロキシニア:いつか見た姿。
夜高ミツル:「──……!」
夜高ミツル:その姿は
夜高ミツル:その、男は。
グロキシニア:翻る黒いコート、輝く金色の瞳、
グロキシニア:プルサティラに見せられた過去の中で、真城を組み敷いて嗤っていた男。

忽亡ゆかり:見たっけあれ……って記憶をたぐり寄せています
糸賀大亮:これは全員見てるはず
忽亡ゆかり:全員みたやつか!
グロキシニア:1回目と2回めなので全員見てます
乾咲フラン:最強竿役がやってきた
糸賀大亮:これからこの吸血鬼に幸福破壊されるんだと思うと興奮してきた(やめてくれ…………)
乾咲フラン:こころがふたつある~~~
夜高ミツル:ふたつある……
夜高ミツル:たすけて……

グロキシニア:「駄目じゃあないか」

グロキシニア:それが、傷だらけの真城を引き寄せてにやり嗤う。
夜高ミツル:頭にカッと血が上るのが分かる。
グロキシニア:「君が気安く触っていいものじゃないよ?」
夜高ミツル:真城の母親を吸血鬼にした男。
夜高ミツル:真城を傷つけた男。
夜高ミツル:今も、傷つけている男。
夜高ミツル:「……お前、が」
夜高ミツル:「……真城を、放せ」
グロキシニア:ミツルに答えもせず、その言葉を鼻で笑う。
グロキシニア:そして吸血鬼は腕を振り抜くと、
夜高ミツル:こいつが、
夜高ミツル:こいつがいなければ、真城は母親を殺すことなんかなくて
夜高ミツル:大勢の人をモンスターに変えることも
夜高ミツル:殺すことも
夜高ミツル:それで罪悪感に苛まれることだってなかったはずで。
夜高ミツル:……自分の家族だって。
グロキシニア:そこかしこの影から、鋭く長い針が野放図に伸びる。
グロキシニア:その針は狩人へと襲いかかる。
糸賀大亮:「……!」
グロキシニア:そして狩人のみならず、
グロキシニア:真城を取り囲んでいた群衆たちの身体をも容赦なく貫いた。
忽亡ゆかり:「ちょ……っ」
グロキシニア:悲鳴が上がる。
夜高ミツル:「……っ!!」
グロキシニア:石畳にぼたぼたと血が落ちる。
乾咲フラン:「お前は……!!」忘れ難い、碧を吸血鬼にした根源の姿。飛びかかろうとする前に群衆の悲鳴を聞き、忌々しげに周囲に目をやった。
グロキシニア:絶命した者、動けなくなったものはその場に倒れ、
グロキシニア:そうでないものは狂乱とともにその場から逃げていく。
忽亡ゆかり:「あ、コラ!」間一髪、針を避け、その惨状を目にする。
夜高ミツル:反応が遅れる。
糸賀大亮:「クソ……ッ!」
GM:「助けて!!」
GM:「嫌――」
GM:「痛い、いたい、いたいいたいいたい、いたい……!」
GM:「化け物が」
GM:「逃げろ!」
糸賀大亮:自分の身は辛うじて守れる。だが、他はどうしようもない。
夜高ミツル:致命的な傷は避けたものの、影に身体を貫かれ。
夜高ミツル:それでも、狩人にとっては大した傷ではない。
忽亡ゆかり:人目を気にしている状況ではない。衆目の前で構わず杭を抜いた大亮を倣って、ゆかりもまたナイフを抜いた。
忽亡ゆかり:「邪魔だ!死にたくなかったら散れ!」
GM:ゆかりの恫喝を受けて、また人波が薄れていきます。
夜高ミツル:刀を抜く。
夜高ミツル:吸血鬼を睨み、相対する。
グロキシニア:その中で赤い月を背に、
グロキシニア:満身創痍の真城を片腕に抱えて悠然と立つ吸血鬼は、
グロキシニア:「ああ」
グロキシニア:「君たち、まだつるんでいたのか」
グロキシニア:狩人の姿を見回して、気の抜けたことを言い出す。
糸賀大亮:さっきの針はどこまで届く。まだ生きていて、逃げられない人はどれぐらいいる。
糸賀大亮:そもそも、この吸血鬼を前によそ見をしている暇があるか?
夜高ミツル:刀を構えて、しかし真城を抱えられた状態では安易に飛びかかることもできない。
グロキシニア:「被害者の会ってやつかい?」
グロキシニア:「その割には、コレに好意的なのは愉快だけれど」
忽亡ゆかり:「私たちの事をよくご存じで」
糸賀大亮:「……てめえ」
夜高ミツル:「…………」
グロキシニア:真城の頬をなぞって、また嗤う。
グロキシニア:「見ていたからね」
グロキシニア:「そうさ」
グロキシニア:「ああ」
グロキシニア:「全て、見ていたよ」
乾咲フラン:「見ていた、だと」
糸賀大亮:神経が逆撫でされる。こいつのやったことが思い出されて、こっちまで怒りで我を忘れそうになる。
グロキシニア:「この街で起こる全てをさ」
グロキシニア:「だから、覚えてるんだ」
夜高ミツル:全てを
夜高ミツル:影から見て、こうやって笑っていたのか。
グロキシニア:「……ああ」
グロキシニア:「覚えてるよ?」
グロキシニア:「だって――」
グロキシニア:フランを見る。
グロキシニア:「黒木満」
乾咲フラン:「……」
グロキシニア:「あれを吸血鬼にしたのも、そもそも俺さ」
乾咲フラン:「そうか、そうかそうか。」

乾咲フラン:(なら殺す。)
乾咲フラン:口に出さずとも、殺意を固める。
グロキシニア:「どうして半吸血鬼として目覚める前の朔のことを知っていたと思う?」
グロキシニア:「俺が吸血鬼にした男が、あの女に種を仕込んだことを知っていたから」
グロキシニア:「だから知っていた」
グロキシニア:「そこに半吸血鬼がいると、俺は分かっていた」
忽亡ゆかり:「アンタ、ヤな奴だなあ!」
グロキシニア:「ははは」
夜高ミツル:この男が真城の名を呼ぶ、それだけのことで腸が煮えくり返るような思いになる。
グロキシニア:「君の弟の朔に喰らわれるさまは傑作だったなあ!」
グロキシニア:「君、断末魔も知らないんだろう?」
忽亡ゆかり:「教えてくれるの?」
グロキシニア:「知りたいかい?」
グロキシニア:「君の態度次第では、考えないこともないけれど」
グロキシニア:「良い見世物だったとは教えてやるよ」
忽亡ゆかり:「言いたい、の間違いじゃない?」
グロキシニア:くつくつと喉を鳴らして笑った。

忽亡ゆかり:「……自己紹介、どうも。どういう奴だか、だいたい分かった」
グロキシニア:「そこの男もさあ――」大亮を見る。
グロキシニア:「逃されるとこ、逃された後」
グロキシニア:「俺は見てたから、安心しろよ」
グロキシニア:「教えてやれる」
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:息を吐く。

糸賀大亮:「…けっこうだ」
グロキシニア:「クールだねえ!」
乾咲フラン:今すぐに飛びかかりたい、脚の一太刀でも浴びせたいという欲求をなんとか抑える。ここまで生き残った吸血鬼に何の手立ても無しに飛び込むのはただの自殺行為だと理解している。

夜高ミツル:すっげーワルの敵って感じが逆に新鮮なんだよな
糸賀大亮:一週回ってものすごくかわいく見えてきた
グロキシニア:私も新鮮
糸賀大亮:可愛いな……
グロキシニア:すごいたのしい
乾咲フラン:ゆるさないぞというか弱い声と最強竿役!という声と早くこいつの体をズタボロにしてえ!という声がする
乾咲フラン:こころがみっつある~~~~
夜高ミツル:増えてる
糸賀大亮:増えてる…

グロキシニア:「まあ、でも」
グロキシニア:「なんでもかんでも覚えてるわけじゃあないんだ」
グロキシニア:「結局、なんで覚えていたかというと――」
グロキシニア:指先で真城の頬を、
グロキシニア:血で汚れたその頬を撫でながら、
グロキシニア:「忽亡ゆかり。君の家族が殺された時も」
グロキシニア:「糸賀大亮。君の仲間が殺された時も」
グロキシニア:「朔を殺してやったのは、俺だったからね」
夜高ミツル:「…………っ!」
忽亡ゆかり:「参ったな」
忽亡ゆかり:「仇が増えちゃったぞ」
グロキシニア:「嬉しいんじゃないかい? 狩人としては」
糸賀大亮:「……」
夜高ミツル:その言葉に、反射的に斬りかかりそうになるのをギリギリの所で堪える。
夜高ミツル:まずは真城を
夜高ミツル:取り戻さなければ。
グロキシニア:「こいつ、すぐ日和るからさあ」
グロキシニア:「背中を押してやらないとダメなんだ」
グロキシニア:「既に散々人を殺してきたくせに」
グロキシニア:「今更立ち止まろうとするから、勇気をくれてやらないとさ」
夜高ミツル:それだけが、怒りで沸騰しそうな思考をかろうじて抑えている。
糸賀大亮:視線をうろつかせる。夜高の背中が怒りに満ちているのが分かる。
糸賀大亮:いったん、撤退すべきだ。この段階で真っ向からぶつかるべきじゃない。
糸賀大亮:フランの方をちらりと見る。
乾咲フラン:歯を食いしばったまま糸賀の視線を受け、目線で肯定する。
グロキシニア:「で」
グロキシニア:ちらとミツルを見る。
グロキシニア:「君はなんだっけ?」
夜高ミツル:「……うるせえ」
グロキシニア:殊更に真城を抱き寄せながら、首を傾げてみせる。
夜高ミツル:会話などする気はない。
夜高ミツル:「真城を放せよ!!」
忽亡ゆかり:「おっと」
忽亡ゆかり:犬の首輪を引くように、ミツルのパーカーを、軽く後ろに引っ張る。
夜高ミツル:「こ……のっ!?」
夜高ミツル:意識の外からパーカーを引かれ、体勢を崩す。
真城朔:真城のだらりと下がった腕から、指先から、血が滴り落ちている。
グロキシニア:それを目の前の吸血鬼は見下ろして、小さく肩を竦めた。
グロキシニア:「まあ」
グロキシニア:「ちょっと長話が過ぎたかな」
グロキシニア:「すぐに終わらせてしまおう」
グロキシニア:「そもそもだ」
グロキシニア:「なんでずっと彼を見続けてきたかっていうと――」
夜高ミツル:パーカーを引いたゆかりの方に一瞬目を向けて、
夜高ミツル:それから吸血鬼の言葉に、再びそちらを向き直る。
グロキシニア:真城の学ランの襟を掴んで、その白い首を露出させる。
夜高ミツル:「────!!」
グロキシニア:大きく口を開け、
夜高ミツル:考える暇などなかった。
夜高ミツル:刀を手に
グロキシニア:真城の首へと牙を突き立てた。
夜高ミツル:吸血鬼に向かって駆け出す。
忽亡ゆかり:「あっ」

真城朔:「――ぅ」
真城朔:「あ…………ッ」
夜高ミツル:刀を振りかぶる。
夜高ミツル:吸血鬼の首筋に、刃を突き立てようと。
乾咲フラン:「待てッ」叫ぶように夜高を追って駆け出す。
夜高ミツル:制止の声も届かない。
グロキシニア:真城の血を啜りながら、吸血鬼が嗤う。
夜高ミツル:殺さなければ。
夜高ミツル:この男を、今すぐに。
グロキシニア:その刃が男の首に突き立ったかと思うと、
グロキシニア:けれど切っ先は空を切る。
夜高ミツル:「……っ、」
夜高ミツル:空振りして、数歩たたらを踏む。

グロキシニア:深紅の花弁が宙を舞い、
グロキシニア:そして、真城ともども吸血鬼の姿が掻き消える。
夜高ミツル:「っ、クソ」
夜高ミツル:「真城!」
夜高ミツル:周囲を見渡すが、残ったのは宙を舞う花弁ばかり。
グロキシニア:ミツルの叫ぶ声。
グロキシニア:真城の名を呼ぶ声への返答はなく、
夜高ミツル:「……真城、真城!!」
夜高ミツル:そう叫ぶ声は、ただ辺りに虚しく響くだけ。
忽亡ゆかり:「フウ……」
糸賀大亮:「……」
グロキシニア:轟音が響く。
グロキシニア:街を劈くほどのけたたましい轟音。
乾咲フラン:「何だっ!?」勢いを殺しきれずつんのめりながら。
糸賀大亮:「……ッ、何だ!」
夜高ミツル:「……っ!!」
夜高ミツル:「ンだよ今度は!!」
グロキシニア:地震を疑うばかりの凄まじい振動が遅れて響いて、
グロキシニア:赤い満月の輝く空に、火柱が何本も立つ。
グロキシニア:悲鳴。
グロキシニア:今日は最早聞き飽きたばかりの悲鳴が、さらに大きく重なる。
夜高ミツル:その光景を半ば呆然と眺める。
乾咲フラン:「……」災害の規模に押し黙るしかなかった。
グロキシニア:そして駅前の明かりが落ちる。
グロキシニア:深い常闇の中、狩人を照らすのは赤い月と燃え盛る火炎の凄まじさばかり。
グロキシニア:『ああ――』
グロキシニア:どこからともなく、吸血鬼の声がする。
グロキシニア:『これが』
グロキシニア:『これが、ずっと欲しかった!』
グロキシニア:『魔法!』
グロキシニア:『素晴らしいじゃないか、魔法の力!』
夜高ミツル:慌てて見渡すが、声の主の姿は見えない。
グロキシニア:『ずっとずっと欲しかったんだ』
グロキシニア:『そのつもりで、ずっと見守って!』
忽亡ゆかり:「…………」額を手で覆う。
グロキシニア:『それがやっと、帰ってきた!』
グロキシニア:『俺のものになった!』
グロキシニア:『ああ――本当に』
夜高ミツル:「……そんな」

夜高ミツル:「そんなものの、ために」
グロキシニア:『本当に、素晴らしい力だよ――』
夜高ミツル:「真城、を」
夜高ミツル:刀を握る手が、怒りに震える。
糸賀大亮:「…………」言葉もない。
乾咲フラン:「ヤバいな、これは……」バカがミサイルを持ったような街の惨事に、ため息まじりに独り言ちた。
GM:電灯の消えた駅前にグロキシニアに傷つけられた人々が倒れ、
GM:パニックに陥った群衆が悲鳴をあげながら駆けて行く。
GM:燃え盛る炎が街を焼き、空を明くして、
GM:それよりなお紅い血の月が、不気味に狩人を見下ろして輝いていた。

GM:はい、では
GM:データを公開します。
夜高ミツル:はひ……
糸賀大亮:はい~

◆吸血鬼:グロキシニア
耐久力17 余裕17 血量17
初期テンション18 激情1
◆支配力
・真城朔《日常》強度5
 見つめてきたもの。
・魔法血戒:『グロキシニア』《地位》強度3
 ついに我がものとした魔法の力。
・八崎市《退路》強度3
 営みを、幸福を灰と代えて、吸血鬼はさらなる力を得る。
◆フォロワー
・『グロキシニア』
・『フォゲットミーノット』
・白い花

GM:それと追加ルールです。

◆追加ルール
・【支配力:真城朔】を破壊すると、NPC真城朔の特殊効果の使用が解禁される。
・【支配力:真城朔】に加えて【支配力:魔法血戒:『グロキシニア』】を破壊すると、グロキシニアはサバトを使用できなくなる。
・メインフェイズの間、GMはシーン開始ごとに2D6+(【支配力:八崎市】)>=7で判定する。
 判定に成功すると、以下の建物や施設のいずれかに火が燃え移り炎上する。

・八崎県立高校
・八崎大学
・八崎大附属病院
・喫茶店『Memory』
・任意のPCの家
・時計塔広場
・真城のアパート

 この対象はダイスによって決定する。
 そのシーンで【支配力:八崎市】に対して狩猟判定を成功させることによってのみ、その火を消し止めることができる。
 【支配力:八崎市】を破壊すると、この判定は発生しなくなる。

乾咲フラン:真城のアパートーーーっ
糸賀大亮:うわー! 燃え放題だ!
GM:八崎大学はかなたの大学、附属病院は彩花が入院してた病院です。
GM:なんで別々なんですか? という質問に対してはかなたが通ってる八崎大学のキャンパスと医大キャンパスが分かれているからです。
夜高ミツル:結構狩猟の順番が大変だなこれ
忽亡ゆかり:ファッキュー
糸賀大亮:なるほどね~
GM:あ、ミツルくんの家はもうないので
夜高ミツル:そうですね
GM:ミツルくんの代わりに親族の家が燃えます。
糸賀大亮:親戚
夜高ミツル:そうだろうなと……
夜高ミツル:善良なおじさんたちの家が…………
糸賀大亮:やっぱ八崎→真城の順かな
GM:初手2連続で狩猟すれば消し止められますよ!