GM
◆メインフェイズ第三サイクル:辻秋葉
GM
ドラマならシーン表をどうぞ。
辻秋葉
AKST 秋空に雪舞えばシーン表(3) > 3:暗い夜の森の中、月明かりのみが周囲を照らす。忍が動くにはいい時間だ。
辻秋葉
ふ~
GM
夜だ
辻秋葉
夜らしい
辻秋葉
こっちかな
GM
夜。村人の寝静まる頃。
GM
けれどこの月の光は、あなたたちが動くには十二分。
辻秋葉
ちいさな頃は、人並みに夜が怖くて泣いていたと聞く。
辻秋葉
今となっては、勝手知りたる遊び場の一つ。何を気にすることもなく落ち葉を踏みしめる。
芥切薊
その視線の先に、ふと、座り込んだ薊が映る。
辻秋葉
「ん」
辻秋葉
「んん……?」
辻秋葉
顔をしかめる。
辻秋葉
「なんでまた怪我してるんだ、お前」
芥切薊
「……お前か」
芥切薊
「鬼越に会った」
辻秋葉
「……」
芥切薊
「幾分不都合が起きた、ってところだな」
辻秋葉
「逃げたらいいのに……」
芥切薊
「そうもいかない理由がひとつふたつある」
芥切薊
「ひとつは感傷」
芥切薊
「もうひとつは、……まあ、責任かな」
辻秋葉
「ふーん……」
芥切薊
「心配しなくても、あの夫妻にもう迷惑はかけない」
辻秋葉
「そうしてくれ……」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「うちに来たら手当くらいはしてやるけど……?」
芥切薊
「ん」 わずかに眉を動かす。
芥切薊
「いいのか」
辻秋葉
「よくないなら言わねえだろ」
芥切薊
「そうか。……助かる」
辻秋葉
「立てるか?」
芥切薊
「ああ」
辻秋葉
「じゃあ、着いてこい」
芥切薊
立てば服から血が落ちる。もう激しくはないが、その残余が、ぱたぱたと。
辻秋葉
先導して歩いていく。
芥切薊
追いながら、
芥切薊
「お前、こんな時間に何してたんだ」
辻秋葉
「普通に散歩……」
辻秋葉
舗装されていない砂利道。
辻秋葉
古い家々や田畑。
辻秋葉
それらを横目に家路を辿る。
芥切薊
ぱたり、ぱたり。時折、赤い雫の落ちる音。
辻秋葉
みんなが起きる前に血の跡を誤魔化しに戻ってこよう……。
辻秋葉
そんなことを思いながら、広場に設置された舞台の横を通り過ぎ。
辻秋葉
神社の社務所が、秋葉の住居も兼ねている。
辻秋葉
「入れ」
芥切薊
「ああ」
芥切薊
促されるままに中へ。
辻秋葉
村の他の家と同様、古い造りに古い道具。
辻秋葉
「座っとけ……」
辻秋葉
座布団を差し出す。
芥切薊
「ありがとう」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
薬箱はすぐ手の届く場所に置いてある。中から薬や包帯などを取り出す。
辻秋葉
脱がすか……とりあえず……
芥切薊
特にためらいなく上を脱ぎます。
辻秋葉
露わになった傷口に手当を施していく。
辻秋葉
一応、手付きに気遣っている様子がある。
芥切薊
時折かすかに息を詰めながら、じっと痛みを呑み込んでいる。
芥切薊
「……なあ」
辻秋葉
「なに」
芥切薊
「俺はあの時お前に、選べと言ったな」
芥切薊
今の状況とは離れた言葉が投げかけられる。
辻秋葉
「……」
芥切薊
「選べと言った手前、俺はお前に、もうひとつ」
芥切薊
「隠さず伝えるべきことがある」
芥切薊
黄泉路血石の秘密を秋葉に譲渡します。
GM
かしこまりました。
ディスコードでお送りしますね。
GM
お送りしました。
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「本当に何も知らずにいたんだな、俺は……」
芥切薊
「……お前が、大切にされているからだ」
辻秋葉
「……まあね……」
辻秋葉
「……お前は」
辻秋葉
「ここにいた頃、どうだったんだ」
芥切薊
「……ここにいた頃のことは、正直まるで覚えていない」
芥切薊
「俺はここを、あたたかいところだと思うよ」
芥切薊
「だが、それは、たぶん……」
芥切薊
「お前が、今のお前のように育ったからだという気がする」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「俺はただ」
辻秋葉
「みんなと冬を迎えて、年を越えて」
辻秋葉
「春が来たらよろこんで……」
辻秋葉
「それで……」
芥切薊
「……うん」
辻秋葉
「それでよかったのに」
辻秋葉
「でもそれで、よくないことになってきた人がいるんだよな……」
芥切薊
「…………」
芥切薊
黙って見ている。
辻秋葉
「ちりきりだって……」
辻秋葉
「きっと、どこかに家族がいるんだよな……」
芥切薊
「そうだな。……血の繋がった誰かが、きっと、どこかにはいる」
芥切薊
「だが、まあ」
芥切薊
「思い出のない相手を家族と呼ぶのは難しくもある」
芥切薊
「お前だって、村の連中のことを、家族だと思うだろう」
辻秋葉
「……うん」
芥切薊
「俺には、そういう、気持ちで繋がっていた家族はもういない」
辻秋葉
「……そうか」
芥切薊
「……秋葉」
辻秋葉
「なんだよ……」
芥切薊
「あのひとたちは、託す、と。そう俺に言った」
芥切薊
「それで俺がどこまで力になれるかはわからんが」
芥切薊
「……託された責任も、……何より、俺自身の感傷も、お前の上にある」
芥切薊
「お前が何を選んでも、俺は味方だ」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「たのんでない……そんなこと……」
辻秋葉
「おれは……」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「勝手にしろ……」
辻秋葉
「俺もそうするし……」
芥切薊
「ああ」
辻秋葉
「ふん……」
辻秋葉
「……終わったぞ、手当て」
芥切薊
「ありがとう」
辻秋葉
「どういたしまして……」
辻秋葉
「休むなら奥の部屋使え」
芥切薊
「ああ。じゃあ、遠慮なく」
辻秋葉
「あるものは好きに使っていい」
辻秋葉
薬箱を元の場所に戻して、土間に下りる。
芥切薊
「出かけるのか」
辻秋葉
「一緒に寝てほしいのか?」
芥切薊
「いや。俺が邪魔なら無理して置いておかなくていいが」
辻秋葉
「ああ……?」
芥切薊
「……へそを曲げるな」
芥切薊
「気をつけてな」
辻秋葉
「ふん……」
辻秋葉
そっぽを向き、がらがらと玄関を開ける。
三登河六衛門
では、あなたの視線の先。
三登河六衛門
馴染みの気配が近づいてくるのが、あなたには分かるだろう。
辻秋葉
「ん……」
辻秋葉
玄関を閉める。鍵をかける習慣はない。
三登河六衛門
「こんばんは、秋葉ちゃん」ニコニコと、いつもと変わらない顔で、そこにいる。
辻秋葉
「こんばんは」
辻秋葉
「見回りか?」
三登河六衛門
「ええ。パトロールをしていたところですよ」
三登河六衛門
「珍しくこちらにいらっしゃるのが分かったので、ご挨拶と、それから……」
三登河六衛門
言葉を切る。「……彼もこちらにいらっしゃるのですね、なるほど」
辻秋葉
「……いるけど」
三登河六衛門
「あの方について」
三登河六衛門
「一つ、教えて差し上げましょうか?」
辻秋葉
「まだ何かあるのか……」
三登河六衛門
「その代わり、あなたの知っているかもしれないことを一つ、お伺いしたいのですけれど……」
三登河六衛門
鬼越さんの秘密を秋葉さんに譲渡し、石の秘密を頂きたいです。
辻秋葉
いいよ。あげる。
三登河六衛門
ありがたい。もらいます。では、改めて、鬼越さんの秘密を譲渡します。
辻秋葉
黄泉路血石の秘密を譲渡します。
GM
では石の秘密を公開、
鬼越さんの秘密が秋葉さんに渡ります。
GM
【秘密:黄泉路血石】
クライマックスフェイズで6ラウンド以内に以下の条件を満たすと、勝者となった「贄の神子」が死亡し、「天ヶ原奉納演武」は成功する。

条件1:『黄泉路血石』の保持者がこの【秘密】を公開し、儀式の開始を宣言する。
条件2:「贄の神子」が勝者となる。

条件を満たせない場合でも、勝者が儀式の実行を望めば、脱落した「贄の神子」全員の命と引き換えに儀式を実行できる。
GM
鬼越さんの秘密もディスコードにてお送りしました。
辻秋葉
「……」
三登河六衛門
ふーっ、と、大きく息を吐く。
辻秋葉
思わず、今しがた閉めた玄関を振り返る。
三登河六衛門
「公務員って大変だなあ……」ボソリと。
三登河六衛門
「……ついよそ行きで喋っちゃってたな。私も緊張してたか」
三登河六衛門
「まあ、秋葉ちゃんは知っておいた方がいいんじゃないかな〜、って思ったのは本心だよ。長年の付き合いのお礼だと思って欲しい」
辻秋葉
「…………」
辻秋葉
正面の男に、視線を戻す。
辻秋葉
「センセー……」
辻秋葉
動揺を隠しもしない眼差し。
三登河六衛門
「でも、私の『お仕事について』も本当。秋葉ちゃんなら分かるだろう?」
三登河六衛門
「私は本気で君と向き合っていたよ。君は聡い子だ。邪念があればすぐにばれただろう。ここまでよく育ってくれたよ」
三登河六衛門
「教えてきた者として、本当に、本当に残念だと思っている。けれど……」
辻秋葉
「……」
三登河六衛門
「私にとって、情と使命は両立する。そして私は使命を全うすることを躊躇わない。そう言う男だよ」
三登河六衛門
「だから、遠慮も容赦もいらない。私は私のなすべきことをするからね」
辻秋葉
「俺は……」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「帰ってくれないか……」
三登河六衛門
ふふ、と小さく笑って。「うん、今日は、話がしたかっただけだから。……どこかのお家にお泊まりにいくのなら、気をつけてね」
三登河六衛門
いつも通りの声色でそう言って、踵を返して去るでしょう。
辻秋葉
「……」
辻秋葉
うつむいたまま、足音が遠ざかっていくのを聞いていた。
辻秋葉
再び、玄関を振り返る。
辻秋葉
中は、静かだ。
辻秋葉
もう眠っているだろうか……。
芥切薊
三登河の気配が、忍びの感覚からしても完全に去ったあと。
芥切薊
「……行ったのか」
芥切薊
秋葉の視線の先で戸が開いた。
辻秋葉
「……あ」
辻秋葉
「お、起きてたのか、まだ……」
芥切薊
「三登河の気配がした」
辻秋葉
「う、ん……」
辻秋葉
瞳が揺れる。
辻秋葉
その隠しきれない動揺の裏に、秋葉の知った真実を伺いしることができるだろう。
辻秋葉
鬼越さんの秘密を譲渡します。
GM
では、鬼越さんの秘密が公開になります。
GM
【秘密:鬼越仁一郎】
あなたは芥切薊にトドメを刺し、たしかに死亡させたはずだ。
だが、この指輪木村から漂ってきた霧に芥切薊の死体が触れた途端、ヤツは息を吹き返して逃げ出したのであった。
恐らく、この村に眠る『黄泉路血石』が鍵を握っているのだろう。
あなたは『黄泉路血石』の【居所】を保持している。
GM
以上です。
GM
補足しますと、芥切薊の命は『黄泉路血石』の力によって保たれています。
契約の更改がなされない場合、芥切薊はそう遠くないうちに死亡します。
辻秋葉
「あ……」
辻秋葉
伝わってしまった、のが分かる。
芥切薊
「……そうか。……『天命』……」 何かを思い出す口ぶり。
辻秋葉
「…………」
芥切薊
「……どうした」 少し笑う。
辻秋葉
「……何、笑ってんだよ……」
芥切薊
「……ふ」
芥切薊
「お前はどうして、そんな顔する」
辻秋葉
「は……?」
辻秋葉
「なんだ……? 俺がおかしいのか……?」
辻秋葉
「お前、俺のせいで死ぬかもしれないんだぞ……」
芥切薊
「お前のせいか?」
辻秋葉
「そうだろ……」
芥切薊
「どうしてそう思う」
辻秋葉
「俺が、選べるから……」
辻秋葉
「俺が選ぶことは、俺のせい、だろ」
芥切薊
「いいや」
芥切薊
「お前が選ぶのと同じほど、俺も、三登河も、あるいは鬼越も、己の選びたいものを選ぶ」
芥切薊
「ただ選んだことだ。互いに」
辻秋葉
「…………」
辻秋葉
「俺は……わからない……」
辻秋葉
「また、わからなくなった……どうしたらいいのか……」
芥切薊
「…………」
芥切薊
どこか見守るような視線。急かさず、待っている。
辻秋葉
「こんな……俺が何をして何をしないかで、誰が生きて誰が死ぬかが決まるなんて……」
辻秋葉
「……俺には、重いよ……」
芥切薊
「……だろうな」
芥切薊
「責任ってやつはいつでも重い。……自分の手で選べばもっと重くなる」
芥切薊
「簡単に、一緒に背負ってやると言うことはできないが」
芥切薊
「俺は、俺の選んだ重さを、お前に背負わせたりはしないよ」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「……今までは」
辻秋葉
「成功させることだけ考えていればよかったんだ」
辻秋葉
「熊を撃つのも、奉納演武も……」
辻秋葉
「ずっと、目標を目指してまっすぐ歩いていけばよくて……」
辻秋葉
「なのに……」
辻秋葉
「今になって、選べなんて……」
辻秋葉
誰にぶつければいいのかわからない感情。しいて言うなら運命とやらにか。
辻秋葉
「……ちりきりは」
辻秋葉
「もっと生きたくはないのか」
芥切薊
「……さて……」
芥切薊
一瞬、空を見て。
芥切薊
「死にたいかと言われれば否と言い、生きたいかと言われれば、まあ是とも言うが……」
芥切薊
「……どうだろうな。俺は、死んだように生きたいわけではないな」
辻秋葉
「死んだように生きるなんて決まってないだろ……」
芥切薊
「何か、選んだことを悔いながら生きるってのは、そういうことだ。……俺にとってはな」
芥切薊
「悔いはいつか忘れられるかもしれない。忘れられないかもしれない」
芥切薊
「だからただ、俺は、そうというだけ」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「俺は、きっと……」
辻秋葉
「どっちを選んだって、後悔する……」
芥切薊
「……うん」
辻秋葉
「死ぬのも、俺が生きるためにみんなやちりきりが死ぬのも、いやだ……」
芥切薊
「うん」
辻秋葉
「でも……」
辻秋葉
「選ばないといけないんだな……」
芥切薊
「……選ばずに、その時が来れば」
芥切薊
「もっと、後悔する」
辻秋葉
「それもやだ……」
芥切薊
歩み寄る。
芥切薊
俯きがちの顔を覗き込む。
辻秋葉
「……」覗き込まれた。
芥切薊
「俺は味方でいるよ」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「……だから、選べないんだ……」
芥切薊
ふ、と笑みを深めて、
芥切薊
「……悪いな」
芥切薊
「……代わりに選んでやるとは言わない俺で、悪い」
辻秋葉
つま先で脚をこづく。
辻秋葉
「ばかやろう……」
辻秋葉
深く息をつく。
辻秋葉
「……今更だが、怪我人をいつまでもつき合わせるのもよくないな」
辻秋葉
「悪かったな。もう行くよ……」
辻秋葉
「ちりきりは休んどけ」
芥切薊
「……ああ」
芥切薊
もう一度、気をつけろ、と言い置いてから、戸の内へ戻っていく。
辻秋葉
「……うん。おやすみ……」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
薊が戸を閉めるのを見送って、その場を歩き去る。
辻秋葉
その晩は、誰の家にも泊まらなかった。
辻秋葉
辻秋葉
日差しの下で、近頃一層冷たくなってきた風が木の葉を揺らしている。
辻秋葉
勝手知ったる場所を、一人訪れる。
三登河六衛門
公民館を訪れれば、受付は空ですが、奥からバタバタと走ってくる気配があるでしょう。「はーい! 今行きまーす!」
三登河六衛門
そうして、あなたを見つけて、ああ、と笑う。いつも通りに。
辻秋葉
「……よう、センセー」
三登河六衛門
「おはよう、秋葉ちゃん。今日は随分冷えるね〜」日常の続きのように。
辻秋葉
「そうだな。いよいよ冬も近い」
辻秋葉
「……今、話せるか」
三登河六衛門
「冬が来るね」うんうん、と頷いてから、目を瞬き。
三登河六衛門
「いいよ。図書室でお茶でもいれようか?」
辻秋葉
「ありがと、もらう」
三登河六衛門
「はーい。じゃあ、先に図書室で待っててね。お茶いれてくるから」そう言って、一旦奥に引っ込む。
辻秋葉
うなずいて図書室へ。
辻秋葉
外の人からしたらどうだか分からないが、秋葉の基準で見たらたくさんの本がある。
辻秋葉
ここで随分とものを教わった。
三登河六衛門
そう時間はかからない。二人分の湯呑みと、急須を乗せたお盆を持って、三登河が図書室にやってくる。
辻秋葉
字の読み書きを覚えるのには随分苦労した記憶がある。
三登河六衛門
「お待たせ〜」スタスタと入ってくる。いつものように。
三登河六衛門
お茶を飲んで、たまに雑談をして、勉強をする。
三登河六衛門
その時とまるで変わらない所作。
辻秋葉
読むのはともかく、書き物など滅多に役に立たないのに……と鉛筆を放り投げたものだ。
辻秋葉
「……ん。ありがと」
三登河六衛門
「いえいえ。図書室でこうするのもなんだか久々だねえ」
辻秋葉
促されるまでもなく、いつもの場所に座る。
辻秋葉
「ここに来るとおべんきょーさせられるからな」
三登河六衛門
いつものテーブル。そこに二人分の湯呑みを置いて、お茶を注ぐ。
三登河六衛門
「あっはは、それもそうか! 義務教育範囲終わったら、ぱっとこなくなっちゃったからな〜〜」
三登河六衛門
笑いながら、こちらもあなたの隣、いつもの席へ。
辻秋葉
「忙しいからな、俺は。べんきょーしてる暇なんかないんだ」
三登河六衛門
「うんうん。熊狩りの腕は一番だもんね、秋葉ちゃん」自分の湯呑みを手に取り、ずずーっと一口。
辻秋葉
両手に湯呑を抱える。
三登河六衛門
「それで、お話がしたい、って言ってたね?」
辻秋葉
「……ひとつ、進路相談ってやつに乗ってくれよ、センセー」
辻秋葉
そういうものがあるらしい。自分には無縁と思っていた言葉だが。
三登河六衛門
「おっ、いいよ。教え子の行く先を導くのもセンセーの仕事だからね」
三登河六衛門
本気でそう言っているのだと、あなたにはわかるだろう。
辻秋葉
そういう人間じゃなければ、そもそも自分に勉強を教えることだってしなかっただろう。
辻秋葉
「……ん」
三登河六衛門
「まあ、正直なところ……かなり大きな進路の選択肢があるねえ、うん」
辻秋葉
「そうなんだ」
辻秋葉
「俺は、もう……本当に。どうしたらいいのかわからない」
三登河六衛門
「……だろうね。芥切さんは、ああしろとかこうしろとか、人に言うタイプじゃなさそうだし」
辻秋葉
うなずく。
三登河六衛門
「一応、先に確認するけれど。私が何をするつもりかは、わかっているよね?」
辻秋葉
それにも、頷きを返す。
辻秋葉
「俺にやらせたいことがあるんだろう」
三登河六衛門
「ふふふ。その上で頼ってきてくれたのは、センセー冥利に尽きるなあ……」
辻秋葉
「確認したいこともあるからな」
三登河六衛門
「うん? 確認したいこと?」
辻秋葉
「センセー。あんたはこの村をどう思う」
辻秋葉
「センセーはもっと大きなものを大事にしているのかもしれないが、俺はそうじゃない」
三登河六衛門
あなたの問いに、「そうだねえ……」と、しばし図書室の天井を見上げる。
三登河六衛門
「正直ね、私がここに赴任する時、村の詳細は聞かされなかったんだよ。だから、ものすごく緊張して来たんだけどね」
三登河六衛門
「みんな、優しく受け入れてくれてね。いい村だと思ったし、今でも、そう思う」
三登河六衛門
「ただ、それには理由があったと今回知ることになったし……私の役目も、それに乗じてのものだと分かったよ」
三登河六衛門
「だから一層、私は私の使命を果たさなきゃ、と思ったね」
辻秋葉
真剣な眼差しで、あなたの話を聞いている。
辻秋葉
三登河さんの秘密を譲渡したいので、データ的にここで鬼越さんにポップしていただけますと……
鬼越仁一郎
因果により、シーンに登場しています。
辻秋葉
では、譲渡します。
鬼越仁一郎
因果により、頂戴します。
GM
畏まりました。
では、三登河さんの秘密が公開されますね。
GM
【秘密:三登河六衛門】
あなたは日ノ本を守る『降魔結界の儀』を完成させるため、辻秋葉に接触して密かに呪いを施してきた。メインフェイズ中に辻秋葉の【生命力】が1点以上減少したうえで、贄として『天ヶ原奉納演武』を行うことで、『降魔結界の儀』は完成する。
あなたの【本当の使命】は『降魔結界の儀』を完成させることである。
『降魔結界の儀』が完成すると辻秋葉の存在は消滅し、全ての人の記憶から消え失せる。
GM
秋葉を贄とした『天ヶ原奉納演武』と『降魔結界の儀』の成功は両立します。
三登河六衛門
こちらからは、鬼越さんの居所を秋葉さんに譲渡します。
GM
了解しました!
辻秋葉
鬼越さんの居所を薊さんへ流します。
GM
OKです
辻秋葉
「俺は……正直、センセーの使命とやらはどうでもいいんだ。日ノ本がどうの言われても俺にはわからん」
三登河六衛門
うんうん、と頷きながら聞いている。
辻秋葉
「俺は、俺の大事なものを守れるかどうかが大事だ」
三登河六衛門
「大事なもの」微笑む。「今の秋葉ちゃんにとって、それは何?」
辻秋葉
「村のみんな」
辻秋葉
「と……」
辻秋葉
「まあ、その次に、ちりきりを置いてやってもいい」
三登河六衛門
「っ、ははは!」思わず吹き出す。「そうか、そっかあ」
辻秋葉
「笑うな……」
三登河六衛門
「いやいや、ごめん、馬鹿にしてるわけじゃないんだ、嬉しくてね」
三登河六衛門
「本当に、本当に、いい子に育ってくれた」
辻秋葉
「ふん……」
辻秋葉
お茶をすする。
辻秋葉
「で、だ」
辻秋葉
「俺は今、何をどうするのが俺の大事なものを守ることになるのか、わからないんだ」
辻秋葉
村人の秘密2を三登河さんに譲渡します。
三登河六衛門
おっ ありがとうございます もらいます
GM
はい。公開になりますね。
GM
【追加の秘密:村の人々】
巫女として、生贄として、村人たちは辻秋葉を育ててきた。
だが、幼い頃から育ててきた村人たちにとって、
辻秋葉は既に何物にも代え難い特別な存在となっている。
そして彼らは決断した。契約を破棄して辻秋葉を村の外へ逃がそうと。
村の人々の真の使命は【辻秋葉を逃がす】ことである。
GM
以上です。
三登河六衛門
「ああ……」息を吐く。「800年間過ごしてきた幸せよりも、君のことが大事になったんだね、みんなは……」
辻秋葉
「最初は、みんながそうしてほしいなら……とも思ったんだ」
辻秋葉
「でも……そうしたらちりきりが死んじゃうんだろ」
辻秋葉
「そしたら俺、帰る場所もなくなってひとりじゃないか……」
辻秋葉
「でもみんなは俺に外に出てほしいらしくて……」
辻秋葉
「というのをずっと……」
辻秋葉
「ぐるぐると……」
三登河六衛門
「随分と、重いことを背負わせちゃったな。ごめんね」
辻秋葉
「ほんとだぜ……」
三登河六衛門
「まあ、私とそのお偉いさんは横からただ乗りを目論んでるわけだけども」
三登河六衛門
「一つ。私にとって、一番都合のいい進路をお話してみようか」
辻秋葉
「ん……」
三登河六衛門
「君が贄になって、『天ヶ原奉納演武』を完成させることだ」
三登河六衛門
「『降魔結界の儀』と『天ヶ原奉納演武』は両立するからね。契約は更新される」
辻秋葉
「うん……」
三登河六衛門
「つまり、村の人たちも、芥切さんも、生きることができる。その代わり……」
三登河六衛門
「君の存在は忘れ去られる。村のみんなからも、芥切さんからも、私からも」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「うん……」
三登河六衛門
「そうして、日本の人々の平和も守られる」
三登河六衛門
「私は比良坂機関、この国を守るものの一員で、この国に殉ずるつもりで生きて来た。生と死の境界で踏みとどまってね」
三登河六衛門
「だから、君のことは大事だけれど、国のためになると言うのなら、やる」
三登河六衛門
「ま、逆に言えば、そう言う意味で選択をお国に丸投げしたって言ってもいいのかな!」
辻秋葉
「……センセーが俺の立場でも、そうする?」
三登河六衛門
「私だったら、うん、そうするだろう」
三登河六衛門
「三登河ってね、三途の川のことなんだ。六衛門は六文銭」
三登河六衛門
「常に国のために殉じるつもりで生きろと子供の頃から言われていたよ。だから、それ以外の選択肢がない人格になっちゃったとも言える」
三登河六衛門
「でも、君は私じゃない」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
俺もそうやって育ってれば悩まずにすんだのかな、なんて考えたって意味はない。
三登河六衛門
「あとまあ、目下の問題は、石が私の手元にないことかな……」
三登河六衛門
「儀式の宣言、持ってる人じゃないとできないらしいからね……宣言がなかった場合、君と芥切さんの両方を捧げなきゃいけなくなる」
辻秋葉
「それは……困る」
三登河六衛門
「あと儀式前にちょっとばかり君の血を頂かなきゃいけなくて……これはまあ、あとでおいおいお邪魔すると思う」
三登河六衛門
「……話が長くなっちゃったな。その辺りも含めて、よく考えてみるといい」
三登河六衛門
「私は、私の使命を果たそうとする。昨日も言ったけれど、君は私に容赦はしなくていいからね」
三登河六衛門
その声はいつも通りだ。だが、あなたはすでに知っている。この男は、使命のためなら、情も非情も両立させる男だと。
辻秋葉
「待ってくれ。俺の話はまだ終わってないんだ」
辻秋葉
「いや、でも……困ったな……」
辻秋葉
「俺は……俺がセンセーに協力したとして、センセーはちりきりを守ってくれるのかを確認しにきたんだよ」
三登河六衛門
目をぱちぱちさせる。
三登河六衛門
「マジ?」素の声だ。
辻秋葉
「つまり、おにごえを追い出してくれるのかということなんだが……」
辻秋葉
「石のことが……困ったな……」
辻秋葉
「頼んだら、儀式開始しますって言ってくれるかな……」
三登河六衛門
「頼んでみるのは、ありかもしれないけど……」
三登河六衛門
「あの人、芥切さんを殺しに来てるからな〜」
辻秋葉
「そうなんだよ……」
辻秋葉
「だから……困ったな……」
辻秋葉
「センセーは石を取り返しに行く余裕はなさそうだし……」
三登河六衛門
「うーん……一緒に殴りに行く?」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「そしたらセンセーはちりきりを守ってくれるのか?」
三登河六衛門
「う〜〜〜ん………………」しばし考え込み。
三登河六衛門
「完全には保証できない、ってのが、正直なところかな」
三登河六衛門
「まず、私が鬼越さんに勝てるかどうか、と言うのが一つ」
三登河六衛門
「もう一つは……儀式が完成して、君の存在を忘れた時に……君との約束を僕が覚えているかどうか、ということ」
三登河六衛門
「『降魔結界の儀』が完成すると、贄の存在は全ての人間の記憶から消える。私も、例外じゃない」
辻秋葉
「うん」
辻秋葉
「覚えている間だけやってくれたら、それでいい……」
三登河六衛門
「ははは。うん。彼がここにいるうちは、それとなく様子を見ておくようにするよ」
三登河六衛門
「流石に鬼越さんも、村の中で派手に立ち回りはしないだろうしね」
辻秋葉
また怪我はしてたんだよな……
辻秋葉
「……正直に話してくれて、ありがとう」
辻秋葉
「でも、ごめん……やっぱりもう少し考えてもいいか……?」
三登河六衛門
「うん。ゆっくり、納得がいくまで考えるといい」
三登河六衛門
「君の方こそ、私をまだセンセーと呼んでくれて、ありがとう」
辻秋葉
「センセーはセンセーだろ」
辻秋葉
「今更他の呼び方するのも変だし……」
三登河六衛門
「……あっはは! ほんと、叶わないなあ、そう言うところ……!」
三登河六衛門
「でも、これだけは覚えておいてね」
三登河六衛門
「私のやることは、変わらない。次に会う時は……君を傷つけにいく時だから」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
「……俺が村のみんなって言うとき、センセーもそこに入ってるんだからな」
三登河六衛門
「……ふふ。……ありがとうね」
辻秋葉
「だから、センセーの守りたいものはどうでもいいけど、やりたいことは助けてやれたらいいって気持ちはあるんだ……」
三登河六衛門
「うまく行ったら君は消えちゃうし、私は君のことを忘れてしまうよ。それでも?」
辻秋葉
「……今は、それでもいいとは思えない」
辻秋葉
「もしそう思ったら、ここに来るよ」
三登河六衛門
「うん、わかった」
三登河六衛門
「私はいつも、ここにいるからね。いつでもおいで」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
「ありがと、センセー」
三登河六衛門
「どういたしまして。私はセンセーだからね。……ちょっとは力になれたかな?」
辻秋葉
うなずく。
辻秋葉
ぬるくなったお茶を飲み干して、立ち上がる。
辻秋葉
「……じゃあ、また」
三登河六衛門
「うん。またね」いつものように手を振る。
三登河六衛門
そうしてあなたを見送るだろう。まるでこれからも日常が続くように。
GM
公民館を出た風景も変わりなく。
GM
青空の下に紅葉。その下に金色の稲穂。
GM
道をゆけば、あいも変わらず古びた家屋の縁側で。
GM
「んでなあ、あん人、そそっかしいったらありゃせんからね」
GM
「バケツに足引っ掛けて、そりゃあもう派手に……」
GM
「あらあ。大丈夫だったの、須藤さんたら」
辻秋葉
公民館を出て、ほてほてと歩く。
GM
縁側でハルばあさんと静さんが盛り上がっている。
辻秋葉
三登河と話をして、あとはどこかに行く予定があるでもなく、かといって薊のいる家に帰るのもまだ気まずく。
GM
「心配いらんて。頑丈なんが取り柄だかんね、あん人は」
GM
「そんなこと言ったって……あら」
辻秋葉
そんな感じでぼんやり……と歩いていると
GM
「秋葉ちゃあん」
GM
「おんや、秋葉ちゃんじゃないかね」
GM
あなたの名を呼び、二人、手を挙げます。
辻秋葉
「ハルばあ、静ばあ」
GM
静さんは指先まで揃えてにこにこと、ハルばあさんは大きく手を振って。
辻秋葉
とてて……と駆け寄る。
GM
「ちょうどええわ秋葉ちゃん、これ食うてきや」
GM
と、ハルばあさんがお皿に乗せた茶色い感じのお菓子を差し出してきます。
GM
切った干し柿にふかした芋をつめたようなお菓子です。
辻秋葉
「食う!」
辻秋葉
遠慮なく縁側に上がります。
GM
「ふふ。お茶も淹れてくるわね」静さんが立ち上がります。
GM
ここは須藤さんの家で、ハルばあさんの家ですが、流石に勝手知ったる様子で。
GM
「干し柿そのまま食うんもそろそろ飽きる頃やもんなあ」
辻秋葉
「そうなんだよな~、分かってるな~」
GM
「ふっふふ」
GM
「秋葉ちゃんはほんま、ようけ喜んでくれるから」
GM
「作りがいあるわあ」
GM
それに引き換えあの人はなあ、と頬に手を当てて嘆息するハルばあ。
辻秋葉
「へへ~……秋はうまいもんが多い……」
辻秋葉
春も夏も冬もそれぞれのうまみがあるが……
GM
干し柿の甘ったるさと芋のほくほく感がよく合っています。
GM
「実りの秋やからねえ」
GM
「はい、秋葉ちゃん。お茶入ったわよ。ハルさんも」
GM
と、静さんもまた出てきて、改めて淹れたてのお茶が置かれます。
GM
湯気が立つ。
GM
「これ、おいしいけど」
GM
「口の中がね~……」
辻秋葉
ありがと、と湯呑をもらう。
GM
「火傷しないようにね」
GM
なんて、そんなこと、
辻秋葉
「俺は丈夫だからだいじょうぶだ」
GM
「もう」
GM
「いくら丈夫だって、痛いは痛いわよ」
辻秋葉
「はいはい、気をつける気をつける」
GM
「ようしよし」にこにことハルばあが頭を撫でます。
GM
「素直なんが一番やよ」
辻秋葉
にへ……
GM
「ほんま」
GM
「……ええ子に、育ったこと」
辻秋葉
「そうだろう」
辻秋葉
「みんながそう育てたんだぜ」
GM
「ふふ。……誇らしいわねえ」
GM
「嬉しいことばっかり、言ってくれちゃって」
GM
「……ええ」
GM
静さんは上品な笑みを浮かべながら、そっと目を細めて。
GM
「こんな風に」
GM
「こんなにも」
GM
「愛おしい子に育ってくれるだなんて」
GM
「私たち、思いもしなかったわね」
辻秋葉
「皆が俺を大事に、かわいがって育ててくれたから……」
辻秋葉
「俺は皆が大好きで、大事にしたいって思うんだ……」
GM
「……そうかいね」と、ハルばあさん。
GM
「そんなら……」
GM
「こんなに幸せなこた、ないなあ」
GM
「そうねえ」
GM
頷き合う。二人。
辻秋葉
「……二人は」
辻秋葉
「俺に、この村にいてほしい?」
GM
あなたの問いに。
GM
静さんは縁側に居住まいを正し、
GM
正座をして、向き直る。
GM
ハルばあさんは腰掛けたままだけれど、あなたをじっと見つめている。
GM
「秋葉ちゃん」静さんが名を呼ぶ。
辻秋葉
「……ん」
GM
「あなたが、いてくれたら」
GM
「こんなにも嬉しいことはないわ」
GM
「でも、ね」
辻秋葉
「……」
GM
「村じゃあなくたって、嬉しいわ」ハルばあが笑う。
GM
「秋葉ちゃんがな」
辻秋葉
「困るだろうに……俺がいないと……」
GM
「どこかで笑ってくれてたら、それでいいんよ」
GM
「むしろ、なんなあ」
GM
「秋葉ちゃんが変な我慢とかして、笑えんくなって」
GM
「美味いもんも、喉通らんくなって……」
GM
「そんなんが」
GM
「一番に、嫌かもなあ」
辻秋葉
「我慢とか、別に……ないし」
GM
「そうけ?」
GM
お菓子を追加で差し出しながら、ハルばあさん。
辻秋葉
もらう……
GM
「なんや、あんま面白うない顔しとるよ」
辻秋葉
「どうせへちゃむくれだよ……」
GM
「あ!」
GM
「あの人かい!」
GM
いきり立ちます。
辻秋葉
お菓子を食べる。もぐ……
GM
「あんなんの言う事間に受けたらそら悪いわ!」
GM
「もう、ハルさんたら」
辻秋葉
もくもく……
GM
どうどうと静さんがハルばあさんを落ち着かせて。
GM
「……秋葉ちゃん」
辻秋葉
「……ん」
GM
「悩ませて、しまっているわね」
辻秋葉
「うん……」
GM
刻まれた皺を、二人、なお深くして。
GM
「ごめんなさい」
GM
「ちょっと、ひどいこと言うわね」
辻秋葉
「……」
GM
「……私たちはね」
GM
「そうやって、いっぱい悩んでくれる」
GM
「何事にも真剣に向き合って」
GM
「一生懸命がんばってくれる」
GM
「そんな、秋葉ちゃんが」
GM
「大好きよ」
辻秋葉
「……俺は」
辻秋葉
「みんながやれって言ったらやれるんだ……」
辻秋葉
「本当だぜ……」
GM
「……うん」
GM
「分かってるわ」
GM
「秋葉ちゃんは」
GM
「私たちのことが、大好きだものね」
辻秋葉
「うん……」
GM
「ほんまに……」ハルばあさんが空を仰ぐ。
GM
「嬉しいわ」
辻秋葉
「ずっと、この村のために俺には何ができるかって……」
GM
「うん」
辻秋葉
「何も知らないうちからずっと、俺はそれを考えてきたんだ……」
GM
「知っとるよ」
GM
「……ええ子ええ子」
GM
ゆっくりと頭を撫でる。
GM
しわくちゃの手が、少し癖のあるその髪を。
辻秋葉
「ん……」
辻秋葉
大人しく撫でられる。
GM
「ようく、分かっとる」
GM
「だから」
GM
「秋葉ちゃんが決めることを」
GM
「皆、信じてるよ」
辻秋葉
「……ん」
辻秋葉
「うん……」
辻秋葉
「……皆、俺に選べって言ってくる」
辻秋葉
「たぶん、恵まれてるんだろうな、俺は……」
GM
「ううん……」
GM
静さんが、少し困ったように頬に手を当てて。
GM
「でも」
GM
「選べるのって」
GM
「選べてしまうのって」
GM
「重いでしょう」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
ちいさく頷く。
GM
「…………」
GM
静さんがゆっくりと、腕を伸ばして。
GM
身を乗り出して。
GM
あなたの身体を抱え込む。
GM
やがてハルばあさんの腕も回されて、熱が重なる。
辻秋葉
あたたかい。
GM
とん、とん、と、背を叩いて。
GM
「秋葉は強い子」
GM
「やさしい子……」
GM
口ずさむ。
GM
幼い頃に、よく歌われた。
辻秋葉
懐かしい感覚。
GM
「村のみんなの」
GM
「たからもの」
GM
おだやかなふしをつけて歌われた、
GM
童謡に似た響き。
辻秋葉
自分を抱え込む細い身体に、頭を擦り寄せる。
GM
ぎゅ、と
GM
腕に力が籠もる。
GM
童謡が、半ばで途切れて。
GM
「……でも」
GM
「秋葉ちゃんが」
GM
「強くなくても、やさしくなくても」
GM
「あなたは」
GM
「ずっと」
GM
「……ずうっと」
GM
「村のみんなの、たからものよ」
辻秋葉
「……俺に」
辻秋葉
「こどもができたら、どう思う?」
GM
「そりゃあ、嬉しいわ!」
GM
「嬉しいわねえ」
GM
「秋葉ちゃんに、好きな人ができて」
GM
「幸せなお母さんになってもらったら」
GM
「ああ」
GM
「こんなにうれしいこと、ないなあ」
辻秋葉
「だよな……」
GM
「秋葉ちゃんが」
GM
「幸せでいてくれるのが」
GM
「笑ってくれんのが」
GM
いちばん、と、声が揃った。
GM
「……愛してるわ」
GM
「秋葉ちゃんのこと」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
「うん……」
GM
「あん人も、あれで……」
GM
「あんなだけど」
GM
「まあ、わかっとるか」
辻秋葉
「大丈夫……」
GM
「秋葉ちゃんにゃお見通しでな」
GM
「分かりやすいわ! そもそも」
GM
だからってあんな、とかってぶつぶつと。
辻秋葉
それはそう……
GM
「……ふふ」
GM
「うん」
GM
「……幸せよ」
GM
「秋葉ちゃん」
GM
「私たちは」
GM
「あなたという幸せを、ずっと」
GM
「願っているわ」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
「俺も、みんなに幸せで」
辻秋葉
「笑っててほしいと、思ってるよ……」
GM
「…………」
GM
「やさしい子」
GM
「優しいなあ」
GM
「……嬉しいわ」
辻秋葉
「俺は、村の宝だからな」
辻秋葉
感情判定を……します 村人と……
辻秋葉
特技は人脈で……!!
GM
人脈だなあ。判定をどうぞ……!
辻秋葉
2D6>=5 (判定:人脈) (2D6>=5) > 4[2,2] > 4 > 失敗
辻秋葉
そんなことあるんだ
辻秋葉
この愛情は一切変わらずに持ち続けていきますということで。
GM
揺るがぬ愛情がここにある……。
GM
あたたかさがあなたを包み込む。
GM
ずっとずっと、一緒にいてくれた。
GM
ずっとずっと、見守ってくれていた。
GM
その熱が。
辻秋葉
どんな結果になるとしても、ずっとこのままここにいることはできない。
辻秋葉
だけど、今はまだ……
辻秋葉
二人の身体に腕を回す。
GM
応えるように、身体が重なる。
GM
きっと同じことを理解している。
変わらぬ日々に終止符が打たれる日が来ることを知っている。
GM
それでも、今だけは。
GM
大切なあなたとともに。
GM
GM
◆メインフェイズ第三サイクル:三登河六衛門
GM
ドラマならAKST、戦闘なら要りません。
三登河六衛門
戦闘シーンを選択します。
GM
了解しました。
誰に戦闘を挑まれますか?
三登河六衛門
秋葉さんに。
GM
了解しました。
乱入はありますか?
芥切薊
秋葉の居所をもって乱入を試みます。
GM
了解しました。GMから特技を指定します。
GM
RTT
GM
RTT ランダム指定特技表(3,8) > 『忍術』変装術
芥切薊
SG>=6 (判定:香術) (SG@12#2>=6) > 6[3,3] > 6 > 成功
GM
では薊が乱入。
六衛門、秋葉、薊の3人で戦闘が開始されます。
リミットは3ラウンド。
GM
◆ラウンド1
GM
あ、RPか。
GM
RPがいる RPをしていきましょう お願いします フレーバーでGMがASKT振るか
三登河六衛門
了解です!
GM
AKST 秋空に雪舞えばシーン表(11) > 草に埋もれ、崩れかけの古い空き家。どこか物悲しさを感じる。
三登河六衛門
あっぶね
GM
まあ出てもGMだから平気!
三登河六衛門
では。
三登河六衛門
夕刻。
三登河六衛門
秋葉さん、今夜も社務所に泊まりますか?
辻秋葉
あのままおばあたちと泊まったかも
辻秋葉
家にね 社務所じゃなくて
三登河六衛門
なるほど。では翌日かな。
三登河六衛門
熊狩の後か、前か。
三登河六衛門
あなたの後ろから気配がする。
辻秋葉
夕方なら、後かな。
辻秋葉
背後の気配を振り向く。
三登河六衛門
佇む男の影が、長く伸びている。
三登河六衛門
「こんばんは、秋葉ちゃん」
辻秋葉
「……こんばんは」
三登河六衛門
学芸員でも、「センセー」でもない、比良坂機関の忍の顔をして。
三登河六衛門
三登河六衛門がそこにいる。
辻秋葉
よく知った男が、知らない顔で立っている。
辻秋葉
「……顔、怖いよ」
三登河六衛門
「ふふ。……ちょっと今は、取り繕う余裕がないかな」
三登河六衛門
「それで……進路は決まったのかな、秋葉ちゃん」
辻秋葉
「……ん」居住まいを正す。
辻秋葉
「俺は」
辻秋葉
「村を、出ようと思う」
三登河六衛門
頷く。「よく、考えたんだね。えらいよ」
三登河六衛門
「では……最後の授業をしよう」
辻秋葉
「……」
三登河六衛門
その手には札。何も書かれていないように見えるが、あなたには感じるだろう。何らかの力が込められていることを。
三登河六衛門
「この村は、世界で一番平和で幸福な村だ。外は違う」
三登河六衛門
「どこにでも理不尽がある。今君が直面したものだけではなく、あらゆる場所に、生と死の境界がある」
三登河六衛門
「私は私のやることをする。君が出会う最初の、外の世界の理不尽で、そして最後の授業だ」
三登河六衛門
「覚悟はいいかな?」
辻秋葉
「……やっぱり、センセーはセンセーだな」
辻秋葉
その問いに、頷く。
辻秋葉
「やるよ……」
辻秋葉
「俺は、この村を世界で一番平和で幸福なまま終わらせたいからな」
三登河六衛門
「ああ」息を吐く。「本当に、よく育ってくれた」
三登河六衛門
「だからこそ、……私も全力で行ける」
三登河六衛門
三登河が戦闘態勢を取る。
辻秋葉
猟銃を構える。
芥切薊
しかしてその間に、ゆらりと、ふと火の点るように現れる。
三登河六衛門
「……来たか」
辻秋葉
「! ちりきり!?」
辻秋葉
「なんだお前、休んどけ!」
芥切薊
「……秋葉。俺はお前の味方だと言ったが」
芥切薊
「俺は俺で、選ぶことはやめない」
芥切薊
「よって、ここにいる」
辻秋葉
「そうかよ……」
辻秋葉
そういうやつだった……
三登河六衛門
「やれやれ……あなたもですか。芥切さん」
三登河六衛門
「いいでしょう。二人まとめて、かかっていらっしゃい」
GM
◆ラウンド1
GM
それぞれプロットをお願いします。
ディスコードでもGMに申告、
かつプロットの決定をメインタブで宣言してください。
三登河六衛門
プロットOK。
芥切薊
プロットOK。
辻秋葉
おまたせしました。大丈夫です……
GM
では
GM
それぞれ3人、1ラウンド目のプロットを開示してください!
[ 辻秋葉 ] がダイスシンボルを公開。出目は 5 です。
[ 三登河六衛門 ] がダイスシンボルを公開。出目は 6 です。
[ 芥切薊 ] がダイスシンボルを公開。出目は 6 です。
GM
◆ラウンド1
 プロット6:薊、六衛門 5:秋葉
GM
◆プロット6
GM
プロット6、薊と六衛門は同時攻撃。
1D100をどうぞ。出目の低い方から処理を行います。
三登河六衛門
1d100 (1D100) > 43
芥切薊
1d100 (1D100) > 72
GM
では六衛門の手番から処理します。
GM
◆プロット6
 行動:三登河六衛門
三登河六衛門
では 秋葉さんに接近戦攻撃。
GM
判定をどうぞ。
プロット6につき6以下の出目で逆凪です。
三登河六衛門
では 振ります
三登河六衛門
SG#6>=5 (判定:経済力) (SG@12#6>=5) > 7[3,4] > 7 > 成功
三登河六衛門
ふーっ
GM
成功ですね。
秋葉は経済力から回避判定です。
GM
ええと
鬼越仁一郎
演出修正。判定にプラス1。
GM
おっと 秋葉の回避判定にプラス1の修正でよろしいですか?
鬼越仁一郎
はい。
GM
了解しました。どのような演出をいたしますか?
鬼越仁一郎
鬼越は千里眼の術と罠術を特技とし、ここで戦うことを予見して、罠を仕掛ていました。
鬼越仁一郎
落とし穴、というほどではなく、踏み込みの力が分散するように、地面を緩くする。それだけの罠です。
鬼越仁一郎
シノビの紙一重には、僅かな踏み込みが回避の成否を変える。
鬼越仁一郎
それを予見しました。
三登河六衛門
札を投げる時、僅かに。
三登河六衛門
足元が揺らぐ感覚。
辻秋葉
回避を行います。
GM
はい。演出修正により+1をつけて判定をどうぞ。
辻秋葉
SG#5+1>=7 (判定:人脈) (SG+1@12#5>=7) > 7[1,6]+1 > 8 > 成功
三登河六衛門
避けられた〜〜〜〜っ
GM
回避成功ですね。
GM
◆プロット6
 行動:芥切薊
芥切薊
三登河に接近戦攻撃。
GM
判定をどうぞ。ファンブル値6です!
芥切薊
SG#6>=5 (判定:香術) (SG@12#6>=5) > 2[1,1] > 2 > ファンブル
三登河六衛門
ああっ!?
GM
ファンブル。
GM
薊は逆凪。
GM
プロット6のRPをしていきましょうか……
三登河六衛門
「……!」足元が滑る。踏み込みの揺らぎ。
三登河六衛門
札を投げた時には、その鋭さが足りないと気が付く。しかし、もう遅い。
辻秋葉
見切れる。これならば。
辻秋葉
センセーらしくもないミスだと思うが……その理由は今はなんでもいい。
辻秋葉
投げられた札を、猟銃が撃ち抜く。
芥切薊
そのわずかな鈍りの隙、三登河に掛かろうとした薊の前で、
芥切薊
「!」
芥切薊
崩した体勢からの戻りが、速すぎる。
芥切薊
刹那に満たない高速起動の中でも、その立ち直りの速度は攻撃を許さなかった。
三登河六衛門
傾いだ足を、次の踏み込みで立て直す。
三登河六衛門
そうして、あなたの隣をすり抜ける。
GM
◆プロット5
 行動:辻秋葉
辻秋葉
三登河に接近戦攻撃。
GM
判定をどうぞ。ファンブル値5!
辻秋葉
SG#5>=5 (判定:野戦術) (SG@12#5>=5) > 8[4,4] > 8 > 成功
GM
成功ですね。
三登河さんは回避判定をどうぞ。
三登河六衛門
SG#6>=7 (判定:毒術) (SG@12#6>=7) > 8[3,5] > 8 > 成功
GM
高い!
GM
ではRPを……
辻秋葉
の前に飛傘をさせてください。
辻秋葉
振ります。
辻秋葉
SG#5>=5 (判定:登術) (SG@12#5>=5) > 4[1,3] > 4 > ファンブル
辻秋葉
あかんか
GM
順序逆で正解
GM
では改めて、RPをどうぞ。
辻秋葉
薊の攻撃をすり抜けた三登河に照準を合わせる。
辻秋葉
人に銃を向けたことは一度もない。
辻秋葉
けれど、相手は熊よりもよほど素早く強い。
辻秋葉
ためらってはいられない。
辻秋葉
狙いを定めて……引き金を引いた。
三登河六衛門
真っ黒な目が、あなたを見る。
三登河六衛門
常人なら避けられないはずのそれを、またもするりとかわす。水のように。
三登河六衛門
「人に向けるのは初めてでしょうに。上出来です」
三登河六衛門
そうして改めて、態勢を立て直す。
辻秋葉
「……もう、初めてじゃなくなった」
三登河六衛門
「ええ。その通り。いい調子ですよ」
辻秋葉
銃を構えたまま、対峙している。
GM
1ラウンド目が終了します。
GM
◆ラウンド2
GM
改めてプロットをどうぞ。
三登河六衛門
プロットOKです。
辻秋葉
プロットOK。
芥切薊
プロットOK。
GM
ではラウンド2、プロットオープンお願いします!
[ 辻秋葉 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 三登河六衛門 ] がダイスシンボルを公開。出目は 6 です。
[ 芥切薊 ] がダイスシンボルを公開。出目は 6 です。
GM
◆ラウンド2
 プロット6:薊、六衛門 4:秋葉
GM
◆プロット6
GM
薊と六衛門は同時攻撃。
1D100を。低い方から処理します。
三登河六衛門
1d100 (1D100) > 57
芥切薊
1d100 (1D100) > 12
GM
薊からですね。
GM
◆プロット6
 行動:芥切薊
芥切薊
再度、三登河に接近戦攻撃。
GM
命中判定をどうぞ。
芥切薊
SG#6>=5 (判定:香術) (SG@12#6>=5) > 4[2,2] > 4 > ファンブル
GM
◆プロット6
 行動:三登河六衛門
三登河六衛門
奥義を使用します。
GM
畏まりました。
奥義情報を貼り、行動と対象を宣言してください。
三登河六衛門
■奥義
《召喚『三途の川』》
指定特技:言霊術
効果  :範囲攻撃/滅び/人数限定
演出  :嘘か真かは定かではないが、あの世とこの世の境界に接続して奇怪な水流を放つ。
三登河六衛門
対象は、辻秋葉。
GM
GM
おっと
三登河六衛門
あっ 範囲内好きなだけ選べる ではなかったでしたっけ 範囲
GM
大丈夫だった
三登河六衛門
よかった
GM
失礼しました!
GM
では、秋葉は任意分野の生命力を2点喪失します。
どこを失いますか?>秋葉
辻秋葉
妖術と忍術。
[ 辻秋葉 ] 忍術 : 1 → 0
[ 辻秋葉 ] 妖術 : 1 → 0
GM
秋葉は脱落。
GM
RPをいただきましょうか。
三登河六衛門
「私は渡守。六文銭はまだ結構。しかし……」
三登河六衛門
「しばしご覧いただくとしましょう、三途の川を!」
三登河六衛門
その手元から、じわりと水が染み出して、みるみるうちに濁流となる。
辻秋葉
「……!!」
三登河六衛門
濁流は、教え子であるあなたの方へ。
辻秋葉
跳び上がり、逃げる暇もなく。
辻秋葉
呑み込まれる。
三登河六衛門
その水は冷たく、死の気配に満ちている。
辻秋葉
死。
辻秋葉
それは、この村の人々に存在しなかったもの。
辻秋葉
秋葉の知らないもの。
三登河六衛門
「外には」
三登河六衛門
「そこに通じる道が、いくらでも溢れている」
辻秋葉
くるしい。
三登河六衛門
「しかし、それも自然の摂理。生と死は紙一重だ。君が知るように」
辻秋葉
もがいても、手足は水をかくばかり。
三登河六衛門
「君が、村のために熊を狩って来たように」
三登河六衛門
「生きるものには死がいつかくる。ここにはなかった。けれど、外にはある」
三登河六衛門
「本気で外に行くのなら、それを知っておきなさい」
辻秋葉
息が、できない……。
辻秋葉
三登河の声が、脳裏に冷たく響く。
三登河六衛門
水が引いていく。
三登河六衛門
本当にそれが三途の川の水なのか。三登河以外に知る者はいない
辻秋葉
「──……っ、」
辻秋葉
ゲホ、ゲホ、と激しくむせる。
辻秋葉
冷たい水を吐き出す。
辻秋葉
……初めて、死の危険を身近に感じた。
辻秋葉
自分が、誰かが死ぬのだと、言葉で交わしてきたよりもずっと現実的に。
GM
ラウンド2が終了。
GM
脱落希望はありますか?
三登河六衛門
脱落……するか〜〜〜
GM
*了解しました。六衛門は脱落。
 勝者は芥切薊になります。
GM
*戦果の宣言をどうぞ。
芥切薊
では、三登河に対して怒りの感情を獲得。
GM
畏まりました。
RPしていただきましょうか。
三登河六衛門
「では」一歩、後ろに下がる。
三登河六衛門
「本日のところは、これにて失礼します」
芥切薊
「…………」
芥切薊
「また。……今度は、気が向かずとも」
三登河六衛門
「ええ。また。その時は、……本気でお手合わせ願いましょう」
三登河六衛門
「ああ、申し訳ありませんが……彼女のこと、頼みますね」
芥切薊
「ああ」
三登河六衛門
「ありがとうございます」一礼をして、踵を返す。
芥切薊
言葉通りにその背を追わず、秋葉に向かう。
辻秋葉
濡れた子犬のような佇まい。
三登河六衛門
去る足音が、遠ざかっていく。
辻秋葉
指先が震えている。
芥切薊
秋葉の前に片膝をつき、
芥切薊
「……大丈夫か」
芥切薊
尋ねながら、顔色に目を細める。
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「大丈夫、だ……」
芥切薊
「…………」
芥切薊
額に貼り付く濡れた髪を横に払う。
芥切薊
「すまん」
辻秋葉
「……別に」
辻秋葉
「謝られることない」
芥切薊
「……そんな面で、言うことじゃないぞ」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「大丈夫だ……」
辻秋葉
三登河は自身のやるべきことをやると、何度も宣言されていた。
辻秋葉
本気で向かってくるのは、分かっていた……。
芥切薊
「秋葉」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
頭を振って、水を払う。まとわりつく死の気配を振り払うように。
芥切薊
「…………」 そのさまを、じっと見て。
芥切薊
「……大丈夫だと、言えなくなったら」
芥切薊
「……まあ、甚だ頼りないかもしれんが、」
芥切薊
「俺は横にいる」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
見上げる。
芥切薊
目は逸らさない。
辻秋葉
「ちりきり……」
辻秋葉
「寒いよ、俺……」
芥切薊
「……だろうな」
芥切薊
小さな頭を引き寄せる。
辻秋葉
「……」
芥切薊
村の人々とは違う抱きしめ方。
辻秋葉
身体の硬さも、手のひらの感触も、違う。
辻秋葉
冷たく震える指先で、小さく薊の服を掴む。
芥切薊
あやすように、後ろ髪を撫でる。
辻秋葉
「……」
辻秋葉
さわるな、とはさすがに言わない。
辻秋葉
大人しく撫でられている。
芥切薊
「……お前を」
芥切薊
「あたたかいところに居させてやりたいよ」
辻秋葉
「……」
芥切薊
「冷たい水が、恐ろしいばかりじゃない場所を」
芥切薊
「見せてやりたい」
辻秋葉
ずっと、この村が秋葉の全てだった。
辻秋葉
この村の中だけが、秋葉のあたたかいところだった。
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「海……?」
芥切薊
「ああ」
辻秋葉
「……海って、どんなところなんだ」
芥切薊
「……きれいだったよ」
芥切薊
あまりに飾らない言葉。
辻秋葉
「それじゃわかんない……」
芥切薊
「ずっと遠くまで、淡い光が輝いているみたいだった」
芥切薊
「波が寄せて、返すたびに」
芥切薊
「そこに、きらきらと光が瞬いて」
辻秋葉
「ひかり……」
芥切薊
「炎でも、星でもない光だった」
芥切薊
「触れることのできる、光だった」
辻秋葉
「……遠くまでって、村の端から端よりもっと遠い?」
芥切薊
「うん」
辻秋葉
「そんなに広くて、きれいな場所があるんだな……」
芥切薊
「そうだよ」
辻秋葉
この村の光景だって、秋葉には美しいけれど。
辻秋葉
今しがた語って聞かされた海の様子は、想像もつかないほどに未知だ。
辻秋葉
「……見て」
辻秋葉
「みたいな……」
芥切薊
ぐ、と腕に力を込める。
芥切薊
「うん」
辻秋葉
「きっと、皆も見ておいでって言う……」
辻秋葉
「行ったことのない場所に行って、知らないものを見て……」
辻秋葉
「俺にそうしてほしいと、思ってるんだ……」
芥切薊
「みんな」
芥切薊
「お前が大切だからな」
辻秋葉
「うん……」
芥切薊
そっと離す。
辻秋葉
指先は服を掴んだまま。
辻秋葉
「……ちりきりも濡れちゃったな……」
芥切薊
「大丈夫だよ」
芥切薊
「俺は、寒くない」
辻秋葉
「そう……」
芥切薊
「お前も」
芥切薊
「……お前は、ちゃんと、わかっているから」
芥切薊
「ちゃんと、本当に大丈夫になれる時が来る」
辻秋葉
「……ん」
芥切薊
「……うん」
辻秋葉
「……俺も、寒くなくなった」
辻秋葉
手を離す。
辻秋葉
震えは止まっている。
辻秋葉
「ちりきり」
芥切薊
「なんだ?」
辻秋葉
「……ありがとうな」
芥切薊
「……いいんだ」
芥切薊
「大丈夫だ」
辻秋葉
頷く。立ち上がる。
辻秋葉
足のつかない水の中ではない。
辻秋葉
まだ自分は生きていて、ここはあたたかい。
辻秋葉
「大丈夫だ……俺も」
辻秋葉
「大丈夫」
芥切薊
「…………」 立ち上がり、頭をもうひと撫でする。
辻秋葉
「ん……」
辻秋葉
撫でられた。
辻秋葉
濡れた頭を撫でつける、そのてのひらのあたたかさを感じていた。
GM
GM
◆メインフェイズ第三サイクル
 行動:芥切薊
GM
ドラマであればAKSTを。
芥切薊
AKST 秋空に雪舞えばシーン表(6) > 6:山中に続く林道。勾配の厳しい道から、紅葉が浮かび流れる穏やかな川が見下ろせる。
GM
おだやかだ……
芥切薊
ロールに入る前に、サッと回復判定を振ります。
芥切薊
薊には、この村にある契約が作用している。
今、石そのものが鬼越の手にあれども、まだ、その効果は何も失われてはいない。
芥切薊
呪術で。
GM
はい。判定をどうぞ。
芥切薊
SG>=5 (判定:呪術) (SG@12#2>=5) > 7[2,5] > 7 > 成功
芥切薊
器術を回復。
[ 芥切薊 ] 器術 : 0 → 1
GM
では、そのままRPをどうぞ。
芥切薊
山中。村の人々の営みを見下ろす坂の上。
芥切薊
こうして何もかもを知った後だと、己の歩んできた人生を振り返る気持ちが、いくばくかある。
芥切薊
俺は生まれ、この村から分かたれ、斜歯でともに過ごした姉と分かたれ、斜歯から自ら分かれ。
芥切薊
そしてどうやら、もはやこの現し世からも分かたれつつある。
芥切薊
しかし今はまだ、この足はここに立っていて。
この村の持つ力は、この身に確かに作用している。
芥切薊
だからこの傷も、こんなにも治りが早い。
芥切薊
空気は冷たく、風はぬくもりを攫う。
芥切薊
山はもう、冬を孕み始めている。
芥切薊
この、俺にとって、人生のどの時分よりも穏やかだった日々は終わる。
芥切薊
ふ、と下界から視線を切る。
芥切薊
坂の上、山により深く入る道。
芥切薊
そちらへ足を向ける。
芥切薊
川の音を聞くともなく聞きながら、上へ、上へ。
鬼越仁一郎
鬼越仁一郎が立っている。
芥切薊
「……待っていると思った」
鬼越仁一郎
「ああ」
鬼越仁一郎
「隠されていたものが暴かれ、意志が定まる」
鬼越仁一郎
「そうすれば、動くものがある」
芥切薊
「……俺にもお前にも、今、隠すものはもはやない」
芥切薊
「もう間もなく、古いものが動き、そして新たに何かが始まる」
芥切薊
「それがどんな形か」
芥切薊
「俺の目に確たる先は見えないが」
芥切薊
「お前とも」
芥切薊
「もう一度、けりを付けなければならん」
鬼越仁一郎
「移り変わるのは世の常だ。運命を捻じ曲げ、留め置いたところで、どこかで歪が生じる」
鬼越仁一郎
「日毎に日は短くなり、草木は枯れてゆく。そうして冬を迎えた先に、また春も来る」
鬼越仁一郎
「俺とて、すべてを見通すことはできない」
鬼越仁一郎
「わずかにでも良くなるようにと務める。それが人の手でできる限界だ」
鬼越仁一郎
「シノビであれ、それは変わらん」
鬼越仁一郎
「お前とは、もう一度けりを付ける」
鬼越仁一郎
「それが俺の仕事であり、流儀」
芥切薊
「ああ」
芥切薊
「お前が果たすべきは、俺のこの心の臓を止めること」
鬼越仁一郎
頷く。
芥切薊
「……それが変わらないなら、いい」
芥切薊
「無益なことはしないと思っている」
鬼越仁一郎
「あの娘に手を出すなと?」
芥切薊
「それは、まあ、あの娘次第だろうな。言って聞かせても、黙ってはいないだろう。お前にそれを呑ませてまで何かを願うことはできない」
芥切薊
「だが、……そうだな」
芥切薊
「……そうだな。……俺はあの娘に、海を見せてやりたい」
芥切薊
「ただ、それだけだ。お前も知る通りに」
芥切薊
「益のない感傷だろう。だが」
芥切薊
「俺の意志だ」
鬼越仁一郎
「意志」
鬼越仁一郎
「意志とは、まったく、厄介なものだ」
鬼越仁一郎
「形がなく、奪うことはできず、目に見えず、しかし激しく」
鬼越仁一郎
「時に運命に抗う」
鬼越仁一郎
「その意志を妨げるのは、俺の仕事ではない」
鬼越仁一郎
「邪魔になるのは、比良坂の方だな」
鬼越仁一郎
「あの男と俺は、ある大きな秩序を重んじるものであるには変わらない」
鬼越仁一郎
「が、見ているものは違う」
芥切薊
頷く。
芥切薊
「……お前に、頼む、と言いはしない」
芥切薊
「お前が、俺の首を刎ねたゆえに」
芥切薊
「俺の命を刈ろうとするお前に、いくばくか」
芥切薊
「信を置く」
鬼越仁一郎
笑う。
鬼越仁一郎
「次の戦いは、なかなか難しいものになるだろうな。俺にとって」
鬼越仁一郎
「だが、それを成す他ない」
鬼越仁一郎
「試練に行き遭うのが、忍の常。人の常」
芥切薊
「ああ」
辻秋葉
草木を分け入る音。
辻秋葉
木々の合間を縫って、秋葉が姿を現す。
辻秋葉
二人の姿を認め、
辻秋葉
「ん……ちりきりも一緒か」
芥切薊
そちらを見やる。
鬼越仁一郎
「俺に用か」
辻秋葉
薊に片手で挨拶して、鬼越に向き直る。
辻秋葉
「うん。探してた」
鬼越仁一郎
「定まったと見える」
鬼越仁一郎
「お前にとって、何が重要で、何が重要ではないのか」
鬼越仁一郎
「何を切り捨て、何を取るのか」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
「それで、俺はお前と、交渉……?をしにきたんだ」
鬼越仁一郎
「聞こう」
辻秋葉
「おにごえは、ちりきりを殺しにきたんだろう」
鬼越仁一郎
頷く。
辻秋葉
「それって……本当にすぐじゃないとダメなのか?」
辻秋葉
「俺は儀式をやらない。そしたら……ちりきりは、遠からず、死ぬ……」
辻秋葉
「それで……お前の目的は達成できるんじゃないのか……?」
鬼越仁一郎
「生憎だが……」
鬼越仁一郎
「次に刃を交えたとき、俺は確実にこの男の息の根を止めなければならん」
鬼越仁一郎
「それが俺の仕事で、揺るぎはしない」
辻秋葉
「なんでだよ……」
鬼越仁一郎
「もとより、こうしてこの男が生き延びている」
鬼越仁一郎
「これがそもそもの異常事態で、不測の事態」
鬼越仁一郎
「俺にとって、御釘衆にとって、すでに事は起きている」
鬼越仁一郎
「この事態を収拾せずに、死を待ち受けるということは出来かねる」
鬼越仁一郎
「あるいはまた別の不測の出来事が、この男を生き延びさせるかもわからん」
鬼越仁一郎
「だから俺は、確実に仕事を果たす」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「そうか……」
鬼越仁一郎
「……分が悪い戦いではないだろう、辻秋葉」
鬼越仁一郎
「俺を退ければよいだけのこと」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
でも、この男は一度薊に勝って、殺している。
辻秋葉
だから、もしも戦わずに済むならそれに越したことはないと思っていた。
辻秋葉
「分かった……分かってる」
辻秋葉
「無理を言って悪かった」
鬼越仁一郎
「いや、構わない」
鬼越仁一郎
「交渉とは、リスクを伴う行為」
鬼越仁一郎
「覚悟なしに切り出した話ではないだろう」
鬼越仁一郎
「その男の言葉を借りるならば」
鬼越仁一郎
「それが、お前の意志ということだ」
辻秋葉
「意志、か……」
辻秋葉
「そうだな」
辻秋葉
「多分、俺は今、はじめてそういうものを持っているんだと思う」
鬼越仁一郎
「意志を持つものほど、険しい試練に行きあたる」
鬼越仁一郎
「知ること、向き合うことは、身の安心や安全を保証するものではない」
鬼越仁一郎
「むしろ、逆だ」
鬼越仁一郎
「そうして世界が開かれるほど、険しい道を生きることを知るだろう」
辻秋葉
「そうだな……」
辻秋葉
「今、怖いよ。何も知らなかった頃はそんなものなかったのに……」
鬼越仁一郎
「そうだろうな」
辻秋葉
「でも、怖いけど」
辻秋葉
「知れてよかったと思ってる」
鬼越仁一郎
「お前が、困難の前に膝を折り、逃げる忍であれば」
鬼越仁一郎
「俺の仕事は、もっと楽なものになっていただろうな」
辻秋葉
「残念だけど、楽させてやるわけにはいかないな」
鬼越仁一郎
「まったく、残念だ」
辻秋葉
「……話ができてよかった」
辻秋葉
「ちりきりとはたくさん話したし、センセーのことは昔から知ってるけど、おにごえのことだけ何も知らなかったから」
辻秋葉
「少しだけでも、何を考えてる人なのか知れてよかった」
鬼越仁一郎
「お前は、知ることが安全を遠ざけうると知った上でも、それを言うのだな」
辻秋葉
「知らないと、戦いを避けられる相手かどうかも分からないだろ」
鬼越仁一郎
「殺めてしまえばそれでよい。そう考える者も多い」
辻秋葉
「ええ……そういうのやだなぁ、俺……」
鬼越仁一郎
笑う。
鬼越仁一郎
「お前が生きる先は、さぞ多くの試練が待ち受けているだろう」
辻秋葉
「そんな先のことまで考えてられん」
辻秋葉
「ひとまずセンセーとおにごえを乗り越えるので精一杯だ」
鬼越仁一郎
「ああ」
鬼越仁一郎
「乗り越え、勝ち取ってみせろ」
辻秋葉
「そうする」頷く。
芥切薊
二人のやり取りを、傍らでじっと聞いていた。
芥切薊
そして、それが二人の間で終わったのを見計らい。
芥切薊
「秋葉」
辻秋葉
「ん」
芥切薊
「戻ろう」
辻秋葉
「うん」
辻秋葉
薊の方に寄っていく。
芥切薊
最後に鬼越に目を遣り、視線でなにか、頷いて。
芥切薊
それから、秋葉を伴って山道を下りていく。
鬼越仁一郎
見送る。
鬼越仁一郎
時間は片時も止まらない。
鬼越仁一郎
その時を待つ。
鬼越仁一郎
待ち受けるのが、俺の仕事だ。
芥切薊
下る坂道。山に訪れつつある冬を、今はまだ背に置いて。
芥切薊
その時に向かっていく。
GM
GM
◆クライマックスフェイズ
GM
北風が吹く。
GM
凍える寒さはもうすぐ、この地に訪れる。
GM
冬の訪れを告げるのは白い雪。
GM
いつもより遅目の初雪が、指輪木村に降る。
GM
少し前まで晴れ渡っていた秋空に雪が舞い、
GM
村人たちが、そっと呟く。
GM
「冬が来る」
GM
「冬が来るねえ」
GM
「……祭りの準備を、しなくてはね」
GM
神社に続く道に灯りがともり、祭りの準備が進められているのが見て取れる。
GM
しかし、その境内に巫女の姿はない。
GM
村人たちはそれを知って、けれど、いつもの通りに祭りの支度をしている。
GM
豊穣を祈る飾りを整えながら、
GM
静さんが雪舞う秋空を見上げる。
GM
「……秋葉ちゃん」
GM
祈るように、掌を合わせた。
GM
 
GM
その、少し前。
GM
何かが入った古い麻袋――それでもこの村では、いっとうきれいなものだ――を、静さんが秋葉へと渡していた。
辻秋葉
受け取り、首をかしげる。
辻秋葉
大きさの割に軽い荷物。
GM
柔らかくて、軽い。
GM
そしてどこか、あたたかい。
GM
「……行くのよね」
GM
「村の、外に」
辻秋葉
「……」
辻秋葉
「うん」
辻秋葉
「俺、行くよ」
GM
微笑む。
GM
「それじゃあ」
GM
「これは、餞別」
GM
「お外の流行は、私たち、わからないけれど……」
GM
「なるたけ上等なの、仕上げたのよ」
辻秋葉
「餞別……」
辻秋葉
袋を開ける。
辻秋葉
そこに詰められた品を取り出す。
GM
外の世界に出るあなたのために仕立てられた、
GM
新しい服。
GM
この村にミシンはない。ひとつひとつが手縫いで。
GM
小さな秋の葉、楓の刺繍が、さりげなくあしらわれた。
GM
……それと、いくつか、干し柿が。
辻秋葉
ぱちぱちと、目を瞬かせる。
辻秋葉
いつもの着古しの、よれて毛玉だらけの服とは全く違う。
GM
「これを、着てくれていたら」
GM
「ずっと一緒」
辻秋葉
手に持った服ごと、静ばあを抱きしめる。
辻秋葉
「……ありがとう」
GM
「ふふ」
GM
「ありがとうねえ」
GM
細くてしわくちゃの手がそれに応え、あなたの背に。
GM
「……宝物よ」
GM
「いつまでも」
GM
「あなたは、この村の……」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
「わかってる」
辻秋葉
「忘れないよ」
GM
「ええ」
GM
「それが、私たちにとっての」
GM
「いっとうの幸せよ」
GM
 
GM
それを纏って。
GM
神社の境内ではなく、
GM
外へと続く道を、あなたはゆく。
辻秋葉
汚すかもしれないから、村を出られてから着ようかとも迷ったけど……。
辻秋葉
もしものとき、袖を通しておけばよかったと思うのは嫌だから。
辻秋葉
それに、この服を着ていた方が、みんながいてくれるみたいでがんばれる気がする。
辻秋葉
だからこの服を着て、俺は村を出ていく。
芥切薊
そうして歩く秋葉の道行きに、薊が佇んでいる。
芥切薊
村の内を眺めやるようにして。
辻秋葉
「……ちりきり」
GM
祭りの飾り付けがなされ、ちらちらと雪の舞う村のさま。
辻秋葉
その視線につられて、振り返りそうになるけれど。
辻秋葉
もう戻らないと決めたから、しない。
芥切薊
「秋葉」
芥切薊
「選んだな」
辻秋葉
新しい服をまとって立っている。何事もなければこの日に着るはずであった巫女装束ではなく。
辻秋葉
「うん」
辻秋葉
「行こう、ちりきり」
芥切薊
「……ああ。行こう」
芥切薊
簡単に、行けるはずもないことはわかっている。
芥切薊
しかし、それでも、そう言う。
辻秋葉
それが俺の意志だから。
芥切薊
選んだものの重みは、背に負う。
三登河六衛門
村を離れゆこうとする、あなたたちの後ろから。
三登河六衛門
ひた、ひた、と、ついてくる気配がある。
三登河六衛門
走ってはいない。それでも、逃がさないという意志は感じさせる歩み。
三登河六衛門
雪の舞う中、その男があなたたちに視認できる場所に現れる。
三登河六衛門
「辻秋葉。芥切薊」
三登河六衛門
「恨みはないが、日ノ本のため」
三登河六衛門
「お命頂戴仕る」
辻秋葉
「……センセー」
三登河六衛門
「私は比良坂機関が一、三登河六右衛門」
三登河六衛門
「今は、そのように」
辻秋葉
「ふん……なんて呼ぼうが俺の勝手だろ」
辻秋葉
布の向こうで、今もあの時と同じ知らない顔をしているのだろうか。
辻秋葉
「名前長いんだよ……センセーの方が呼びやすい」
三登河六衛門
男は答えない。だが、その布の向こう。
三登河六衛門
微かに笑った気配は、あなたにも伝わっただろう。
辻秋葉
その顔なら、想像できる。
辻秋葉
「俺は知ってるんだぞ……あんただって本当は俺を外に行かせたいはずだ」
辻秋葉
「ただ、センセーにとってはそれより大事なものがあるだけで」
三登河六衛門
「その通り」
三登河六衛門
「情はある。嘆きもする。しかし」
三登河六衛門
「私は切り捨てることができる。役目のためなら」
辻秋葉
「素直じゃん……」
辻秋葉
「俺は、村のみんなの希望を叶えるぜ」
辻秋葉
そこにセンセーも入ってるのは、分かってくれてるよな?
三登河六衛門
「……本当に」
三登河六衛門
「良くぞ、ここまで」
三登河六衛門
「だからこそ……君は、贄にふさわしい」
辻秋葉
「自慢の教え子だろう」
辻秋葉
「忘れさせないぜ」
辻秋葉
「一生誇ってけ」
三登河六衛門
また、笑う気配。
三登河六衛門
「ならば、忘れさせないように、してみせなさい」
三登河六衛門
「私は、容赦はしない」
辻秋葉
「うん」
辻秋葉
「大丈夫だ。わかってる」
三登河六衛門
頷く。そうして、構える。
鬼越仁一郎
追う者があれば、待ち受ける者がある。
鬼越仁一郎
行く先に、男は現れる。
鬼越仁一郎
「俺は鬼越仁一郎。斜歯忍軍、御釘衆」
鬼越仁一郎
「芥切薊。お前を殺すために、俺はここにいる」
芥切薊
相対する。
芥切薊
「不知火が血、芥切薊」
芥切薊
「鬼越仁一郎。お前をくぐり」
芥切薊
「俺は意志を通そう」
鬼越仁一郎
「決着をつける時がきたな」
鬼越仁一郎
「お前の意志が、この混沌を招き入れた」
鬼越仁一郎
「お前の意志が貫くか、命運にて俺がそれを凌ぐか」
鬼越仁一郎
「……いや」
鬼越仁一郎
辻秋葉と三登河六衛門を一瞥し、
鬼越仁一郎
「ただ、四を数える刃が、その火花を散らすのみ」
芥切薊
「ああ。忍びとは、常に斯くあるもの」
芥切薊
「相対せば、そこには勝者と敗者が生まれる」
芥切薊
「ただ、それだけのこと」
鬼越仁一郎
「刃がよぎれば、分かたれる」
鬼越仁一郎
「心があれば、交じりあう」
鬼越仁一郎
「そして、その時がきた」
鬼越仁一郎
「いざ、参る」
芥切薊
もはや言葉はない。ざり、と土を踏み。
芥切薊
ひたと見据えて、その眼に向かい立つ。
GM
晩秋の青空にちらちらと舞う初雪。
GM
その白をさらうように吹きつけた木枯らしが、
GM
忍びたちの開戦の徴となった。
GM
◆クライマックスフェイズ/ラウンド1
GM
プロット前に、クライマックスフェイズにおける特殊ルールを再確認します。
GM
・クライマックスフェイズは6ラウンド制限とする
  ・その時点で最も生命点の欠けが少ない者が勝者となる
  ・同じ残り生命力1点でも頑健を取得している者と頑健を取得していない者では後者が勝利する
  ・状況を鑑みて延長する可能性もあるがPLと相談の上GMが判断
・クライマックスフェイズの勝者は、脱落した者の生殺与奪の権を持つ
GM
以上です。
GM
それでは各々、プロットをどうぞ。
ダイスを隠して設置すると同時にディスコード秘話にてGMに申告、
それとメインタブでの決定宣言をお願いします。
GM
失礼しました。
その前に、プライズ『黄泉路血石』の所持者である鬼切仁一郎氏に
確認させていただきましょうか。
GM
『天ヶ原奉納演武』の開始を宣言しますか?
鬼越仁一郎
無論、儀式は行わない。
GM
畏まりました。
よって、『天ヶ原奉納演武』を成功させるためには、
贄の神子を二人死亡させ、勝者となった者が儀式の実行を宣言する必要があります。
GM
改めて、ラウンド1のプロットをよろしくお願いします!
鬼越仁一郎
奈落を使用する。
GM
判定をどうぞ。
鬼越仁一郎
2D6>=5 (判定:掘削術) (2D6>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
成功ですね。
では、奈落のプロットも同時にお願いします。
辻秋葉
プロットOK
鬼越仁一郎
プロットOK
芥切薊
プロットOK
三登河六衛門
プロットOK
GM
それでは全員、ラウンド1のプロットオープンお願いします!
[ 鬼越仁一郎 ] がダイスシンボルを公開。出目は 2 です。
[ 辻秋葉 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 鬼越仁一郎 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 三登河六衛門 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 芥切薊 ] がダイスシンボルを公開。出目は 5 です。
鬼越仁一郎
鬼越は2、奈落は4。
GM
◆ラウンド1
 プロット5:薊 4:秋葉、六衛門 2:仁一郎
GM
プロット4の秋葉と六衛門は奈落により掘削術で判定をどうぞ。
この判定に失敗すると逆凪となり、ファンブルエリアに送られます。
辻秋葉
SG#4>=8 (判定:登術) (SG@12#4>=8) > 5[2,3] > 5 > 失敗
三登河六衛門
2D6>=6 (判定:壊器術) (2D6>=6) > 9[4,5] > 9 > 成功
辻秋葉
忍具を使用。神通丸。
[ 辻秋葉 ] 忍具 : 2 → 1
辻秋葉
振り直します。
GM
どうぞ!
辻秋葉
SG#4>=8 (判定:登術) (SG@12#4>=8) > 4[1,3] > 4 > ファンブル
辻秋葉
ぐえ~
GM
秋葉は逆凪。
GM
◆プロット5
 行動:芥切薊
芥切薊
三登河に吹火を使用。
GM
判定をどうぞ。
芥切薊
SG#5>=5 (判定:火術) (SG@12#5>=5) > 8[2,6] > 8 > 成功
GM
成功ですね。六衛門さんは火術より回避判定を。
三登河六衛門
回避します。
三登河六衛門
SG#4>=7 (判定:砲術) (SG@12#4>=7) > 9[3,6] > 9 > 成功
GM
回避成功ですね。
RPを。
芥切薊
ふと、火の点る。そのさまに似た、静かな立ち姿。
芥切薊
柔らかく開いた手のひらに、
芥切薊
ちり、と音が立つ。
芥切薊
雪舞う中に、炎が燃え立つ。
芥切薊
迷いない眼差しに炎が揺れ、その熱を叩きつけようとする。
三登河六衛門
熱。
三登河六衛門
それを感知するや否や、札が閃く。
三登河六衛門
冷気を孕んだ札を一枚身代わりにして、燃え立つ炎から逃れる。
芥切薊
速い。
芥切薊
避けられた炎はまだ消えない。手のひらの中に業が燃えている。
三登河六衛門
渡守は立っている。業の炎を前にしてもなお動ずることなく。
三登河六衛門
肩に羽織った黒い着物が、風と雪にはためいた。
GM
◆プロット4
GM
秋葉と六衛門は同時攻撃。
1D100をお願いします。低い方から処理していきます。
辻秋葉
1d100 (1D100) > 26
三登河六衛門
1d100 (1D100) > 25
GM
では、六衛門から。
GM
◆プロット4
 行動:三登河六衛門
三登河六衛門
奥義を使用します。
GM
了解しました。
対象はいかがされますか?
三登河六衛門
対象は芥切薊と、鬼越仁一郎の2名で。
芥切薊
奥義破りを試みます。
GM
了解しました。
六衛門の奥義は範囲攻撃、指定特技は言霊術です。
GM
既に奥義情報を保持している薊と秋葉は奥義破りが可能です。
改めて、薊は判定をどうぞ。
芥切薊
SG#5>=9 (判定:見敵術) (SG@12#5>=9) > 9[3,6] > 9 > 成功
GM
奥義破り成功ですね。
GM
このタイミングで仁一郎にも奥義情報が渡ります。
鬼越仁一郎
頂戴した。
GM
◆プロット4
 行動:辻秋葉
辻秋葉
逆凪につきパスします。
GM
畏まりました。
ではプロット4のRPをお願いします。
奈落のRPからかな。
鬼越仁一郎
鬼越は黒鍬の末裔であり、戦場の構築を戦法とする。
鬼越仁一郎
忍といえど重力には抗えず、寄って立つものがある。
鬼越仁一郎
人は足元に立つ。経済、社会、秩序、倫理、観念……。
鬼越仁一郎
何にも支えられぬものは、人に非ず。
鬼越仁一郎
故に、易く、確実に立てる足場は、この戦場には存在しない。
鬼越仁一郎
音をも捕らえる地面のほころびが、二人の忍を待ち受ける。
辻秋葉
指輪木村に地震は起こらない。だから、寄って立つ地面の確かさを疑ったことなどなかった。
辻秋葉
三登河に向かっていくべく踏みしめた足元に、違和感。
辻秋葉
「……っ!?」
辻秋葉
身体が傾ぐ。
三登河六衛門
その違和感は既に知っている。だが、先日のそれより大きなものだと気がついて。
三登河六衛門
すぐさま近くの樹上に飛び退く。
三登河六衛門
体勢を崩した秋葉を一瞥したが、
三登河六衛門
(……否、今は)
三登河六衛門
そして樹上で、その手が招く。冥界の水を。濁流を。
三登河六衛門
流れ落ちる水が、芥切と鬼越に襲い掛かろうとする。
鬼越仁一郎
「!」
鬼越仁一郎
それは奥義。何ものにも記されぬその技を、鬼越はまだ、見抜けない。
芥切薊
しかし、この男は見ている。
芥切薊
その水が地に触れるよりもなお速く、
芥切薊
三登河の立つ木の樹冠に向け、火を放つ。
三登河六衛門
「……!」
芥切薊
その業を乱す。忍びにとっては有用なひと瞬きのために。
三登河六衛門
水流の制御を諦め、樹から飛び退く。
三登河六衛門
瞬く間に冥府の水は蒸発したかのように消え。
三登河六衛門
「……見切られましたか」小さくつぶやきながらも、戦闘体勢は解かない。
GM
◆プロット2
 行動:鬼越仁一郎
鬼越仁一郎
鬼越は動かない。ただ、影を己の領域とするのみ。
GM
◆ラウンド1 終了
[ GM ] ラウンド : 1 → 2
GM
ラウンド2のプロットをお願いします。
鬼越仁一郎
奈落を使用します。
GM
判定をどうぞ!
鬼越仁一郎
2D6>=5 (判定:掘削術) (2D6>=5) > 9[3,6] > 9 > 成功
GM
通していく。
辻秋葉
プロットOK
芥切薊
プロットOK
三登河六衛門
プロットOK
鬼越仁一郎
プロットOK
GM
それではラウンド2、プロットの開示をお願いします!
[ 鬼越仁一郎 ] がダイスシンボルを公開。出目は 6 です。
[ 辻秋葉 ] がダイスシンボルを公開。出目は 3 です。
[ 鬼越仁一郎 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 三登河六衛門 ] がダイスシンボルを公開。出目は 5 です。
[ 芥切薊 ] がダイスシンボルを公開。出目は 5 です。
GM
◆ラウンド2
 6:仁一郎 5:薊、六衛門 3:秋葉
 奈落:4
GM
◆プロット6
 行動:鬼越仁一郎
鬼越仁一郎
芥切薊に蟻地獄を使用。
GM
命中判定をどうぞ。
芥切薊
火遁使用。
GM
はい。では火遁の判定からですね。
芥切薊
SG#5>=5 (判定:火術) (SG@12#5>=5) > 7[1,6] > 7 > 成功
GM
通った!
仁一郎の命中判定のファンブル値が+1です。
鬼越仁一郎
SG#7>=5 (判定:掘削術) (SG@12#7>=5) > 8[3,5] > 8 > 成功
GM
こちらも通す……!
GM
成功です。
薊は掘削術から回避判定をどうぞ。
芥切薊
SG#5>=6 (判定:壊器術) (SG@12#5>=6) > 9[4,5] > 9 > 成功
鬼越仁一郎
奥義使用。
GM
了解しました。
奥義情報を公開してください。
鬼越仁一郎
■奥義
《天命にして呪いに非ず》
指定特技:千里眼の術
効果  :判定妨害
演出  :単なる、しかし決定的な不運が訪れる。
鬼越仁一郎
その5は1。
GM
了解です。
薊の出目は4,1になり、ファンブル。
GM
命中です。薊に接近戦ダメージ1点。
仁一郎はRCTによってダメージ分野を決定してください。
鬼越仁一郎
RCT ランダム分野表(6) > 妖術
GM
薊の妖術が潰れます。
[ 芥切薊 ] 妖術 : 1 → 0
GM
蟻地獄による攻撃が成功し、1点のダメージが入ったため、
薊の次のラウンドのプロットは1に確定します。
GM
では、プロット6の演出を頂きましょうか。
よろしくお願いします!
鬼越仁一郎
危険を承知に光の速さに挑むのは、芥切薊の覚悟に対する意趣返し。
鬼越仁一郎
一手先んじて振るうは、黒鍬のみ伝わる忍法、蟻地獄。
鬼越仁一郎
その太刀筋は、地面を引き裂き、切り崩す。
鬼越仁一郎
足元を。支えを、拠り所を。
芥切薊
その幾条もの線を越えて駆ける。
鬼越仁一郎
その太刀筋は、しかし、芥切薊ならば凌げた太刀筋。
鬼越仁一郎
それでも、刃は炎のゆらめきをも引き裂いて捉える。
鬼越仁一郎
奥義、天命にして呪いに非ず。
鬼越仁一郎
鬼越仁一郎は呪わない。
鬼越仁一郎
故に、そこに穿つ墓穴は一つのみ。
芥切薊
引き裂ける炎。
芥切薊
「チッ……」
鬼越仁一郎
「俺がこの仕事に向かうのは、それを俺は引き受けているからだ」
鬼越仁一郎
「天命を全うすると決めているのは、定められたからではない」
鬼越仁一郎
「命じられたから、ここにいるわけではない」
鬼越仁一郎
「運命の奴隷ではなく、一人の意志ある忍として」
鬼越仁一郎
「俺はお前を殺す」
芥切薊
「お前が、命じられるままにいるだけの忍なら」
芥切薊
「俺はお前など恐れなかったさ」
芥切薊
炎はまだ音高く燃えている。
芥切薊
たとえ足を取られても、それで地に膝をつこうとも、
芥切薊
まだ消えない。
鬼越仁一郎
そうだ。お前は地獄であろうとも、その火を絶やしたりはしないだろう。
GM
◆プロット5
GM
薊と六衛門は同時攻撃。
1d100をどうぞ。低い方から処理します。
芥切薊
1d100 (1D100) > 41
三登河六衛門
1d100 (1D100) > 62
GM
薊の手番から処理します。
GM
◆プロット5
 行動:芥切薊
芥切薊
奥義使用。
GM
ここで。
奥義情報を公開し、行動の宣言をお願いします!
芥切薊
瘴炎坩堝
指定特技:香術 範囲攻撃/滅び/人数限定
逃れ得ぬ業の火煮える、瘴気と獄炎の坩堝。
芥切薊
対象は鬼越仁一郎。
GM
仁一郎は任意分野の生命力を2点失います。
分野の指定をどうぞ。
[ 鬼越仁一郎 ] 体術 : 1 → 0
[ 鬼越仁一郎 ] 戦術 : 1 → 0
GM
奥義が連続で出ましたし、一度ここで演出を入れてもらいましょうか。
芥切薊
そうだ。炎を絶やすことは、己が心を殺すことだ。
芥切薊
足を取られたままに、つと手を伸ばす。
芥切薊
その手の示す先に、煮え立つような獄炎が点る。
鬼越仁一郎
その業火を凌ぐことはできない。
鬼越仁一郎
それはあたかも、切り開いた地獄から吹き出したかのようだ。
鬼越仁一郎
灼熱に呑まれる。
芥切薊
不知火の炎は死を燃えぐさに立つ。地獄の底は火で煮えている。
鬼越仁一郎
「ただでは堕ちぬか、不知火!」
芥切薊
「当然だ」
鬼越仁一郎
奪った一つに対して、奪われるは二つ。
鬼越仁一郎
だが――。
鬼越仁一郎
その先は地獄。
鬼越仁一郎
まだ、戦いは決まらない。
GM
◆プロット5
 行動:三登河六衛門
三登河六衛門
悩みましたが、奥義を使用。
三登河六衛門
対象は芥切薊と辻秋葉。
GM
畏まりました!
奥義破りは言霊術からになります。
辻秋葉
奥義破りを行います。
辻秋葉
回想をして、判定に+3の修正をつけましょう。
GM
了解しました。回想シーン演出をお願いします。
任意のタイミングで自分の秘密を公開していただけたら大丈夫です。
辻秋葉
・秘密:
あなたは身寄りのない天涯孤独の身である。だが寂しいことはない。村の人々が家族同然に育ててくれたからだ。村から出たことはなくとも、それだけで満足だった。あなたは村の人々に対して「愛情」の【感情】を抱いている。村の文献によると、『天ヶ原奉納演武』が失敗すれば村の人々が亡者になってしまうらしい。そうさせるわけにはいかない。
辻秋葉
物心ついた頃にはこの村にいた。
辻秋葉
きっとどこかに、本当の家族とやらがいるのだろう。
辻秋葉
もしかしたら、この場を生きながらえればそれを知る日も来るのかもしれない。
辻秋葉
けれど、知ったところできっと俺が抱いている愛情の対象は変わらない。
辻秋葉
俺は、指輪木の辻秋葉。
辻秋葉
ずっと変わらない。この先どこに行っても。誰に会っても。
辻秋葉
忘れない。
辻秋葉
なかったことにはさせない。
辻秋葉
センセー、あんたにも。
辻秋葉
かわいい教え子との思い出、なかったことになんかさせないぜ。
辻秋葉
SG#3+3>=10 (判定:野戦術) (SG+3@12#3>=10) > 10[5,5]+3 > 13 > 成功
GM
成功!
GM
六衛門の奥義は無効化されます。
合わせてRPをしていただきましょうか。
三登河六衛門
鬼越と芥切の奥義の応酬。
三登河六衛門
そこに乗じるように、冥府の水を手招く。
三登河六衛門
冷たく濁った水を自身の周囲にめぐらせ、みるみる濁流へと成長させて、
三登河六衛門
体勢を崩した芥切と、そして、教え子だった秋葉を狙う。
辻秋葉
見たことのある技。
辻秋葉
あれがセンセーからの最後の授業なら、今日が卒業試験というとこか。
辻秋葉
期待しているはずだ。センセーは。俺が越えていくのを。
辻秋葉
応えてやる。
辻秋葉
俺が出来のいい生徒じゃないと、センセーをダメなセンセーにしちゃうしな!
辻秋葉
「ちりきり!」
辻秋葉
手を伸ばす。
芥切薊
手が触れる。
辻秋葉
その手を掴んで、引っ張り上げる。
辻秋葉
濁流から逃れ、目についた木の上に跳び上がる。
三登河六衛門
「…………!」見切られた。
三登河六衛門
ついこの間まで死の冷たさを知らなかった娘に。
三登河六衛門
この間初めて死を知ったばかりの娘に、見切られた。
三登河六衛門
「は、はは」
三登河六衛門
笑い声。あなたは初めて聞くかもしれない。
三登河六衛門
快活でも、陰険でもない、ただ、何かを込めた声だった。
三登河六衛門
「ああ、君は」
三登河六衛門
「本当に……本当に、利口な子だ」
辻秋葉
「そうだろう」
辻秋葉
「忘れちゃもったいないぜ!」
三登河六衛門
「そうはいかない。君がそこまでできるというなら」
三登河六衛門
「相手にとって不足なしということ。ハードルを上げていこうか」
辻秋葉
「最後までテストの時は厳しいなあ……」
GM
◆プロット3
 行動:辻秋葉
辻秋葉
まずは飛傘します。
GM
はい、判定をどうぞ!
辻秋葉
SG#3>=5 (判定:登術) (SG@12#3>=5) > 7[2,5] > 7 > 成功
GM
成功ですね。秋葉の間合が+1。
高所ではさらに+1と回避判定に-2がつきますが、
今はまだ平地です。
辻秋葉
間合が伸びたので、続いて三登河に接近戦攻撃を。
GM
了解です。命中判定をどうぞ。
辻秋葉
SG#3>=5 (判定:野戦術) (SG@12#3>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
成功!
六衛門は野戦術より回避判定をどうぞ。
三登河六衛門
回避します!
三登河六衛門
SG#5>=7 (判定:毒術) (SG@12#5>=7) > 9[4,5] > 9 > 成功
GM
高い! 回避成功です。
GM
RPをお願いします。
辻秋葉
銃を構える。
辻秋葉
人を狙うのは、これが二度目。
辻秋葉
狙いを定める。引き金を引く。
辻秋葉
奥義を放った後の隙をつくように、銃弾が放たれる。
三登河六衛門
「そう。躊躇わないこと。隙をつくこと。いい判断だ」
三登河六衛門
銃弾の先にはしかし、既に札がある。
三登河六衛門
以前も見せた、札による身代わりで、三登河は弾丸をかわす。
三登河六衛門
「だが、私たちは時に光の速さで走る。……当てられるかな?」
辻秋葉
札を貫いて、弾はただ地を穿つ。
辻秋葉
「当たるまでやればいいだけだ」
辻秋葉
そう教えられたからな。
三登河六衛門
笑い声がする。「やってみなさい。できるものなら」
GM
2ラウンド目が終了。
[ GM ] ラウンド : 2 → 3
GM
◆ラウンド3
GM
では各位、3ラウンド目のプロットをどうぞ。
鬼越仁一郎
奈落使用。
GM
判定をどうぞ!
鬼越仁一郎
2D6>=5 (判定:掘削術) (2D6>=5) > 6[3,3] > 6 > 成功
GM
奈落は成功。
みなさまプロットをどうぞ。
鬼越仁一郎
プロットOK
三登河六衛門
プロットOK
芥切薊
プロットOK
辻秋葉
プロットOK
GM
畏まりました。
GM
ではラウンド3、プロットオープンをお願いします!
[ 鬼越仁一郎 ] がダイスシンボルを公開。出目は 1 です。
[ 辻秋葉 ] がダイスシンボルを公開。出目は 3 です。
[ 芥切薊 ] がダイスシンボルを公開。出目は 1 です。
[ 鬼越仁一郎 ] がダイスシンボルを公開。出目は 1 です。
[ 三登河六衛門 ] がダイスシンボルを公開。出目は 3 です。
GM
◆ラウンド3
 プロット3:秋葉、六衛門 1:薊、仁一郎
 奈落:1
GM
プロット1の薊と仁一郎は奈落の判定をお願いします。
鬼越仁一郎
2D6>=5 (判定:掘削術) (2D6>=5) > 8[4,4] > 8 > 成功
芥切薊
SG>=6 (判定:壊器術) (SG@12#2>=6) > 8[2,6] > 8 > 成功
GM
双方成功です。お見事!
GM
◆プロット3
GM
秋葉と六衛門は同時攻撃。
GM
1d100をお願いします。
低い方から処理しましょう。
辻秋葉
1d100 (1D100) > 73
三登河六衛門
1d100 (1D100) > 69
GM
では、六衛門から。
GM
◆プロット3
 行動:三登河六衛門
三登河六衛門
痛打を使用。
三登河六衛門
SG#3>=5 (判定:壊器術) (SG@12#3>=5) > 7[2,5] > 7 > 成功
三登河六衛門
そして、辻秋葉に接近戦攻撃。
GM
命中判定をどうぞ!
三登河六衛門
SG#3>=5 (判定:経済力) (SG@12#3>=5) > 3[1,2] > 3 > ファンブル
三登河六衛門
あ!!???
三登河六衛門
神通丸を使います。
GM
了解です。振り直しをどうぞ。
[ 三登河六衛門 ] 忍具 : 2 → 1
[ 三登河六衛門 ] 忍具 : 2 → 1
三登河六衛門
SG#3>=5 (判定:経済力) (SG@12#3>=5) > 7[3,4] > 7 > 成功
GM
成功ですね。
秋葉は経済力から回避判定を。
辻秋葉
回避します。
辻秋葉
SG#3>=7 (判定:人脈) (SG@12#3>=7) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
高い!
GM
このまま秋葉の行動を処理していきましょうか。
GM
◆プロット3
 行動:辻秋葉
辻秋葉
三登河に春雷を打ちます。
GM
はい。まずは命中判定をどうぞ。
辻秋葉
SG#3>=5 (判定:骨法術) (SG@12#3>=5) > 8[3,5] > 8 > 成功
GM
成功。
ではもう一度、任意の特技で判定をお願いします。
辻秋葉
人脈で行きます。
辻秋葉
SG#3>=5 (判定:人脈) (SG@12#3>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
GM
成功!
回避判定に骨法術と人脈の好きな報を指定できます。
辻秋葉
骨法術で判定をしてください。ちりきりは感情修正を頼む。
芥切薊
三登河に感情修正。-1を。
GM
では六衛門は-1をつけて骨法術で判定をどうぞ。
三登河六衛門
回避します。修正-1。
三登河六衛門
SG#3-1>=8 (判定:壊器術) (SG-1@12#3>=8) > 8[4,4]-1 > 7 > 失敗
三登河六衛門
うぐあ
三登河六衛門
通します。
辻秋葉
血断を使う。
GM
はい。
春雷で接近戦攻撃2点ダメージに、血断でさらに1点。
GM
秋葉はRCTを3回どうぞ。
辻秋葉
潰すのは器術。
GM
OK
[ 辻秋葉 ] 器術 : 1 → 0
辻秋葉
RCT ランダム分野表(1) > 器術
辻秋葉
RCT ランダム分野表(2) > 体術
辻秋葉
RCT ランダム分野表(3) > 忍術
GM
器術、体術、忍術にダメージ。
[ 三登河六衛門 ] 器術 : 1 → 0
[ 三登河六衛門 ] 体術 : 1 → 0
[ 三登河六衛門 ] 忍術 : 1 → 0
GM
ではプロット3のRPをお願いします。
三登河六衛門
強く踏み込む。何事か、口元だけで呪文を呟き。
三登河六衛門
冷気をまとった札が投げられる。真っ直ぐに、鋭く、秋葉の方へ。
辻秋葉
冷たい、死の気配を纏ったそれが。
辻秋葉
見極める。引きつける。躱す。
辻秋葉
そっちに行くのは、いやだ。
三登河六衛門
躱された。察知して体勢を整えようとする。
辻秋葉
俺はあたたかいところへ行くんだ。
辻秋葉
あんたを乗り越えて。
辻秋葉
銃を構える、
辻秋葉
そう見せかけて、踏み込む。
辻秋葉
接近する。
三登河六衛門
「……ッ!」銃撃ではないと気がついた時には、もう遅い。
辻秋葉
「いくぜっ!」
辻秋葉
握った拳を、三登河の胴に叩き込む。
辻秋葉
自身に反動の痛みがあるのも厭わず。
三登河六衛門
『私たちは時に光の速さで走る』。そう教えた直後に、自分が判断を鈍らせるとは。
三登河六衛門
咄嗟に左腕でガードするが、反動を顧みない一撃に対してそれで足りるはずもなく。
三登河六衛門
「がっ……!」腕の骨が砕け、左の肋が折れた感覚がある。
三登河六衛門
だが、倒れない。飛び退いて、距離を取る。
辻秋葉
手が……
辻秋葉
じんじんする……。
三登河六衛門
ぶらん、と力なく垂れ下がる左腕。
辻秋葉
そういえば、人を撃つのは二度目でも、思い切り殴ったのは初めてだ……。
三登河六衛門
「ははは」布の向こう、顎からも血が滴る。「よく、できました」
三登河六衛門
「でも、まだだ。まだ、終わらないよ」
辻秋葉
「……うん」
辻秋葉
呼吸を整える。痛みはある。けれど大丈夫。
辻秋葉
はじめて袖を通した、新しい服にふれる。そのあたたかさを確認する。
辻秋葉
奥義を使用します。
GM
了解しました。
奥義情報の公開をお願いします。
辻秋葉
■奥義
《指輪木の宝》
指定特技:人脈
効果  :不死身/目覚め/回数制限
演出  :幸いあれと願われて育った。
GM
回復量は1d6-1。
辻秋葉
1d6-1 (1D6-1) > 4[4]-1 > 3
GM
秋葉は生命力を3点回復。
目覚めの効果が発動し、以降攻撃のダメージに接近戦ダメージが+1されます。
[ 辻秋葉 ] 器術 : 0 → 1
[ 辻秋葉 ] 忍術 : 0 → 1
[ 辻秋葉 ] 妖術 : 0 → 1
辻秋葉
秋葉は強い子。
辻秋葉
優しい子。
辻秋葉
村のみんなの宝物。
辻秋葉
そう願われて育った。
辻秋葉
後ろ暗い真実を隠していても、俺は愛情以外のものをこの村から受け取ったことはない。
辻秋葉
俺は指輪木村の皆の宝だ。
辻秋葉
皆は、俺の宝物だ。
辻秋葉
俺はこの村で育って幸せだった。
辻秋葉
これからも、そういるよ。
辻秋葉
痛みが引いていく。
辻秋葉
戦う力が湧いてくる。
辻秋葉
俺は、大丈夫。
辻秋葉
大丈夫だ。