? 4話「あなたへの花」メインフェイズ2

メインフェイズ サイクル2

フォゲットミーノット:2d6 行動順ダイス
BloodMoon : (2D6) → 7[1,6] → 7

糸賀大亮:1d6
BloodMoon : (1D6) → 4

乾咲フラン:1d6
BloodMoon : (1D6) → 6

忽亡ゆかり:1d
BloodMoon : (1D6) → 6

夜高ミツル:1d6
BloodMoon : (1D6) → 1

乾咲フラン:夜高!(パンチ)
糸賀大亮:うっ、ミツルくん
夜高ミツル:すみません……
夜高ミツル:え どうしよう うーん
乾咲フラン:人生と残り感情が辛く苦しい
夜高ミツル:次で止めるって言っておいて最後ってのも……だよな……
糸賀大亮:そうだねえ
フォゲットミーノット:その間にフォゲットミーノットの行動が挟まりますね。
夜高ミツル:そうですね そうだね 激情を使います
フォゲットミーノット:OK
夜高ミツル:なりふり構わず6にします
糸賀大亮:うん~

夜高ミツル:夜高ミツルは激情を使用!(激情:2->1)

フォゲットミーノット:では
乾咲フラン:物語 オオ物語 物語
糸賀大亮:これ以上真城に演出的に破壊行動されるの厳しいからな…
フォゲットミーノット:ミツル・フラン・ゆかり→FMN→大亮→FMN の順番で。
フォゲットミーノット:誰から動きますか?
夜高ミツル:行く……か!!!???

行動:夜高ミツル

夜高ミツル:狩猟します 対象は自信で
GM:了解です。

GM:彩花を闇病院に送り届けて、勿忘草の咲く街を歩く狩人たち。
GM:フォゲットミーノットとそのフォロワーの姿を探して街を、
GM:人の間を、花畑を、幻をかき分けて進んでいくと、
GM:勿忘草に紛れた死角から、
真城朔:真城朔が現れる。
真城朔:両手に握った杭で、忽亡ゆかりへと打ち掛かる。

糸賀大亮:殺してくれそうなところに行った

夜高ミツル:「……っ!」 ゆかりを狙った真城に、横から斬りつける。
真城朔:横からのミツルの一閃を、杭の側面で受け流す。
真城朔:もう一方の右手の杭は変わらずゆかりの喉を狙って振られる。
忽亡ゆかり:「……!」大きくのけぞり、その一撃をかわす。顎を風が撫でた。
夜高ミツル:「真城!!」受け流された刃を切り替えして、再び斬り込む。
夜高ミツル:「お前の相手は俺だ!」
真城朔:杭で受ける。今度は斬撃を流せず、鍔迫り合いになって、足を踏みしめる。
真城朔:片腕をだらりと下げている。片眼でミツルを視界に入れながら、
真城朔:もう一方の瞳は、ゆかりを見ている。
真城朔:下ろした腕を。がら空きの右半身をゆかりに晒して、真城朔はそこに立つ。
忽亡ゆかり:「……!」切りかかろうとして踏みとどまる。一歩引き、死角へと回り込んで牽制する。
夜高ミツル:「……お前なぁ、やることがいちいち後ろ向きなんだよ!!」杭と鍔迫合う刀を一度引いて、代わりに蹴りつける。
夜高ミツル:「殺してもらうためのことなんかしてんじゃねえよ……!」
真城朔:ゆかりへと向けた瞳に落胆の陰が僅かにかかり、
真城朔:それが表情に出るより先に、脇腹にミツルの蹴りが入る。
真城朔:勢いに数歩下がって俯きながら、小さく、息を吐いた。
夜高ミツル:「さっきもそうだし、あの幻も……大体お前、すぐ誰かがいれば自分はいらないだろみたいなこと言うけどな」
夜高ミツル:下がる真城に、再び斬りかかる。
夜高ミツル:真城をどうするにしろ、無力化は絶対の条件──それだけでなく、振るう刃に感情を乗せるように。
夜高ミツル:「……他の誰でも、俺にとってお前の代わりなんかいねえんだよ!」
真城朔:口を噤んだまま、また一歩下がる。
真城朔:しかし顔だけ僅かに上げてその刀身の描く軌跡を見つめていた。
真城朔:すれすれで躱せる、
真城朔:寸前で、思い切ったように前に出る。
真城朔:肩口へと深く刃が食い込み、鎖骨に当たって止まる。
真城朔:赤い血が溢れて真城の服を汚していく。
真城朔:「……なら」
真城朔:「殺したらいい」
夜高ミツル:前に出たのに気づいていて、それでもいつかのようにその刃を止めることはなかった。
夜高ミツル:「……だから、殺さねえって言ってるだろ」
真城朔:「殺せよ」
真城朔:「約束、しただろ」
真城朔:刀身に手をかける。
真城朔:力を込めて、肩へと喰い込ませる。
夜高ミツル:「……約束破ることになるのは悪いと思ってる」
夜高ミツル:「俺は、約束よりもお前の命を選んだ」
夜高ミツル:「……大体お前、自分は散々俺のこと助けといて言える立場かよ!」刀を取り戻すため、再び蹴りつける。
真城朔:「…………」
真城朔:真っ赤に汚れたシャツの裾から血が垂れ落ちる。
真城朔:「……代わりがいねえ、なんてのは当たり前で」
真城朔:「俺は、その、代わりのない人たちを何人も」
真城朔:「何百人も」
真城朔:「……何千人と、殺してきた」
夜高ミツル:「……ああ」
真城朔:刀から手が離れる。
真城朔:蹴りつけられてバランスを崩しながら、その刀身を、名残惜しそうに見つめていた。
真城朔:「だから」
真城朔:「俺には、助けられちゃいけない理由がある」
真城朔:「ミツ」
真城朔:「お前とは、違う」
真城朔:血に汚れた手のひらに視線を落として、息をつく。
夜高ミツル:「お前がしてきたことはなくならない。でも、お前が死んだからって解決することでもねえだろそれは」
真城朔:「生きてても、解決はしない」
夜高ミツル:「お前がどんなに許されなくて、生きてちゃいけないって思ってても、それでも俺はお前に生きててほしいって思ってんだよ」
夜高ミツル:取り戻した刀で、再び斬り込んでいく。
真城朔:また前に出て、首を差し出した。
夜高ミツル:「……っ、だからそれやめろってんだよ……!」刀身は首を避け、真城の肩口に振るわれる。
夜高ミツル:「……そりゃ、お前の罪は消えるもんじゃないし」
夜高ミツル:「つらくて、死にたくて、それだって簡単にはなくなんねえだろうけど」
真城朔:同じ場所に刃が入る。
真城朔:自らの血に頬が汚れるのに、眉一つ動かしもせで。
夜高ミツル:斬りつけるミツルの方が、まるで痛みに耐えるように眉根を寄せる。
夜高ミツル:「だから、お前が抱えるものが少しでも軽くなるように、俺も一緒に背負う」
真城朔:その言葉にこそ、僅か眉をひそめる。
真城朔:「……関係、ないだろ」
夜高ミツル:刃が真城の肩に食い込んで。
夜高ミツル:「ある」
夜高ミツル:「全部承知の上で、お前に生きろって言ってんだから」
真城朔:腱でも断たれたか力の入らなくなった右手から杭が落ちる。
真城朔:「……全部って」
真城朔:「どこまで」
真城朔:前に出る。刃をより深く受けながら。
真城朔:刀身に骨を削る手応えが響く。
夜高ミツル:「……プルサティラに、お前の記憶をいくつか見せられた」そういえばちゃんと話せていなかった、と思い出し。
真城朔:「…………」
夜高ミツル:骨を削る手応えに一度刀を引いて、今度は左腕を狙う。
夜高ミツル:「……5年前のいきさつと。お前の前のチームが殺された時のこと」
夜高ミツル:「……紅谷を吸血鬼にした所も見た」
真城朔:なすがままに、斬り裂かれる。
真城朔:血が溢れる。
真城朔:「それだけ?」
夜高ミツル:「……お前の血が人を変にさせるのとか」
夜高ミツル:「銀に弱いのも、飯も食えなくなってるのも」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「寒いのが平気なんじゃなくて分からなかっただけなのも」
夜高ミツル:真城の返り血に濡れながら、思い当たることを告げていく。
夜高ミツル:「……自分のやってきたことが自分で許せなくて、それでもやめられなくて、死にたくて、殺されたくて」
夜高ミツル:「それだって、言われなくても知ってる」
真城朔:「……全部って」
真城朔:「それだけ?」
夜高ミツル:「お前が時々うちに来るのが遅れた理由とか」
夜高ミツル:「……とにかく、色々だよ」
真城朔:「…………」
真城朔:金色の瞳が、ミツルを見ている。
夜高ミツル:「お前が感じてる苦しみの全部にはそりゃ足りないだろうけど」
夜高ミツル:「そう思う理由とか、いきさつとか」
真城朔:「色々?」
真城朔:「色々、全部わかってるって?」
真城朔:口の端を歪めてみせる。
夜高ミツル:「……足りないってんなら聞かせてくれよ」
夜高ミツル:「今まで、俺はお前のこと何も分かってなかった。お前が抱えてるものも、つらく思ってたことも」
真城朔:「全部わかってるだとか」
真城朔:「大上段に言い出したのはお前のほうだろうが」
真城朔:「なんで俺が補足してやんなきゃなんねえんだよ」

真城朔:「なあ、色々ってなんだ?」
真城朔:「俺の全部って、色々で片付けて足りるのか?」
真城朔:「はは」
真城朔:「まあ、そうか」
真城朔:「足りるよなあ!」
真城朔:「誰にとっても、知ったこっちゃねえもんな」
真城朔:左腕の杭で刀を弾いて、ミツルから一歩離れる。
真城朔:下がる。
真城朔:「全部自業自得で、全部俺が悪いんだから」
真城朔:「そんなもん、知ったこっちゃねえよな」
真城朔:「合ってるよ」
真城朔:「それで、正しい」

忽亡ゆかり:真城くん何言ってもバッドコミュニケーション表示出るのウケるな
真城朔:今の流れはかなりわかりやすいと思いますけど……
糸賀大亮:地雷がある

夜高ミツル:「……簡単に全部なんて言って悪かった」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「昨日のことで幾らか分かった気になって、それでも俺にはまだ見えてない部分だってあると思う」
真城朔:「理由ってなんだよ」
真城朔:遮るように、差し挟む。
夜高ミツル:「そもそも俺がお前のこともっと分かろうとしてやってれば、いくらかは隠さずに済んだかもしれないこともあって……」
夜高ミツル:「あ?」挟まれて、一瞬戸惑い。
真城朔:首を振る。
真城朔:「俺がお前んち行くの遅れてた理由ってなんだ?」
夜高ミツル:「……誰かに連れ込まれてとか」
夜高ミツル:「そういうのがあったって」
真城朔:「で?」
真城朔:また下がる。
真城朔:血を落とし、足元に勿忘草の花を散らしながら、離れる。
夜高ミツル:「……でってなんだよ。遅れた理由はそれでだろ」
夜高ミツル:刀を構え、距離を詰め直す。
真城朔:「誰かに連れ込まれて」
真城朔:「それで」
真城朔:「それだけで、俺はお前を放置するわけだ」
真城朔:「お前にとって俺はそういうやつなワケ」
真城朔:「ま、合ってるか」
真城朔:刀を弾く。
夜高ミツル:「……血戒のせいだったんだろ!」
夜高ミツル:「お前がそういうやつな訳じゃないし、そうも思ってねえよ」
真城朔:「……なあ」
真城朔:「俺はどこまでお前に聴取して差し上げなきゃならねえんだ?」
真城朔:「知ってんじゃねえかよ」
真城朔:「色々って誤魔化したのはなんでだ?」
真城朔:「なんで誤魔化さなきゃなんなかった?」
真城朔:「教えてやろうか? なあ」
夜高ミツル:「……なんだよ」
真城朔:手のひらの中で、くるりと杭を回す。
夜高ミツル:「………………子供堕ろしたのも知ってるとか、そんなの今言ったって」
夜高ミツル:できればこの場で言いたくはなかったことだが、変に誤魔化すよりはと口に出す。
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「…………誤魔化したのはそれでだよ!」
真城朔:「……何もさ」
真城朔:「何もかも、そうだよ」
真城朔:杭の突端を、自らの胸に突きつける。
真城朔:「何もかも、今言っても、もう仕方ないことだ」
夜高ミツル:「……っやめろ!」その杭を払うように斬りつけ。
夜高ミツル:「仕方なくなんかない!」
真城朔:手から杭が弾き飛ばされるのを、ぼんやりと見つめている。
真城朔:「今言ったって仕方ないって」
真城朔:「そう言ったのはお前のほうだろ」
夜高ミツル:「何もかもってことはねえだろ」
真城朔:「じゃあ、なんで分けたんだよ」
真城朔:「何がお前の中で違うんだ?」
真城朔:「なんで違うんだ?」
真城朔:「これは今言うことだ」
真城朔:「これは言わなくてもいいこと」
真城朔:「どこにその基準があった?」
夜高ミツル:……ああ、クソ、この期に及んで話題を選んでる場合じゃなかった、と悔やみ。
夜高ミツル:「……いくらかは、お前じゃない真城から聞いたんだ。お前本人を傷つけるために話してた感じで……だから言いたくなかった」
夜高ミツル:「でも、勝手に記憶を覗いた時点で今更だったな……悪い」
真城朔:「…………」
真城朔:傷を負って棒立ちになった今の真城朔の手に、得物はない。
真城朔:武装として腰や太腿に備えられたそれらに手を伸ばす様子もない。
真城朔:いつでも殺せる。
夜高ミツル:だけど、殺さない。
真城朔:いつでも殺され得るのだと、
真城朔:それを誇示する先は最早、目の前の相手にではない。
夜高ミツル:「……俺は」
夜高ミツル:「お前に生きててほしいし、一緒に生きたいと思ってる」
夜高ミツル:他の狩人には手を出させないようにと、また刀を振るう。
夜高ミツル:「……俺の家族が死んだのがお前のせいでも。家族が、誰が許さなくても」
夜高ミツル:「真城。嘘つきで、ひねくれ者で、死にたがってて、罪を背負ってるお前といたいんだよ!」
真城朔:振るわれるがままに肉を裂かれ、血を溢れさす。
真城朔:「それでも」
真城朔:「そういう風に言うお前にとっても」
真城朔:とってすら、と声が掠れる。
真城朔:「…………」
真城朔:「……気持ち悪かったんだろ」
夜高ミツル:「…………はあ?」
真城朔:「だから誤魔化した」
真城朔:「だから話題を避けた」
真城朔:「言いたくもねえよなあ」
真城朔:「俺だって気持ち悪いよ、こんなの」
真城朔:動く左腕で、傷だらけの身体に触れる。
真城朔:血に濡れたシャツを指先でなぞる。
真城朔:落ちた視線は焦がれるように、青い勿忘草を見つめている。
夜高ミツル:「……気持ち悪いとかじゃねえよ」
夜高ミツル:「単純に、そういう話の扱い方が分かんねえんだよ……」
真城朔:「じゃあ」
真城朔:「諦めてくれ」
夜高ミツル:「だから、これから分かりたい」
真城朔:「分かんねえんだから、無理すんなよ」
夜高ミツル:「無理してでもお前といたいんだよ」
真城朔:「そのために」
真城朔:「俺に無理、しろってか」
真城朔:「全部なんてわかったようなこと言って」
真城朔:「色々って誤魔化してさ」
真城朔:「それで全部がそれだけかと訊いたら」
真城朔:「じゃあ教えろと来たもんだ」
真城朔:「知ってたくせに、俺に言わせるつもりだった?」
真城朔:「俺を傷つけるためか?」
夜高ミツル:「違う」
真城朔:「そう言ったのはお前だよ」
真城朔:「それを語る俺が、俺を傷つけるために話したことを」
真城朔:「お前は俺に言わせようとしてたワケだろ?」
夜高ミツル:「それを言わせたかったわけじゃねえよ」
夜高ミツル:「他に言いたいことがあるなら聞かせてほしかったんだよ」
真城朔:「…………」

忽亡ゆかり:ミツルくん続けたそうだけど、この話題で引っ張ると泥沼だよなー どこで邪魔するかなー という顔をしている でもゆかりだったらたぶん即座に入り込むんだよな……ウググ
真城朔:いつ入ってくれても構いませんよ。
真城朔:誰でも。

忽亡ゆかり:熱のこもる応酬とは対照的に、ゆかりは冷ややかな目で二人の動向を見ていた。
忽亡ゆかり:なぜ、くだらないことを聞くのか。「口にするのも憚られる恥ずべき行為だから」それが自分で分かっていて。
忽亡ゆかり:なぜ、罪人をご機嫌取りしているのだろうか?
忽亡ゆかり:なぜ、ご機嫌取りをされている罪人が、こちらを傷つけるような言動をしてくるのか。
忽亡ゆかり:なぜ、それをじっと見つめていなければならないのだろうか?
忽亡ゆかり:背中が見える。今なら攻撃が届く。
忽亡ゆかり:だから、ナイフを構える。
忽亡ゆかり:あえてミツルに見せつけるような、緩慢な仕草で。
忽亡ゆかり:これ以上は待たないと。
忽亡ゆかり:この機を見逃すことはできないと。
忽亡ゆかり:今、ここで終わらせろと。
忽亡ゆかり:お前がやらないのなら私が殺る。そういう明確なメッセージを以て。
夜高ミツル:「……!」ゆかりのナイフが視界に入る。
夜高ミツル:もう猶予は残されていない。
真城朔:俯いた真城はそれに気づかない。
真城朔:期待に身を晒すことすらせず、血を流しながら、ただ無防備に立ち尽くしている。
夜高ミツル:「……真城。全部ってのは本当に言いすぎた。俺はお前のことをもっときちんと分かりたい」
夜高ミツル:「お前の話を聞きたいし……それを聞いて驚いたり、どうしたらいいかその時は分かんなかったりするかもだけど」
夜高ミツル:「それでも、逃げたりはしない」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「……遠慮するなって言われても、あの時は怖くてそれ以上聞けなかった」
夜高ミツル:「傷つくのとか、傷つけられるのとか、そういうのが怖かった。もしかしたら、何かが終わるんじゃないかって」
真城朔:「終わってんだよ」
夜高ミツル:「終わってない」
真城朔:「俺とお前は、とっくに終わってる」
夜高ミツル:「もし終わってんなら、新しく始めればいいだけだろ」
真城朔:「始めたくない」
真城朔:「お前が俺に何を望んでも」
真城朔:「俺には関係ない」
真城朔:「俺は」
真城朔:ゆっくりと唇を動かして、吐き出すように、言う。
真城朔:「お前を、信用できない」
夜高ミツル:「…………っ、」
真城朔:「だから、生きていけない」
真城朔:「資格もない」
真城朔:「……なあ」
真城朔:「殺してくれるんだろ」
真城朔:「殺してくれるんじゃ、なかったのかよ……」
真城朔:立ち尽くしたままだから、血は流され続けて、
真城朔:真城の周囲の勿忘草だけが、すっかり赤く染まっている。
夜高ミツル:「……俺は、他の誰じゃなくてお前と生きたい。お前といて、支えたいと思ってる」
真城朔:首を振る。
夜高ミツル:緩慢に、刀を構える。
真城朔:武器を取らずに、動く腕で耳をふさぐ。
夜高ミツル:「……最後にするから、聞け!!」覆われた上からでも届くように叫ぶ。
真城朔:白い片耳だけが晒されている。
真城朔:しかし反応はない。
夜高ミツル:「何があっても、聞いても、お前を見放したりしない! 離れない! 約束する!」
真城朔:何もかも押し込めてしまうように、背を丸めている。
夜高ミツル:「……それが信じられないなら、死にたい以外の気持ちが少しもないってんなら」
夜高ミツル:「…………あの時の約束、果たすよ」
真城朔:より俯いて、表情を隠す。
真城朔:顔をきつく俯けて、
真城朔:その視界を、血に濡れた勿忘草で埋めながら、
真城朔:それを踏み躙る自らの足を見つめながら。
真城朔:か細い声が、
真城朔:「……も、う」
真城朔:「期待、したく、ない……」
真城朔:血混じりの涙が、花畑へと落ちる。

夜高ミツル:2D6+2>=6 (判定:黙る) 黙るな……
BloodMoon : (2D6+2>=6) → 4[2,2]+2 → 6 → 成功

夜高ミツル:「…………」
夜高ミツル:そのか細い声に、一瞬腕を止めて。
糸賀大亮:これ、ミツルくん殺すつもりかな。
糸賀大亮:だったら大亮割り込む気がするな。割り込んじゃダメとかなら見守りますが。
真城朔:好きにしてくれて大丈夫です。
夜高ミツル:ちょっと……待ってくれ……
真城朔:はい。

乾咲フラン:ミツルくんが待ってくれになるの感慨深いな
夜高ミツル:完全に、説得失敗した……って気持ちでいて、せめて殺すしかないのではと
糸賀大亮:2話ではフランさんが待ってくれって言って、3話では大亮が待ってくれって言って、4話ではミツルくんが待ってくれって言ってる
真城朔:好きにしてくれて大丈夫ですよ。
真城朔:その後どうなるかは分かりませんが。
真城朔:私もわからないので……

夜高ミツル:「……期待してくれよ。あの時だって、お前を探しに行っただろ」
夜高ミツル:「いなくなってもまた探すって言ったし、現に今、こうしてお前の前にいる」
夜高ミツル:刀を構え直し。
真城朔:いらえはない。
真城朔:垂れた頭に差し出された首筋、
真城朔:乱れた黒い髪と、流れる血の赤さが、
真城朔:その真白をひどく際立たせていた。
夜高ミツル:「他の誰が許さなくても、俺はお前に生きててほしいし、生きてていいんだって言い続ける」
夜高ミツル:「真城」
夜高ミツル:踏み出して、傷だらけの身体に刀を突き立てる。胴体──明け方、真城に貫かれたのと同じ位置。
真城朔:無抵抗に貫かれる。
真城朔:それでも頭を上げない。耳をふさぐのではなく、もはやその顔を隠していた。
真城朔:俯いたまま、顔を隠したまま、白い項が静かに震えていた。
夜高ミツル:胴を貫かれてなお、無抵抗に差し出されている真城の首。
夜高ミツル:刀を引き抜く。
真城朔:傷口から血が溢れて、シャツをさらに赤く染める。
夜高ミツル:特訓の中で、幾度促されても結局狙えなかったその首筋。
真城朔:血に濡れて張り付くさまがその肉の薄さを際立たせていた。
夜高ミツル:そこに刀を突き立てれば、そうして力を加えてしまえば、全てが。
夜高ミツル:それだけで。
夜高ミツル:……それだけのことが。
真城朔:終わりを待ち侘びるように、頭が垂れている。
夜高ミツル:刀を緩慢に持ち上げて、その手が震えて、
夜高ミツル:真城が待ち望んでいるはずの終わりを与えることはなく
夜高ミツル:「…………」
真城朔:血が落ちる。
夜高ミツル:「…………ごめん」

夜高ミツル:「ごめん、真城」
真城朔:反応は返らない。
夜高ミツル:「…………できない」声が掠れる。
夜高ミツル:願いを取り上げて、その上、こんな風に傷つけて
夜高ミツル:それで、終わらせるなんて
夜高ミツル:そんなこと
真城朔:全身を血に染め上げ姿は、あの夜のそれによく似ている。
夜高ミツル:「…………ごめん」
夜高ミツル:縋るように謝罪を繰り返す。
真城朔:全ての始まりの五年前。
真城朔:学校でミツルを庇って傷ついた夜。
真城朔:繁華街で真城を見つけて、連れ戻した、あの夜。
夜高ミツル:「……俺は、お前のこと何も分かってなかった」
夜高ミツル:「それなのに、ちょっと事情を教えられたくらいで、簡単に分かるとか言ってごめん」
夜高ミツル:受け入れてもらえるかは分からない。
夜高ミツル:それでも、謝らないではいられなかった。
夜高ミツル:「受け入れるって言ったのに、誤魔化して」
夜高ミツル:「ハンパな態度取って、やな思いさせた」
夜高ミツル:「……ごめん」
夜高ミツル:「ごめんな」
真城朔:「――、い」
真城朔:か細い声。
真城朔:吐息混じりに、震える声。
真城朔:血塗れの勿忘草がその足元で、緩やかな夜風にざわめく。
夜高ミツル:「……?」
真城朔:「……い、いん、だ」
夜高ミツル:「よくねえ」
真城朔:「あ、やまらなくて、別に」
真城朔:「だって」
夜高ミツル:「……いい訳ない」
真城朔:「俺、が」
真城朔:「俺が、……」
真城朔:「…………」
真城朔:ざわめく赤い勿忘草の中心に立つ。
夜高ミツル:「さっきのは、俺が、絶対に悪くて」
夜高ミツル:「……お前を傷つけたのと、お前がしてきたこととは、別の話だ」
夜高ミツル:「俺が悪い」
夜高ミツル:「だから、ごめん」
真城朔:項垂れたままの真城を取り巻いて、花々が咲う。
真城朔:「……俺が」
真城朔:「生きてるから、ミツを苦しめる」
真城朔:「俺が」
真城朔:「俺が、悪い」
夜高ミツル:「……俺が、生きててほしくて」
夜高ミツル:「だから」
真城朔:ざわめく花々が、
真城朔:血に染まった勿忘草が、
真城朔:真城の周囲で不意に花弁を散らした。
夜高ミツル:「違うんだよ……」
夜高ミツル:「……それと」
真城朔:散った花弁は血槍をかたちづくり、
夜高ミツル:「……っ、」
夜高ミツル:真城の身体に腕を回し、抱えて地を蹴る。
真城朔:赤い槍は、
真城朔:虚空を穿った。
夜高ミツル:地を蹴った勢いで、花畑に転がり込んで
真城朔:ミツルの腕の中の身体が竦む。
真城朔:荒らされた花畑に、青い花弁が舞う。
夜高ミツル:上体を起こして、真城を強く抱きしめる。
夜高ミツル:「……それと!」
夜高ミツル:中断された言葉の続き
夜高ミツル:「お前のこと、気持ち悪いとか……絶対ねえから」
真城朔:腕で顔を隠して、唇を引き結んでいる。
夜高ミツル:「……やり方、こんなんしか思いつかねえけど」
真城朔:頬を汚す血を分かつ、ひとしずくの涙の跡。
夜高ミツル:何度もその手からすり抜けて、一度は取り戻して、今また、今度は永遠に離れようとしている真城を
夜高ミツル:留めるように、強く両腕に力を込める。
真城朔:背中が強張る。
夜高ミツル:ミツルがつけた傷だらけの身体を。
真城朔:喉を空気を通り抜ける不格好な音が、近くなった耳に届く。
夜高ミツル:「……ごめん、ほんとに」
真城朔:「……っ」
夜高ミツル:「やな気持ちにさせて、がっかりさせて」
真城朔:その呼気が乱れている。
真城朔:密着した、濡れた身体が冷たくて、
真城朔:でも、まだ、ひとの体温をしている。
真城朔:触れる胸元に心臓の鼓動が伝わる。
真城朔:早鐘を打つそれが、果たしてどちらのものか分からないほどに、
真城朔:今は、
真城朔:近い。
夜高ミツル:「……俺は、お前のこと分かってない」
夜高ミツル:「分かってないから、傷つけないようにって、そうするつもりで逆に傷つけた」
夜高ミツル:「お前がどんなに大変で、辛くて、そんなの」
夜高ミツル:「簡単に、分かるはずないのにな……」
真城朔:「――いや、だ」
夜高ミツル:「何が」
夜高ミツル:問いかける。
真城朔:「……お前が」
真城朔:「お前が、そんな風に、俺に気を揉むのが」
夜高ミツル:強く、抱きしめて。お互いに表情は見えないまま。
真城朔:「俺にはそんな権利、ないのに」
真城朔:「俺が」
夜高ミツル:「俺がそうしたいから」
夜高ミツル:「してるだけだ」
真城朔:「俺のせいで、どれだけ」
真城朔:「俺なんかが」
真城朔:「俺なんかが、恵まれちゃ、いけないのに」
真城朔:抱き締められた身体が震えて、腕がミツルを押しのけようと、その肩を掴む。
夜高ミツル:「…………俺くらい、いいだろ」
夜高ミツル:「お前のこと、許せないって人はいると思う」
夜高ミツル:「でも、俺くらい、俺は、真城に生きてほしいって思っても」
夜高ミツル:抵抗を抑えるように、腕に力を込める。
夜高ミツル:「……俺だけじゃなくて、皆川さんも、乾咲さんも、そうで」
夜高ミツル:「忽亡さんと糸賀さんも、俺がお前を生かしたいって言ったことに、それに乗ってくれた」
真城朔:ミツルを引き剥がせなくて、肩を掴む手に力だけが籠もる。
真城朔:縋るように指が食い込む。
真城朔:「……彩花を」
真城朔:「俺は、殺し、……っ」
夜高ミツル:「……皆川さん、お前のことバカだって言ってたぞ」
夜高ミツル:「今、病院にいる」
夜高ミツル:最初に言っておけばよかった、と今更思い当たる。
真城朔:「……俺のせいだ」
真城朔:「俺が、やったことだ」
夜高ミツル:「……そうだな」
夜高ミツル:「だからさ、」
夜高ミツル:「謝りにいけよ」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「許すか許さないか、決めんのは皆川さんだけど……」
夜高ミツル:「お前のせいだって思うんなら、そこからじゃないのか?」
真城朔:「……彩花も、乾咲さんも」
真城朔:「お前も」
真城朔:「俺には、甘いだろ」
真城朔:「そういう」
真城朔:「そんな」
真城朔:「俺を肯定するような、ひとたちで――ひとたちに」
夜高ミツル:「……ああ」
真城朔:「甘やかされて」
真城朔:「甘やかされて生きてく、なん、ての」
真城朔:「俺には」
真城朔:「俺には、そんな権利も……」
真城朔:あるはずがないと、吐息に声が掠れる。
夜高ミツル:「……お前が自分を否定して、責めるから、その分だろ」
夜高ミツル:「お前がもう生きてたくないって」
夜高ミツル:「殺してくれって」
夜高ミツル:「そう言ってて、それでも」
夜高ミツル:「生きてほしいって言うんだから」
真城朔:「――っ」
真城朔:「足りない」
真城朔:「足りないんだよ!」
真城朔:叫ぶ。
真城朔:ミツルの肩を引き剥がして、もがいて、
真城朔:その腕から抜け出しそうともがいて、顔ばかりは逸らしたままに。
夜高ミツル:その身体を逃すまいと。
真城朔:「自分で人を殺すのが怖いくせに、人を化け物に仕立て上げた!」
真城朔:「自分が生んだ化け物が人を殺すのを見てた!」
真城朔:「それをずっとよしとしてきた!」
夜高ミツル:その叫びを受けとって、更に強く抱きしめて。
真城朔:「俺は、俺の私利私欲で人が死ぬのをずっと」
真城朔:抱き寄せられて、唇を噛んで頭を垂れる。
真城朔:「ずっと……っ」
夜高ミツル:「…………ああ」
真城朔:「諦めて」
真城朔:「俺が諦めて、死ねば」
真城朔:「もう、誰も死ななくて、良くなるのに」
真城朔:「わかってたのに」
夜高ミツル:「……お前のやってきたことは、取り返しのつかないことで」
夜高ミツル:「俺だって、それをなかったことにする訳じゃない」
夜高ミツル:「……でも、それでも」
夜高ミツル:「お前のせいで死んだ人たちがたくさんいて、それでも」
夜高ミツル:「生きてたって、いいだろ」
真城朔:「……死んだって、いいだろ」
夜高ミツル:「生きててほしいんだ」
夜高ミツル:「死んでほしくない」
夜高ミツル:「死なせたくない」
真城朔:「死にたい、んだよ」
真城朔:「死なせてくれよ」
夜高ミツル:「…………嫌だ」
真城朔:ミツルの身体を押し返して、でも引き剥がすことができなくて、
真城朔:途中で力を失い、その胸に顔が埋まる。
真城朔:「……もう」
真城朔:「ミツには面倒、かけないから」
真城朔:「一人で死ぬから」
夜高ミツル:「そういうのやめろって」
夜高ミツル:「真城」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「……お前がずっとやってきたことを邪魔した」
夜高ミツル:「今だって、お前が死にたいって言ってんの、邪魔して」
夜高ミツル:「お前の人生を、変えさせようとしてる」
夜高ミツル:「だから」
夜高ミツル:「俺も、俺の人生をお前に賭けるから」
夜高ミツル:「だから、頼む」
夜高ミツル:「俺と、生きて」
夜高ミツル:「生きてほしい」
夜高ミツル:真城の身体に腕を回したまま、懇願する。
夜高ミツル:伝わらない体温の分、せめてと強く力を込めて。
夜高ミツル:その腕も、声も震えている。
真城朔:しゃくりあげる音を喉に押し込めるのが、
真城朔:こうも密着していては隠し切れない。
真城朔:乱れた浅い呼吸を何度も繰り返して、
真城朔:何度も、何度も繰り返して、
真城朔:「……なん、で」
真城朔:絞り出された声で問うのは、あまりにも素朴な疑問。
夜高ミツル:「……俺は、お前にずっと助けられてんだよ」
夜高ミツル:「5年前とか、5月のこととか、それだけじゃなくて」
夜高ミツル:「……お前が知ってたかしんねえけど、高校入った頃」
夜高ミツル:「俺の家族いないのが、なんか噂になってて……」
夜高ミツル:「俺はそれが嫌で」
夜高ミツル:「でも、お前は普通にしてくれて、友達になれて」
夜高ミツル:「……お前が何考えて俺に話しかけたにしろ」
夜高ミツル:「俺はそれが、うれしくて」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「それからも、ずっとそうで」
夜高ミツル:「なんで、何のために生きてるのか分からなかったのが」
夜高ミツル:「お前がいたから楽しかった」
夜高ミツル:「……お前がうちに来て、帰った後とか」
夜高ミツル:「……言ったことねえけど、寂しかったり、とか」
夜高ミツル:「して」
夜高ミツル:「……だから、お前が死ぬのは嫌だ」
真城朔:「……なんで……」
夜高ミツル:「お前ともう話せないのとか、会えないのとか」
夜高ミツル:「俺は、嫌だ」
夜高ミツル:「今までは、お前がいなくなって、探して」
夜高ミツル:「そうできたけど」
夜高ミツル:「死なせたら、もう探すのだってできない」
夜高ミツル:「お前は、俺の友達で」
夜高ミツル:「これ以上、大事なやつがいなくなるのは」
夜高ミツル:「しかも、助けられたかもしれないのに、死なせるなんて」
夜高ミツル:「そんなのは……」
真城朔:「なんで、……っ」
真城朔:引きつる喉に声が上ずって、
真城朔:堪えきれずに上がった顔と、
夜高ミツル:手に、力が篭もる。離したら、今度こそ永遠に逃してしまう気がして。
真城朔:その金色の瞳と、視線が合う。

夜高ミツル:「……お前に助けてもらった分」
夜高ミツル:「俺は、全然返せてない」
真城朔:頬に涙を落としながら、もう一度のなんでが唇に掠れた。
真城朔:「俺が」
夜高ミツル:「返させて、くれよ」
真城朔:「俺のせいで、お前の家族は、死んだのに」
真城朔:「返せてないのは」
真城朔:「俺の方で」
真城朔:「返せっこない、のに――」
夜高ミツル:「……めぐるも、親も、俺のこと許さないかもしれない」
夜高ミツル:「それでも」
夜高ミツル:「それでもいい」
夜高ミツル:「……遠慮しなくて、いいんだろ」
夜高ミツル:「俺が、許す側で、だから」
夜高ミツル:「俺の家族のこと」
夜高ミツル:「他の何が許されなくても」
夜高ミツル:「それは」
夜高ミツル:「俺は、お前のこと、許すから」
真城朔:「……それ、を」
真城朔:「認められるって、いうのか」
真城朔:「忽亡さんも、糸賀さんも」
真城朔:「俺に家族とか、仲間とか、…………」
真城朔:「俺が、…………っ」
夜高ミツル:「……」大亮が、ゆかりがどう思うか。それを決めるのは自分じゃない。
糸賀大亮:近づくか。
糸賀大亮:「……彩花ちゃんは、」
糸賀大亮:「ハイドレンジアがいなかったら、病気で死んでいた」
糸賀大亮:近づいて、少しだけ声をかける。
真城朔:「…………」
真城朔:大亮に顔を向けて、しかし目を合わせられずに視線を落とす。
糸賀大亮:「グラジオラスが助けたかった女の子も」
糸賀大亮:「グラジオラスがいなかったら、きっと死んでいたろう」
糸賀大亮:「だから許すって話じゃない」
糸賀大亮:「いいこともあったから、間違ったことを許すわけじゃなくて」
糸賀大亮:「正しいとか、間違ってるとかでもなくて」
糸賀大亮:「少しでも」
糸賀大亮:「何か……よくなれば」
糸賀大亮:「…………」 真城を抱きしめる夜高を見た。
糸賀大亮:「何かが、よくなると信じてる」
糸賀大亮:「お前を生かすことで」
糸賀大亮:「そうじゃないか」

真城朔:大亮さんのこの文脈つええな・・・・
夜高ミツル:強い……
乾咲フラン:うn…

夜高ミツル:変わらず真城の身体に腕を回したまま、大亮と目が合う。
糸賀大亮:「俺は……そう思う」
真城朔:俯く仕草は、首肯によく似ている。
夜高ミツル:何かがよくなる。そうなればいい、そうなってほしいと思う。
夜高ミツル:そう、したい。
夜高ミツル:真城が生きていたことが、よかったと。
夜高ミツル:そうしたいと決意を込めて、頷く。
忽亡ゆかり:ナイフを持ったゆかりが、二人を見つめていた。
忽亡ゆかり:構えは解いていて、しかしその刃を仕舞うわけではなく。
忽亡ゆかり:二人を、ただ表情のない顔で、見つめていた。
夜高ミツル:「……それも、それこそさ」真城に語りかける。
夜高ミツル:「忽亡さんにも、糸賀さんにも」
夜高ミツル:「殺せばいいとか、そういうのの前に」
夜高ミツル:「まず、言わないといけないことがあって」
夜高ミツル:「……認められるかとかは、それからじゃないかと思う」
真城朔:「――――」
真城朔:ミツルの腕の中で俯いたまま、ひくりと肩を震わせる。
真城朔:それが、その面がゆっくりと上がって、
真城朔:恐る恐るに、まずは大亮を向いて。
糸賀大亮:「……」
糸賀大亮:見返す。
真城朔:視線が合って、身体が震える。
真城朔:震えを抑えきれないままにその顔を、
真城朔:今度はゆかりへと向けるまでに、随分と長く、時間がかかった。
忽亡ゆかり:「………………」見つめ返す。感情のこもらない目。初めて向けられた視線にも心動いた様子のない目で。
夜高ミツル:その間も、真城を鼓舞するように腕を回したまま。
真城朔:ゆかりの視線を受けて固まる。
真城朔:固まるのに震えは止まらなくて、
真城朔:それが、それをどうにか、縋るように落ちた腕の、
真城朔:指先がミツルの服に絡む。

乾咲フラン:真城が女児になっちゃった
糸賀大亮:しおらしくなってしまった
忽亡ゆかり:めちゃくちゃかわいくない?ぞくぞくします
乾咲フラン:わかるよ…

夜高ミツル:背中を押すように、あやすように、真城の背を軽く叩く。
夜高ミツル:「真城」
真城朔:肩で息をしている。
真城朔:背を叩かれて、そのぶん呼気が口から漏れて、
真城朔:彷徨いかけた視線を、けれど辛うじて逸らさずに。
夜高ミツル:もう片方の腕で、すがりついた手を上から包む。
真城朔:「……っ」
真城朔:触れた刹那に、息を呑んだ。
真城朔:唇をひらいて、うごかして、
真城朔:吐息に声を含ませることにすら、ひどく長く、苦労をした。
真城朔:「……っ、ご」
真城朔:「ごめん、なさい」
真城朔:ゆかりを見て、大亮を見る。
真城朔:落ちかける頭を、視線を、繰り返し何度もそのたび起こして、
忽亡ゆかり:「…………」冷ややかな目は崩さずに。

忽亡ゆかり:「どっちに言ってんの?」
真城朔:「ごめんなさい」
真城朔:「…………っ」
忽亡ゆかり:「まとめて?一緒くたに?」
真城朔:「う」
真城朔:「あ、……っ」
真城朔:問い返されて混乱にか息を詰めて、
夜高ミツル:「…………」これは真城が言ってこそ、言わないと、意味のないことで。
夜高ミツル:だからせめてと、自分がいると。
真城朔:荒くなる呼吸に、視線を落としかける。
夜高ミツル:その手を握る手に、強く力を込めて。
真城朔:寸前に手を握られて、辛うじて留まった。
夜高ミツル:言えと言って言わせるのでは、ダメで。
夜高ミツル:だから、真城をこうして励ます、支えることしか今は。
乾咲フラン:真城とゆかりの様子を、じっと見守っている。

見学の水面:まあ年端もいかないころに色々起きてそのままだから
見学の水面:根本の傷が子供のところにあって
見学の水面:そのまま癒えないでいるよね、とずっと思ってる
乾咲フラン:そりゃ女児にも帰るな
夜高ミツル:中1はほぼ小学生だからな……
夜高ミツル:中1の春で……

真城朔:ゆかりを見上げる。
真城朔:荒い呼吸を鎮めるのに、何度も呼吸を繰り返して、
真城朔:「ごめんなさい」
真城朔:その声は、先よりも確かな音となって吐き出された。
真城朔:「殺して」
真城朔:「俺が」
真城朔:「あなたの、家族、……っ」
真城朔:「俺の」
真城朔:「俺の、せいで、全部」
真城朔:「俺が全部、壊して、俺が――」
真城朔:「俺が、やった、から……っ」
忽亡ゆかり:「それ、お友達に勇気を貰わないと言えないの?」
真城朔:「ごめんなさい」
忽亡ゆかり:掴んだ手を見て、そう一言だけ。
真城朔:「……っ」
真城朔:目を見開く。
夜高ミツル:「…………」ゆかりの言葉に、身体をこわばらせる。
真城朔:「……ごめんなさい」
真城朔:掠れた声で繰り返す。
忽亡ゆかり:「君……どうする?」
忽亡ゆかり:開いた口から放たれたのは、謝罪の言葉に対する返答ではなかった。
忽亡ゆかり:この場、この状況を招いたフォロワーに対して、狩人として問う。
忽亡ゆかり:「戦いだよ。まだ続ける?君は、吸血鬼側に立つか?」
真城朔:「…………」
真城朔:考えが追いつかないのか、
真城朔:問いを返されるたびに身が竦む。
夜高ミツル:「……真城」
真城朔:はたと目を瞬くと、そのぶん涙が頬を転がり落ちる。
夜高ミツル:「どうしたい、真城は」
真城朔:「…………」
真城朔:ミツルの顔を向きかけて、
真城朔:首を振った。
真城朔:ゆかりを見る。
真城朔:「……生きる、なら」
真城朔:「俺はもう、そっちには立てなくて、……っ」
真城朔:また首を振った。
真城朔:「違う、そうじゃない、そうじゃなくて」
真城朔:「俺」
真城朔:「俺は、俺、……だから、俺は」
真城朔:「…………」
真城朔:「俺は、あのひとを」
真城朔:「殺して」
真城朔:「殺さ、なくちゃ、で、――」
真城朔:言葉を重ねるごとに、表情が歪む。
真城朔:「……違う」
真城朔:「言わなきゃいけないのは、そんなことじゃ、…………」
真城朔:深く、息を吸った。掠れた声で吐き出す。
真城朔:「……あの人に、敵対、します」
忽亡ゆかり:「じゃ、お母さんの蘇生は?」
忽亡ゆかり:絞りだした言葉に、すぐさま短い一言を返す。
忽亡ゆかり:「諦めるのか?」
忽亡ゆかり:「覚悟を決めて、引けないと決めて、やったんじゃなかったのか?」
真城朔:「…………」

見学の水面:ゆかりさんの詰め、でもまあ必要だよね
見学の水面:禊ぎ的な……
乾咲フラン:そうなんだよな…
糸賀大亮:向き合わずにはいられないからな
見学の水面:ここでなんか流されずにちゃんとやってくれるのありがたいな
乾咲フラン:フランも飴を投げられず仁王立ちだよ
真城朔:ゆかりさんの優しさだよなコレ
真城朔:話を切り替えたの、かなり優しさ
乾咲フラン:やさしい
夜高ミツル:ほんとに……やさしい……

夜高ミツル:何よりも求めた人と敵対する──殺すこと。
夜高ミツル:真城にその道を選ばせたのは、自分だ。
糸賀大亮:「……」
真城朔:「……もう、できない」
真城朔:「できないことは」
真城朔:「望めない……」
忽亡ゆかり:「てことは、みんなは無駄死にか」
忽亡ゆかり:残酷な一言を突き付ける。
忽亡ゆかり:「何の役にも立たず、ただ意味もなく、殺されただけか」
忽亡ゆかり:今までしてきたことを。起こってきた事実を。
忽亡ゆかり:「最低だな」
真城朔:「…………」
真城朔:「……ごめん」
真城朔:「な、さい、……っ」
乾咲フラン:(忽亡クン……)表情を僅かに歪める――しかしゆかりを止めることはしなかった。
真城朔:他に言葉を見つけられないままに、ついに項垂れる。
忽亡ゆかり:「どれぐらい死んだんだろうな。これだけの規模で、誰が犠牲になったか。把握しきれてるか?」
真城朔:「ごめんなさい」
真城朔:「ごめんなさい、ごめん、なさ、……っ」
夜高ミツル:真城の手を、強く握る。
忽亡ゆかり:「誰かにとって一番大事な命が、君ひとりにとって大事な命のために間引かれた。何度も。何人も……」
真城朔:「ずっと諦められなくて、ごめんなさい」
忽亡ゆかり:「大切な人を失うことの辛さを知ってて、それが分かったうえで、それでも君はその不幸を他人に押し付け続けた」
真城朔:「生きてて、……っ」
忽亡ゆかり:「……つらかった。本当につらかった」
真城朔:「俺が、生きてて、望んだから」
忽亡ゆかり:「……お前のせいで、私は。私のっ、心も、体も、人生も、全部。全部めちゃくちゃになった……!」
真城朔:「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい――」
真城朔:顔を覆って、くずおれる。

真城朔:「生まれてきて、ごめんなさい……!」
真城朔:「俺が」
真城朔:「俺なんかが、いたから」
真城朔:「俺の――俺の、せいで、……っ」
夜高ミツル:「っ、真城……!」
夜高ミツル:「真城」
真城朔:首を振る。
真城朔:ミツルの手を振り解いて、離れる。
夜高ミツル:「真城っ!」
糸賀大亮:ゆかりの向こうには。
夜高ミツル:その手を再び掴んで。
糸賀大亮:何百人も、真城に同じことをされてきた人々がいる。
夜高ミツル:「……真城、俺は、お前が」
糸賀大亮:真城がやったことを知れば、ゆかりと同じように憎むものは大勢いるはずで。
糸賀大亮:だからそれがぶつけられるのは、早いか遅いかでしかない。
夜高ミツル:「お前がいてくれて」
夜高ミツル:「真城で、良かった」
真城朔:「茶番なんだよ!」
真城朔:ミツルに叫ぶ。
真城朔:「忽亡さんも、……糸賀さん、だって」
真城朔:「こんなの見せられて嬉しいはずないだろ!」
糸賀大亮:叫ぶ真城を見つめる。
真城朔:「俺が、……俺が死ななきゃ」
真城朔:「死ぬとこ、せめて、見せないと」
夜高ミツル:「……それは」
夜高ミツル:「違う、ダメだ」
糸賀大亮:「馬鹿にしているのか」
真城朔:「…………っ」
真城朔:大亮を振り返る。
糸賀大亮:「お前が死んで、今更償いにもけじめにもなるか」
糸賀大亮:「償いきれないから、償えないと言って、せめて死ぬなんて」
糸賀大亮:「そんなことで何かが何とかなると思ってるのか」
真城朔:「……なら、ない」
糸賀大亮:「何にも取り返しなんかつかないんだよ」
真城朔:「ならない、けど」一歩下がる。
糸賀大亮:一歩足を踏み込む。
糸賀大亮:「お前がやったことは、取り返しがつかない」
糸賀大亮:「お前が死んでも、誰も戻ってこない」
夜高ミツル:下がる真城の腕を掴んで、留める。
糸賀大亮:「…………忽亡さんが、お前に死ねと言ったか」
真城朔:「…………」
忽亡ゆかり:「……言ってないね」
糸賀大亮:「忽亡さんが死ねと言ったところで、俺のことは無視するのか」
真城朔:「……っ」
真城朔:「わか、……っ」
真城朔:「わか、らなく、て」
真城朔:「俺は」
真城朔:「俺は、あなたの仲間も、殺して」
真城朔:「殺したのに」
真城朔:「殺した、から」
真城朔:「だから、……それで、それを」
真城朔:「せめて惨たらしく殺されるのが」
真城朔:「俺は、……俺には、それしかなくて」
真城朔:「でも、違って」
真城朔:「じゃあ――じゃあ」
真城朔:顔を覆う。
真城朔:「…………っ」
真城朔:「わからない」
真城朔:「どうしたらいいか、わからない」
真城朔:「ごめんなさい」
糸賀大亮:「分からないのは当然だ」
真城朔:「――え」
糸賀大亮:「人生を懸けてきた願いを寸前で取り上げられて」
糸賀大亮:「吸血鬼になった母親が蘇って」
糸賀大亮:「自分の手には償えない罪がある」
真城朔:「…………」呆然と大亮を見ている。
糸賀大亮:「……誰も、そんな目には遭ってない」
糸賀大亮:「そんなことをしたやつも他にはいないんだから」
真城朔:その言葉を聞いている。
糸賀大亮:「確かにどうすればいいかなんて分かる奴なんて誰もいない」
糸賀大亮:「…………」
糸賀大亮:「お前は今、フォゲットミーノットと敵対するという選択をとりかけたが」
糸賀大亮:「それだって正しいのかは俺には分からない」
糸賀大亮:「……母親だろう」
真城朔:「……でも」
真城朔:「俺が化け物に、した人だ……」
糸賀大亮:「夜高は、お前にどうしたいか聞いただろう」
糸賀大亮:「どうすべきじゃなく」
真城朔:「どう……」
糸賀大亮:「……お前がフォゲットミーノットにつくなら、俺たちはお前を殺すだろうが」
糸賀大亮:恫喝でもなく言って、かぶりを振った。
真城朔:ミツルに目を向ける。
真城朔:殺すだろう。
夜高ミツル:「……俺は、俺が」
真城朔:その響きが帯びるのは、
真城朔:真城にとっては恫喝よりも、むしろ。
真城朔:今だって。
真城朔:この手を取られていても、なお。
夜高ミツル:「真城を選んで、だから、あの人は吸血鬼として……」
夜高ミツル:「蘇った、から」
糸賀大亮:「…………」
夜高ミツル:「だから、俺はあの人がこれ以上、人を殺したり……そうなる前に」
夜高ミツル:「倒したいと思ってる」
夜高ミツル:「……お前は」
夜高ミツル:「お前はどうしたいんだ」
真城朔:「…………」
真城朔:視線を彷徨わせて、フランを見た。
真城朔:金色に輝く瞳はけれど、
真城朔:子供の時とそっくり同じ眼差しをしていた。

真城朔:ミツルくんから詰められる(※詰められてない)とフランさんに頼る
真城朔:マジで詰められてない。
夜高ミツル:き、聞いただけ……
真城朔:詰められてないんだよな……
糸賀大亮:詰められると弱い女児
糸賀大亮:(詰められてない)
真城朔:こういうところで頼りの優先順位出すのもかなり最悪だな。
乾咲フラン:フフッ
糸賀大亮:でも頼るとなるとまあそう言うの出ちゃうよな
真城朔:まずミツルくん! ミツルくんがダメならフランさん!
真城朔:最悪

乾咲フラン:「……」じっとその目を見た。
乾咲フラン:……ゆかりと大亮のように、真城が敵でもない自分は何も言えないでいた。ただずっと、甘い言葉だけを真城に投げ続けていた。
乾咲フラン:(……これでは頼られないのも、当然だったのかもしれない。)
乾咲フラン:「……真城、私は彼女…………FMNを倒すよ。」
真城朔:「…………」
乾咲フラン:「……真城、今すぐ判断しろと言うのは難しいかもしれない。でも、それでも……君がどうしたいかは、君が決めるんだ。」
真城朔:「……それ、で」
真城朔:「それが」
真城朔:「死にたい、っていうのでも……?」
乾咲フラン:「……そう決めたなら、そうしてもいい……でも私や夜高クンが、止める。」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「……ああ」
夜高ミツル:「止めるよ」
真城朔:「……俺」
真城朔:でも、と掠れ声。
乾咲フラン:「君が生きたいと思えなくても……私は。」もしかしたら、少しでも真城にとって得るものがある未来に期待している――しかし、誰かと過ごすはずだった未来を奪われた人々。それこそゆかりや大亮の事を思えば、余りにも独りよがりな続く思いを口にすることはできなかった。
夜高ミツル:「……お前が、したいと思ったことに対して」
夜高ミツル:「俺たちがどう思って、何をするか、それは……」
夜高ミツル:「例えば、死にたいって言うことなら、俺は、やっぱり止めるし……」
夜高ミツル:「……もし、フォロワーとして立つんだったら、それも止める」
真城朔:「……俺は」
夜高ミツル:「それは、お前の決めたことと俺が決めたことが違うからで」
夜高ミツル:「……だから、もしかしたらお前がしたいことを」
夜高ミツル:「反対するかもしれないし、止めるかもしれないけど」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「教えてくれないか、どうしたいか」
真城朔:「……俺」
真城朔:「俺が、したいと思うようなことは、……」
真城朔:「俺は、そういうの、駄目で」
真城朔:「あの人を」
真城朔:「蘇らせる以外は、俺は、だって」
真城朔:「許されないことをしてるんだから、それ以外許されるのは、ダメで」
真城朔:「ずっと」
真城朔:「ずっと、そうで……」
夜高ミツル:「……そんなことは、俺たちは誰も言ってないだろ」
夜高ミツル:「どうしたいんだ、真城」
真城朔:逡巡に瞳が揺れる。
真城朔:「俺は」
真城朔:「あの人が」
真城朔:「あの人を化け物にしてしまったのが、嫌だった……」
夜高ミツル:「……」続きを促すように、じっと真城を見る。
真城朔:「俺のせいでああなったのに」
真城朔:「俺のために、吸血鬼になったのに」
真城朔:「俺は」
真城朔:「それが、嫌で」
真城朔:「だから」
真城朔:「全部、なかったことにしたくて」
真城朔:「しようとして」
真城朔:それで、と、俯く。
夜高ミツル:「……ああ」
夜高ミツル:「…………俺が、それを取り上げた」
真城朔:「…………」
真城朔:しばしの沈黙ののちに。
真城朔:「……忽亡さんに言われたことには、答えられなくて」
真城朔:「糸賀さんが分からないって言ったって、俺は分からなきゃダメなんだと思うし」
真城朔:「乾咲さんみたいに、ちゃんと決断することも、できなくて」
真城朔:「……俺」
真城朔:ミツルに握られた手が、
真城朔:その指に、かすかに力が籠もる。
夜高ミツル:「……なんでも、すぐに答え出せたりなんかしねえだろ」
夜高ミツル:「……少なくとも、俺は、できない」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:その指先を、握り返して。
夜高ミツル:「もしかしたら、答えなんか見つからないかもしれなくて」
夜高ミツル:「でも」
夜高ミツル:「生きてないと、分かろうとだってできない」
夜高ミツル:「……お前が今、何も分からなくて」
夜高ミツル:「何もできない、したくないってなら」
夜高ミツル:「それも、一つの選択だと思う」
夜高ミツル:「……どうしたい?」
夜高ミツル:問いを、繰り返す。
夜高ミツル:「……俺が、決めてやることもできるけど」
夜高ミツル:「それは、違う」
真城朔:繰り返される問いに、
真城朔:唇を震わした。
夜高ミツル:「良くないと、思うから」
夜高ミツル:「真城は、どうしたいんだ」
真城朔:噛み締められて血の滲む唇が、ゆっくりと動く。
真城朔:「俺は」
真城朔:「……俺、は」
夜高ミツル:静かに、その答えを待つ。
真城朔:「あの人を、止めたい……」
夜高ミツル:「……分かった」
真城朔:「あの夜に」
真城朔:「止められなくて」
真城朔:「終わらせられも、しなくて」
夜高ミツル:「ああ」
真城朔:「俺の、……俺のせいで、蘇った、あの人を」
夜高ミツル:「止めよう」
真城朔:「俺は――」
真城朔:頬の血を涙で流しながら、俯く。
真城朔:ミツルの言葉に何度も頷きながら、
真城朔:大亮と、フランと、ゆかりを見る。
真城朔:「……だか、ら」
真城朔:「ごめんなさい」
真城朔:「協力、してください」
真城朔:「俺のせいで」
真城朔:「俺のせいで失ったあなたたちに」
真城朔:「俺は、めちゃくちゃな無理を、言うけど――っ」
真城朔:涙を零して、しゃくりあげながら、
真城朔:「――ごめんなさい」
真城朔:「お願いします、ごめんなさい、お願いします……」
忽亡ゆかり:「…………」
忽亡ゆかり:睨みつける。
忽亡ゆかり:「仇と、共闘しろって?」
真城朔:膝を折って、
真城朔:花畑の中に這い蹲る。
真城朔:動かない片腕を地につきながら、
真城朔:「許さなくていい、から」
夜高ミツル:「……俺からも、お願いします」頭を下げる。
忽亡ゆかり:目を鋭くして睨んだ。睨まずにはいられなかった。
忽亡ゆかり:いや……睨まなければいけなかった。
忽亡ゆかり:本当は。
真城朔:「許しちゃ、だめで」
忽亡ゆかり:あろうことか自分は、目の前の仇敵に、共感を覚えてしまっている。
真城朔:「だめ、なのに、……っ」
忽亡ゆかり:自分も彼も、一番大事な人のためならば禁忌を犯せる程度には悪人で、けれどその罪に苛まれて苦しむような、弱く中途半端な生き物だ。
忽亡ゆかり:責任感と罪悪感がないまぜになって、重圧となって責め立てる。
忽亡ゆかり:慙愧の念が強すぎるからこそ、責任から逃れて安直な死を求めてしまう。
忽亡ゆかり:そんな残った人の心が、それがあったがゆえに、だからこそより一層引けなくなって、余計に傷口を広げていく。
忽亡ゆかり:心が邪魔をして、矛盾した行動をとったり、決断を鈍らせたりする。
忽亡ゆかり:愚かだ。
真城朔:「ごめんなさい、ごめんなさい……っ」

忽亡ゆかり:これは、鏡だ。
忽亡ゆかり:ありえた自分の姿だ。
忽亡ゆかり:自分がこうならなかったのは、真実を見つめられないほど愚かで、それを実現する力がなくて、自分のかわりに罪を被って死んでくれる魔女がいたからに過ぎない。
忽亡ゆかり:自分はただ、彼よりも弱く卑怯だったがゆえに、こうしてこちら側に立っている。
忽亡ゆかり:もし、彼のように強かったら、自分は弟のために何をしていたか。
忽亡ゆかり:考えるまでもない。
忽亡ゆかり:本当は、この少年の気持ちは、痛いほどよくわかる。
忽亡ゆかり:──だって、たった一人残った家族だもんな。
忽亡ゆかり:一緒に生きてきた片割れだ。
忽亡ゆかり:自分が無条件に信じられて、すべてをその人のために捧げられるような、そんな存在だ。
忽亡ゆかり:壊れた自分が、まともに戻るために必要なオアシスだった。
忽亡ゆかり:わかる。大事だ。生き返らせたいに決まってる。
忽亡ゆかり:自分には、それがわかる。共感できる。
忽亡ゆかり:でも。だから。
忽亡ゆかり:だからこそ絶対に、優しい言葉はかけてやるもんか。
忽亡ゆかり:自分は「やってない」。彼は「やった」。
忽亡ゆかり:それが最も重要なことで、それこそが罪というものなんだから。

乾咲フラン:ゆかりさん・・・・・・・・・・
夜高ミツル:怒涛の忽亡わかりが……
糸賀大亮:ゆかりさん~
真城朔:”””溜め”””の一撃
糸賀大亮:溜めて溜めてのこれ
真城朔:プロの””””””溜め””””””
乾咲フラン:デッケエよ
乾咲フラン:もう具体的なことは言えませんが"""デカい"""

忽亡ゆかり:「……君とは、もう関わりたくないけど」
忽亡ゆかり:「いいよ。命を使って償う気があるんなら、せめて私たちにとって有意義な使い方をしてくれ」
忽亡ゆかり:「私は、生きて帰って、もう一度弟に会いたいんだ」
真城朔:「……!」
真城朔:顔をあげて、
真城朔:涙に濡れた顔で、言葉のないままに、頷く。
真城朔:「ありがとう、ございます……」
真城朔:遅れてどうにか、謝辞を述べた。
糸賀大亮:ゆかりの言葉に、こっそりと息を吐き出している。
糸賀大亮:「……俺に断る理由はない」
真城朔:大亮を見る。
糸賀大亮:「ただし、きちんと一緒に行動してもらう」
糸賀大亮:「前のように単独行動はなしだ。……狩人って言うのは」
糸賀大亮:「本当は群れるものだ」
真城朔:「…………」
真城朔:「……はい」
真城朔:なにか、覚悟を決めたように頷いた。
糸賀大亮:この真城が、仲間を失った光景を。
糸賀大亮:その仲間の前で傷つけられたばかりか、生きていた仲間を殺すさまを俺は見ている。
糸賀大亮:……母親を生き返らせるためにやっていたことを差し引いても、狩人仲間をできるだけ遠ざけるのは当然で。
糸賀大亮:だからこそ。
糸賀大亮:「俺は、一緒に狩りに参加する狩人を失うのはごめんだからな」
乾咲フラン:「……そうだな。」
真城朔:「…………」
真城朔:大亮のその言葉が真城にとってどういう意味を持つかは、言うまでもない。
真城朔:フランへと視線を向いた。
乾咲フラン:「マシロ……ありがとう。君の選択を……喜ばしく思う。」
真城朔:「乾咲さん……」
真城朔:昔からずっと、そのように呼ばれていた。
真城朔:そうでなくなったのは五年前の事件より後、
真城朔:真城が身を寄せていたフランの家を、出てからのこと。
乾咲フラン:「私、乾咲フランは……真城朔、君と共闘する事を受け入れよう。マシロ……碧の息子だからではない、真城朔、君のために。」
真城朔:「……あの人と」
真城朔:「また、戦ってくれますか?」
乾咲フラン:「ああ、戦うよ。」――たとえその過程で心も体も引き裂かれようとも。
真城朔:「…………」
乾咲フラン:「一緒に、戦おう。……高校の時みたいに、一人にはさせないからな。」小さく笑ってみせてやる。
真城朔:俯くと同時、その唇が、なにがしかを紡ぎかけて、
真城朔:けれどそれを押し込めて、代わりに、ことばを吐く。
真城朔:「……お願い、します」
真城朔:俯くのではなく、また頭を垂れた。
フォゲットミーノット:地に蹲る真城の周囲を青い勿忘草の花が取り囲み、揺れている。
夜高ミツル:「……真城」
夜高ミツル:蹲る真城に、手を差し出す。
夜高ミツル:「一緒に」
夜高ミツル:「一緒に、止めよう」
真城朔:ミツルの声に顔をあげて、差し出された手を見つめる。
真城朔:その意味するものをも見つめながら、
真城朔:「……うん」
真城朔:けれど逸らさず、ミツルの手を取った。
真城朔:その手は震えている。
夜高ミツル:その手を掴む。
夜高ミツル:強く、強く掴んで
夜高ミツル:真城が立つのを助ける。
真城朔:立ち上がる。
真城朔:そうして立つ姿の満身創痍と、その細いさまが改めて浮き彫りになって、
真城朔:けれど、手をつないでいる。
夜高ミツル:「真城」
夜高ミツル:「……ありがとう」
真城朔:ぱちぱちと瞬く。
夜高ミツル:「……聞いてくれたから」
真城朔:ぼんやりと首を傾げて、ミツルを見ていた。
夜高ミツル:「俺は、約束を破ったのに、だから」
夜高ミツル:「……生きてくれて、ありがとう」
真城朔:「…………」
真城朔:「……ん」
真城朔:反応は薄い。
真城朔:薄いままに、それでも頷いて、笑った。

真城朔:手が触れている。
夜高ミツル:その笑顔を見て、やっと安心したように。
夜高ミツル:それから、仲間たちの方を見て。
夜高ミツル:「忽亡さん」
夜高ミツル:「糸賀さん」
夜高ミツル:「乾咲さん」
夜高ミツル:「真城と話す機会をくれて、待ってくれて」
夜高ミツル:「ありがとうございました」
夜高ミツル:深く、頭を下げた。
忽亡ゆかり:「ん」
真城朔:遅れて頭を下げる。ミツルに倣って。
忽亡ゆかり:「……これで、少しは恩返しができたかな」
糸賀大亮:「……ああ」
乾咲フラン:「きっと……」

夜高ミツル:これで大丈夫……かな!!
忽亡ゆかり:イェ~~
乾咲フラン:よくやった
糸賀大亮:ひー
夜高ミツル:ありがとうございます ほんとうに
夜高ミツル:ほんとに
夜高ミツル:ありがとう
糸賀大亮:ミツルくんがんばった
忽亡ゆかり:がんばった がんばったよ少年
忽亡ゆかり:すごいがんばった
夜高ミツル:ああ~~~~~
忽亡ゆかり:えらい……
夜高ミツル:ありがとう~~~~~
夜高ミツル:たすけてくれてありがとう
乾咲フラン:よく持ち直した。。。
夜高ミツル:昨日みんながメンタルを立て直してくれなかったらむりだった
糸賀大亮:メンタル立て直せてよかった
夜高ミツル:もう ほんとに ダメかとおもった
乾咲フラン:支え棒になれなくてすまなかったというきもちあります
忽亡ゆかり:まだ生還・贖罪・将来という課題が残っているぞ
夜高ミツル:人生だ……
乾咲フラン:人生…
糸賀大亮:人生だなあ

フォゲットミーノット:荒らされた花も、血に濡れた花弁も、元には戻らない。
フォゲットミーノット:それでも花畑は彼らを包み、見守っていた。
フォゲットミーノット:傷痕を残されても、世界はそこにある。
フォゲットミーノット:傷だらけの狩人たちが戦う世界は変わらずに進み、
フォゲットミーノット:この一夜の狩りも、世界にとってはちっぽけな出来事に過ぎない。
フォゲットミーノット:それでも狩人は過酷な戦いに身を投じる。
フォゲットミーノット:変わらぬ世界に自らの在り方を示すため、
フォゲットミーノット:変化を受け入れながらも、未来に向けて歩いていくために。

フォゲットミーノット:支配力:真城朔 1→0

フォゲットミーノット:支配力:真城朔が破壊されました。
忽亡ゆかり:削れろ耐久!
忽亡ゆかり:ゲッヘッヘ
夜高ミツル:削りました
糸賀大亮:やった~
夜高ミツル:もはや耐久削ってることも忘れてた
フォゲットミーノット:狩人は全体で使用できる激情を追加で3個獲得。
フォゲットミーノット:その他、NPC真城朔による特殊効果が使用可能になります。
フォゲットミーノット:そしてまた、これに関する追加ルールを開示します。

◆真城朔について:追加ルール
・激情を消費するあらゆる特殊効果を発動するたび、真城朔は3部位の部位ダメージを受ける
・真城朔の部位が全て破壊されると、ハンターの持つ「真城朔」を示す幸福が破壊される
・この際再起判定は要求しないが、背徳破壊による追加行動は発生する
・部位が全て破壊された状態でさらに特殊効果を発動すると、真城朔は死亡する

行動:忽亡ゆかり

GM:青い勿忘草の花畑の中で決断を下した狩人たちの前に、
フォゲットミーノット:フォゲットミーノットが姿を表す。
フォゲットミーノット:花畑の中、ごく近い距離。
フォゲットミーノット:もっと早くに気付いていて然るべき至近距離に、いつしかその吸血鬼は立っていた。

忽亡ゆかり:ナイフを構える。
フォゲットミーノット:夜風にヴェールと青い髪を靡かせて狩人たちを見ている。
フォゲットミーノット:狩人たちの中の、
フォゲットミーノット:真城朔を見ている。
フォゲットミーノット:「朔」
フォゲットミーノット:呼びかける。
糸賀大亮:杭を持ち、身構える。わずかに動作が遅れたのは、先程見た光景が頭にあったからかも知れない。
夜高ミツル:手放していた刀を拾い上げ、構え
夜高ミツル:隣から、呼びかけられた真城に視線をやる。
真城朔:その姿に呼びかけに、立ち尽くしていた真城朔が、
真城朔:一歩下がるのを踏み止まって、しかし視線を落とす。
真城朔:「…………」
真城朔:「……ごめん」
真城朔:「な、さい」
真城朔:掠れ掠れにそう告げて、杭を抜いた。
フォゲットミーノット:「…………」
乾咲フラン:「……」二人の様子をじっと見守っている――いつでも乱入できるように。
夜高ミツル:「……真城」
真城朔:「っ」
夜高ミツル:「あの人も、お前がどうしたいのか」
真城朔:肩を強張らせてミツルを見る。
夜高ミツル:「聞いてた、ように見えた」
真城朔:ぱちぱちと目を瞬いた。
夜高ミツル:「……さっきも、蘇った時も」
夜高ミツル:蘇った時も、フォゲットミーノットは「おいで」ではなく、「来る?」と尋ねていた。
夜高ミツル:「……だから」
夜高ミツル:「しんどいと、思うけど」
夜高ミツル:「どうしたいのか、言えば、いいんじゃないか」
真城朔:「…………」
真城朔:言葉をなくしたまま視線を彷徨わせて、恐る恐るにフォゲットミーノットを見る。
真城朔:同じ金色と目が合って、また息を呑んだ。
フォゲットミーノット:フォゲットミーノットはそこに微笑んでいる。
夜高ミツル:真城の背に、手を回す。
夜高ミツル:ごく軽く、背中を叩く。先にもしたように。
真城朔:ミツルの手が背中に触れた瞬間、
真城朔:ほんの少し、呼気を吐いた。
真城朔:一歩前に出て、フォゲットミーノットに相対する。
真城朔:「……俺」
真城朔:「俺、は」
真城朔:声は絞り出すように、
真城朔:それを掻き消さぬよう吐息は押し殺して、
真城朔:舞い散る花弁の中、告げる。
真城朔:「あなたを止めたい」
フォゲットミーノット:「…………」
真城朔:「止めて」
夜高ミツル:前に出た真城を、決意を告げる様子を見守る。
真城朔:「止めて、もう、これ以上」
真城朔:「これ以上、……っ」
真城朔:途中、涙に声が詰まった。
真城朔:花畑に雫を落として、
真城朔:「これ以上、もう」
真城朔:「だれも、ころさないでください――」
真城朔:懇願に音が上擦って、外れる。
フォゲットミーノット:「…………」
フォゲットミーノット:「私は」
フォゲットミーノット:「朔」
フォゲットミーノット:「あなたの幸せになる、道をとるわ」
真城朔:「……!」
フォゲットミーノット:「だから」
フォゲットミーノット:「だから、ね」
フォゲットミーノット:フォゲットミーノットは、それを最後に狩人たちに背を向けた。
フォゲットミーノット:白いドレスを風にゆるくはためかせながら、花畑を進む。
フォゲットミーノット:――青い花弁の舞う中に、その姿が少しずつ、薄れていく。
フォゲットミーノット:狩人であれば。狩人なのだから。
フォゲットミーノット:これを、逃すわけにはいかないだろう。
忽亡ゆかり:その背中を見た瞬間には、すでに駆け出していた。青い花びらに紛れた白いドレスへと、銀の切っ先を向けて。

忽亡ゆかり:狩猟 日常を狙います
真城朔:はい。

真城朔:真城朔もまた、杭を片手にそれに追随する。
真城朔:満身創痍のままに花畑を駆けていく、
フォゲットミーノット:しかしフォゲットミーノットの姿が、遠い。
フォゲットミーノット:ゆかりの向けたナイフも、
フォゲットミーノット:あと少しで届く距離であったはずなのに、瞬きの間に遠ざかっている。
フォゲットミーノット:長い花畑の向こう側にフォゲットミーノットの背中がある。
フォゲットミーノット:それに追いすがっていると。

真城碧:『……朔』
真城碧:声がする。花畑の中に。
真城碧:フォゲットミーノットと同じ、
真城碧:違う声が、ゆかりの耳に届く。
真城碧:『あのね』
真城碧:『私、他のお母さんから聞いたんだけど』
忽亡ゆかり:「!」声の出所を目で追う。
真城朔:あのアパートの部屋で気まずそうにしている幼い真城に、碧が語りかけている。
真城碧:『授業参観』
真城碧:『あったの?』
真城朔:『…………』
真城碧:肯定も否定もしない代わりに視線を泳がせた幼い朔に、小さく息をつく。
真城碧:『見たかったなー』
真城碧:『行きたかったなー』
真城碧:『うーん』
真城碧:首をひねっている。
真城碧:『……ダメだった?』
真城碧:首を傾げて、あくまでも柔らかい声のまま訊いてみせる。
真城朔:『……ダメ』
真城朔:『じゃ、ないけど』
真城朔:『…………』
真城朔:俯いてしまっている。
真城碧:碧はその朔をじっと見下ろしていたが、やがてまたひとつ、息をついた。
真城碧:微笑んでみせる。
真城碧:手を伸ばすと、その身体を引き寄せた。
真城朔:『……!』
真城碧:抱き込む。
真城碧:背中に腕を回して、頭を撫でてやる。
真城碧:『……ねえ』
真城碧:『お母さん、朔のこと、ちゃんと見ていたいわ』
真城朔:『…………』
真城朔:なすがままに母の胸に顔を埋めて黙り込んでいる。
真城碧:『それだけ』
真城碧:『それだけのことなんだからね』
真城碧:『そりゃあ』
真城碧:『朔が嫌なら、ちょっとは考えますけど』
真城碧:『隠さないで、ちゃんと教えてほしいな』
真城朔:『…………』
真城朔:碧の胸に顔を埋めたまま、小さく頷く。
真城碧:『……大丈夫』
真城碧:『大丈夫だからね』
真城碧:『余計な心配なんて、しなくてもいいんだから――』
真城碧:語りかける声は母のそれ、
真城碧:たった一人の、家族を案ずる女の声。
真城碧:何よりも大切なものに語り掛ける者の、
真城碧:惜しみなく深く、愛情を込めた穏やかな声。
フォゲットミーノット:その断片が花畑の中に散る。
フォゲットミーノット:幻となって狩人にまとわりついて、
フォゲットミーノット:やがてその核の、一輪の勿忘草が見えてくる。
フォゲットミーノット:白い勿忘草。
フォゲットミーノット:淡く光るその花には、特別の力が眠っている。
忽亡ゆかり:届かない白い背中は、とうに消えていた。
忽亡ゆかり:アパートの一室。異物となった自分が、まぶたの裏に残った家族の時間を見つめている。
忽亡ゆかり:ふと、自分の中で、別の景色が重なった。
忽亡ゆかり:仲睦まじい両親、取り残された弟。
忽亡ゆかり:父と母は、まるで子供などいないかのように、家の中で、二人の時間を過ごしていた。
忽亡ゆかり:決して恵まれた家庭ではなかった。
忽亡ゆかり:親とは呼べないような人たちだった。
忽亡ゆかり:でも、だからといって、
忽亡ゆかり:死に値するような罪人では、なかったように思う。
忽亡ゆかり:日常の風景は、ある日突然、理不尽な力によって奪われたのだ。
フォゲットミーノット:白い花が揺れている。
忽亡ゆかり:「……嫌な……因果だな」
忽亡ゆかり:母子の姿を重ね合わせ、脳裏から消えない、日常の、家庭の景色を見つめ。
忽亡ゆかり:それを破壊するような気持ちで、白い花へとナイフを。
フォゲットミーノット:では、判定を。

忽亡ゆかり:2D6+2>=7 (判定:蹴る)
BloodMoon : (2D6+2>=7) → 8[4,4]+2 → 10 → 成功

フォゲットミーノット:常識はなしですね。

フォゲットミーノット:支配力:家族への暮らし 強度3→2

フォゲットミーノット:ナイフにその花があっけなく散る。
フォゲットミーノット:白い花弁を散らして霧散したその瞬間、
フォゲットミーノット:フォゲットミーノットの姿が、狩人たちのすぐ近くに戻っている。

夜高ミツル:この回想って全員見えてるの?
真城朔:見えてていいかな
真城朔:ゆかりさんが一番近くで。
糸賀大亮:見えていた
夜高ミツル:見えてた
乾咲フラン:見てた
忽亡ゆかり:特等席~

真城朔:真城朔が。
真城朔:晴らされた幻から飛び出して、ゆかりをも追い抜いて、
真城朔:片手に握りしめた杭で、フォゲットミーノットの、その胸を穿つ。
フォゲットミーノット:血の流れることはなかった。
フォゲットミーノット:代わりに肉の灼ける音が響く。
フォゲットミーノット:しかしフォゲットミーノットは苦痛を顔には出さず、
フォゲットミーノット:胸を開いて真城の一撃を受け入れると、
フォゲットミーノット:にっこりと笑みを浮かべて、自分の息子を見つめ返した。
フォゲットミーノット:そして花と化す。
フォゲットミーノット:ぱっと全身を青い勿忘草の花へとかえて、
フォゲットミーノット:あっさりとその場から姿を消した。
夜高ミツル:追って一撃を加えようとした刀が空を斬り、花を散らす。
真城朔:真城は杭で吸血鬼を穿った姿勢のまま、立ち尽くしている。
糸賀大亮:「……」沈黙したまま、辺りを見回すが、消えた姿がすぐどこかに見つけられるわけでもなく。
夜高ミツル:花となって消えたその姿が周囲にないのを確認して、刀を下ろす。
夜高ミツル:「……真城」
夜高ミツル:「……大丈夫か」
真城朔:「…………」
真城朔:「だい、じょうぶ」
真城朔:「決めたことだから……」
真城朔:覇気のない声だが、はっきりとそう返した。
夜高ミツル:「…………」じっと真城を見て。
夜高ミツル:「……ん」
夜高ミツル:頷いて、それから肩に手を置く。
夜高ミツル:「言えたな」
夜高ミツル:「したいこと」
真城朔:小さく頷く。
真城朔:その横顔に達成感のような清々しさはない。
乾咲フラン:「……」遠くからその様子を、痛ましげに見つめていた。
夜高ミツル:つらくないはずがない。相手は母親で、何をおいても求めた相手で。
夜高ミツル:それでもやりたいと、やると決めたことの背中を押すことしか、今はできない。
忽亡ゆかり:「したいこと……か」
忽亡ゆかり:口を開いて、しかし噤む。
忽亡ゆかり:強いな、と思った。
忽亡ゆかり:ここまで来て、あとに引くという選択を選べたことも。
忽亡ゆかり:化け物にしたくないという一心で、家族の体に武器を向けたことも。
忽亡ゆかり:それを「したいこと」と言い切れたことも。
忽亡ゆかり:かけがえのない日常を、過去を、思い出を、破壊する。もう戻らないように。
忽亡ゆかり:それを自らの手で下すのはどれほどの重荷か。
忽亡ゆかり:横目でフランを見て、ミツルを見て、花びらの跡を見つめて。
忽亡ゆかり:「……少しは効いたかな。続けていこうか」
忽亡ゆかり:口から出てくるのは、そんな言葉だけだった。

行動:乾咲フラン

GM:さて、どうしましょうか。
乾咲フラン:調達をね やっていこうと思うんですが
忽亡ゆかり:ユーチューバーか?
夜高ミツル:真城の手当ついでにとか
乾咲フラン:はいどーもー!美なんですけど~
糸賀大亮:美配信だめ
GM:美Tuber
乾咲フラン:一般狩人なら近くのビルを漁るけど美麗派だからしないんだよな また家の美品置き場か
GM:まあメイド出払っただけで別に入れなくなってはいないだろうからね
乾咲フラン:うnうn
糸賀大亮:持ち出しきれない物をみんなで回収しに来る
GM:いつものフラン邸!
乾咲フラン:美しいからデカいかばんでこない

GM:というわけで、フラン邸ですか。
GM:美メイドは出てきません。今日は。
乾咲フラン:がらんとしています
GM:美しい乾咲邸は美しいままに、夜の闇に沈黙している。
真城朔:真城が歩くと血の痕が残る。それを掃除する者もない。
乾咲フラン:柔らかい芝生を踏みしめて、離れの倉庫に向かいましょう。
夜高ミツル:夜闇に沈む屋敷を横目に、フランの後ろをついていく。
乾咲フラン:「使いそうなものは粗方この倉庫に集めておいた。必要そうな物を持っていってくれたまえ」
糸賀大亮:「……手分けして使えそうなものを探すか」と言いつつ、振るのはフランさんなのだが。
真城朔:「……ん」
乾咲フラン:「あと、ついでと言ってはなんだけど……真城の応急処置もしたいんだが。」
真城朔:「?」
真城朔:きょとんと目を瞬いた。
夜高ミツル:「そうですね……」
真城朔:「……俺は」
真城朔:「これくらい……」
真城朔:ぼそぼそと。
夜高ミツル:「いや、なんで『え?』みたいな顔してんだ」
乾咲フラン:「いくら真城が丈夫だからってな、出血のしすぎは……健康に悪いぞ」言い含めるように。
真城朔:困ったような顔をする。
夜高ミツル:……致命傷こそ避けたものの、無力化を狙って斬った。
夜高ミツル:大丈夫なはずがない。
真城朔:今もぽたぽたと血を落としているが、平気そうな顔をしている。
夜高ミツル:「おとなしく手当されろ」
真城朔:一方で右腕は力なく垂れている。血に濡れたシャツの、貫かれた脇腹の部分は乾く気配もなく。
真城朔:「…………」
真城朔:「……俺、…………」
真城朔:なにがしか言いかけてから、ミツルを見て、
真城朔:結局俯いてしまった。血で汚れる倉庫の床を見ている。
夜高ミツル:「? どうした?」
真城朔:「…………」
真城朔:居心地の悪そうな顔をしている。
夜高ミツル:「……大丈夫だから」
夜高ミツル:「言ってみろよ」
夜高ミツル:極力やわらかく聞こえるよう意識して、促す。
真城朔:「……その」
真城朔:ぼそぼそと、それこそ蚊の鳴くような声。
真城朔:夜の倉庫の静けさに助けられて、やっと聴き取れるような。
真城朔:「手当て、とかより、……」
夜高ミツル:「……あー」思い当たるのは、5月の件のこと。
真城朔:「…………」
真城朔:首を縮めている。
真城朔:言ってしまったことを後悔する色が表情に滲んでいる。
夜高ミツル:「……ん、そうだな」
夜高ミツル:「よ、し」
乾咲フラン:何かを察して二人に背を向けて物を探している。
夜高ミツル:……プルサティラの話を思い出したりしつつ。
夜高ミツル:「…………」妙に緊張してくる。
夜高ミツル:前のときは、何もかもいきなりだったし。
夜高ミツル:シャツの上の方のボタンを外して、首周りを緩める。
真城朔:落ち着かない様子で視線をうろうろと彷徨わせている。
夜高ミツル:こっちも当然落ち着かないのだが、極力、極力それを抑えて。
夜高ミツル:「…………これ、で」
夜高ミツル:「いいか」

真城朔:これ今フランさん以外いるんですか?
真城朔:全員……いるんですか?
夜高ミツル:いっひひひ
真城朔:他の部屋とかちょっと見えないところに行ってたりします?
乾咲フラン:2階とかあるかもしれませんね(急に生える2階)
夜高ミツル:家がでかいと当然倉庫もでかい

乾咲フラン:「そういえば2階に秘蔵のモノがあるので取ってくるよ。」スッ……とした声
真城朔:やさしさ
糸賀大亮:誰も見てないよ。きっと誰も見ていない。
真城朔:フランさんがそっと優しさを発揮したので逆になおさら居心地が悪そうになっています。
真城朔:「…………」
真城朔:ミツルには小さな首肯を返すが。
乾咲フラン:大亮さんの興奮剤を譲渡してもらいます
糸賀大亮:渡します
真城朔:2つですね
糸賀大亮:興奮剤を渡して二階に上がっていくフランを怪訝な顔で見送ります。
夜高ミツル:気を使われたな……と……思っている……。
夜高ミツル:なんか棚とかで仕切られてていい感じに死角なんじゃないでしょうか
真城朔:それってますます……
真城朔:いや
真城朔:はい
真城朔:ではそういった棚の影で。
真城朔:そっとミツルの肩に手を掛ける。
夜高ミツル:「…………」
乾咲フラン:ミツルからギリギリ見える棚に鉄分が取れるドリンクを置いておきながら優雅に去ります
夜高ミツル:緊張した面持ちで、じっとそれを迎える。
夜高ミツル:気遣い~!

真城朔:セックス前に判定する?
真城朔:したあとにふる?
乾咲フラン:しながらでもいいですよ(最低か?)
真城朔:じゃあなんかいい感じで
糸賀大亮:最中判定
乾咲フラン:判定がどうなってもセックスは起きるため

乾咲フラン:遺物 鎮静剤*2 護符*3 興奮剤*2 骨を調達します -9? そして興奮剤を使用します
乾咲フラン:あと大亮さんの興奮剤は2個せしめます(自己へのリマインド)
真城朔:幾度も逡巡を窺わせながらも露わになったミツルの首筋に唇を寄せて、
真城朔:大きく、口を開く。
夜高ミツル:それを、受け入れる。
真城朔:ミツルの肌を、牙が突き破る。
真城朔:皮膚に唇が触れる。溢れた血を啜る、濡れて温かい舌の感触が。
夜高ミツル:その感触に、思わず身体を震わせる。

糸賀大亮:セックスとフランさんの宣言が交互に挟まるのすげえ面白い
夜高ミツル:臨場感あるなあ
乾咲フラン:判定はなんでもいいんでしたっけ?耐えるでいい?
乾咲フラン:この状況を…
糸賀大亮:そんな
真城朔:かわいそう

乾咲フラン:美麗派の秘蔵アイテムを取り出しながら、階下で起こっている事や自分の人生に思いを馳せたり馳せなかったりします。

乾咲フラン:2D6-9+5>=5 (判定:耐える)
BloodMoon : (2D6-9+5>=5) → 11[5,6]-9+5 → 7 → 成功

夜高ミツル:耐えた……
乾咲フラン:メチャクチャ耐えるじゃん…
真城朔:かわいそう……

真城朔:めちゃくちゃ耐えてる
乾咲フラン:メチャクチャ笑える
真城朔:こんなことある?
夜高ミツル:めっちゃ笑ってしまった(ごめん……)
忽亡ゆかり:さすがだわ~~~~
糸賀大亮:無理
糸賀大亮:いや、最高の結果
乾咲フラン:PLもメチャクチャ噴いたよ
糸賀大亮:フランさんの耐え忍ぶ力が出てしまったな
乾咲フラン:メチャクチャ面白い(メチャクチャ面白い)
糸賀大亮:これも文脈かあ
真城朔:文脈でよくなる出目にしては惨めが過ぎるでしょ……
糸賀大亮:そういう時に限ってみたいなのあるし…
真城朔:NTRに耐えてきた男!
乾咲フラン:やっぱり腕ぐらい貰っておいてよかったんじゃないですか?(PLの感想)
真城朔:私も良かったと思うんですけど……
糸賀大亮:めちゃくちゃだよ
乾咲フラン:人生

乾咲フラン:魔女の遺物を取り出して月光に翳し、美しさを味わったりしながら耐えました。
真城朔:広い倉庫に血を啜る水音が否応なしに響く。
真城朔:肉に牙が食い込む痛みと、
夜高ミツル:前に血を吸われたときは、痛みとか、状況への混乱とか。
夜高ミツル:そちらの方が先走っていて。
夜高ミツル:……今は、
真城朔:触れた唇に血を啜られる虚脱感と、
夜高ミツル:その牙や舌の感触が
夜高ミツル:それらが血を啜る音が
夜高ミツル:かつてよりも、はっきりと分かる。
真城朔:時折漏れる小さな吐息がミツルの肌を冷やして、
真城朔:それをまた温める唇の熱が触れる。
真城朔:身体が触れている。
真城朔:縋るような体重がミツルの肩に、胸にかかっている。
夜高ミツル:目を閉じ、じっと、真城のなすがままに身体を委ねている。
真城朔:あのときの、引き込まれるような陶酔感が、蘇る。
乾咲フラン:遺物やらを持って1Fに戻り、二人の見えない位置にある机に並べたりしています……
夜高ミツル:「…………、」その感覚に耐えるように、時折眉根を寄せて。
真城朔:それが、
真城朔:どれほどの時間であったかは分からない。
真城朔:長かったような気も、一瞬であったような気もする。
真城朔:やがてゆっくりと真城の唇が離れる。
真城朔:食い込む牙の硬さと、触れる肉の濡れた温かさが、ミツルから離れていく。
夜高ミツル:それが、どこか名残惜しいような気がして。
夜高ミツル:『──学校で、さっくんから血を吸われたとき』
夜高ミツル:『ミツルさん、さっくんのこと好きになっちゃってるんだよ』
真城朔:体を離す。手を放す。
夜高ミツル:どうしても、それを
夜高ミツル:意識せずにはいられないが。
真城朔:ミツルを見ていられなくて、視線を落としている。
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「……あー」
夜高ミツル:気まずそうに
真城朔:血の残った唇の端に舌を這わすと、左腕で唇を拭った。
乾咲フラン:「よし分配しようか。」倉庫が完全に静かにならないようにガサゴソと机の上でアイテムを並べている。
夜高ミツル:何というべきか悩んだりして
真城朔:「…………」
真城朔:「……ごめん」
夜高ミツル:「……いや」
夜高ミツル:「大丈夫」
真城朔:右腕はまだ力なく垂れている。
夜高ミツル:ぎこちなく笑ってみせる。
真城朔:顔を俯けて、ちらりと視線だけをミツルに向けたけど、すぐにそれを逸らしてしまう。
夜高ミツル:「……大丈夫だから」
夜高ミツル:「いつでも、ほしいときは言ってくれ」
真城朔:「…………」
真城朔:黙り込んだ末に、小さく頷いた。

真城朔:事後の空気感
真城朔:事後だよな……
糸賀大亮:事後なんだよな
乾咲フラン:セックスの横でアイテム分配決めるか
真城朔:ひひひひ
乾咲フラン:終わったらメインに書く感じで…
夜高ミツル:人のシーンでセックスしてすまない……
忽亡ゆかり:しかもよりによってフランさんのシーンなんだよな
乾咲フラン:激烈惨めで爆笑してる
糸賀大亮:フランさん……

夜高ミツル:それから、だらりと垂れた右腕に目を移して、眉をひそめる。
夜高ミツル:「……腕」
真城朔:「……あ、と」
真城朔:右肩を押さえて、
真城朔:「ちょっと、時間がかかるだけだから……」
真城朔:「あのときは」
真城朔:「……その」
真城朔:「グラジオラスは、吸血鬼だったから、……」
真城朔:俯きがちにぽつぽつと。
夜高ミツル:「……ああ」
夜高ミツル:なるほど、と、頷いて。
夜高ミツル:「治るなら」
夜高ミツル:「よかった」
夜高ミツル:「いや……」
真城朔:「…………」こくりと頷く。
夜高ミツル:「俺がやったのに、なんか、こういうこと言うのも……」
夜高ミツル:その右肩を裂いたのも、脇腹を貫いたのも、紛れもなく自分の刃で。
真城朔:「……っていうか」
真城朔:「俺も、やってるし……」
夜高ミツル:「あー、まあ……」
夜高ミツル:「そうだな……」
真城朔:「…………」
真城朔:「なあ」
真城朔:「大丈夫、か?」
夜高ミツル:「……ん?」
夜高ミツル:「あ」
夜高ミツル:「あー……」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:問われると、ぐるぐると考えを巡らせる。
夜高ミツル:自分では大丈夫な気がしてるけど、どうなのだろう。
真城朔:俯いたまま、ほろほろと涙を流し始める。
夜高ミツル:こういう場合、主観はあてになるのだろうか。
夜高ミツル:などと即答できないでいる内に、泣き始めた真城を見て。
夜高ミツル:「……大丈夫だ!」
夜高ミツル:「大丈夫、だから」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:「自分では、特に、なんか」
夜高ミツル:「なんもない、と思う」
真城朔:「……でも」
夜高ミツル:もちろん、血を失った虚脱感はあるが。
真城朔:「違う」
真城朔:「そうじゃなく、て」
真城朔:首を振る。
真城朔:「俺が、ミツを」
真城朔:「殺しかけたから……」
夜高ミツル:「え?」
真城朔:「怪我……」
真城朔:「…………」
夜高ミツル:言われて、やっと思い当たる。
夜高ミツル:「……今更」
夜高ミツル:「そんなん、大丈夫に決まってんだろ」
夜高ミツル:今度は無理した様子もなく笑う。
真城朔:「でも……」
真城朔:思いっきりやったし、とか、ぼそぼそと。
夜高ミツル:「いいって」
夜高ミツル:「……まあ、あれだ」
真城朔:ミツルを窺う。
夜高ミツル:「気になるなら」
夜高ミツル:「謝ってくれれば、それでいい」
夜高ミツル:そもそも怒ってる訳でもないけど、
真城朔:「…………」
夜高ミツル:一度そういう形式を通したほうが、きっと真城も気に病まずに済むだろう。
真城朔:「……ごめんなさい」
真城朔:しょんぼりと項垂れながら、
夜高ミツル:「……ん」
夜高ミツル:「許した」
真城朔:涙が頬を伝い落ちている。
夜高ミツル:「……泣くなって」苦笑して。
夜高ミツル:……少し躊躇ってから
夜高ミツル:あやすように、項垂れた頭に掌を乗せる。
真城朔:ぱちぱちと目を瞬く。
夜高ミツル:不器用に、その頭を撫でる。
真城朔:撫でられるのに、触れられるのに、それを拒まずに、
真城朔:小さく息を漏らして笑った。
夜高ミツル:その様子を見て小さく笑って、手を離す。

乾咲フラン:家でセックスされてるフランに謝れ(国会のヤジ)
夜高ミツル:ほんとだよ
夜高ミツル:人の家でセックスしてごめんなさい
真城朔:ごめんなさい……
真城朔:しゅん……
夜高ミツル:人の家でセックスしてイチャついてごめんなさい……
糸賀大亮:ヒヒヒヒ
真城朔:最悪
乾咲フラン:近年まれに見る謝罪

乾咲フラン:(「いつまでイチャイチャしてるんだ!」ってフランクに入ったほうがいいのかな……)(それともスッと立って「行くぞ」って言ったほうがいいかな……)(でも完全に二人の空気で……)
乾咲フラン:(どうして私の家でなんか……あんな雰囲気に……いや古来から吸血行為でそういう風になるのは……あるから……)
乾咲フラン:フランはミツルの分のアイテムを持って机と棚を往復しています。
乾咲フラン:(いっそ糸賀クンに渡して……こう突入してもらったらいいのかな……)
糸賀大亮:「……? どうした、フラン」自分のぶんの美品をしまいながら怪訝そうな声をかけている。
乾咲フラン:「いや……………………」深い余韻。

真城朔:こんなシーンになる予定は……………………
夜高ミツル:ほんとだよ
夜高ミツル:いや、ほんとうに
真城朔:でも……手当するよりこっちだし……………………
夜高ミツル:人の家 人のシーン
見学の水面:でも寝取られという意味ではまさしくフランさんのシーンでは?
真城朔:うん…………………
忽亡ゆかり:これ、真城の応急処置をってフランさんが言ったからこうなったのか……
糸賀大亮:自ら招いた寝取られ
夜高ミツル:でもフランさんが言わなくてもミツルが言ってたよ
真城朔:だからこそフランさんが言い出してしまったという””事実””が重くのしかかるのでは?

乾咲フラン:「机の上にミツルくんの分の物資を置くぞ。」説明。
乾咲フラン:「夜の空気を吸ってくるよ」美しく倉庫から出ていきます……。
糸賀大亮:いぶかしげな顔で見送ります。
乾咲フラン:夜空は様々な事情を鑑みる事なく輝いています。
乾咲フラン:「スーッ……」(そう……真城は息子であって……)
乾咲フラン:「フーッ……」(碧ではない……)
乾咲フラン:「スーッ……」(息子であって……)
乾咲フラン:「フーッ……」(碧ではない……よし!)
乾咲フラン:虚空に向かって正拳突きをしています。プルサティラの力で治った右腕はどうしようもなく快調だなあと思いました。
乾咲フラン:「スーッ……」(真城の人生は……)
乾咲フラン:「セイッ」(夜高クンが強く支えるんだから!これぐらいある!心を乱すな……乾咲!!!!)
乾咲フラン:虚空を殴っています。
乾咲フラン:目先の男子高校生二人の情事に囚われていないと、これ以上冷静になってしまうと。
乾咲フラン:大亮もゆかりも大切な人が帰って来たけれど、自分は今から失っていくという現実を、フランは直視してしまいそうな気がしていました。
乾咲フラン:(大丈夫……大丈夫)何が大丈夫なのか、フランにもわからないまま虚空を殴り続けましたとさ。

乾咲フラン:スーッ……セイッ別の文脈が出てしまうが虚空を殴っているので許してくれ
真城朔:ひひひひひ
糸賀大亮:いひひ
真城朔:セイッ! セイッ!!
乾咲フラン:悪霊よ……去れ!!
真城朔:悪霊は去り、自分の家で男子高校生にセックスされたという事実が残った
夜高ミツル:ひどい
乾咲フラン:クソみてえな置き土産だよ

GM:はい、では調達が成功しまして。

ミツル:料理/刀剣/興奮剤/狩人の骨/護符
大亮:杭/興奮剤/興奮剤/遺物/鎮静剤/護符
フラン:化粧/狩人の骨/鎮静剤/護符/興奮剤/興奮剤
ゆかり:ナイフ/聖印/護符/興奮剤/狩人の骨

GM:分配はこうですね。
乾咲フラン:ワーイ
GM:ではフランさんの(好きな女の息子が寝取られる)シーンを終わりましょうか……
夜高ミツル:ひどい
乾咲フラン:クソ笑ってる
GM:事実だし……